EUDR撤回動議、世界的なバックラッシュ
EUDR(EUの森林破壊防止規則)が逆波にさらされている。
欧州議会、森林破壊防止デューディリジェンス規則の実施規則撤回を求める動議を採択
EUDRについては、私も幾度となく書いてきた。
その強力で「合法でもダメ」という斬新なこの規則は、森林破壊を止める画期的な制度となる可能性があったのだが、その厳しさ故に、なかなか実効化しにくい。すでに1年実施を延ばしている。加えて、今度は欧州議会で撤回動議ときたか。
たしかに実施するにはハードルが高すぎて、すぐには対応できないとは思っていた。それでもやる気を見せるところにヨーロッパのたくましさを感じていたのだが……その前に撤回を要求する政党が現れたわけだ。
動議を主導した中道右派の欧州人民党(EPP)グループは、実施規則は実態に即しておらず、事業者に不要な負担を強いるものだと批判。デューディリジェンス義務を大幅に緩和する「リスクなし」という新たな区分を加えるべきだとしている。ただし、「リスクなし」を追加する修正案は、社会・民主主義進歩連盟(S&D)グループ(中道左派)や欧州刷新(Renew)グループ(中道)などにより2024年に1度否決されている
18の加盟国(注)は連名で、EUDRはさらなる簡素化が必要であることから、適用開始を再度、延期すべきとする書簡を欧州委員会に送った。欧州委は既に法改正を伴わない簡素化を実施しているが(2025年4月17日記事参照)、それでも軽微なリスクしかない国の事業者に対し過剰な義務を課していると指摘。EUDR対応により、原材料費などの高騰が予想されるほか、EU域内の事業者が域外に製造拠点を移す可能性もあると強調する。
見た目は、延期のときのように「すぐに実施するのは間に合わない」風ではあるが、ようするに、これはバックラッシュだろう。
バックラッシュ(backlash)とは、ある流れに対する反動や揺り戻しのこと。政治的または思想的反発、反感の意味もある。とくにグローバリズムやフミニズム、ジェンダー、そして環境政策などによく起きる。
トランプ大統領が代表的だが、進歩的政策に対する嫌悪感を元にする反動だ。さらに発展して反エリート、反科学(反ワクチンなども含む)的形態を取りやすい。
この現象を個別に論じるつもりはないが、これって、単に新しいことはイヤということだ。
見た目は右翼政党が主導してリベラルたたきに使うことも多いが、実は左翼政党だって似たことを唱える。私は、バックラッシュの根幹は、理解するのが難しい内容に対する反発だと思っている。いくら論理的に正しいと言われても、複雑で理解しづらい……理解したくもない気持ちが生み出すのだろう。自分達に負担がある場合、これまでの自分を否定されることへの反発でもある。
それは、問題に対する解答を、早く、簡単に、求める陰謀論と根っこが一緒だ。EUDRも難しすぎたか。(こういうと右翼も左翼もアホだから理解できないということになるが。)
まだ動議が出ただけだが、欧州委員会はいかに対応するか。記事には「実施規則を速やかに見直す必要があるとする一方で、今回の動議の真意はEUDRの適用開始のさらなる延期にあるとして、実施規則の撤回には反対している。 」とあるが、もはや気候変動も生物多様性も、みんな危機に陥っている。日本も便乗したがっている連中は多そうだ。
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