EUDR、再延期か
EUDR、EUの森林破壊防止規則の発令がまたも延期になりそうだ。
EU、森林破壊防止規則の開始をさらに1年延期へ 欧州メディア報道
EUDRとは、EU内に森林関連製品を輸入販売、あるいは輸出する企業に対し、製品が生産される際に森林破壊を引き起こしていないかの調査(デューデリジェンス)を求める制度。
ものすごく地味で複雑で海の向こうの話なので、気がつかない人もいるだろうが(^^;)、私も、何本も記事にしてきた。
こんな規則が制定されるなら、もし世界中に広がるなら、地球は変わる!ぐらいに思えた。
なぜなら、「合法でもダメ」なのだから。合法でも森林破壊は許さない。そんな意思をEUは示したのだ。
日本も他人事ではない。対象となる森林関連製品は木材、パーム油、大豆、牛肉、コーヒー、カカオ、天然ゴムの7品目にくわえて、これらを原料に作られる紙やチョコレート、タイヤ、皮革、家具といった「派生製品」も対象になるのだから、日本も直撃なのだ。
ただ昨年12月にスタートするはずが、1年延期とされた。そして、その延期期限が近づいてきた今、再び延期するかもしれない……。
実は、今年6月ごろにも、そんな動きが見えた。EUの中のいくつかの国が延期をぶち上げたのだ。そして、いくつかの点で異議を申し立ててEU議会で議論しかけていた。
私は、その動きを捉えて、ちょうど執筆中だった雑誌で取り上げようとした。EUDRに逆風というだけでなく、世界中に反環境の嵐が吹こうとしている……。だが、書いてから悩んだ末に引き下げボツにした。
やはり、まだ不確定要素が多くて、まだ再延期になるとは言えないからだ。それから、あわてて別の記事を書かねばならない……とバタバタしたのであった。
しかし、とうとう本気で再延期する動きが始まったか。
23年の発効時には、大手企業には24年12月30日から、中小企業には25年6月30日から義務付けを始めることになっていた。だが24年12月、EU理事会と欧州議会は、これらの義務の適用開始を1年延期する改正案に合意。大手企業は25年12月30日から、中小企業は26年6月30日から適用されることになった。ここからさらに1年延期する可能性が高まった。
ロスウォール委員から欧州議会環境委員会のアントニオ・デカロ委員長と議長国デンマークに送られた23日付の書簡によれば、企業から提出された情報を管理するIT(情報技術)プラットフォームの機能に懸念があることが理由だという。
もちろん、まだ決定ではないし、完全否定しているわけでもない。しかし、世界的に反気候変動対策、反人権、反SDGs……の動きが強まっているのは事実。
画期的だった「合法であっても森林破壊したらダメ」というEUDRの原理を葬られてしまうことのないように今後を注視したい。
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