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森と林業と田舎の本

2022/07/13

13年前の北欧バイオマスエネルギー事情

このところ、ブログのコメント欄によくスパムがつく。速攻で消して受信拒否にするのだが、今回ついた記事のタイトルは、

北欧バイオマスエネルギーの裏側 

消した後で、どんな記事だったかな、とつい読んでみる。

おおお。面白い(笑)。ノルウェーのバイオマス事情を記しているのだが、これ、いつ書いたの? と日付を見ると、またびっくり。
2009年3月5日だよ。。。。13年前!!

私がノルウェーを訪れたのは、ずっと先の2017年だ。つまり、現地で見聞きしたことを書いたわけではない。今夏出版のフィンランドの本とも何の関係もない!

それなのに、スゲエ面白い(笑)。たった1本の記事(バイオマス燃料を輸入するための船の話)から裏事情を読んで、バイオマスエネルギーの根本的問題を指摘した。それは今の状況と何も変わらず、バシリと押さえている。俺って、転載、いや天才\(^o^)/。

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北欧の空。トロンハイムからオスロへ飛ぶ途上。

すでにノルウェー、そして北欧はバイオマス用の木材を自給できなくなってきたのだ。
なぜって? 簡単。伐りすぎたから。もはやロシアや旧東欧諸国から輸入しないと木材産業は維持できなくなっている。フィンランドも、製紙産業のためにロシアから大量の木材を輸入していたはずだが、今のウクライナ戦争で輸入が止まったらどうするのだろうか。国内で調達しようとすると、さらに過剰伐採しなくてはならなくなる。仮に製材需要が落ちても燃やすために伐らないといけない。なぜならバイオマス発電所を止めるわけにはいかないからだ。

一度大量生産の産業構造を作ってしまうと、需要に合わせて生産を増減できなくなるのだ。無駄を覚悟で大量生産を続けないと、工場が止まり、雇用が失われ、社会が維持できなくなる。でも生産した分は過剰で在庫を積み上げる。それを処分するためには、安くて赤字で無駄なバイオマスエネルギーに回す。……でも、環境は有限。いつか底をついて破綻する。さあ、どうする?

日本も同じことが起きかけている。

 

2022/06/30

林業でフィンランドブーム?

ウクライナ危機のあおりでスウェーデン、フィンランドがNATO入りが確実になったからか、最近はテレビでフィンランドがよく取り上げられる。何といってもロシアと国境を接するからだ。

ところが、ぞさと関係なく、日本の林業界もフィンランドがブームのよう。先月は北海道フィンランドウィークが開かれて,北カレリア県と結びつきを強めていた。とくに北の森づくり専門学院は、フィンランドの北カレリア県教育訓練共同事業体・リベリアと提携しているらしい。

そこに、今度は長野県と伊那市が、北カルヤラ県から視察団が長野県を訪れ、意見交換などを行ったというニュース。来日したのは、北カルヤラ県のマルクス・ヒルヴォネン知事やカレリア応用科学大学のベッテリ・リュハネン事業部長ら16名。長野県と北カルヤラ県は、すでに3年前に林業分野での連携・交流を強化する覚書を締結、伊那市とともに取り交わしているとか。

ちなみ北カレリア県と北カルヤラ県は同じところだろう。発音的には、後者がフィン語なのかな。つまり北カルヤラ県は、日本と2か所で結びついているということだ。

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日本は長く海外に林業のロールモデルを求めてきた。ドイツに始まり、オーストリアやスイスと来て、次はフィンランドか?

思えば中欧の国々の林業は、基本的に択伐で恒続林に理想を求めているところがあるが、日本では最初からムリ!と拒否している感があった。なんか、皆伐をしなくちゃ林業じゃない、という思いが強いのだ。その点、フィンランドは皆伐-一斉造林スタイルの林業なので、日本にはなじみがあるというか、今のままでいいんだよ~と言われている気持ちになるのかもしれない。

ところで、私は今夏、次の出版としてフィンランド林業の本を出す予定だ。おかげでこの半年、フィンランドおたくになるほど、フィンランドの文献やら旅行ガイドやらムーミンやらサウナやらを勉強した。コロナ禍最中の私の(妄想の)旅はフィンランドだったのである。

いやあ、みんな林業先進国フィンランドのイメージ変わるんじゃないかな。

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楽しみにしておいてくれ。

 

2022/06/16

森の男たち協会

フィンランドの林業関係の資料を読んでいたら、ふいに登場したのが[森の男たち協会]。

なんですか、これは。( ̄∇ ̄;) 

なんでも、大学で森林関連の学科で学ぶ学生たちの世代を超えたつながりを作る目的で、1909年に設立された学生連合、なんだそうだ。
つまり大学で林業や森林科学関係の学部学科の学生たちの集まりというわけだが、世代を超えた、とあるから卒業生も含むのだろう。フィンランドでは複数の大学に森林関係の学科があるそうだし、協会は100年以上前からあるのだから、すごい人数になるのではないか。もちろん、全員が加入するわけでもなければ亡くなった人も多いだろうけど。

思えば日本人もフィンランドに森林・林業を学びに行った人も多い。留学もあれば短期履修もあるかもしれないが、私の知っているだけでも幾人かいるのだから、総数はどれほどだろう。彼らは「森の男たち」なんだろうかな。

日本にも森林・林業関係の学科を抱える大学はそこそこの数があって、その卒業生も多いけど(私も含まれているか)、その人たちが協会をつくってつながっているようなことはない。日本では、こうした「同じことを学んだ」つながりは弱そうだ。それより大学なり勤め先なり、組織への従属性が強いよう。それも同窓・同学年などになりがちだ。

学んだ内容でできる連帯は、せいぜい学会に属することぐらいかもしれない。それにしても「森の男たち」を名乗るのが恥ずかしい(笑)。いやあ、最近森に入ってなくてさ……と言い訳する。昨今だと、女子学生はどうする、と突っこまれそうでもある。そもそもフィンランドだって、森林関係の学徒以外で、そんな協会をつくるものなのか。やはり森は特別なのかも。。。

というのようなことを、久しぶりに登った生駒山でぼんやり考える。なまった身体を鍛え直さねば、と思って毎日行おうと決めたが、山登り。この半年ぐらいはしてなかったが「森の男たち」の仲間になれるよう、頑張ろう。

そう思ってノンストップで登ったら、山頂の遊園地はお休みだった……。

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誰もいないけど、ゾウとキリンと逆さ向いたパンダのいる遊園地は怖い。

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しみじみ寂しい。……え、開園していても、平日はこんなもんだって?

2022/06/08

フィンランドの衛星画像で森を見る

フィンランド林業にハマっていることは前々から伝えているが、やはり彼の地の森を見たい。

現地に行くチャンスはあるかどうかだが、まずはGoogleearthに頼ってみる。で見つけたのがこれ。

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これはフィンランド中部の北ポポヤンマー州(県?)だが、正直、どこでも一緒だ。国土全体がこんな状態だった。

いやあ、びっくりだわ。どこに深い森と湖の国があるんだ? どこに森林率73%があるんだ?

このような森林開発を行ったのは、やはり林業なんだろう。人口550万人で都市開発とか農地開発がそんなに多いとは思えない。

もともと平坦な国だが、いわゆる奥地は存在しないのではないか。つまりたどりつくのが大変だから開発に取り残されるということが起こりにくいのだろう。拡大すると、実に細かく道が入っていることにも驚く。森林地帯でも網の目状だ。

せっかくだからストリートビューも見る。

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人工林の模様。若木ばっかりじゃん。おそらく4,50年生ではないか。

別に選んだわけじゃない。テキトーにいくつかの箇所を見たら、こんな森ばかりなのである。いや、森のない原野のところもある。伐採後に植えなかったのが、植えても育つのが遅すぎて見えないのか。もちろん北部のラップランドは、寒冷地でツンドラ気候ゆえに森林が少ないうえに人口もないという事情もあるが。

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とはいえ、景色としてはきれいである。青空に森が広がる景観ばかりだ。旅をして、こんな森の中に寝転がってオーロラを見てみたいなあ。

 

 

 

2022/06/01

北海道フィンランドのセミナーに参加してみた

今週、そして今日は、「北海道フィンランドウィーク~林業デイ~」なんだそうだ。北海道でセミナーが開かれている。

そこに参加してみた。「にわかフィンランドおたく」としては外せないではないか。もちろんウェビナーだが、午後5時間にも及ぶ長場である。パソコンの前で結構自由に振る舞っていたが(ストレッチしたり、せんべいとお茶をバリバリかじったり……)、ヘトヘトになった。

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しかし、北海道がフィンランドと連携しているとは知らなかったな。ただ気候は近いし、人口も似ている(北海道528万人、フィンランド550万人)。国土面積や森林面積などは日本と似ているといわれるが、北海道に絞るとより近いのね。
奈良県が、スイスと似ていると言って提携したが、北海道はフィンランドにロールモデルを求めたわけか。

セミナーの内容は、林業一辺倒ばかりではないのだが、最初に紹介されるフィンランドの林業は、機械化などはるか昔から行われており、今やデジタル化が進んでいる。ハーベスタが樹木を伐った途端に、その丸太の材質が工場に送られて需要のマッチングが行われる……なんて聞くと、日本の林業の決定的な弱点である情報ブツギリ流通をあっさり超越している。さらに大型パネルでコンテナの箱を積み上げるような木造建築やバークにリグニンまで徹底利用。日本より少なめの人工林で、日本の2倍の木材生産ができるわけだ。林業産出額は、GDPの2割を占める。
もはや、人類がゼットンの超科学兵器に挑んでも無理だって、という気持ちになる(笑)。ウルトラマンに任せておこうよ。

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だが。だが、だよ。こんな効率的な林業をやっていたら、結局は木材の過剰伐採につながる(はずだ)。効率がよくて、利益率もよくて、木材利用が徹底的に行われて……いるががゆえに伐採しすぎてしまうのではなかろうか。伐採量は成長量を下回っており、持続的林業を行っている、とはいうけれど。

効率も過ぎたるは及ばざるがごとし。「必要」以上に生産して、後から新たな需要を作り出していこうとする発想は、自然界の摂理から外れていくような気がするのだよ。(セミナーが5時間も続くのも人間の体力集中力の摂理から外れていると思う。。。)

北海道北の森づくり学院は、フィンランドの学校と提携して、この機械化の体制を見習うのだそう。さて。

2022/05/11

フィンランドと日本の共通点はマダニ?

昼にテレビを付けたら、ワイドショーでフィンランドの冬戦争を紹介していた。さらに継続戦争も (@_@)。

にわかにフィンランド沼にハマっている私としては、おおお、とテレビにかぶりつく(^^;)。いよいよフィンランドもNATOに加盟するかもしれないのだ。おかげでミリタリーオタクしか興味を示さなかった第二次世界大戦最中の局地戦のような冬戦争や継続戦争も、こうして紹介されるようになったか。

よく聞いていたら、フィンランドのマリン首相が来日していたのだった。マリン首相は、日本との首脳会談をするためだけ訪問したという。そして「我が国と日本には共通点があります」と発言。

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そこで思い出したのは、奈良公園にマダニがいるというニュース(^^;)。奈良のシカに触るのはご用心とのことである。「奈良の鹿は100%おりますし、公園も実はマダニだらけ」なんだそうである。だからシカには触らないで、という。私はいつも触りたくなるんだよなあ。。。。

で、何がフィンランドと関係があるかというと、実はフィンランドの森でもマダニが増えているんだそうだ。森に入った後は、必ず全身チェックが必要なんだと。どうやらマダニは、ヘラジカやトナカイ、ノロジカが持ち込んでいるらしい。昔は放牧している家畜がマダニの発生源とされたのだが、それらは駆除されて、放牧も中止されている。すると野生のシカが増えたのだ。

当然、造林地の苗被害もひどいそうである。皆伐した跡地には草が繁る。すると草食のシカ類が増える。植えたシカは、里にも出没し、農作物や植えた木の苗も食べてしまう……う~ん、日本と似ている。共通点はこんなところにあったんだね!(なんか、違……)

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じめじめフィンランドの森。

 

2022/05/07

谷山浩子コンサートと「フィンランド」

東京で訪れていたのは、深川不動尊や神保町の書店や土倉取材やメトロポリタン美術展だけではない。実は、谷山浩子デビュー50周年記念のコンサートに行っていた。よくチケット手に入ったなあ。

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なんとオールリクエストというトンデモ企画で、その場でリクエストを受け付けて(半券の抽選)、歌うという。しかもソロではなく今回は4人(シンセ、ベース、バイオリン、ドラムなど打楽器系)の演奏もついている。全3000曲といわれる曲の楽譜が全部あるわけでなく、また知っているのは谷山一人の曲もある。それをその場でキーや曲調を伝え、多少練習したりアカペラもあったりしつつ、演奏・歌唱という離れ業。それがスゴイ。最初は多少の戸惑いがあるように見えても、そこで新曲をつくってしまったかのごとく引き込んでいく。ある種のジャズセッションのようでもあり、演奏家のプロの実力を見せつけられたかのように圧倒される。こんなこと、できるんだ……。そして、この場でしか演奏されることのない曲なのである。

 

さて、そのリクエストの中にはなかったのだが、ほぼ同時発売のベストアルバム「ネコとコバン」の中に「フィンランド」という曲がある。

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珍しく谷山の作詞作曲ではなく、「空飛ぶモンティパイソン」の歌の訳詩なのだが、今フィンランドにハマっている私にはいたく響く(笑)。

初めて聞いたときは「ヘンな曲」と思ってしまった(今もそうかも)だが、妙に癖になる。イギリス人にとってのフィンランドのイメージなのかなあ、偏見に満ちてない?と思ってしまった。「いつかはいきたい憧れの国」であるのだけど、「どこかにある国」。「海外旅行の行き先として忘れられてる」とか。ちなみに「山はそびえたち」とあるけど、多分、そんなに高い山はないと思う……。

今の日本ならフィンランドと聞いて連想するのは、サンタクロースにムーミン、そしてサウナ発祥の地でしょう。そしてウクライナ戦争からかつてのソ連フィンランド戦争(冬戦争)を連想したり、急遽NATOに加盟すると言い出した問題で注目を集めている。私も今は、伝説の狙撃手シモ・ヘイヘの伝記を読んでいるが、マイナーであるのは事実だ。

しかし林業関係者の間では、わりとフィンランドは人気なのではないかと思う。日本と面積が近くて、森林率も7割前後と似ている。それなのに林業は国の基幹産業で、木材生産は日本の2倍以上あって、木材製品輸出で大いに外貨を稼ぐ。そして森林蓄積を増やしている……なんだか「林業を成長産業に」と叫んでいる日本からすると、理想の国、理想の林業を展開しているように思えないか。実際、研究者もよく訪れているし、フィンランドの大学にある森林科学系の学部学科に留学している日本の林学徒は多い。

さて、どんな国なのかなあ。私も憧れてしまったよ。いつか行きたい国に仲間入りだ。

2022/04/27

頭がフィンランド~幻の立ち枯れ木

このところ頭がフィンランドになっている。

何冊フィンランドの本を読んだことか。もちろん観光案内的なものもあるが、フィンランドの歴史やら文化論やらフィンランドが舞台ぽい小説まで。フィンランドと言えば、サンタクロースやムーミン、最近ではサウナ発祥の地とかで人気だし、ほかにもオーロラやIT大国だとか世界一の教育先進国……いろいろ言われるが、その経済成長は「北欧の日本」と言われたこともあるとか。基本的イメージはやはり「森と湖の国」。その点はスウェーデンと一緒だろう。

そこで、フィンランドの森について登場したのが「立ち枯れ木」という言葉だ。シルバーパインともある。非常に貴重なんだとか。

そんな名のマツがあるのか。最初、意味がわからなかったのだが、検索してみると、意外なことがわかった。

ラップランド地方などの森に立ち枯れているヨーロッパアカマツのことらしいのだが、枯れて200年~400年経っているというのだ。枝葉が落ちても倒れず、石化した状態だという。写真を見ると、まるで蔵王の樹氷みたいな状態で立っている。そしてログハウスなど建築用材として人気で、一部は日本にも輸入されているらしい。サウナ小屋にも使われる……。

おそらく極寒の地で枯れたから、乾燥しきっているのだろう。水分は冬に凍っては夏に蒸散するから、含水率はどこまで下がるのか。だから腐らず狂わずの幻の建材になる。色も灰色がかった風合いがある。「幻の」とはあるが、日本に輸出されてログハウスになるぐらいなんだから、量的にはそこそこあるのだろう。日本なら、たとえば屋久杉の土埋木みたいな感覚の銘木かもしれない。

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これって、木材的にはどんな状態なのだろうか。細胞はどうなっているのか。絶乾状態になっているのだろう。石化とあるが、まさか本当に珪化木のようになっている? 機能的には、木質の部分を残しているのだろうか。日本の湿気のあるところに置かれるとどうなるか。いまさら水分を吸収するとは思えないし。

ただ日本人の銘木イメージからはちょっとかけ離れているかもしれない。樹木と木材の新たな形だ。

頭がフィンランドになって、この立ち枯れ木が実際に立っている森に行ってみたくなった。

 

2022/02/23

ウクライナ情勢で思い出すフィンランド冬戦争

ロシアが、ウクライナ東部の2地域に独立承認し派兵を決定した。これまで瀬戸際外交を展開しつつ、最後の落としどころを睨んでいるのではないかと思えていたが、その一線を越えた可能性がある。何やら不穏な空気が漂っている。

それで思い出したのが、フィンランドの冬戦争だ。日本ではほとんど知られていないし、表現もソ連-フィンランド戦争と呼ばれがちである。

これは第2次世界大戦勃発直後(1939年11月30日)にソ連軍45万人がフィンランドに攻め込んで始まった戦争だ。圧倒的な戦力差で3日で終わると思われたが、フィンランドは厳冬の中ゲリラ戦と焦土作戦で迎え撃った。結果として4ヶ月間でソ連軍の損害はフィンランド側の10倍以上となっても占領できなかった。フィンランド2万6000人、ソ連12万8000人の犠牲を出したが、だが、人口370万人のフィンランドにはこれが限界だった。講和条約が結ばれ、国土の1割、それも工業地帯が割譲され、莫大な賠償金が課される。

だが、このソ連の侵略にナチスドイツは不信感を覚え、ソ連との不可侵条約を破るきっかけとなったとされる。独ソ戦が始まると、フィンランドはドイツと手を結び、失地回復をめざして再び戦った。これは継続戦争と呼ばれる。そこで一時割譲した領土を取り戻したのだが、ドイツの崩壊を前に44年9月に停戦したら、今度はドイツ軍と戦うはめになる……。結果として、より多くの領土を奪われる結果となった。

このような戦いを繰り広げて独立を維持した国の外交を「フィンランド化」と揶揄すべきではない。むしろバルト3国と違ってソ連邦への編入を阻止したのである。ただ戦後も、フィンランドはソ連に、そしてロシアに領土を割譲したままだ。そして賠償金を支払わなくてはならなかった。

しかし国土を蹂躙されたフィンランドにとって、その経済力は残されていない。そこで全土の森林を皆伐して木材を売った収入を当てることになる。それが現在に続くフィンランドの林業構造を形作った。フィンランドの林業は戦後生まれといえるかもしれない、日本と同じく。

フィンランドの林業には、冬戦争の影響が色濃く残る。そして、それは森林全体を覆う影である。

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冬戦争 ウィキペディアより。

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フィンランドの林業は、皆伐一斉造林、そして拡大造林。大量生産型だ。

 

 

2022/02/14

北欧林業は見かけ倒れ?

スウェーデン、フィンランド……北欧諸国の林業というと、なぜか憧れを抱く人(林業関係者)が多い。

面積は日本とさして変わらず、森林率も同様。そこで林業大国として知られるからだ。フィンランドにはケスラという大手林業機械会社がある。日本にはホワイトウッドなど北欧材が入ってきて、北欧住宅、スウェーデンハウスなんて名前の住宅メーカーもある。ログハウスも北欧式がわりと人気だ。森と湖の国……というイメージは強い。

もちろん気候や地形などの条件が違うので、スウェーデン式をそのまま日本に持ち込もうとする動きはさほどないかと思うが、研究者や業界関係者の視察団などが多く北欧を訪れる。何を参考にしようというのだろう。日本の皆伐林業を批判すると「北欧だってやっている。それでも北欧は豊かな森があり、健全な林業が営まれている」という“反論”が出る。

本当に北欧の林業は優れているのだろうか。疑問に思った一つは、林地施肥だ。つまりスウェーデンなどでは林業地で肥料を撒いて木を育てていることだ。飛行機で大量に肥料を撒き、樹々を急激に太らせハーベスターで伐採するのだそうだ。

日本でも戦後の一時期、少しでも早く木を育てて伐期を縮めようと施肥が行われたことがあった。わざわざ急斜面の林地にまで肥料を……ときには人糞を撒いたのだそうだ。当時はヘリやドローンもないから人力である。

結果は散々なもので、肥料をやったところだけ徒長成長をして、無駄に枝が伸びたり、幹の強度が弱くなったり、虫害が発生したり……労多くして益少なし、いやマイナスだとされ施肥林業は消えてしまった。

スウェーデンの林地施肥で面白いのは、林地の生産力が高いところに施すこと。とくに伐採予定の10年くらい前にリン酸,窒素などの肥料を与えるというもの。あえて伐採前に急激に成長させ、立木の材積を増やして(経済的価値を高める)から伐採するのだ。貧栄養の泥炭地ではやらないという。日本的感覚だと反対のような気がするが……。
ちなみにフィンランドでは、湿地に水路を縦横無尽に掘って灌漑し、乾燥させてから植林し、肥料を撒くそうだ。当然、湿地の生態系は破壊されてしまう。

亜寒帯で寒いだけに木々の成長は遅いはず。伐期も100~120年と聞いた覚えがある。それでも持続的で生長量より伐採量は少ないというが、それは肥料で太らせているから可能なのかもしれない。
また皆伐施業には、地元でも反対運動が起きているそうである。決して、みんなが納得しているわけではなかった。

そんな育て方をした木々は木材としてどうなんだろう。軟弱な材質になるに違いない。用途の多くが製紙用だから、さほど材質にこだわることはないのかもしれないが。あるいは徹底的に乾燥させ、含水率9%まで下げたら、ブヨブヨに育った材を引き締めるのか。

最高級の木材は、立ち枯れ木なんだそうだ。立ち枯れてから100年200年もそのままの木をシルバーパインと読んで建材としては重宝するらしい。銘木級の扱いで、もはや「幻の木」と呼ぶ。日本に輸出しているのは、どちらの木材だろう。

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フィンランドの森。ケスラからいただいたデータに入っていた。



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