さて、今回の「中国資本が……」の報道を読むとわかるのは、報道側も、登場するバイヤー、つまり中国資本の意を受けて買収できる山林を探している人々も、基本的に山林や林業について素人っぽいことだ。
林業の現状については勉強した後が伺えるものもあるが、どうも山林土地を平地の通常の不動産と同じように考えている様子がある。
だが、現実の山林土地事情を俯瞰すると、買収しようにも境界線の確定さえできていないところが多いし、所有者の名義も100年前に亡くなった爺さんのまま、しかも小規模多人数の所有者が入り組んでいて、さらに地元の権利関係もややこしくて……と、まったくうんざりするような手続きが後に控えている。
そして売買価格を算定しようにも、立木の価値を読むのは、かなり難しい。森林を伐採するにも、誰が手がけるのか、搬出はどうしてするのか、コストを考えると頭が痛くなる。
もし水資源を狙うなら、どれほどの埋蔵量? があるのか、水質はどうか……というのはその筋のプロでないと無理だろう。
そして林業にしろ、水掘削にしろ、資源量や輸送法などを検討すると、とてもコストが引き合わないことはすぐわかる。
中国資本の正体も、不明だ。中国政府の息のかかった団体なのか、純然たる民営企業(そんなのが共産・中国にあるのか?)なのか。
中国人のビジネスでよく指摘されるのは、彼らは短期的な利潤を追求することだ。何年か先に利益を生み出すまで育てようとせず、今が大事。すぐ転売して儲けるとか、今ある資産をすぐに金に替えることを狙う。
その点からすると、日本の育成林業も、水ビジネスも、あまり中国人に向いていないだろう。
もしかして、中国資本は日本のバイヤーに騙されているんじゃないの? と思わないでもない。
これまで日本の様々な企業やビジネスマンが中国に騙されて痛い目にあってきたが、今回は意趣返しを企て、彼らに「日本の山林は美味しいよ」という餌をまいて、一杯食わせようとしている……いう仮説を立ててみた。
たしかに中国は木材や水を欲しがっている。しかも、金融危機の前までは泡銭や持っていた。そこに「木材も水もたっぷり眠っている日本の森林は底値で買い時」という話をちらつかせて、だまし取ろうとしているのではないか?
そこまで壮大な国際的陰謀(^^;)を築けるバイヤーが日本にいるかどうか……これこそ妄想だろうか。
そこまで行かずとも、「日本の山林を買って大儲け」を思い付いた中国資本の手先となって、自分もまったく山林事情を知らない業者が、手当たり次第に山間部に出かけて声をかけている可能性はあるのではないか。
もしかしたら、幾重にもバイヤーが間に入っていて、首尾よく山林の売り手を見つけて、中国資本の手に渡した業者もいるかもしれない。たとえば競売にかかった土地などは、わりと簡単に手に入る。
が、結局は持て余して、何ら利潤をあげることもできず、転売も難しく、中国人の不在地主が多数大面積生れるかもしれない。これこそ、最大の危機である。
もし林野庁なり国土交通省なりが、今回の事象を問題とするなら、中国資本のどうのと小さいこといわず、山林の不在地主対策に取り組むべきだろう。国内でも、まったく森林整備や経営に興味を見せず、土地を眠らせている所有者は多い。彼らこそ、日本の山を荒らす大きな要因だ。
中国資本だからと沸き立つのではなく、広く森林所有の権利と義務を問い直すような構想はできないか。
たとえば、ちゃんと経営したり保全に務める所有者には助成金をたっぷり渡して利得を保証する。逆に荒れたまま放置しているような所有者には、環境破壊者の烙印を押して森林保有税をかける。イヤなら売却するか公的機関に委託させることで、森林の集約化を押し進める。
中国資本の山林買収を逆手にとって、そんな国際的陰謀を仕掛けられないだろうか。
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