表の顔と、背後の本音
あまりニュースになっていないが、自衛隊がインドネシアに派遣される。目的はカリマンタン(ボルネオ)島で広がる森林火災の消火活動を支援するため国際緊急援助隊だ。
陸上自衛隊のCH47ヘリ3機を載せた海上自衛隊の輸送艦「くにさき」で現地に急行するそうだ。
世界中で頻発する深刻な森林火災を多少とも鎮火することに貢献できるのなら結構なことだ。とくにインドネシアの火災は煙害となって東南アジアを覆っており、環境破壊が激しい。また自衛隊も消火技術を身につけて、日本で起きる森林火災対策に役立ててほしい。
こうした海外への災害派遣自体は、これまでもやってきたことなので、そんなに違和感はない。ただ、一部では言われるだろう。自衛隊の海外派遣の実績を積むことになる……と。
たしかに国際緊急援助だと言っても、日本の軍備と隊員が海外で活動することに違いない。将来的に海外派兵に結びつかないと言い切れるのか。気をつけないと、痛くもない(痛いかも)腹を探られるだろう。
それで思い出したのは、群馬県のみなかみ町で行われた「赤谷プロジェクト」だ。約1万ヘクタールの国有林「赤谷の森」を、地域住民の組織と日本自然保護協会、そして林野庁関東森林管理局が、生物多様性の復元と持続的な地域づくりを進めるものだ。
具体的には何をしたのかというと、皆伐だ。この地域に済むイヌワシにとって、草原が必要だからである。
スギ林を全伐して草原をつくり、地表が見えるようになると、イヌワシが餌となる小動物を発見しやすくなる……。餌を得られやすくなることでイヌワシの生息を保証する。イヌワシは絶滅危惧種だから、彼らの生息好適地をつくることは重要な意味を持つと言える。
それ自体には意味があり、科学的にも正しいと思えるのだが、その際に林野庁の某官は、「これで皆伐の意義を広めて、全国でも皆伐がしやすくなる」という発言をしている。まさにイヌワシをダシに、皆伐政策に反対する世論を弱めようという裏の意図があったのだ。
実際、その後、みなかみ町では赤谷だけではなく大規模伐採が進んで、そこを取材した新聞記者によると、かなり荒っぽい施業で土砂崩れを引き起こしていたようだ。
赤谷プロジェクトを見本に、全国の皆伐した国有林跡地を見事な草原と多様な森に仕立てたら立派だったのだが、そんな気配は感じられない。
イヌワシ。以前、泊まった山の中の怪しげな宿では、イヌワシを飼っていたので驚いた。天然記念物を個人が飼育していいのか……。一応、怪我をしているのを助けた、と言っていたが。その後、宿は消えてしまった。イヌワシのほか、いろいろ動物がいたが、どうなったか。
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自衛隊海外派遣の実績づくりと、インドネシアとの防衛協力関係を強化する口実でしょうね。
投稿: くま | 2026/08/30 17:24
口実なのか、結果論なのかはともかく、政治家や官僚の言葉には二面性があることに気をつけないと、手放しで喜べないですね。
投稿: 田中淳夫 | 2026/08/31 08:44