「荒れた」人工林とは
このところ、クマの出没に関する取材を受けることが多いのだが、そこで私の指摘するのは「クマの生息数が増えた」こと。そしてクマが増えられたのは、山にクマの餌が多くあること。
そこで先方は、「スギやヒノキばかりの森ではクマの餌となる木の実などないのでは」という疑問を出してくる。
それに対して「人工林にも、餌になるものがたっぷりある。とくに“荒れた”人工林には広葉樹がよく繁っている。放置林では立ち枯れしたスギなどが倒れて、光が入るので、実をつける草や広葉樹も生えている」と反論する。
一般に「荒れた人工林」では、間伐も行われていないから林内は暗くて草も生えないというイメージで語られる。たしかに、そんな森もあるのだが、そればかりではないでしょう、と説明している。
また手入れが行き届いた人工林も、間伐が進み林内によく光が入って草や雑木が育っている。それは下層植生となるから、スギやヒノキの成長には影響なく、排除もされない。だから、そこにも餌がある。
……とまあ、口先では説明するのだが、普段森の中、それも人工林の中に入らない人には、あまりピンとこないようだ。
そこで裏山を歩いて見かけた光景の写真を。
スギ林だが、結構倒木が多い。切り捨て間伐ではなく、風倒木だろう。
倒木は徐々に腐朽して、草も生えだしている。この人工林は、大手製紙会社の持ち山だが、いまや周りが自然公園と住宅地に囲まれているので伐採搬出は不可能だろう。だから放置状態。最近の台風でよく倒木が出る。
雑木~広葉樹が混交した状態だ。このまま針広混交林に育てばいいと思っている。広葉樹も太くなれば、恒続林的な林業ができるかもよ。
人が混交林に必死に誘導しようと思わなくても、自然と混ざってくるのだというのが私の持論。探せば餌となる草の実、木の実もあるだろう、冬だが。
イノシシのぬた場もあった。かなり頭数がいるみたい。クマがいては困るが、イノシシも増えているのである。
以上、裏山から見た、人工林と野生動物事情でありました。
« 土倉庄三郎は吉野山の桜を守ったか | トップページ | 丹土とベンガラ »
「森林学・モノローグ」カテゴリの記事
- ナラシカトレインの床(2026.03.13)
- お米価格形成の不思議な循環(2026.03.04)
- スギ林1ヘクタールが生産する花粉量(2026.03.03)
- なんで、こんなマグカップで…(2026.03.02)
- マザーツリーの恩恵(2026.02.27)

































「荒れた人工林」ってけっこうあやふやで危ない言葉ですよね。今の林業関係者(林政関係者?)は間伐遅れの真っ暗な人工林を指して言うことが多いですが、一昔前なら不成績造林地さして言うでしょうし。そうなると広葉樹の混ざり方は雲泥の差に…林業だけではないでしょうけど、定義があやふやだと特に一般市民やマスコミに説明するときが難しくて困りますね
投稿: 0 | 2025/12/23 09:00
荒れた、というと木がない状態を想像する人も多いですね。
林業家のいう荒れた森とは、「人が利用する、木材になる木が少ない状態」でしょう。もし広葉樹も利用できるなら、針広混交林は「豊かな森」です。
クマ目線でも餌が豊富なら「豊かな森」ですね(笑)。
投稿: 田中淳夫 | 2025/12/23 10:49
宮脇理論がと本来の土地の森に還っていっているのでしょうか。
投稿: 岡本哲 | 2025/12/24 10:10
宮脇理論的「潜在自然植生」にまで達するには、相当時間がかかるでしょうね。そもそも植林をしていますから。
でも、数十年もすれば、それなりに落ち着いた混交林になりそう。
投稿: 田中淳夫 | 2025/12/24 11:25