土倉家の家紋の植物を読む
土倉家の家紋入り袱紗を見せていただく機会があった。
長く土倉庄三郎を初めとする土倉家について随分調べてきたのに、家紋については目を向けていなかった。
この家紋を、「隅切り角に立ち沢瀉」という。読み方は、「すみきりかくにたちおもだか」。隅切り角というのは、周りを囲んでいる枠の隅が切られているものを示す。沢瀉とは、オモダカという植物名。水田やため池、沢などに自生するオモダカ科の多年草だ。
このオモダカの花と葉を図案化しているのだが、それが立っているから立ち沢瀉なのだろう。オモダカは面高とも記す。
沢瀉紋について調べてみた。
瀉の葉の形は、矢尻に似ていることから「勝軍草」「勝ち草」ともいい、戦陣の縁起物とされ多くの武将に好まれた。また「面高」と呼ばれるように「面目が立つ」という語呂にも通じる。
戦国大名「毛利元就」が沢瀉にトンボが止まっているのを見たあとに戦に勝ったことから、吉祥のものとして毛利家の家紋とった……という伝説もあった。この沢瀉紋を使う武家は、椎名、梁田、毛利、木下、浅野、酒井、堀越、沢井、水野、土井、福島など、わりと多い。
そこでよく似た家紋を探してみた。
いろいろある。
土倉家とは、どこでつながるのだろう。土倉家の素は楠木家とされるのだが、楠木正成の使った家紋は菊花と流水、いわゆる菊水である。しかし、それは後醍醐天皇から下賜された紋なので、その前の紋があったのかもしれない。
しかし、オモダカは水田の雑草だと思う、写真で見ると、小さくて見映えもよくない。しかし平安時代には蒔絵の紋様にも描かれた。そして古武士たちは有り難がって紋や衣装のデザインとした。そういえばオモダカの一種クワイは、「芽が出る」縁起物である。
日本人と植物の関係は、家紋から見ても趣がある。
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