『羅生門』の柱
先日、NHKのBSで黒沢明監督の『羅生門』をやっていた。私は録画して見た。
原作は読んでいるが、映画版は見た記憶がない。第12回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞、第24回アカデミー賞で名誉賞を採った映画なのだから見てみようという思いだった。気がついたのは、芥川龍之介の『羅生門』は別の小説で、これは『藪の中』を原作としていることだ。
が、それはいい。どちらも読んでいる。物語は有名なので触れないが、登場する羅生門は、平安京のものだという設定だ。奈良の都ではないかあ。殺しや盗みは当たり前の世界観なのだが、戦乱の跡なのか、羅生門も崩れかけている。
大雨の中、三人の男が語るわけだが、気になったのは、この羅生門セットである。
人物と比べたらわかる通り、とてつもなく太い。直径1mを優に超える太さの柱だ。これ、原木なら1.5mくらいは必要ではなかろうか。長さだって、5mくらいは必要だろう。
天井を見上げて映したところで、梁との接合部もわかる。よくできている。アップになったシーンでは、なかなかリアル(といってもモノクロであるが)な木目やひび割れも表現していた。
映画は1950年作。この時代に発泡スチロールもなかったと思うのだが、これだけ太い柱をどうやってつくったのか。もちろん、本物の木を使って建てたとは思えないのだが、では材料は何だ? 細い木で枠組を立てて、そこに布か紙を張ったのか。
そのほか、夜盗が侍夫婦を襲うシーンでは、森林の中なのだが、こちらも太いスギの木が林立していた。太さは60~80センチは確実にある。
さすがにこれはロケであり、本物のスギ林で撮影したのだろうが、どこの森で撮影したのか。
こんなことを気にしてしまうのでは、映画鑑賞に向いていません(^^;)。
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羅城門の森のシーンは確か春日大社の禰宜道(ささやきの小径?)で撮影したんじゃなかったですかね
「八月の狂詩曲」撮影時に、シナリオ上開ける必要のないタンスに、空だとリアリティが無い(生活感が無い)から服を入れておくよう指示したぐらいですから、実物の木材を使って羅城門を建てたとしてもおかしくないと思います
もちろんタンスに服を入れるのと大きな門のセットを作るのとは規模が全然違いますが、黒澤明というのはそういう人だ、という意味で
投稿: ぽぷぞう | 2026/07/06 14:13
ちょっと調べたら出てきました
春日大社じゃなくて滝坂の道だそうです
羅生門 <夢のあしあとNet <黒澤明研究会
http://kuro-ken.com/ashiato/sub/rashomon.html
投稿: ぽぷぞう | 2026/07/06 14:16
森のシーンの方は納得です。ただ広葉樹林じゃなく、スギが林立するシーンもあったのですが、それも滝坂かな?
問題は羅生門でして。あれだけの大木は、1950年代には手に入らないし、価格は今より高いはず。セットのために購入するのは厳しいのではないかと。1本数百万円なんてことになる。
推測では、完全無垢の大木ではなくて張り合わせたんじゃないかなあ、と思うのです。それとも、撮影時だけ借りたのか?
投稿: 田中淳夫 | 2026/07/06 17:24
滝坂というか、首切り地蔵の辺りの植生がどんなだったのかはあまり注意して見たことが無いですし、羅城門を観たのもだいぶ前なので詳しくは分かりませんが、前掲のページにロケ地の地図が載ってて、春日山石窟仏へ向かう道も含まれているのかな~という気がするので、そこの可能性もあるのかも。気が向いたらビデオを見直してみます(笑)
羅城門のWikipediaには「柱は周囲4尺(約1.2メートル)の巨材18本を使い」という記述がありますけど、これが大木なのか貼り合わせたものなのかは明確な資料は無いみたいですね。もっとも、お察しのように当時は貼り合わせて1本の木に見せる手法が主流だったとの話もあるみたいです。
投稿: ぽぷぞう | 2026/07/07 00:49
幸い?モノクロで、現代から見るとかなり画質は悪いです。
板を張り合わせて円形にして表面をきれいに磨けば丸太に見えるか、とか想像しています。塗料を塗ったかもしれません。
実際に2階や屋根までつくると重みで耐えられないので、半壊状態にした、と書いてありましたね。
投稿: 田中淳夫 | 2026/07/08 23:26