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森と林業と田舎の本

2019/12/06

ご当地・ジビエバーガーに未来はあるか

大阪の繁華街で見かけたロッテリアの看板。

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鹿肉バーガーなるメニューがあった。ジビエを売り物か。よく読むと、鹿肉6割と2割の2種類あるそうだ。全部を鹿肉にするのは無理だったか。そして期間限定。ところで鹿肉は、どこから調達しているのか。国産であることを願いたい。1か所で十分な量を調達できないだろうから、全国各地に分散させているのだろう。

これは、所謂ご当地バーガーらしい。全国画一ではないメニューづくりというのが、近頃の大手ファーストフードでは流行りなのだ。

私は滋賀県でのフランチャイズcoco壱番屋で鹿肉カレーを販売しているのを取材したことがある。こちらも、店舗ごとのご当地カレーづくりで行ったもの。本部に提案して何とか了承はとったものの、実現するのは大変だったそうだ。鹿肉の安定供給問題から衛生管理、味付け……。それでも今も販売し続けるのは、一にも二にも担当者の熱意以外の何者でもなかった。獣害対策として、農業や森林劣化を止める一助として、でも獣害駆除で終わらせないため。(しかも、鹿肉カレーは赤字だそうである。)

008 鹿肉カレー

ロッテリアの場合とどうかは知らないが、頑張っていただければ。

ちなみに、ロッテリアには、「天ぷらライスバーガー」なる商品もあるらしい。あの手この手で新商品づくりを展開している。なんだか大変だなあ、と思わずにいられない(^o^)。

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2019/10/31

幻のオオミミズを探せ!

昨日は、京都で開かれた森林総研関西支所の公開講演会に顔を出してきた。

テーマは「森林の小さな生き物たち」。土壌動物のことである。アリやセンチュウの専門的な話もあったのだが、私が引っかかったのは、土壌動物の分類と研究状況。

土壌動物は、0,1ミリ以下のセンチュウなどを小型、2ミリまでのダニやトビムシなどを中型、2ミリ以上のアリやミミズなどは大型に分類するらしい。そして日本で研究が進んでいるのは、意外やセンチュウやトビムシなどで、大型のミミズなどは遅れているという。

そこで、私が取り上げたいのは、大型も大型、幻のオオミミズ。通常?の数センチのミミズではなく、20センチ以上、いやできれば50センチ以上のミミズである。

まずは10月29日に毎日新聞奈良県版に掲載されたこの記事を見てほしい。

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奈良県には、未知のオオミミズが発見されているのだ、それも2種類も!

一応、日本で最長のミミズとされているのは2015年に発見されたハッタミミズ96センチとされているが、ミミズの長さはあんまり当てにならない。伸ばせば伸びるし、死ぬ(乾燥する)と縮む。だから重さが一番重要らしい。その点ハッタミミズは、やたら細い。重量はしれているだろう。それにこのミミズは東南アジアからの外来種ではないか、持ち込んだのは江戸時代の金沢の豪商・銭屋五兵衛(密貿易で東南アジアにも行っていたらしい)持ち込んだのではないか、という想定も(以前は)あったのである……。

ともあれ、太くて長いミミズを見つけよう。なかには直径が2センチほどある太いミミズもいるそうだ。日本で記載されているミミズはざっと50種類ぐらいらしいが、おそらく生息しているのは200種は下るまい。そもそもミミズの研究者は少なく、十分に新種を発見できる可能性がある。とくに大きければ日本最大級を謳うことだって可能だ。なお新種登録するためには同種を2個体必要となる。外観だけでなく解剖して内蔵を調べ記載しないといけないからだ。

ただ探すのも土の中だから簡単ではない。可能性としては、雨で土壌の含水率が上がると土から出てくる確率が高い。だから林道の法面のような土の断面部分や、そこから落ちて土や落葉の溜まった側溝が狙い目。見つけたら土と一緒に捕獲して、大急ぎで記事にある連絡先(奈良県立磯城野高校の吉田教諭)に。できる限り生きた状態が望ましい。記事は奈良県民だけに呼びかけているが、全国どこでもよろしい。

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十津川村で発見された仮称・トツカワオオミミズ。(渡辺弘之・京都大学名誉教授提供)

 

 

2019/10/21

イノシシのための二期作

生駒山麓は田園……というより棚田地帯だが、どこも柵か網で囲まれたところばかり。いうまでもなく、イノシシを中心とした銃がいい対策だ。
生駒山系にシカはいないが、イノシシは激増しているし、ほかにアライグマなども増えている。

ところが、そんな中を散歩していて見かけた一角。

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ここは柵がない。まあ、稲刈りを終えて必要なくなり外したのかもしれない。が、よく見てほしい。この棚田は二期作だった。。。。

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しっかり刈り取った後の株からヒコバエが伸びて、すでに出穂している。もうすぐ稔って米が採れる。

このヒコバエの米の量は想像以上に多い。10アールで47キロになった、という実験結果もある。自家用のためはヒコバエを刈り取るだけで得られる、しかもこの米が美味い、という農家もいる。(過多気味の窒素が抜けるため。)

二期作というのは、かつて米不足の時代に、1枚の水田から年に2回米を栽培する方法として考えられた栽培法だ。早稲なら8月には刈り取れるから、それからもう一度田植えをして11月に収穫する……というようなことが行われた。労力とコスト増の割には収穫量の増加分はしれているうえ、米余りとなり減反が進む今では行われることはないと思っていたら、しっかりやっている。ただし、2回目の収穫はイノシシ用(笑)。

これでは、獣害防除になりませぬ。いくら駆除してもイノシシは美味しい餌を提供されるのだからやってくるだろう。餌をバラマキながら防護柵もないのだから餌付けに近い。まず田畑に寄せつけないようにしなければ。

 

改めて記す、獣害対策とは「予防」と「防除」を合わせて「駆除」を行わねば成り立たない。

ちなみに、近くの畑は、こんな状態だった。

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赤いのは伏見トウガラシか。それにナス。それにトウガン? 色はインスタ映えするけど(^^;)、たっぷりイノシシ用の餌を栽培しているのであった。

 

2019/10/19

ジビエをペットフードに!

農水省は、ジビエの利用拡大に熱心だが、今度はペットフードの加工を推しているようだ。そして「ジビエペットフードシンポジウム」を開催するという。

ジビエ利用拡大フォーラム内
ジビエペットフードシンポジウム

日時:令和元年10月21日(月曜日)15時30分~17時30分
会場:農林水産省 本館7階 講堂

内容は、ジビエ利用モデル地区の取組事例の説明及び意見交換
〇捕獲鳥獣の有効利用のためのジビエ協力隊について(長野県長野市)
〇シカ・イノシシ丸ごと1頭活用ネットワークの構築(兵庫県県内広域)
〇外食事業者が求めるロットの確保のための統一規格の運用(岐阜県西濃ブランチ)
〇研修により解体処理技術等を新規施設に移転(鳥取県東部地区)
〇高級部位以外をおいしく加工(和歌山県古座川町)
〇学校給食やペットフード等幅広い需要開拓を推進(大分県県内全域)
ジビエ利用拡大に向けた対応方向
 

私は、昨今の鳥獣害を防ぐために主にシカを駆除するのは致し方ないと思いつつ、それをジビエに利用するというのは無理だろうと思っていた。なぜなら、駆除目的で獲ったシカを食用にするのはハードルが高いからだ。

たとえば銃で撃つには胴体はダメ。内蔵の大腸菌などが肉に飛び散るからだという。頭か首、あるいは胸を撃ち抜かなくてはいけない。
かといって罠猟も難しい。かかった個体は暴れて蒸れ肉になるからだ。それに毎日見回りするのはキツい。
それに仕留めてからせいぜい2時間以内に解体場に運ばねばならないのも厳しい。かといって山の中、川の水などを使った解体は衛生上売り物にはできない。ま、ほかにもいろいろあるが、人が食べられるようにするのは大変なのである。

ただ一つ。ペットフードはどうか、と思っていた。シカのジャーキーや骨付き肉は、イヌネコの高級やおやつとして人気だと聞いたからだ。やっぱり野生の肉は食肉目の動物を奮い立たせるようだ。ペットの健康志向も高まっている。需要は結構あるだろう。

Kiji1img シカ・ジャーキー。

材料としては、蒸れ肉でも構わないようだし、これまで人間は食べない肩肉やすね肉も使える(人間はモモとヒレ肉しか食べない)。シカ肉は牛肉などに比べ、低脂質で高タンパクと栄養価が高いだけでなく、稀にいるウシアレル ギーのイヌへの需要も見込まれる。加工時に、人間用ほど衛生面で気をつける必要もない。

すでにペットフードに使われるシカ肉もあるのだが、それはミンチにして配合飼料と混ぜた品で、業者に卸すだけでは安価で利益が出ない。しかし、ジャーキーへの加工なら捕獲者自身でもできる。ようは乾燥させるだけだから。そして高価だ。

とまあ、このように考えていたわけだ。駆除個体をジャーキーにして利益を出せば、それなりに駆除も効果的になるのではないか。

さて農水省が音頭を取って、そんなに上手く行くかどうかはわからないが、珍しく方向性としては私の意見と一致した(笑)。

2019/10/11

オオカミの聖地でみたオオカミ

超大型台風19号が日本列島に向かっているとのことで、メディアもてんやわんや。先の15号の際には、千葉の大被害をスルーしてしまい、その反省からだろうか。
しかし、あまりに「超大型台風が上陸する!」「早く対策を!」と連呼されるとしらけてくる。単に台風をネタに盛り上がっているだけじゃないか。あまり騒ぎすぎて「オオカミ少年」になってしまわないように。

と言っても、奈良は今のところ平穏です。おそらく生駒山の霊力に守られているからでしょう、知らんけど。


そこで今夜は、のほほんオオカミネタ。

先日、東吉野村を訪れた。ここは吉野林業だけでなく、もう一つの聖地だ。それはニホンオオカミ。1905年、マルコム・アンダーソンが現東吉野村小川で買い取った遺骸を最後に、ニホンオオカミは日本列島から姿を消したからだ。その後、福井等いくつかの地域でオオカミがいたという記録はあるが、公式には確認されていない。だから、東吉野村はニホンオオカミ終焉の地として聖地となったのだ。

そのことを記事にした。

大和森林物語48 幻の生きものたち① 謎だらけのニホンオオカミ

もっとも、ここでは記事ではなく、取材を通じて村内で発見したオオカミを。

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これは有名?なニホンオオカの銅像。実はイヌより小さい。

 

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こちらはモンゴルオオカミ(タイリクオオカミ)の毛皮。もちろん本物。聖地に奉納?した人がいる。比較的新しいが、モンゴルでもオオカミは希少種になっていたはず。密猟かな?オイオイヾ(- -;)

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これは村内喫茶店にあるトルコのオオカミの剥製。おそらく種としてはタイリクオオカミだろう。もちろん本物。剥製コレクターの遺族からの寄贈。やはり聖地には、各地からオオカミに関するものが引き寄せられてくるのだ。

ちなみにタイリクオオカミはでかい。ニホンオオカミの2倍くらいありそうで、生きた個体と向き合ったら震え上がりそう。これを野に放せ、と主張している団体もあるのだが。。。

なお毛皮も剥製も、どちらも間近に観察できる。並んで写真も撮れる。そして触れられる。オオカミファンよ。羨ましいだろう(⌒ー⌒)。やっぱり東吉野にオオカミは似合うのだ。

村内のどこにあるかは、リンク先の記事を読んでいただきたい、有料だけど。

2019/10/07

NHK番組を見て飢えるナラシカの将来を想像した

昨夜のNHK「ダーウィンがきた!」では、「奈良ならでは!古都のシカ 命つなぐ戦い」をやっていた。これはナラシカ(奈良の鹿)を取り上げた動物ドキュメンタリー。奈良公園で人と交わりながら生きるシカをテーマにした記録だ。メスを巡るオスの争いや、立派な角が危険すぎるので切り落とす「角きり」などを紹介していく。

その中で一部ひっかかった点。

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まず、夜も森に帰らないナラシカがいることの紹介。本来なら昼間は公園や寺社の境内など芝生が広がる街に出て草をついばみ、夜は背後の春日山の森に帰る。ところが最近は、夜でも街の中で過ごし、夜も餌を探しているところを描いていた。
たしかに餌も探しているだろうが、そもそも街の中で寝るようになったことが重要だ。安全を求めて森に帰らなくても公園内でも十分安全と感じだしたのかもしれないし、時間感覚を失いだしたともいえる。ようはシカの生態が変わってきたことに注目すべきだろう。

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ただ、餌不足問題は大きい。番組でも木の皮や落葉を食べる様子を映し出していたが、これは末期的である。あきらかに食べるものが足りない。なにしろ奈良公園内だけで1300頭を越え、春日山などを加えたら2000頭を越えるシカが生息するのだ。生息密度は自然界の100倍以上だろう。それに比して餌となる植物(主に芝なと草類)が足りないのは事実である。だから公園から飛び出し周辺の農地を荒らすことも起こすのだ。

この点を私も昨年、Yahoo!ニュースで「奈良の鹿は栄養失調?鹿せんべい食えたらイイわけじゃない」として記事にしている。
この時は、だったら餌を人間がやれ、という問題じゃない、餌を与えたら野生ではなくなるし、より生息数を増えて問題を大きくすると記したつもりだが、多くのコメントや反応は「栄養のある鹿せんべいを開発して与えろ」だった。。。

より問題なのは、増えすぎたシカの食欲が農地を荒らすだけでなく春日山の植生を壊していることだ。春日山は原生林であることが価値で天然記念物であり世界遺産でもあるのだが、どんどん植生が劣化している。次世代の稚樹が食われてしまって老木ばかりになっているうえ、シカの食べないアセビやナギ、それにナンキンハゼばかりが繁茂するようになってきた。

かといって、「それではナラシカの個体数調整(ようするに駆除)しよう」いうのも困る。あくまでナラシカは天然記念物であり、神鹿として宗教的に1000年以上守ってきた生き物であり、今や観光資源であり奈良のシンボルなのだから。

こうした点を昨年出版した『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』で考察したわけである。

私も考えた。考えて考えて、悩んで出した結論としては「ナラシカはこのまま保護し続ける」である。ただし、餌の給餌などは一切しない。簡単に言えば飢えてもよしとする。それも自然の営みである。そうすることによって、個体サイズは小さくなる現象も起きているし、自然淘汰を受けやすくなる。
一方で、春日山などの植生が荒れる点も享受しなければならない。完全に植生を保護しようとすることに無理がある。そもそもシカのいる森は、どこでも植生被害を受けるのだ。春日山も戦前は荒れ放題だった。結局、長い歴史の中では「豊かな自然」というものが本来の自然ではない、と気づいたのだ。常に自然界にはストレスが存在して、多少は傷みつつ存在するものなのだ。

ただし、森林の一部を柵で囲って、鹿の入れないエリアで現植生を守る。さもないと絶滅種を出して生物多様性を失われてしまう。いつか自然現象としてナラシカが減ったときに、再び植生を広げることに期待したい。それが精一杯の人間のできる「保護」ではないか。

今後、ナラシカはどうなるだろうか。草の餌が足りなくなって飢えたら、高い木の枝を食べようと首を伸ばすかもしれない。首が長いシカが生き延びて、そのうち首の長いシカばかりになる。ナラシカがナラキリンになってしまう。さらに木登りして高木の枝葉をむしりだすかもしれないし、木の幹をボリボリかじりだすかも。もしかしてに昆虫を食べて動物性タンパク質によって栄養つけるとか、池に飛び込んでサカナを食う、いやいやイヌやネコを襲って食べだすかもしれんよ。狩猟を覚えたら、次は芝を栽培し始めて農耕を行うかな。。。とまあ、そんなアホな想像も頭に浮かんだが、動物は環境に適応して生態を少しずつ変え、形態を変え、それが進化につながるものだよ(⌒ー⌒)。

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2019/07/13

クマと出会えるまち

群馬県のみなかみ町を訪れていたのだが……小雨が降り、そこで案内された森は、ガスに覆われて白く染まっていた。ちょっと幻想的な風景の森を歩く。ところが……。

「いかん、クマだ」

先導してくれていた人がきびすを返す。

えっ? 

思わず前進してしまう私。手にしていたカメラを構えて……いや、それはマズいだろうと気づいて、(しぶしぶ)私も引き返したのだが……。ああ、見られなかった。クマ(ツキノワグマ)、見たかった。

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体長1メートルくらいのクマが道を横断していたそうだ。「こちらに気づいていないから、むしろ危険」とのことだった。

少しもどって足元を見ると、あら、足跡があるじゃないか。

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ただ、別に珍しいことではないという。クマはしょっちゅう、町の中にも出没するらしい。「最近では横断歩道を渡っているよ」。

それではナラシカ(奈良のシカ)状態ではないか。人をこわがらず、でも手出しもしない状況か。近年は本当に増えたそうだ。実際、アチコチの山に「クマ注意」の看板などがある。幸いなことに人的被害は出ていない。ただ農作物などは荒らすようだし、山に入れなくなるのも困る。
いっそ、「クマに出会えるまち」を宣伝文句にしたら……と口走ってしまったが、さすがにそれはマズいな。ただクマが増えているのは間違いなさそうだ。住民はクマとのつきあい方を覚えて、なんとか棲み分けているようだ。もっとも温泉があり、登山やラフティングなどのアクティビティが豊富で訪問客も多い町だけに対策は難しいだろう。

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2019/06/22

奈良にもあった! ジビエソーセージ

ふと見かけた商品。

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ジビエのソーセージ。イノシシ肉と、シカ肉を使った2種類。どちらも奈良のジビエだ。

シカは間違っても奈良公園のシカではないが、流通に乗せるまで製造できたのは頑張った。実際、安定供給はジビエの最大の強敵。これも扱う店は絞り込んでいると思うが、とりあえず店頭に並んでいるのだ。

そのうち味わおう。今は、買わないけれど(^^;)。

 

2019/05/09

「クローズアップ現代+」のアーバン・イノシシ

昨夜のNHKクローズアップ現代+を見た方はいるだろうか。

タイトルが「アーバン・イノシシ物語」。都会に出てくるイノシシの話題だ。我が町でもイノシシは激増しているし、わりと身近なテーマだった。

詳しい内容は上記リンク先をたどれば、かなり詳しく紹介されているから任せるが、基本的には良番組だった。
イノシシが都会に出るのは、山で数が増えて、バッファーゾーンである里山の衰退により町に出やすくなったこと……これだけならありきたりだが、都会の餌が非常に高エネルギー食で、麻薬みたいな美味しさがあり、今更山にもどれなくなっているとまで紹介していた。しかも餌が豊富なので体格も山のイノシシより数回り大きくなっているという。山では成獣で体重80キロぐらいが限界なのだが、町に出没する中には150キロクラスまで生育しているのだ。

さらに出没しやすくした背景には、都会人が野生動物の怖さを知らずに近づき、馴化(人馴れ)を進めたことや餌を与える輩までいる点にも触れている。出くわしても追い払おうとしない人間は、むしろ襲っても良い対象と思っている。そして、目先の駆除では解決しない(駆除数以上の速度で増殖する)ことも説明した。

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都会の食事(残飯や、人を襲って奪う弁当・お菓子など)がイノシシにとっての麻薬と表現したのは上手い。その前にアーバン・イノシシという命名も上手いな。これで惹きつけられるし、ことの本質を伝えることができただろう。

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さらにこの写真は、なかなかショッキング。都会のイノシシは牙が山イノシシより数段長く鋭いのだ。横に飛び出しているから、接触するだけでザックリ切り裂かれる。しかも走ると2秒で時速40キロぐらいまで加速するそうだから、もはや人間が逃げるのは不可能ではないか。。。

ただコメンテーターがつまんない。人とイノシシは共生できないのか、とかキレイゴトしか語っていない。それにオオカミがいなくなってイノシシが増えたかとのような描写があるのも噴飯ものだろう。オオカミが消えて80年間は、イノシシは増えなかったよ。

むしろ私が気になったのは、こうした現象が日本だけでないことも示していることだ。

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ヨーロッパにトルコ、そのほか韓国でも町に出没するイノシシが問題になっているらしい。おそらく世界的な傾向なのだろう。つまり、里山の衰退、ハンターの減少などの日本的理由だけでは説明がつかないのは間違いない。もしやイノシシの“進化”か? 都会に順応し、都会の方が生きやすいと生息域を変え始めたのか?

実は拙著『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』で“奈良の鹿”を追いかけた際も、奈良の鹿とは山の鹿とは別の文化を持つ、いわば別種ではないか、と思ったことがある。遺伝子ではなく習性が別物になっているのだ。生態的亜種とでも言えるか。奈良の鹿も残飯あさって数を増やしているからね。(ただし、体格はむしろ小さくなっている。)

シカもイノシシも、人と人間社会に対する姿勢を変えつつある。人間側もこれらの野生動物との向き合い方を変えないと、エラいことになるかもよ。

 

 

2019/04/15

獣害のある自然

再びタナカ山林へ。今回もタケノコは見つからなかった。

だが、犯人の証拠を発見。

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このとおり、かじられたタケノコの穂先。さすがにイノシシだとわかる。地下茎の下をくぐるように掘り出して食べたか。

こんな置き土産もあった。

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しっかり糞をしていった。今年もタケノコ堀りはイノシシとの競争で厳しそうだ。今やイノシシは尋常でない増えようだ。

と書いて、ふと疑問に思った。イノシシ、そしてシカの激増で農作物だけでなく森林そのものも荒らされて生態系が乱されているというが、本当だろうか。乱されない自然とはどんな状態なのか。イノシシもシカもいない自然はおかしくないか。生態系は植物だけでなく動物も含めて成り立っているものだからだ。
これが外来種なら、本来いなかった動物が生態系を攪乱しているなどと言えるのだが、シカもイノシシも古来より日本の野山に生息していたわけである。そしてシカもイノシシも繁殖率は高い。なんでも食べて、たくさん出産する。増えて当然なのだ。オオカミが生息数を抑える効果は極めて小さい。ハンターだって農地を守るが精一杯で、生息数を左右する力はない。

たとえば江戸時代の山は自然豊かだったのか。いやいや、相当荒れていたようだ。風景画などにはスカスカだった状態が描かれている。一般には、人間が燃料にするため伐りすぎたせいだとされているが、そこにシカなども関わったのではないか。事実、里人は入れなかった聖域・奈良の春日山も同じだったからである。それなのに明治以降に植生が急速に豊かになって、今では「春日山原始林」として天然記念物であり、世界遺産に指定されてしまった。

むしろシカやイノシシに荒らされた自然の生態系が正常なのかもしれない。植物が繁茂して生物多様性の高い自然は異常と考えたらどうだろう。

明治期から昭和50年代までは、野生動物がひどく減少した異常な時代だった。そのおかげで植物が異常に繁殖し多様で豊かな森林になってしまった……このように解釈できないか。ところが自然を回復(この場合、シカやイノシシの生息数が以前にもどった状態)したために、また植生も昔の姿を取り戻そうとしている。。。

本来の自然は、植物が繁茂していなかった! 生物多様性の高い森林生態系はニセモノだ!

 

この仮説、誰か検証してみないか。(袋叩きになっても知らない。)

 

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