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森と林業と動物の本

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2026/02/01

森をつくるコーヒー、森を破壊するコーヒー

EUDR、EUの森林破壊防止規則は、森林を破壊して生産した商品は購入しないことを旨とする。

その中にコーヒーやカカオが入っている。森林を切り開いてつくった農園で生産されたコーヒーやカカオによるチョコレートが該当するのだ。

そこで疑問だったのは、あれ?コーヒーやカカオの木は、上に大きな樹木があって、その木陰で育つんじゃなかったっけ?ということだ。つまりそんな栽培でも森林破壊に該当するのだろうか、と思っていた。私は、初めてカカオの木を見たとき、薄暗い森の中の木の幹から直接実をつけているのに驚いたものだ。

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東ティモール: 独立後の暮らしと社会の現場から 』を読んでいたら、その疑問が解けた。

本来のコーヒーの木は、シェイドツリーと呼ぶ大木の下で栽培する。カカオもだ。ここのツリーがあれば、森は維持されている。

しかし、それではコーヒー豆の生産量が多くない。太陽光があまり当たらないから、果実もあまり多くみ実らないのだ。そこで近代的な農園では、すべての木を切ってコーヒーだけを栽培する。当然太陽光が直接当たる。すると生産性が高くなる。コーヒーの木だけだし。

……そんなことができるのか。陰樹を陽樹にしてしまうような栽培方法だ。

ただし、そうしたコーヒーの木は、寿命が短くなる。コーヒーだけの人工林となり、害虫も病気も発生しやすく、また化学肥料の大量投与が必要となって、20年経たずに生産できなくなる。そこで植え替える……という栽培法なのだという。だからこそ、森林を切り払ってコーヒー農園をつくっているのだ。EUDRは、それにノーと言っているわけだ。

ちなみに東ティモールのコーヒーは、いまだに「原始的に」、森の中で栽培している。だから生産量は多くないが、永く実り続ける。農薬も使わないし、肥料代もいらない。そして味は最高級だそうだ。

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このシェイドツリーを植えながらのコーヒー栽培は「森をつくるコーヒー」なのだ。

コーヒーやカカオの栽培方法が一昔前とがらりと変わっていることにも驚いたが、そもそも人類と森林のつきあい方を考えるうえでも、参考になる。森にも人にも、ウィンウィンの栽培方法を模索できないか。

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