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本の紹介

ナラシカ・動物・獣害

2019/04/15

獣害のある自然

再びタナカ山林へ。今回もタケノコは見つからなかった。

だが、犯人の証拠を発見。

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このとおり、かじられたタケノコの穂先。さすがにイノシシだとわかる。地下茎の下をくぐるように掘り出して食べたか。

こんな置き土産もあった。

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しっかり糞をしていった。今年もタケノコ堀りはイノシシとの競争で厳しそうだ。今やイノシシは尋常でない増えようだ。

と書いて、ふと疑問に思った。イノシシ、そしてシカの激増で農作物だけでなく森林そのものも荒らされて生態系が乱されているというが、本当だろうか。乱されない自然とはどんな状態なのか。イノシシもシカもいない自然はおかしくないか。生態系は植物だけでなく動物も含めて成り立っているものだからだ。
これが外来種なら、本来いなかった動物が生態系を攪乱しているなどと言えるのだが、シカもイノシシも古来より日本の野山に生息していたわけである。そしてシカもイノシシも繁殖率は高い。なんでも食べて、たくさん出産する。増えて当然なのだ。オオカミが生息数を抑える効果は極めて小さい。ハンターだって農地を守るが精一杯で、生息数を左右する力はない。

たとえば江戸時代の山は自然豊かだったのか。いやいや、相当荒れていたようだ。風景画などにはスカスカだった状態が描かれている。一般には、人間が燃料にするため伐りすぎたせいだとされているが、そこにシカなども関わったのではないか。事実、里人は入れなかった聖域・奈良の春日山も同じだったからである。それなのに明治以降に植生が急速に豊かになって、今では「春日山原始林」として天然記念物であり、世界遺産に指定されてしまった。

むしろシカやイノシシに荒らされた自然の生態系が正常なのかもしれない。植物が繁茂して生物多様性の高い自然は異常と考えたらどうだろう。

明治期から昭和50年代までは、野生動物がひどく減少した異常な時代だった。そのおかげで植物が異常に繁殖し多様で豊かな森林になってしまった……このように解釈できないか。ところが自然を回復(この場合、シカやイノシシの生息数が以前にもどった状態)したために、また植生も昔の姿を取り戻そうとしている。。。

本来の自然は、植物が繁茂していなかった! 生物多様性の高い森林生態系はニセモノだ!

 

この仮説、誰か検証してみないか。(袋叩きになっても知らない。)

 

2019/03/23

動物行動学者の本

最近、動物行動学者の出版、それも一般向き体験談が増えているんじゃないか、と感じる。
私も何気なく手にとった幾冊かの本がその筋のものだったりする。
  
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動物と言っても結構千差万別で、扱うのは鳥類からバッタ、ウナギまで動物と言っても哺乳類から魚類、深海生物、昆虫、ときに植物もあるがバラエティに富んでいる。単に自身の研究内容を記したのではなく、むしろ研究のために自分のとった行動を記している。単に動物を扱うだけなら研究室でもできるのだが、行動を追いかけるとフィールドに出るし、相手は動きがあるから、一種の紀行文的な部分もあり、とくに海外とか無人島とかが舞台だと想定外の出来事も多くてハラハラドキドキできる。加えて研究内容のトピックをわかりやすく紹介しつつ著者の人生の歩みをたどる点も一般人の共感を得やすく読みやすいのだろう。
   
私の読んだ中でも、爆笑ものから感動した本もあれば、ちょっと無理しすぎ・文章下手・話題オモロナイ……な本もあって玉石混淆。
だが、なかにはヒットした作品もある。『鳥類学者だから……』とか『バッタを倒しに……』は、ものすごく増刷されているもんなあ。ちょっとしたベストセラー。おそらく、編集者はそれに味をしめたんじゃないかと思う(笑)。
     
私自身は、学生時代からサル学者とか民族学者とかの本をたくさん読んできたから馴染みがある。どちらかというと学者の本というより探検の本的な感覚で読んでいたが。専門的な知識もあるから教養的であるものの、実は目的に達するための行動を学ぶ意味もあったように思う。
最近は、『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』を執筆のため、結構な動物、とくにシカ本を読んだが、多くは研究書だったので面白くなかった。書き手の人格が現れる文章が読みやすいよなあ。その点は狩猟系とか、獣害対策の本の方が面白かった。
   
この手の本自体は珍しいわけではない。昔から名著と言ってもよい本が出ている。たとえば野生のゴリラやチンパンジーを追いかける学者や、ときに幻の動物を探したり恐竜化石を探したり……という本もある。実は、私が学生時代にボルネオのジャングルに行ったきっかけも、「オランウータンの島」(岡野恒也著)を読んだからである。これはオランウータンそのものよりオランウータンを探しに独立間もないマラヤ連邦のボルネオ島を訪ねた話。 
ただ書き方は概して真面目である。それに対して最近の本は、最初から笑いを取りに来ているように感じるが……。
   
  
そういや昨秋のテレビドラマで「僕らは奇跡でできている」というのがあり、それが動物行動学者(主演・高橋一生)が主人公だった。これはよくできたドラマで、学者はちょっと変わった……というより発達障害を思わせる行動が繰り広げられ、それらに振り回される学生・同僚・家族など周囲の人々の驚きや苦悩まで描いていた。が、そこから何がよりよき人生なのかと考えさせられるのだ。残念ながら視聴率は取れなかったようで、あまり世間の話題にはならなかったが……。このドラマの企画も、動物行動学者の本が売れている影響でつくられたような気がする。
  
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『僕らは奇跡でできている』一場面
   
なんだか、世間が学者という面白い人種を発見したのではないか(笑)。  
   
   
ときに、こんなページもある。
  
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単に谷山浩子の世界の終末を描いた歌が脈絡なく登場している(笑)。(『カラス屋、カラスを食べる』)
  


2018/11/27

ひこばえの稔り

実は、ここ1週間ほど風邪を引きずっている。熱は出ないものの、身体が辛い。

だから最低限の仕事などをこなすほかは、できるだけ動かずごろごろ。ダイエットも休止して?ばくばく食べて栄養をつけねば……。
 
ようやく回復してきた。まだ咳もくしゃみも鼻水も出るのだが、脱力感は薄らいできた。
 
少しは身体を動かさないと、筋肉が落ちる。なまって老化が進む。と思って少し山歩きをしてみようと思った。と言っても、いきなり道なきところを登って、途中でバテたら大変。
 
そこで考えたのが、山下り。車で高台まで登って、そこから下り道をおりるという……。ま、下りたらまた車のあるところまで登らなくてはいけないわけで(^^;)。ちゃんと道のあるところを選ぶ。
もっとも、行ってみたら台風の傷跡は今も残っていたので、倒木をまたいだりくぐったりしなけばならなかったのだが。おかげでゼエゼエと咳き込んできつかった。身体、やっぱりなまっている。
 
 
そんな中で棚田に出たときに見かけたもの。 
 
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この季節、棚田も稲刈りは終わっているわけだが、刈り取られた稲の切株からひこばえが伸びている。
 
これを稲孫(ひつじ)というそうだが、よく見れば、そのひこばえには稲穂が稔っていた。これをひつじいね、ひつじばえというそうだ。こうした田んぼをひつじだ、という。
 
実は、この稔りの収穫量がバカにならないのだという。江戸時代の年貢には入らないから百姓にとっては貴重な収穫であった。今も、実はひつじいねの米の方が美味いという農家がいる。過剰な肥料が抜けて、味がよくなっているとか。。。
 
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が、通常はほとんど放置されて終わるのだが、これを喜んで食う輩もいる。
 
それが野生のイノシシやシカだ。ひつじいねこそ、冬の大切な餌となるわけだ。そして、それを農家の人は滅多に追わないため、田畑に野生動物が慣れて出没するきっかけとなる。文字通り、味をしめるというわけだ。 
 
ひつじいね、食べてみたいなあ(^o^)。

2018/10/31

害獣の統計とその数字

生駒山でニホンザルを見かけた、という報告が私のところに届いた。3年ほど前からサルが見かけられるようになっていたが、そのときはハグレザルが移動中に生駒山系に入り込んだのかと思っていた。
ところが、どうも定住している気配がする。どうも生駒山系は.シカがいない代わりにサルの楽園になってしまっているのだろうか。
 
 
そんなときに環境省の自然環境局が、2016年度末のニホンジカとイノシシの推定個体数(中央値)を発表した。それによると、ニホンジカ約272万頭、イノシシ約89万頭だった。
 
前年度は、それぞれ304万頭、94万頭だったから、減少傾向にあると言えよう。せっせと有害駆除を進めた成果といえるかもしれないが、2023年までに半減(11年度比)させる目標からすると、まだまだ遠い。とくにシカの増加率を考えると、到底追いつかないだろう。
 
ちなみにニホンジカは本州以南であり、北海道に生息するエゾシカは入っていない。こちらは50万頭以上いるだろう。しかも304万頭は個体数の中央値とはいうものの、90%信用区間は約224万~456万頭だ。(イノシシ90%信用区間は約73万~123万頭。)あまりに幅がありすぎる(^_^) 。
もっとも推定値の算定法は得られたデータによって変えることが少なくない。新しい方法で過去の数値もさかのぼって変える。だから古い統計と突き合わせるのは危険だ。本当に減ったといえるのか疑問はある。
 
さらに獣害も数字上は減っているが、実感としてはないはず。そもそも生息数と獣害件数は正比例しない。数が減っても被害は減らない・増えることもある。
 
またハンターの捕獲数は伸び悩んでいる。シーズン中のハンター1人当たりの捕獲数は、平均2頭以下なのだ。単に狩猟免許を持つ人を増やしても効果は薄いのだろう。ちゃんと生きた獣を仕留める訓練する場を設けた方がよい。林業大学校より狩猟学校作った方が、農林業には効果的かも。
 
 
一方で新たな狩猟支援策を始まるという。仕留めたシカやイノシシを処理加工施設に持ち込むと、2頭目から補助が受けられる仕組み。これは都道府県からだが、環境省は取り組む自治体を支援するそうだ。これは、有害駆除の支援ではなく、ジビエの利用拡大支援だろう。
 
 

2018/10/11

ナラシカ急増の謎

先日、奈良のシカの角きり行事を観覧してきた。

行われたのは奈良の鹿愛護会の鹿苑という角きりのためのような場所なのだが……思った以上に勇壮で、観客向けにブラッシュアップされていて面白かった。

江戸時代などは、こうした施設ではなく、街角でやっていたという。お金持ちは、自分の家の前でやってもらうためにお金をばらまいたとかいうが(そして桟敷席を設けて、縁者と見学して楽しんだ)、気持ちがわかるような気がした。 現代でも町中でもやってほしい(^o^)。
 
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オスジカを3頭離して、走らせてから角に縄をかけて押さえ込むのである。 
 
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ちゃんとシカを寝かせる場所には、ゴザを敷いて、枕まで用意している。そしてノコギリで切るわけだが……。
 
実は、気になったことがある。この角きり行事ではない。解説の中で、今年のナラシカ頭数調査では、奈良公園のシカは総数1360頭だったというのだ。メスが767頭、オスが355頭。性別不明の子シカは、238頭。(今年7月16日現在)
 
これは公園内だけで、山の中、原始林の中、あるいは調査中は繁華街に出歩いていたシカはカウントされていないわけだが、例年と比べるとかなり多い。
 
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昨年が1226頭なのだから100頭以上も増えたことになる。とくにオスが増えている。
 
問題は、この理由だ。単に昨年は森に隠れていたシカが公園に出てきてカウントされた、というのならよいが、ちょっと怪しい。かといって自然増もおかしい。
 
となると、外部から入ってきた可能性があるのだ。オスジカならテリトリーを離れて放浪するからあり得る。
 
奈良公園に行ったら、銃に撃たれないよ、鹿せんべいをもらえるよ、という甘言に引っかかったシカがいるのかどうか。
おそらく、周辺地域の山でもシカが増えすぎて、密度を増したから押し出されるように奈良公園に入ってきたのではないか。いわば都会に出てきた田舎シカ。最初こそおどおどしていたが、先輩たちを見習って、お辞儀したり愛想を振る舞うと鹿せんべいもらえることを知って居ついたのかもしれない。人を恐れなくてよいことも学習したのかも。
 
だが、甘い。奈良公園はそんなにシカの天国ではないのだ。何よりも食料不足。これまでも限界だったのに、100頭も増えたら飢餓が起きる可能性だってある。交通事故も多発するかもしれない。
 
若草山のススキがほとんどなくなった件も含めて、異常事態になっている可能性を想定すべきだろう。
 
 

2018/10/07

若草山のススキ危機

若草山に登ってきた。若草山はこの季節、ススキに覆われるはずなのに、すっかり減ってしまったと聞いたから(ツイッター情報)からである。

 
ま、ちょうど「鹿の角きり」もやっているので、こちらも見ようかと(^_^) 。
実は、角きりをちゃんと見学したことがない。観光イベントぽくて、あまり興味を感じなかったからだ。ただ昨年は「ナラシカ本」(『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』)を執筆しようと思っていたので、これは見ておかねば、と思っていたのだが、この時期にノルウェーに行くことになって無理となった。遅ればせながら、今年は見ておこうかと。 
 
いや、なかなかよかったよ。まず儀式があって、その後は実況解説付き(^_^) 。迫力もある。
 
とまあ、角きりの話はまたの機会にして、今はススキなのである。 
 
 
若草山にお金を払って登るのも何十年ぶりか。子供の頃以降はしていない気がする。
それでも登りましたよ。
 
若草山を簡単に説明すると、春日山原始林の隣にあって山焼きをするので樹木はなく芝生に覆われている。標高342メートル。一番下が芝生状態(と言っても急斜面)で、ここが観光客がもっとも多いところ。その上にフェンスに囲まれた一角があって、その上が2段目。さらに谷などもあって、山頂部分が3段目となる。3つの尾根があるので三笠山というのが正式名称だ。
 
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1段目の芝生からフェンス方向。
 
さて、芝生とともにススキが全山を覆っていて、山焼きの後はそれが生長してシカの餌にもなる……はずなのだが、ないのである。
 
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これは2段目から山頂方向を見たところ。ほとんどススキは目につかない。もっとも足元にはわずかに生えている。ただ……
 
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やはりシカに食われたようだ。
 
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こちらは1段目のフェンスの中。かろうじてススキが繁っている。これでも、以前より減ったということだが。実はナンキンハゼも想像以上に繁茂していた。ススキに置き換わったみたい。ナンキンハゼは、今のところ背の低いブッシュ程度だが、実体は高樹だから、これが生長しだしたらヤバいね。山焼きにも負けないようだし。
 
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このフェンスも隙間から侵入されるみたいで、幾重にも補強されている。1頭でも中に入ると、かなりの面積を食い荒らしてしまうだろう。 
 
正確な原因はわからないが、やはりススキが減ったのはシカの食害ではなかろうか。そういや森の中で落ち葉を食っているナラシカも見かけた。飢えているのか。
 
2段目もフェンスを設置してススキの回復を図らねばならないかもしれないが、そうするとシカの餌場が失われる。ならば1段目フェンスを開放して年ごとに切り換えて行くか。
ナンキンハゼ対策も必要だろうし、なかなか難問である。
 
世界遺産の一部(バッファーゾーン)でもあるので、よりやっかいだ。 

2018/10/03

豚コレラでイノシシにもパンデミック?

岐阜県で見つかった野生イノシシから豚コレラの菌が次々と確認された。
 
遺伝子検査の結果、いずれも豚コレラに感染していたと発表した。どうやら10キロ圏内の養豚場で発生した豚コレラに感染したらしい。感染を確認したイノシシは、2日に見つかったもので計11頭になっている。
日本で豚コレラが発生するのは26年ぶりだという。 
 
豚コレラに感染したブタやイノシシは、数日で死ぬ。人間に感染して発病することはないが、感染力は非常に強く、人間が感染した豚肉を食った場合、その排泄物を食ったブタが感染するほどだという。口蹄疫と並ぶ畜産の敵だろう。
 
なお、日本の豚コレラとは菌の違うアフリカ豚コレラも広がっている。1921年にケニヤで発見され、アフリカ以南で流行を繰り返す、いわば風土病だった。
 
そんな豚コレラが、今年になって世界中で大流行している。とうとうアフリカを出て、ヨーロッパ、そして中国で拡大しているという。……中国ではすでに8万頭のブタを処分した。と、これは畜産業界の大問題なのだが。
 
豚コレラは、一般にブタの病気と思われているが、野生のイノシシにも移るわけだ。となると、野生動物にどんなインパクトを与えるだろうか。
国際獣疫事務局に報告された豚や野生のイノシシの感染は世界で36万1000頭を超え、2018年だけで11万9000頭が死んだという。
 
 
おそらく人間が運んだのだろう。ブタ界にパンデミック(疫病の爆発的流行)が起こらなければよいが。これまで病原菌がいなかった世界に出たとなると、いわば外来種のように広がる可能性がある。
日本で発生したのはアフリカ豚コレラと違うとはいうものの、養豚業界にとって極めて深刻な状況だ。
 
……ここで不遜なことを考えないだろうか。ブタだけでなく野生イノシシにも広がると、イノシシが激減するかもしれない。獣害対策的には僥倖になるかもしれない、と。
 
もちろん、養豚には厳しくなるだろう。一切、外部と接触させない方式にしなければならなくなる。コストが増し、廃業する人も出るだろうし、豚肉が高額になるかもしれない。食えなくなる可能性だってなくはない。
そして、猪肉はもっと食えなくなるかもしれない。養豚のように隔離できず、どこまで感染するやら。
 
一方でイノシシが減少すれば、田畑などの被害が減るかもしれない。シカ害はまだ残るが。こんなことを想像するのは、やはり危険思想だろうか。
 
これが、自然界でまま起きる普通の豚コレラの流行に終わるのか、人為がもたらした豚猪界のパンデミックになるのか。野生のイノシシは密集していないから感染が一気に広がる心配は薄いと思うが、菌が山野に残れば、どうなることやら。
 

2018/10/01

「狩猟のいろは」で「浅き夢で酔えず」

先週末、奈良で「狩猟のいろは」というイベントが奈良女子大学で開かれた。

 
奈良県の主催だが、奈良女で開かれたことからもわかるとおり、学生も含めた狩猟への勧誘なのである。狩猟免許取得相談会も開かれる。実際、徳島大学や三重大学の学生サークルらも参加している。奈良女子大にもハンティングサークルがあるそうだ。
 
そこに私も少しだけ顔を出してきた。残念ながら時間の関係で最後まではいられなかったのだが……。
会場ではハンターの講演や罠、銃の展示、そしてジビエ試食もできるようになっている。私は、ここで昼食を済ませようという魂胆もあった(^_^) 。
 
 
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関心を示す女性も来訪していた。ジビエ料理は猪肉と鹿肉の両方。
 
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くくり罠の展示。左が「非法定猟具」であり、本来使うのは右の方。
 
どこが違うか。ようは締めつけるワイヤーにストッパーがあるかないか、なのだ。なければ罠に足をはさまれた獲物は大暴れして、逆にワイヤーがより締めつけることになり、足を引きちぎることにもなりかねない。獲物が足を引きちぎって逃げ出せば手負いにする問題もあるが、何よりアニマルウェルフェア(動物福祉)の思想からのようだ。たとえ最終的に殺すにしろ、残酷にしないためである。 
 
なおハンターの講演では、ハンターへの参入を促すはずが、甘くないことを示す面もあった。何のために狩猟をするのか。この動機をしっかり自覚しないと厳しいだろうな、と思わせる。
 
県が催したのは、おそらく獣害対策の一環なのだろう。奈良県では、農務と林務の対策担当が寄って「鳥獣対策係」を作っている。だから展示している罠や銃も、森林整備課のラベルが張っていた。
 
ただ、ハンターを増やしたら有害駆除が進むというほど簡単でもない。ジビエを普及させたら駆除がやりやすくなるわけでもない。
「奈良のシカ」のお膝元であるだけに、理論武装をしっかりしておかないと、迷いが生じるんじゃないか。
 
狩猟の「いろは」を伝えるイベントのはずだったが、私は「あさきゆめみし ゑひもせすん」(浅き夢見じ 酔ひもせず)まで考えてしまったのであった。。。

2018/09/14

奈良公園の糞対策

奈良公園に行った。正確には、別件で奈良に行った後に、少し奈良公園を歩いた、というべきだろうか。

 
残念ながら、雨がポツポツと落ちてくるので長居はしなかったのだが、相変わらず外国人が多い。もっとも、これでも関空の水没事故で減ったようなのだが……。
 
外国人・日本人を問わず観光客ぽいのは、奈良公園周辺の裏路地にもいっぱいいた。驚くのは、そんな路地にもお店がいろいろとできていることだ。カフェやグッズの店。意外な高級料理店。なかには和服レンタルの店まで……。いずれも、俄か仕立てのわりにはオシャレ。和の素地に洋風も取り入れて、ステキに見える。私もカメラを手におのぼりさん的観光客ぽく振る舞ってしまった。なんか、奈良も国際観光都市になったじゃないか、と思わせる。いままではお店どころか人影も少なかったのに。
 
それはともかく、奈良公園で探したのは、まずナラシカなのだが、もう一つは台風の被害跡である。台風21号は風害を各地に広げたが、奈良公園でも相当な倒木を出しているはず。それを確認してみたかったのだが……さすが国際観光都市! ほとんど片づけられたようだ。 
 
Dscn6202_2  倒れたのは、どうやらヒマラヤスギのよう。
 
ようやく見つけたv(^0^)って、喜んではイカンが。これは東大寺の「鉄道殉職者供養塔」の横。鉄オタではないが、こんな供養塔が、東大寺の敷地内にあることにも驚いたが。
 
Dscn6200_2  立派な供養塔。
 
 
ところで、奈良公園といえば、ナラシカだが、その糞は1日で何トンにもなるという。それをいかに片づけているか、というのはわりと話題になるのだが、公式の答えは、フンコロガシ(甲虫)が食べてくれる、である。
 
だが、それはちょっと嘘っぽい。全部それで片づけられるわけないのだ。冬は虫も出てこないし。
結局、芝生では人が掃いて清めたりもするのだが、最近は観光客から「臭い」という苦情も来るそうだ。シカの糞が臭いなんて、どんな鼻をしているのか、と思うのだが、その対策もせざるを得なくなったらしい。国際観光都市だから。 
 
で、こんなものが設置されていた。 
 
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この看板のそばでは、人工香料の噴霧が行われている。……これで臭いが抑えられるとは思えないのだが。。。
 
ま、私は、むしろこの木の看板に興味を持ったのだけどね。図案が凝っている。板をレーザーで削り加工したもののよう。しかし、こんなことで凝らなくても。。。

2018/07/23

学術会議と第二種特定鳥獣管理計画

日本学術会議が、「人口縮小社会における野生鳥獣管理のあり方の検討に関する審議について」(依頼) という文書を出している。山際会長からの依頼だが、いわば学術会議をげて研究せよ、という方針決定だろうか。

 
ようするに、増えすぎた野生鳥獣(とくにシカとイノシシを挙げている)の対策を各学界で考えてくれというわけだろう。
 
その背景には、「生物多様性国家戦略2012~2020」に示された「第2の危機」(自然に対する働きかけの縮小による危機)がある。
 
 
増えすぎた野生鳥獣のことを環境省的には「第二種特定鳥獣」という。第1種特定鳥獣が、生息数が著しく減少して生息域も縮小している、いわゆる絶滅危惧種を指すのだが、その反対に増えすぎて人間社会に悪影響を及ぼしたり生態系をゆがめる存在としての「第二種」がある。
 
実は、奈良のシカは、この第二種に当たるのだよ……。
 
 
この手の施策は、環境省と農水省が立てているが、そのバックボーンとなる研究が十分に行われているかどうかは怪しい。それぞれ研究機関を抱えているのだが……。学術会議はその後押しをしようというのだろうか。
ちなみに日本学術会議とは、総理大臣の所轄なのだが、政府から独立して職務を行う特別の機関、と位置づけられている科学者の代表団体だ。
 
 
しかし政府の目標は、5年後にイノシシとシカの生息数を半減させることだと。本気か。雄大な目標だ(笑)。ちなみにシカの生息数は、現在300万頭を優に超えている。
 
林野庁は、2025年までに木材自給率を50%にするという目標を掲げている。なんだか似ている(笑)。
 
どちらも科学的・社会学的な検討が欠かせないし、専門人材の育成が重要だろう。かたや鳥獣生態の専門家(捕獲の専門家、ではない)。かたや森林経営の専門家(伐採の専門家、ではない)。
どちらも各分野の学界の研究の後押しが欠かせないはずだ。果たして政府に聞く耳を持っているかどうか知らないが。
 
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今年、奈良公園で生まれた?“第二種特定鳥獣”もたくさんいる。
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森と林業と田舎