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森と林業と動物の本

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2025年5月

2025/05/31

『共存 克服 花粉症』の描く林業

『共存 克服 花粉症』(上毛新聞社)が届いた。

群馬県の新聞で長期連載した花粉症に関する記事を総まとめした本。私は、取材を受けたことがあるからの献本だ。

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内容は…まだちゃんと全部読んでいないので…(^^;)。まともに評することはできないが、私のインタビューが載っているということで紹介。

私が上毛新聞の取材を受けた話は、別に書いた。

謎のハイブリッドグマ

今読み返すと、全然花粉症の取材とは書いていなくて、地方紙の若い女性記者と話をした、クマの話で盛り上がった…って、オヤジ的視点になっているが…。改めて言います。この取材は上毛新聞で、テーマは花粉症と林業だったのです!v(^0^)

ただ、私が話した内容は、花粉症ではなくて現在の林業の問題点だった。そして、この本全体とくに前半は、花粉症を通して日本の山林を、現代林業を語っているように思える。

目次はないので紹介文。

くしゃみの先に見える、日本の今―。

スギ花粉症患者が国内で初めて確認されて60年たった。「かゆい」「鼻呼吸ができず苦しい」「顔のパーツを取って洗いたい!」と嘆くご同輩ばかりだろう。

でも、ちょっと待ってほしい。そもそもなぜここまで花粉症患者は増えたのか。低年齢化はどうして進んだのか。今や「アーミッシュ」も花粉症になるのは真実か。ちまたにあふれるその「花粉症対策」は、本当に大丈夫なのか。最大の花粉症アレルゲンであるスギやヒノキの人工林が抱える構造問題から、ヒト自身の体の変化までを追い、真の対策に迫る。


藻谷浩介(地域エコノミスト)/田中淳夫(森林ジャーナリスト)/小塩海平(東京農業大教授)/松本健治(国立成育医療研究センター免疫アレルギー・感染研究部長)/中川恵一(東京大特任教授)/高橋久仁子(群馬大名誉教授)/ユウ(サクラチェッカー開発者)/近藤健二(東京大大学院教授)/坂口志文(大阪大栄誉教授)/大久保公裕(日本医科大大学院教授)の各氏ほか多数の関係者に取材。解説に代えて仲野徹氏(大阪大名誉教授)にインタビュー。

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私のインタビューの一部。

全国的に取材しているから、群馬県だけでない全国の山林の動きを紹介している。現代の林業の課題を知る入門編にもなるかもしれない。

私自身は、花粉症はスギ花粉だけの問題でなく、日本だけの問題でもなく世界的な課題であり人類的な課題で、今に始まったことでもなくて、おそらく旧石器時代からあったんじゃないかという仮説を持っているぐらいである。林業と結びつけることも適切かどうか。

また花粉症対策も、これまで言われてきたことへの異論も紹介している。洗眼したってダメかもしれない。またアーミッシュ(アメリカの中世的生活を送る人々)も花粉症になるという点も面白い。

花粉症を通して見る林業と自然の本だと思って読むのもよいかもしれない。

2025/05/30

あんこ放浪記~アズキは日本生まれ!

最近、あんこに凝っている。そう、食べる餡、あんこ。「あんこの入ってない政策」だとか「アンパンマン」とは関係ない。

以前はあんこがをそんなに好きではなかった。和菓子も好みではなかった、はず。
なのに、なぜかふと気になって美味いあんこを探し出した。あくまであんこなので、どら焼もおはぎも興味はない。あんそのものの味を求めている。あえて言えば、きんつばぐらい。朝ドラ「あんぱん」は関係ない。これが始まるより前からだ。だいたいあんぱんは好みではない。やはり高級和菓子店のあんこは素晴らしいものがある。いや、和菓子屋の市販あんこにも好みの合うものがあった。

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面白いのは、パッケージ表示の原材料の部分を見ると、アズキより砂糖の多いものが少なくないこと。輸入する加糖餡もあるそうだ。そこにさらに日本で砂糖を添加するとか…。つまり砂糖を食わされてしまう。そうではなくてアズキの味を。甘さ控えめであんにしたアズキを探す。娘から「太るぞ」と警告を受けたが、美味いあんこは太らない、と信じてる。(信じたい…。)
そのうち、自分でアズキからのあんこづくりに挑戦するかもしれないが、素人が少量つくってもダメなのはわかる。

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さて、ここまでが前振り。実は「Science」誌に「アズキは日本で生まれた」という論文が載るらしい。その一報を旧Twitterで流れたから。

アズキのような農作物の原産地は、たいてい中国大陸だと思っていたが、遺伝子解析と、アズキとその原種ヤブツルアズキの系統を調べると、アズキの起源は縄文時代の日本だということになったのだそう。詳しい手法などはこちらを。

日本におけるアズキの単一栽培起源と栽培遺伝子の進化

米より、つまり稲作よりはるか前に縄文人はアズキの原種を栽培して、ちゃんとアズキに品種改良(というのかな)して収穫していたというのだ。場所的には、北関東から南東北辺りで、ざっと4000~6000年前とのこと。その頃の北関東では縄文遺跡が多く見つかっていて、大型化したアズキの種子がいっぱい見つかるそうだ。遺伝子と考古学の合体で確定したわけである。
さらに驚くのは、その栽培アズキが中国大陸に渡って広がったという点。そうか、中国のあんこも日本起源なのか… (゚o゚;) 

縄文人が米栽培を始める前からアズキを食料としていたわけである。アズキ、あんこではないが、侮りがたし。

Scienceads2871fa論文より

ちなみに報告者は、農業・食品産業技術総合研究機構遺伝資源研究センターの内藤健氏。論文の筆頭は、Chih-Cheng Chien氏となっている。国立台湾大学生態進化生物学研究所の人だが、漢字表記はわからない。

まあ、こんな話で驚いたり喜ぶのは、ごく一部の人だけだと思うが(笑)、私は感動した。

ちなみに米は、中国南部原産である。米不足になったら、アズキを食え、なんてね。

 

2025/05/29

蔓植物の意地と消えた黒金魚

先に支柱もない天を向けて、ヤマイモの蔓が伸びていく様子を紹介したが、その際は蔓は力尽きて? 途中で折れて下に垂れ下がった。

その後、何が起きたか。再び下から天を、上をめざすのか。と思っていたら。

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意外な戦略。なんと蔓が枝分かれしたよ。下に落ちた蔓はもう捨てて、途中から分岐した新しい蔓が上をめざしだした。それも一か所ではない。幾本も新たな蔓が伸びている。

ちょうど地際で切った蔓もあったのだが、そちらも同じ戦略。

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切った少し下から分岐して、新しい蔓をつくっている。

いやあ、植物の戦略は面白い。一度失敗したら復活しない。リカバリーよりさっさと新しい戦力を養成する。なんか人間社会に当てはめると寂しさもある(^^;)のだが、その方が有利となるのだろう。もっとも、新しい蔓も、支柱がなくなったら伸びられないのだろうけど(´_`)。

 

ちなみに池の金魚も面白い。こちらも以前、黒い金魚が登場したことを紹介したが……。

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ところが、この金魚は化けた。

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このとおり、普通の赤い金魚になってしまった。かろうじて背びれの一部に黒い斑点が残っているが、いつまであるやら。おかげで今年誕生したかに思えた4匹の金魚は、みんな赤くなってしまった。やはり黒では仲間外れにあうのだろうか。赤の方が有利? 生き残る戦略として、体色を赤にするのかもしれない。

遺伝の発現というのは微妙なものなのだ。

 

2025/05/28

『木に「伝記」あり』イチョウ巨樹の物語

木に「伝記」あり」(瀬田勝哉著 朝日新聞出版)を拝読。出版後(4月)、すぐに購入して、すぐに読んだのに、今頃になって紹介する。

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この本は、不思議が詰まっている。瀬田氏は歴史家で、歴史を樹木から読み解く研究をしており、以前から日本の森林史などを知るためにいろいろ読ませていただいているのだが、今度は一本の木、イチョウの大木の伝記なのである。

紹介文を張り付けよう。

ある日、著者のもとに植物学者から共同研究への誘いの手紙が届いた。全国の巨樹イチョウを調べているが、中国・朝鮮半島から日本に渡来した時期を科学的な根拠によって明かしたい、歴史研究者のあなたの協力を得たい、という。 
植物学者の圧倒的な熱意に衝き動かされた著者は、ここからイチョウの史料調査に正面から取り組む。記録、古文書などイチョウに関するあらゆる文献を求めて全国を歩くなか、ある郷土史家が残した一冊の本に出会う。 
そこには江戸中期、将軍吉宗が引き起こした美作国・菩提寺のイチョウにまつわる村の大事件が記されていた。イチョウ関係でこれほどの古文書は世界を探しても他にないだろう。それはどんなイチョウか。また稀有な資料を書き写した郷土史家とは。
歴史研究者が綴るあくなき史料探求の道。

私も、この最初の部分、イチョウが日本に渡ってきた時期を探る(そのためにイチョウが登場する古文献と、巨樹の樹齢から推定する)という試みに心動かされた。その手紙を送った植物学者のは堀輝三氏。

たしかにイチョウの巨木が全国にある。わりと巨木になりやすいのだ。樹齢も500年を超えるものがあれば、室町時代まで遡れる。これは、面白くなるぞ! いったいいつ、イチョウは日本に渡来したのか…。

そうした中で著者は、全国のイチョウの巨樹を調べだすのだが、そこで岡山県の「菩提寺のイチョウ」に出会う。それがすごいのは、江戸時代にあった事件の記録が詳しく残されていたから。

その内容が驚く。ご神木とも言えるこのイチョウの木の「摺り木のごときもの」を切って送れ、という命令が出たのだ。誰から?幕府の将軍から! 摺り木とは、イチョウが大木になったらよくできる垂れ下がった、植物的には気根なんだろう。よくこの部分を乳と評され、その垂れ下がった部分から滴る水を飲むと乳の出がよくなるという言い伝えと信心がある。しかし、どこの地方でも、そんな信心があるわけではない。それに地元の村にとってはご神木に傷をつけることなど…。

しかし、徳川将軍の命令である。享保5年。徳川吉宗である。暴れん坊将軍である。

代官も必死だ。何がなんでも切らさねばならない。伐採ではなく、一部の切り取りなんだが、やはり村は抵抗する。

だからこそ、さまざまな文書が残されたわけだ。私は、なぜ将軍が? と興味はそちらに行く。

……だが、わからないのである。謎のまま事態は展開し、そもそもこのイチョウはどんなイチョウだったか、さまざまな史料を漁っていく。現代まで続くイチョウの来歴。それが「木の伝記」になる。

おいおい、イチョウの渡来はどうなった、将軍の目的はなんだった、と疑問が疑問を呼び、置いてきぼり気分。

しかし、史料から浮かび上がるイチョウの姿。これは、私も機会をつかまえて訪ねてみよう。この「菩提寺イチョウ」は、現在の奈義町か。何度か近くまで行ったことはあるのだが、そんなイチョウがあるとは知らなかった。

一方で、巨樹としてのイチョウは、何かと面白い。基本、イチョウで森をつくらないし、自生もしないから、誰かが植えた例が多いはずだが、人と木の関わりが浮かび上がる。。近畿に巨樹が少ないというのは、都人にイチョウが嫌われたからかもしれない。あるいはイチョウの材が人気だったからか。

もしかしたら森と木を語る上で、盲点のように見過ごしていた木かもしれない。

 

2025/05/27

草抜きは土壌環境の破壊!

そろそろ庭に雑草が目立つようになってきた。庭木や畑はある程度いいのだけど、歩くスペースに雑草が繁ると困る。

そこで草抜きをするわけだが……ここで草を抜くことが次の草を生やすのではないか、と思いついた。草は根こそぎ取らないと、すぐにまた生えてくるとよく言われるのだが、根こそぎ抜くと土壌を引っくり返す。耕したも同然。すると柔らかくなった土壌に適合する早生の草が生えてくるお手伝いのようになるのではないか、と。

土壌は、さまざまな生物が共生して作り上げる自然環境だ。また土そのものが植物とともに物理的環境を作り上げている。そこにさまざまな草木が生えることでお互い牽制し合い、繁殖を抑える。それなのに草抜きは、土壌環境を破壊してしまう。それが土壌生物を殺すかもしれない。せっかく有機物を分解していたのに止まってしまう。あるいは柔らかくなった土が雨に流される確率も増えて、土壌を流亡させる。

それを破壊することは、生態系を狂わせ、一部の植物だけ大繁殖を招きかねない……。しかも跡地には、早生である場合の多い外来植物の侵入を許すのではないか、と考えたのである。

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セイタカアワダチソウにウスベニチチコグサ、キキョウソウ。と検索で出た。ほかヌスビトハギやハルジョオン。いずれも外来種。

そこで私は草抜きをせず、せっせと園芸用ハサミで茎を切断することにした(^_^) 。まあ、庭という狭い空間だから、これで間に合う。

雑草を根こそぎやっつけようとするのは、はてしなき戦いだ。むしろ雑草をしつける( ̄^ ̄)。高く背を伸ばしたら切られるのだよ、地面すれすれに葉や茎を広げるのなら「見なかったこと」にしてやろう、と草に“教育”する。この教育には根気がいるが……。
背が低い草ばかりになれば、こちらも歩く邪魔にならないし、むしろ芝生のようになって快適になる。

実際、奈良公園では、伸びた草はシカに食われてしまうので、背を低く育つことを覚えたという。小さく背の低いまま花を咲かせ種子を実らせるのである。これを進化とか適者生存と呼べるのかどうかはわからないが、環境に適応するのである。

これを庭でもできないか。もちろん奈良のシカのように1000年かけて築けるわけではないが……。

そういえば、除草剤は土壌を守るために開発された、という話を聞いたことがある。欧米では草抜きをすると土壌が乾燥して傷むそうである。一部の草を選択して枯らす方が土壌のためにもよいらしい。もちろん人間の労働を減らす効果も大きくて、それで普及した面もある。

 

2025/05/26

野良バラ

この写真は、我が家の玄関前に咲いたバラの花である。

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これを「野良バラ」と呼んでいる。野ばらじゃないよ。

なぜなら植えた記憶がないから。でも、昨年ぐらいから咲きだした。全然世話もしていない。

まさかバラが種子を飛ばして勝手に生えるとは考えづらいので、おそらく父が生きているときに植えたのだろうと思う。ただ花は咲かなかったようだ。それが、放置したままなのに咲きだした。

と言っても、そんなに生育環境は良好ではないので、元気に成長しているとは言い難いが、とにかく花を咲かせているのだ。これって、枯れる前の断末魔か。いや花を咲かせることは植物に体力がある証拠ではないか。

そう思いつつも、深くは考えていない(^^;)。今後も、さして世話を見ることはないかなあ。むしろ、ほかの木を植え直そうかと思う。あまり玄関先としては似合っていないのだ。バラは1本だけ咲いても絵にならない。

でも、まあ、野良で咲くバラを愛でる面白さもある。このまま野良のたくましさを出してほしい。

とりあえず花は、このまま散らすのも残念だから、切り取って部屋に活けることにした。

 

2025/05/25

謎!大屋根リングの木材

万博の大屋根リング。今度はユスリカの大発生など、相変わらず話題を提供し続けているが(^^;)、少し根本にもどりたい。

大屋根リングの建設に関しての木材調達は、私が2年前に調べたところ柱部分がフィンランド製の集成材だった。国産材は福島や高知から調達して、CLTとして屋上部分に使うとされた。

関西万博の大屋根リングの木材は、再利用できるのか

ざっと7割が外材となる。これは、各種の公式HPに掲載されている木材調達量から計算したのだから間違いない。

ところが、その後万博協会側が(今年2月の日刊現代の記事をきっかけに)反論し始めた。それによると7割がスギ、ヒノキの国産材だというのである。それを公式HPにも載せている。

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果たして私が取材時とは事情が変わったのか? 国産材を増やせたのか?

しかし、リングを見ればわかるとおり、木材使用量の大半が柱部分だろう。ここに国産材を使わねば7割には達しないはず。それは可能か?

私自身、訪れたときにリングの下や上から見える部分を確認したが、どう見てもスギやヒノキに見えない。マツ材ぽい。つまりオウシュウアカマツではないか。フィンランド製ではないか。もちろん私は全区域の柱を確認したわけではないから、部分的に国産材の柱だったということはあるかもしれない。一部はスギの集成柱、一部はヒノキの集成柱……という建築は可能なのなのか。強度の違う木材を混ぜて柱にしたら、リング全体の構造上の安定は保つのはむずかしくなるように思う。そんな使い方をするだろうか。(施工したのは3つのゼネコンで、工法は担当ごとに微妙に違っていたと聞く。)

木材の木肌から確実に樹種を見分けられるという絶対的な自信は、私にはないけれど、どうしても納得しづらい。

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一方で屋上回廊部分は、たしかにスギやヒノキ材を使っていた。CLTだけど。

誰か、木材の見た目で樹種を特定できる方の中で、リングの柱の木材をチェックした人はいませんか。もし私の目が間違っていて、「たしかに柱にもスギ材が使われていた」というのならよい。しかし、柱部分に国産材を使っていないのに「7割が国産材だ」と言い張るのなら、どこに使ったのよ……と思うのだ。

もしかして、国産とは国内工場でつくった、という意味ではないか? 外材のラミナを輸入して日本で集成材にしたものを加えて7割だと言っているのではないか? 国産材と外材を混ぜてハイブリッド集成材をつくる可能性はあるのだろうか……。
公式HPの情報を丸ごと信用する気になれない。2年前の各種情報をどこで塗り替えたのか。

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現在、閉会後のリング木材の再利用やリングの一部保存が検討されている。しかし、その前に木材の樹種をはっきりさせてくれ。万博のレガシーと訴えてオウシュウアカマツ材を飾るのはいかがなものか。スギのCLTだって、その上を何百万人も歩いたら、すり減って再利用は厳しいかもしれない。

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リング上のスカイウォーク。自律歩行するロボットではなく、足元の床の木材を見てほしい。

 

2025/05/24

天に伸びる蔓

庭の、多分ヤマイモの蔓がどんどん伸びる。支柱を登り切って、さらに天をめざす。

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さて、どこまで伸びるか……と楽しみにしていたのだが、翌日見るとへたっていた(-_-;)。

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もうちょっと頑張ってほしかったなあ。我が身を支える他の樹木や支柱なとなくても、自らの力で天をめざすのだ……!と一瞬期待したのだが。

まあ、蔓植物の宿命みたいなもので、他者によりかかることで自分を高身に伸ばす生存戦略を選んでしまったのだから。しかし、下を向いた蔓はまた匍匐しながら次のチャンスを狙うに違いない。そして高見で太陽光をいっぱい浴びて、光合成をいっぱいして、それを地中の芋に蓄える。そうなれば……私は掘って食う(^_^) 。

2025/05/23

おバカ?「選挙ポスター掲示板への木材利用状況調査」

いやあ、オモロイというかおバカな調査を林野庁はたまに行う。

今月のモクレポ(5月)では、「選挙ポスター掲示板への木材利用状況調査」というのをやっていた。

まあ、たしかにもうすぐ参議院議員選挙だし、都議選もあるし。。。おそらく、近来にない人数の立候補者数が予想される(ようするに選挙をオモチャにする連中が、最近はウンカのように湧いてくる)から、選挙掲示板を大量に用意する必要が生じているし、そのための使用木材量は馬鹿にならないだろう。

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要約すると、回答があった1227市区町村のうち42%の市区町村で、国政選挙や地方選挙の選挙ポスター掲示板に木材を使用。
「木材を使った」と回答した517市区町村のうち、国産材を使っているのは53市区町村(市区町村産材や都道府県産材を使っているのは44市区町村)。
合板用素材の入荷量が多い県の一部(岩手県、秋田県など)において、地元産を使っている市区町村が多い。

掲示板に使われる木材とは、ほぼ合板だろう。国産合板も増えたとはいえ、見た目は輸入合板と区別がつかない。それに合板用に使われる木材(B材)の価格は安い。それが売れることを山元は喜んでいるのか。そもそも需要を後押ししなければならないほど売れていないのか? むしろB材需要は増えているように思うが。また外材の合板はどうなの? 掲示板は一度で廃棄するのではないと思うが、リサイクル率は? とまあ、いろいろ考えてしまう。

それにしても木材を使っているのは約4割で、使っていても市町村の選挙担当者の89%は、木材産地を知らないわけだ。外材か国産材かの区別もつかない。その時点で、この調査の意味が迷走してしまって、おバカになる(笑)。

でも、林務関係あるいは環境関係の部署以外の課員は、木材を使う意義とか木材の産地なんて考えもしないのが普通だろう。

結論としては、こんな具合。

・ 国産材を原料とする合板(国産材合板)による選挙ポスター掲示板が、徐々に使われるようになっています。
・ 選挙ポスター掲示板をはじめ、国産材の利用は、木材の販売収益を森林所有者に還元することで、持続可能な森林経営を可能とします。
・また、多くの市町村では、「都市の木造化推進法」に基づき、木材の利用の促進に関する方針(市町村方針)を定めていただいており、選挙ポスター掲示板への国産材利用は、この市町村方針の達成にも貢献するものです。
・選挙ポスター掲示板の発注に当たっては、是非、国産材合板をご検討ください。

でも、まあ、私はこんな調査好きだよ\(^o^)/。

2025/05/22

我がアジサイ苑計画

我が家の庭にアジサイを植えて3年くらいか。かなり大きくなって、今年こそ花爛漫……になることを願っている。

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まだ花は咲く一歩手前だが、雰囲気は初夏の色合いである。

ただし、あまりに枝を伸ばして育ちすぎると周りを圧迫する。そこで多少の剪定を行った。横に伸びた枝を切り取るのだが、それを捨てるのではなくて、水に指しておいた。そして元気を回復した頃を見計らって……山に移植する。タナカ山林である。

タナカ山林には、10年以上前に植えたアジサイが大きく育っているが、最近は少し回りの木々が繁ってきたせいか押され気味。アジサイの周りの草木を伐採したり刈り取っているが、同時に次の世代も育てる計画だ。

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植えたばかり。雨が降りそうな日を狙い、植えた後はペットボトルで水やり。でも、土壌が悪いなあ。石が多いし、粘土質なんだけど、水はけが良すぎるように思う。でも、肥料を撒くと、動物(多分、イノシシ)が掘り返しかねないので我慢。

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これは2週間前に植えたもの。なかなか元気だ。根付いたか。

こうしてタナカ山林をアジサイ園にするのが目的だ。山を少しでも美しく、ガーデニングである。木材生産をするつもりはない( ̄^ ̄)。
これからの森林管理による生産物は、花である。木材なんぞはコスパが悪い。花は、ほぼ毎年咲いて価値が生まれる。(私は売り物にしないが)花を売るか、花を見せることで料金を取った方が、確実に儲かるだろう。そうでなくても、人を呼ぶには花! 人は花にたぶらかされる。花が咲いて美しい森は破壊しようとしない。

いかがかな。後に続く林業家はいるだろうか。

2025/05/21

gooブログの終了

昨日、「goo blogサービス終了のご案内(2025年11月18日)」というのが届いた。

gooブログが、今秋に閉じてしまうということだ。

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覚えておられる方がいるのかいないのか、私は最初、gooでブログを開始したのだった。ブログが流行り始めた頃に、私も新刊を出版したので、その宣伝になるのか、いやその前にブログなるものがどんなものか確かめてみようという実験的な気持ちだった。

調べてみると、2005年の6月3日だった。

こんな感じ。

これから恐る恐るプログをスタートします。
テーマは、これから出版する拙著『だれが日本の「森」を殺すのか』に関する情報。
もともと自前のHPで紹介するつもりだし、そこに日誌的な「生駒通信」もあるのだけど、今時流行りのプログなるものを試してみたいと思い、別途始めることにしました。

とりあえず、こちらではこの新作の周辺情報や裏話を中心に書いていきます。いつまで続けるかって? そりゃ売れなくなるまで(^^;)。まあ、期間限定になるだろうけど、始めてみます。

ちなみに、発行予定日は6月13~14日頃ではないかと思います。手元には見本誌も届いていませんので、私も表紙デザインさえ知らない。

 

期間限定になるだろう、と記していますな。それから20年、続けてます(笑)。

それも、ほぼ毎日ではなかろうか。最初の頃は日曜日は休もうとか、正月7日間は書かないで置こうとか、いろいろ決心したはずなのだけど、書き出すと日々のリズムがあって、下手に休むと書けなくなる。むしろ毎日ネタを考えている方がよろしい。というわけで、続けている。まあ、海外旅行に行ったり、たまには休むが、その時は今やSNSにちょろりと書くようになってしまった。

その後、使い勝手の悪さからココログ、つまり現在のNIFTYのブログに移ったのだが、gooブログはそのまま残しておいて、どーでもよいことをたまに書くようになった。タイトルも「森林ジャーナリストの裏ブログ」と変えた。

森林ジャーナリストの裏ブログ 
表ブログに書けない、書く必要もないドーデモ話をつらつらと

さて、それが閉鎖されるというのである。最近はほとんど書き込んでいないというものの……書くのは本当にドーデモ体験談である。ゴジラ映画や谷山浩子のコンサートの感想とか(笑)。

しかし、実はそれなりに利用価値がある。それは、当時の発想や情報のメモになるからだ。思いつきであっても、何かの森林関連ニュースに触れて、こう考えた、こんなことを思いついた、と記しているから、日記以上の思考メモになっている。検索すると、ヒットすることもある。

つまり、私の知恵・情報の倉庫として扱ってきたのだ。それは現在のココログも一緒だが……。ときに依頼原稿のテーマが決まらない時に、古いエントリーを見返して、なるほど!と思ってそこから記事を書くこともある。自分のネタをパクる\(^o^)/。

だから他人に見せるのではなく自分の記録用としての価値が大きい。なくなると困るし、何よりも自信の日記を廃棄されてしまうような感覚だ。どこかに移設するか、ファイルにしてパソコンに取り込んでおくか。コメント欄はどうなるのか……。考えると難しい点がいろいろ出てくる。

どうしようかな。

最近のグーグル検索では、ブログを後回しにするアルゴリズムが組まれているそうだ。だから外部からヒットして入ってくる人も減っていると聞く。ブログ全盛から凋落の時代なのだ。しかし、私的にはブログが記録にはもっともよろしい。

SNSは、自身の書いたものがどこへ行ったかわからなくなったり、完全に消えてしまうこともある。奇妙なコメントが殺到することもある。一覧を見ることも難しい。

というわけで、ココログはまだまだ続く。(ココログが閉鎖になったら悪夢だ。)

2025/05/20

太っ腹?イオンの木育広場

以前も本ブログで触れたが、各地に木育施設が誕生している話の中で、イオンモール四條畷に木育広場をつくるらしいと紹介した。

木育流行り

このほど訪れたら完成オープンしていた。

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見たところ、使われているのはスギ材。だが驚いたのは、その広さだ。一階のかなり広いスペースで展開されていた。ここにテナント入れたら5つぐらい入りそう。なかなかオシャレなつくりで、その気になれば100人ぐらい子供たちを遊ばせられるのではないか。

そして、無料なのである。正式名称は「なわてmokumokuひろば」。

何もテナントが抜けて空きスペースに臨時につくった代物ではない。そこそこ金もかけたのだろう。それを無料で親子は好き放題入って遊べる一応対象年齢は10歳までとあったので、私は遠慮した(^^;)。誰かの親のふりをするのも憚られたので。

なぜ、このような施設を設けたのか。テナントを入れなくてもよいという経営判断はいかなるものか。子供が無料で遊べる場所を提供することで、親子連れがわんさか来て、モール内で買い物をすればお金が落ちる……普通に考えられるのは、そうした想定だろうが、それだけで、こんな広い場所を提供できるのか? 
もともと、モール内には各所に子供向きのコーナーはある。ゲームコーナーもあれば、フードコート内に「コモレビキッズ」や「なわてキッズパーク」、さらに通路などを利用した子供の遊び場、ベビールーム、キッズトイレ……。少なくなった子供だけに子供に甘い、いや熱心な親が増えて、彼らはチョイ富裕層で、彼らを引き込むことが経営にプラスとなるのか。

いずれも木材が目立つ造りだ。木育施設は集客施設……そんな効果があるのかどうか私には判断しかねるが、木育あなどるなかれ、である。

これをいつまで続くか楽しみに観察しよう。半年後に撤去されてしまうことのないように(^^;)。

2025/05/19

Wedgeに「あのモンベルが……」の記事を書いた裏事情

Wedge on lineに「あのモンベルが奈良県吉野の林業地の一角に出店!過疎地ビジネスの商機はあるのか?コンビニも続く理由」を書きました。

すでにブログでも「山村のモンベル・ショップ」を書いているけど、その拡大版というか、真面目な記事版(笑)。

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ちゃんとチェンソーアートのショーも行われた。ちなみに巨大クマは寝そべっているのもあって、売物だったよ。


いかにもこの開店を取材に行ったように見えるが、実は、偶然であった。別の取材で村を訪れたら、この式典をやっていたので、写真を撮っておいた。せっかくだから背景も取材して、いろいろ探って記事にしました。

もちろん、私が手放しで持ち上げるはずはなくて(^^;)、ちゃんと反対の声も取り上げているのだけど、それも偶然に寄せられたのである。なんだか偶然の寄せ集めの記事なのだけど、結構シビアな面もあるのであった。ともあれ、過疎ビジネスという分野は面白いけど、同時に相当な努力や工夫がいるだろうな、と感じさせられる。

2025/05/18

害虫から見た野菜と野草の違い

庭で育てていた茎ブロッコリー。気づくと、見るも無残に葉が穴だらけだった。

ほんの数日のうちに青虫が大発生。蝶か蛾が卵を生んだらしい。食べる速度の凄まじいことよ。

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あわてて収穫できるものだけ採って、青虫を排除する。が、どこに隠れているのか次々と出てくる。収穫した茎部分を水に漬けておくと、わらわらと小さな虫か浮き上がる(> <;)。

これまでも農作物への害虫は悩みの元ではあった。しかし、なぜブロッコリー(多分、キャベツ系の作物)には、たくさんの虫がつくのか。そういや庭で採れる野草は、そんなに虫食いはない。野草は限定的で、野菜には大挙して群がる。その差は何か。

野菜は、人が美味しく品種改良している。するとアクもなくて虫にも美味しいのか。また植物が自らを食べる害虫に対する防御機能が弱いのか。品種改良の結果、美味しくする代わりに防御機能を奪ったののではなかろうか。その代わりに人が守ってやらねばならないのに、私は放置してしまった(´_`)。

そういや、シカやイノシシ、クマなど野生動物の獣害が増えたのも、生息数の増加だけでなく、人のつくる農作物が美味しいから、という視点で見るべきではないか。その味を一度覚えたら、駆除されるリスクを押してでも人里に襲来する。

それにしても、雑草のたくましいことよ……。毎朝、庭を巡回して新たな雑草を発見する。その名を確認するのも日課になった。人が耕した場所には作物より先に雑草が生える。人が野菜の栽培のために整える環境は、雑草にもよい。

雑草=野草、そして野生動物と人との戦いは、人が誘引しているのかもしれない。

 

 

2025/05/17

農業新聞に林業大学校の記事

日本農業新聞に、林業大学校開校が相次ぐことに関する記事が掲載された。(5月13日)

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私もコメントを求められたので、少し。私の話の中では、もっとも当たり障りのない部分を使われたかな(^_^) 。

それはともかく電話取材を受けるときに少し気になった点。記事にも多少触れているが、現在全国で28校……と言われたのだ。が、私が何年も前に取材した際でも30校を超えていたはず。どうやら林野庁の基準があって、それに当てはまらないところは一覧に入らないみたい。

林業技術研修教育機関及び森林・林業に関する学科・コース・科目設置校(高等学校・林業大学校等・大学)

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このHPでは27校になっている。

どこが抜けているのか。ざっと見たところ、「みえ森林・林業アカデミー」「滋賀もりづくりアカデミー」「金沢林業大学校」などが見当たらない。トーセン経営の「フォレストビジネスカレッジ」もないが、ここは募集を今もやっているのかな。ほかにもあるだろう。

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その点についてはこのように記す。

林業大学校(PDF : 184KB)

 地方公共団体の研修機関又は学校教育法に基づく専門職短期大学、専修学校若しくは各種学校のうち地方公共団体が設置しているもので、修学・研修期間がおおむね1年かつおおむね1,200時間以上であり、期間を通して林業への就業に必要な技術や知識を習得させる学校等を掲載しています。

いかにも役所らしい線引きの仕方である。まあ、就学目的も少しずつ違うこともある。ただ、問題は卒業後の進路だろう。人手不足だからつくった、と言いながらも、林業界の就職先の待遇があまりに悪すぎて就業しないケースも多い(この点を私は強調したのだが。)のが実情だ。

しかも、全業種で人手不足が言われだすと、林業は後回しになる。定員を満たさない学校も増えている。実は奈良県フォレスターアカデミーも今年は定員割れだそうである。もっとも県職に就職が決まっている奈良県フォレスターの応募は問題ないそうだけど。

一方で林業をしたいという潜在的な人は少なくない様子だ。ただ勤めるかどうかわからないし、勤めてから辞める人も少なくない。さらに雇うのを断る事業体もある。とくに女子に関しては。根本的な部分でミスマッチしているよ。

2025/05/16

「桜井茶臼山古墳」展で見た!

昨日、急に思い立って、橿原考古学研究所附属博物館に行ってきた。ここで「桜井茶臼山古墳」の特別展をやっていたからだ。

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この桜井茶臼山古墳、一般は無名かもしれないが、超注目株である。そして私も以前より気にしていた。

というのは、その石室には朱、つまり丹砂、硫化水銀による赤に染色されていたからである。これまでも朱は各地の古墳でも発見されているが、ここのは規模が違う。おそらく200キロ以上の朱を使い木棺や石を赤く染めていたのだ。

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と、ここまでは以前から知られていたが、今回は、発掘された鏡の破片を調べたところ、銅鏡が103枚分もあったことがわかる。こちらも図抜けた量だ。なぜ破壊されていたのかも謎だが。

全長200メートルを超える前方後円墳であることも合わせて、おそらく大王の陵の可能性が高いのだ。時代的には箸墓古墳のすぐ後ぐらい。もしかして卑弥呼の後を継いでヤマト王権を立ち上げた人物の墓かもしれない。これまで注目されてこなかったのが不思議。

橿原考古学研究所は、桜井茶臼山古墳の被葬者は「他の古墳の追随を許さない隔絶した地位にあった人物」であり、「3世紀末の奈良盆地には邪馬台国とは比較にならない圧倒的な王権が存在したことが明らかになった」

と発表したほど。

もっとも私は、古代史というより朱のような鉱物資源、そして木材の扱い方に興味があった。とくにこの博物館では、レプリカでない本物が見られるのだ。

だけど、最初に見て惹きつけられた発掘物は、これ。

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イノシシ型の木片! これに感動した(笑)。いやあ、これまでもシカやイノシシの土偶はあったが、木彫りですよ。動物を木で彫って現していたのですよ。これはいい。(ナスビではないか、という意見もあるようだけど。)

ほかにも土木道具など木でつくられた道具類が多数展示されていた。

古代史となると、石器、土器、そして青銅や鉄などの金属器へと移り変わることはよく説明されるが、それらの製作物の前に常にあり、またいずれも木材なしに石器も土器も金属器もつくれなかった。つまり最初に人間が利用したのは木具であり木器のはずなのだ。当時の人が木をいかに利用したのか、その木をどこから調達したのか……を考えると、森と木の文化の起源、林業の起源が特定できるのではないか。

日本の林業は、邪馬台国より昔から生まれていた……という私の仮説を裏付けるための探訪であった。

その後、常設展も見て回り、最後のミュージアムショップのところに奈良の古代史、とくに橿原考研に関わる新聞等の報道にあったものが壁一面(いや二面以上か)に張られていた。ここ数年、デカい発見がいろいろあったからなあ。。。富雄丸山古墳もあったなあ。。。と眺めていると、見つけてしまった。

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私の書いた記事を。私が日本の林業のはじまりを和邇(わに)氏とともに夢想して書いた記事を(⌒ー⌒)。もちろん橿原考研の研究員を取材したからだが…。
ヤマト王権の豪族、和邇氏こそがシステムだった木材生産、つまり伐採から輸送、加工までの技術を確立して産業としての林業を始めた祖ではないか。そこでは川に原木を流して運搬する技術を確立し、資源を尽きないよう持続的経営がなされていたのかもしれない。

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今の林業は面白くないから、これからは古代の林業へと目を向けるのだよ。

2025/05/15

秋篠川にヘアリーベッチ

奈良の秋篠川沿いを散歩した。秋篠と言えば皇室にも秋篠宮が設けられたような由緒ある地名なのだが、そこに流れる小川。

そこの岸辺で目立ったのは、こちら。

 

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やたら咲き誇っているのが、この紫の花である。もはや一目見てわかるほど、身近になった。

ヘアリーベッチだ。もちろん外来種。雑草対策だとか、ハチミツ採れるとか、なかなか有用な植物ということで持ち込まれたのはいいが、すでに管理から離れて野放図に増え続けている。大和川の両側を覆うほどだが、そこから遡って、とうとう秋篠川の上流まで広がってきたか。

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三面コンクリート張りの河川でも、土砂のたまったところに繁茂する。ちなみにヘアリーベッチに押し退けられるようになりつつ繁茂しているのは、多分セイヨウカラシナだろう。菜の花の一つである。それが実っているのだから、種子から油でも取れそうだが……。

もちろん外来種。どんどん外来種が繁茂する川になってしまった。

ついでにこちらも繁殖していた。

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亀がやたら多いのだ。が、よく見れば……アカミミガメ。いわゆるミドリガメの成れの果て。大繁殖している模様。もちろん外来種。

そう、外来種づくめの生態系であった。

いっそ、ヘアリーベッチのハチミツに、セイヨウカラシナから絞ったピリリと辛い油を使ったアカミミガメの料理を売り物にできないかねえ。

 

2025/05/14

万博の哲学的?な木

先に訪れた万博。正直、さほど感心する展示のパビリオンはなかった。展示を見に行くつもりなら、私はもうコリゴリ。オススメしない。

その中で、多少考えさせられるというか、何?これ?と悩まれれる、いやもっと言えば「なんやねん(怒」という気分にさせられるものもあった。

とくにこれは……。

「困った木」。ブースとしてはNHKを始めとする在阪テレビ局の中継基地なのだが、なぜか茅葺きである。ま、それはいいのだが、その周辺に並ぶ柱が「困った木」と名付けられている。

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何が困っているのか。一応の説明文は、大きくなりすぎた街路樹だったり、製材加工ミスの木材だったり、育ちすぎたスギやヒノキだったり、枯れて倒れる危険があった保育園のサクラだったり、海に沈められていた木だったり、鳥が穴をあけた木だったり、電線にひっかかりそうで切られた木だったり、ツキ板になれなかった木だったり、大屋根リングの端材だったり……まあ、なんというか、使えない木ということなのだろう。

アートにはなっていないし……これを展示することに何の意味があるのだろう。哀愁が漂っている? いや、そもそも困るとはなんぞや。若干むかついたのであった。それに……これらの木に注目する人は、私以外に見かけない(笑)。

それと似ているが対極は、ウズベキスタンパビリオン。

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なんでか、柱が林立。スギの木だけど。説明もかなり哲学的。「知の庭」という名がつけられている。一回の近未来的な展示や360度周回映像展示を見ているうちに、なぜかこの庭に着く。それでも、考えさせられたという点では、ウズベキスタンの一本!

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アラブ首長国連邦。これ、ナツメヤシの材なのである。芯は違うと思うが、とりあえずナツメヤシは、実や葉だけでなく葉柄まですべて使える資源なのだそう。石油よりナツメヤシ! わりと気に入ったパビリオン建築であった。

ほかにも植物ならバルトのラトビア・エストニア館も、ちょっと違う意味があった。面白いかと言われると……なのだが。

2025/05/13

切り株の上の生態系番外偏

不定期に紹介している「切り株の上の生態系」シリーズ。今回は、ちょっと切り株でないし、上でもない、生態系(^_^) 。

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見た通り、竹である。何年か前に伐採した(ナタで伐った)跡である。
高さはざっと地表1メートル。すると、その切り口の中に水がたまり、土(おそらく葉っぱが腐ってできた腐葉土か)がたまり、そこに草の種子が飛んできたのか育っていた。

当然、これは竹の棹の中で、もし節が破れたら水か抜けてしまうのだろうけど、空中に浮いたような位置に、それも節の間のわずかの空間に生まれた生態系だ。

実は、タケノコが出ていないのかもう一度アタックしたのたが、やはりダメだった。ただイノシシの新しい堀り跡があったので、タケノコは出たが食べられてしまったのかもしれない。

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そして、もう一つの生態系。地面を掘ったところ、出てきたもの。

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なんと土の中にカニがいたよ。ちゃんと穴を掘って生活をしていた。(その穴を壊してしまったから出てきたのだろうけど。)サワガニだろうが、沢からかなり離れているのに。雨で湿った地面をたどって森の中に進出したのだろうか。

2025/05/12

Y!ニュース「米が不足すればするほど…」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「米が不足すればするほど買い求める人は増える」を執筆しました。

月に1本は(Yahoo!ニュースに)記事を書かなくちゃいけないな…という義務感がある(^^;)。

最近は一般のYahoo!ニュースにコメントをつけることが奨励されているので、つい本編は後回しになる。そのコメントも「この記事につけませんか」と編集部からの案内が来る。それには「米の高騰」に関するニュースが幾度もきた。「〇週連続で米価格が高騰した」というニュースだ。

しかし、それは幾度もつけているのだ。週が変わろうが、そんなにつけるコメントはない。そこで、これまでコメントをつけた内容を深掘りしてエキスパートとしての記事にしようと思いついたのである。

だから、今回の記事はコメントでも簡単に披露していることをまとめたようなもの。世間ではいろいろ米の値上がり理由を考えているが、ようするになぜ大量に供給したはずの米が店頭に並ばないのは、誰かがすぐに買うから。そこに秘密組織の陰謀などないのである。

それでも改めて行動経済学を繙いて確認したら、まあ、ドンピシャではないかね。ただ一つ付け加えると、行動経済学には「アンカリング効果」という概念もあって、これまでの価格がアンカーとなり、それを基準に考えるから高く感じるのだ。むしろ今の価格が本来あるべき価格かもしれない。

いずれにしろ、現在の米不足や高騰は、近く解答が出る。少なくても早米が出始める8月頃にはわかるだろう。少なくても米不足は解消する。価格は? ウッドショックの場合は、末端では以前よりは高値が続いているが、山元では高くなっていない、むしろ安くなったという声もある。

米価格の動向はどちらに転ぶだろうか。

2025/05/11

万博コモンズ館の楽しみ方

大阪万博では、コモンズ館をよく見て歩いた。行列がないから。

たくさんの国が小さいながらもブースをつくっている。これが、なかなか楽しい。

ちなみに私は、多くの中でもパプアニューギニアとソロモンアイランズに足を止めた。どちらも行ったことがあるからなのだが、懐かしい景色を見る。そして担当者と話し込む。現地人もいるが、日本人スタッフが担当するブースも多い。彼らは毎日担当する国が変わるので、その国のことをよく知っているわけではないそうである。そこで私が教える側に回ったりするv(^0^)。そして、かつての旅の話で盛り上がる。

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ソロモン諸島の木彫。私は、これと同じデザインのものを持っている。それで話が盛り上がる(笑)。
実は、アフリカや中南米、中央アジア、太平洋諸国……などの国々は、木彫展示が多い。それぞれの民族の木彫りの人形や仮面、道具類……などが豊富。もし木工品に興味がある人なら楽しめるだろう。

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こちらは貝貨。貝殻に穴を空けてつないだもの。私も持っているv(^0^)。製造現場も見学した。現在は贈り物扱いかな。

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こちらは東ティモールの布。私も持っているv(^0^)。東ティモールに行ったから。当時は国ではなかったけどね。インドネシアの占領下にあった。その後、壮烈な戦いの末に独立を勝ち取ったのだ。そういう歴史も思いを深める。
なお、この布は、かなり貴重品なのだ。現地の草木染めだったらすごい価値がある。こうした各国の織物、染め物の展示も多い。布好きの人なら楽しめるだろう。

ほかにも見どころはあるのだが,はっきり政治的主張を出しているところもある。

とくにウクライナ。そしてマーシャル諸島。前者はいうまでもなく戦争だが、後者は過去に68回だったかの原水爆実験が行われたことを展示している。こうした点に目を向けても興味深い。

また紛争国も数多い。南スーダンなど、何百万人もの難民を出し、今も激烈な内戦を続けているのに、結構立派な展示をしていた。
ソマリアは、現在3つの地域に分断されている(ソマリア、ソマリランド、ブントランド)のに素知らぬふりをして全部ソマリアだ!という展示。こうした国際情勢を読みながらの観覧も意味があるだろう。

かつて訪れた国、なんらかの点で興味を持っていた国。それらの展示を見るのは楽しい。認識を新たにされる面もある。

そうそう、ナウルも行った国だ。

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なんにもナウルな展示。

2025/05/10

「並ばない万博」実践

大阪万博に行ってきた。

正直、たいして興味はないものの、万博について何か一言言ったり、書いたり、することを考えてまったく行ってもいないのでは格好がつかない。いわばアリバイ的に足を運ぶべきと考えたのである。ただ、もしかして想定外に面白かったり……という期待?もなくはなかった。

そこで自らに課したルールは、「並ばない万博」である。これ、大阪万博自体のキャッチフレーズでもある。並ばなくても入れますよ~と来場を呼びかけているのだ。ところが報道によると、どこのパビリオンも、わりと並ぶというではないか。だが、私は「並ばない」。

いかに並ばないか? 簡単である。行列のできているパビリオンは入らない。

それだけ。徹底的に行列は排除した。そしてすいているパビリオンを駆け足で回るのである。

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と、ところが……入場時に並んでしまった(゚д゚)。30分くらい。これが最長の待ち時間であった。

それでも、入場できるや否や、駆け足で行列のないところをアタック! 結果的に20以上のパビリオンに入れたかと思う。コモンズ(小国が共同で展示スペースを設けているパビリオン)を多く回ることになったが、おかげで国としては50カ国以上になったのではないか。

すると、午後2時過ぎには、回るところがなくなった。帰ろうかな、と思ったのだが、さすがにそれではもったいない。そこで多少は並ぶことを自らに認めることにした。30分まで?とか思ったが、実際に並びだすと我慢ならず、10分までの行列待ちならよいことにする。幸い夕刻になると全体に空いてくるので、たいてい10分で入れる。20分待ちと看板を出しているところも、ほぼ半分の時間だ。

内容については、また紹介するかもしれないが、とりあえず言えることは、パビリオンも千差万別。なかにはヤッツケで展示したようなレベルの低い館も結構ある。おつきあい参加なのかもしれない。仕方ないね。力を入れたのかもしれないけど、ピントがズレたのか全然わからないもの。パビリオンの建物は力を入れたのようだけど、展示の中身のないもの……いろいろだあ。

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ただ、多くのパビリオンが木製であり、木を意識した使い方をしているという点は感じた。木材使ったら環境に優しいもんね、SDGsだもんね、という意識なのか……とひねた目で見てしまったのであった。その中でも、やはり魅せるのは大屋根リングだろう。これだけは見応えある。

意外と紹介されていないが、リングは二段構造である。2本のルートがあるのだ。その合間には花壇や芝生もあったりする。だからリング上を全部歩こうとすると、一週2キロだから、4キロになる。私の歩数計は3万歩に届きそうになった。覚悟しよう。

 

2025/05/09

森林鉄道はなぜ人気なの

なぜか、今朝は森林鉄道の話題がやたら目につく。

廃線から半世紀「王滝森林鉄道」の歴史を伝える貴重な品が上松町の民家に眠っていた

まずは木曽から。

大正時代から約60年にわたり、木曽谷で木材の運搬を担った森林鉄道で使われたタブレット(通行票)や蒸気機関車の銘板が、木曽郡上松町の民家に残されていたことが6日、分かった。同町と同郡王滝村をつないだ幹線「王滝森林鉄道」が1975(昭和50)年に廃線となってから5月末で半世紀。当時を知る人が少なくなる中、鉄道愛好家は「森林鉄道の物語を伝える大切な資料」と評価している。

なんだかお宝発見!風に書かれているが、ようするにタブレットや銘板。これ、鉄オタには通じるが、一般人にはなんのことやら(笑)。鉄くずに見える。でも、ヤフオクにでも出せば、高く売れそうだ

そして台湾からのニュース。

阿里山鉄道を世界遺産に 立法委員、日本との連携を呼びかけ

こちらは世界遺産をめざす動きだ。

台湾は日本統治時代に林業の拠点とされた阿里山(南部・嘉義県)を「阿里山林業・鉄道文化景観」として世界遺産に登録することを目指している。与党・民進党の蔡易余立法委員(国会議員)は7日、日本統治時代に阿里山林業鉄道が建設されたことを背景に、国境をまたぐ世界遺産として申請されるよう、日本との連携を模索すべきだと訴えた。

7_20250509144701嘉義市鉄道園にあ当時の蒸気機関車

台湾独自の世界遺産申請は、中国が絶対に邪魔するから通りそうにない。そこで日本時代につくられたものだから、という理屈で両国一緒に申請できないかという、ちょっとアクロバティックな発想から出た策のようだ。

それはそれとして、台湾の阿里山鉄道に関する思いは只事ではない、と昨年訪れて私は感じた。起点となる嘉義の町などには市立博物館や阿里山博物館、林業村、林業鉄道園、森活村などいくつもの記念施設、観光施設があるが、どこでも阿里山でイチオシなのが鉄道なのだ。山ではなく。そこにある(あった)タイワンヒノキの大木群ではなく。

7_20250509144702嘉義市博物館のジオラマ

観光として重要というだけでなく、阿里山鉄道に対する愛?を感じた。

5_20250509144701現代の車両(阿里山沼平駅)

私はチケットが取れずに乗れなかった(それだけ人気なのだ)が、各地で阿里山鉄道の展示を目にして鉄分多めを感じた(笑)。私はついていけなかったけどね。。。巨木林はなくなってしまったからだろうか。

 

なぜ、森林鉄道、そして登山鉄道は人々の郷愁を呼ぶのだろう。小さく可愛いとか、歴史を感じるとか、山を登るから景色がいいとか。理由はいろいろ浮かぶが、少なくても林業とつながる興味ではなさそうだ(^^;)。ようするに集客力があるのだ。

いっそ、日本でも森林鉄道を復活させて、木材の運搬を担えば、CO2排出量を減らせるし、林道建設による山腹破壊も減らせる。そして観光開発にもなるのではないか。鉄オタだけを相手にするのではなく、一般人も招いて林業現場見学ツアーも催し、それでお金を落とさせて総合的に稼ぐ林業を構築する……そんな夢ある大風呂敷……もとい林業再生計画を誰か描いてくれないかなあ。

 

2025/05/08

土倉翁の山で火事が起きない理由

某氏より、土倉庄三郎についての記載のある文献を教えてもらった。

「名士奇聞録」というのだが、国会図書館にある。明治44年の発行らしいが、そこに登場する土倉庄三郎の項目が素晴らしい。タイトルからして「土倉庄三郎の美徳」である。

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庄三郎の人望を語っているが、絶対に土倉の山では煙草を吸わない。農具が遺棄されていたら持ち帰って届けるという。農具というのは林業道具も含むのだろう。だが、 重要なのは「若し其山林に火あらしめんは我の恥辱なり」という言葉だろう。

煙草を吸わないのも、そのためであり、結局は、山火事を起こさないのは、彼(庄三郎)の徳望ゆえなのだ、と。

これは、山林火災が相次ぐ昨今、身に沁みますね。もっと考えれば、庄三郎という人そのものというより、山林への愛、思い入れなのだと思う。(あの人の)山林を傷つけてはならぬという強い思いが必要なのだ。

どうだろう。現代にそうした精神があるだろうか。

2025/05/07

未知の道

少しでも運動不足を解消せねば。しかし決まった運動をするのは苦手。もっとも気軽で続くのが散歩なのだが、これも同じ道を歩くのが苦手。

そんな課題?を超えるために思いついたのは、毎日違った道を歩くこと。できれば、これまで歩いたことのない未知の道を選ぶこと。これを自らに課した。すると、やる気が出るのであるv(^0^)。

やってみると、意外と身の回りに知らない道があることに気づく。いつも通っている道路から分け入る路地だとか、住宅街の碁盤の目のような道の中にも通っていないルート。買い物に行った先で、その店の周辺もよくよく選べば見知らぬ道だ。そうした道を探して、わざわざ遠くのスーパーマーケットまで出かけて、その周辺を歩く。もちろん山を登る際も登ったことのない道を探す。なんとなく踏み跡がある、なんとなく通れそうな藪……を選ぶ。それが時として道なき道、獣道になってしまうこともあるのだが……。

本日も、そんな道を探した。しかし、イマイチ面白そうなルートが定まらない。もう日暮れが迫っているよ。ならば、仕方ない、矢田丘陵の遊歩道にしよう。生駒山と並行して伸びる矢田丘陵は、低山でその尾根筋につくられた遊歩道はアップダウンが少なくて歩きやすい。それでいて、森の中で心地よい景色に包まれる。未知とは言えなくても、森は常に変化しているから、新しい発見もあるだろう。ただし、昨日は終始雨だったから木々や草は濡れているので分け入らないこと。

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ああ、気持ちよい道ではないか。ま、ここは以前歩いたので自分に課したルールには合わないが……。

そこに、見知らぬ分岐が。あれ、こんな道があったっけ。しめしめ、未知の道だ! と、そちらに進む。急坂を登るとこんな感じ。

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意外としっかりした道。多分、最近つくられたんだろうが、どこに伸びているのか……あまりヘンな方向に行かれると困るのだが。

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ありゃ、送電線用の鉄塔に出た。ここに到達するための道だったか。補修用に最近つくったのかもしれない。
しかし、ここで道は終わっている。困った。未知の道を歩くという課題はクリアしたものの、これでは今来た道をもどらねばならない。それは私の美学に反する。なんとしても別の道を。

というわけで、森に分け入ってしまった(^^;)。濡れるって。道じゃない、急斜面のブッシュだ。しかも地面はずるずるだ。滑る滑る。

何度か転んだ。泥だらけになってしまった。だから、入ってはダメなんだよお。もはや自分にツッこむが、もどれない。もどる意志はない。行けるところまで行く!

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倒木の向こうに遊歩道が見えた。よし、脱出できる……と、その前に渓流があった。深く切り込んでいたのである。

しかし、私にもどる道はない( ̄^ ̄)。しゃにむに進んだ。滑った。転んだ。尻餅をついた……。

幸い、渓流に水はほとんどなかったので、落ちても助かった。そして谷を渡ることができた。遊歩道に出ると、さすがにホッとした。

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渡ったすぐ先にため池が。もし、ここに出てきたら渡れなかっただろう。それどころか沼に落ちたかもしれない。わずかにズレたおかげで生還できたのである。

未知の道は楽しいv(^0^)。

 

 

2025/05/06

サンショウが自生

実はタケノコを掘ったら、その調理法としては、やはり木の芽和えか……と考えていた。そこで必要なのがサンショウの葉。なぜかタケノコにはサンショウの香り、それも若葉のたてる香りが欠かせない。しかし購入するのもシャクだ。

そんなときに、発見したのである。サンショウが庭に自生していた!

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ありがたや。少しずつ採集しよう。でも、サンショウって、種子が飛んでくるように思えないが、どうやって我が家にたどり着いたのか。

なおミョウガも伸びだしたから、薬味は何かと庭で調達できそうだ。

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と、ここまで準備を進めていたのに……(-_-;)、昨日記した通り、タケノコは全滅なのである。1本も掘れなかったのである。

どうしてくれよう。、と言ってもサンショウを恨んでいるわけではなくて、今後も育てて何か利用することもあるだろう。

ちなみに昨夜、同窓会に出かけた娘を迎えにいく途中の車で、ライトに浮かび上がる獣の陰があった。

一瞬、タヌキか?と思ったのだが、そこに見えた太くて長い尻尾に黒い環の列。これはアライグマだ!

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さすがに写真は撮れなかったが、こんな感じの尻尾とパンダのような黒い目の周り。

なんと、こんな住宅地の中にアライグマか。当然、外来種だし、凶暴であり、作物も荒らす害獣だ。生駒山周辺にもいるとは聞いていたが、いよいよ人里、それも「都会」に出没するようになったか。

なんだか冴えない、不安に陥る連休の象徴のような動物であった。

2025/05/05

タケノコ異変

今日はタケノコ堀りに行った。帰省していた娘が掘りたいと言うし、我が山は4月後半から5月連休までがシーズン。ゴールデンウィーク終りの思い出によいではないか。

実は2週間ばかり前にも堀りに行ったのだが、その際は不作だった。かろうじて10本くらいは掘れたが小粒で、真っ当な大きさのタケノコは3、4本だったのだ。もともと出が少ない上にイノシシがかなり食い散らかした跡があり、目立ったものがない。

そのリベンジも兼ねて現地に向かったのだが……。

見つからん。

まったく見当たらない。以前よく出たところのほか、竹の列を見て、いかにも出そうな場所を念入りに探すが見つからない。挙げ句の果てにイノシシの猛威を感じる現場ばかり。

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これなど急斜面(というより垂直に近い法面)にタケノコが出たらしい(穂先はまだ土の中)のだが、そこをイノシシが掘って食ってしまっている。通常、こんな急斜面は掘りづらくてイノシシも敬遠するような場所まで狙うとは。奥に食い残したタケノコの根元が見える。

かつて1日で30~50本は掘れたものだった。シーズン中は100本を超えたのである。竹林ではなく雑木林でこれほどタケノコが出るのは珍しいのではないか。あまり生えるため掘らないと雑木林が竹林化してしまう、,だからこれは竹退治だ、と嘯いていたのだ。掘っても全部は食べられないから、周辺に配ったり、最後は捨てる、穂先だけ切り取る……などしていた。
それが、ここまで数が減ったとは。イノシシだけのせいではなく、竹林そのものが衰退したように感じる。

念のため隣の竹林も除く。決して、決して隣に侵入してタケノコを盗もうというわけではなく、あくまでタケノコの出具合を確認するためである。ま、手にはスコップがあったが、これは置き場に困って持ち歩いただけで……。

が、ないのである。隣の、それこそ竹しか生えていない竹林にもタケノコは見当たらない。この生駒山の一角からタケノコが衰退している。

一本も掘れないとショックである。退治しなくてもよいという安心感よりもタケノコを食えない悔しさ(> <;)が先に立つ。さすがに1本も掘れなかったのは、長いタケノコ堀り人生で初めてである(-_-;)。

何が理由か。単に不作、裏作というだけではないように思う。

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ここ数年、台風などで倒木が相次いで森の中がかなり荒れていた。竹も折れたり、途中で枯れたものも見かけた。竹林の寿命だろうか。それとも大きな波として大不作の年周りがあるのだろうか。生駒山の環境が変わった? まさか気候変動の影響?

1時間半も森の中を歩き回ってタケノコを探した挙げ句の徒労感。娘への土産も手に入れられなかったわけだ。なんか、締まりのないゴールデンウィークになってしまった。

ともあれ「タケノコの里」に異変が生じたのであった。いっそ、次は(食べられる)「キノコの山」にでもならないかな。明治製菓さ~ん。。。

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2025/05/04

この価格は!『山の富豪の資本主義』

たまたま目に止まった本の案内。これから出る本である。5月15日発行とある。

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山の富豪の資本主義「資源国」日本の近代  中西 聡著 名古屋大学出版会

なんか、タイトルからそそる(笑)。

で、序章はこんな具合の目次。

序 章 近代日本の林業と鉱業
     はじめに ―― 山の資源利用と近代日本
     1 林業地の形成と展開
     2 近代日本の主要林業家
     3 近代日本の主要鉱業家
     4 主要林業家・主要鉱業家の経営展開事例
     5 本書の構成

土倉家が出てくるかどうかは別として、林業資本が明治以降の日本の近代化に果たした役割という点で気になる。実は、私も明治時代のGDP:GNPと林業の生産額から当時の日本にとっての林業経済力を知ろうとしたことがあったのだが、調べきれなかった。そもそも統計として当時の国内総生産額が出ているのかどうかもわからない。林業も農業と一緒になって8割を超えていた、という数字は見つけたのだが。

ただ、この本の目次を追うと、その後は鉱山や汽船、ガス、水力発電などの事業も取り上げている。森林経営だけに絞った財産ではなく、山からの資産を広く経済界の事業に広げた例を取り上げているらしい。全国の林業資本家の中では、吉野では永田家が取り上げられている模様。最近、永田文書が注目されているからね。

もしかしたら永年の私の疑問というか、林業が日本経済に果たした役割を読み解けるのではないか。

ぜひ資料としてほしい本……と思って予約しようかとクリックしかけたのだが、価格を見ると…… (@_@)

こ、これは、なんということでしょう。いやはや(泣)。

内容を確認しないと決断できないよ。。。。。と、そっと手をマウスから離す(笑)。

 

2025/05/03

何が建築物の木造率を上げているのか

国はへ、木造建築を増やそうとやっきになっている。大阪万博でも、リングが世界最大の木造建築だと必死で売り出している(私は、仮設で壁もないリングを木造建築のランキングに入れるべきではないと思っている)が、肝心の建築物の木造率はどうなっているのか。

新規着工住宅の木造率グラフがあった。

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なんと57%まで上がっている。ちょっと意外(笑)。私は、増えているように思えなかったのだが。

しかし、よく見ると建築数自体は減っているのだね。その中で木造住宅が増えているらしい。

もう一つ、建築物全体のグラフもあった。

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こっちは全体で、横ばいというよりはじり貧だな。43%以上あったのが、41%まで下がっている。
ただ、公共建築物と低層建築では増えている。あれ? では何が全体を引き下げているのか。。。高層ビルは昔から非木造だろう。結局、マンションなどの非木造の集合住宅などが増えているのかな、とも思う。

謎です。誰か教えてください(^_^) 。

それにしても、住宅建築数は年間80万棟を切るまでに落ちている。しかも世帯の縮小も進んでいる。一人暮らし、二人暮らしが増えたら、いくら木造住宅を建てても規模は小さくなるだろう。木材消費量は落ちる。今後、人口減に大工減も考えたら、木材需要が増えるとする要因を思いつけない。

木材の使い道の未来に建築はあるのか。そこから考えた方がよいのではなかろうか。

木材の消費は減ってもよい。それに合わせて林業関係人口も減ってもよい。ただ収入が減るのは困るので、単価の高い用途を模索すべきだろう。

 

2025/05/02

吉川小一郎と土倉家の因縁

京都・龍谷ミュージアムで開催中の「大谷探検隊 吉川小一郎」展に行ってきた。

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浄土真宗本願寺派(西本願寺)法主・大谷光瑞が行った中国・西域の仏教遺跡調査の第3次探検隊を率いた人物である。遺族の家から新たな資料が発掘されたことから開かれたとある。

吉川の展示物そのものは3階だけで、しかも主に書簡類が中心ということで地味な印象であった。人物も、いわゆる探検家的な豪放磊落さというよりは、生真面目な印象。大谷光瑞から命じられたことをしっかりこなした探検であった。それでも、幾つかの点で発見があった。

たとえば三島海雲(カルピス創業者)が探検を支援していたことを示す葉書があったこと。三島は、若いころ、中国に渡って内モンゴルに分け入って馬の買い付けなどに従事している。その時は、土倉五郎、つまり土倉庄三郎の5男と一緒だった。後に4男の四郎も加わっている。資金は土倉家が出して内モンゴルの王家と人脈をつくろうとしていた。また当時の清国公使は内田康哉であり、その妻政子も北京にいた。そこに大谷探検隊が絡んでいたのかもしれない。ということは、吉川は五郎や四郎とも会っていた可能性が高い。

庄三郎の次男龍次郎の息子(つまり庄三郎の孫)正雄の奥さん宣子さんに生前お会いしたとき、吉川小一郎と会った話を聞かせてくれた。

当時、宣子さんは友達と「シルクロードの会」というのをつくっていて、中国西域の勉強をしていたそうだ。そして吉川に会いに行ったのだ。1970年代と言っていたから、吉川は90歳前後のはず。ただこの展覧会では、吉川をインタビューした際のテープで音声を披露していた。そこでは元気に話しているから、十分あり得るだろう。

そしてメンバーの自己紹介をした際、「土倉宣子」という名の姓に反応したという。

「土倉さんにはお世話になった。上の人が言ったら、いくらでもお金を出してくれた」
そして感謝の意を伝えたという。上の人とは、大谷光瑞だろうか。

当時、法主である大谷光瑞も、探検隊の金を自由に出せなくなっていたのだろう。その後、金の使いすぎで失脚している。そこで土倉家に頼ったのではないか、と思われる。

ただ、吉川の探検隊は1911年出発だ。その準備期間中としても、前年の1910年か、せいぜい09年。その頃の土倉家は、身代が傾いていた。長男鶴松が野放図に事業に投資して破綻しかけていたのだ。09年には山林売却を家族会議で決めている。龍次郎も台湾の事業を売却して帰国している。
そんな時に、西域探検に金を融通するか? 鶴松ならやりかねない気もするが……(´Д`)。ちなみに鶴松は「在家の大谷光瑞」と呼ばれていた。二人とも、湯水の如く金を使うという共通点がある(笑)。

もっとも11年には済生会病院設立に1000円寄付した記録もあるから、その程度なら出せたのかもしれない。ただし、こちらは庄三郎の事績である。鶴松は家を出た。家政を破綻させたうえに妻の死去と即再婚などから土倉家にいられなくなったのである。

やはり、わからないことが次々と出てくる。土倉家のことは調べ尽くして、もう終りにしようと思っていたが、謎が謎を生み困る。

まあ、土倉家の破綻には、大谷探検隊も関わっているんですぜ( ̄∇ ̄) と言ってみたくもあるが(笑)。

 

2025/05/01

生物多様性への森林施業事例集

林野庁が、「国有林野の森林施業における⽣物多様性への配慮事例集」というものを発行していた。

国有林ばかりだが、各地で生物多様性に寄与する方法を模索している。皆伐ばかりしている罪滅ぼしか(^^;)\(-_-メ;)。

大きく残存木を利用するもののと植栽するものがある。また地拵えから間伐、主伐までそれぞれの段階の工夫もしているみたいだ。

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林業現場を見ていると、何も考えずに旧態依然とした施業をしているところが目につく。しかし再造林や低コスト施業が言われるだけでなく、生物多様性など地球環境的な課題の指摘も増えているだけに、もっと施業法を見直すべきだろう。
また山主や森林組合の中にも、生物多様性を気にかけているところもある。しかし、実行するには技術的なバックボーンがないと二の足を踏む。

実際、国だけでなく、都道府県、市町村、大学・研究機関、民間と、さまざまな部署で、林業における新しい施業法を試しているところはあるはずだ。
残念ながら、各試行の結果がまとまって報告されていない。ぜひ一体化して、それぞれの実験的工夫とその成果を一覧できるサイトをつくってほしいものだ。

もっとも、この事例集、細かな点はともかく、全体として試み方が似通っている。もっと大胆な実験も紹介してほしい。以前、大分県の国有林で「3本巣植え」という手法を試した例を紹介したが、そんな実験は各地でやっているはずだ。

混交林づくり

保持林業も広がっているし、針広混交林づくりも各地で行われている。奈良県なんぞ市町村別にやっている。そうした事例を網羅してくれたら、参考になると思うのだが。

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