林業界の新タコツボ用語?
名古屋市のガス会社、東邦ガスが「森林価値の見える化」サービスの事業化をめざしているそうだ。
森林のCO2吸収量をJ―クレジット化して利益を得ようという発想らしい。具体的には、森林モニタリングをドローンとAIを活用して効率的な手法の確立を目指している。実際にやるのは、京都のディープフォレストテクノロジーズという会社で、ドローンで撮影した画像から森林の状態を解析し、CO2の固定量や吸収量を算定し、クレジットを創出するのだという。
森林計測技術も林業界だけでなく、こうした別分野の会社が別の目的で利用する時代になったんだなあ……と感じていたのだが、そこで私も勉強がてら新たな林業の技術を知ろうと読んだ本がひどい。
何がって、言葉が。アルファベットの略号ばかりが頻出する。
IT、ICTぐらいならいい。社会的にかなり使われるようになっている。しかし、これ、何の意味?と思わせる言葉が並ぶ。
UAV、SCM、GNSS、MVS、SfM、DCHM……そのほかバリューバッキングとかオルソ補正だとか……。
無理して読んでいると、UAVは、ようするにドローンのことだった。私も、そこそこ知っているつもりだったが、ページをもどして、どこかに説明あるかと探したりもするが、それが大変。いちいち頭の中で、この用語の意味は何か考えながら置き換えなくてはならずうんざりした。これ、林業界なら通じると思っているのか。知らない人はどうでもいいのか。
もともと林業界はタコツボに入っていると言われるが、スマート林業とか林業DXとか言い出したことで、さらにタコツボを細分化した新たなタコツボをつくっているような気がする。こうした仲間うち(もっとも、本当の仲間かどうか怪しい)の言葉は、社会との断絶を感じる。
私の著書では、素材生産業者といった言葉は絶対に使わないと決めている。素材生産って、何よ。素材と言えばありとあらゆる物質が含まれてしまう。読者には通じない。だから伐採搬出業者などと言い換えている。多少のずれはあっても、より理解の進むように心がけている。
タコツボ用語を好んで使う業界は、外野の人々を呼び込めずに、どんどん衰退していくと思うよ。
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素材生産は歴史ある業界用語なので、一般向けには原木生産や丸太生産などと言い換えた方がいいかもしれません。一般向けの本を書かれるお立場では、もちろん使わない方がよいでしょうね。
投稿: くま | 2026/01/30 15:35
原木生産でも一般人にはわかりにくいですねえ。
それに伐採することが「生産」だと感じていませんから。
一方で、今どきのスマート林業や林業DXに使われている言葉も、現場の林業関係者にはわからないのではないですかね。乖離が進んでしまうように思います。
投稿: 田中淳夫 | 2026/01/30 16:55
スマート林業や林業DXは林野庁が推進する政策用語で、英語にしても欧米等の海外では通じません。もちろん、一般人にも通じないでしょうね。スマート林業や林業DXで日本の「素材生産業」の何かがよくなると信じている林野庁の人たちに頭を冷やして考えてもらいたいです。他にやるべきことはないのかと。
投稿: くま | 2026/01/30 17:12
〉UAV、SCM、GNSS、MVS、SfM、DCHM
この辺はドローン周りの用語として、既に日本語として成立してるので、むしろタコツボ化してない側の書き方ですなぁ
投稿: sekizuka | 2026/01/31 19:33
林業用語でさえなく、ドローン用語ですか。ならばドローンタコツボですね。林業界には何の関係もない。
投稿: | 2026/02/01 09:30