無料ブログはココログ

森と林業と動物の本

2025/11/27

「ノネコ撲滅」本はどう?

昨日は「クマ本を書くつもりはない」と記したが……。そこへ、こんなニュース。

ニュージーランド、2050年までにノネコ根絶へ 生物多様性保護目指す 

CNNニュースの報道だが、
ニュージーランドは生物多様性を守る取り組みの一環として、2050年までにノネコの根絶を目指す計画を発表した。

タマ・ポタカ自然保全相は20日、ラジオ・ニュージーランドの番組の中で、ノネコを「冷徹な殺し屋」と形容。鳥類やコウモリ、トカゲ、昆虫などの種を脅かす捕食動物の根絶を目的とした「プレデターフリー2050」の対象にノネコを加えると発表した。

ネコこそ危険な外来種、生物多様性の敵! というわけだ。

記事には、具体的につぎのようなケースを上げる。

「ノネコは農場から森林に至るまでニュージーランド全土で見かけるようになり、在来種の鳥類やコウモリ、トカゲ、昆虫を脅かしている」

北島の町オハクネの近郊では1週間で100匹以上のツギホコウモリがノネコに殺された。スチュアート島のニュージーランドチドリが絶滅寸前の状態に追い込まれたのもノネコが一因だった。

「ノネコはまた、イルカを害して人間に影響を与え、農場に家畜損失の損害を与えるトキソプラズマを拡散させる」

これは注目すべきだ。ノネコが在来の生態系に与えている悪影響を考えれば、こうした政策をもっと早く取るべきだった。
何も南太平洋の孤島で特殊な生態系のあるニュージーランドだからではない。同じことはオーストラリアや北米でも言われてきた。日本でも、小笠原諸島に奄美群島、そして伊豆諸島の御蔵島……。各離島では、ノネコの増殖が重大な生態系破壊を生み出している。とくに鳥類被害は大きいし、爬虫類や両生類もかなり食っているはずだ。

これにスポットを当てたら本が書けるかもしれない。。。。。。ノネコ撲滅作戦!

とまあ、そう表明すれば感情的な批判が飛び交うのは間違いあるまい(⌒ー⌒)。

以前調べたこともあるのだが、日本では明確にノネコによる環境悪影響や駆除に関する研究をしている人はなかった。むしろネコはなぜ可愛いのか、という研究を進める人はいる。

かろうじて上記の離島などの個別ケースで駆除をしてきた、する必要があるとするだけだ。ただし正確にはノネコの完全駆除ではなく、生体捕獲して飼い主探しをするなど、えらく手間のかかる方法を取っている。さもないと世間の反応が怖いから。ネコ様に遠慮してしまっているのだね。

ちなみに、ここで駆除を主張するのは「ノネコ」である。ペットのネコではない。街に棲むノラネコでもない。生まれたときから野生であるネコが問題なのだ。だけど、ネコの奴隷に成り下がった人々は、ノネコとノラネコ、そして飼いネコの区別もつかず、頭に血を上らせて反対するのであろう。

この点は、クマも当初似た展開だった。ただその後クマによる人身被害が相次いだから、駆除やむなしの声が8割を超えたが、ノネコ駆除に賛成するのは1割いるかなあ。ノネコが人を襲いかかるようになれば、気持ちが変わるかな。

これ、取材も執筆も大変だけど、出版元を探すのも大変。出版したら抗議に対応するのも大変。めんどくさそうだなあ。

1_20251127141201 Photo_20251127141201

生駒山にもノネコがいっぱいいるんだよ。

2025/11/26

クマブーム?

今年はクマ出没が多かった(現在進行形)が、それに合わせたクマブームが起きているよう。

20251126-144515_20251126162401

書店の店頭平積み台には、クマ本コーナーがつくられていた。よく集めたね(^o^)。ここにあるのは新しいものが中心なので、古いクマ本もあるよ。

ちなみに私にも「クマブーム」が。私が執筆するのに加えて、記事のコメント依頼が多いのだ。講演まであった。

私は「頼まれるとイヤと言えない性分」なので(^^;)、一応全部お応えするのだが、その際に必ずいうことは、「私はクマの研究家ではないし、クマに特別詳しいわけでもない。ただクマの情報を収集して、それらの内容を分析しつつ、合理的な説明をできるようにしているだけ」ということだ。「それでもいいか?」と聞くと、それでいいというのだもの。依頼者は、そろそろ単に「クマを見た、クマに襲われた」といった証言を求めるところを脱して、クマの出没多発の全体像を説明する人材を求めているのだろう。

私がクマと直接関わったのは、学生時代に「クマの冬眠穴調査」を手がけたことぐらいだ。ハンターの案内で、山の中を歩き回ってクマの冬眠穴を調べるのだが、春先ですでに冬眠は開けているはずだったと思うが、もし中にいたら……と思いつつ岩穴や樹洞を覗き込み、大きさなどを計測していた。木に登って樹洞を覗くときには「足が震えているぞ」とハンターにからかわれたのを覚えている。

ほかは、各地の農山村や森林を歩く中でクマの痕跡を発見したり、クマを見かけたぐらい。

だから、依頼に応えるためにクマの本や論文を探して随分読んだし、日夜クマ出没のニュースを探して集めている。

そこでわかってきたことは、無茶な思い込み(クマは飢えているから仕方なく人里に出てくる、クマは本来臆病な動物なので、人を襲うのはよほどのこと……)は排したうえで、多様な生態を持っていること。そして、どんどん変化していること。昔のクマの行動生態調査の結果は通じなくなってきて、今風のクマが増えている。クマ対策に正解はないこと。クマの本が多数出るのは悪くないと思うが、誰が読むのか。

あまり続くと飽きてくる私。シカやイノシシの本は出版したが、クマの本を執筆することはなさそうだ。

そろそろクマブームから脱しなけばなるまい。次は何が起きるだろうか。

 

2025/11/07

生駒山にもクマ出没?

加熱するクマ出没問題。私のコメントも過激化しがちなのだが……(^^;)。

なんと生駒市にもクマの目撃情報が出た。といっても、まだ未確認なのだが、北部の高山地域で見たとのことだ。

確認されたものとしては、隣接する京都府精華町がある。

2_20251107102501

場所は、精華町の自衛隊基地と住宅地の光台だという。

Photo_20251107102601

下部の新興住宅街が光台。その上の緑地が自衛隊基地。弾薬庫があるらしいが……。いずれにしても、地図を見ればわかるが、生駒山系の北端で生駒市の高山地区と隣り合っている。

ただ、若干疑問なのは、生駒山系は孤立していることだ。周りを住宅地などに囲まれており、とくにクマがいると思われる東部の京都・滋賀・奈良の県境に連なる山々からは木津川を挟んでいる。

クマが木津川をわたるか? しかも目撃されたのは小さいという。幼獣だけでは無理ではないかそれとも母グマもいるのか。

しかし、クマより遥かに数が多く、また体格もよく飛び跳ねられるシカだって、この山系にはいない。ナラシカのように人に慣れたシカでも、さすがに住宅地の中を抜けて、川を渡って、生駒山系に入ることはなかったのだ。ニホンザルはいたけどね。

もしかして、イノシシやノイヌなど別の動物を見間違えた可能性もある。連日のクマ報道で過敏になっているから。

イノシシはたくさんいるし、東京23区内にもイノシシが出たと話題になっているとおり、人里でもわりと平気だから不思議ではない。

まあ、しばらく続報が出るのを待ちたい。

 

2025/09/08

犬用ジビエ商品、大流行り?

奈良市にできた道の駅「クロスウェイなかまち」。ちょっと無理した命名だが、蛇行剣発掘ですっかり有名になった富雄丸山古墳の近くだから、いつも混雑している。将来的には古墳の資料館も建てて、一大観光スポットにするつもりだな、と睨んでいる。

ここで見つけたのがジビエ。

20250906-1432471

おお、イノシシやシカのジャーキーに缶詰にお菓子か……と思って気づいた。

犬用だった。

間違えて購入してしまうところだ。しかし、実にバラエティに飛んだ商品群。骨つきもあれば、ドッグフードによくあるタブレット状もある。デザインもかわいい犬の絵を散らばめている。マジで自分が食べるつもりで購入した人もいるのではないか。
お値段はそこそこするが、人が食するジビエほどではない。

これが、今後のジビエの方向性かな、と思える。犬用ならば、仕留めた獲物の処理にあまり気をつかわなくて済む。すぐに血抜きしなくては駄目とか、暴れた個体は蒸れ肉になって食えないとか、衛生管理のため専用解体場で処理しなくては違反とか、人様の食用ジビエは条件が厳しいのだ。そのため価格も高くなる。
それに比べると、犬の餌にする分には気にしない。血なまぐさい方が好きかもしれない。価格は一般のドッグフードより多少高くても愛犬には惜しまない飼い主も多い。

これまでも人が食えない部分をドッグフードの材料にすることは行われていたが、あまり前面に出していなかった。なんか、残り物処理ぽい。でも、ジビエであることを売り物にした方が欲しがる飼い主も多いのかもしれない。

ただ採算が合うかどうかが微妙。有害駆除で報奨金を受け取れれば、ジビエの代金を上乗せの稼ぎになると考えるべきか。

2025/07/14

シカ・シンポがっかりの理由

このところ2週続けて京都のセミナー、シンポジウムに行っている。

7月4日は森林総研関西支所の公開講演会「動く山、動く土」で、12日は「日本の山はシカの楽園? 山、森、水が危ない?!」である。
前者は、想定以上に面白かった。考えるところ大だったのだが、考えている最中なので、紹介はまた改めて(^_^) 。そして後者の方に期待していたのだが、残念ながら私の望んでいる内容ではなかった。私がテーマを読み違えたか。

1_20250714091801

私は、野生のシカが増えていることに関する疑問や対応策に期待していたのだが、ここで語られたのは「シカの被害」であった。つまり植生破壊や土壌浸食、そして災害である。その実態の研究は示されたのだが、シカの生態についてはほとんど語られず。

また増えたシカをどうするか、という点については、「駆除する」としか言われない。ハンター不足、猟友会の問題などが登場するかと思ったが、ほとんど触れられず。ただ浸食された土地の植栽や、崩れないようにする小土木技術などが紹介される。

う~ん、それも大切なんだろうけど、私の論点と違う。

かろうじて最後(全体は6時間半の長丁場だった)の15分、会場からの声として、なぜシカが増えたのか、駆除を担当する猟友会の立場とその裏事情……などが出た程度であった。

ただ印象に残ったのは、一人の演者が口に出した「タイミングを逃した。手遅れかもしれない」点だ。レジームシフト、別の言い方ならティッピングポイントを越えてしまって止まらなくなった、つまりシカは増え続け、対策は追いつかない、という指摘だ。

一方で「なんとか流域全体、町も巻き込んで合意形成を」という声もあるが、町の人が参加したら「シカを殺すなんてかわいそう」というシカモリ協会(> <;)なんぞができるに違いない。もっとステークホルダーを絞るべきだと思う。そのうえで冷徹な専門家と実行部隊が必要だ。

なお、私が以前より考えていて、だから本シンポにも興味を持ったのは、本当に「異常なほどシカは増えた」のか、という疑問だ。

奈良公園には、奈良のシカ~神鹿がいる。1000年以上前から保護されており、頭数は現在約1300頭とするが、歴史的に見ても500~1000頭はずっといたはずだ。(戦国時代に訪問したポルトガル人は3000頭くらいいると記録しているが、これは調査した数字ではないだろう。)
ただ明治維新と戦中戦争直後は、保護から外れて数を著しく減らした(数十頭レベル)。おそらく密猟されたのだろう。

10_20250714094701

そして奈良公園の一部である春日山原始林の植生は、シカのために荒れている。それを問題とする声も強い。天然記念物(奈良のシカ)が特別天然記念物(春日山原始林)を食べている、と言われている。

041

ここで問題になるのは、いつから荒れているのか、という点だ。どうも江戸時代から荒れていたらしい。そりゃ1000頭からのシカがいて、それを駆除どころか保護をしていて、荒れないわけがない。

そう考えると、シカがいる山は、常に荒れた自然になる、のではないか? 自然は常に豊かと思い込まず、人為関係なく荒れた自然はある。植生は貧弱になり、土砂崩れを起こし、地形が変わる。山は動く、土は動く、のだ。

むしろ明治と昭和初期は、シカが密猟されて数が減った異常な時期だった。だから植生が短期間だけ豊富になった……と考えられる。その時期を過ぎて、再びシカの数がもどった今を比べるから「荒れた、困った」となる。

とはいえ、シカが永遠に増え続けるわけがない。どこかの時期に激減させるような環境要素があるはずだ。まさにレジームシフト。それをもたらすのは何か。気象?病気?狩猟?餌不足?天敵? それを探りたい。

 

2025/03/17

獣害でそば屋が休業

奈良県天理市の高原地帯に「荒神の里 笠そば」というそば屋がある。

すべて自分たちで栽培したそばを使っていることが名物だ。それも挽き立て・打立て・茹がきたて 。それなのに、そばを出せなくなったため一時休業するという。その理由は、獣害だそうだ。

Photo_20250317161101

詳しいことは書かれていないが、昨秋の収穫時期に獣害等により壊滅的な被害を受けた事から、皆様方に地元産のソバを提供する事が困難な状況となりました、とある。

獣害とは、イノシシなのか、シカなのかわからないが、壊滅的とは……。高原だからイノシシはこれまであまりいなかったと思うのだが、登ってきたのか。あるいはシカが柵をかいくぐったのか。いずれにしろ5月には在庫が底を突くのだろう。他地域からそば粉を仕入れてまで開業を続けないとは、思い切った決断。

ここは個人の店とは違って地域おこし的につくられた店だ。

もともと山の中の高原地帯で、1978年に始まった国営総合農地開発事業、つまりパイロットファームとして60ヘクタール以上の巨大農地を造成したのだが、このような国主導の農業は何を栽培するか、どうやって売るかを考えていない。栽培するものに困る例もよく聞くが、手間のいらない作物としてそばが人気。それはこの施設も同じだ。私も、よく似た事例を各地で聞くのだが、実は成功しているところは少ない。たいてい失敗するのだねえ(> <;)。

ここでも4分の1に当たる15ヘクタールでそば栽培を始めた。とはいえ、そば粉だけでは利益など出ない。輸入品にかなわないからだ。
だが1994年に結成された笠そば栽培促進協議会女性部が、そばの加工と販売、そば打ち体験教室……などを始めた。素人のそばうちからスタートしたのである。栽培から加工・販売まで一貫して地元で行うそば屋として、笠そば処がオープンしたのだ。

 Photo_20250317162801

2_20250317162801

かつてのそば畑と笠そば処。なかなか繁盛していた。私自身も、幾度も訪れている。名人級の美味いそば……とまでは言わないが、それなりに楽しめる。ほかにも農産物直売もやっていたはずだ。

それにしても15ヘクタール分のそばを食い尽くすとは、どんな獣害だろうか。

 

2025/02/21

住宅地で猟銃発砲法案、いよいよ

政府は、本日「住宅地での猟銃使用を可能にする鳥獣保護管理法改正案」を閣議決定した。とうとう出ましたか。

クマの人里出没がこれほど相次ぐと、こうした手段も取らなくてはならないのだろう。これまで一貫して、国民から銃器を遠ざける政策を推進してきた警察からすると忸怩たる思いかもしれない。

とはいえ、条件は甘くない。日常の生活圏(それはどこだ? 村役場の周辺まで許容? それとも農家が数軒ある集落も入れる?)に出現した場合、市町村長の判断で住宅地でも危険鳥獣の猟銃での駆除を可能にするとした。

猟銃使用の条件は、
①危害を防止する措置が緊急に必要
②地域住民に弾丸が達するおそれがない――など。

ただし、市町村長が現場で判断するわけはないので、代行する職員が状況を報告して決めるのだろうか。結局は警察官なのかもしれない。それでは、今とあまり変わらない。
物損が生じた場合は市町村長が補償する措置もあるが、これは保険を適用する。

なお「危険鳥獣」と定義するのは、ヒグマとツキノワグマ、イノシシの3種としている。鳥獣なんだから鳥も入れてほしいけどなあ。ワシ、タカは無理として、人を襲う鳥としては……カラスか(^^;)。ダチョウが動物園を逃げ出したら駆除できるだろうか。

住宅地のクマ、猟銃駆除が可能に 政府が法案を閣議決定

Photo_20250221163701 日経新聞より

 

 

2025/02/14

緊急猟銃対策と「生き物の憲法」

とうとう環境省が、住宅街に出没したクマに対する猟銃駆除を市町村長の判断で可能とする法律の鳥獣保護法改正案を通常国会に提出する

「緊急猟銃」という用語を使うようだ。

クマ被害の中“市街地で猟銃使用 市町村長判断で”改正法案へ

K10014684371_2501021842_0103043038_02_03

条件は、こんな具合。

1、クマが住宅地など日常生活圏に侵入
2、人の生命、身体に危害の恐れ
3、猟銃以外では捕獲困難
4、住民に弾丸が到達する心配がない

これらを満たした場合に許可される。ほかに民間保険に入っておいて被害が出た場合は補てんするとか、出没周辺の通行制限、避難指示を可能にするなども入っている。これまでは要請だったのだね。なおイノシシも対象にするようだ。

ここまで出没が多発したのなら仕方がない。しかし、とりあえず……という感じの改正で、対症療法的なのは拭えない。もっと野生動物に対応するための基本法などがほしいと思う。鳥獣保護法ではなく、鳥獣管理法になるのか。本当は、植物の外来種対策も含んだ野生生物管理と保護の理念を示す法律が必要ではなかろうか。別に法律で縛れというのではなくて、基本理念がわからないかからだ。できれば生態系保全に関する日本の寄って立つ考え方が知りたい。

今の日本の法律では、生物に対する規定が弱くて、何をめざしているのかわからない。人じゃないから物扱いするかと思えば、やたら保護を唱えて被害対策をしづらくする。愛玩動物(ペット)と家畜家禽と研究対象、動物園などの鑑賞・保護、そして野生……と混在している。それらを広く識者とともに議論して、生き物の憲法のようなものを示してくれないかなあ。

しかし、納得できる法文で制定するには何年もかかるのだろうなあ。ようやくまとまった頃には、事態は一変しているかもしれないなあ。

2025/01/07

野犬は野生? それとも……

このところ朝日新聞には、よく野犬のニュースが載る。どうやら同じ記者が執筆しているようだが……。

家畜を襲う野犬、被害深刻化 北海道・道東の酪農家「放牧できない」  

野犬は愛護動物か害獣か 人へのかみつきも年数十件、牛も衰弱死被害 

Img_20250107160416

野生動物ジャーナリストとしてはコメントしないといけませんね(笑)。

この場合の「野犬」とは、ヤケンと読むのか、ノイヌと読むのか。前者は飼い犬が逃げ出すなどして飼い主がいないものを指すが、生活圏も含めて比較的人間社会に依存して、餌をもらったり残飯などを漁っているケースが多い。一般にはノライヌと呼ぶべきだろう。
後者は生まれも育ちも野生で、生活は人に依存しない。住まいも基本的に人のいない野山で、餌は自ら狩をして得る。

厄介なのは、日本の鳥獣保護法だ。ノイヌは狩猟鳥獣なのに対してノライヌは非狩猟鳥獣で捕獲することはできない。目的や手段は関係なく捕獲するには許可がいる。実際は狂犬病予防法などを根拠にノライヌを捕獲しているが。

なおノイヌは野山では鳥類もイタチなどの小動物を狩して餌にしていると思われるが、たまにはシカなど大型動物も集団で狩を行う。その点から、私はノイヌこそニホンオオカミの生態的地位(ニッチ)を確保したのではないかと思っている。いまだに獣害問題をタテに「オオカミを野に放て」とアホなことを言っている連中もいるが、その必要はないのである。

なおノイヌの元の品種によるが、シェパード系の狩猟犬の場合、その大きな体格からもニホンオオカミより強いだろう。狩猟能力も高い。

ちょっと驚いたのは、環境省のコメント。野犬は愛護動物(ペット)か害獣かの線引きは難しいとしつつ、「山野にいる犬でもその行動圏に人が居住などしている場合は、原則として愛護動物の犬として考えるべきだというのだ。

おいおい、慎重な官僚がそんなこと言ってもよいのかな。

そんなこと言っていたら、人里に居ついたサルやクマまで愛護しなければならないのかと言われかねない。イヌだけ特別扱いか。記事にあるような人里(牧場も含む)に出てくる野犬を駆除できない。これをノイヌ判定しなくてもよいのか。

奈良公園でも、ナラシカを襲う野犬が出るのだが、こちらはどう判定するか。ノライヌだとしたら、シカを守れない。徳川綱吉の「生類哀れみの令」の時代でさえ、シカを優先的に保護したのに。

2024/12/20

害獣より家畜

毎回、普段は行かないところを散歩することを心がけている。すると、何かと発見がある。

今回見つけたのは、こちら。

1_20241220170301

ヤギ(^o^)。ヤギを飼っているところは、最近増えてきたように思う。しかし、里山の農地に草を食んでいる姿はなかなか愛くるしい。

野生動物はイノシシにタヌキ、キツネ、アライグマ、イタチ……と数多いが、飼育系も多いのだ。

生駒は、なかなか不思議な動物がいるところで、乗馬系のウマや養豚場のブタもいる。警察犬などの訓練施設もある。そこにヤギにヒツジのほかニホンザルやエミューまでいる。サルも首輪をしてつながれていたし、ペットホテルかのような施設もある。なお家畜という点では、ミツバチも家畜扱いだ。

森の中でエミューを見つけたときはビックリしたな。なんでオーストリアの走る鳥がいるのか。何か柵があると思って覗き込むとエミューが何羽かうろついているのだもの。誰が飼っているのか? 残念ながら周辺に人影はない。人影どころか人家さえないし、登山道ぽい道しかないから車も入れないところなのだ。餌などは通いで与えているか。

その写真は公開を控えたい(^^;)ので、先日の東京科学博物館の「鳥展」で見たエミューの剥製。

20241211-095425

思えば、野生動物の獣害が問題になっているが、家畜を飼えばいいのではないか。害獣の餌を先に食べてもらうほか、先に動物がいると野生動物は近づきにくくなる。本当はウシやウマなど大型動物がよいが、ヤギでも効果があると聞く。

イヌの放し飼いも獣害対策に効くというのだが、イヌの放し飼い自体が禁止されているから、ヤギやヒツジを放し飼いにする(笑)。ダチョウもいいかもしれない。

もともと人里とは、動物が多いところだった。いや動物の多いところに人は住みついて待ちをつくった。そして人が住む場所は、動物にとっても住みやすい。シカは森ばかりよりも、適度に切り開いた土地の方が好きだ。下手な野生地より人里の方が動物は住みやすいのである。1820年代のニューヨークには2万頭のブタと13万頭のウマがいたそうだ。
日本でも江戸の町は動物にあふれていたことを幕末に訪日した外国人の記録にある。

それを一時期は駆逐したが、最近またもどってきたのが、現在の獣害なのかもしれない。

より以前の記事一覧

January 2026
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

森と筆者の関連リンク先

  • Yahoo!ニュース エキスパート
    Yahoo!ニュースに執筆した記事一覧。テーマは森林、林業、野生動物……自然科学に第一次産業など。速報性や時事性より、長く読まれることを期待している。
  • Wedge ONLINE執筆記事
    WedgeおよびWedge on lineに執筆した記事一覧。扱うテーマはYahoo!ニュースより幅広く、森林、林業、野生動物、地域おこし……なんだ、変わらんか。
  • 林業ニュース
    日々、森林・林業関係のニュースがずらり。
  • 森林ジャーナリストの裏ブログ
    本ブログの前身。裏ブログとして、どーでもよい話題が満載(^o^)
  • 森林ジャーナリストの仕事館
    田中淳夫の公式ホームページ。著作紹介のほか、エッセイ、日記、幻の記事、著作も掲載。