『探検世界』誌から世界の森林を読む
黄金週間はお休みしようかと思っていたのだが……タケノコ堀りだけではもの足りない。5月5日「こどもの日」に似つかわしい話題を。
「探検世界」という雑誌をご存じだろうか。1906年から成功雑誌社で村上濁浪主筆で刊行された雑誌だ。後に常連執筆者の押川春浪が「冒険世界」、さらに「武侠世界」なども発行されるのだが、一連の雑誌は、日露戦争後の日本に探検、冒険ブームが押し寄せたことを受けた出版物だ。
私も知っていたのだが、押川春浪が小説家であり、「冒険世界」もSF的な冒険小説が中心だったこともあり、全体にフィクション雑誌だと思っていた。ところが「探検世界」はノンフィクション誌だったのだ。
たまたま国会図書館のデジタルコレクションに入っているのを発見して、パラパラと目次を追いだしたのだが、これが面白い。
黑潮狂ふ南洋女護城の秘密探檢/齋洛花/
石狩深山夏期猛熊捕獲隊の驚天的活劇/石川剛翠/
人跡未踏北海々岸夏期蠻的旅行/河合裸石/
夏期猛蟲の武裝的生活/渡邊獨尊/
怪魚海蝙蝠に捕はれたる實驗譚/櫻井呑骨/
狼の巣に飛込んだ西比利亞荒原怪旅行/山川無涯/
などなど。タイトルだけでワクワクするではないか(笑)。読みたい。
そして執筆陣には、当時の著名学者も含まれている。
蒙古人種の研究/鳥居龍藏
臺灣生蕃地の探檢/鳥居龍藏
ビスケー灣頭の難破船/郡司成忠
蘭領ボルネオ大猩々生擒奇譚/前田木城
運動界 米國學生の運動生活/片山潜
山岳探檢者心得/本多靜六
世界奇異風俗の話/坪井正五郞
民族学、考古学の鳥居鳥蔵から千島列島を探検した郡司成忠、社会主義者の片山潜までいたか。そして人類・考古学者の坪井正五郎。
本多静六が意外と多くの本数の記事を書いている。なんたって日本の林学の父とも言える人物だ。世界中の森林を調査に歩いていたから、その成果を、こんな雑誌に載せているなんて。
これを読むと、1900年代初頭の樺太の森林の様子がわかる。
つい資料を探す際には論文的な記事を求めるが、意外と当時の通俗雑誌に足跡を残していて、そこには正式には発表していない逸話などが記されているのだ。これで、当時の自然を探るのもよいかもね。
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