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森と林業と田舎の本

2023/12/25

不死身のシカ考2

奈良の春日大社の鎮守の森である春日山原始林は、天然記念物であり世界遺産である。

その森をムシャムシャ食べているのが、同じく天然記念物の奈良のシカだ。おかげで原始林は林床がスカスカになってきた。また稚樹が食われるので大木ばかりの高齢化が進んでいる。とくにシイ・カシ類のドングリも食べるので次世代が育たない。また下生えがなくなれば昆虫も減る。それに、春日山から出て周辺の田畑を襲う。農作物を食べても駆除されることない。

というように、シカ害が問題になっているので、少しシカを減らさないか、有体に言えば駆除できないか、という声もある。保護しすぎだというのである。たしかに現代は、ざっと1200頭も奈良のシカはいるが、山の扶養能力からすると、多すぎるようだ。

004_20231225095801若草山のシカ

しかし、だよ。シカの保護は平安時代より続いているのだ。中世の頃は、シカを殺せば首が飛んだ。シカ一頭首一つ、と木曽檜みたいな扱い。江戸時代の犬公方・徳川綱吉の「生類憐れみの令」でも、奈良ではイヌよりシカの方が大切にされた。落語「鹿政談」のような話もある。

その頃も、春日山原始林はシカの住み処であり、かなり食われていたはずだ。

それとも、春日山もシカも守られる自然の摂理か政策があったのか?

これは、私が『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』を執筆の際に、非常に悩んだところだ。いかに説明するか。

結論としては、当時の春日山原始林は、やっぱりボロボロだったんじゃない?ということである。

何か自然界では人か手を加えないと多様で豊かな森が残ると思いがちだが、それこそが間違った思い込みではないか。森とシカがぶつかれば、森は食われて、不死身のシカが勝つのだ。

ただ明治時代に奈良県の県令(知事)が、奈良のシカを狩の対象として追い込んだ。捕まえてすき焼きにした。檻に閉じ込めて餓死させた。だから減ったので、森の植生は蘇った。それは戦後も同じだ。食料難で奈良のシカは密猟されたのだ。

結論。シカのいる自然界は、森がボロボロになる。それこそが自然の摂理だ。

とまあ、こういう論考になった。(詳しくは『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』をお読みください。)

2023/12/24

不死身のシカ考1

今年はクマの出没問題がクローズアップされたが、もともと獣害と言えばシカである。クマなんて人身被害がなければ、ほとんど問題にならなかっただろう。クリスマス・イブの夜だし、シカについて考えた。ヾ(- -;)

シカは、植物質ならなんでも食べる旺盛な食欲と、4、5年で生息数が2倍になると言われる繁殖力で、植生を破壊する。

天敵のオオカミは当てにならない。オオカミが捕食するシカの数などしれたものだ。江戸時代からオオカミがいても数は減らなかった。
ハンターも同じ。現在、年間70万頭以上も駆除しているのに、減らない。
繁殖率が高いうえに、近親交配しても平気。数頭が数百頭まで増えても、遺伝子は異常をきたさないらしい。
シカがバタバタと死ぬような病気も見当たらない。冬の寒さにも耐える。
生まれる数が、どうもメスの方が多い気配がある。雄はハーレムをつくるから繁殖率は想定以上に高いかもしれない。
餌となる草木が減っても、それまで食べなかった樹皮でも落葉でも、毒を含む植物でも食べて生き残る。以前は食べないとされたアセビやシダ植物をもりもり食べる姿を見た。
さらに餌が少ないと体格を小さくするが、数はなかなか減らない。栄養失調になっても死なない。

もはや種として不死身だ。個体は弱くても、種としては叩いても叩いても復活する。

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おかげでシカが増えた森は、植生が破壊される。下生えの草木がなくなることで、昆虫も鳥も減る。裸地になることで土壌流出が増え、より自然破壊が強まる……と言われている。だから、駆除しなければならないのだと。

さて、ここからが疑問だ。まるで弱肉強食とは、肉食動物は弱くて何でも食べるシカは強い、という意味のようだが、それは生態系としておかしいのではないのか。シカは、地球の生態系からはみ出した異物みたいではないか。

そうではなく、シカがいて成り立つ生態系があるはずだし、シカの生息数をコントロールする要素は何かあるはずだ。

この思考続く。

2023/11/29

カワイイに勝る感情なし~クマ駆除批判

このところ、立て続けに新聞・雑誌、web等々の記事でクマ出没関係の取材を受けている。また私も執筆している。まだ終わらなさそう。そろそろクマも冬眠に入ってよ。。。

それぞれ媒体によって切り口は違うのだけど、話しているとわりと行き着くのが「町に出没したクマを駆除したら、批判の電話やメールが殺到する」問題。たしかに深刻である。

ところで驚いたのは、ある記者の一人が最初に言った言葉。
「クマってかわいい動物ですよね」

なんか、パワーワードだ (@_@)。
う~ん。かわいいかどうかは感性の問題ではあるが、最初にそこから入るか。「クマは怖いし、危険な動物だが、しぐさがかわいいときもある。その面構えにもかわいさがある」だったらわかるのだが、最初にぬいぐるみ的なかわいさから入られると、「かわいいけど、危険」とはいいづらくなる。説得力がなくなる。どんなに危険でもかわいい動物を殺すなんて、と言われてしまう。「カワイイ」に勝る感情はないのだ。ヤバい。都会人の発想はヤバいぞ。

Photo_20231126105101
「カワイイ」感情の研究書

そこで私も感想は言えるが、肝心の止める方法がない。

一応、私なりの分類 では、批判する人は
・鬱憤晴らし。他人を罵倒するネタとして使っているだけ
・感情的な動物愛護[殺すのはかわいそう、かわいい動物を殺すな……]
・「殺すな」という理由を理論武装している[森林生態系の頂点にいる、野生のシンボル的存在等]

この3つに分けた。面倒くさいのは「理論武装」タイプだが、結局のところ感情的なことを隠して糊塗しているに過ぎない。
いずれも被害を受けている人々への共感力も想像力もない点が共通点と言える。都会人的上から目線である。

私の反論の仕方として、次のように指摘した。

「シカは年間70万頭も駆除している。それには文句をつけないのか。クマとシカをどこで区別しているのか」
「クマだけを守りたがるのは、動物差別ではないのか」「ネコは殺してもいいのか」
「かわいいから殺すなというのは、かわいくないのは殺していいということか」等々。

そして、究極の批判封じは「東京23区内にクマが出没して、一人か二人食い殺されることですなあ」

これで、一発で批判は収まるよ。そんなこと取材では言わなかったけどね。言いたかった(^^;)。

2023/10/30

会計検査院の暴く獣害防護柵の効果

アーバン・ベアという言葉が使われるようになった。野生のクマが都市部に出てくる状況を示している。こうなるよ、私は拙著『獣害列島』で述べている。たかだか3年前だが、予言の書になった。
クマだけでなく、多くの野生動物が人間社会に越境している。実は、本日も幹線道路を走っていてシカと出くわした。奈良公園ではないよ。五条市大塔町だけど。

再造林地には、主にシカによる食害を防ぐため、国の補助を受けて造林地に整備された防護柵が築かれる。そのうち623カ所を会計検査院が調査したそうだ。すると3分の1に当たる213カ所で破損などにしており、シカが入り込める状態だった。つまり効果がなかった。

これって凄くない? シカ防護柵の3分の1は役立たずだったのだ。

調査したのは、2017~21年度に19道県で整備された623カ所・計約400キロもの防護柵。国の補助金約3億8500万円が使われたそうだが、その結果、17道県の213カ所・計約140キロが破れていた。それはシカが網を破ったほかに、倒木などによる破損もあるそうだが、いずれにしろシカが入り込める。そして116カ所は食害に遇って一部の木は枯死していたしていそうだ。

そしてあぶり出されたのは、防護柵の点検と補修をほとんどしていなかったことだ。点検を行っていたのは、68事業主体のうち一つだけ。ほかは、まったく点検をしないでいたか、下刈りを刈るなどの定期作業にやる程度だった。

こんな防護柵の効果を、会計検査院が調べてくれるとは。ちゃんと費用対効果を考えて、次の補助金に活かしてほしいが、多分、無駄だろうな。同じように同じ柵が作られていく。
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ちなみに柵が破れていなかった自治体はどこか。それが福井と奈良だったのである。いやあ、びっくり(笑)。写真も奈良の造林地。なぜ破られていないのか? 偶然?それとも必然? 

2023/10/20

アメリカのクマ対応マニュアル

このところ、クマの猛威が連日報道されている。とくに酷いのはツキノワグマが出る秋田や岩手だろうが、北海道でもヒグマの出没は増えている。町に出てくるところから一歩進んで民家の敷地内まで入り込んだり、もはや緊急事態だ。

こうした自体において対応はいろいろ模索されているようだが、一般に通じるマニュアルがないようだ。そんなときに見つけたのが、これ。

『非致死的なクマ管理技術の手引き_日本語訳』の公開について 

カナダの市民団体がつくったというマニュアルだが、それを日本の<Bear Smart Japan>(団体というよりプロジェクトと記されている)が翻訳したものである。

タイトルどおり、クマを殺さず人間との共存をめざしたもののようだが、実は目を通すと銃器も使用するし、必ずしも非致死的とも言えない。ただ、できる限りクマを人間社会に近づけず、追い払うという思想で成り立っている。私は、分厚いので全部を読み切っていないが、とりあえずパラパラと目を通した。

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扱うのは北米に生息するグリズリーとクロクマだ。グリズリーは、ヒグマとほぼ同種。クロクマはツキノワグマよりは大きいが、近い種類で森林性なので生態もツキノワグマと近そうだ。それぞれの対策が日本でも対応できる。

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なかには日本ではできない手段もあるが、わりと参考になるかと思う。完全な駆除以外では、忌避剤によってクマに痛い目を合わせて人間社会に出てこないようにするのが基本のようである。

クマで悩んでいるのなら、まず読んで損はない。ちなみに近畿の山でもクマは出没している。東北ほどではないが、最近は山に入るのに緊張を強いられて、何かと準備が必要になった。

 

 

2023/09/27

朝日新聞が描く野生のネコとクマ

昨日26日の朝日新聞で、1面2面を使った大特集。テーマはアーバンクマなのである。ネットでも3つの記事に分けてアップされている。

ピザを食べるヒグマ、民家の庭に出没 高まるアーバン・ベアの脅威 

北海道のヒグマは30年で倍増 押し込まれる人間との境界線、対策は

【そもそも解説】全国のクマ被害、過去最悪ペース どうして人里に? 

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紙面は、こんな具合。

ここまで大きな特集にしたのは、ようやく危機感を持ってきたのか。これまでマスコミは他人事の記事が多かった。

内容は『獣害列島』などで私が書いてきたように、野生動物は農山村での出没だけでなく、次は都会に向かうということだ。すでに地方の中核都市に、そしていよいよ人口100万超えの大都会に。
都会をめざす理由は至ってシンプル。生息数が増えたからであろう。それに加えて餌は豊富。人も優しくすぐ銃をぶっぱなさない。野生動物にとっては天国のような環境だ。

記事はヒグマ中心だが、ツキノワグマもイノシシもシカもサルも、みな同じだ。たしかに最大の恐怖はヒグマだろうが、ツキノワグマもイノシシもサルも怖いよ。シカは、とりあえず怖くない(^_^) 。

ともあれ野生動物と人間の接触が増えていることへの警鐘を記したのだから、結構なことだと思っている。

ところが。その1日前、つまり25日の新聞には、こんな記事もあるのだよね。

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こちらはノネコを保護することに熱心な御仁。ノネコも野生動物なんだが、いきなり野生動物との向き合い方の原則をすっ飛ばしている。野生動物に人は手をさしのべてはイカンだろう。それは都会人の視点じゃないか。
ネコは可愛いから保護したい……というなら、飼い猫だけ可愛がればいいのでは? 生まれたときから野生であるノネコを保護してはいけない。ネコの生態系に与える被害は、もはや無視できないほどになっている。

飼い猫とその生物多様性への影響:自然保護法の適用における盲点

そもそもネコは可愛いから何でも保護、可愛くないほかの野生動物は駆除仕方なしと選別するのは、極めて危険な思想となりかねない。

もちろん記事の筆者はそれぞれ違うのだろうが、腰の定まらない様子が感じられてガッカリする。

2023/09/07

ジビエが売れない理由は?

ジビエで農作物の獣害を防げ……そんな声は今も強いが。

シカ1500頭で食肉200キロ… 進まない食肉生産の現実 ほぼ犬の餌「ありがたく食べ命頂いて」/兵庫・丹波市

こんな記事もあるわけで。

シカの有効活用処理施設「丹波姫もみじ」(同市氷上町)に搬入された約1500頭のシカのうち、食肉にできたのはわずか200キロ強

シカ1頭当たり平均重量30キロのうち、精肉歩留まりが3割とし、内臓や骨を除き、1頭当たり10キロの肉が取れる

丹波姫もみじに昨年度の狩猟期に推計45トン搬入されたシカのうち、食肉にできたのは224キロで、実態は肉のほとんどがドッグフードになっている

都内だったらソースと付け合わせを添え、ロースト肉2切れを9000円で提供する。

こんな言葉が並ぶのだが。

ここで、なぜ、獣害駆除の個体がジビエにならないのかを説明すると長くなる。この記事のとおりではないと私は思っているが、それはともかく私もジビエに貢献してみた。

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これは、某地に売っていたジビエ、つまり鹿肉缶詰を、ものは試しと購入したもの。オイルで低温処理したコンフェである。消費税を入れると880円になったかな。

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そして中身はこれだけ。キノコ(エンリギ)を除くと、本当に一口で食べ終わりそうだった。上記の記事でもレストランで2きれを9000円?
本気か (@_@)

まあ、そんな料理をどんどん売れるというならよいが、そもそも需要がないだろう。美味しい美味しいというが、やみつきになるものでもない。言っておくが、高すぎるというわけではない。捕る苦労、解体する苦労、猟にかかるコスト。衛生管理も大変だ。缶詰にするのも設備がいるからねえ。飼育している牛や豚、鶏よりいかに手間がかかるかと考えたら、こんな値段になってしまうのだろう。

私はドッグフードにするのが、もっとも適した利用法だと思うよ。愛犬家は金を惜しまないし(笑)。

 

 

 

 

2023/08/16

ヒツジとヤギ。どっちが有用?

台風一過。晴れた。昨日は、家から一歩も出られなかった。とはいえ、幸い生駒山はそんなに荒れていない。

ちょうど帰省していた娘が東京に帰る日なので、ランチに生駒山のスリランカ・レストラン「ラッキーガーデン」に行く。

ここのヒツジエリアと呼ぶ野外カフェテリアでカレープレートを食した。このエリア、以前は棚田だったが耕作放棄されたのでヒツジの牧場に変えられたのだが、だんだんバナナやパパイヤが植えられてスリランカの村落化しているよ。

で、そこで見たのは、ヤギである……。ヒツジではなくヤギ。まあ、ヤギは山羊と書くように山のヒツジなのかもしれんが。。。

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以前はヒツジを3頭飼っていたヒツジ牧場で、そこにカフェテリアを作ったので「ヒツジエリア」と呼ぶようになったのに、今はヤギばかり。ヤギは牧場というより周辺の雑地に点在している。ヒツジはというと、とうとう全部お亡くなりになったのだ。

その代わりににヤギを導入したのである。ヤギはヒツジより身体が強く、崖を登り、草は根っこまで何でも食べる。世界的な家畜なのである。ただヒツジは肉と羊毛という2大資源を生み出して有用だが、ヤギはそこまでいかない。毛や皮はあまり使わず、肉も乳も癖があるので万人受けしない(私はヤギの乳のチーズが好きだが)。また荷物を運んだり車を曳いたり人を乗せたりもできない。田畑も耕さない。まあヒツジより愛想はある気がする。無表情のヒツジより人に懐く。

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ここで野生動物が家畜になる過程を考えてしまう。ウシ、ウマ、ブタ、ロバ、ヒツジ、ラクダ……など家畜になる動物は、人に役に立つことが大前提だ。肉や乳、毛、皮革などが有用であるほか、役用になる。イヌなども狩猟を手伝ったりするから役用。ネコは、最初はネズミなど人間に害をなす動物を獲ってくれる役用があったけど、もう今はほぼ放棄して愛玩になってしまった。(家禽は外したが、卵や羽毛も有用。)
ヤギもかろうじて有用ではあるが、体格は小型だし、愛玩になるほど愛想を振りまかないし、なんとなく中途半端なのかなあ(笑)。

ヒツジとヤギ、どちらが家畜として進歩しているのだろうか?

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ラッキーガーデンのランチ。

……さて、台風一過のはずが、静岡で豪雨とかで新幹線が止まる。娘は帰れない(笑)。

2023/08/01

興福寺で特殊伐採

奈良公園を歩いた。暑い。今日の奈良は、おそらく38度超え。青空だし。

とはいえ、観光客はそこそこいる。やっぱり外国語が聞こえる。

そこで興福寺の五重塔。今夏より大修理が始まり、何年かは工事足場で包まれるのだが、まだ塔の上部は見えている。その周辺で働く人々がいた。なんとマツの大木の伐採をしていた。それも釣り伐り。いわゆる特殊伐採だ。全部伐り除くのか、大枝だけを切り落とすのか、まだわからない。いずれにしても、寺社の多い奈良では、こんな仕事が増えているようだ。

写真のマツの大枝には、立っている人物が移っている。知り合いかな、とも思ったが、近づけないし、顔をこちらに向けていないのでわからなかった。これは五重塔とは関係なく、危険だから伐るのだろうか。炎天下、ご苦労さまです。観光客も、五重塔は見づらいから、伐採見学をしている人が多かった(笑)。

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なお、暑さから逃げる場所として、地下通路がある。

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シカも、地下に入って、水を飲んでいた。外は暑いよ……。メスの若シカのよう。

それにしても痩せている。夏バテではなく、シカにとって夏越しは結構大変なのだ。葉っぱがいっぱいで食べるものに困らないように思えるが、実は餌となるものが少ないようだ。クマなどとは違って植物性のものなら何でも食べるが、夏の葉はあまり美味しくないらしい。暑くて観光客が少なければ、鹿せんべいももらえなくなるし。今、せんべいを持って公園をうろつけば、持てること間違いなし(シカに)。

夏の奈良公園、穴場ですぜ。皆さん、どうぞ。

 

2023/07/31

変わる常識~『罠猟師一代』を読む

古本屋で見つけた『罠猟師一代』(飯田辰彦著 鉱脈社)を購入した。

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豊富な写真で主にイノシシ猟を紹介しており、その後の解体なども記されているからだ。それに宮崎県の出版社という点も面白そうであった。
ただ出版年度が2006年で、その前年に雑誌『岳人』に連載したものらしい。つまり取材したのはさらに前、2004年以前となるから、今から20年近く前だ。それは気になったのだが、とりあえずリアルな獣害駆除の様子や山の狩猟文化に触れられるかな、という思いであった。

が、どうやら獣害駆除ではなかった。むしろ獣肉を売る、プロのハンターであった。シカ猟も登場するが、シカ肉は美味しくなく、高くも売れないとほとんど扱わないらしい。シシ肉狙いなのだ。

それはよい。

が、ちょっとなあ、と思わせる描写が次々に出てくる。それは著者が悪いのではなく、猟師の問題ということでもなく、時代の差なのであるが……。

たとえば、いきなり採れたイノシシの解体を山の中で行う。それも沢の水を使う。自家用なら自己責任になるが、売り物にする場合は、これは今ならアウトである。衛生面もそうだし、沢を汚すことはその流域の問題にもなる。内臓を持ち帰っている点はよかったが。

その後はすぐに料理になるのだが、そこで生肉を食べる。そして、これが一番美味い!と記されると……。今や生肉食はNGだろう。E型肝炎ウイルス媒介の心配もあるし、出血性大腸菌など危険な病原菌がいっぱいいるからだ。また寄生虫も馬鹿にならない。解体する最中にそれが人に感染する場合がある。

かくゆう私も、昔はシカ肉をいただくと刺身にして食べて、これが美味い! と言っていたものだが、今では怖い。

そして「あとがきに代えて」が問題だ。

日本の山の疲弊を訴えているのだが、それは林業や人工林ではなく、人工林を増やした天然林破壊のことである。「安い外材」で林業が衰退する話もあるが、林道建設や無茶な植栽などを批判する。針葉樹では保水力を失う、といい、野生動物の減少を愁う。獣害は人間側の都合とする。獣害は、天然林を減らして餌がなくなったから里に下りてきたからだ、とする。早晩、山からいっさいの野生動物が姿を消す、という。

今ならイノシシもシカも増えすぎて困っているが、餌不足どころか餌が豊富になったから数が増えている。里山の方が奥山より生活しやすいから出没することが知られてきた。

山の全面積の数%でもいいから、雑木の山を復活させろとあるのだが、もともと日本の山は60%以上が天然林・里山林なのである……。そして人工林の中にも、結構な広葉樹が生えている。完全にスギ、ヒノキだけの山など、まずない。むしろシカが増えて林床の草木を食べてしまうから、そうなった場合もある。

この20年の間に認識がガラリと代わり180度別の見解になったことを感じる。

 

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