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本の紹介

林業・林産業

2019/04/11

なぜか、曲者の奈良みんぱく

散髪をしてさっぱり後、どこかドライブに行こうかと車を走らせたものの目的地は定まらず。

で、発作的に生駒と奈良の間に立ちふさがる矢田丘陵への細い道に入った。そして「こどもの森」を超えてさらに細い道へ……。

とにかく狭い。草が車の横面をなでる。轍があるから行けるだろう、という甘い観測だったのだが、両側に側溝があったり崖が迫って土砂が崩れていたり。しかも斜度10度を超えるような急坂。ローギアでもズルズル滑る。これはどう考えても軽トラしか入れない。もはや後戻りはできず、真剣にタイヤを踏み外さないよう走るしかない。

ようやく山を抜けて田園風景が広がった時は心底ホッとした。出たのは、邪馬台国推定地でもある大和郡山市であった。

そしてたどり着いたのは奈良県立大和民俗公園。ここは、奈良各地の古民家が移築されていたりして、わりと私のお気に入り。公園内も変化に富んでいて散歩しても楽しめる。

が、園内の民俗博物館(略してみんぱく。大阪の国立民族学博物館ではなく、流行りの民泊でもない。)は曲者だ。古色蒼然というか、なんともミョーな雰囲気を漂わせているのだ。

しかし、まあ。来てしまったのだから入ってみよう。久しぶりだし。ちょうど「桶と篭展」を開いているというので興味も湧いた。

受付のじいさんは居眠りしていた(笑)。曲者揃いだ。それでも200円払って入る。

いくら見ても「桶と篭展」が見当たらない……と思ったら、なんと一つの陳列ケースだけであった。これだけで特別展扱いするなよ。曲者だなあ。。。(泣)。

だが、林業展示があった。

Dsc01515

なんと江戸、明治期の木材運搬風景。担いで出す「肩上げ持ち出し」の実演? こんなマイナーな技を展示するなんて。曲者だ。

全体に古ぼけているのだが、何か癖があるのだなあ。ホコリをかぶっているように見せて、意外と目を見張る展示物が多い。植林用スギとヒノキの苗の見本なんて、展示するかあ?   また吉野林業年表の緻密なこと。相当調べたのだろう。

なんだか曲者に毒気を抜かれた気分になったが、200円分は見たような気分になる。

で、園内を散策する。移築古民家も見て回る。残念ながら修復中が多いのだが、逆に茅葺き屋根の積み方を知ることもできる。

そしてあったのが吉野の家。

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山の集落で農林業に従事していた家という。実際に十津川の中でももっとも奥地の集落の家だったらしい。

期せずして林業に触れた散髪帰りであった。。。もちろん帰りはまっとうな道を走りましたよ。

 

2019/04/01

サクラ林業実践地を発見!

先日、Yahoo!ニュースに書いた「サクラの寿命は?サクラ林業のススメ」の記事、後半のサクラ林業というのは、戯れ言というか思いつきのレベルにすぎなかったわけだが、なんと、すでに実践されている場を見つけたよ(^_^) 。

 

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これは、先日訪れた十津川村。隠れたところに広大な皆伐地を見つけてしまったので、分け入った。おそらく15~20ヘクタールはあっただろう。なんともはや、と思わせたのだが、一応は再造林されている。ただよく見ると、上部に植えられているのは広葉樹、それもサクラではないか。

なんと、十津川村はサクラ林業を実践している先進地だったのだ!

というのは、むろん皮肉。再造林の樹種にスギやヒノキばかりではまずいと思ったのかどうか、広葉樹も植えようと思ったのだろう。そして、苗が手に入ったのがサクラだった……というところてはないかな。品種までわからないがソメイヨシノだったらどうしよう。全体の5分の1ぐらいが桜だとすると、3~4ヘクタールのサクラ林が誕生することになる。ただし疎植なので、本数は少なめだろう。ヘクタール1000本以下。

もし順調に育てば、数年後には人知れぬ場所にサクラの名所が誕生する。そして30年後ぐらいにはサクラ材を収穫できるかもしれない。順調に育てば、だが。

花見は、里から見上げて行うのかなあ。

2019/03/31

労災隠しと永田林業の記憶

林業事故隠し事件が発覚。引用すると、

鹿児島・川内労働基準監督署は、労働者が4日以上休業する労働災害の報告を怠ったとして、㈱永田林業(鹿児島県出水市)と同社代表取締役を労働安全衛生法第100条(報告等)違反の疑いで鹿児島地検に書類送検した。平成28年11月、同社労働者5人が負傷する労働災害が発生している。
労災は、出水市内の立木伐採現場で発生した。同社労働者7人が林業用機械であるフォワーダに乗り込んで作業をしていたところ、路肩から転落。荷台に乗っていた5人が負傷し、うち2人が打撲などで最長14日休業した。運転者と荷台に乗っていたうちの1人は無傷だった。
同社は、労災が発覚すると今後、伐採業務を発注者から受注できなくなると考え、労働者死傷病報告を提出しなかった。

 

実は、この株式会社永田林業の社長を私は知らないわけじゃない。と言っても今から10年くらい前に数度か会った程度だが。

彼は24歳で起業したという。それまで何をしていたかというと、「やんちゃしてまして」。
これは、暴走族の頭をやっていたことを意味する(笑)。でも、いつまでもやっていられないと目覚めたのが20歳くらいだったかな。それで林業だ、と狙いを定めて熊本の比較的大きな素材生産業者のところに修行に入った。

そして独立。幸い銀行の信用を得て、融資を取り付けて高性能林業機械を導入、派手に展開していた。当時、機械数は鹿児島一の規模ではなかったか。族出身者というのは、だいたいメカに強いというか、メカが好きな人材が豊富なので、林業機械を扱うのは得意だったのだろう。山仕事をメカがすきだからやるという新しいパターンのような気がした。仕事は国有林の入札を落とすのが中心。その入札の事前協議?の話も聞いたりしていたが。。。

社長は、鹿児島大学の社会人向け講座に通っており、非常に熱心に林業の勉強をしていた。私もそこで出会ったのだから、ある意味“同期”ということになるかな? 私自身は彼に好感を抱いた。新時代の林業家のように感じたのだ。だから、今回の事故というか事件は残念。


規模を大きくすれば仕事量も増やさないといけない。鹿児島は国有林が多いから、労災で入札に参加できなくなっては死活問題と思ったのだろう。しかし違法行為である。そもそもフォワーダの荷台に運転者以外に6人も乗っているというがおかしい。現場は規律が緩んでいたのではないか。

同時に、その怪我をした社員の処置はどうしたのか気になる。14日間も休業したというのはかなりの大怪我だろう。それに労災を適用しないのなら、治療費は誰が負担したのか。

 

こうした労災逃れの事故隠し、決して今回が例外とは思っていない。むしろ氷山の一角だ。以前も、被災者(移住者)が申請しようとしたら、「こんなものを申請するのは男じゃない」という理由?で拒否した組合長がいたのかで裁判にもなったのだっけ。ようは労災申請なんて前例はなく、事故を起こすのは恥ずかしいことだから隠せという意識が当たり前のなのだろう。

 

そういえば、日系ブラジル人が働く林業現場では、ブラジル人は国民年金保険や健康保険、失業保険に入っていないという。短期間の出稼ぎ感覚なので、そんなもらえるかどうかわからない保険に金を払いたくないのだろう。さっさと稼いで帰国するつもりだから。ただ、労働災害保険だけは入っていた。やはり現場で事故を起こした場合の心配はしていたようだ。それだけ必需なのに、肝心の怪我のときに適用しないなんて……。

 

2019/03/24

富士山から茶筒、そしてペンシルへ

先日の新聞に、某経済人のインタビューが載っていた。その人物、一応は勝ち組の小売り店経営者だと言ってよいだろう。
   
その自慢話は別として、消費動向の変化を語っている。
   
   
・昭和時代は、徐々に売れ行きが伸びて、やがてピークに達してゆるやかに下降していく「富士山型」だった。
・平成に入ると、急に人気が出てしばらくしたら急に売れなくなる「茶筒型」に変化した。
・それが現在の平成の終わりになると、「ペンシル型」になっている。売れる期間が短くすぐに落ちる。
    
   
……そんな分析だったたしかにそう思わせる傾向はある。裾野がないから、これから何が売れるのか読むのが極めて難しい分析しているうちに下降線をたどってしまう。もちろんネットの声、とくにSNSの動きを注意深く見て速攻で“予言”する人もいるのだが、外れることも多い。ペンシルの高さはバラバラで、高く売れる品は少ないからだ。もっとも外れてもすぐ次の流行に移っているから、数打ちゃ当たるとテキトーな予言を繰り返すのである。
  
そんな時代に生き残るのはどんな形態か。
   
インタビューでは「自社開発製品」だと言っている。ニトリやユニクロ、セブンイレブンのように。だが、これらの会社は自分で作っているのではなく、企画するだけで製造は下請けだ。企画が外れてもすぐ別の企画に変えるだけで、その際の損失・リスクは下請けに負わせるんだろうな。自身は販売のプラットフォームを持っているから、売る商品はどんどん変えてよいのだ。
   
この意見に完全に同意するわけではないが、仮に木材商品を当てはめるとどうなるか。林業なんて富士山どころかキラウエア火山(笑)。裾野ばかりのだらだら山だ。たまに噴火するように、100年に一度ぐらいは材価高騰の時代があるかもしれないが……。
ともあれ、山元で「売れる」ことを考えて木を育てるなんてことがいかにあり得ないか。良材をつくれば売れる、とバカの一つ覚えのように言っている人もいるのだが、その良材って何よ。売れるって何よ。50年先の売れ先を誰が予言しているのよ。
結局は、生樹木を物として健全に育てるしかないのではないか。その素材をいかに商品にするのか企画を考えるのは林業家ではなく別人だ。
   
   
では、木材商品の企画は誰がしているのか。いないのだ。
    
富士山型やキラウエア山型なら、林業家自身、あるいはその周辺の業界が商品開発も担っていたんだろう。だが、もはや不可能だ。
瞬時に判断して次々と当たるも八卦気分で商品開発をして、それに応える林業地はないか。と思って考えたが、ない(笑)。
  
なぜなら木材を売るプラットフォームもないから。それなのに企画開発してもダメだわ。製作しても陳列するところがない。
  
いっそのこと、木材商品ならなんでも扱うホームセンターのような存在をつくれないだろうか。DIY用の道具とともに。今なら店舗がなくてもネットと倉庫、輸送網を握ればなんとかなる。顧客は個人だけでなく卸しも行う。日曜大工の素材から家具や数寄屋建築の部材まで揃えるような。
  
   
とまあ、そんな夢を描いてみたが、これまだ無理だろうなあ。
    
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木粉でつくったクワガタ。くだらないようだが、こんな商品、好き(笑)。

2019/03/21

アトムか、アトウンか

ココログ異変、ようやく収束したようだが、まだ完全に使いこなせるようになっていない。今も一度書いたものを消してしまった……。

    

ちなみに2日前に書こうとしていたものは、今は書けない。私のブログは延髄反射で書いているとよく言っているが、思いついたら瞬発力で仕上げるものだ。時間が経つと消える(^^;)。たまに寝かせて書く場合もあるが、それは当初の思いつきとは別のものに仕上がるのである。

  

ともあれ休日だから、ちと毛色の違ったものを。
  
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毎日新聞奈良県版の私の連載記事「大和森林物語」(19日掲載)。以前の毎日新聞は登録すれば無料で読めたが、最近は有料化してしまったらしい。そこで、たまにはブログで紹介しよう、無料で(^o^)。
これは「森林研究最前線」というシリーズで林業ロボットを取り上げたもの。開発しているのは、奈良市にある株式会社ATOUN。アトウンと読む。あ・うんの呼吸で、人と共生するロボットを作るという理念である。 
  
我々世代がロボットというと、手塚治虫の「アトム」だが、このロボットは、人間よりはるかに強い力と知識を持ち、とくにアトムは人と同じ感情まで持つ。そして人の代わりに働いてくれる、というコンセプトだ。
ところがアトウンのロボットは、人の能力をアシストして高めることをめざしている。物を持ち上げたり、歩行を補助したりするのだ。これは人体に装着するので「パワードウェア」と呼ぶが、それとは別に乗用タイプも開発中。これは人が操縦することでロボットが物を持ち歩く。こちらはパワードスーツ。
    
人か操縦するロボットと言えば、映画「エイリアン2」や「アバター」に登場した工作機械を思い出す。ロボットアニメ的には、永井豪の「マジンガーZ」に始まり、「ガンダム」「エヴェンゲリオン」の系譜だろう。
  
Nio
コードネームNIO
    
   
さて、考えてみた。林業的にはどんなロボットがよいのだろう。
無人で人の代わりにすべての施業をやってくれるようなアトム型ロボットか。
すでにある高性能林業機械のように人が操縦して、伐採から搬出まで高効率でこなせるロボットか。
それとも、重量物を持ったり山登りのような人の行動をアシストして山の作業を助けてくれるロボットか。
   
この選択、実は林業に向き合う根本的な考え方の選択でもあるように思うのだが……。
  
私もパワードウェア「HIMICO」を装着させてもらった。
File117
   
重さ3・5キロ。まだスタスタ登るとまでは行かないが、なかなか快適だったよ。

 

 

 

 

2019/03/12

「早生樹・エリートツリー」と年々戦勝論

林野庁は伐る話ばかり、というと、「いや、植林も考えている」という中で、よく話題に出すのが「早生樹とエリートツリー」だ。
 
スギやヒノキなど従来の植林木に比べ、生長が早く植栽から収穫までの期間が短い木を植えようという発想だ。この場合、「早生樹」とは、生長が早い樹種のことであり、とくに推薦されているがコウヨウザンにセンダン、チャンチンモドキ……など。一方で「エリートツリー」とはスギやヒノキ、カラマツなどの品種の中でとくに生長のよいもの。
 
たとえばコウヨウザンなら20年~40年とスギの約半分、センダンも20年で直径30センチを超える。エリートツリーでも30~40年で収穫できる。 これなら、植えた人が生きているうちに収穫できる、というわけだ。 とくにコウヨウザンは、収穫(伐採)したら、萌芽が伸びるので、次の植樹をしなくても2世代目が育つから低コスト! とはしゃいでいる。
 
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コウヨウザン。根元からわさわさと映えているのが萌芽。伐採していないのに2世代目が映えている。
 
なんだかなあ、という気分になる。ものすごい大発見したような書き方をしているが、そんな樹種や品種は、大昔から取り上げられてきた。
 
コウヨウザンなんぞ、江戸時代に清国から持ち込まれて植えられている。明治になってからも幾度も導入された。東京の林試の森公園にも植えられているから、山林局(現在の林野庁)も導入したのだろう。
 
でも、根付かなかった。材質が日本人好みでない以外にも理由はあったのだろう。 
 
エリートツリーも、今から20年以上前に「3倍速のスギ苗」が生まれている。
 
Photo  
 
 
なんと植えて10年で直径30センチ近くなるのだ。
 
だが、広がらなかった……場所によってはそれほどの成長力を発揮できなかったこともあるし、10年を超えると急に生長が衰えたとも言われる。結局、普及しなかったのである。
 
そのほか林地肥培、つまり肥料を与えて早く太らせようとしたり、あの手この手を試しているがことごとく討ち死にしている。
 
今のブームは、そうした過去の失敗を振り返っているのかね。
 
 
そもそも「樹木を生長させるのは時間がかかるから採算に合わない」という言葉も、昔から言われたことだ。
三井物産の初代社長・益田孝もそう言って山林経営を忌避していたが、土倉庄三郎に「木は毎年生長している」と説得された。ここで「年々戦勝論」が出てくる。
 
庄三郎は日清戦争後に「戦争なんて、莫大な戦費を費やして有為な人材を死なしめるだけ。木を植えたら毎年育って、毎年戦争に勝っているも同然」と喝破した。
つまり一本の木の生長を見るから遅い、年数がかかると思うが、山全体を見て順々に木を育て順々に収穫すれば、毎年収益を上げられると唱えたのだ。
 
それを期に山を買いだした三井物産は、今や日本第4の山主である。
 
樹木の生長速度を早めようという姑息な発想をせず、経営システムで補うのが王道なのではないか。
 
 
私自身は、植栽する樹種・品種の多様性を作る点では早生樹もエリートツリーも試してみる価値はあると思っているが、植栽する適地や採算性などわからないことが少なくない。早く生長する分、どこかにしわ寄せが行くように思うが、それが何かつかめない。
 
何より早く育つと言いつつも、20年もかかるんだぜ。これが5年ぐらいならなんとかなるが、20年後の経済状況や社会事情、そして流行り廃りが読めるわけない。木材が気嫌いされているかもしれないし、コウヨウザンの花粉症が登場しているかもしれない(笑)。
 

2019/03/11

「撤退の林業計画」再び

昨日は「森と環境保全活動の10年」というテーマのシンポジウムに顔を出してきた。演者は川北秀人氏。(人と組織と地球のための国際研究所代表)

 
てっきり森林ボランティアとか木育、環境教育などに関わる団体の10年間の変遷を語るのかと思いきや、もっと広い分野から切り込む。それは日本の人口減と年齢構成である。
そう書けば想像できるとおり、今後猛烈な勢いで日本の人口は減少し高齢化が恐怖を感じるスピードで進行する。
……こうした点は、すでに一般の社会でもよく語られる話題なのだが、これまでとこれからの差は大きい。なぜならイマドキの高齢者は元気、といっていられるのは75歳まで(前期高齢者)で、その年をすぎる(後期高齢者)と多くが要介護に陥るからだ。そして今後は前期高齢者さえ減少して後期高齢者が激増する。
 
当然、林業で働く人も減る。現在の担い手(4万5000人)を維持しようとすると、毎年1万2000人以上の新規就労がないと無理だそうだ。これもアマアマの計算だと思うが、現在は3000人程度であるから、絶対不可能。
当然ながら趣味的な森林ボランティアも減少する。むしろ今後は介護ボランティアに模様替えも必要かも。。。
 
 
……そんな話を聞いていて私は思い出した。かつてYahoo!ニュースで「撤退の林業計画 」を論じたことを。(2013年2月)
この時の世間の反応は批判ばかりだったが、再び論じるべきだろう。 
 
簡単に論点を言えば、「日本の林業は、絶対に現状を維持できない」「絶対に活性化できない」を前提にする。
ただし、この場合の維持とか活性化というのは林野庁のお好きな「量の林業」である。数字で測る発想では、林業は絶対に崩壊する。木材生産量は増やせないし、就業者は激減する。
だが質で捉えると、山主は少ない生産で十分な収入を得られるとか、市民の暮らしの場に木材がいっぱい目に入る社会を築くことはできるだろう。
 
まず林業からの撤退、規模の縮小を前提に考える。木材生産林の面積も就業者数も半分以下を目安にしたい。木材生産量は効率化によって3割減ぐらいに留められるかな。一方で、林業を続ける山主の収益を2倍になるようめざす。木材の供給過剰を消し価格を上昇安定させれば不可能ではないはずだ。
またスギ・ヒノキの一辺倒から針広混交林化することで広葉樹材の生産も見込む。
 
 
問題は、まず森林所有者の振り分けと、林業から撤退を決意した所有者の処遇がある。
次に林業をしない人工林の植生をどのように誘導するか。基本的には、手を入れずに防災機能を保てる森になるまでの移行期の管理だろうか。
 
それらを真剣に研究していくべきだ。全国の有意の人々よ、「撤退の林業計画」研究会を立ち上げないか(⌒ー⌒)。
また全国から矢が飛んできそうだな。。。

2019/03/03

林業用トラック開発の現場

昨年、一昨年だったか、林業用2トントラック(ダンプ)の危機がネット上で盛り上がったことがあった。

 
ようは林業に向いた悪路走行ができ、通常道路も走れる2トントラックの製造が中止され、危機に陥っている……という話だ。そして、その問題がネットで広がった結果、日野自動車が動き出したという話。
詳しいことは,、私もYahoo!ニュースに記した。
 
 
 
この開発物語はまだ続いていて、いよいよ最終局面。
 
実は、最近この件について、架装についての意見交換会 がもたれたのだ。そしてその現場に、なぜか私もいた(笑)。
もちろん私は、何か意見をいうわけではなく取材という立場。詳しくは、リンク先のブログへ。
 
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この4月に日野自動車から新型四駆トラックが発表される。それを林業用に改良する話が進んでいる。まだ内容はオープンにできないのだが、開発担当者も来られている中で、トラック開発の実情に触れることができた。 
 
まず、排ガス規制はますます厳しくなっているので、昔と同じような高床・直結型四駆・副変速器付きの高トルクなダンプ車はつくれないという現実がある。加えて高床式の自動車をつくる製造ラインがすでにないという。完全な新車を設計し、ラインから用意するのは採算から考えても不可能だった。
ちなみにヒノノニトンの生産は年間約2万台だそうだが、そのうち林業用というか、悪路走行用の需要はせいぜい数百台しか見込めない。
 
ならば国外需要は。発展途上国ではまだまだ悪路走行用トラックが求められているはず。輸出需要も見込めば、それなりの台数は確保できないのか……と思うのだが、そうなると排ガス規制が緩やかな国々であり、しかも価格も相当下げないと購入は見込めないとか。
 
それに求められるのは、単に悪路に強い馬力・車高ではなかった。たとえば下り坂を極低速で下りられるエンジンブレーキも必要なのだそうだ。
一方で、単に山で丸太を積んで走るだけでなく、通勤用にもできることが条件としている。また積むのは必ず丸太と限らず、土砂を積載することもあるが、これが荷台の条件にいろいろ影響がある。
 
まあ、このように並べると悪条件ばかりで、なかなか開発は難しそうだったが、それをある程度はクリアできる見通しになったのだ。4月以降に新型トラックを吉野の山でモニターを繰り返して、改良と微調整を行い、十分な林業向きのダンプに仕上げる予定とか。
 
とはいえ、よい面もある。現行の問題点が改善されるだけでなく、環境性能はもちろん燃費もよくなるはず。それに低床ならば重心が低くて運転性能も上がるだろうし、乗り心地もよくなるだろう。
新しい2トントラックを購入を考えている林業関係者は、今しばらく見守った方がいいかも。
 
しかし、マニアックな話題と思った林業用ダンプの問題が、これほど世間の関心を呼び、それが会社を動かしたことは今更ながら驚く。
 
ちなみに日野自動車としては、「奈良案件」だそうです(笑)。 

2019/02/21

盗伐問題その後と対策

Yahoo!ニュースに執筆した「盗伐しても不起訴。…… 」の記事の続報。
 
私が紹介した、宮崎市の盗伐事件の告発が不起訴にされたことに対する検察審査会への申し立ては受理されたが、今度は延岡市の盗伐が不起訴にされた分が検察審査会に申し立てられ、受理された。こちらは伐採業者7人である。盗伐されたのは約1300本というから、かなりの面積だろう。ただ地籍調査はされていなかった。もっとも放棄していたわけではなく、ちゃんと管理されていた山林で、行政も業者を処分している。それなのに検察は不起訴にしていたのである。
 
ともあれ、告発が続けば今後はマスコミも動き出すだろうし、私の記事も含めて盗伐という犯罪行為がもう少し世間の耳目を集めることを期待する。そして盗伐が横行する背景の林政に目が向けばよいのだが。
 
伐採業者はもちろん宮崎県も、ええ加減にこの問題に真正面から向き合わないと、恥さらしになるだけだ。
 
 
と、そんなところにニュース。今回の問題がきっかけかどうかはわからないが、宮崎県は盗伐取り締まりの手段として、新年度からQRコードで木材のトレーサビリティを一元管理する実証実験に取り組むという。予算案に関連費1000万円を盛り込んだ。
 
具体的には、伐採業者が市町村に提出する伐採届に、市町村がQRコードを発行し出荷される木材に添えられるようにする。
QRコードには、伐採から原木市場、製材工場、工務店までの流通履歴に加えて、業者名と伐採場所、面積、樹種、切り出した量、在庫量などがインプットされる。届け出た伐採の面積や出荷された木材の量が、伐採面積に対して多くなると、盗伐の疑いが浮かび上がる仕組みだ。
自治体や林業関係者らが協議会を設立し、モデル地区を設けて実験し、自治体や宮崎大農学部などが効果を検証する予定だ。
都道府県の木材トレーサビリティーの制度は全国初という。
 
ようやく木材にトレーサビリティを付けようとしたのはよい。流通の無駄を省くのにも役立つはずだ。しかし、だよ。。。。 
 
なんで新しいシステムや制度をつくるのだろう。試験を終えて普及するのに何年かかることか。
それより森林認証制度を使えば、自動的にトレーサビリティが確認できるのに。まあ、宮崎県の山林で森林認証を取得できるところは何パーセントか怪しいが。
 
だいたい、この仕組みを動かしても、抜け道だらけのように思える。そもそも所有者は、伐られたことに気づかないとQRコードの情報を調べないだろう。業界関係者が調べて、おかしかったら告発するか? 県職員はどうか。またバレても「誤伐だ」と言い逃れる業者を追い詰められるか。どれぐらい有効なのかはなはだ怪しい。
 
本気で盗伐を防ぐためには、何より「伐採届」を厳密にチェックすることだろう。許可前と事業終了後に必ず現地調査をすれば、業者へのプレッシャーになるはずだ。
市町村の担当者の手に余るだろうが、環境税をつかって林政アドバイザーを雇えばよい。それとも「伐採届」チェッカーという資格をつくるか? やり方次第だなあ。

2019/02/09

吉野は桐の産地だった

奈良県御所市には、水平社博物館がある。

 
水平社は、部落解放運動の拠点組織である。その「全国水平社創立宣言」は日本で初めて出された人権宣言であり、世界で初めての被差別者が発信した人権宣言とされている。
つまり奈良県は、「日本の人権のふるさと」なのだ。 
 
それはともかく、私はこの博物館近くをよく車で走りながら入館したことがなかったので、先日寄ってみることにした。
 
水平社博物館は想像以上に立派だったが、そこでは水平社設立に立ち上がった御所市柏原の被差別部落について紹介されていた。
 
その展示の中で、柏原が意外や経済的には豊かであったことが示されていた。言い換えると豊かだから運動を起こせたのかもしれない。
 
問題は、その豊かさの源泉。それは屍牛馬からつくる膠産業があったことが大きいのだか、もう一つ注目すべきは、桐材の加工をしていたということだ。 
桐から下駄などを作っていたらしい。その展示もあった。
 
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桐は成長が早いことと、軽い材質が好まれた。桐材の使い道としては桐ダンスなどが有名だが、その産地というのは限られている。
 
ここで使われた桐材は、吉野から出されていたという。つまり吉野は桐の産地だったらしいのだ。これはちょっと驚きだ。それは植林したのだろうか。 
 
ただ、少し心当たりがあるとしたら、土倉庄三郎について調べていたときのことである。土倉家の祖先に当たる人に土倉平兵衛という人物がいた。1600年代の人だが、彼は桐が好きでよく植えたので、法名は「桐安休葉信士」となったそうである。そして、桐を植えたところは「土倉の桐畑」と呼ばれたと記録に残っていたのだ。つまり、川上村大滝に桐の林があったことになる。 
 
もしかしたら、かつて吉野各地に桐が植えられていたのかもしれない。
 
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これは展示物の写真。戦前に吉野郡下市から出された桐の丸太らしいが、こんな大木があったのか。
吉野では、和紙の製造や漆芸があったことが知られており、コウゾやミツマタの栽培と、ウルシノキから樹液を取り漆芸も行われていたと知られるが、もう一つ桐にも注目すべきかもしれない。スギやヒノキばかりではないぞ。
 

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