森林林業白書に生物多様性
今年の(令和6年度)森林・林業白書が公表された。
全体を読むのがキツければ、概要版もある。ともあれ、今年の特集テーマは「生物多様性を高める林業経営と木材利用」だ。
これは画期的というか、ようやくというか。これまで林野庁はかたくなに生物多様性を拒んでいた。そんなことないよ、という人もいるだろう、一応は環境問題を取り上げたり生物多様性という言葉も散りばめられていた。が、中身がない。というか遊離していたと思う。
環境配慮や生物多様性を持ち出すと木材生産が落ちると言わんばかりだったのだ。林業としては木材生産一本槍であり、量的拡大のためには生物多様性など持ち出されては困る、という態度が如実に出ていた(と、私は読み取っている)。それが、白書の特集に取り上げたのである。おそらくネイチャーポジティブなどの広がりで環境省が力を入れているので、便乗というかおつきあいなのだろう。どこまで本気かはともかく。
事例もたくさん載せている。
宮崎県諸塚村のモザイク林。椎茸栽培や林内放牧などを行っていたことから成立した針広モザイク混交林だった。
問題は、肝心の現場の施業法が生物多様性保全にどこまで配慮しているかなんだが、本当に政策でも生物多様性を推進していくつもりはあるのだろうか。それは十分に読んでいないので、よく分からない。
ただ保持林業も紹介しておりますな。この保持林業は皆伐を前提としており、私にいわせれば従前の施業法との折衷案にすぎないと思っているが、まあ、全山皆伐よりはよっぽどマシだ。
さて、事例を紹介するだけで済ますのか、本気で政策的に推進する気があるのか。
まあ、高みの見学しますか。
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