無料ブログはココログ

森と林業と動物の本

2026/03/26

中国の花粉症事情

日本ではスギ花粉憎し、次はヒノキ花粉だ……と相変わらず騒いでいるが、実は同じことが中国でも起きているらしい。

中国の花粉症の有病率は、成人で約18%に達しているというのだ。

意外なほど多い。日本はほとんど5割になっているが、面積と人口密度、などを考えると、18%とは驚異的だ。日本の30年前くらいの水準。今後はもっと増えていくのではないか。

面白いのは、症状の元になる花粉である。北京では3月~4月にかけて、ヒノキ科の花粉が増えるという。具体的な樹種が書いていないのだが、コウヨウザンも入っているのではないか。それに広葉樹のポプラやヤナギ。加えて、この春先の花粉症は黄砂も関係しているらしい。

Istockphoto955338582170667aポプラの花粉

これで気づかないか?ポプラとヤナギ、ヒノキ科……これらは中国の大造林樹種だ。乾燥地帯を緑に変えるために植えに植えた。40年間で3000万ヘクタール以上の植林したのだ。さらに街路樹のプラタナス……。

さらに秋は、ヨモギやブタクサなどの雑草の花粉が花粉症を引き起こしている。

日本と同じ展開。

同樹種の単一造林は、日本だけではないから、もしかして造林の仕方を花粉症対策として変えるべきかもしれないね。

2026/02/18

フランスのアグロフォレストリー

アグロフォレストリー、農林複合は、もっとも環境負荷を少なくしつつ、人類も食料や木材など得るべきものがある手段だと思っている。農業は主に草本だが、そこに木本を加えて林業も行うという点は、集約的でもある。

具体例は、東南アジアやアフリカ、中南米などにある。一つの畑に多種類の作物を育てる。そこに樹木の苗も植える。栽培植物を次々に変えていく。だいたい古代からの伝統農法が多い。焼き畑も、これに適合する。

ただ、一つの作物の収穫量は多くならないから先進国は嫌う。農業と林業を分離して、別々に規模を拡大して効率を上げることを求めた結果が今の自然破壊的農林業……と私は思っていた。

ところが、フランスではアグロフォレストリーが進んでいるのだという。具体的には農地に木を植える運動が起きている。しかも政府が後押しして2015年に支援制度までつくったのだ。これは国挙げてのアグロフォレストリー戦略だという。いやフランスだけではなく、ヨーロッパ全域に広がりつつあるらしい。

Wheat_and_walnut_in_france-1
フランスのHPより。

ちょっと検索してみた。最初に出てきたのがAIによる要約(^^;)。

政府主導の「アグロエコロジー計画」
フランス農業省は、2015年以降、アグロフォレストリーの発展計画を策定し、技術支援や補助金を提供しています。
2025年2月には、環境投資として5億ユーロ(約800億円)規模の支援スキームが欧州委員会の承認を受け、2030年まで農地への生け垣や樹木の植樹に補助金が提供されます。

民間団体による植樹プロジェクト
「Fermes d'Avenir」や「Pur Project」などのNGOが農家と連携し、全国的な植樹プロジェクトを主導しています。
ノルマンディー地方などでは、地元のパートナーと協力して、農地や周囲への生け垣の植樹活動が行われています。

「4パーミル」イニシアチブの普及
草生栽培(農地に草を生やす)や、剪定した枝を土壌に戻すことで炭素を蓄積する栽培方法が、果樹園やブドウ畑を中心に普及しています。

ようするに気候変動対策の一環として始まり、とくに4パーミル運動と親和性が高いようだ。4パーミル運動とは、農地の土壌に炭素を4%増やすだけで気候変動を止められる、という理論である。

農地に木を植えることで土壌の保全や強い日差しを遮った作物がつくれる、そして生物多様性を保てる生態系をつくる、もちろん植林した木がCO2を固定する効果もあるというわけだ。

この制度で木を植えた農地は1万~1万5000ヘクタールと推定されている。すごくない? 農家が気候変動への対応が必要だと感じ、アグロフォレストリーへの関心を高めているわけだろう。

もちろん木が成長するには時間がかかるし、木の下で育てる農作物の選定や栽培技術も必要だろう。日当たり、土壌、水分……収穫量の減少をいかにほかの収穫物で補えるか。。。。しかし、それこそ農業の醍醐味ではないのか? 自身で作物を考え、いかに育てるのか。そして、それが社会のみならず地球にも貢献するのだから。

また都市部でも、制度に乗っ取って街路樹の周りで農業をすることも可能らしい。

マダムも熱狂、凄すぎる! パリ市緑化計画 (この記事書いているのは、辻仁成だった。)

日本では、いまだに規模拡大一辺倒だ。農業も林業も。せいぜいソーラーパネルの下で農業が始まったくらいか。

日本がフランスを参考にするのは広葉樹林業だけではないなあ。

 

2026/01/19

林草局と黄砂

このニュースを目にして、最初に思ったこと。

中国の森林率が25.09%に―中国国家林草局

林草局? これって役所名なのか……。草も管轄しているのね。そういや日本の場合は「林野庁」、つまり林と野の役所であった。日本の場合、野と言えば草地なのだろう。中国では、かなり砂漠・半砂漠が含まれるだろうが。黄土高原も、それに近い。

記事は、極めて明瞭簡潔。

中国国家林草局は15日に開いた全国林業・草原事業会議で、中国の2025年の国土緑化面積が約846万6666ヘクタールに達したことを明らかにした。うち、造林・営林面積は356万3333ヘクタールで、草原改善面積は約492万6666ヘクタールだった。
中国の森林率は25.09%、森林蓄積量は209億8800万立方メートルに達し、グリーン発展の基礎がさらに固められている。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

たしかにすごい数字であり、また地球上の緑被率を上げているのは間違いない。かつては10%以下だったのだから。
でも、そ
ろそろ量で勝負するのは止めない?

同じ木ばかりを植えているので、炭素蓄積にはなっても生物多様性はあまり見込めない。むしろ樹木ばかりを植えて草が育たないとも聞く。砂漠に木を植えると、木が優先的に水分を奪ってしまうのだ。しかも散水しないと育たない。

一方で、黄土高原の草木は農地化で剥がされて、それが黄砂を生んでいる。通常は早春の風物詩だった黄砂も、今年度は冬に入ってから黄砂が非常に増えた。毎年500万トンの砂塵が飛んでいるというが、そのうち3分の1以上は日本の陸地に降っている。ざっと160~200万トンである。今年はもっと増えるかもしれない。

1_20260119171901
玄界灘の夕日。天頂は青空なのに、黄ばんで見えるのは黄砂のせい?

2026/01/07

台湾林業に復活の芽

日本の林業界は、すぐ外国にモデルを探す。ドイツにオーストリア、スイス、スウェーデンにフィンランド。そして今はフランスに目が向いている。ヨーロッパばかりなんだが……。ま、モデルにしてどうするのか、怪しいのだけど。せいぜい高価な林業機械を導入(補助金付きで)するのが関の山。もう少し、なんとかならんか。

ならば、私が目をつけている“国”を先取りして教えよう。

台湾だ。

台湾林業が面白そうなのだ。ほんの少し前まで「台湾に林業なんてあったの?」と言われており、事実、台湾の木材自給率はコンマ以下だった。つまりほとんど輸入で賄っていた。天然林は伐ってはダメという法律もある。

だが、今や復活の気配なのだ。

歴史を振り返ると、台湾で林業が始まったのは日本の領有からである。土倉龍次郎が先駆者となり、その後阿里山のタイワンヒノキ林の発見によって大規模な木材生産が行われるに至った。それは戦後も続き、タイワンヒノキは国民党政府の貴重な財源となる。それゆえに伐りすぎて枯渇させ、ついに伐採禁止になる。一方で植林は進めたものの、それを管理し育林し、また伐り出すサイクルが途切れたため、その技術も人材も廃れてしまった。……とまあ、このように経緯を追うと、台湾に林業なんてないように思えるのだが。

1_20260107193401 2_20260107193401
タイワンヒノキの葉。そして阿里山に残されたタイワンヒノキの巨木。

ところが、2024年に台湾の国有林は、すべてFSCを取得した。それは全森林の7割を超える。また林業局は林業自然保護署に名を改めた。国産木材生産活性化政策を打ち出し共同研究も開始した。「自然環境から資源を体系的に獲得する」ことを練り上げた政策が動き出している。

日本が学ぶべき林業政策が、そこにあると思わないか?

まだ林業技術などの面では、日本にさえ劣るかもしれないが、その理念、その政策誘導の方向性は世界トップクラスではなかろうか。

実は、私もタイワンヒノキに大いなる興味を抱いている。戦前戦後、あれほど大量に伐り出して日本に運んだタイワンヒノキ材はどこに使われたのか。有名な明治神宮や靖国神社、あるいは橿原神宮などに使ったくらいではすまない。もっと日常的な建築物にも使われたに違いない。それを探している。誰か、知らないか。有名寺社もいいけれど、もっと意外なところにタイワンヒノキ建築があるはずだから。

20250227_081544
靖国神社の門。タイワンヒノキ製の模様

誰か教えてくれ。どこを調べたらわかるかヒントでもあればよいのだが。

そして台湾の林業視察に行きたいと思っている。興味ある人、いる?

 

 

2024/12/27

理想の林業~台湾の公有林がFSC取得

台湾は、公有林すべてがFSC(森林管理協議会)の森林認証を取得した。認証取得面積は160万ヘクタール近く、台湾の森林面積の71.5%を占める。つまり、台湾の森林の7割以上が認証されたのだ。これって、驚異的。

台湾、アジア太平洋地域初!公有林が100%FSC認証取得

もともと台湾は森林率が63.13%(2022年)と高いのに林業はほとんど行われていない。木材需要の99%は外材に依存している。だが、台湾にも人工林は相当ある。人工林率は20%程度だが、面積にして42万ヘクタールだ。適切に管理して木材生産を行えば、かなり自給できる。
ただ台湾社会では伐採に関する懸念が強いため、
伐採を始めるには、まず社会の信頼と支持を得ることが必要だった。その手段の一つがFSC認証の取得なのだろう。森林認証、とくにFSCは、森林の環境基準を審査する比較的厳しい認証だ。

森林認証だけではない。小規模でも美しい森林開発「里山イニシアティブ」を掲げているし、木材だけでなくキノコや森のハチミツなどの非木材林産物も生み出す、森林セラピーも推進する……と盛りだくさんの政策を掲げている。そして社会と環境のモニタリングデータを6か月ごとに公開し、一般の人々の意見を聞いて森林管理計画を見直し改訂しているという。

林業自然保護署の林華清署長は、すべての公有林がFSC認証を取得することは台湾林業の新時代の幕開けであると強調し、世界の林業のトレンドと一致していると唱えた。(どーでもよいが、林華清とは、なんと役職にピッタリな名前だろう!)

気づけば、台湾では、野心的で挑戦的、そして理想の林業政策を掲げていたのだった。

さて、私自身の今年を振り返ると、今年は6月と9月の2度も台湾を訪問した。とくに9月は阿里山の森を歩いてきた。

タイワンヒノキの巨木林を見たかったのだが、現状36本しかない(巨木はほとんど伐ってしまったことは事前に知っていた)。そこで実際に見たのは何か。そこで驚いたこと、それは……。

Dsc05911_20241227102201

これは28番巨木とナンバリングされたタイワンベニヒノキ。直径3~4メートル級なのだが、見てほしいのはその周辺の木だ。細いというだけではない。樹種はわかるだろうか。

スギだ。そう、スギ林と化していた。阿里山と言えばタイワンヒノキ……ではなく、今やスギなのである。それは伐採跡にヒノキではなく日本のスギを植えた林政があったからである。

Dsc05831 Dsc05855

遊歩道沿いも、巨木の切り株は多数あるが、その周辺に生えているのは、多くがスギ。台湾にとっては外来種。

直径30センチ以上あるから、九州なみの成長速度として、樹齢は50年くらいか。ちなみに巨木を伐り尽くしたのは帝国日本ではなく、戦後の蒋介石の国民党政府。スギを植林木として選んだのも国民党政府だろう。どういう判断だったのか。スギの方が成長が早いから?タイワンヒノキの植林方法が確立されていない?
今後の台湾の林政はどちらに向かうのかわからない。原植生を重んじたら、ヒノキ植林に変えるかもしれない。

台湾を日本が領有してから、多くの林学者や林政担当者が渡台したが、そこでめざしたのは「理想の林業」だった。国内では往々にして地元の慣習や伝統に縛られるが、新天地なら科学的に理想の林業を実現できる、と考えたのだろう。それが成功したかどうかは微妙だが、現在の台湾は自らの意志で理想の林業をめざしているのかもしれない。

日本の林業は、今一度、理想を掲げて希望の林業をめざす志を持ってほしい。それこそ国有林全部にFSC認証を取って見せたらどうか。目先の数字を追うのではなく、樹木の時間で数百年先を見通すべきだ。さもないと、いつまで経っても絶望の林業のままだろう。

そう言えば6月の訪問時には、国立政治大学の王雅萍副教にお会いした。彼女は少数民族研究の関係から、土倉龍次郎の林業開発を取り上げている。台湾で唯一の土倉龍次郎研究者でもあった。その際に私が森林ジャーナリストであり、日本の林業についての著作もあると紹介されたので、「台湾で林業の講演をしてくれ」と言われた。土倉龍次郎ではなく、林業の話を(^^;)。

有り難い話である。実現したら楽しいだろうな。日本の林業を反面教師にしてもらいつつ、台湾林業の未来も語りたい。そのためにも「龍次郎伝」を早く書き上げたい。ついでに?『山林王』も台湾で翻訳出版されることを期待したい。

これを2025年の目標としよう。

Photo_20241227172001
王副教授(左)と間を取り持っていただいた曽根さん(右)

 

 

2024/10/06

台湾の農作物と枯れる竹

台湾旅行中に車窓から見えた作物。まずは新幹線の窓から。

6_20241002225401
これ、サトウキビ? そうか、台湾は糖業だった。もはや過去のものになりつつあるが、かつて砂糖生産で潤ったのだ。ちなみにサトウキビ栽培を提案したのは、土倉龍次郎説がある。実行しなかったけど。

Photo_20241002225501
スピードが早いので画面が流れているけど、バナナ畑が見えた。台湾と言えばバナナ! これまた懐かしの産業ぽいが、今でも台湾バナナはフィリピンバナナより高く高品質とされる。

1_20241002225401
阿里山にバスで登る途中(まだふもと)当たりに、檳榔ヤシの農園がいくつも目に入った。ビンロウの実は、タバコのような嗜好品として東南アジアではよく見かけたが、台湾でも原住民が好むのかもしれない。

Photo_20241002225401
7_20241002225401
いよいよ高山地帯に入ると、茶畑が広がり始めてそれを干している現場も見られた。阿里山のお茶はお土産にもなる高級品だ。
でも、なんだか日本の静岡当たりの風景とダブる(笑)。
紅茶にするのなら暑い土地がよいはずだが、標高1000~2000メートル級の冷涼帯が合っているのは、烏龍茶系統なのだろうか。

そして、この上になるとスギが増えてくる。ただし、気になるのは竹林。

Photo_20241006164401
タケが増えてくるのだが、やたら枯れているのだ。今年はタケの花が咲いたのか。
それも全山と行ってよい規模。バスからの撮影なので、じっくり観察できないが、何か不気味。

4_20241006164501

 

 

2024/10/02

阿里山の林業史をたどるギャラリー

昨日は、嘉義が実は鉄ちゃんの聖地であることを紹介した。つまり林業より鉄道に力を入れているのであるが……。

「阿里山国家森林遊楽区」の入り口にあるバス停3階にギャラリーがあることは繰り返し触れてきたが、ここが阿里山の林業展示も行っている。

とくに目を奪われたのは、こちら。

2_20241002112901 3_20241002112901 5_20241002113001 13_20241002113101 8_20241002114101

これ、木彫人形で表しているのだが、前半の人物は、阿里山に関わった日本人名が並ぶ。知っているかなあ。
長野義虎、斎藤音吉、河合鈰太郎、鳥居龍蔵、鹿野忠雄……。探検家であり学者であり、官僚であり。阿里山の巨木林を発見して、研究して、開発して。これらの名前が並ぶだけで、私は胸が高鳴ったのである(笑)。
長野義虎は、私がもっとも注目する一人。
さらに最後の2枚のように、人物というより林業の仕事を紹介する人形も並ぶ。樹芸師とか何するのか。導覧解説員とか、道班士とか、油壺とか、貯水池、人力集材とか。どんな職種だったのだろうと想像すると楽しい。

 26_20241002113001

ちなみに、当時の林業道具の展示も行われている。なおカフェコーナーもあるよ。

 

2024/10/01

東洋一だった嘉義製材所の目玉は

阿里山観光の基地でもある嘉義の町は、かつて阿里山から運ばれてくる木材の基地でもあった。だから「木都」と呼ばれたそうだ。

そこに残る「嘉義製材所」は、かつて東洋一の規模を誇ったとも。今は、博物館に隣接して展示しているのだが。そう聞けば、なんとか見たい。しかし最初に訪れた日は、なんと休館だった。そこで台北に帰るのを遅らせて、朝一番に製材所見学をねじ込んだのだ。

7_20241001165301

嘉義市立博物館のジオラマでも、嘉義製材所は大きく描かれている。

Dsc06083

これが、かつて大木を運んだ阿里山森林鉄道の車両。これぐらいの木はいくらでもあったようだ。

Dsc06106

この鉄塔……と見せかけて実は木造なのだが、これが2基建っている。この間に架線が張られていて、丸太を運んだらしい。
そして、その間の窪地は、かつての貯木場。池があった。

このように、昔在りしの製材所風景と施設が残されているのだが……どうも展示を見ていると、それが目玉ではなさそうだ。

製材所前には阿里山森林鉄道車庫区があり、阿里山鉄道が走っているほか、過去の車両が多く展示されており、さらに博物館や製材所内の展示も鉄道関係ばかり。部品や路線や細かなルートまで、実に詳しい。どうも、これは製材所施設の保全展示をしているのではなく、鉄道博物館の様相を示している。

そうか、嘉義は、台湾の3つの鉄道が全部あるのだ。台鉄、高鉄(高速鉄道)、そして阿里山鉄道。つまり鉄ちゃんの聖地なのであった。

木材だとか製材とかに目を向けているのはマイナーなんだよ(-_-;)。世間は鉄道ファンの方が多いのであった。嘉義の自慢は林業や木材ではなく、鉄道であった。

4_20241001170601

現役の阿里山鉄道。

2024/09/30

阿里山のスギ林

台湾旅行の本丸は、やはり阿里山。阿里山のタイワンヒノキの巨樹を見て、その森を歩いた龍次郎の気持ちを体感しよう……という心づもり。

もっとも、肝心の巨木は伐り尽くして、40本程度しか残っていない。それでもタイワンヒノキの森があるなら……。

ところが、阿里山を昇るバスから最初に見えた巨樹は、ちょっとヒノキぽくなかった。

6_20240930174701 10_20240930174701

ん? これは……ヒノキというより、スギ。それも柳杉と呼称される日本のスギ。阿里山注目は、スギ林だった。

ようやく着いた阿里山国家森林遊楽区は、標高2000メートル地帯なのだが、そこでようやくヒノキが目に止まるようになってきた。ただし。

Dsc05856 Dsc05857

これは、阿里山の保全区の一角なのだが……あきらかにスギ林。しかも人工林と記されている。よく見たらスギ林の中に巨樹の切り株が腐り掛けつつ残る。これは直径2メートル級だろう。つまり、ここにあった巨樹のヒノキ林は伐り尽くし、その跡地にスギを植えたらしい。

なんでかなあ。ヒノキ、それもタイワンヒノキかベニヒノキを植えるべきでしょうに。太さからすると、戦後植えたものと思われるが。

そんなこんなで、阿里山はスギ人工林も多いのであった。

Dsc05911

もちろん、こんな巨樹も残る。これは直径4メートル級の最大木(28号)。近くを歩く人の大きさと比べてほしい。

2_20240930175301

龍次郎の歩いた時代は、こんな巨樹が文字通り林立していたのだろう。想像力をたくましく、こんな森を歩いている気分に浸ってきたのだ。

 

2024/08/30

ベトナム・アカシア林の伐期

昨日、地球・人間環境フォーラム主催のオンラインセミナーに参加する。これまで、あまり報告例のないベトナムの森林事情について知りたかったからなのだが、いやはや。

ベトナムの森林・林業政策と日本の木質バイオマス発電

Photo_20240830162101

ベトナム中部の伐採跡地と(背景の)アカシア植林地。

以前はカナダの原生林を伐採して木質ペレットにしている問題を取り上げた。この点は、記事にもしている。ただカナダ以上に木質ペレットの輸入先であるベトナム事情を十分に押さえていなかった。これまで推測としては、同じ東南アジアのタイやマレーシアなどの事情を勘案しながら想像していたのだ。

バイオマス発電が原生林を破壊する

が、予想は裏切られた。

細かな点は、リンク先を参考にしてもらえばよいが、ベトナムで現在進んでいるのは圧倒的にアカシア植林なのだ。(ユーカリでさえあまり多いわけではない。)そして人工林から供給される木材需要に対応している。原生林も多少は伐っているが、目立って多いわけではない。森林率は47%だそうだで、森林の約3割がこうした人工林になっている。また家具製造で世界的なシェアを取り始めているが、そこで使われる木素材は、多くが輸入。日本のスギやヒノキも輸出されている。

そうか、人工林から木材を調達しているのか。それなら再生可能かな。。。。

そう思わせておいて、仰天したのは育てる期間。つまり樹齢と伐期。

なんと3年~7年だという。写真で見える伐採された木の太さは多めに見積もっても10センチない。
いくらアカシアが早生樹と言っても、7年では太くはならない。

なぜなら、需要のほとんどが木質ペレットとチップだから。チップは基本的に製紙だろう。細くてもいいわけだ。なんでも木質チップは3年生からよいという。

そして伐っては植えて、伐っては植えて……を繰り返している。これって再造林をしっかりしているのだから、立派な循環型林業。 (゚o゚;)エッ

そこで何が起きているのという問題はさておき、私が感じたのは3年伐採の場合、これは林業なのか、という根本的ですごく素人感覚の疑問だ。

農業と言っても、収穫するまで3年以上かける作物はわりとある。コンニャクイモ(球茎)もそうだし、アスパラガスも芽が出るまで3年かかるという。果樹に至ってはさらに長い。モモクリ3年カキ8年、である。

もはや農業と林業の違いがわからない。いや循環型の意味がわからない。

 

 

より以前の記事一覧

May 2026
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

森と筆者の関連リンク先

  • Yahoo!ニュース エキスパート
    Yahoo!ニュースに執筆した記事一覧。テーマは森林、林業、野生動物……自然科学に第一次産業など。速報性や時事性より、長く読まれることを期待している。
  • Wedge ONLINE執筆記事
    WedgeおよびWedge on lineに執筆した記事一覧。扱うテーマはYahoo!ニュースより幅広く、森林、林業、野生動物、地域おこし……なんだ、変わらんか。
  • 林業ニュース
    日々、森林・林業関係のニュースがずらり。
  • 森林ジャーナリストの裏ブログ
    本ブログの前身。裏ブログとして、どーでもよい話題が満載(^o^)
  • 森林ジャーナリストの仕事館
    田中淳夫の公式ホームページ。著作紹介のほか、エッセイ、日記、幻の記事、著作も掲載。