地球の未来を「総力戦研究所」で
先週末のNHKスペシャル「シュミレーション」。昭和16年夏に敗戦を予言した総力戦研究所の物語を二夜連続で見た。
この総力戦研究所は以前より興味があった。だから見応えはあったが、なぜドラマにしたのか。どうせなら完全ドキュメントか、正確な再現ドラマとしてほしかった。妙なフィクション仕立てにしたために、内容がどこまで現実なのかと惑わせられる。実際、総力戦研究所所長だった飯村譲の孫の飯村豊氏から抗議を受けている。敗戦必至の結論を出すことを所長が邪魔したような内容に描いたからだ。現実は、邪魔どころか発表を後押ししている。
やはり驚くのは、見事なまでに戦局を予言したことだろう。たとえば日本本土への初の空襲は1942年3月に行われると予想した(現実は4月)。中立条約を結んでいたソ連の参戦も予言した。その他、もろもろの展開を、民間人も含めた研究所員は、たった数か月の研究で浮かび上がらせたのだ。忖度なく研究すれば、ちゃんと未来は予想できる。
それで思い出したのは、先にブックオフで目にして、購入したナショナルジオグラフィック誌2020年4月号。奇妙な造りになっているのだ。
右から開くか、左から開くか。それによって、今後の地球の姿が変わってくる。
「傷つけられた地球」では、気候変動を止めることはできず、災害の蔓延した世界。温暖化ガスの削減ができなかったら、地球の気候はどうなるか。地球の居住可能地域は減っていくだろう。温帯諸国も、夏は暑すぎ、自然災害の多発で農業は壊滅、経済活動ができなくなる。難民続出、飢餓拡大、戦争多発。
「守られてきた地球」では、危機を克服した世界。
後者は、ちょっと嘘くさい(笑)。無理だろう、という楽観的な、いや必死で好転するネタを探したような。化石燃料を全部再エネ電気に変えたって、副作用がいっぱい出るはず。若者が頑張ってもねえ……あ、これは言っちゃダメか(^^;)。
でも、とりあえず二通りながら、予測はしている。問題は、そこで指摘されたことを世の中の為政者は活かせるだろうか、という点にかかっている。必敗を引っくり返す努力をするかどうか。
地球の未来は、エネルギーだけでなく森林政策も重要だ。ただし森林を林業なんて狭い世界で考えてはいけない。森林をいじることで気候変動が激甚化して農業の壊滅、漁業の滅亡、疫病の蔓延……と地球を狂わす引き金になるのだから。
ドラマ「シミュレーション」では、必敗の報告を受けて、東条英機首相も一応は開戦回避に動く。しかし空気に飲まれて開戦してしまう……と描かれていた。その解釈は面白いが、今の政治家は、そんな東条英機ばかりだ。その方向はダメだ、と思っても目先の事情に追われて政策を変える努力をしない。空気に逆らうことから逃げて、むしろ流されることを選ぶ。
私も、未来をシミュレーションをしてみるか。
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