土倉翁の山で火事が起きない理由
某氏より、土倉庄三郎についての記載のある文献を教えてもらった。
「名士奇聞録」というのだが、国会図書館にある。明治44年の発行らしいが、そこに登場する土倉庄三郎の項目が素晴らしい。タイトルからして「土倉庄三郎の美徳」である。
庄三郎の人望を語っているが、絶対に土倉の山では煙草を吸わない。農具が遺棄されていたら持ち帰って届けるという。農具というのは林業道具も含むのだろう。だが、 重要なのは「若し其山林に火あらしめんは我の恥辱なり」という言葉だろう。
煙草を吸わないのも、そのためであり、結局は、山火事を起こさないのは、彼(庄三郎)の徳望ゆえなのだ、と。
これは、山林火災が相次ぐ昨今、身に沁みますね。もっと考えれば、庄三郎という人そのものというより、山林への愛、思い入れなのだと思う。(あの人の)山林を傷つけてはならぬという強い思いが必要なのだ。
どうだろう。現代にそうした精神があるだろうか。
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『山林王』で取材いただきました兵庫の播州清水寺の現住職の妻です。
前住が亡くなり義父が大事にしていた土倉さんとのご縁を私なりに調べています。
『山林王』を拝読中です。
とても素晴らしい方ですね。
田中さんのブログを見つけて思わずコメントさせていただきました。
投稿: 清水谷美穂 | 2025/06/04 10:20
ご連絡ありがとうございます。
清水寺も代替わりされましたか。芳水塾のみなさんと一緒に訪問させていただきました。その節はお世話になりました。
清水寺を訪問した際のことは、以下に記しています。もちろん『山林王』にも詳しく書きました。
http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/2009/06/post-38d8.html
ご縁がありましたら、また訪問させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
投稿: | 2025/06/04 11:40