表札の木目
物置で捜し物をしていると、目に入ったのが木片。
それをよく見ると……。
表札だった。父の名が書かれていたのだろうが、ほとんど消えている。かなり古い、私が小学生の頃に見た記憶がある。当時の家に掲げていたものだ。現在の家に引っ越してからは、木ではなく石の表札になっている。
しかし、この表札……ヒノキ材だと思うが、非常に目の細かさに驚いた。年輪を読めるだろうか。
よりわかりやすい裏側を表示しておこう。
年輪間隔は1ミリとない。幅は8センチくらいだから、ざっと80~100本の年輪が入っているはすだ。当然、柾目であるからこの原木はどれほ どの大きさで樹齢何年ぐらいだったのだろう。
この表札を作ったのは、父が過去の家を購入したときだと仮定すれば、70年以上前ではなかろうか。当時は表札といえば、かなりこだわりがあって最高級の木を使ったとも聞いた覚えがある。
そういや、すでに林業が傾いてきた頃、1970年代ぐらいの時、ある山主が自分の山にあるもっとも太い自慢のヒノキを伐りだすことになって、その木を最も高く売れる用途を探してくれ、とある地元の林業担当職員?に調べてもらった話をどこかで読んだ。神社か寺院の柱用か。それとも内装材か。
結果、表札だということになった。太いヒノキから表札材を生産すれば、もっとも高く売れる。
が、この話にはオチがあって、山主は断ったのである。「あの立派な太い木を、小さくバラバラにされるのはイヤだ」と言ったそうである。
売値より、大径木の木は大きな用途に使ってほしい、という山主ならではの思い入れがあったのだ。
今なら、そんな選択をする山主はいるだろうか。思い入れより高く売れることを優先するような気がする。もっとも、今や表札の価値も下がって、とても高くは売れないだろうな。
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