宮崎県盗伐被害、ついに裁判へ
このところ、裁判所に通ったり司法関係の書籍や資料を読んで勉強したりすることが続く。
もともと事件報道的なテーマは手を出さないと決めていた。目先の事件ものは一過性だと思っていたからである。だが、『盗伐 林業現場からの警鐘』を手がけたことや、地元のメガソーラー問題に顔を突っこんだことから、触れざるをえなくなった。そして日本の司法制度に絶望しかけている。
日本は「法の支配」ではなく「人の支配、法による支配」ではないか……と気づいたからである。冤罪事件の発生はおぞましいが、実は反対に事件にされない事件があまりに多いことにも気づいた。門前払いである。警察、検察、判事……らが、恣意的に取り上げない案件がいかに多いことか。それなりに理由はつけているが、まるで加害側を庇うかのよう。
とまあ、ぐだぐだ嘆いても仕方がない。まったく立件されない盗伐事件も、民事とはいえ、一部でついに裁判が始まった。宮崎地裁である。
ここで盗伐内容を説明するのは差し控えるが、この訴状の請求金額を見てほしい。
かたや1953万6000円、かたや434万2800円。この金額。もちろん盗伐された森の面積は違うが、通常の業者が「誤伐の賠償金」として提示するのは、その100分の1ぐらい。通常の盗まれた材積の価値も、この10分の1くらいだろう。請求額とはいえ、ぐんと上げたのである。
もう一つ重要なのは、請求先(被告)の中に都城地区製材業協同組合が入っていることだ。つまり盗伐された木材を買った側の業者にも責任を追求している。この画期的なことがわかるだろうか。
ようするに「買っただけ」の業者でも真面目に仕事すれば、納入された木材が違法伐採の可能性が高い怪しい物件であることはわかるはず、と切り込んだ。グレーでもダメ、という論法だ。
これが疑惑の業者たちのプレッシャーとなるかどうかに注目である。もちろん判決を待たないといけないが、巨額請求を抱える被告になるだけでも心理的な圧力は発生する。
盗伐問題だけではない。私の見立てだと、宮崎県の林業はあと10年もすれば崩壊する。宮崎県の森林の可能資源量(経済的に採取可能量)が底を突くからである。今の伐採量とコストを維持できなくなり、機械化を進めた業者は小回りが利かずに採算が合わなくなる。倒産・廃業が多発するのではないか。おそらく補助金投入や違法行為で先のばしを図ろうとするだろうが、長くは持つまい。もしグレー木材への目が厳しくなれば、いっそう難しくなるだろう。
賢い業者は、今から転換を模索すべきだろうね。実は転換する方向はいくらでもあるのに、それに目を向けないことに絶望するのだ。
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以前にも投稿させていただきましたが、今の時代に盗伐があり、しかも警察・検察が動かない県が日本にある事が信じられません。買っただけの業者もプロなのですから、善意の第三者とは思われませんね。連座して当然でしょう。これは拍手です!未利用材のバイオマスロンダリングと言い、極刑を与えないと止まない闇の木材業界です。次は「暗闇の林業」をお願いいたします(笑)
投稿: 山のオヤジ | 2025/11/11 22:09
盗伐が常態化している日本の林業は、もはやイリーガルな、反社的存在に近いのかもしれません。もちろん木材産業もそれに連なっている。
何より林業家が、この問題に真剣に向き合わず「盗伐は必要悪」的に見ていることに絶望する。
そんな産業に、莫大な税金が注ぎ込まれ、応援する市民もたくさんいる……悪夢ですね。
今回の裁判は、ほんの一歩にすぎませんし、司法がいかなる判断をするのかも予断を許しませんが、まずは当事者が問題を認識することです。
投稿: 田中淳夫 | 2025/11/12 09:21