日本製紙と盗伐問題
熊本地震で甚大な被害を受けた日本製紙八代工場だが、もう一つ紹介しておきたいことがあった。
このところ、日本製紙は盗伐問題に力を入れていたのだ。7月16日には、宮崎盗伐被害者の会のメンバーから聞き取りを実施したほか、実際の盗伐に遭った山を3か所も視察している。今後は東京で聞き取りをするそうだ。担当者は、日本製紙株式会社原材料本部グリーン戦略推進部調査役だそうだから、本社レベルだろう。
宮崎県を中心として、盗伐された木材の行き場としては、バイオマス燃料が見込まれている。八代工場も、未利用材100%(ということは、全量国産か?)を使ったバイオマス発電を売り物にしている。
完成は2015年。5000kWの出力があり、年間で約7万tの木質バイオマスチップを燃料に使う。日本製紙グループが木材を調達している地元の木材チップ製造会社や、日本製紙子会社で木材関連の日本製紙木材の集荷網を生かし、九州で発生する間伐材を利用する。……と当時のニュースになっていた。年間7・1万トン消費するというが、集められていたのか?
その燃料材をどこから調達しているか。九州各地からだとしても、日本製紙は宮崎県にも山林を所有しているが、そこからだけでは足りないだろう。市場もしくは相対取引で木材チップを仕入れているとすれば、そこに盗伐材が紛れ込む可能性はかなり高い。
本社のグリーン戦略からすれば、その疑いを潰すために動いていたのではないか。
すぐに盗伐材を止める手立てを打てたわけではないだろうが、バイオマス発電所がある八代工場の操業が止まっているのだから、燃料供給もストップしているだろう。盗伐業者は、持ち込み先を失ったのではないか。
工場の再稼働がいつになるかわからないが、その間に盗伐材をシャットアウトするシステムを作り上げてほしい。
なお製紙にも木材チップが使われるが、燃料チップとは似て非なるもので、非常に質やサイズが細かく決まっていて、転用は難しいと聞いている。燃料にできないのなら製紙用に、とは簡単ではないそうだ。
ただ……もう一つ情報が。
被害者の会に寄せられたメールだという。森林総合研究所OBからの恐るべき内容だ。
私の知る限り、50年も前から宮崎県の盗伐(森林窃盗)は有名だった。未だに解消されていないのは腹立しい限りです。私は1980年から1988年まで熊本勤務、宮崎県、鹿児島県でも森林の調査をしていました。知事絡みとのうわさは聞いていましたが、真偽を確かめようがありませんでした。同時期、他県ではそのような話は聞いていません。民事訴訟が成功することを願っています。
1980年代とは、バブル景気が始まって材価が上がりかけていた頃だ。その頃から盗伐が行われていた?
実は、私も現地で聞いた話がある。森林管理署の所長が変わると、盗伐業者が新所長に金を包んで持っていくというのだ。そしてこっそり国有林を伐らしてもらう……と。
もちろん裏を取れない情報なのだが、そんな噂話が出回っていたのである。
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製紙業界は昔から合法材確認には力を入れてますからね。それでも製材残材の背板チップが多いので直接的に関与するリスクは低そう。宮崎も距離がありますし関連性はどちらかと言うと小さいように思います。自社調達以外の別の理由もあったりして。
投稿: | 2026/07/31 08:33
日本製紙の取り組み、是非、本気でやっていただきたい。ただし、日本製紙のみならず、王子製紙を含め日本製紙連合会に名を連ねる大手の製紙企業、すべてがしっかりと取り組んでほしい。そのくらいの取り組み圧がサプライチェーンに及べば、さすがに製紙業界への流入は防止できるであろう。そしてその次に、「燃料用木質バイオマス」と「輸出」を手当していけばよいと思われる。
投稿: 三柴淳一 | 2026/07/31 13:46
違法木材を止めるのは、刑罰では無理なことはわかってきました。やはり出口を締めるしかない。だから大口の製紙会社には頑張ってほしいですね。製紙会社は製紙だけでなくバイオマス発電の大手でもあるから。
投稿: 田中淳夫 | 2026/07/31 14:11