アメリカの森林政策と権威主義
以前から時折触れてきたトランプ大統領の森林政策。いよいよ伐採推進へと舵を切った。
トランプ政権はこのほど、手つかずの広大な国有林を開発と木材伐採のために開放し、25年間続いてきた保護措置を撤廃すると発表した。見直しの対象となるのは約2300万ヘクタールで、米国で14番目に大きいアイダホ州とほぼ同じ面積に相当する。
ようするに「伐って伐って伐りまくれ」政策である。
これまでは、クリントン大統領時代の2000年に導入した国有林の「ロードレスエリア政策」は、アメリカの国有林のおよそ3分の1にあたる未開発地帯を保護してきた。それを伐採して木材を生産するというのである。
3月に「トランプは森のラストベルトを救うか」という記事を書いたが、正確には森のラストベルトを救いたいのではなく、木材を自給したい、他国から買いたくないのであろう。アメリカ第一主義を唱えているが、そのアメリカの環境には興味なく、経済を強くすることだけなのだ。
自国第一を唱える為政者は、どうも環境に目を向ける者が少ない。独裁者ほど自然に興味ないのか……と思い掛けたが、そうでもない。
たとえばヒトラー。彼は自然保護に熱心だった。ナチス林業と呼ばれる林業形態も推進して木材の増産をめざしたが、実は結構保護している。(戦争が深まるとそうは言っていられなくなるが。)彼自身がベジタリアンであり、有機農法を推進したことでも知られている。神秘主義に陥ると環境保全的になるのかもしれない。また中国の習近平も、森林保全と植林には力を入れている。意外と、自然保護と独裁者には親和性がある。
その点からすると、トランプは権威主義指導者として二流(笑)。
では、実際のアメリカの林業はどのような状態なのか。ちょっとGooglemapでアメリカ北西部を見る。
意外と皆伐地、それも大規模なものが多い。すでに伐っているところではかなりの規模である。
さて、アメリカで木材の増産が進めることはできるか。衰退した林業は簡単には蘇られない。林業労働者も減っているはずだ。それにアメリカの物価からは結構高くつく。アメリカでも需要が増えるかどうか。日本へ輸出しようとしても、カナダもあるし、あまり増えるように思えない。
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伐りまくった末に、余った原木や製品を日本からの輸出製品の代わりに買わされそうですね。
国内の木材産業保護の為に、関税の再検討が必要だと思います。
投稿: 山のオヤジ | 2025/06/29 10:11
実際にアメリカで木材を増産するほど余力があるのか怪しいですが、伐りまくっても、高くついて売れるのかどうか。
日本だって高ければ買わないだろうし。国産材が安いうちは、米材輸入は伸びないように思える。
投稿: 田中淳夫 | 2025/06/29 11:07