立木価格と製材価格の移り変わり
以前も紹介した、今年1月に開かれた小坂林野庁長官の講演データから、一つを抜き出してみる。
サステナブルな「森の国・木の街」の実現を目指して
林野庁長官 小坂 善太郎
面白いよねえ。スギの立木価格も、丸太価格も下がり続けているのに、製材価格は上がっている。
この現象は、かなり前から指摘されている。私も『絶望の林業』に記した。でも2024年になっても解消される動きはなさそうだ。
なぜ製材価格は上がるのか。これは、いくらでも説明できる。諸物価、コストも上がっているし、木材の歩留りが落ちれば製材業者は減収になるから売れる部分に上乗せして上げる。別に否定しようとも思わない。が、問題は、山元が上げるどころか下がっている点だ。同じ理屈で上げたいはずなのに上げられない理由は何か。これこそ、適正な商取引とは言えまい。
そのあたりを経済学者はどのように分析しているのだろうか。
細かい分析は木材流通の専門家に任せるが、生産者より消費者の方が強いという傾向は世界的に広まっている。
いわゆるバイイングパワーだ。消費力が生産力より強くなっている。買手市場なのだ。アメリカが関税をかけると世界中がオタオタするのも、アメリカの消費力が大きいからだろう。ヨーロッパがEUDRで森林破壊をして生産したものは買わないと言えば、生産している発展途上国は追い詰められる。
その流れから反しているのは、中国のレアメタルぐらいか。生産国が「売らないぞ」と言えば消費国がオタオタする。でも、これって代替商品があるかないかが決め手だ。中国産レアメタルの代替はないが、木材はあるのだ。なくてもいいし、世界的には生産量がだぶついているから、「高けりゃ買わねえよ」と言えるのだ。そして山元はしぶしぶ値を下げる。(アメリカは代替商品を国内に求めているが、アメリカの生産力は落ちて穴埋めできないから、逆に苦しんでいる。関税払うのは国内だ。笑える。)
ちなみに、話題の食品の消費税減税だが、これって政策的に価格を下げて買いやすくしようということだから、生産者にしわ寄せが行きそうだ。でも生産者は消費税分を下げることにはならず、実質値上げしてくるだろう。8%下げるつもりでも、おそらく2~3%くらいしか下がらないように思える。これで財政を悪化させて円安が進行すれば、値上がりになるかもなあ。
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