気持ち悪い「森の国・木の街づくり宣言」
林野庁が今、力を入れているのは「『森の国・木の街』づくり宣言」だろう。絶賛、参加者募集中である。
ようするに、木造建築物などを通じて、温室効果ガス排出量削減の見える化する、というものだが、そこに参加する自治体や企業の募集が行われているのだ。宣言は、和歌山県や秋田県、岐阜県のほか、住友林業や大林組といった企業や各地の木材協同組合などして、現時点で200団体を超えた。3月いっぱいまで募集して500をめざすそうだ。
あの手この手の木材利用推進策なのだが、その理屈は、
森林資源を次世代に継承するとともに、地球温暖化の防止や地域の活性化を図っていくためには、「植えて、育てる」とともに木を積極的に「使う」ことが欠かせません。特に、木材は建築物等に利用することで、森林が吸収したCO2を都市に長期間固定することに加え、製造時のCO2排出量が少ないことから、木材利用は地球温暖化の防止に貢献します。
これがトンデモな嘘であることを私は幾度も繰り返して著してきたが、まったく効果なしである。
なんで、木を伐って炭素が蓄積できるのよ、という根本的な疑問と現場を見ていない。伐った木のうち建材になるのは何%なんだ? おそらく3割以下だ。
それに建材になる高齢樹木(約80年生)は、CO2の吸収量が若年樹より大きいという科学的なデータをまったく無視している。炭素吸収が衰えている木を利用すると言うなら、スギやヒノキは少なくても樹齢150~200年ぐらいまで残すべきだろう。
そして皆伐などもってのほかだ。森林生態系を破壊する……というか森をなくすのが皆伐なのだから。生物多様性を壊すことになり、ネイチャーポジティブに深刻な打撃を与えるだろう。再造林するのもゴマカシである。するなら伐った3倍以上の面積が必要だろう。現状は十分の一だ。
ようするに林野庁は非科学的なのだ。
なお来年4月より、自治体や企業が新築の建築物に木材を使った場合、木材の炭素貯蔵量を排出量から差し引ける制度を開始するそうだ。見た目の数値だけだが。
この「宣言」をする条件は、ほとんど何もない。審査もしない。言い放しである。「敷居の低い制度にした」そうだ。
宣言だけならタダだし、私もしてやろうかな(笑)。庭の木を剪定して、その枝で何か「建築物」をつくるとか(⌒ー⌒)。
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林野庁にはもううんざりです。
投稿: くま | 2025/12/02 22:10
木材として炭素を固定する。これだけは事実なのですが、それを生産・流通させるために排出するCO2や耐用年数、腐れる、壊れて燃やすなどしていつかはまたCO2が出る。それらを相殺できるほどなのか。そうした計算抜きにこういう宣伝するから気持ち悪いのですよね…
投稿: 0 | 2025/12/03 08:56
本文には触れませんでしたが、木材を生産や流通させるためのCO2排出もありますね。建材にならない部分はバイオマス燃料か、製紙原料……という言い訳も聞きますが、いったいどれほどの割合か。林内に残す枝葉や根株は腐るだけです。
おそらく林野庁の中にも、そうした理屈はわかっている人はいるはずですが、口に出さない。言えば出世コースから外されるから(-_-;)。
そうした指摘をする記事や出版にも圧力かけているようですよ。
投稿: 田中淳夫 | 2025/12/03 09:39