皆伐再造林は「ちょい悪」
今どきの林業界で話題となるのは、再造林である。
林野庁が再造林率を3~4割と発表したのが大きかったのか(この数値にはいくらか疑問もあるのだが、今は置いておく)、どこも再造林を進めようという合唱が始まった。再造林を進めることこそ、林業界の善となった。率を上げることが喫緊の目標であり、100%達成すれば自慢だ。
が、こんなものクソだ、と思う。100%再造林するのが最低限なのだから。仮に天然更新だ、と言うのなら雑木林でもいいから成林していることを示さねばならない。まさにデューデリジェンスが欠けている。
皆伐して放置するのが「悪」なら、再造林は「ちょい悪」ぐらいか。少なくても「普通」ではなく、「ちょい良し」でも「良し」でもない。ましてや「秀」も「優」でもない。でも100%再生していないのなら「ちょい悪」の中でも「悪」よりである。
いわば林業界の成績表を5段階で示すのなら下から2つ目。1では落第だけど、2でも相当レベル低いでしょ。なんか底辺高校の生徒が、オレは九九を言えるようになったんだせと自慢しているような感じだ。恥じらいがない。
たとえば通常スギ林に生物多様性があるとは言わないが、林齢80年、100年、できれば200年ぐらいになれば生物多様性を含む公益的機能は高くなる。そうすれば「普通」ぐらいになるのではないか。
保持林業や択伐・傘伐林業で「ちょい良し」かな。森を傷めず抜き伐りして木材を収穫するような林業で「良し」。「秀」や「優」の林業とは何かは考えていただきたい。林業することで、生物多様性が増していく状態の施業を。
そもそも皆伐とは森林破壊である。ましてや森林の公益的機能を主張するなら、量的な再生だけでなく、質的、たとえば生物多様性や保水力、土砂流出防止機能……その他も回復させねばならない。が、40年~60年で伐るということは、それらの機能を落とすということだ。
林野庁長官が1月に講演したデータの中に、再造林について触れている部分がある。
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再造林の目的を教えて欲しいです。
針葉樹の保育は、植林して下刈りを何年かしたら終わりではありません。除伐・ひも打ち・枝打ち・切り捨て間伐を経て一番収益の上がる建築用材が採れる山になるのです。そこまで手間と費用をかける覚悟があるなら良いですが、途中で保育止めると、最低単価であるチップ用材生産山林となります。資材や人件費の高騰、人員不足を考えると、例え植えたとしてもロクな山にはならんでしょうな。再造林はちょい悪でなく、拡大造林の失敗を知らない愚か者だと思います。
投稿: 山のオヤジ | 2026/02/12 22:01
何、皆伐後、放置するよりマシという意味の「ちょい悪」ですから。放置して、はげ山のままだとかっこ悪いとか、防災上危険だとか。
ある意味、税金使っての自己満足。
本気で森にする、さらに金になる木を育てるのなら「普通」から「ちょい良し」ぐらいまでは頑張らないと。
投稿: 田中淳夫 | 2026/02/12 22:40