「木材活用」を論じる場の不可解
このところ、様々なメディア(紙に電波にシンポジウムなどイベント、そしてネット……)で「木材活用」が謳われている。ようするに木材をもっと使おう、木造建築を広めよう、というキャンペーンのようだ。それに対する違和感が拭えない。
たとえば、これ。2025年12月12日開催の「木材活用フォーラム2025~発注者は木造建築に何を求めているのか~」の一部である。
日経クロステックという雑誌?記事で、フォーラムで話された座談会を取り上げている。そこに出席しているのは……。
CSRデザイン環境投資顧問代表取締役社長 堀江 隆一氏
三菱地所関連事業推進部木造木質化事業推進室統括 兼 三菱地所設計R&D推進部木質建築ラボ チーフエンジニア 広島大学客員准教授 建築材料学研究室所属 海老澤 渉氏
林野庁木材産業課課長 福田 淳氏
芝浦工業大学建築学部教授、ビルディングランドスケープ 代表 山代 悟氏
日本福祉大学工学部工学科建築学専修准教授 坂口 大史氏
シェルター常務取締役 安達 広幸氏
モデレーター:日経BP 総合研究所 小原 隆
あまりに長い肩書羅列はともかく、こうした集まりに登場するのは、いずれも経済、木材、建築畑の人ばかり。林野庁の人は、各部門を渡り歩いているかと思うが、今は木材産業課であり、森林部門ではない。
木材を活かしたり欠点を直したりする建築・素材加工技術だとか、環境に優しいとか、経済的に有利だとか語るのは、まあいい。が、その木材を生産する場である森林のことを語る人、その調達のための作業である林業現場を知っている人の姿が見えない。
揚げ足取りをしたくはないが、森林が木材になる過程を把握していないのではないか、と思わせる発言も多数だ。
木を伐れば森林を破壊してしまうこと、そこで働く人の安全や健康、そして林業経営の問題点……そうしたことを念頭にした発言はほとんど見られない。それはソッチの分野で上手くやってくれ、としか考えていないのだろう。
しかも、そこでは論理重視だ。これこれの加工をすれば耐震・耐火にも強くなりますよ、価格も抑えられますよ……という話は出るが、人の心はそれだけでは動かない。
たくさん買ってやるから木を伐って持ってこい。こう加工したら高くなるから、それに合わせて木を伐れ。これこれこのように伐れば環境破壊にならない。そんなことを言われたら、つむじ曲げて「出荷してやるもんか」と応える林業家もいるだろう。
購入が安く済んでもイヤなものはイヤである。機能が高くても興味ないものはない。可愛いく感じると、欠陥があってもよい……。
面倒なことはしたくない。新しい方式で行うのは頭を使うからやりたくない。上から目線で言われたからやらない。
シャーロンフロイデ……「他人の不幸は蜜の味」のように、他人が失敗して苦しむのを喜ぶ気持ちだってある。
そんな不都合な点は、座談会で話していても、絶対に指摘しない(⌒ー⌒)。
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