「修理する権利」訴訟
最近、身の回りの機材がよく壊れる。
昨日は、コピー機が上手く紙を吸い込んでくれないので修理を頼んだら、訪問修理すると最低2万2000円、時間がかかれば(30分以上)その分が増えていく。交換部品代別。しかも私の機種は20年以上経つので製造中止になっており部品もないだろう……と言われてしまった。ようするに修理は厳しいということだ。ちょうどトナーを交換したばかりなのに。
A3まで複写でき、縮小拡大も可能な高性能タイプなので、買い換えると数十万円するようだ。かといってリースするほど毎日使用しているわけじゃない。
もうコピー機は諦めるか。プリンターでは厳しいときもあるのだが。(だいたいプリンターもインクを購入したばかりの時に壊れて買い換えたのだ。)しかし、使えないから引き取って、といったらまたもや有償である。
一方で我が家のトイレのウォシュレット便器。サイドからポタリポタリと滴が落ちる。1日で受け皿に深さ数ミリくらいしか溜まらないが、メーカー販売店に修理を依頼すると「交換です。同じ機種なら30万円」と来た。アホな、と断って、サイドを開けて私が分解してみる。傷んだ個所はわからなかったが、全部清掃して再び設置すると治った。素人の私ができたことをせずに、買い換えを勧めてくるのかよ。数か月に1回ぐらい、掃除する覚悟はいるが。
ただ単純に買い換えさせるために修理はできない、というのではなくなっている。最近は機械も複雑になってスマート化の名の元にIC技術が入ってくると、簡単に修理もできなくなった。外部の者が勝手にいじれないようブラックボックスを設けているのだ。
アメリカでは、スマート化した高性能農業機械の修理ができないことで訴訟となっている。大規模農場だと巨大農機が多く使われていて、自身で修理工房も抱えている農家も多い。あるいは修理専門会社もある。ところが、メーカーは勝手な修理をさせなちなってきた。
こうした動きは、使用者の「修理する権利」を奪っているということで問題になってきた。すでに修理する権利訴訟は世界的な大きな社会運動となっている。日本でもスマホの電池を自分で交換できないことを指摘する声もあるが、あまり大きくないようだ。
もちろん電子機器やソフトウェアが絡むと、勝手にいじられると余計に壊れるという考え方もあるが、同時にブラックボックスゆえの秘密保持も絡むのだろう。パテントとは別に、技術の著作権的なものを主張するメーカーもある。
2022年6月、アメリカのニューヨーク州議会では「修理する権利(Right to repair)」が可決された。電子機器メーカーに、23年半ばから修理に必要なパーツやツール、修理マニュアルを提供することが義務づけられている。
日本人は、あまり自身で修理する覚悟はなさそうだ。昔の農機具ならいざ知らず、現在では故障したらすぐJAかメーカーに頼んでしまう。高齢化が進んで電子化についていけない人も増えた。今後、もっとスマート化が進めばどうなるか。
そしてスマート化を推進する林業機械も、メンテナンスという点からすると極めて危うい。修理だけでなく、カスタマイズも絡んでくる。各地で必要とする性能が違うからだ。しかし、日本の農業や林業の規模だと、メーカーも対応してくれない可能性もある。
スマート林業機械の修理を依頼したら、どれほどの金額になるか。今でもアタッチメント交換だけで数千万円というケースもあるそうだ。
スマート化という言葉の裏に潜む機械メンテナンスの落とし穴かもしれない。
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産経新聞、9月9日のネットニュースから
県立奈良南高校に、奈良県教育委員会は
伝統建築を守る技術を習得する「伝統建築科」を
令和8年度4月に新設すると発表
県立奈良南高校、令和3年4月に大淀高校と吉野高校が
統合して誕生した高校で5学科あるうちの定員割れの
続いている、建築探求科と森林・土木探求科を廃止
社寺の修復技術に特化した、伝統建築科を設置する
新設学科、宮大工の技術を教えられる先生って
奈良県内でどれだけいる?
もともと、職人の世界だから師匠と弟子が仕事しながら
机上論でどこまでできるんだか
投稿: 奈良県ネタ(これも修理?) | 2025/09/10 05:16
これは「修理」ではありませんね。
生徒を集めるために、あの手この手の「改革」、試行錯誤でしょう。
投稿: 田中淳夫 | 2025/09/10 08:40