簡易製材機から考える林業の将来像
もう林業の話題はうっとうしいからヤメ! と思っていたのだが(笑)、ウッドマイザーが横浜にショールームを開いたというニュースを目にして、日本の林業の将来像に思いを馳せてしまった。
2026年7月25日 ポータブル製材機および木材加工機器の世界トップメーカーであるWood-Mizerは本日、SINKOグループの 株式会社C.M.Jと、日本におけるWood-Mizerブランドの正規ディーラー契約を締結したことを発表しました。この提携に伴い、神奈川県横浜市に新ショールームを開設。
そもそもウッドマイザーという会社は、簡易製材機や乾燥機、鋸刃……などで簡易式というかポータブルというか、自家製材をするための林業機械メーカーだ。そこの商品のショールームがオープンしたなんて、業界の中の小さなニュース。
だが、私は、ここから連想して日本林業の未来図の夢を描いたのだ。
ウッドマイザーの宣伝をして見返りを期待している(^^;)わけではないのだが、こうした機械こそ、日本の林業界に合っているのではないか、と思う。ウッドマイザーが日本市場に力を入れているのは、そのことに気づいたからか、と深読みしてしまった。
日本の林業は所有が小規模で、地形が複雑で、樹種も木材の質も千差万別で……といった特性がある。それが現代の木材産業⇒建築素材といった流れから見ると不利になり、衰退を招いている一因とされる。
私は、その意見に必ずしも与するものではないが、条件としてはその通りだ。ただし、政府を初めとして林業振興をのたまう人々の唱える「規模の拡大」「高性能機械」、そして「スマート林業」とやらによる振興には異議がある。
反対ではないか。小規模なものを大規模化するのではなく、小規模林地から千差万別の木材を収穫できることを活かしたい。
山と消費地が近く、要望を聞き取りやすいのだから、ユーザーの声に合わせた商品づくりをして、高く売る術を磨くべきではないのか。人口減社会で木材消費量は落ちていくのに、量を指向するのがおかしい。小ロットだけどユーザーの満足度を上げて純益増を図るベクトルをめざした方がよい。
思えば木材の商品化の流れを追うと、無駄の塊だ。山に生えている木のうち、収穫するのは体積で言って3~5割程度。根っこに切り株に枝葉を林地に残す。間伐材も切り捨てている。収穫した原木(幹)も、製材過程で半分以下になる。さらに製材を建築に使う際に、プレカットや現場での調整で、また削って減らす。大規模化すると商品アイテムを増やせないから、販売のチャンスロスも生み出す。
最大の利用率で合板の6割ぐらいか。CLTなどは3割以下という。チップや燃料に回せば、8~9割と利用率は高まるが、今度は価格が下がる。
トータルで、森林に生える木の1~2割しか利用していないのではないか。しかし原木を搬出するためには燃料も大量に使う。
……ということを考えると、もっとも効率的なのは、山の現場で製材してしまうことだ。必要部分だけを持ち出す。運ぶ量を減らせばトラックに積み込む重量も減って燃料費が浮く。当然、環境にも優しい。そして製材(荒材でも)なのだから単価は上がる。乾燥やプレカットなどの加工は町の工場でやってもよいが、山の現場でも可能なものがある。
だから山の現場で最終用途に合わせた製材をすることで林業家の取り分を増やすことができるのだ。そこで簡易製材機が必要となる。ウッドマイザーの出番となる(笑)。
……と、ここまで考えて、林業家とエンドユーザーの情報共有が最重要で、それこそ日本の林業家のもっとも苦手とする分野かもしれない、と気づいた。コミュニケーション能力もそうだが、エンドユーザーに営業かけて、ほしがっている木材の形状を聞き出し、それに合わせてきめ細かな寸法に製材する、その後の乾燥やプレカットの手配もする……あああ、きっと一番苦手だわ。
無理だな。やっぱり日本の林業のことを考えると絶望するわ。うっとうしい。
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投稿: 野村民夫 | 2026/09/03 18:11
原木が安く買いたたかれるのは、原木市場(いちば)に出荷するためです。セリで値を決めるのは買い手ですから競り人が力を持っていない限り安く買いたたかれるのは当然の結果です。
林業家自身が木材製品を作り出すことはできるようになり、市場以外で売り先を作り出すことができるようになり、市場への出荷制限をすることができなければ、いつまでたっても安い木材価格を続けることになります。
簡易製材機はこの手段に適しています。さらに売り先は林業家が協同組合などの組織でバーチャルな販売に特化すれば可能なのではと夢想しています。
投稿: フジワラ | 2026/09/03 21:31
木曽式伐木運材図会では現地で丸太から角材くらいに製材していますし、角材用なら運搬を考えれば現地製材は効率がいいですよね(加工手間を考えなければ…)ただ、合板用だと皮はともかく丸のままのほうが良いから悩ましいところ…
投稿: 0 | 2026/09/04 08:56
私は、ウッドマイヤーのニュースを見て連載しただけなので、簡易製材機メーカー自体はどこでもかまいません。性能で選べばいいですね。
林業家は、自分は素材だけを扱うのだ、それをどう加工するかはお任せと思わずに、求める人の要求に応える必要があります。
目の前にある素材をいかに売るか考えるのはプロダクトアウトですが、「いかに売るか」を考えるのはマーケットインなのです。この合わせ技こそ林業改革です。
思えば明治ぐらいまでの林業は、山で製材をしていましね。人力しかないので、できるかぎり軽くしたいからでもありますが、その形態にもどると考えるといいかもしれない。もし林業家個人が全部仕切るのが無理なら、間に組合とかコーディネーターが入って指導するようにしたら産地として対応できるのではないでしょうか。
投稿: 田中淳夫 | 2026/09/04 09:29