木育流行り
奈良県の三郷町(大阪との県境)に奈良おもちゃ美術館が明日、3月20日にオープンする。
東京おもちゃ美術館が全国展開するチェーン店の一つである。おもちゃと言っても木製が多くて、木に親しむ施設として全国的に広がっている。たしか全国に13くらいあって、そのうち幾つかは私も訪ねた。自治体など公的機関の運営が多いが、民営もある。岩手県の花巻おもちゃ美術館は林業会社の経営だ。
奈良の施設も、刺殺じゃない視察したい希望はありつつも、オッサンが一人で入場料を払って入るのは恥ズすぎる。子供連れで一般目線で行くのがよいのか。あるいは「視察するぜ!」と上から目線で行くのがよいのか。誰か行く人の後ろにくっついていくのがいいな。男ばかりだとよりハズいけど。
もともと、ここは奈良産業大学のキャンパスだった。それが奈良学園大学に改名して奈良市に移転したので、その跡地に設立された施設だ。昨今、閉校した学校施設の使い道がいろいろ模索されているが、おもちゃ美術館も学校跡地に多い。三郷町の場合は、場所が山の上ではなかったか。
ところで、奈良に極めて近い大阪のイオンモール四條畷にも木育施設ができるようだ。
すでにイオンモール大和郡山にも木育広場が作られている。
どちらも無印良品が運営しているようだが……そのほかスーパーマーケットなどでも木育的な子供を遊ばせる一角を設けているところもある。なんだか木育流行り? これらは無料だから、集客メインなのだろう。子供を連れてきた親は、無印かイオンで買い物をするから。
木育を否定するわけではないが、私はいま一つ効果面で限定的と感じている。木のおもちゃで遊ばせといたら木に親しみ、森に親近感持つだろう……なんてのは子供なめてんのか、と思う。それに木材から木、森へと意識を広げられるのか。
絶対に必要なのが、理念やマンパワーだ。インストラクター、ガイド抜きでは教育効果は弱く、そうした人員を配置するのはコストがかさむ。結局、ボランティア頼み。自治体運営が多いのもそのせいだ。
集客も、イオンのように買い物目当ての客がいないのなら、よほど頑張らないと時とともに厳しくなる。むしろ民営の方が真剣さがあるかも。
さて、どうなるかな。
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抱かれている疑念、ごもっともと思いました。
公共事業より民間の方が厳しく評価されるでしょうね。
個人的には、既成の木のおもちゃで遊ばせることで何か期待するのは間違いと思っています。木である必然性が高いものもあまりないし、、。
ただ集客面や親の満足度的には、ナチュラルテイストが流行りなのもあって一定の効果はあるのかもしれません。
木のファンづくりのポイントは、木工体験にあると思っています。
削るだけでも、紙やすりの荒い番手ならすぐに形を変えられるし、
プログラム次第のところもありますが、たいてい木で作ったものは最後オイルか蜜蝋なんかを塗れば良い感じの仕上がりになるものです。何より木の加工のディテールは、木材でしか体感できないものです。
と、そんなことを感じた自分の幼少期のことを思い出しながら、会社の事業の一環で講座を交えた木工体験なんかを試行錯誤してたりします。
投稿: なかの | 2025/03/19 23:58
私は「木のおもちゃ」を特別扱いすることに疑問ですね。素材はなんであれ「遊び」は大切ですが。
木工のほか、自分で遊び方を考えるとか、おもちゃではない木の切れ端で遊ぶとか、もう一歩進まないと効果はイマイチかなあ。
一方で大人へのイメージ効果はたしかにあって、ビジネスにはなるかも。
投稿: 田中淳夫 | 2025/03/20 09:38