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本の紹介

林業・林産業

2017/09/18

魚梁瀬杉の終焉

高知県馬路村の魚梁瀬杉の伐採が今秋で終わるそうだ。

 
……って、まだ伐っていたのか!
 
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この写真は、おそらく20年以上前に馬路村を訪れて、魚梁瀬杉が残る千本山を登ったときのもの。ここは保護区だが、かつて直径1メートル級のスギが馬路の山を埋めつくしていたという。巨木の間隔が狭いことに驚く。樹齢も300年級ぞろい。
 
豊臣秀吉が、京都の方広寺に大仏を建立、その大仏殿に使ったという曰く付きの巨木だ。
だが、戦後伐りまくって、脂分が多いので腐りにくく土台などに使ったというが、やがて魚梁瀬杉のブランド名で持て囃された。
 
それを魚梁瀬杉という名の銘木として伐りだしたおかげで林野庁はおおいに潤い、一つの村に二つの営林署があったほどなんだが……。
 
実は私が訪れたときは、すでに営林署の一つは消え、広大な何百世帯もの空き家が広がっていた。すでに資源が底を尽き、伐採は止めたと思っていた。
 
が、なんとまだ伐っていたのだ。ようやく今秋をもって伐採中止とするそうだ……。その最後の伐採が58本だという。しかも、、用途はとくに決まっていないので市場に出すそうだが、それなら伐る必要あったのか? 単に売却益が欲しかったということになる。
 
 
こうして、日本の山野から、本当の大径木は消えていくんだな。魚梁瀬杉のブランド名も忘れられるのだろうか。
 
 
 
 

2017/09/13

「みえ森林・林業アカデミー」創設の位置づけ

三重県の鈴木英敬知事が、2019年度に「みえ森林・林業アカデミー」を創設すると発表した。

19年度というのは、平成31年4月だそうだ。ちなみに事務局は、津市の県林業研究所内に置き、キャンパスは全県とか。
 
 
この記事だけだと、「また林業大学校が増えるのか」と感じた人も多いのではないだろうか。この数年で続々と林業大学校が誕生している。たしか、現在全国に19校だったかがオープンしているはずだ。
 
一応、特徴としては新規に就業する人ではなく、すでに林業職に就いている人が再び学ぶ場である。また林業現場の担い手だけでなく、林業経営者を育成するコースも設けることだろうか。つまり林業経営者と中間管理職、現場作業者と役割に応じた3コースに分かれている。加えて、森林・林業施策に通じた市町職員を育てる講座も考えているらしい。学び直しの大学校としては新しいだろう。
 
が、実はそうした林業の学び直しは、鹿児島大学と愛媛大学にも社会人コースとして設けられているわけで、まったくなかったわけではない。
 
 
しかし、これだけでは全体像が見えないと思う。そこで老婆心ながら? 私がちょっと補足説明。
 
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今のところのイメージ。学内にディレクター、マネージャー、プレーヤーの3コースというわけだが……。
 
実は、もっと大きな目で見た3コースもあるのだ。それは、紀伊半島の3県(和歌山県、三重県、奈良県)の役割分担だ。
 
すでに和歌山県は、今年度農和歌山県農林大学校をスタートさせて、主に林業現場の作業員の養成に取りかかっている。
 
そこで、こんな構想がある。
 
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和歌山県は、林業への新規就森者の養成を手がけている。そして三重県は、既就業者のステップアップを手がける学校をめざすわけだが……実は、その後に奈良県が控えているわけだ。奈良県も負けじと林業大学校相当の学校をつくる構想がある。仮称・フォレストアカデミー。それがフォレスター養成を手がける。と言っても国のフォレスターではなく、いわば紀伊半島フォレスターになるのだろうか。
 
もっとも、奈良県はいつ開学するのか、本当につくるのか、まだ姿が見えていない(~_~;)。
 
この構想は、3県の紀伊半島知事会議で合意しているから、絵空事ではない。
正直、こんな県を超えたデカい絵を描いてみせたことに感心している。奈良県、やるなあと(^o^)。別にヨイショしているわけではないが、近来なかったように思う。
 
だいたい隣の県が林業大学校つくったからうちもつくるぞ、という発想が多いのではないか。でも中身は横並びで、生徒の取り合いをするということが多くなる。
 
もちろん、本当に3県でこんな棲み分けができるのか、生徒を集めることができるのか、まだまだ予断を許さないけどね。
それに働きながら学ぶことが現実にできるのか、あるいは高い経営力を学んだのに活かす場を与えられるのか。。。という点も課題だろう。
 
ただ国がつくった森林総合監理士は、単なるペーパー資格になりつつあるのに対して、岐阜県は、新たに地域森林監理士を立ち上げ、現実に使える林業資格と林業人の育成に取り組み始めた。全国画一の人材ではなく、地域密着型の人材である。
 
紀伊半島3県は、同じく地方独立型林業人材を生み出せるだろうか。
 
 
少なくても国は、地方の邪魔だけはしないでくれ。総務省が地域林政アドバイザーなる役職をひねり出し、県を飛び越して市町村に働きかけているのが気になるが……。

2017/09/10

道沿いの皆伐地

先日、電話をいただい林業家から、
「山林を売りたいという人がいて、私は買えないからほかの人を紹介して購入してもらったんだけど、いきなり道から見えるところを皆伐されてソーラーパネルが並んでしまったよ。地元からは文句言われるし、斡旋した俺の身にもなってくれよ」
という話を聞いた。

 
実は、そんな話、各地にある。先日の吉野から大台町に入る辺りには皆伐跡地だけでなく、ソーラーパネルの並んだ山を多く見かけた。
 
まあ、太陽光発電が全部悪いとは言わない。本当は山より放棄農地とか開発を中断した工業団地とかだだっ広い駐車場とかビルの屋上とか……もっと適地があるだろうと思う。
ただ、それでも山が何十ヘクタールかあったら、そのうちの1ヘクタールぐらいにソーラーソーラーパネルを設置するのはしょうがないと目をつぶろう。林業やったって利益はわずかだし、確実に収益を上げる山林の利用方法がほかに見当たらないのだから……。
 
だが、美観ということを考えないのだろうか。緑の山の景色の中に、いきなりテカテカ光るパネルを並べることに恥ずかしさを感じないのだろうか。
 
 
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写真は、大台町(旧宮川村)の道沿い。川の対岸をごっそり皆伐してしまった。こちらの用途はバイオマス発電だそうだ。
 
拡大してみると、再造林はしている。
 
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苗木にツリーシェルターまで被せているのは獣害対策か。ちゃんと育てるつもりがあるという点では、良心的な施業になるのだろうか。。。
 
しかし川に面したところだから、雨が降れば土砂が流れ込む可能性もあるし、何より景観が妙になってしまった。はっきり言って、みっともない。
 
宮川村では、ここ以外にも多くの道沿い皆伐を見かけた。意外と皆伐が多いのである。
 
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道路からの“皆伐展望台”。。。
 
 
それにしても道沿いはなあ。美観というものを考えないのか。できるだけ違和感がないように、人目を避けた場所を選定する配慮さえないようである。むしろ道に近ければ搬出が楽とか考えるのだろう。こうしたところに、日本人の節操のなさ、無頓着・無神経さを感じる。恐ろしいほど景観に興味を持っていない。
 
 
私の経験則だが、地域の景観に気を使っているところは、地域づくりもわりと進んでいる。逆に住民の美意識が弱い地域は、住民の底力というかソーシャルキャピタルも低くて荒んでいる気配がある。美しくない土地に人は頑張って住もうと思わないからね。

2017/09/07

バイオマス白書と生き残り予想

先日の伊勢参りに、吉野から大台町を抜けて伊勢に出る山の中のルートで、もっとも目に止まったのは、山崩れと皆伐地だったことは、当日のブログ にも少し紹介したが……。

実はもう一つ目についたのがソーラーパネルだった。どうやら伐採した木はバイオマス発電に、その跡地はソーラー……という流れでもできているのだろうか。ようするにバイオマス燃料か、ソーラーパネルがもっとも儲かる山の使い道なんだろう。FITの買取金額も、ソーラーよりバイオマスの方が高くなったから、今後もっと参入が増えるだろう。

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ちょうど、バイオマス白書2017(ダイジェスト版)が届いた。
 
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サイトには、バイオマス白書2017の本版 があるので、こちらを見るといい。
 
少し紹介すると、2017年2月時点のバイオマス発電の認定容量は約600万kwだそうである。(現在の発電量はその約半分。)
もっとも、このうち9割が一般木質バイオマスだという。未利用材を燃やすのだから地域振興! と錦の御旗を振りかざす時代はすぎてしまった。
 
一般木材と言っても、主要なのはヤシ殻など輸入燃料だろう。2016年のヤシ殻輸入量は、76,1万トンと前年比1,7倍に急増している。
これは、輸送にかかる環境負荷はもちろん、アブラヤシの栽培が熱帯雨林を破壊している点からも再生可能エネルギーの趣旨に反しているとされる。
 
ただ、私は別の点も考えている。ヤシ殻燃料ばかりに頼っていると、首根っこを輸出国に握られるということだ。現在は大半がインドネシアとマレーシアだが、日本がこれほど買い付ければ必ず価格改定を要求してくるだろう。大幅値上げも有り得る。あげくに燃料高でバイオマス発電所は立ち行かなくなるかも。
 
この白書でも、FITの切れる20年後に生き残れるのは3割程度と見ているようだ。これは楽観的な数字だが、それでも7割のバイオマス発電所は潰れるのである。。
 
その際に取りうる手立ては3つ。
 
一つ目は、国や地元自治体が補助金を出して赤字を補填、生き残りを狙う。
 
第2は、木材以外のものを燃やすこと。一番可能性の高いのは、産廃かな。。。いわばゴミ発電に切り換える。すでに多くの発電所がやっているから。それを未利用材と偽るから犯罪行為なのだが、素直に産廃燃やします、と言えばいいんじゃない?
 
そして最後。簡単だ。発電を止めるのである。発電施設は廃墟かくず鉄にする。それまでに投資額は回収しておく。これがもっとも賢いかも。
 
以前、某テレビ局が「バイオマス発電を扱いたい」と取材を申し込まれたので、こうしたことを説明したけど、結局、企画として成立しなかったのかなあ。。。

2017/08/21

宮域林、空白の700年

先日もお知らせしたが、今度伊勢神宮で講演を行う。そこで、式年遷宮の木材や宮域林について、にわか勉強している。
現在の遷宮に使われる木材はほとんど木曽から得ているが、前回ようやく宮域林からも使うようになったことはご存じだろう。これが700年ぶりと言われる。
 
古代は、神宮周辺の宮域林(神路山)や志摩の伊雑神戸(いざわかんべ)から用材を得ていたのだが、資源が尽きたため各地に移した。戦乱など治安の悪化で搬出できなくなったこともあるようだ。
 
では約700年間、宮域林はどうなっていたのか。その点がちょっと気になっていた。
 
まず驚くのが、鎌倉時代初期の東大寺の大仏殿の再建に使いたい、と重源上人に霊告があったという記録だ。仏教寺院の造営に神宮の木を使っている可能性があったこと。神仏混交が驚くほど進んでいたのである。
実際に伐りだしたという記録はないが、重源や東大寺の僧60人が伊勢参拝した記録はある。お礼参りだろうか。 
 
一方で平安時代から伊勢や志摩では塩の生産が盛んだったらしい。かなりの規模の製塩業が営まれていたのだが、その燃料に近隣の山の木を使っていた。宮域林も含まれる可能性は高いのではないか。
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また江戸時代には宮域林から村落の建築資材や薪炭を得ていたという。何度も禁令が出ているのは、幾度も破って採取されていたのだろう。
とくにお伊勢参りが流行ると、全国から押し寄せる参拝客の接待に莫大な燃料が必要となる。それらは全部薪炭だ。山が荒れるはずである……。
 
大正時代に、洪水対策も兼ねて、森林経営計画が作られた。これによって、ようやく遷宮用材の生産を再びできるようにしようという気運が高まったようだ。
 
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面白い。最初は豊富な木材資源があった山も、ついに伐り尽くして薪炭利用に切り替わり、近代に入って復活が図られるというのは、日本全体の森林史に通じるものを感じる。
 
そんな話も織りまぜようかなあ。
9月2日(土)13時~14時30分
伊勢神宮せんぐう館催事室(外宮)
演題  森林は街がつくった
講師  田中淳夫氏(森林ジャーナリスト)
内容  テーマ「森林を求め、林業を生み出したのは街の人である」
 
※ウェブサイトか電話・FAXでお申し込みください。 当日受付も可能
※聴講無料(別途入館料が必要・大人300円)
 
☎ 0596-22-6263
  

2017/08/19

森林本位制と木本位制

日経新聞に「ビットコインと森林本位制 」という記事が掲載されていた。

 
触りを紹介すると
 
「人類が直面する長期的難題すなわち地球温暖化問題を、新しい貨幣制度で解決できるのではないか、という可能性である。」
「ある「モノ」が貨幣としての価値を持てば、人々はそのモノを採掘または生産しようとする。その対象を、二酸化炭素を吸収する森林にする、というのが森林本位制のアイデアである。金本位制と同じように、森林を正貨として中央銀行が管理し、森林持ち分証券を貨幣として流通させる。」
「そのような世界では、人々は競って植林を行い、森林を増やそうとする。貨幣を得ようとする人々の利己的な利潤最大化行動が、地球環境を改善させる。こうした筋道は、経済学的にはほぼ自明と思われる。コロンブスの卵のようなものだ。人類を救う新しい貨幣システムを構想できないものだろうか。」
 
これを新たに登場したビットコインと照らし合わせることでCO2吸収源としての森林を通貨とする可能性を論じている。森林通貨を増やすことによってCO2削減に繋げる発想だ。
 
なんだ、私が10年も前に考えたことと同じではないか、と思った(笑)。
 
どこに書いたかな、と思って探すと、こちらにあった。古いブログである。2006年だ。
 
 
ここでは木材を通貨にしようというアイデアを披露している。ただ日経よりも地に足がついている(笑)のは、仮想通貨を中央銀行が管理する正貨にするのではなく、まずは地域通貨はして流通させるのだ。
しかも「生木券」と「材木券」の2種類に分ける。生木券は、木が太れば利子が生れるが、枯れたり災害で消えるリスクもある。材木券は加工によって価値が変わる変動相場(笑)。
 
コメント欄の応酬も面白いので読んでほしいが、最後に「森林本位制」にも言及している。
そこでは通貨というよりは「証券化」に触れている。 物理的な貨幣ではなく数値だけで動かすことも可能だから、ビットコインのようだ。当時はビットコインのよう仮想通貨は存在しなかったのだが。
 
ここまで行けば、森林証券の先物市場もほしい。相場師の介入で、森林の価値が乱高下するかもしれないが。ディリバティブのような複合商品をつくってリスクヘッジを図るのはどうだろう。しかしデイトレードは拒否したい。樹木は1日にして成らず、だから。
 
 
ちょっと真面目に考え直すと、重要なのは「森林-材木」に価値を置くことで、土地ではない点だ。つまり土地は所有しなくてもよいし、するにしても金額をずっと落とす。現在の10分の1くらいが妥当ではないかと思う。土地ではなく、上に生えている樹木プラス草本・野生鳥獣などが存在する森林という空間に価値を認める。
 
そうすると、森林土地を持っているだけでは価値がほとんどない。運用して価値をつくらねばならない。土地の価格が安ければ流動性が高まるから、やる気のある人が参入でき、資金も流れ込んでくるだろう。
志ある人は、荒れた森もしくは裸地を安く購入(借用でもよい)し、そこに豊かな森を作ることで価値を膨らませる。いわばベンチャー企業が、創業者等にストック・オプションで株を安く与え、業績を上げることで利益が膨らむというインセンティブを持つように。森林の蓄積価値で儲けるのである。創業者利益ならぬ造林者利益を確保する。
 
う~ん、ちょっと夢見るな。。。。

2017/07/02

アテの元祖

能登半島の旅で、なかなか見応えのあったものの一つが、これ。

 
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アテの元祖、という標識。もう少し見やすい位置からだと
 
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これは、泉家という一般の住宅敷地内の裏山にある。
石川県、とくに能登半島の林業と言えば、アテだろう。アテとは、ヒノキアスナロ、ヒバという方が通りがよいかもしれない。
ヒバと言えば、青森県(アオモリヒバともいうか)だが、石川県でも県木となっている。
 
その由来を調べると面白い。まず地元にあった天然のアテを造林した説と、津軽から持ち込んだ説の二つがある。が、後者が有力だ。
 
渡来伝説は、さらに二つある。そのうちの一つはまた二つに分かれる(~_~;)。
まず奥州の藤原氏の秀衡三男である泉三郎忠衡が、1189年に当地に赴任した際に、義経が生前愛でていたヒバの苗木を2本持ち込んだというもの。
 
一方で泉家19代之兵右衛が、ヒバの苗木5本を津軽から持ち帰ったという説もある。
これが写真の元祖アテだ。 
太いものは目回りが約4メートルあり、樹齢も400~700年と言われている。
 
あと一説は、加賀藩5代目藩主前田綱紀が、ヒバの苗木移出を禁じていた津軽へ藩士を農民に変装させてヒバ苗 を取寄せ、これを能登各郷に植林したというもの。
 
いずれにしても、江戸時代から能登ではアテを植林するようになったのである。
ただ、今回の旅でも目につくのはやはりスギ。アテはどこにでもある、とまでは言えないようだ。
 
アテは、初期生長が遅いので、戦後の造林品種としてはあまり使われなかったのだろうか。 
 
 
ただアテ(ヒバ)材は、非常に耐水性・耐腐性が強い。それはノキチオールを豊富に含んでいるからだ。そもそもヒノキチオールはヒノキにはほとんど含まれず、ヒバの精油なのだ。
 
アテ植林、今なら見直してもよいのではないか。
 
なぜなら、国が早生樹種の植林に力を入れているから。。。
常に国の政策の逆張りをしておいた方がよい(⌒ー⌒)。
 
ちょっと調べると初期生長は遅いと言っても、40年生でスギの70%ぐらいの材積だという。これならヒノキと比べてそんなに大きく劣らない。材質も(見映えでなく)香りで勝負すれば、十分太刀打ちできる。いや、ヒノキチオールを前面に出せば、高級材とすることも可能だ。アオモリヒバのまな板は超高級品(何万円!)もする。
 
もちろんヒバ、アテの一斉造林などする必要はない。
スギやヒノキ林の一部に植えておけばよい。耐陰性ゆえ、枯れる心配はない。
いっそ早生樹種の合間に混交させてもよいのではないか。20年で直径30センチ以上になるセンダンやコウヨウザンの合間にヒバを植えても育つだろう。そして早生樹を伐採後に大きく育てる。
 
林業は、森づくりは息の長い仕事だ。とにかく時間がかかる。現在の売れ筋や経済状況だけを見て行ったら、将来公開しかねない。常に国の政策の逆張りを加えて多様な森を。
 

2017/06/14

南郷檜がブランドの理由

熊本県高森町は、阿蘇地方に生えるヒノキを南郷檜(なんごうひ)としてブランド化を進めているそうだ。

 
南郷檜は、1955年にこの地方の在来品種として認定されたが、その特徴はなんと挿し木で育つこと。
 
通常、ヒノキは実生で育つ。というか、挿し木苗など聞いたことがない。それもそのはず、挿し木で苗をつくれるのは南郷檜だけなんだそうである。どちらもヒノキという同じ種なのに、挿し木できるものとできないものがあるのは、植物学的には何が違うのだろうね。
 
逆にスギは挿し木苗が当たり前で実生苗が少ないうえ、やたら品種が多い。ヒノキと対称的だ。
 
 
挿し木だと、基本的に色や木目などが均質な材質となる。挿し木苗がブランドになる理由というのは、ちょっと意外。なんとなく、個性がないようなイメージがあるうえ、同じ形質ゆえに病虫害や風害に一斉にやられる可能性がある。多様性がないというのは、私的には好みでない。
 
もっとも南郷檜は、梢側と根元の完満の差が小さく円柱・直材が採れるとか。こうした材としての利点と挿し木できる点が合わさった幸運?ゆえだろう。
今でも、一般ヒノキより2、3割高く取引されているという。
 
ただ植林記録などから南郷檜と認定できるのは260ヘクタールしかない……。これではブランド化しても供給がなあ。ほかにもないか探しているそうだが。
 
 
しかし、材質は遺伝子以上に育林環境が影響するからね。吉野杉は実生苗からつくるし、そもそも吉野杉という品種はない。それでも材質が一定程度似通っているのだから。
 
ブランドというのは、もっとイメージ戦略と最終商品の質に左右される。いっそのこと、幻のヒノキ品種として売り出す方がよいかも?

2017/06/09

南洋材の終焉?

マレーシア・サラワク州(ボルネオ島)は、木材の伐採税の税額を今の約60倍に引き上げると言い出した。
 
同州の伐採税は、土地によって木材1立方メートルにつき0,8リンギ~3リンギ。それを今年7月1日からすべての木材の伐採税を同50リンギとする。税額は30年間見直しされていなかったものを、いきなりの60倍である。
 
サラワクの森林の約3分の1の伐採権を所有する大手木材業者がつくるサラワク木材協会は増税の見直しを求めているが、州政府は、引き上げに応じない業者は取引を停止することを示唆しているらしい。
 
今回は本気のよう? もちろん、だから確実といえないのがこの世界なのだが、これまで幾度も繰り返してきた禁伐令とはちょっと違う雰囲気。
 
昨年のサラワク州の木材輸出で日本への輸出額は全体の38%に当たる。おそらく丸太だけでなく合板など日本向け製品についても価格は上がるだろう。
 
 
いよいよ最終局面かな、と思う。
 
私が40年近く前にボルネオ(サバ州)に行った際、現地で木材買付けを行っている日本の商社マンにお世話になったが、その際に聞いた話では、日本が南洋材を買い付けた最初は、フィリピンだったという。ルソン島、ミンダナオ島と時期が違うのだが、いずれも伐りすぎて山を草原にしてしまい、次がカリマンタン(インドネシア領ボルネオ)。そしてサバ州へと渡ってきたという。
 
フィリピンは素晴らしかったそうだ。森全体がフタバガキ科(ラワン)の大木に覆われていて伐り放題。それがなくなったので西カリマンタン、東カリマンタンへと行ったのだが、どんどんラワン(こちらではメランティなど)の密度は落ちてきた。材質もよくない。
 
今はサバ州で伐っているが、ここの資源量はさらに落ちる……。
 
そんな嘆き?を聞いたので、「隣のサラワク州はどうですか」と問いかけてみた。
 
「サラワク州の森なんて、ろくな木がない。あんな森から木材を求めないといけなくなったら、もう日本は終わりだね」
 
こんな返事が返ってきた。それから10年もしないうちに日本の木材商社はサラワクに押しかけるようになるのだが……。そして熱帯雨林伐採反対運動が巻き起こる。 
一方で、東南アジアから離れて、ニューギニアやソロモンへと木材を求める範囲は広がっていく……。
 
 
それから30年近く、日本は主にサラワクから南洋材(の製品)を輸入し続けている。もちろん量は減ったし、原木ではなく、合板なと現地で加工された製品に代わったが。
意外とサラワクにも木材資源はある? いや、昔なら相手にしなかった木材でも必要に迫られたのだろう。
 
だが、いよいよ終焉……?
南洋材は主に型枠合板などに使われるので無駄遣いと言われて批判も根強い。しかし南洋材という言葉からなんとなく漂う熱帯ジャングルの香り。そこにはちょっぴり懐かしい時代の思いも残している。
いよいよ消えて、南洋材という言葉も死語になるかもしれない。

2017/05/29

未来白書を望む

昨日は、森林・林業白書の中の一つのコラムだけを取り上げたが、もちろん白書全体に目を通している。
 
それなりに白書というのは情報源として重宝していて、統計的な数字を確認するほか全体像をつかむのによい。時には自分のアンテナからこぼれ落ちた各地の動きをキャッチすることもできる。
 
で思うのだが……白書というのは、過去から現代までしか記していないのだなあ。。。という当たり前のこと。
 
ちなみに「白書」ついてウィキペディアには「白書とは、日本の中央省庁の編集による刊行物のうち、政治社会経済の実態及び政府の施策の現状について国民に周知させることを主眼とするもの。」と説明している。あくまで「政府の施策の現状」を記すものであるわけだ。
 
そう言われたら身も蓋もないというか、反論しようがないのだが、読み手としては現在を理解するだけでなく、未来へ向けての指針を得ようという要望もあるのではないか。指針とは今後の施策という意味ではなく、現状が将来的にどちらに向かうと想定されるか、という点だ。
過去から現在まではこんな流れだが、未来はどちらの方向に向かうと予想できるか……そんな指針があれば、それに対して自分はどんな行動を取るか、と考えられる。
 
おそらく、予想をして外れたら困る、責任は誰が負うのか、当たっても無策を問われたらイヤ、なんだろうが、それを条件付きでもよいから示せないものか。
あるいは予想しなくてもよい。将来の変動要素を示すだけでも考えるヒントになる。
 
 
せっかくだから、例として木材需要について見てみよう。白書ではどのように記しているか。
 
(木材需要はほぼ横ばい)
我が国の木材需要量の推移をみると……(中略)……昭和62(1987)年以降は1億㎥程度で推移した。しかしながら、平成3(1991)年のバブル景気崩壊後の景気後退等により、平成8(1996)年以降は減少傾向となった。……(中略)……平成27(2015)年には、燃料材は木質バイオマス発電施設等での利用により、前年に比べて102万㎥増加し前年比35%増の396万㎥となった一方で、住宅需要の伸び悩み等から用材の需要量は166万㎥減少し前年比2%減の7,088万㎥となった。このことから、平成27(2015)年の木材の総需要量は、前年比0.8%減の7,516万㎥となった。
 
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このように、過去から現代、昨年までの動きを示しただけなのである。
 
しかし、知りたいのはグラフの右端以降ではないか。今後はどうなるの? 今年、来年と短期予想をしなくてもよい。5年、10年、20年と中長期で考える際のヒントがほしい。
 
たとえば製材の最大用途は住宅建材だが、今年は住宅着工件数は90万余。だが約10年後は50万件ぐらいという予想が民間に出ている。なかには将来30万件を切るという大手製材会社の社長の言葉もある。
 
一方、非住宅建築物はどこまで増えるか。期待のCLTは、どこまで普及するか。それなりに普及したとして、その素材の何分の1が国産材を使った品か。
 
為替レートの変動は、外材輸入に響くだけでなく、国産材輸出の多寡に響く。せっかく木材輸出に力を入れても円高になれば一気にしぼむだろう。もちろん円安なら反対に振れる。
 
増えるのはバイオマス発電燃料だけ? いやいや、これも燃料輸入が増えそうだ。さらにFITが終わりに近づけばどうなるか。。。
 
 
……こんなヒントを羅列しておいてくれると有り難い。いわば「未来の白書」である。
 
以前は、「森林・林業・木材産業の将来予測」の本が森林総合研究所編で出されていたのだが、最近は見かけませぬな。。。

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