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森と林業と動物の本

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2025年4月

2025/04/30

金魚に個性はあるか?

先日、我が家の庭の池に、新たな小赤、小さな金魚を発見したことを紹介した。

幻の「小赤」。金魚は繁殖する

2匹の小赤がいることを確認したのであった。ところが、朝の日課、餌やりで新たな金魚を発見した。

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これまで数年間生きてきた大きめの金魚が11匹いるのだが、そこに小型の2匹を見つけたので13匹……と思っていた。ところが、その2匹以外にも小さな小赤を見つけたのである。今度は1センチ以下の超小型。

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なんとか撮影。ということは、小赤3匹か。。。と思った瞬間に、今度は黒い小赤?が横切ったのである! 黒金魚だ! さすがに写真は撮れなかったが……なにしろ小さいうえに黒では確認が難しい。しかし、確実にいるわけで、これで4匹目。

これは、もう今年の繁殖だとしか思えない。しかし、成魚の黒い金魚は現在いないのに、黒が生まれたということは、黒の遺伝子を持つ個体がいるということか。人が手を加えなくても繁殖して、バラエティを増してくれる。

15匹の金魚が、このまま育ってくれたらよいのだが。観察していると、金魚にも個性があることがわかる。泳ぎ方や人影への反応などもあるが、どうも金魚同士の仲もあるようだ。常につるんで泳いでいるものから、孤独を愛する?個体も。遺伝子が決めるのか、環境によるものか。

性格、個性というと、霊長類、せいぜいイヌネコなど哺乳類だけかと思われがちだが、最近は魚類にも個性が認められつつある。魚種ではなく、同じ種類の中でも、個体ごとに性格が違うのだ。泳ぎ方、さらに警戒心や好奇心の差があるという。観察者によると、異性に餌を融通する個体がいたり、逆に意地悪・いじめをする個体もいるそうだ。そのうち感情も発見されるかもしれない。
我が家の金魚も、そうした指向を感じる。

もしかしたら、「個性」「性格」とは、もっと生命に根源的なもので、あらゆる生命にあるのかもしれない。そういや、ミジンコ、いやアメーバのような微生物でも、同じシャーレの中にいても、個体によってはセカセカ動き回るものと、じっとしているものがいる。これは個性ではないのか? 性格の差ではないのか?

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植物だって、ほぼ同じ成分と思われる土壌に並べて植えて、光や水の条件も同じはずなのに、成長に差が出たり、枝や葉の付き方が違ってきたりする。これは性格の差ではないか。植物にも個性はあるのではないか。遺伝子レベルの性格と、環境の子細な違いから醸成される「個性」を追求する研究、誰かやっていないかなあ。

 

2025/04/29

木材価格推移から考える米価格

木材価格の推移を示すグラフを見つけた。

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ずっと下がり続けてきたが、20年にピョンと跳ね上がっている。これがウッドショックだ。

グラフ全体の値動きからすると、小さな幅だが、当時は木材が1・5倍だ、いや2倍になった、と嘆いたものである。それも2年ぐらいで鎮静化。がっくり下がったが、以前の底値ほどてはなく、多少は高いままのようだ。

そこの部分を拡大したグラフも見つけた。輸入材だけだけどね。

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せっかくだから、昨今の米価格のグラフも探してみた。

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最初は小麦などが上がったのに、米は低いまま。そこに急騰したわけである。ウッドショックと同じように2倍になったといっているが、そのうち底値よりは少し高い位置で落ち着くのではないかな。

せっかくだから米つながりで米のトランプ関税の推移をグラフに示そうか……と思ったのだが、同じ米は米でも関係ないか(^^;)。

 

 

2025/04/28

古書市の林業文献

気がついたらゴールデンウィークだった。

ちょうど大阪の四天王寺で開かれていた古書市に顔を出す。これ以上本を増やしたらアカンと思いつつ、まあ趣味である。それに新刊書店より面白い文献が見つかるのも古書のよいところだ。

そこで目についたのが、なんと林業文献。どこから誰が放出したのかわからないが、1950年~70年代の林業関係の論文や研究報告などが並ぶ。書籍も一部ある。通常、古書市では、出回らない文献だろう。もともと少ないが、買手がつかないから。

たとえば吉野でスギを挿し木苗で育てる実験とか……(従来、吉野では実生苗だが、挿し木で増やしたら大量に苗が供給できる目論見なのだろう)森林の降雨遮断機能とか。興味深いテーマはあるのだが、今から60年以上前の実験や論文だからなあ。同じテーマで近年行われた実験もあるし。薄い別刷り冊子で1部500円とか800円とかの価格である。全部買ったら数千円になるし、研究者でない私が持っても仕方がない、と手を出さないことにした。

それでも幾つか目についたものを購入してしまう。

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秋田杉については、あまり詳しくない。運材はともかく秋田の林業史を押さえておくために購入。2800円のところ2000円か。エイ、ヤーと買った。読むかどうかわからない(笑)。が、後で検索すると、Amazonで古書が半額で売っていたのだが。。。

ほかにも森林、林業、木材などの本やムックをパラパラと。

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この江戸名所図絵がいいねえ。巨大な木材の山が、いかにも江戸の町を感じさせる。紀伊国屋文左衛門なども登場する。ほかにも並木(街路樹)の歴史とか、興味深い。

最近はすっかり林業系の仕事は減っている。きっと林野庁の陰謀に違いない(笑)。裏で手を回して「タナカ某には仕事を回すな」と圧力をかけているに違いない。そう信じているが、まあ、私も林業には飽きてきたからねえ。といいつつ、こんな文献を集めてしまうのである。

さて、連休の残りの日々はどうして過ごすか。やっぱり仕事しとこうかな。

2025/04/27

ドクダミの除草の仕方と利用

庭にドクダミが増えてきた。

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ドクダミは嫌いではない。それなりに生えているのなら庭の彩りv(^0^)。ただ、あまり多くなりほかの草本を押し退けるようでは「生物多様性」を減退させてしまう。という崇高な?使命感から、一部を駆除することにした。

ただし、地表部の若芽を摘むだけである。ドクダミは地下茎を残すとどんどん増えると言われているから、掘削して地下茎・根から排除しろ!とよく記されているのだが、それでは土壌の攪乱になる。現在の土の生態系を破壊すれば、地表部にも影響が出る。それはほかの草にも影響を与えるし、せっかく萌えだした若葉の季節に土をむき出しにしたくないのである。

さて若葉を摘み続けたら、果たして何回再生するだろうか。ドクダミの生命力を試してみるつもり。尽きたら生えてこなくなるだろうし、生えてくるたび収穫できると思えばよい。

さて、摘んだドクダミの若葉をどうしようか。

ネットでドクダミ、レシピと検索すると、結構多くのドクダミ料理法が登場した。葉はハーブ扱いだし、茎も炒めたら美味しいらしい。サラダにもなるらしい。東南アジアでは、普通に野菜扱いなのだから当たり前だが、日本人は臭いを嫌うので苦手な人が多いだろう。でも、パクチーブームもあったわけで、ドクダミの臭いもパクチーに似ていると思えば、そのうちブームになるかも。

そのうち調理も挑戦するつもりだが、まずは簡単なドクダミ茶にすることにした。単に乾燥させるだけ(笑)。

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1日で、わりとカラカラになる。あと数日したら、砕いてお茶葉ぽくしてみよう。

ドクダミは毒を除く薬でもあるから、今後の使い道を模索する。

2025/04/26

山村のモンベル・ショップ

先日、奈良県吉野郡の黒滝村を訪れた。

そこにある道の駅「吉野路黒滝」で何か式典をしている。ここにモンベルショップがオープンしたのだという。南都銀行の跡地だそうだがら、まさに、なんと!(⌒ー⌒)

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人口500人程度の山村にモンベルがオープン。なかなか常識はずれの展開ではないか。住民の購買力だけでは、とても成立しない。

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店内は、いわゆる都市部のショップと変わらない品揃えだ。ターゲットは、やはり村の外から来る訪問客だろう。
当然アウトドア用品が並ぶが、やはりファッショナブルなウェアが多い。ほかキャンプ用品、ちょっと目に入ったのは水遊び用の道具か。黒滝村には遊べる渓流が多いから、それらに合わせた品揃えかもしれない。

「林業用品も置いていますよ」とのことだが、探さないと見つからない。ようやく隅の方(笑)に少しだけあった。

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これも一見したら、一般的なアウトドア用品だが、チェンソーパンツなどが並ぶ。

聞いたところ、モンベルの直営ではなくて、黒滝村森林組合の経営らしい。モンベル商品を仕入れて並べる、いわゆるモンベルフレンドショップだ。これを逆から見たら、森林組合が都会から来るアウトドア客向きの商品を並べた店を開業したというわけだ。

黒滝村も観光には力を入れているが、とくに有名な登山に適した山はない。せいぜいハイキングレベル。むしろ川遊びやキャンプ、それに温泉客などが多いように思える。ただ黒滝村から南下すると天川村があって、こちらは山に川に洞窟に温泉と多くの観光客を集める。パワースポット扱いの天川弁財天もある。そして修験道の拠点でもある大峰山(山上が岳)と隠れ里ぽい洞川集落。シーズンによっては、渋滞を引き起こすほどの行楽客が来訪する。それらの客の多くが往復の途中で黒滝村の道の駅に寄り道している。

しかし、登山を目的とする人なら、最初から登山用具は揃えているはず。修験道の行者やキャンプ客も同様で、途中で道具を購入するとは思えない。もっと気軽な散策や寺参り、山里グルメ……などを求めて行楽気分で訪れた客が、ここでモンベル商品を目にしてアウトドアの空気に幻惑されて?ファッショナブルなウェアが欲しくなるはず……行楽中だから財布の紐も緩んで買いたくなるはず……という戦略か。

森林組合としては、補助金頼みの林業だけでなくビジネスの幅を広げて多角化を図る意味もあるかもしれないし、村全体にも店員という雇用も生み出す。村の名を売りつつ、都会の風を吹き込ませて、村人の接客や販売、それにデザインセンスに影響を与えるかもしれない……。

〇〇なはず、〇〇ではないか、〇〇かもしれない、の連発である(^^;)。

一方でモンベルからすると、都会のショッピング街やセンター、モールに出店する従来の販売網に風穴を開け、新たな顧客をつかむ挑戦だろうか。明確なウトドア指向の客ではなく、革靴とパンプスで行楽地に行くような客をターゲットとできるかどうかの試みでもあるのだろう。フレンドショップなら、リスクは大きくないし。林業が基幹産業の地だから、少しは林業関係のギアも売りたいという思惑もあるに違いない。

〇〇だろうか、〇〇だろう、〇〇に違いない、の連発である(^^;)。

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黒滝店限定のTシャツ。原案は、村の林業女子のデザイン。限定品に弱い人向きのお土産になるはず、なるに違いないv(^0^)。

気になる人は、訪れてみて。なかなかの山の奥だよ(⌒ー⌒)。。。

 

2025/04/25

本物のドローン

先日、家の近くを歩いていると、ブーンと鈍い音が響く。ドローンか? 誰か飛ばしているのか?

そう思って見上げると、ドローンは見かけなかった。が、ドローン(オスバチ)はいた。正確に言えば、見かけたのはハチの大群なのだが、女王蜂バチや働きバチ以外に、おそらくオスバチもいただろうと思う。なにしろ空一面だから大群だ(゚д゚)。。。

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多分写らないと思いつつ、写真を撮る。やはり写らない(泣)。だが、相当な数だ。

分蜂の季節なのである。ようするに巣分かれ。女王バチが働きバチを連れて出るが、オスバチも追いかける。そして新たな巣をつくる場所を探す。早ければ数時間で終わるし、分蜂の際は攻撃性は低いので、怖がる必要はないと言われる。だが、あの音が響いていると、ちょっとむず痒くなるし、やっぱり怖い。でも、分峰中なのだから刺さないはずだ……。

ちなみに先日の福岡旅であった二人が、ともにドローンを失ったという。どちらもドローンを飛ばして仕事をしていたが、戻ってこなかったのである。墜落したのか、迷子になったのか。一人は購入し直すのには融資を受けないといけない(ビジネス用なので高い)と嘆き、もう一人は諦めたと言っていた。なぜならドローンへの投資効果が低くなったというのだ。

年々、ドローンを飛ばす許可が厳しくなってきたのだそうだ。罰則も厳しい。たしかに空港のそばで飛ばす馬鹿たれもいるから、事故ったら大変なことになる。また住宅街で飛ばして墜落させても危険性は高い。

とはいえ、飛ばせるエリアが規制されたら、仕事になりにくくなる。撮影したい、あるいは運びたいと思ったいるところが規制エリアでは使えない。日本のドローン開発、あるいは利用法も発展しなくなるだろう。

分峰するドローンは、無害なんだけどねえ。。。

 

2025/04/24

庭に見慣れぬ雑草

庭で見つけた雑草の花。

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ムスカリ?

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ムラサキケマン。

他にもある。珍しくはないのだが、昨年の我が家には生えていなかったか、かなり少なかった種だ。なぜ今年は群生するのか。とくにムスカリは園芸植物で、自生していること自体が問題である。

毎年生える草が変わってくるのは遷移?侵略? 我が家の庭の主に草本を調べていると、大半が外来種なのだが……。
庭という人工自然空間も、実は場所の気候や生態系の影響を受ける。

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これは九州は福岡県飯塚市にある旧伊藤伝右衛門邸の庭だが、目立つのは照葉樹だった。もちろんモミなどの針葉樹、カエデなどの落葉樹もあるが、敷地の周囲に配置されている大木の多くはカシ、シイ系の照葉樹なのである。やはり九州という位置から針葉樹・落葉樹より照葉樹を選んだのだろう。ついでに言えば、庭に建つ東屋の柱はシュロだった。これも暖帯系を感じさせる植物である。

完成させた庭も、常に遷移することを意識しないと維持できない。

まあ、私は観察を続けるだけであり、無理に維持せずなすがままであるが、庭の観察が日々の日課になりつつある(^_-)。

 

2025/04/23

オタクじゃない福岡巡礼

最初に言っておくと、私はオタクではない。好奇心は旺盛だが、興味をテーマを一つに絞ることなく、また深入りしすぎず、反対意見も尊重し、あえて距離を置く覚悟も持ち、常にバランスを重んじている。ましてや常識を失うかのような行動は取らない。写真撮りまくって、推しがどうのと超深度の専門知識をひけらかし、一人興奮してまくし立てたりしないのである。

先週末から4日間ほど福岡に行っていた。最初は私が青春時代を過ごした北九州なのだが、かつてここは鉄オタの聖地であった。私が住んでいた頃は、SL、蒸気機関車が操車場にあふれるほど集結しており、私は毎日眺められる環境で暮らしていた。

それに九州最北端の駅があり、西鉄の路面電車が走り回り、門司港も、かつては石炭輸出などの日本有数の貿易港だったうえに、海外航路の拠点であったから旅客船があふれていた。

今は寂れつつあるのは仕方ないが、むしろ「門司港レトロ」で売り出し中で、一大観光地化に成功している。街中では外国人の姿も多い。だが私は賑やかな施設になるべく背を向けて、ひたすらセンチメンタルジャーニー。昔の記憶の断片を追うのさ。

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関門海峡ミュージアム

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台湾航路の旅客船高千穂丸

が、私の本題はこれじゃない。以前より狙っていた大刀洗飛行場跡地の平和記念館へGOだ!

ここで何としても見たかったのは、これ!

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幻の局地戦闘機、震電! エンテ式(前尾翼・プロペラが後部にある形式)で実用一歩手前まで行った秘密兵器だ。時速700キロ超え、超高々度まで急上昇して、B29を30ミリ砲4門という驚異の重武装で一撃で撃墜する(予定)だった。その実物大模型が展示されているのだ。

高校生の頃から憧れの機体をついに目にすることができた(感涙)。

さらに重要なのは、この機体はゴジラと戦ったこと! 1947年に日本を襲ったゴジラ-1を見事仕留めたのだ(涙涙)。それも雪風、響などの駆逐艦とともに! 戦艦大和の沖縄特攻の生き残り艦隊である。これだけで興奮するではないか💢💢💨

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いや、私はオタクではないからね。興奮はしてない。してない。
で、次に向かったのは五郎山古墳。直径35メートルの円墳で、さして大きくない。だが。

まず展示施設五郎山古墳館に入る。

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本物そっくりのレプリカ。

この羨道を四つんばで奥へと進むと、真っ暗な石室が。それも前石室との複式である。そこでスマホの光をかざすと……。

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壁面に色とりどりの彩色壁画が!人がいて、動物が描かれ、家があり、船が鎮座する。これが何を意味するか。九州には彩色古墳が多いのだけど、その中でも描かれた点数は非常に多い。いったい6世紀後半の九州にどんなクニがあり、とどんな豪族が勢力を張っていたのか。

それにしても、こんな住宅街の中に、こんな古墳があるなんて!!! テンション上がるわ~。

隣の本物の古墳自体は公園になっているが、本物に入ってみたい。

これで終りではない。ほかにもアチコチ見て回ったのだよ。九州歴史資料館では、九州の古代史の片鱗に触れたし。山林王ならぬ炭鉱王の旧伊藤伝右衛門邸もね。炭鉱の歴史と明治の大富豪の暮らしを垣間見たいという気持ちから。

最後の締めはこれ。

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HOゲージのジオラマ。小倉にあるオタクの聖地である。いや、私はオタクではないのだけど、参考のため、勉強のために訪れたのである。あくまで冷静に観察するのが目的である。

とにかく4日間、駆け足だったので、疲れたよ。

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関門海峡、関門橋に落ちる夕陽。

2025/04/22

伊藤伝右衛門の檜兜

昨日は、伊藤伝右衛門邸で見てきたものを紹介しようと思っていたのだけど、最後に買ったお土産の印象が強すぎて(^^;)、カレーをアップしてしまった。

実際にお見せしたいものは、こちら。

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檜兜。ヒノキでつくられたカブト。もちろん実戦用ではないのだけど、超高級品。かなり格の高いもののよう。

孫に送ったものとされるが、白蓮の薦めだったと伝わる。端午の節句の武者飾りだろうか。

ちなみに伊藤邸の中には白蓮資料館もあるのだけど、二人の間で新聞を通して行われた公開離縁状の応酬については、一切触れていない。いや、離婚したことさえほとんど触れず。私は、それが読みたかったのに。ただ白蓮用の水洗トイレがあったのが新鮮だった。

また邸宅の造りや使用された木材、細工などには興味深いところもあった。明治期の和風建築の粋(プラス西洋様式の取り入れ)という目で見たら、なかなか面白いのではなかろうか。

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2025/04/21

謎の田中カレー

週末から福岡各地を歩いた。その内容は改めて記したいが、そこで得たお土産。

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福岡県飯塚市の旧伊藤伝右衛門邸を訪ねた際のに売っていた。。。

何が田中で、それが伊藤伝右衛門と何の関係があるのかまったくわからない。

ちなみに伊藤伝右衛門とは、明治~昭和前期までの炭鉱王である。大金持ちとして知られて数々の事業を行った篤志家ではあるが、同時に家族のお嬢様を嫁に迎えたことでも知られる。世に言う「白蓮事件」。朝ドラ「花子とアン」で仲間由紀恵が演じて人気を博した柳原白蓮である。

この白蓮の資料館もあるというので楽しみだったのだが……田中カレーとの関係はわからない。。。

2025/04/20

「里山広葉樹の利活用」に向けた提言とやら

林野庁の「里山広葉樹林の利活用を通じた再生に向けての提言」を読む。

里山広葉樹利活用推進会議という審議会?が3月に出したものだ。最近は広葉樹押しの林野庁だが、こんな研究会も開いていたのね。正直委員の顔ぶれはうさ…、なるほどね、と思ってしまったけれど(笑)。

私も6年前のYahoo!ニュースに「もう一つの林業・雑木林を宝の山に変える方法」を書いているから気になるところではある。

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掲載されているデータは、使えるかな。。。

提言部分だけ引用。

提言

上記の3つの基本的な視点を踏まえた上で、広葉樹の利活用を進めるためには、入口(樹種、径級)の多様性と、出口(家具・床板~ほだ木・薪炭・おが粉・チップ)の多様性の中で、広葉樹資源の様々な利用を組み合わせることで付加価値の高いサプライチェーンを構築する必要がある。

広葉樹の利活用について一定の成果が見られている地域は、川上・川中・川下のそれぞれの立場の者がコンソーシアムを組んで連携し、消費者への訴求や、サプライチェーンの構築に取り組んでいるが、現在の取組はまだそれぞれの地域が「点」で頑張っている段階で、多くの困難も抱えており、共通する課題も多い。

このため、里山広葉樹林の新たな価値創造と利活用を通じた再生に向けて、
①各地域の取組への支援を強化しつつ、

②供給側や需要側の情報の共有や地域横断的な課題に取り組む場として、全国レベルのプラットフォームの構築に取り組んでいくことを提言する。

そして、こうした具体的な指摘もしている。

○すぐに取り組むべきこと
(ⅰ)里山広葉樹の立木伐採予定情報(樹種、径級など)、市場で取引されている原木の市況情報や流通している材の品質の共有
(ⅱ)家具メーカーや材木店、きのこ生産者等が欲している木材情報等の共有
(ⅲ)供給側と需要側の交流とビジネスマッチングとマッチングに必要なコーディネーターの育成
(ⅳ)(ⅰ)~(ⅲ)を円滑に進めるために必要な情報共有や流通拠点のあり方の検討
(ⅴ)里山広葉樹林を積極的に管理し、人との関わりを取り戻すことが 2030 年ネイチャーポジティブにつながることの国民への情報発信
(ⅵ)広葉樹施業の事例収集
○発足後 2~3 年先から取り組むべきこと
当面、上記に取り組みつつ、準備検討を重ね、以下の内容に数年後に取り組む。
(ⅰ)建築家やデザイナー等の需要者からの相談の受付
(ⅱ)広葉樹材の伐採・造材・仕分けや、加工・流通、里山広葉樹林の管理等に関する人材育成や相互研鑽の実施
(ⅲ)広葉樹林の管理や利用による生物多様性保全への貢献等のプラスのインパクトを定量的に評価する指標の検討

さあ、提言は出ましたよ。誰がやるんでしょうね。

 

 

 

2025/04/19

割り箸アート

吉野の下市町と言えば、割り箸の産地なのだが、そこにKITOという施設ができている。

元小学校を利用した複合施設で、レストランやアパレル、木工、農作物……などの販売をしつつ、ブルワリーあり、シェアオフィスがあり……と何がなんやらわからない(笑)構成だ。しかも、これは行政ではなく民間企業が設立しているという。。。

とまあ、このKOTOの面白さは改めて紹介したいが、そこで見かけたオブジェ。

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何?と思わせるが、よく見たら割り箸でつくられている。

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天井には、波うつオブジェ……て、これも割り箸製だ!

なんと割り箸を利用したアートであった。
さらに元体育館も不思議な空間~図書室ぽくもあるのだが……こんな遊戯場が設けられていた。

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これは迷路だ。子供の視線で見ると、なかなか楽しい異空間。が、これをつくっているのは……

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こんな木屑。これもよく見ると、割り箸製造時に出る削り滓だろう。まるで牧草を固めたみたいな状態で、これはこれで木毛セメント板などに利用されると聞いたが、なるほどこういう使い方もあったか!

とまあ、割り箸のこんな二次利用もあったのだね。割り箸アートとして広がれば割り箸需要も広がる……というのは無理か(^^;)。

 

2025/04/18

セルロースナノファイバーの罠

私は、セルロースナノファイバーに関して懐疑的だ。

素材としては認めているし、まあ、今後技術が進めば(現在は、まだ実用化レベルに到達していないと判断する)そこそこ普及するんじゃないの、と思っているが、少なくても林業や木材産業に寄与することはない。経済的にも怪しい。採算が合う気がしない。

それなのに注目させようとするのは、単に夢物語をばらまいて、林業に希望を持たせて後に突き落とす罠だと思っている。

そこに、こんな研究発表があった。東大のHPにもあるが、こちらは研究comより。

細胞壁セルロースのミクロフィブリル(ナノファイバー)は、植物種に依らず、形状が均一であった

難しそうに書かれているが、要旨は次のようにまとめられている。

発表のポイント

セルロースナノファイバー(CNF)の断面寸法は、産業上の主原料である針葉樹に限らず、草本類の麻や、木本と草本の中間的な分類とされる綿であっても、ほぼ同一の2~3nmであり、CNF1本(植物学上のミクロフィブリル、またはセルロースの結晶子)は、セルロース分子鎖18本で構成されるモデルが合致することを明らかにしました。これまでのセルロース結晶学では、樹木と麻・綿のCNFは、断面寸法が明瞭に異なり、別種の生合成機構が想定されてきました。この従来の理解は、これまでCNFを単離(孤立分散)させる技術がなく、複数の結晶子が合一したCNF凝集体を評価していたことに由来します。本成果により、高等植物であれば、木本と草本に差はなく、同様の機構で生合成していることが新たに想定されます。また、産業上も、樹木だけでなく、麻やエリアンサス、農業廃棄物等からも、均質なCNFを生産できることを本成果は示しています。

これでも難しい(笑)。そう思ったら、最後の列辺りだけを読めばいい。

高等植物であれば、木本と草本に差はなく、同様の機構で生合成している
産業上も、樹木だけでなく、麻やエリアンサス、農業廃棄物等からも、均質なCNFを生産できる

樹木だけななく、草本植物や農業廃棄物からもつくれるよ、ということだ。

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よくセルロースナノファイバーを説明する図として使われているのだが、これは樹木から取り出すような説明になっている。だが、本研究からはどこから取り出してもつくれるよ、質は同じだよ、ということがわかったのだ。

そうなると、わざわざ樹木を伐ってきて、細かくすりつぶして……という手間をかけずに、簡単に栽培する、いや草刈りするか、廃棄物を利用する方を選ぶわなあ。その方が安く原料を得られて経済的にペイする。価格も下がるかもしれない。

となれば、木材需要が増えるとか単価が高くなるとか、林業関係者が一縷の希望を託したようなセルロースナノファイバー信仰は崩れ去るのである。間違っても林業には寄与しない。

セルロースナノファイバーに期待を寄せるのは、合成樹脂とかガラス、金属、そして食品・薬品系の素材開発者業界だろう。プラスチックの中に閉じ込めて強化したものが、果たして環境に優しいのかどうか知らないけどね。

2025/04/17

木材のトランプ関税

林野庁のモクレポ4月号が出たが、そこにタイムリーに木材に関係する米トランプ関税および政策が記されている。

モクレポ令和7年4月号

トランポリンのごとく飛んだり跳ねたり落ちたり……のトランプの政策だが、とくに木材に関してはわかりにくいというか、情報がちゃんと出ていなかった。それを整理してあるので有り難い。

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対米の木材輸出入が示されている。額は25倍もの違いがあるのだが、輸出はたった56億円。スギ製材が半分を占めて27億円。
ただし、実は中国に輸出している日本のスギ丸太も多くが加工されてアメリカに輸出されている。フィリピン輸出分にもアメリカ行きがある。それらを合わせると、日本の木材はアメリカにもそれなりの量が渡っていることになる。だが、中国からアメリカへの輸出は、ほとんど無理になるだろうから、日本は中国への木材輸出も縮むのではないかな。その点を分析してほしかったな。

あと興味深いのは、日本がアメリカから輸入しているのは、木質ペレット(バイオマス発電燃料)と木材チップ(製紙用チップ)が多いものの、製材もそれなりにある。しかし私が注目したのは、「樽」だ。樽が42億円もある。これはジャパニーズウイスキー用なのだろうか。これだけで日本の木材輸出総額に近い。

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トランプ関税についての説明がされている。

ただし、この情報全体が「4月14日時点」なのだ。モクレポ発行直前までチェックしていたようである。よく頑張ったなv(^0^)
でも調査中部分もある。今後、トランプ関税に関わる部分だけでも、月一と言わず、速攻で出してもらいたいものだ。

とにかくブリコラージュ、朝令暮改だ。どんどん変わる。最初は、木材に関税はかからない例外扱いだったのだが、今やどうなっているのかわからない。相互関税10%には入ってるの? さらにアメリカ国内の木材増産令が、どのように木材価格に反映されるのかもわからない。

とりあえずトランポリンを注視するしかない。

 

2025/04/16

棚?極限のシェルフ

無印良品で見かけた家具は、面白いものがいっぱいある。

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これはエクストラ・シェルフと名付けられているが、ようするに棚である。移動できるのかラック扱い。

高名?デザイナーの設計のようだが、一見だれでも、とくに林業家なら自作できそうな構造である。丸太の輪切りや半割りを金属の骨組みに接続しただけではないのか? 

そういや、これまでも太い角材を置いて「ベンチだ!」という“家具”を見たことがある。丸太のタンコロの表面を磨いて置き「スツール!」と強弁した声もあった。

でも、こうしたデザインに価値があるし、それが高く売れることでもある。ン万円以上するんだよ。

誰でもつくれそうで、誰もやらなかった家具。言い換えればアイデア勝負。

我と思う林業家は、自らデザインのセンスを磨いて挑戦しないか。販売ルートなどをつくるのは大変だが、今はネット通販もある。職人的技術を磨く前に「アイデア」で戦える時代である。

とまあ、昨日完結した「半分、青い」(BS11)を見て思ったことだけどね(^_-)-☆。
私はこのドラマを、漫画からそよ風の扇風機まで、クリエイティブな活動の苦しみを描いた佳作だと思っている。

2025/04/15

ブリコラージュ~その日暮らしのトランプ

世にいう「トランプ関税」。世界中を相手に高関税をかけて自国生産主義を押し進める政策だ。

私は、どうせ1週間もしたら破綻すると睨んでいた。なぜなら、アメリカ企業の株価は暴落するだろうから。それが1週間も続けば持ちこたえられない……。ところが、13時間後に撤回した(笑)。半日しか持たなかったのだ。ただし株価ではなくて米債権の暴落=長期金利の上昇が引き金だったようだけど。
中国だけは145%の関税を残し、実質的に貿易を停止させたが、翌日には「スマホやパソコン、半導体製造機器は外す」と言い出した。輸入できなくて困るのは自国だったことに気づいたのだ(笑)。ところがまた日が明けると、今度は「スマホには別の関税をかける」と言い出した(笑笑)。よく言えばトライ&エラーだが、ようするに朝令暮改。

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これは政策の「ブリコラージュ」なのだと気づく。文化人類学者のレヴィ・ストロースが言い出した概念だ。

ブリコラージュ(Bricolage)は、「寄せ集めて自分で作る」こと。「器用仕事」とも訳される。ただ、具体的にはその場しのぎ。目の前にあるものを利用して辻褄合わせをする。わかりやすいイメージを探せば「ありあわせの料理」だ。冷蔵庫の中にある食材を使って、思いつきでつくる料理である。
レヴィ・ストロースは、未開社会の調査を行って、彼らが無計画的に動きつつ、なんとか完成・実現させる姿を観察した結果、この概念にたどりついた。トランプも、貿易赤字を減らす方策にすでにある「関税」制度を利用することを思いついたのだろう。その弊害は、後で考える。不都合が出たら、ちょこちょこいじる。

実は私も、ブリコラージュを経験している。ボルネオのイバン族の村に行き、そこで村民と日本人で水道を建設するというミッションに従事したことがあるのだが、オタオタした。まず湧き水から村までのパイプの引き方が、実にいい加減(笑)。結局、渓流ではなく池から引くことに。そして水のくみ上げるための櫓の建築も、木材を適当に切って、適当に合わせていく。ポンプも、まず設置してから上手く行かないと、調節しながらなんとか動くようにする。でも、水を流しながらパイプを切断したりするのだから、大騒ぎ。

10_20250415093701ボルネオの村にて

それでも形にするところがブリコラージュの面白さなのだが、これは小規模事業において現場の判断で行うものだ。指導者がやると、現場はついてこれず大混乱をもたらす。身近な例では、関西万博のリーダーがブリコラージュ的に事業推進したから、混乱を引き起こした。

朝令暮改、ブリコラージュは、「その日暮らし」とも言い換えられるだろう。
そこで思い出したのは『「その日暮らし」の人類学』である。

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小川さやか立命館大学教授の本のタイトル。

この本に描かれるのは、主にタンザニア商人の生態なのだが、計画的でなく、目先の商売や商品に飛びついてやり繰りするビジネスである。それが香港など世界的ネットワークで動いており、失敗もするが意外と上手く行ったりもする。
とはいえ、それは少人数小規模のビジネスだからである。世界的経済を動かす国家アメリカがやればどうなるのか。壮大な実験のように見えて、すぐ破綻するのは予測できるのだが……。この本のサブに「もう一つの資本主義経済」ともあるのが示唆的だ。

トランプは、政策を十分に検討せずにまずやってみる、それに齟齬が起きたら修正する、撤回する、また次の手を考える……をタンザニア商人なみに繰り返すのだろう。その日暮らし政策なのである。事前に結果を予測する声があっても受け入れない。トランプの記憶力は、一晩寝たら忘れるレベルだから、事前のブリーフィングが役に立たない(笑)。日本政府が、在日米軍にいかに金を払っているか、世界最大の対米投資をしているか、と訴えても、一晩寝たら「日本はアメリカを搾取している」と言い出す(´_`)。

今後、アメリカは「信用できない国」として世界中に刷り込まれるだろう。

とまあ、トランプの政策の幼稚さを指摘するのは簡単なのだが、私はあえてブリコラージュ手法に注目したい。もう一つの資本主義、強欲な計画的資本主義の代わりになる政治経済としてブリコラージュはどうだろう。

事前に計画を練って忠実になぞる産業ではなく、その日暮らしの産業が勃興する。

たとえば木造で建築する場合に、計画的にどんな部材が必要か、どんな品質の建材を何本調達するか……と考えるが、調達できない分はすぐに手に入る素材を使って建築する。使えないと思い込んでいた細い、短い、曲がっている材を活かした建築を行う。金具がなければ紐で縛る、セメントがなければ石を積む、石がなければ土を固める。屋根は樹皮か木板で葺こう……。そうしたら資源の無駄遣いを抑えられる。実は、昔の日本の大工はそうした建築を行ってきた。

よりすぐりの材料を計画どおり集めようと選別するから、多くの無駄を出す。余っているものを使う、使えないと思っていたものを使う発想を持てば環境に優しく、SDGsな展開が可能になる。

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なんかよくわからない、あり合わせの建築

ブリコラージュは、個人でやれば「職人芸!」と称賛される。ただ産業とするには、一工夫いる。そこで、職人芸をシステム化、その場しのぎをマニュアル化する。これぞポスト資本主義?

壮大な矛盾を含む概念だが、巨大産業の欠陥を補完しつつ環境負荷を抑えるには、一考に値すると思うのだが。

 

2025/04/14

Wedge ONLINEに「道路の横で街路樹が泣いている」を書いた裏事情

Wedge ONLINEに「〈道路の横で街路樹が泣いている〉根も張れない劣悪な成育環境 動物福祉もいいが、植物福祉の考え方も検討を」を執筆しました。

なんだかYahoo!ニュースの「桜危機」の記事と1日違いで内容もかぶっているように見えるが、こちらは随分前に書いた記事が今日アップされたのである。ただ街路樹には桜も多いし、だいたいどちらも人が鑑賞用?に植えた木という点では共通点がある。

実は街路樹に、私は大いなる関心を持っている。その現状に危機感もあれば、問題意識も強くある。森林ジャーナリストを名乗るだけに、林業ばかりと思われると困るのである(笑)。

どちらも人間が植えることの多い木であり、目的も景観が関わって似通っている。木と人間の関係を探るのにモデルとなりうると思っているのだ。ただ、最近は街路樹を観察すると、悲しくなるような姿が多い。

ボタニカルウェルフェア(植物福祉)とは、私のつくった言葉だけど、広がらないかなあ。

 

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2025/04/13

Y!ニュース「桜危機!高齢化に…」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「桜危機!高齢化に世話不足、そして気候変動が襲う」を執筆しました。

先日、吉野山の桜を見て歩いた話を書いたから、そうか、この記事を書くためだったのか、と思われたかもしれない。

残念ながら違う。ヤドリギなんかも見ちゃったし、何か書こうかな、と思って振り返ったところ、すでに記憶にあった桜祭り中止とか桜並木の伐採、開花乱れ…などのネタを抱き合わせたのであった\(^o^)/。

Yahoo!ニュースでは、この手の記事はアクセスも伸びないだろうし、稼げる期待はない。それならWedge on lineかpresident on lineの方が定額制でよいのである。それでも記しておくのは、存在証明みたいもなのか。つまりアリバイ工作(笑)。 最近、Yahoo!ニュースはコメントばかりで、記事は月に1本になってきているから。それに、すぐアップできるので時事的な話題に対応できることも強みか。

せっかくだから、吉野山で見た、桜以外の花を。

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ミツマタだろうか。花の多様性も増やさねば(^_^) 。

2025/04/12

吉野山余談~角と樽

吉野山で見てきたもの。それは桜の花だけではない。

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まず、こんなものを売る売店……というか露店があった。

シカの角。値段は……1万5000円! いやいや、よく見ると1万8000円、さらに3万円もあった!  安いのは……6500円。

こんなに差をつけますか。枝分かれの数によるようだが、毎年、枝分かれ数を増やすから年をとったシカほど高いわけだ。イヤイヤイヤロップイヤー、ムリムリムリカタツムリ、ヤバヤバヤバヤンバルクイナ……と頭の中で唱えたよ(´_`)ワカルカナ

しかし、角自体はシカが山に落とすものである。それを拾うだけ。いわば原価はゼロ。問題は、それを探す手間なんだが、1頭分のオスシカの遺骸があれば2本の角は採れるわけである。1万5000円なら3万円分になる。まあ、どこに落ちているかわからないから、偶然の産物に近いかもしれないし、必ずしも全部売れるわけではなくて、売れ残る可能性だってある。

使い道には、根付、ペンダント、ナンフの柄、帽子かけ、スリッパ立て……とあるが、やはり驚いたのは愛犬のおしゃぶり。そんな需要があったのか。イヌは鹿の角をかじりたくなるのか。何万円もするイヌ用グッズか。。。。と様々な気持ちが去来するのであった。ちなみに防止やスリッパ立てにするにしても高い。なお根付やナイフの柄にするには、プロ的な技術がいるなあ。

 

さて、もう一つは、吉野山にあった空き家。家そのものではなくて、窓に写るもの。

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これは……樽ではないか。吉野杉でつくられた樽だろうか。見たところきれいだから、中古ではなくて新品かもしれない。過去、この家の主が樽を扱っていて(つくっていたのか販売をしていたのか)、その在庫かもしれない。今は、この家に人の気配はないのだが、捨ておかれたというよりは、空き家を倉庫として使っている可能性もある。

こんな商品からも吉野を感じてみてはいかが。

2025/04/11

のら水仙を発見

山の中……と言っても道路に近いので草刈りなどの管理がされている場所なのだが……。

のら水仙を発見した。

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なぜか、スイセンが咲いている。これ、自生しているのではないよな。スイセンは通常は球根で増えるもの。分球していくのだ。だが勝手に球根 が遠くに飛んでいくことはない。

自家不稔性なので、自然交配して種子をつくることも少ないはず。種子が飛んできた……とは考えづらく、おそらく誰かが球根を植えたのだろう。

のらイヌ、のらネコと同じく捨てられたのだ(-_-;)。もしかして、次々と分球して増えすぎたけど、処分に困って山に植えたかな。捨てるのには抵抗があったのかも。わりと野生化しやすいようだ。
ただスイセンは、室町時代以前に日本に入ってきた外来種とされている。地中海原産。何代重ねても、よそ者扱いされるのだよ。

もし、スイセンはここで増え続けて、数年後には一面のスイセンとなり名所になったらどうする?

 

2025/04/10

覚悟の吉野山

昨日は、吉野山に行ってきた。

もともと吉野山の桜の写真を撮っておく必要があって計画し、余裕のある日と桜の開花状況を勘案して選んだのが、9日。だが、この日はトンデモであった。まず満開日(下千本、中千本)。快晴。そして翌日からは雨の予報。つまり花見の最後のチャンスになるかもしれない。

ここまで条件が重なれば、とてつもない人手が予想される。私は、そんなに満開でなくてもいいんだけどね……と思いつつ、覚悟して出かけた。

ただし、もはや車はムリ。近鉄吉野線もかつて経験のないラッシュ。通常人がよく降りる飛鳥駅でも降りる人はほとんどいない。みんな花見客なんだろう。終点までゴーだ。

吉野駅到達後はロープウェイの列が100メートルぐらいあって待つだけで1時間を越えそう。もちろん私は自分の足で登る。これも覚悟済み。撮影用にあっちゃこっちゃに寄り道しつつ、下千本、中千本、上千本まで徹底的に歩く。奥千本はさすがに諦めた。もともと桜は咲いていないはずだし、そんなに重視していなかった。こちらは秋にでも行けばよい。紅葉が見られるだろう。

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こんなもの序の口だわ。登る道が渋滞しているし、商店街も満員電車なみ。そこは歩行者天国だからいいけど、車やバイクの走る道は悲惨だ。何がって、歩行者が車を通してやらないから(笑)。ただバイクはブンブンとドローンのごとくふかすのが不愉快。そろそろ許可車両以外は通行禁止にすることを考えた方がよい。

面白いのは、沿線の家もみんな店開きしていること。通常は民家じゃなかったっけ、と思うところでも店になっている。そこで売る商品は何かはさておき、稼ぎ時なんだろう。外国人相手の店もよく出ている。これぞオーバーツーリズム?

いや、ここで考えたのだ。吉野山は、普段は閑古鳥……と言ったら失礼だが、まあまあエエカゲンな人手なのだ。秘仏のご開帳とか、何かイベントがないと、なかなか観光客は来ない。私は、静かな季節の温泉と寺社巡りも好きだが……。

だが吉野山の民は、1年を桜の季節の1週間で稼ぐ、と言われるほどなのだ。下から上、さらに奥千本まで含めたら3~4週間ぐらいは花見できるが、いずれにしろその間だけの大混雑。これをオーバーツーリズムと呼んではいけない。祭りだと思おう。

この時期に押し寄せる客相手に稼げ!稼いで稼いで稼ぎまくれ! 賑やかで普段会わない人との交流もできる。ほかの時期はのんびりやる。閉店してもよい。いや、そもそも店をやっていないか。花見時期だけの臨時営業だ。宿も営業は半分ぐらいでいい。

なんだか羨ましくなってきた。3週間で稼いで、後は遊んで暮らす(笑)。温泉に浸かり放題、地酒飲み放題……もちろん、桜の手入れはしっかりして過ごす。

年中ごった返して不平不満をぶつぶつ口にする京都人なんぞと違うのだ。

とはいえ、私も人ごみに酔って気分が悪くなった。結局、人の少ない方少ない方へと進み、はるか高見に……。

ここまで来たら人気はなくて、桜の花を独り占めだ。。。。

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いるやん (@_@)。この満開の桜樹の景色を独り占めして寝ている人が。やるなあ。

最後に、一応ステキな花の吉野山の写真も披露しておこう。

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別に、こんな写真を撮りにきたのではないのだ、と言いつつも、その場にいたら反射的にシャッターを押してしまう景観であった。

2025/04/09

吉野林業様変わり~驚いたのは…

先日訪れた吉野の林業現場では、驚いたというか、変わりつつある吉野林業を感じてしまった。

広がる伐採跡地。標高は800メートルを越えているようだ。

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ちょっといびつな形で連なるので、全体の面積を目測で読むのは難しかったが、おそらく10ヘクタールぐらいはあるだろう。ここはヒノキ林だったそうである。

ちょっと吉野としては皆伐規模が大きいかな、と思ったのだが、驚いたのはそこではない。

しっかり再造林している。いや、それに驚いたわけではない。当たり前だ。していなかったら驚くわ。

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切り株の配置を見ると、詰まっている。直径はそんなに太くないので60年くらいかもしれない(でもヒノキだからもっと長いか……)が、周辺には直径15~20センチくらいのヒノキ林も残されているんて、やはり密植した気配がある。

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さすが、よく手入れされている。いや、それに驚いたのではない。

驚いたのは、……跡地に植林するのがヘクタール当たり2000本だと聞いたことだ。

2000本! 九州などでは1000本、1500本が当たり前になっているのはわかっている。林野庁も、かつての基準だったヘクタール3000本植えから下げたことも知っている。

しかし。しかし吉野で2000本とは。かつてのように8000本、1万本を植えるのが無理になってきたと聞いているが、それでも5000本ぐらいは植えていると思っていた。これでは、育った後も吉野材にならないだろう。標高が高いから成長は遅くなり、年輪は詰まるかもしれないが……。

何も密植多間伐に縛られることはないにしても、2000本ねえ……。間伐もいらないかもしれない。伐期は何年に設定しているのか。

将来的には、どんな林業を展開するつもりなのか。いや、どんな吉野林業になるのか。一抹の心配を感じたのである。

2025/04/08

防腐木材の末路

久しぶりに訪れた我がタナカ山林。

普通ならタケノコ堀りを視野に入れるのだが、まだ出ていない。というかイノシシの荒らしがひどくて、もしかしたら食い尽くされたのか。。。昨年もそうだったから、見通しは暗くなる。

それとは別に、以前デッキを築いた現場を確認する。実は、数年前に撤去したのだ。かなり腐朽が進んでいたので天板を外して元の更地にしている。何しろ築いてから10数年。天板はツーバイフォーを使ったのでかなり厚みのある材だし、防腐塗料も塗ったものの、さすがにこの年月をすぎると寿命がきた。再び建設するかどうか迷っているが、しばらく跡地は放置して自然にもどしている。

ただ土台となる部分には、防腐木材を使っているから残っている。ホームセンターで売っている枕木である。

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これは再利用することも考えている。ところが……1本を引き抜けないかと思って揺すってみると……。

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崩壊した(゚д゚)。。。なんと、外殻以外はボロボロに腐っていた。

この木だけ腐るというのは、防腐処置がいい加減だったということか。もともとホームセンターに売っているような枕木は、芯の部分まで含浸されているのか怪しかった(残る土台も、芯部分に腐りが入っているものがある)が、まさか全体が腐り落ちるとは。

不良品だね。まさか10数年前に買った枕木が不良品だ、と怒鳴り込んでも相手にされないだろうが。それとも防腐していても10年も経ったら腐るものなのか。

 

 

2025/04/07

里山破壊から回復するまで

東京大学大学院の研究

20世紀初頭までの里山荒廃が 下流環境に与えた長期的影響を解明 ――明治以降の山地環境変化と土砂流出の関係―― 

これによると、1930年代まで続いた里山の過剰利用、つまり環境破壊の影響が60年経った1990年代まで続いていたことを土砂流出の点から明らかにしたもの。

これは大学演習林のある愛知県瀬戸市の白坂流域で観測されたもの。30年代には、すでに裸地面積が流域の8.6%だった。それが1965年頃まで8.011.3%の間を推移したが、1970年代に急激に減少し1980年代には数%以下となった……という点と、土砂流出量を重ねたものだ。ようするに過剰利用で失った森林が1970年代にほぼ回復したが、その後も土砂は流れ続けて90年代まで続いた……ということだろう。

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おそらく世間は、里山が自然破壊?と疑問を持つのかもしれない。里山は、人の活動と自然が上手くかみ合って、むしろ豊かな自然を生み出している……という言説が広がっているからだ。環境省も「SATOYAMAイニシアティブ」なんてのを世界に向けて発表している。里山のように上手く利用すれば、自然は守られるし、人も利益を得られる、というわけだ。

ところが、すでに20年ぐらい前から日本の里山は、全然自然を守っていなかったことが歴史的に証明されてきた。社叢、いわゆる鎮守の森も、明治~昭和までバンバン伐られていた。
里山は、どちらかというとはげ山だったのである。
私の地元の生駒山も、草山だった。木々はほとんど生えていなかった。そのほか、明治時代の写真で、里山が剥げていることは簡単にわかる。

この研究では、ようやく里山の破壊が治まって木々が生えてきても、土砂は流れ出ていたことを示す。表土が回復するのは緑の回復より約20年遅れだったわけだ。

私は、このところ人間の自然再生事業に懐疑的になっている。

今年になってからも、再造林の嘘くささを示した記事を書いている。

再造林すればいい、のか

ほかにも思い出すのは、アメリカのプレゼンテーション番組TEDだ。(いくつかのキーワードを打ち込むと、すぐに出てきた。最近の検索は進んでいる。)

TED日本語 - バーニー・クラウス: 自然界からの声

一度破壊した自然が回復するまでには、植林すれば早くできる、というものではないのだ。

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瀬戸市で万博が開かれた(2005年)海上の森。撮影したの2008年だから、里山破壊後100年ぐらい経っている。森の見た目は、ほぼ完全に回復している。だが、動植物の生態系や、土壌はどうだろう。

 

2025/04/06

大極殿のベンガラ赤

平城宮跡の大極殿。ここにはヒノキの大径木でつくられた柱が林立しているのだが……。

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外部(建物内部は、ガラス戸に守られている)の柱は、塗料が剥げかけていた。「手で触らないでください」と表記があるほど。

この塗料、大極殿の建設時に奈良時代に則して選ばれたはずなので、おそらくベンガラだろう。酸化鉄の赤色塗料である。ベンガラとはインドのベンガル地方から輸入されたからという説があるが、それは江戸時代以降の話。酸化鉄などどこにでも昔からあるので、古墳時代から使われていた。

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赤く塗られた古墳の中(福岡県の王塚古墳レプリカ)

ただし、酸化鉄か赤鉄鉱石などの鉱物をすりつぶしたのか、あるいは鉄バクテリアがつくったものか。土中の鉄分を参加してエネルギーを得るバクテリアのつくる赤は、今でも下水溝や山の掘削現場などで見られるから、すぐ採集できる。古代の日本ならこちらではないか。
ただ復原大極殿に使われたのは、何かわからない。鉱石をすりつぶした輸入品の可能性もある。

問題は、完成後十数年で剥げてきたことだ。そんなに長持ちしないのである。また塗り直すのだろうか。

赤く染めた部分を埋めてしまう古墳はともかく、古代の宮殿や寺院神社の赤も、常に剥げていたのではなかろうか。そういや、奈良時代、それに平安時代の建物は赤など極彩色の色合いだが、鎌倉時代以降は渋くなっていく。今では、木が時とともに変色した状態を「日本のわびさびだ」とか言って喜ぶが、古代の日本は中国的な極彩色が好きだったのではないか。

中国王朝を模した宮殿を赤く染める。
それが剥げて来る。
何度も塗り直すが、金がかかるので青息吐息。
そのうち放棄する。
渋い木の色がむき出しになる。
これぞ、和の精神・ワビサビの色だ! と唱えて納得する……。

こんな状況ではなかったのか。

いや、もっと昔まで遡ると、倭国は木の生成りの色を尊んできたのに、随や唐の影響を受けて、建物を極彩色に塗りやがって、こんなの文化破壊だ! と言った倭国の文化人がいたのではないか。倭の文化は、もっと素材を大切にするものだ。中国かぶれした貴族どもは売国奴だ、と政権批判をしたのかもしれん。まっ、それを言うと、古墳の石室やお棺の中を水銀朱で真っ赤にした歴代豪族も批判することになってしまうが……。

ともあれ、防腐剤としての塗料と、木の文化について考えると面白いかもね。

 

2025/04/05

もう一つの割り箸

割り箸評論家である私は、割り箸コレクターでもある。いや、割り箸でなくても木の箸を集めている。

とくに各地に出かけて道の駅などで地元の割り箸が売られているのを見つけると、つい買ってしまう。

先日訪れた黒滝村の道の駅でも、割り箸を見つけてしまった。黒滝村は吉野の一部だが、実は割り箸と縁が深い。そこにある割り箸は……いやいやいやいや、同じ吉野の割り箸は、もう段ボール箱からあふれるほど買い込んでいるではないか。これ以上増やしてはいけない。

もう、いいのだ。買わないのだ。どうせ同じ箸だろうし。。。。

でも見つけてしまった。

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見つけたのは、右側の天削げ。左のらんちゅうは、比較のため。こちらで24センチだったか。とすると右の箸は28、いや30センチ級。見た通り、でかい。これは菜箸か。いやいやいやいや割り箸だ。いちいち割って菜箸にするのも妙だから、やはり食べるときに割る箸なのだろう。

買っちゃった。

でも、こんなでかい割り箸をいかに使うか。食べるには箸の先でつまんだものを口に運ぶのは、結構大変になる。

コレクションだ。いっそ、50センチ、1メートル級の割り箸をつくれば、土産物に喜ばれるのではないか。新婚カップルが、お互いの口に運ぶ箸……とか能書きをつけたら、喜ぶ人もいる、はず。

単に長さを変えるだけで、特別な箸に化ける。でも、材料を集めるのが大変かもしれない。

2025/04/04

「反共感・非共感」の業界

イーロン・マスクは「西洋文明の根本的な弱さは共感だ」と訴え、他者に共感することの害悪を唱えたという報道は、一時期話題を呼んだ。

『反共感論』という本も出ており、人が他者に対して共感することを否定・批判する声は一定数いるようだ。

そりゃ、行き過ぎた共感が同調圧力となり、間違った行動を取ったり暴力を生むケースもあるが、共感そのものを否定してよいとは思えない。

しかもマスクは、自分が自閉スペクトラム症であることを認めている。この発達障害の一種は、対人関係が苦手でコミュニケーション困難のある症状を持つ。だから自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちを察したりすることが難しいのだ。言い換えると共感ができない・共感しにくい性格なのである。これを突き詰めるとサイコパスとなる。他人の痛みを共感するどころか理解できず、苦しむ様子を平然と楽しめる。

そんな彼が共感を否定しているというのは……。

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この話を聞いて私が思い出したのは、最近の進化論、とくにホモ・サピエンスの生き残りに関する仮説だった。

10万年程度前には、地球上に多くの人類がいたらしい。有名なのはネアンデルタール人だが、ほかにもデニソワ人など幾種類もの人類が存在した。その中でなぜホモ・サピエンスが生き残れたか。知能や体力で言えば、ネアンデルタール人の方が高かったという研究も出ている。大脳の大きさは我々を凌駕していたし、筋肉もたくましく、力が強かった。だが、弱い我々が生き残った。

その理由を「共感」に求める研究が最近増えている。ホモ・サピエンスは肉体的には弱かったが、他人への共感性が強くて、助け合いが行われた。集団も家族単位のネアンデルタール人より大きいな数十人の村をつくった。それが社会性を生み出して狩りによる獲物の確保や、氷期を生き延びる手立てとなったという。コミュニケーションの発達も知能を高めることにつながる。

集団生活によるコミュニケーションでは情報の交換と集積を強め、他者の行動や獲物の出現などの未来予測を可能にする。また共感するゆえに争いを減らし、攻撃性を弱めて個体数の拡大をうながす。

これは、人類だけでなく多くの動物にも当てはめられるようだ。

オオカミの攻撃性を弱め共感性を強めた遺伝子が、イヌを生み出した。それを動物の家畜化という言い方もするが、誤解を呼ぶ表現で、ようするに他者と仲良く暮らせる進化なのである。

実は人類も家畜化することで穏やかな社会を築いてきたとする。

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さらに『マザーツリー』で示されたように、植物だって助け合うことが知られてきた。異種同士が水や養分を分かち合い、敵に対処するというのだ。

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反共感論は、こうした人類進化の決め手を否定していることになる。

米・トランプ政権のメンバーは、概してみんな共感性が弱いようだ。トランプ自身は、共感性が弱いというより目先のことしか考えない・考えられない人間のようだが、未来予測ができない点では似ている。身の回りの人には共感し、今現在の状況には強く反応するが、遠くの人・将来の可能性には興味を抱かない人間だと思う。

米政権の「関税」政策が、今後引き起こす大混乱は、きっとアメリカ自身を痛めつけるだろう。関税で守られたアメリカの商品は、競争を失って進歩しなくなるし、世界中から反感を買ったからだ。

アメリカは、これまでも横暴な面もあったが、西側諸国内では最終的に「味方」してくれると思われてきた。それを破壊したのだから、もはや信頼を失ったことになる。一度失われた信頼感は、長く続く。仮に政権交代が行われても、すぐには取り戻せない。
もう、アメリカから武器を買わなくなるかもしれない。アメリカの重要な産業である軍需産業は痛手を受けるだろう。しかし信頼できない国の武器は購入できない。航空機も、自動車も買えない。

さらには基軸通貨としてのドルも危うくなる。最終的な決済はドルで行うという世界経済の常識は、アメリカが保証してくれるという信頼感で成り立っている。それがなけれはドルを使わない決済が今後広がるのではないか。

……と、アメリカの政策を論じてみたところで、最後に日本の産業界に当てはめると、林業・木材産業は共感が極めて弱い業界だ(笑)。

山主、素材生産業者、木材市場、製材業者、建築業者……いずれもお互いを信頼せずに、情報も交換せず、いかに他者を出し抜いて自分だけが儲けられるかを考えている。他者他業種への共感はなく、同業者もライバルとしか見ていないのではないか。業界の発展よりも自分ファースト。

ほれ、トランプ政権と似ているでしょ( ̄ー ̄)ニヤ。

2025/04/03

世界最大の無印良品と橿原書店

吉野の黒滝村に行ったのだが、そこで「橿原書店に『山林王』がいっぱい並んでいる!」と教えてもらった。

それは行かねばなりませぬ。そこで帰りに寄り道した。

橿原書店とは、イオンモール橿原に隣接したウェストヴィレッジにできた“世界最大の無印良品”店の中にある書店コーナー。

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この通りの巨大店舗だ。中も広いのは当たり前だが、ちょっと変わった配置になっていて、木育コーナーもある。

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橿原書店は、意外と狭かったが、品揃えが面白い。かなりマニアックもとい(^^;)セレクトした本が並ぶ。若干刊行年は古いが、こんな本が出版されていたの?と思わせるものもあるし、漫画本もこだわった選書。これ、感性が合えば楽しめるだろうなあ。とくに図鑑類や、木に関する本、家具、さらに椅子に特化したコーナーまである。

さらに書店の区切りを超えて、店内各所にブースが設けられているなど、本を無印の品揃えの一つと捉えているようだ。

そして、私が探していたのは……。

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ありました。2か所に。こうした奈良人に選書してもらい、プレゼント用のラッピングもしている。

書店子に声をかけようかとも思ったが、ちょっと誰が担当かわからない。今回は遠慮しておきました。

編集者に「奈良では売れている」と言われる(涙目)が、奈良から全国に広げるのだよ。黒滝村でもサインを求められて感謝感激。

それと、実はテレビ番組製作会社からも接触があり、吉野山の桜を取り上げたいが、土倉庄三郎について……と聞かれた。こちらは、改めて内容が固まれば紹介したいが、私の元には、ちょっと『山林王』ブームが来ているのだよ。

2025/04/02

Y!ニュース「山火事は減少していた!…」を書いた裏事情

本日、朝のラジオに出演した。

TOKYO FMの「Blue Ocean ブルーオーシャン」という番組である。MCは住吉美紀さん。

9時半からのコーナーで山火事について語ってくれというので、電話出演したわけだ。「山火事波多津の理由は」というのである。

そこで「いや、多発はしていませんよ」と応えたのだが、それで、おお、これをYahoo!ニュースの記事にしてみるか、と思いついたわけ。
事前に打ち合わせで、何を話すか考えていたのだが、そのおかげで内容が固まっている。これなら書けるぞ。

かくして執筆したのが「山火事は減少していた! 減ったために大規模化した可能性」なのだった。

もちろん番組は5、6分の出演だったと思うから、十分に話せたわけではない。そこで記事では深掘りをしつつ、ある程度推測や自身の思いも込めて執筆した。ラジオで思いつきを話すと危険だからねえ。
でも自分の文章なら、「ここは推測です」とはっきり記せるし、誤解する人がいても私の責任で対応できる。

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もっとも、ああだこうだ言わなくても、このグラフを見れば一目瞭然ではないかねえ。

 

2025/04/01

森林が吸収するCO2…排出はどうなの?

こうした記事はよく見かける。今回はウェザーニュースである。

森林はどのぐらいの量のCO2(二酸化炭素)を吸収しているの?

なかなか面白いグラフなのだが…。日本の照葉樹林は、タイの熱帯季節林より多いわけね。

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森林別の吸収量は、シベリアのカラマツ林よりインドネシアの熱帯雨林の方が多いというわけだ。ここで記されるのが「純一次生産量」という言葉。説明では、「ある期間内に光合成で生産された葉や幹などの有機物量と同時期に枯死した有機物量を足し合わせて求める」とある。

光合成で生産した量はわかるが、枯死した量も足すわけだ。まあ、枯れても炭素の塊だから。で、呼吸量は?分解量は?

それをどのように計算しているのか示されていない。植物も呼吸してCO2を出すが、それは生産量に内包されているのかな。
また「ある期間内」に枯れ葉や枯れ枝は分解するのではなかろうか。微生物に分解されたらCO2を出す。とくに熱帯雨林だと馬鹿にならない分解量だと思うのだけど。実際、熱帯雨林の土壌は、ほとんど腐葉土がない。

1本木樹木だと、生産だけでもよいが、森林と言えば林床の土壌も含めるだろう。その空間全体の炭素の出し入れはどうなるんだ。

そこまで計算に含めているのか、ちょっと不明だな。
純一次生産量には、吸収と排出の差し引き量と考えるべきなのか、それとも生産だけで、消費する分は無視しているのか。

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スギの有機物生産量も示されている。

誰か教えてくれないかなあ。

 

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