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森と林業と動物の本

2026/07/31

インドネシア人材はフォレスター候補?

外国人就労と言えば、排外主義がはびこりだしているが、現実は増えている。

厚労省の統計によると、外国人労働者数は257万1037人。前年比26万8450人増加し、届出が義務化された平成19年以降、過去最多だ。

「外国人雇用状況」の届出状況まとめ
(令和7年10月末時点)

今や日本の産業を下支えしていると言われるほどだが、実は林業が、外国人からすると狙い目になっているみたいだ。実際に特定技能に林業、木材産業が加えられた。

なにより人手不足。そして外国に林業を学んできた人材が非常に多いこと。日本と大違いである。

なかでも増えることが予想されるのがインドネシア人だ。林業系大学が山ほどあるらしい。

特定技能ビザのインドネシア人「林業」人材の特徴や採用方法を徹底解説

Chatgptimageapr13202502_30_16am同サイトより

彼らにはムスリムが多いが、宗教的な習慣を除けば、東南アジア人として日本的な感性に近い。文化的・価値観などが日本に適応しやすいという。その点が、中近東や南アジア人と違う。

なかには「技・人・国」ビザを取得して日本に入ってきたインドネシア人もいる。主に大卒・大学院卒の高度技術、人文知識、国際業務をこなせる高度人材用の就労ビザである。もしかすると、林業の現場作業で働くのではなくて、森林マネジメントのできるフォレスター候補になるかもしれない。

まあ、インドネシアの熱帯雨林の知識だけでは困るが……。

さて、どうなるか。

2026/07/30

日本製紙と盗伐問題

熊本地震で甚大な被害を受けた日本製紙八代工場だが、もう一つ紹介しておきたいことがあった。

このところ、日本製紙は盗伐問題に力を入れていたのだ。7月16日には、宮崎盗伐被害者の会のメンバーから聞き取りを実施したほか、実際の盗伐に遭った山を3か所も視察している。今後は東京で聞き取りをするそうだ。担当者は、日本製紙株式会社原材料本部グリーン戦略推進部調査役だそうだから、本社レベルだろう。

宮崎県を中心として、盗伐された木材の行き場としては、バイオマス燃料が見込まれている。八代工場も、未利用材100%(ということは、全量国産か?)を使ったバイオマス発電を売り物にしている。

完成は2015年。5000kWの出力があり、年間で約7万tの木質バイオマスチップを燃料に使う。日本製紙グループが木材を調達している地元の木材チップ製造会社や、日本製紙子会社で木材関連の日本製紙木材の集荷網を生かし、九州で発生する間伐材を利用する。……と当時のニュースになっていた。年間7・1万トン消費するというが、集められていたのか?

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日本製紙より。

その燃料材をどこから調達しているか。九州各地からだとしても、日本製紙は宮崎県にも山林を所有しているが、そこからだけでは足りないだろう。市場もしくは相対取引で木材チップを仕入れているとすれば、そこに盗伐材が紛れ込む可能性はかなり高い。

本社のグリーン戦略からすれば、その疑いを潰すために動いていたのではないか。

すぐに盗伐材を止める手立てを打てたわけではないだろうが、バイオマス発電所がある八代工場の操業が止まっているのだから、燃料供給もストップしているだろう。盗伐業者は、持ち込み先を失ったのではないか。
工場の再稼働がいつになるかわからないが、その間に盗伐材をシャットアウトするシステムを作り上げてほしい。

なお製紙にも木材チップが使われるが、燃料チップとは似て非なるもので、非常に質やサイズが細かく決まっていて、転用は難しいと聞いている。燃料にできないのなら製紙用に、とは簡単ではないそうだ。

ただ……もう一つ情報が。

被害者の会に寄せられたメールだという。森林総合研究所OBからの恐るべき内容だ。

私の知る限り、50年も前から宮崎県の盗伐(森林窃盗)は有名だった。未だに解消されていないのは腹立しい限りです。私は1980年から1988年まで熊本勤務、宮崎県、鹿児島県でも森林の調査をしていました。知事絡みとのうわさは聞いていましたが、真偽を確かめようがありませんでした。同時期、他県ではそのような話は聞いていません。民事訴訟が成功することを願っています。

1980年代とは、バブル景気が始まって材価が上がりかけていた頃だ。その頃から盗伐が行われていた?
実は、私も現地で聞いた話がある。森林管理署の所長が変わると、盗伐業者が新所長に金を包んで持っていくというのだ。そしてこっそり国有林を伐らしてもらう……と。
もちろん裏を取れない情報なのだが、そんな噂話が出回っていたのである。

2026/06/15

今更のウッドショック分析

MIRASUSというサイトに、こんな記事があった。このサイトはSDGsを考えるメディアらしい。

ウッドショックとは?木材価格高騰の原因・住宅への影響と森林問題を解説

いまさら? と思わぬでもない。ここでいうウッドショックとは2020年ごろからアメリカで始まった木材価格の高騰で、翌年世界中、とくに日本に拡散し、22年には終息というか暴落した現象である。4年後に振り返って解析・解説しているなんて面白いじゃないか。過去の材価の変動現象を俯瞰して記録しておく価値はある。

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なぜ起きたのか引き金や、その後の展開、日本の林業構造などを解きあかすのは結構だ。結局、輸入材に頼るな、となるのだが、では国産材はよいのか、と言われると、

ウッドショックは「国産材を使おう」という流れを後押しするきっかけにもなりました。林野庁は国産材の活用推進を掲げ、2021〜2022年にかけて国産スギ・ヒノキの引き合いが増加したとされています。

国産材活用にはいくつかの利点があります。輸送距離が短いため輸送時のCO2排出が少ない、戦後植林された人工林の適切な間伐・利用が生態系の健全化につながる、地域林業・製材業の経済循環を生む——といった点です。

ただし、「国産材なら何でもサステナブル」とは言い切れません。伐採後の植林・再生が適切に行われているか、林道整備で生態系が分断されていないか、収穫量と成長量のバランスが取れているか——といった点を丁寧に確認する必要があります。木材の産地・管理方法・認証取得状況をセットで確認することが、より誠実な消費行動につながります。

としている。ちゃらっと国産材の問題点にも触れているが、「伐採後の植林・再生が適切に行われているか」と問えば、再造林率が3~4割なのだから6割以上が失格である。言い換えると国産材を使ってもSDGsにならないよというべきだろう。さらに違法伐採に関しても、海外の話のように他人事で済まさないでほしい。
結論としてはFSCなど森林認証材を使おう、となるのだが、日本の認証森林面積と認証材の少なさも、なぜなのか踏み込んでほしかった。

ただ記事には「ウッドショックをきっかけに、FSC(森林管理協議会)やPEFC(欧州森林認証プログラム)といった森林認証制度への関心が高まりました。」とある。ホント? むしろ木材を手に入れるためヤバいものにも手を出したのではないか。認証材なんて選ぶ余裕はなかった。また目にできた認証材は、ほぼ外材だろう。

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そんな日に宮崎県のスギ生産量が35年連続日本一の報道がなされた。

農林水産省が令和8年6月12日に発表した「令和7年木材統計」によると、同年の本県のスギ素材(丸太)生産量は、167万立方メートルで、平成3年以降35年連続して日本一となりました。なお、本県の全体の素材(丸太)生産量は、182万9千立方メートルで、北海道に次いで全国第2位となっています。

なんか、笑えるなあ。この日本一を維持するためにやっていることが盗伐多発の原因だろうに。森林認証の少なさも指摘してほしい。

 

 

2026/06/12

リフォームで感じたAI時代の労働

我が家のキッチンをリフォームした。

きっかけは、蛇口の不都合とコンロの老朽化なのだが、それを交換するには……と思ってホームセンターで各設備を見ているうちに、「いっそ、流しも含めて交換するか!」と思って見積もりを頼んだ。

結果は当方の念頭にあった金額を大きく上回る……断念しかけたのだが「これはイラン戦争の影響を受ける前の価格です。昨年からの人件費などの値上がりで……」と言われた。今後下がることはなく、上昇一方かと観念して頼むことにした。今なら、価格を動かさないと言われたから。なんかセールストークにハマった? まあ、いい。実際、ナフサ危機で、その後トイレやバスは受注そのものがストップされ始めたし。

ただ、工事は3日、もしかして4日かかると言われた。なんでも給排水、ガス、さらに電気関係の工事が絡んでくるらしい。さまざまな業者が入り交じるのだ。その間、自炊どころかお湯も沸かせないか。ポットと電子レンジを使うしかない。

ところが、工事担当者が来ると、「2日でやります」と言われた。自信ありげ。

そして当日、なんと1日で仕上げてしまった。

なぜ、早くできたの? と聞くと「おれ、水道も電気も一応全部資格持っているので、一気にできるんですよ」

おー。すごい。ブルーカラーの鏡。無駄なく動けるので時間も短縮できれば、収入も1社(一人)に集約できる。思わず「お見事」と拍手したくなった。

今、AI化が進むにつれて、ホワイトカラー、つまり事務職の失業が指摘されている。実際、海外では大卒の求人が急減したそうだ。一方で、現場でからだを動かす技術者の需要が伸び、収入も爆上がりしていると聞く。
単純労働ならばロボットに置き換わるだろうが、熟練技術労働までロボットに任せられるには、まだ十数年かかるはずだ。AIと根本的な機能が違う。現場の多様性が桁違いだから。手に技術を持つ者の強みが今後伸びていくだろう。

さて、これを林業界に当てはめると、将来が見えてくる。

林業界の事務仕事は、どんどん消えていくのではないか。むしろAIに情報を提供するための現場調査の人間が必要となる。そして植林から伐採までの仕事も自動化はまだまだ先で、熟練ブルーカラーは生き残る。AIに使われるか、使いこなすか。

今後の待遇・収益面からすると、森林組合の事務職が優遇されている状況は崩れていくだろう。現場の能力が重視される。千変万化の山の条件に対応しつつ、知識を持って最適解を見つけられる人材が求められる。ただ伐採とか集材に特化したような単純現場労働では、遠からずダメになる。ようするに考える力を持たねばならないだろう。これぞ、本当のフォレスター?

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林業も、実はデスクワークが多い……。

2026/05/25

すき間バイトで林業?

こんなテレビ宮崎発のニュース。

林業の人手不足解消へ すき間バイトのタイミーがマッチング説明会

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すき間バイトで林業 (@_@) 謎だ。

初心者でも林業に関われるようアルバイトのマッチングについて説明会が開かれました。
説明会は、宮崎県美郷町で林業を行う「HUTTE」とアルバイトのプラットフォーム最大手「タイミー」が連携して開き、県職員や林業従事者など約20人が参加しました。
林業は伐採など危険な作業や植林など法規制のある作業があり働き手が集まらず、造林が進まない現状があります。
説明会では、初心者でもできる運搬作業などのアルバイトの募集が提案されました。
正社員での就業につなげたいという狙いもあります。

初心者でもできる運搬作業って、何だろう。軽トラなどで作業道を走って資材の運搬? それとも植林用の苗など荷を背負って山の現場まで登るとか。植林そのものも含むかもしれないし、下草刈りもできるか。しかし、作業道を馴れない人が車で走るのは怖いし、刈り払い機も使えるのか。手鎌でやるかな。

山の現場だとタイミーだからと言っても1日1時間2時間というわけにはいかないだろう。ガッツリ丸1日か。体力勝負でもある。

もしかして、宮崎県民はみんな林業を経験したことがあって、たいてい経験者だから大丈夫だとか(偏見^^;)。

人手不足の時代、現場が変わらなくてはならない。従来通りでは人が来ないし、仮に待遇をよくしても集まらない。外国人も敬遠する。まずは仕事内容の見直しからだろう。

2026/04/21

書店、ゴルフ場、そして林業の宗教改革

日経ビジネス電子版に『書店再興 まちの本屋さんのゲームチェンジのために』という記事が連載されていた。

これは、近頃出版された同名の書籍の内容を紹介するものだが、その中で作家・今村翔吾さんへのインタビューがある。
本屋さんの閉店が百貨店の閉店よりシンパシーを呼ぶのはなぜ?

そこで私が、これだ!と思った指摘がある。

「書店が大変だ、大変だ」という割には、関係者の間で危機感を共有する意識は薄く「本」という商材の不思議。商品を売る“商い”なのに、数字ではなく、感情に置き換わっている。「本は文化だ」というドグマが、商売の周辺に色濃くある書店の存在意義を文化、思想、精神性に置いてしまうと、限界を超えてムリをしてしまう。

書店の現場がどんなに疲弊しても、書店の数が減っても、現状をきっぱり変えていこうという流れにならない。
書店業界には本を信じて、重労働にいそしむ人たちがいる。本に救いを求めて、ひたむきな信仰をささげる人がいる。一方で既存のシステムの中で、おいしい思いをしている昔の貴族みたいな人がいる。

この業界は外から見るには美しすぎる。
百貨店がどんどん店じまいをしています。書店に比べると、それらの市場規模やインパクトのほうがはるかに大きい。でも、まちの書店がつぶれるほうが、より強いシンパシーを呼んでいる。

この業界って、資本主義の中にいることは確かなのに、その原理は資本主義じゃなくて、宗教的感情だった。

書店がどんどん潰れていく現状は、私にとっても他人事ではない。ただ、それは私自身が本を出版している立場だからである。正直、リアル書店がなくなっても、Amazonなど電子書店がある。
ところがリアル書店の関係者よりも、むしろ外野から「(書店)文化が滅ぼすな」という声が大きい。

書店を何とかしようと「ルネサンス」のような大胆な改革を行おうとすると、それ以前に「書店は神聖ナノダ」という宗教的な思いが顔を出す。合理的な判断として書店の数を整理し、システムを再編する、という正論が成り立たない。さらに流通や価格設定、販売方法などを変えたがらないのだ。

これを正すためには「宗教改革」が必要ではないか……というわけである。

書店、ゴルフ場、林業。いずれも同じ構造だと感じた。それは「ルネサンスより前に宗教改革が必要だ」という点である。

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ゴルフ場で行う林業

私は、日本の養蚕について取材したことがある。(森林林業ばかりじゃないのだよ。)
またゴルフ場業界の取材もしたことがある。(森林林業ばかりじゃないのだよ。)

そこで感じたこと。戦前から戦後すぐまで、日本の養蚕・生糸は世界を席巻していた。それなのに急に崩壊して消えていく。しかし、悲しんだのは業界人だけ。だから大胆に養蚕業界の再編を政府は行えた。

それに比べて林業は、やたら部外者、業界人以外の声が大きい。林業を守れ、という声が環境や地方社会を守るために必要という視点から論じられる。政財界からも鳴り響く。肝心の林業家よりも。すると、構造改革ができない。

私に言わせれば、日本全国どこへでも移動する素材生産業とか植林専門会社をつくったらどうか。森林組合などを解体して民営化してもよい。その上で造林から伐採、そして最終商品まで加工生産し、その利益を大所高所から再配分するコングロマリット企業とかをつくれないか、と思うのだが。

ゴルフ業界では、バブル崩壊以降、日本にゴルフ場が多すぎて供給過多だから経営が立ち行かない。ざっと500は閉鎖すべきだという指摘がある。実際、赤字のゴルフ場は多いののだが、なぜか潰れない。みんな必死で耐えている。そこには「ゴルフが好きで、ゴルフ場を持つことは(財界人の)ステータスだ」という感情が横たわっている。合理的判断以前に、ゴルフ場を潰したくないのである。

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養蚕業には、「伝統文化を守れ」というドグマ、宗教的熱情はなかった。だから消えていった。悲しみの声もなかった。ほかの産業が勃興して儲かったからだ。ゴルフ場も、オーナーが身銭切って守りたいのだから好きにすればよい。

しかし書店も、林業も、まずは外野の宗教改革が必要となる。

既存の業界を守ろうとするから改革ができない。私は本を個人に届けるシステムを守る、多様な生態系と生物を保つ森林かから木材を調達する、という原則されあればよいと思う。新刊も古書もレンタルも、そしてネットも、みんな一緒くたに扱う。森林を守るためには林業も地域社会さえなくてもよい。木造建築にこだわる必要もない。それぐらいの宗教改革の覚悟が必要なのではないか。

 

2026/04/02

紙か髪か、石油か木材か

トランプがイラン相手に馬鹿なこと……を通り越して下劣、暗愚なことを始めたおかげでホルムズ海峡が封鎖され、石油価格が高騰している。それに右往左往する世界。

そんなときに頭に浮かんだのが、小松左京の『紙か髪か』という短編小説である。

ある日、いきなり紙が世界から消えるのだ。書類はもちろん、電車の切符も紙幣も、みんな消える。いやテレビの音声が出なくなったと思えば、マイクは紙質だった。そのほか、意外な品、部品が紙製であり、世界中は大パニックになる。

1960年代の作品だ。つまり、まだ30代の頃だろう。

Sfmagazine1963january6 執筆当時の小松左京

石油が高騰すれば、ガソリン代が上がる。灯油も軽油も上がるだろう。そして、プラスチック製品も作れなくなる……ここまでは誰でも想像したはずだ。が、農業資材や肥料が高騰して農業が行き詰まる、医薬品、医療用、例えば手袋もなくなる、接着剤だって品不足。輸送費の値上がりは全商品に波及し、食品や建設資材も爆上がりする。銭湯が休業する。意外な品がプラスチック製で、石油に依存していた。

そして木材も。新たなウッドショックを心配する声も高まっている。

前回のコロナ禍におけるウッドショックは生産が滞り需給バランスが狂ったためだったが、今度は伐採・搬出などの燃料費が高まるし、製材も困る。輸入木材の輸送費も上がるだろう。いや、欧州材の海上輸送ルートはスエズ運河を通るはずで、不安定化が進めば、輸入できなくなる。今や欧州材抜きでは、日本の建築現場は立ち行かなくなるだろう。

そして接着剤がなくなれば合板、ボードだって作れなくなる。CLTだって。もともと建築費は高騰していたが、いよいよ暴騰するだろう。

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林野庁は、例によって「国産材シフトを」と言っているが、コロナ禍ウッドショック明けのことを思い出してほしい。

値上がりした分の利益は、木材市場や建築資材メーカー、つまり流通の川中や川下がごっそり取ってしまい、川上の山元に還元されなかったと林業団体が指摘している。それでも増産するか?

その後、木材価格は下落し、需要はあっさり外材にもどったから、木材を増産した頃には買手がつかず、安値で買いたたかれる……という目にあっている。業界が国産材シフトを潰したのである。

本当は、石油を高値のまま放置した方が、脱炭素、脱プラスチックを進めるチャンスかもしれないのだけどね。

ちなみに『紙か髪か』で紙が消えた理由は、火星からもたらされたウイルスが変異して紙を食べたからだった。

そこで、紙製品にある種の薬品を添付することで紙を守ることに成功。ところが、その薬品によって、ウイルスはまた変異して、次は髪を食べだした……というオチであった。全人類は、禿げ頭になるのである。

さて、今回の石油ショックと、それに連なる様々な商品供給不安(もちろん木材を含む)は、事態終了後に何をもたらすだろうか。木造壊滅、土壁復活…とか。

禿げ頭くらいならいいかもね。

2026/03/07

「木材活用」を論じる場の不可解

このところ、様々なメディア(紙に電波にシンポジウムなどイベント、そしてネット……)で「木材活用」が謳われている。ようするに木材をもっと使おう、木造建築を広めよう、というキャンペーンのようだ。それに対する違和感が拭えない。

たとえば、これ。2025年12月12日開催の「木材活用フォーラム2025~発注者は木造建築に何を求めているのか~」の一部である。

木材活用の普及はどうすれば加速するか

木造建築の正しい知識をどう伝えるか

日経クロステックという雑誌?記事で、フォーラムで話された座談会を取り上げている。そこに出席しているのは……。

CSRデザイン環境投資顧問代表取締役社長 堀江 隆一氏
三菱地所関連事業推進部木造木質化事業推進室統括 兼 三菱地所設計R&D推進部木質建築ラボ チーフエンジニア 広島大学客員准教授 建築材料学研究室所属 海老澤 渉氏
林野庁木材産業課課長 福田 淳氏
芝浦工業大学建築学部教授、ビルディングランドスケープ 代表 山代 悟氏
日本福祉大学工学部工学科建築学専修准教授 坂口 大史氏
シェルター常務取締役 安達 広幸氏
モデレーター:日経BP 総合研究所 小原 隆

あまりに長い肩書羅列はともかく、こうした集まりに登場するのは、いずれも経済、木材、建築畑の人ばかり。林野庁の人は、各部門を渡り歩いているかと思うが、今は木材産業課であり、森林部門ではない。

木材を活かしたり欠点を直したりする建築・素材加工技術だとか、環境に優しいとか、経済的に有利だとか語るのは、まあいい。が、その木材を生産する場である森林のことを語る人、その調達のための作業である林業現場を知っている人の姿が見えない。

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揚げ足取りをしたくはないが、森林が木材になる過程を把握していないのではないか、と思わせる発言も多数だ。

木を伐れば森林を破壊してしまうこと、そこで働く人の安全や健康、そして林業経営の問題点……そうしたことを念頭にした発言はほとんど見られない。それはソッチの分野で上手くやってくれ、としか考えていないのだろう。

しかも、そこでは論理重視だ。これこれの加工をすれば耐震・耐火にも強くなりますよ、価格も抑えられますよ……という話は出るが、人の心はそれだけでは動かない。

たくさん買ってやるから木を伐って持ってこい。こう加工したら高くなるから、それに合わせて木を伐れ。これこれこのように伐れば環境破壊にならない。そんなことを言われたら、つむじ曲げて「出荷してやるもんか」と応える林業家もいるだろう。

購入が安く済んでもイヤなものはイヤである。機能が高くても興味ないものはない。可愛いく感じると、欠陥があってもよい……。
面倒なことはしたくない。新しい方式で行うのは頭を使うからやりたくない。上から目線で言われたからやらない。

シャーデンフロイデ……「他人の不幸は蜜の味」のように、他人が失敗して苦しむのを喜ぶ気持ちだってある。

そんな不都合な点は、座談会で話していても、絶対に指摘しない(⌒ー⌒)。

 

2026/02/21

立木価格と製材価格の移り変わり

以前も紹介した、今年1月に開かれた小坂林野庁長官の講演データから、一つを抜き出してみる。

サステナブルな「森の国・木の街」の実現を目指して
林野庁長官 小坂 善太郎

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面白いよねえ。スギの立木価格も、丸太価格も下がり続けているのに、製材価格は上がっている。

この現象は、かなり前から指摘されている。私も『絶望の林業』に記した。でも2024年になっても解消される動きはなさそうだ。

なぜ製材価格は上がるのか。これは、いくらでも説明できる。諸物価、コストも上がっているし、木材の歩留りが落ちれば製材業者は減収になるから売れる部分に上乗せして上げる。別に否定しようとも思わない。が、問題は、山元が上げるどころか下がっている点だ。同じ理屈で上げたいはずなのに上げられない理由は何か。これこそ、適正な商取引とは言えまい。

そのあたりを経済学者はどのように分析しているのだろうか。

細かい分析は木材流通の専門家に任せるが、生産者より消費者の方が強いという傾向は世界的に広まっている。

いわゆるバイイングパワーだ。消費力が生産力より強くなっている。買手市場なのだ。アメリカが関税をかけると世界中がオタオタするのも、アメリカの消費力が大きいからだろう。ヨーロッパがEUDRで森林破壊をして生産したものは買わないと言えば、生産している発展途上国は追い詰められる。

その流れから反しているのは、中国のレアメタルぐらいか。生産国が「売らないぞ」と言えば消費国がオタオタする。

でも、これって代替商品があるかないかが決め手だ。中国産レアメタルの代替はないが、木材はあるのだ。なくてもいいし、世界的には生産量がだぶついているから、「高けりゃ買わねえよ」と言えるのだ。そして山元はしぶしぶ値を下げる。(アメリカは代替商品を国内に求めているが、アメリカの生産力は落ちて穴埋めできないから、逆に苦しんでいる。関税払うのは国内だ。笑える。)

ちなみに、話題の食品の消費税減税だが、これって政策的に価格を下げて買いやすくしようということだから、生産者にしわ寄せが行きそうだ。でも生産者は消費税分を下げることにはならず、実質値上げしてくるだろう。8%下げるつもりでも、おそらく2~3%くらいしか下がらないように思える。これで財政を悪化させて円安が進行すれば、値上がりになるかもなあ。

 

2026/02/12

皆伐再造林は「ちょい悪」

今どきの林業界で話題となるのは、再造林である。

林野庁が再造林率を3~4割と発表したのが大きかったのか(この数値にはいくらか疑問もあるのだが、今は置いておく)、どこも再造林を進めようという合唱が始まった。再造林を進めることこそ、林業界の善となった。率を上げることが喫緊の目標であり、100%達成すれば自慢だ。

が、こんなものクソだ、と思う。100%再造林するのが最低限なのだから。仮に天然更新だ、と言うのなら雑木林でもいいから成林していることを示さねばならない。まさにデューデリジェンスが欠けている。

皆伐して放置するのが「悪」なら、再造林は「ちょい悪」ぐらいか。少なくても「普通」ではなく、「ちょい良し」でも「良し」でもない。ましてや「秀」も「優」でもない。でも100%再生していないのなら「ちょい悪」の中でも「悪」よりである。

いわば林業界の成績表を5段階で示すのなら下から2つ目。1では落第だけど、2でも相当レベル低いでしょ。なんか底辺高校の生徒が、オレは九九を言えるようになったんだせと自慢しているような感じだ。恥じらいがない。

たとえば通常スギ林に生物多様性があるとは言わないが、林齢80年、100年、できれば200年ぐらいになれば生物多様性を含む公益的機能は高くなる。そうすれば「普通」ぐらいになるのではないか。

保持林業や択伐・傘伐林業で「ちょい良し」かな。森を傷めず抜き伐りして木材を収穫するような林業で「良し」。「秀」や「優」の林業とは何かは考えていただきたい。林業することで、生物多様性が増していく状態の施業を。

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そもそも皆伐とは森林破壊である。ましてや森林の公益的機能を主張するなら、量的な再生だけでなく、質的、たとえば生物多様性や保水力、土砂流出防止機能……その他も回復させねばならない。が、40年~60年で伐るということは、それらの機能を落とすということだ。

林野庁長官が1月に講演したデータの中に、再造林について触れている部分がある。

サステナブルな「森の国・木の街」の実現を目指して

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面白いから、目を通してみて。

 

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