「森」が取れた「聞き書き甲子園」
なんと、本日3月24日に、「聞き書き甲子園」フォーラムが開かれたそうだ。オンラインもあったそうだが、もちろん私は聞いていない(^^;)。
そして、気づいたのである。
「これって、以前は「森の聞き書き甲子園」だったよな……。今は森がついていないわ。。。」
23回目を数えるが、私はスタートした時の記憶がかすかにある。林野庁主催で、林業に関する技術者を森の名手・名人を100人剪定して顕彰するのではなかったっけ。そして高校生が彼ら名手名人らをインタビューして記録に残す……という趣旨であった。
そのうち森林や林業関係ばかりでは足りなくなったのか、川や海の名手名人も加えるようになった。そしてタイトルからも「森」を外したわけか。でも、「農」は入っていない。それどころか、選ばれる人は、あまり第一次産業ぽくもない。
農林水産大臣賞が木造船で、文部科学大臣賞ががま細工。林野庁長官賞は漆器だよ。
もう、林野庁が絡む必要ないんじゃない?
だいたい、毎年100人からの人を選定していたら、ネタも尽きるだろう。そのうち町工場の旋盤技術者とか、大型クレーンを操るオペレーター、いやゲーマーやユーチューバーも入れるかもなあ。
私は多少裏事情を知っているが、選び方はかなりいい加減。地元自治体の推薦があって……とかいうが、推薦されなきゃプラットフォームにも載らないわけで、自治体職員の胸先三寸だ。師匠はもらわず、教わり始めて3年目の弟子がもらったケースも知っている。師匠とけんか別れした弟子がもらったケースもあったなあ。
結局、名人芸的な伝統技術の伝承や顕彰ではなく、聞き書きする高校生の教育的効果のみが目的と化してしまった。
まあ、聞き書きというのは、いわばオーラルヒストリーである。宮本常一的に名もなき市井の人の人生を聞き取ってはどうか。その点からは民俗学的な範疇に入る。むしろ、聞き取りをする対象者も、高校生に探させて選ばせたら本格的なルポルタージュ作品を生み出せるかもしれない。ノンフィクション作家の養成講座みたいになる。
もう、文科省に任せて、農水省も林野庁も環境省も下りたらいいんじゃない?
たらたら続けるだけが目的となるのはみっともないよ。
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「森の名手・名人 奈良県」で検索しました。奈良県のホームページでは、次のように紹介されています。
「森の名手名人」は、公益社団法人国土緑化推進機構により、平成14年度から毎年選定されています。
※なお、「森の名手・名人」の選定は、平成30年度(本年度)をもって修了となります
森の名人の制度が始まった頃、森の名人に選ばれた方の全国組織があったようです。私が、森の名人(平成21年度 森の伝承・文化 森林ガイド)に選ばれた経緯は、 当時奈良県の名人代表であった、杉本 充 (橿原市 平成14年度森の名人 森づくり)氏から、推薦するから活動経歴を記入して、氏に送付するよう連絡がありました。よくわからないまま、ツチノコ探検から始まって、ツチノコ共和国での自然体験活動などを羅列して提出した覚えがあります。 選ばれたあと、何かのつてで依頼を受けた高校生が「森の聞き書き甲子園」の取材で何回か私を訪ねて、文章にされました。制度がなくなったのを知りませんでしたが、今回のブログを契機に調べたところ、聞き書き電子図書館https://lib.ruralnet.or.jp/mori/syokusyu.html に、森の名人当時の記事も検索できました。読むためには有料の登録が必要でした。
私が、選ばれた頃は、国土緑化推進機構は国の外郭団体の位置づけでした。二年後の2011年7月に公益社団法人国土緑化推進機構になりました。その頃から、名人への情報提供がなくなりました。
投稿: 野崎 和生 | 2025/03/24 21:22
野崎さんも、「名人」だったんですね!
私も最初の数年分の「森の聞き書き甲子園」の収録冊子を持っています。
高校生の文章を読むのは苦手だけど(添削したくなるから笑)。
緑水機構は、なんだかんだ言っても林野庁の天下り団体ですよ(> <;)。それに聞き書きした高校生OBらが作る「共存の森ネットワーク」もうさん臭い。
投稿: 田中淳夫 | 2025/03/24 23:27