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2025/08/03

理解していなかった歌の真意

谷山浩子の歌に「ほおずきランプともして」という曲がある。なんとなく郷愁、ノスタルジーをそそる調べなので好きな曲の一つだが……先日谷山浩子のXで「かたつむりの歌です」という書き込みがあって仰天した。

え、かたつむり? ほおずきランプって、赤い果実を灯籠に見立てて、お盆などの死者を弔う行事に使われるが……だから、私も郷愁を感じていたのではないのか。この季節、花屋などの店先に、よく並んでいるではないか。それがかたつむり……?

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焦って「ほおずきランプともして」の歌詞を追いかける。すると……
ほおずきランプ 灯して待つ
あのひと待つ  静かな窓辺
から始まるのだが、その後に

あじさいの葉うらで
あたしのツノにくちづけしたよ
という文言があるではないか! カタツムリだったんだ!アタシはツノのあるカタツムリなのだ。
その後には「緑の娘」も登場するが、これはなんだ、えっヒゲが生えている? そのヒゲを食べた? いきなり不穏な光景が目に浮かぶ。まさに谷山ワールド!

思えばどんな歌を聞いても、その裏に秘めた内容を完全に理解しているかと言えば怪しい。メロディだけを聞き取って自分なりの解釈をしているだけではないか。歌詞だって目を通していても、十分に脳内咀嚼しているわけではない。人の理解力は、そんなに高くないのだ。

と、歌の真意に驚いたところで思い出したのが、小学生の頃に歌った(歌わされた?)「お山の杉の子」の歌である。私は、アンデルセンの「みにくいアヒルの子」とか童話「うさぎと亀」のような、最初は小さくても成長すると立派になるよ、ゆっくり進んでもちゃんと追い抜けるよ的な寓話のイメージを持っていた。なにしろ歌詞は、次のように1番が始まる。

むかしむかし そのむかし
椎の木林のすぐそばに
小さなお山が あたっとさ あったとさ
丸々坊主の禿山は
いつでもみんなの笑いもの
これこれ杉の子 起きなさい
お日さまニコニコ声かけた 声かけた

さらに
昔々の禿山は 禿山は
今では立派な杉山だ
とか
強く大きく逞しく
椎の木見おろす大杉だ 大杉だ

といった歌詞が続くのだから。はげ山に植林して、立派な大きな杉を育てようぜ、という歌。

2_20250803163501天然杉苗

そして5番にいたると

大きな杉は 何になる
お船の帆柱、梯子段
とんとん大工さんたてる家 たてる家
本箱 お机 下駄 足駄
おいしいお弁当 食べる箸
鉛筆 筆入れ そのほかに
楽しや まだまだ 役に立つ 役に立つ

となる。杉の利用法まで言及するとは。

杉は役に立つよ、椎の木などの雑木よりも、杉はいろいろ有用なのだ、という歌でもあった。

林業讃歌だったのか。

戦後の植樹祭が始まるときに歌われたらしい。今の世の中で、この歌をもう一度流行らせられないか。再造林の歌として(^_^) 。
皆伐進めてはげ山つくり、でも杉の子植えましょ、杉を育ててもう一度森をつくりましょ、と歌うのだ。再造林の裏側に、少子高齢化対策の意味を秘めた歌にするのも手か。

だが、そこで新たな事実を知る。実はこの歌も変遷があって、戦後歌われたのは改変されたものであった。なぜなら元歌はGHQに禁止されたからだという。それで調べると、歌詞がかなり変えられていた。

5番の元の歌詞は
大きな杉は 何になる
兵隊さんを運ぶ船
傷痍の勇士の寝るお家 寝るお家

である。そして6番は次のよう。

さあさ 負けるな 杉の木に
勇士の遺児なら なお強い
体を鍛え 頑張って 頑張って
今に立派な兵隊さん
忠義孝行ひとすじに
お日さま出る国 神の国
この日本を守りましょう 守りましょう

これは、かなり強烈な戦意高揚の歌だろう。杉の木に負けるな、とはどういうことか。傷痍の勇士である。勇士の遺児である。戦争行って大怪我おったり死んだ兵士の息子を動員する歌であった。子供向きながら、杉の植林を題材にしっかり忠君愛国を謳っている。

しかし、歌っていた当時の子供らは真意に気づいていたのか。
人間の理解力は、想像以上に低い、というのが私の持論だ。歌詞の何割を身につけたか。歌の真意は伝わっていないかもしれない。たとえば私の書く記事や本の内容を、読者がどれほど理解しているかと考えると、せいぜい3割ではないかと思っている。常にわかりやすく、理解しやすい構成と言葉づかいにしているつもりだが、それでも3割行かない可能性が高い。流し読みして記憶に残るのは、1割以下ではないか。

さらにネットなどでは冒頭しか読まない、いやタイトルだけで中身を判断する人が少なくない。読まずにコメントをつけることまで横行している。勝手に中身を想像して、それが文意だと信じ込む。脳にはそんな機能もあるのだ。もはや何を書こうが、どんなに苦心してわかりやすくしようが無駄。

付け加えると、読者の程度が低いと言いたいのではなくて、人間とはその程度だ、という意味だ。仮にじっくり読んで全部理解していたとしても、読後数週間でかなりの部分を忘れて残るのは3割がいいところ、いや1割でもよい方かも、と思っている。私自身も含めて。(このように書いておかないと、また誤読する人か出る。でも、読むかなあ。)

だから、頭に残る3割の中に、私の言いたい根幹の部分を入れることに注力する。細かな点は忘れても、理解できなくてもよい。ただ伝えたい根幹を忘れさせない。そんな覚悟で執筆している。誤解している点があっても瑣末な指摘をするのは、根幹の理解に棹さすからスルーする。

そう、人は他人の意見を全部理解できない。これを肝に銘じておく。

……それでも、カタツムリが「ほおずきランプ」で待っている「あのひと」とは何だ。カマキリかも泣)。。。

 

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