高校の森林系は消え伝統建築科へ
奈良南高校の学科の再編が発表された。
奈良県教育委員会は県立奈良南高校に宮大工を養成する全国でも珍しい「伝統建築科」を新たに設置することを決めました。
「伝統建築科」が設置されるのは、大淀町と吉野町に学舎がある県立奈良南高校です。
県教育委員会によりますと、高校では毎年、定員割れが続いているということで新たに宮大工の育成や伝統建築の技術に特化した「伝統建築科」を設置し「普通科」と「情報科学科」をあわせた3つの学科に改編することを決めました。
これ、伝統建築科の新設にスポットを当てているが、個人的には森林系がなくなったことに目が止まった。
奈良県立の奈良南高校は、最近、吉野高校と大淀高校が合併してできた新設校である。そして吉野高校には、森林科学科、さらに以前は林業科のあった高校であった。
少し歴史を概観すると、1902年(明治35年)に設立された農林学校に原点があるのだが、そこに林科があって定員は38人と農科よりも多かった。そして1923年に吉野林業学校となる。さらに川上村に移転して演習林も約90ヘクタールある全国屈指の林業学校となる。川上村こそ吉野林業の中核という思いが強かったのだろう。
卒業生には官庁や銀行、医師もいて、海外渡航する者も多かった。政治家や財界も輩出している。
戦後は、一時期普通高校に再編されたが58年に再び林業高校へ。そして珍しい高校の林業博物館も設置される。ここには、実はとてつもないブツが並んでいるのだが……正倉院や法隆寺の遺物とか台湾の植物標本とか……それはともかく、78年に工業高校と合併して吉野高校になった。また川上村から吉野町へ移転もしている。
だが、生徒数の減少に加えて、林業界に就職する者はほぼゼロ状態が続き、合併続きで 森林・土木探究科 になるのだが……。
それでも生徒数減少に歯止めがかからず、今回の「伝統建築」の分野に衣替えすることになったわけだ。「森林」という分野より、建築の方がまだしも生徒にウケると睨んだか。今回の再編で、完全に森林分野は消えることになる。100年以上の歴史も打ち止めだ。
かろうじて材料は森林から伐りだす木材だよ、それは林業だよ、という程度には基礎教養で残すのかもしれないが。基本は大工養成だろう。
まあ、奈良と言えば大仏とシカだけでなく、伝統建築である(^^;)。現役の宮大工が講師となるそうだし、2級建築士や木造建築士の受験資格も得られるらしい。伝統建築に特化した公立高校の学科は関西では初めてのようだ。新潟県や熊本県にはあるが。
なお旧吉野高校の校舎には、奈良県立フォレスターアカデミーが誕生している。歴史的経緯は違うし高校でもないが、こちらが林業の学びの伝統を引き継ぐのだろう。
« なぜ黄変?ゴーヤ続報 | トップページ | 海遊館があるなら森遊館があってもいいじゃないか »
「林業・林産業」カテゴリの記事
- 紙か髪か、石油か木材か(2026.04.02)
- 「木材活用」を論じる場の不可解(2026.03.07)
- 立木価格と製材価格の移り変わり(2026.02.21)
- 皆伐再造林は「ちょい悪」(2026.02.12)
- スルメイカで起きたことは森林循環経済に通じる(笑)(2026.02.06)






























大工ふくめて人手不足について一般論かもしれませんが、学校をつくるだけで、なり手が増える保証はないとおもいます。学校がないからなり手がいないのではないからです。
投稿: | 2025/09/14 09:23
もちろん就職先、そして待遇は重要かと思いますが、高校レベルではまず大工という仕事に触れることでしょう。大工の存在を知らないから。今風の電動工具ではなく、伝統工具を使ってね(^_-)。
投稿: 田中淳夫 | 2025/09/14 10:14