『箱の中の羊』の「木と人」
映画『箱の中の羊』を見た。このところ気が滅入ることが多くて、気分転換にならないかと映画をよく見るようになっていた(笑)。
さて、ここでミッチリ映画評をするつもりはないのだが、一応思うところを。
まず、前半部分で頭に浮かんだのは「カンヌ国際映画祭に出品した作品だなあ」ということ。これが何を意味するか(^^;)。
舞台は近未来の鎌倉らしいが、未来ぽいのは宅配ドローンが登場する程度で、全体の風景は現代そのものだ。亡くなった息子の代わりとなるヒューマノイドを迎えるという、SF的な設定ではあるが、扱うのは、夫婦の心の動きを中心とした、かなり大きい、重いテーマを扱っている。
迎える夫婦は妻が建築家で、夫は工務店社長、つまり大工だ。シーンには製材市場も登場するし、木を細切れにして風呂に浮かべたりもする。設計する住宅にいかに樹木を配置するか、という悩みも触れるなど、意外と樹木、木材と接点が多いシチュエーションだ。
そして中盤からは、より進んで木々のネットワーク、つまり根っこや葉から出す成分による木々のコミュニケーションを語るシーンもあり、これって「マザーツリー理論」?である。部分的には、ロボットとしての肉体=人工物が映されたり、ヒューマノイドがこっそり集まるなどミステリー要素も入ってくるのだが、総じて「カンヌ的」だ(^^;)。
そして終盤は、ある意味ファンタジックになる。トチの巨木も登場して、これって映画として、いや社会的にどうよ?と思わぬでもないが、これも心象風景を写し取ったと見る方がよいのだろうか。
是枝監督は、これまでも家族をテーマにしてきたが、本作は家族など人々の関係をマザーツリーが示す森林生態系に当てることを意識したのではないか。人と木の関係を、人工物と自然の相剋&融和に置き換えたように感じた。もしかして、描いているのは樹木と森林なのか……。
気が滅入りを解消する映画ではなかったが、これはこれで別の効果はあったかも。
ちなみに、同じ意図で見た『スターウォーズ/マンダロリアンとグローグー』は、まったく反対だった。アクション続きで退屈はしなかったが、何も感じない(笑)。キャラクターへの思い入れも生まれない。私の中では、つまんねえ映画に分類している。
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