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森と林業と田舎の本

2020/10/17

餌が足りないのに森のシカが生息できる理由

森林総研のHPを見ていたら、こんな研究発表が目に止まった。

森のシカは、夏は落ち葉を、冬は嫌いな植物を食べて生きぬく シカ糞の遺伝情報から、シカの食べる植物の季節変化を解明

一瞬、「夏に落ち葉を食うのか?」と驚いた。シカの落ち葉食いは冬だと思っていたから。概要には、このように説明している。

ニホンジカが全国的に増加するに伴って森林の植生が破壊され、生物多様性の衰退、土壌侵食など様々な影響が報告されています。シカの増加した森林では、林床に生える、シカの好む植物は食べられてほとんど無くなっていますが、シカは、そうなっても森林内で生息することが可能となっています。このようにシカの餌資源が乏しいにも関わらず、なぜシカがこうした森林内で生息できるのかは長らく謎に包まれていました。本研究ではシカ糞を季節別に集めて、それらに含まれる植物のDNAを調べ、シカが食べている植物の種類を明らかにしました。その結果、シカは冬から春にかけて、シカが好まない常緑樹 (スギなど) や草本植物を食べる割合が増加している一方で、夏から秋には、シカが好む落葉広葉樹 (落枝落葉など) を食べていることが分かりました。このように季節によって食物構成を変化させることで、一見して餌がほとんどない森林でもシカが生き延びていることが分かりました。

通常の生態学では、シカが増えすぎたら餌が足りなくなり、結局自滅して生息数は減る(だからオオカミを放してシカを適度に減らしたらシカも適正数に落ち着く、という発想が生まれるのだろう)、と考えられる。ところが、現実には全然減らないのだ。シカは生息数を減らさず森に生息し続けている。その謎解きを「夏秋は落葉広葉樹の落ち葉を食っている」からというのは、夏の落ち葉というより秋の落葉ではないか。夏は落ち葉というより、何らかの形でちぎれた葉や折れた枝だろうか。ついでに言えば、冬はスギなど針葉樹の葉や樹皮を食べるから獣害が発生する?

正直、この研究内容にそんなに新味は感じない。だって奈良のシカを見ていると、よく見かける風景だから。夏でも風で落ちた葉を拾い食いしているのは普通だし、冬だけでなく、春夏秋でも、本来は食わないと思っていたアセビやシダを食っている。ナラシカは、シカの食性という点では全国に先駆けているかも。

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春の若草山で、シダをボリボリ食っているシカ。シダは食べないなんて嘘だ。そもそもアセビやシダを本当に嫌っているのか?ようするに何でも食べるのよ。鹿せんべいはデンプンだし、多分、昆虫など動物性タンパク質も取っているんじゃないか。

奈良のシカは、個体サイズを抑えて、みんな小型化が進んでいる。餌が足りなくても、数は減らさず身体を小さくして必要な餌の量を少なくすることで生き延びているように感じる。果たして全国の森のシカはどうだろう。小型化も進んでいるかもしれない。

 

ちなみに研究は、兵庫県立大学自然・環境科学研究所、兵庫県立人と自然の博物館、国立環境研究所、森林総合研究所、京都大学の共同で行われたらしい。

 

2020/10/13

獣害列島の町!

今朝、愛媛県に出発。久しぶりのスーツ姿で家を出たのだが……。

我が町の一角で目にしたのは、これ。

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すさまじく耕され?ている。もちろん、イノシシの仕業だ。

そこにいた人の話によると、もともとイノシシに耕されないように伐採した木の幹や粗朶を積んでおいたそうだ。それをひっくり返しての耕作だったのである。もちろん、イノシシの。

何考えてるんだろうねえ。最近は昼間でも姿を見かけるとか。

うーん、俺、『獣害列島』を書いたばかりなだけどな。まだまだ現場を知る必要あるな。

 

2020/09/20

ネコ。その生存戦略と陰謀

我が家(の庭)に出入りしているネコが子どもを生んだようだ。少なくても2匹。飼っているわけではないのに、わざわざ家族連れで見せに来るのは……、正直困る。

が、たまたま向かいの家のガレージにヤツラメがいた。

Dsc05551母子3匹で寝とる。

Dsc05552おっと、気づかれたか。

どうやら、我が家以外にもほかの家に出入りしていて、それぞれの家人に「飼っている」気にさせているのかもしれない。ノラネコは、いくつもの“飼い主”を確保しているものなのだ。

ところで、いわゆるノラネコという「ノラ」という存在は、野生動物に入れるかどうか。

そもそも野生動物とはどのように定義づけられるのか。ノラネコ、もしくはノライヌは、完全に飼われているわけではないが、実は人に「飼っている」と勘違いさせ、あるいは自分の庇護の元に置いたという満足感を充たさせてあげることで、餌などをせしめているのではないか。こういうのは、野生と飼育(家畜・ペット)の間なのかもしれない。

ネコの先祖はリビアヤマネコとされている。ヤマネコが人とともに生きるようになってイエネコになったらしい。しかし両者は、ほとんど遺伝的に違いはない。タイリクオオカミが人に馴れてイヌになってしまうと亜種程度に遺伝子は違ってきたのに、ネコは変化していないのである。

なぜなら、イヌは「人に馴れた」が、ネコは「人を馴らさせた」から……と言われている。

ネコ自体は変化せず、人の心理を操り、ネコを可愛がると快感を味わえるようにしつけたわけだ。おかげでマタタビ食ってメロメロになったネコのように、ネコにメロメロになった人が少なくないのだが……みんなネコの戦略・陰謀なのである。人の性格を変えるウイルスでも感染させたのではないかとか思いたくなる。

だが、ネコは野生のまま。その肉体も性格も、野生のままなのである。そして、天性の殺し屋であった。自然環境に大きな影響を与えている。

野生動物とは何か。ネコの獣害とは何か。そんな考察の続きは、『獣害列島』を読んでください(^_^) 。 10月10日発売!

2020/09/19

『獣害列島』裏表紙と目次大公開!

近頃、テレビで「京都の河川敷で野犬の群が出て危険……」などとワイドショーでやっていた。
今度『獣害列島』を出版するからよけいに獣害関係の記事や番組が目に止まるのかもしれないが、ああ、そのネタも使えばよかった、と今頃思う。実は、イヌネコの獣害もバカにならないのだ。本書では、ネコは大きく扱ったが、イヌはイマイチ少なめだったな。

完成した表紙カバー。実は裏の方が中身を記している。

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目次も、最終確認を済ます。わりと目玉は、ネコとコロナウイルスかな。従来の獣害イメージとは違うものも取り入れている。それが自慢なのだが、逆にネコを危険視したら、世間の大勢を敵に回す予感もする(^^;)。

ともあれ、ご笑覧あれ。わりと画期的なつもりだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

はじめに 

第一章 日本は野生動物の楽園? 
 身近な野生動物、イヌとネコ 
 列島全域が「奈良公園」状態 
 コンビニ前にたむろするイノシシ 
 寝たふりできないクマの激増ぶり 
 レジ袋片手に冷蔵庫を荒らすサル 
 ラスカルは暴れん坊! 外来動物の脅威 

第二章 破壊される自然と人間社会 
 鳥獣被害額は一〇〇〇億円以上?
 森林を草原にする知られざる破壊力 
 檻と化した集落に閉じ込められた人々 
 ネコは猛獣! 野生化ペットが殺す自然 
 コロナ禍は獣害! 人獣共通感染症の恐怖 

第三章 野生動物が増えた本当の理由 
 国が野生動物を保護した時代 
 仮説① 地球温暖化で冬を越しやすくなった? 
 仮説② ハンターの減少で駆除できない? 
 仮説③ 天敵のニホンオオカミが絶滅した? 
 飽食の時代を迎えた野生動物たち 

第四章 食べて減らす? 誤解だらけのジビエ振興 
 害獣駆除で生じる「もったいない」 
 期待される猟友会の危うい現実 
 野生動物がジビエになるまでの関門 
 シカ肉がビジネスになりにくい理由 
 野生動物の資源化と駆除の担い手 
 獣害対策は防護と予防にあり 

第五章 獣害列島の行く末 
 トキは害鳥! 苛烈な江戸時代の獣害 
 獣害が少なかった時代の謎解き 
 戦後に激変した日本列島の自然 
 撤退する人間社会と狙われる都会 
 「カワイイ」動物はなぜ生まれる? 
 築けるか、人と野生の共生社会 

おわりに 
主な参考資料一覧

 

2020/08/13

「お花畑」の正体

本日は、大峰山系の山上が岳に登ってきた。

朝5時起きで、登山開始からゴールまで約7時間。さすがに応えます。しかもコースは……。

その話は別の機会にして、超猛暑(気温は6時台で30度越え!)の中苦しむかと思いきや、登山口の標高が約1000mで、1719mまで登ると、ひんやり涼しい。というか寒い。ぐっしょり汗で濡れた上着がガスの漂う風で急速に体温を奪う。これだけはよかったなあ。

山頂の大峰山寺に到着して一服していると、前に「お花畑」の矢印標識が。大峰山に高山植物の咲き乱れるお花畑があるの? ちょっと記憶にない。以前登ったときも見た記憶がない。

それで矢印方向に進んでみると……。

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お花畑というか、笹原であった。。。お花を咲かせそうな草木はほぼない。こんな風景も以前来たときにあったかなあ。
それに、この風景は、大台ヶ原に近い。大峰山と大台ヶ原は紀伊半島に並んで屹立しているが、地形も植生も随分違うと思っていたが、ここだけは似ている。ということは……。

笹をよく見ると。

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あきらかにシカの食痕がある。そう、この笹はシカに食われている。大台ヶ原と一緒であった。大台ヶ原の笹原は、シカが原生林を食い荒らしてつくったものだからだ。それが大峰にも広がりつつあるのかも。もちろん、さまざまな要因はあるのだろうが。

まあ、風景としては、なかなかのものであった。

2020/07/25

恐竜=ネコ論

昨夜、「ジュラシックワールド 炎の王国」をテレビで見た。実は公開時に映画館でも見ているのだが、まあ、相変わらずの恐竜との追いかけっこを繰り返している(笑)。第1作目を見たときの衝撃は薄れたな。 見るのは惰性のようなものである。

が、いい加減に見ながら、ふと思いついたのだ。それは……「恐竜は、ネコじゃないか説」。恐竜は、実は(人間にとって)ネコと同じなのだ! という論考というかアイデアである。そこで「恐竜=ネコ論」をここでぶってみよう\(^o^)/。

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まず映画の冒頭で、復活した恐竜の棲む島で火山が活発化して、このままでは恐竜は死んでしまう、滅んでしまうという状況が紹介される。しかし恐竜はすでに滅んでいるのだよ。復元したことが正しいのかどうかが課題となるべきだ。映画の中でも政府は、というか主流派は、放置を選ぶ。死んでも仕方ないと考える。DNAから復元したことが街内なら、火山で死に絶えるのも神の摂理だ、というわけである。

が、ここで恐竜保護団体が登場するのである。そして救出運動を陳情する。またジュラシックパークをつくった人物も、恐竜をほかの島に移す救出作戦を進める。ま、これがストーリーの始まりだ。

もう、この当たりで恐竜はネコと同じだ、と感じたのである。存在してはいけない生物種であるのに保護したがる、恐竜マニアの存在。いやマニアを超えて恐竜に身も心も奪われた人々。

ネコも同じである。とりあえずペットとして飼われている分はおいておくとして、捨てネコ、ノラネコ、そして完全野生化したノネコ。さらにペットなのに放し飼いされるネコ。これらのネコは、猛獣であり、本来いるべきでないところに持ち込まれ、生態系に多大な影響を与えている。野にいるネコは、餌として鳥や小動物をかなりの数を捕獲する。
アメリカの研究では、全米で鳥類が年間(中央値)24億羽、哺乳類123億匹……。オーストラリアでは、ノネコのために100種以上の哺乳類が絶滅の危機に追いやられているそうだ。
このように世界的に問題となっているのだ。しかし、駆除しようとすると、激烈な反対運動にぶつかり、捕獲しても里親探しに奔走する人々が多数いるのである。

同じく害獣として駆除されるイノシシやシカは、各々年間60万頭を超える。しかし反対運動とか里山探しは行われない。奄美や沖縄では、地域の固有種の生息を脅かすフィリピンマングースの駆除は熱心にやる(もちろん反対者はいない)が、同じ害をなすノネコ退治には躊躇する。行う人に罵声が飛ぶ。この差はなんだ? ネコの何が人の心を揺さぶるのだ?

恐竜は基本的に爬虫類だとされて、とても可愛い形態ではないのだが、それでも根強いファンがいて(現実には生きた恐竜なんぞ、誰も知らないのだが)保護というか熱中する。映画の中では競りにかけられて、世界中の人々が凶暴な恐竜ほど高く落札する。なぜだ、恐竜にも人間の心を揺さぶる要素はあるのか? 

だから、恐竜はネコと同じなのであるv(^0^)。

しかし野生化した恐竜は、さまざまな害をもたらす。獣害ならぬ龍害だ。

ちなみに、映画の最後で恐竜は野に放たれ、野生化していく。少なくてもアメリカ大陸では共存していかねなばならない状態に陥った……というオチであった。そして「後戻りできない」と繰り返される。(多分、続編に引っ張るのだろうけど。)
ネコも同じだ。野生化ネコは後戻りできないほど増えているよ。でも、ネコだって猛獣なのだ。共存できる……のかねえ。

でも、もしかして恐竜も馴らされて、ネコ並に人間にじゃれつく奴も出てくるかもしれない。ペット化も有り得るかも。

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ほれ、恐竜とネコ(ライオン)が向き合っているよ(笑)。

2020/07/18

異変・奈良の鹿減少? 

奈良のシカの頭数は、毎年7月に行われている(奈良の鹿愛護会調査)のだが、だいたいにおいて増え続けていた数が、今年はいきなり102頭も減った結果が出た。

昨年は過去最高の1388頭だった。ところが、今年は1286頭。これほど大規模に数が減少したのは始めての記録ではないか。終戦時などを除けば。

原因は、今のところはっきりしない。そこで、推理してみた。

まず、コロナ禍で観光客が減ったので鹿せんべいをもらえる機会が減って、それならわざわざ公園に出て人間に媚びる必要ないや、と気づいた鹿たちが、森から出てこなくなったという推論が成り立つ。シカは、人に会いに公園に出てくるのではないのだ。むしろ溢れる人間に触られたり追われたりするストレスがなくなって喜んでいるかも。
あるいはソーシャルディスタンスをとって、バラバラにいたら数えにくくなって見落としが増えた……という推論はどうだ。

なお頭数調査を行うのは、寺社の境内や芝の公園部分で、春日山原始林内は調べていない。だから森の奥に潜んでいたらカウントできなかったと考えるのが自然だ。

もしかしたら、鹿せんべいをもらえない公園に用はないと、旅に出たことだって考えられる。春日山を越えて大和高原まで行く。あるいは住宅地に入って街路樹や庭木を食べることを覚えて居つく。こうなると調査にカウントされないだろう。

ただ、別の考え方もある。先月末までの1年間に死んだ鹿の数は308頭で、これは前年より129頭多い。死因別では、病気が102頭(前年比15頭増)、交通事故(前年比15頭増)の49頭頭。また老衰や死因不明などは144頭だが、これは前年比86頭増なのである。

全体に不慮の死が増えたことになるし、老衰・死因不明が非常に多くあった点が気になるところだ。

そこで気になるのは、前々から奈良のシカは栄養失調気味であったことだ。奈良公園というエリアに1000頭以上のシカがいるのは異常なのである。同じ広さの森なら、せいぜい300頭くらいしか住めないはず。4倍以上になって、餌が足りなくなっている。鹿せんべいも、シカの食欲を賄うのには足りない。だから植物繊維なら何でも、と森の樹木も食べられて劣化させる現象も起こしている。それでも足りずにごみ箱漁ったり、落葉食いまで始めている。もっとも植物が豊富な夏なのに落葉を食べなくてはならないというのは危機的かもしれない。

いずれにしろ餌不足が続くと、奈良のシカの健康状態に問題が出る。すると病気や怪我で亡くなる可能性も高くなるのではないか。

……これらは邪推だろうか?

ただ減ったとはいえ、まだ1200頭をはるかに越す頭数がいるのだ。まだまだ多い。下手に心配して鹿せんべいを大量に供給しようとか、野菜などを撒いて餌やりをしようなどと思ってはいけない。あくまで奈良のシカは野生なのだから、このまま様子を見よう。さらに減るか。あるいは来年はちゃっかり元にもどっているか。いずれにしても自然の摂理だと見るべきだろう。

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2020/05/11

奈良のシカは本当に「凶暴」になっているのか

コロナ禍騒動が続く中、奈良のシカが取り上げられている。

最初はコロナウイルスが広がりだして、国の内外の観光客もシャットアウトされだした頃、「奈良のシカが鹿せんべいをもらえなくなったので凶暴になっている」という記事が出回った。

最初はSNSだ。私の見たのはツイッターだったが、一読「これはネタ」と笑い飛ばしたものだ。たしかに観光客が減ったら鹿せんべいを買って与える人が減るので、それ目当てに公園にたむろしているシカにとっては困る。そこに少人数の鹿せんべいを持つ人が現れたら群がってせがむ。その様子をユーチューブでアップしている人もいたし、鹿せんべいを欲しがるシカを「凶暴」という言葉で表現すれば笑えるのだろう。

私自身は、よくできたネタと思っていたのだが、それがネットで拡散され、そのうちテレビのワイドショーが取り上げ、さらにはニュース番組や新聞まで取り上げた。それも笑い抜きの「奈良のシカが凶暴に」である。この現象自体が笑える。

もっとも、すぐに奈良のシカ愛護会が声明?を出して、「鹿せんべいはおやつぐらいの役割しかなくて、主食の草や芝をたっぷり食べているから飢えていないし凶暴にもならない」と説明した。おかげで私は、Yahoo!ニュースに同じことをアップするチャンスを失った(笑)。

ところが、最近また取り上げられている。それも、今度は鹿せんべいが食べられなくなったから、シカが街の中まで進出してきた、という記事。

まあ、これもネタだろう(笑)。たしかにシカが商店街や駅前を闊歩したり、たまには店の中にまで入ってくることはある。アーケード内で雨宿りしているシカを見たこともある。また園を出て、群で駅前とか住宅街をほっつき歩いたり、ときに暴走することもある。が、それもコロナ禍とは関係のなく昔からの風景なんだから。

ただ最近は、あまりに観光客が増えすぎて、商店街も人通りが多すぎてシカが歩けなくなっていた。それが、コロナ禍のおかげ?で人通りがなくなったのだから、また進出し始めることもあるだろう。ちなみに奈良のシカは慢性的な餌不足でもあるので、餌となる草を探しに遠出することもあるはずだ。それはそれで可愛い奈良のシカの風物詩復活として捉えよう。

こうした記事がよく出るのは、みんな奈良のシカが人に依存して生きている、つまり飼育していると思っているからだろうか。鹿せんべいも必ず欲しがるものと想像しているのだろう。しかし奈良のシカは、あくまで野生だ。人には馴れているが、懐いてはいない。

3_20200511231001近鉄奈良駅前。

だいたい今の季節は、もっとも新芽が伸びて、美味しい草が増えているとき。冬ならともかく、飢える心配はない。

私は、シカも鹿せんべいばかり食べたら栄養が偏って病気になるんじゃないか、と思っていた。鹿せんべいは基本的に小麦粉だからデンプン質であり、糖質と言ってもよい。またタンパク質のグルテンも含む。これは依存症になりやすい。人間も「グルテンフリー」を心がける健康法があるぐらいだ。
だから現状の奈良のシカは、(鹿せんべいを)食べたくても食べられないから鹿せんべい依存症から回復して、さらに散歩の距離も伸ばして、むしろ奈良のシカは健康になっているんじゃないか、と想像している。

コロナ禍のせいで自宅にこもり、インスタントのでんぷん・糖類が過剰な料理やお菓子ばかり食べ、運動不足になった人間より、奈良のシカの方が健全な生活を送っているかもしれない。

 

 

2020/05/03

明治時代のナラシカ

連休と言っても、何の動きもなくて話題も少ない……。

ここは秘蔵?写真を紹介しておこう。

まずは、川上村の成瀬氏からいただいた明治時代の奈良公園、おそらく東大寺の参道の写真だ。

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奈良のシカ、ナラシカは、今と変わらぬ姿でいたことになんか微笑ましい(笑)。

この写真は明治30~40年ごろと思われるが、実はこの直前までナラシカは酷い目にあっていた。明治になって赴任した県令が、ナラシカを撃ってすき焼きにしたり、馬車を牽かせたり、あげくは柵に閉じ込めて大量餓死に追いこまれたりしています。38頭まで減ってしまったとか。

ようやくナラシカ保護策が立てられたのは明治10年、そして12年に奈良公園が設立される。そこから徐々に数を増やして元の「町中をたむろするシカ」状態にもどっていったのだろう。写真の頃はナラシカの数も元にもどり、蛇の目をさす人の手から鹿せんべいを受け取るまでになっている。写真の左隅には、鹿せんべいが売られている模様だ。

このころは日本の歴史上、もっとも獣害が問題にならなかった時代だ。正確に言えば、明治30年~昭和40年ぐらいの間か。もっとも獣害が極端に減ったのは、野生動物が減ったからだけど。その中で保護されたナラシカは、もっとも平和な時代だったのかもしれない。

さて今の奈良公園、観光客がいなくなって鹿せんべいをもらえないから狂暴化しているという噂が飛び交っている。まあ、おやつがなくて苛立っているかもしれないけれど(笑)、今は草木がもっとも新芽を出す時期。食べるものに困ることはない。むしろ少し野性味を取り戻しているかもしれない。最近のナラシカは、ちょっと人に馴れすぎだったから。

ちょうど今年初の子鹿も生まれた。

 

2020/04/17

アフターコロナ。野生動物とのつきあい方

いよいよ逼迫してきた、コロナ禍。とうとう全国に緊急事態宣言だって。

そんな中、わりとネットを含む論壇の中で目につくのは、「アフターコロナ」だ。あえて、コロナ禍が終息した後の世間がどのように変わるかを予想するような論説が目につき始めた。グローバルリズムからの転換もあれば、リモートワークの進捗、いや人生観の転換までさまざまな論者がさまざまな視点から語っているが、私も少し参戦(^0^)。

その前に示しておきたいのは、朝日新聞夕刊の記事「新型コロナ 野生動物と私たち(上)だ。

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ようするに、COVID-19の元になったコロナウイルスの起源を探っているのだが、内容は私もYahoo!に記した「野生動物に気をつけろ! 新型コロナはペストと同じ人獣共通感染症」と一緒で、コロナウイルスが人に感染した元が野生動物である可能性が高いことを示している。中国のどこかだろう。おそらく宿主はコウモリであることは間違いなさそうだ。SARSもそうだったから。
ただし直接コウモリのウイルスが人間にうつるとは考えにくく、センザンコウが中間宿主として上げられている。日本では珍しいセンザンコウは、中国ではわりとポピュラーなジビエ食肉だから、その接触機会は食肉とした市場が怪しい。

もっとも、アメリカは中国武漢のウイルス研究所を疑っているし、中国は武漢の海鮮市場で発生したとしている。海鮮もの市場で野生鳥獣の肉も扱っているのかよ。
ともあれ、野生動物の持つウイルスが人間に感染し、さらに変異を重ねて強毒性と強感染力を持ったのが今回の新型コロナウイルスだろう。

だからアフターコロナ時代を考えると、野生動物対策が厳しく問われるのではないか。中国も野生動物市場を閉じると言っているが、それだけでは済まない。日本も他人ごとではなくなる。今や日本列島は獣害列島、野生の楽園なのだ。イノシシやシカだけでなく、野生長寿に付いていたダニや寄生虫も感染源になりかねない。そして食肉にはE型肝炎ウイルスに留まらず未知のウイルスが危険視される可能性がある。ジビエや獣害駆除の様相が一変する可能性がある。
シカやイノシシは在来種だから心配ないと思う人もいるだろうが、なに、センザンコウだって何十万何百万と食された中で、今回の新型コロナが登場したのだ。これから在来の日本の動物から現れる新種ウイルスだってあるだろう。

ジビエの普及が足踏みするか。野生動物との関わり方、獣害駆除のやり方も問われるかもしれない。いや、ペットだって不安が広がるかもしれない。野生動物とのつきあい方を見直していかねば、同じことは幾度も繰り返されるだろう。動物をなめるなよ(なめられるなよ)。

 

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