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森と林業と田舎の本

2023/12/07

「美林遺産」と林野庁の「美林誘導プロジェクト」

たまたま拙ブログのある記事を探していた。それがなかなか見つからないのだが、代わりに別の面白い記事を見つけた。

ジオパーク認定より美林認定を

これが、なかなか面白い(笑)。ジブンデイウナ

「世界美林遺産」を選定しないかという思いつきなのだ。

人が作った美しい森を認定することで、林業イメージをよくするのである。おそらく昔から人工林を育ててきたのは、欧米のほかは日本くらいだろう。否応なく日本で選定は数多いはずだ。
いやその前に日本版として、日本美林遺産とか美林一〇〇選も選んでもいいかもしれない。

日本美林遺産、美林百選か。悪くない。今は、何でも認定ブームだからウケるのではないか。

とまあ、そんなこと思っていたら、林野庁が、青森ヒバと秋田スギの美林誘導プロジェクトというのを進めていることを知った。これは、「東北森林管理局において、文献調査により日本三大美林の対象やその姿を明らかにするとともに、新たに美林を増やしていくための課題の整理、誘導手法等について検討」するものだという。

美林の歴史的文献調査や美林をつくるための誘導手法(施業法)を探るのもいいが、ちゃんと美林の定義を設けて、どんどん認定していけば、我が山にも美林をつくろうと考える山主が現れるかもしれない。人工林も美しいのだ、という広報効果はバカにできないはずだ。また観光名所にすることもできる。間伐なども、美林をつくるための世話と言えば、理解を得やすい。皆伐は……これはダメでしょ。

ちなみに林野庁のプロジェクトの資料に目を通すと、戦前の美林とは、やはり生産力などに重きを置いているように感じる。また人の手でいかに整然と整備しているかも重要なようだ。京都の北山杉のような究極の人工林を美林と考えていたのだろう。

しかし、今なら天然林に近い森、針広混交林も生物多様性が高いとか、景観的にも見映えがよいとした定義もできるだろう。スギの木の下に広葉樹が繁っている森を美しいと思う感性もあるはずだ。あるいは明治神宮の森のような、明らかに人がつくった照葉樹林(^_^) を取り上げることもできる。きっと森の管理者にも励みになると思うのだが。

どうだろう、今からでも認定事業を(^o^)。私は審査委員になって、全国を回りたい。

4_20231207204101北山杉

20220201_091353明治神宮参道

どちらも人工林の美林だ。

ちなみに探していた記事は、いつ書いたのだろう……。

2023/11/26

再造林率という数字

最近は、かなり再造林の推進が取り上げられている。一頃の「伐って伐って伐りまくれ」政策からは多少マシになったかもしれない。

そこで気になるのが再造林率。この数字は、どのような根拠で導き出すのだろう?

再造林率ナンバーワンは、北海道で90%だという。ほか目にしたのは、大分県が73・5%、宮崎県が73%。ところが国は、全国の再造林率を3~4割としている。事実、こんな図表もある。

Photo_20231126132302

これによると、直近平成30年(2018年)で主伐8・7万ヘクタールに対して3万ヘクタールだから、ざっと34%。
しかし伐採面積が圧倒的に多い北海道や宮崎県が7~9割も植えているとするのが不可解だ。ならば全国平均が4割以下になるのは、再造林を2割以下しかしていない都府県がものすごく多いということ? ちなみに調べると、秋田県は3割。高知県は3~4割、栃木県は55%…なんて数字が出てくる。(いずれも各県の自己発表)

その前に7割だ9割だという数字は信用できるのか。主伐の面積は伐採届で集計したのかもしれないが、無届け伐採も多い。盗伐まで含めたらどうなる。私の感想だが、林野庁の3~4割は3割に限りなく近いと思っている。

まず、どんな状態を再造林とするのかわかりにくい。上記の図が示すのは主伐(皆伐)面積に対する造林面積だと思うが、それではこれまで言い訳に使ってきた天然更新はどうなのだろう。含めないことにしたのか。というか、天然更新は否定したか?

一度植えてからの不成績造林地はどんな扱いをするのか。獣害にも遭うだろうし、植えたものの管理放棄してしまう所有者だっている。

この「再造林率」の導き出し方を、誰かご指導ねがえないか。

なお宮崎県は、再造林率全国1位を目標に、全国初となる都道府県条例「再造林の推進に関する条例」(仮称)の制定を目指しているそうだ。

高知県は再造林推進のためのプランに「林業適地」の考え方を示している。まず適地から植えていくというわけだ。具体的には、傾斜35度未満で林道などからの距離が200メートル以内の面積が50%以上を占めるエリアとするが、それ以外の「不適地」面積は膨大だろう。

そして木材団体も、再造林費用を上乗せした木材価格で売買する「立木市場」の創設の検討を行っているというのは、以前も紹介したとおり。本当に立ち上げる勇気があるのか怪しいが…。同床異夢ぽい。

数合わせでない、再造林を模索してもらいたい。

2023/11/14

エリートツリーのうさん臭さ

このところ、Yahoo!ニュース編集部から、「この記事にコメント付けませんか」という依頼がよく舞い込む。

クマ出没に山火事に林業に……とまあ、私ならなんかコメントするんじゃないかと思われたのだろう。私自身も、一からYahoo!ニュース記事を書き下ろすより簡単だし、短文でスパッと切れるのでわりと向いているかと、自分でネタを見つけてはコメントを書くことが増えた。

が、今回はあえてYahoo!ニュースのネタをブログで取り上げたい。なぜって? 気の迷いさ(´_`)。

成長早く花粉半減…住宅メーカー・ゼネコンなど熱視線「エリートツリー」を知っていますか

成長が速く剛性が高い一方で花粉量は少ない樹木―。この「エリートツリー」に企業が熱い視線を投げかけている。

エリートツリーは成長性とCO2吸収量が一般樹木の1・5倍、花粉の量が半分以下という優れものだ。成長が速いため、雑草を除去する「下刈り」の回数を減らせるほか、木材利用に適した状態となる「伐期」は約50年から30年程度へと短縮が見込める。労働力の軽減をはじめ、コスト低減や投資回収短縮が期待できる。

これは日刊工業新聞の転載のよう。

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某地で見たエリートツリーの苗。

しかし、わからん。生長が早い木をエリートツリーと呼ぶのはよしとしよう。そんな特性のある品種づくりである。が、それが「剛性が高い」とはなんぞや。「花粉量は少ない」とはどんな理由?

もともと生長の早い木は、年輪幅が広がるから嫌われてきた。九州のスギを「バームクーヘンみたい」と呼んで馬鹿にしたものだ。古くからの林業地では、密植や枝打ちという技法を、生長速度の制御に使って年輪を詰ませた。その方が美しい木目ができて、強度も高まるからである。事実、年輪が詰まっている吉野杉は、ヤング率などほかの地方のスギよりはるかに高い。そして価格も跳ね上がった。

木目の美しさは感性によるもので、幅広でも美しくなる場合もあるだろうから置いとくとして、剛性が強まるというのはどういうことだろう。表面だけ硬くなるのか? それとも広葉樹のように木目が幅広ほど硬い性質が乗り移るのか。

さらに花粉の量はどうして制御する? 生長の早い品種と花粉の少ない品種を掛け合わせるのだろうか。それとも生長が早いと、栄養が回らず花粉が減るのか?

謎だらけだ。どこかうさん臭い。早く伸びる分だけ、しわ寄せがどこかにあるはずだ。30年で生長が止まるかもしれない。

結局、質をよくして高く売るより量を売りたい林業向きということではなかろうか。

 

 

2023/11/07

森林組合が解散した理由

こんなニュースを目にした。事情を説明している5月の記事も一緒に紹介しておこう。

瀬戸内町森林組合が解散方針 

継続困難、解散を決定 清算人決め残余財産処分へ 瀬戸内町森林組合

瀬戸内と言っても、中国-四国に囲まれた瀬戸内海ではなくて、奄美大島にある瀬戸内町なのだが……それはともかく、森林組合(組合員270人)が解散決議をしたのである。

その理由として、22年度決算が1323万円の赤字となったからなのだが、またもや不祥事か? と思ったら、ちょっとヤバい理由だった。

そもそも組合の主要事業は、複層林改良事業という名の間伐らしいが、それを担当する職員が退職したのである。22年度に予定していた間伐が145ヘクタールだったのに約21ヘクタールしか実施できず、大幅な収益減となったという。その間伐事業を担っていた職員は、昨年10月末に4カ月で退職したという。えっ、一人だけ? 145ヘクタールも担当していたの? ほかに間伐できる人間がいなかったの? と疑問符だらけ。

ハローワークなどへの求人募集でも応募がなくて採用の目途が立たない。事業継続には少なくとも二人必要で、間伐や測量など現場仕事と、県や町への補助申請などの事務手続きができる職員が必要とのこと。ところが現場仕事で山を歩くのは、体力的にきついうえに、ハブの危険性もあるというのだからなり手がいない。そりゃ、ハブはイヤだなあ。

そこで組合の存続が難しいとされて、組合を解散決議するとは。

そもそも奄美諸島は、ほとんどが天然林、照葉樹林であるはずで、林業も製紙チップの生産だったように記憶している。以前、大面積皆伐が行われて問題にもなっていた。今回の(できなかった)間伐事業とは、どんな森で行うのか。照葉樹林でも間伐? 人工林も多少はある(14%くらい)が、そこの部分だろうか。植えているのはリュウキュウマツだろう。

そもそも複層林改良事業そのものがなくてもいいものだったようにも思える。解散しても困らないから解散するのかも。

ただし、間伐に限らず伐採手がいないと、防災作業や災害発生時の処理などの人材もいないということになる……。世界自然遺産にもなったのに、管理ができなくなる可能性もあるだろう。

人手不足で森林組合の事業ができないという事例は、今後全国で起きるのではないか。中の貴重な就職口であるから事務員は確保できるかもしれないが、現場の肉体労働はなり手がいなくなる。作業班を編成できなくなると、多くの森林組合はアウトである。代わりとなる民間事業体があればよいが。いずれにしろ賃上げ・待遇の見直しは、こうした現場にも必須になるだろう。

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2023/10/21

山形県にできる東北農林専門職大学の学科名

山形県に、東北農林専門職大学がつくられるそうだ。来年4月に開学する模様。

専門職大学というのがわかりにくいのだが、一般大学と同じ4年制ながら、大学校(たいてい2年制)のような、実学的なものらしい。ホームページには、特定の職業のプロフェッショナルになるために必要な知識・理論、そして実践的なスキルの両方を身に付けることができる大学 と書かれてある。

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建設中の新キャンパスの図。

そして教員が違うそうだ。一般大学は研究員が教員になるが、専門職大学というのは、実務家教員を積極的に採用、理論と実践を架橋する教育改訂に必要な研究者教員・実務家教員なんだそうである。設置基準では、必要専任教員の4割以上が専門分野で5年以上の実務経験を持つ実務家教員であることとあり、ここでも15人の実務家教員が配置される。これって、ようするに現場で林業をやったことのある、あるいは現役の林業家ということだろうか。

それはさておき、そこには農林業経営学部が設置されるのだが、あるのは農業経営学科と森林業経営学科だ。林業系の4年制大学が誕生したのは、久しぶりではないか。しかも私が注目したのは、この学科名に「林業」が入っていること(^o^)。

ちなみに専門職大学で農系があるのは静岡県の農林環境専門職大学だけだが、農林とはあるが、実質農業が中心だ。

これまで林学、林学科と呼んでいた大学では、ほとんど改名してしまい、森林なんたら科学科みたいな名になってしまった。林業の香りを消そうと努力した様子が見える。実際、内容も森林科学、環境系にシフトしているところが多いだろう。

その中で森林はつくものの林業経営学科である。なお入学定員は、8人だという。少数だ。(精鋭かどうかは、オープンしてから……)

森林業経営学科では、林業や木材産業のほか、バイオマス、森林環境教育、キノコや山菜なども学ぶ、とある。森をフィールドに新しい産業が芽生える動きがある、価値を最大化し、産業の活性化につなげていく、そうだ。

さてさて、どんな学校になるかな。林業大学校は、もう作りすぎの気配も漂うが、新たな林業教育の場になるだろうか。

 

 

2023/10/06

皆伐地、定点観測の記録

奈良県の上北山村の皆伐地。その場所を通り掛かるたびに写真に撮り続けている。

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最初は2019年のよう。皆伐地の真ん中に、なぜか新植地があったので撮影したのではないかと思う。ここは山主が違うのだろうか。(3月撮影のため、枯れ草の色が目立つ。)

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これは2021年9月。植林したところは、しっかり育っているようだ。その周りは、結局は植林しなかったようで、草が繁っているだけ。

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これが2023年10月。つい最近の撮影のわけだが、植えたスギ苗は十分に根付いたよう。植えて5年目くらい?
実は背後の山にも皆伐地があるが、そこはだいたい再造林したようで、その変化も確認できる。

5年生としたら、もう丈も2~3メートルぐらいにはなっているだろう。そして、その周辺は相変わらずの草原。むしろ禿げたように見える箇所もある。表土が流れてしまったのだろうか。くしくも2年ごとに撮影しているが、植生の遷移がわかる。

あまり単純化して語れないが、この遷移からも、やはり再造林は効果あると言えるだろう。ちなみに、皆伐跡地が崩れている箇所もあった。
もともとかなりの急傾斜面で、こんなところによく植えたな、そこをよく皆伐したな、と思わせる場所だ。

こんな定点観測もやってみるもんである。

 

 

2023/10/03

吉野貯木場に並ぶ製品

吉野の貯木場を歩いた。吉野町で製材所や原木市場などが密集した地域で、昔は水中貯木場、つまりプールも3つあって、吉野川からの運河まであった地区である。

そこで私が撮った製材の山の写真をチェックしていて、我ながら笑った。

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さて、私の興味はどこに向いていたのでしょう(^^;)。

みんな、コワ、端材である。背板ばかりである。これが吉野林業の特徴なのだ。

褒めているんだよ。

背板は、割り箸のほか小物の木工品や内装材になる。そちらの方が高く売れることもあると聞いた。大径木ばかりを自慢しているのが吉野林業ではじゃない。
徹底した木材利用が、収益性を高める。まだ現在の吉野にも、その名残を感じた。

 

2023/09/20

最大の木材輸入元はベトナムだった!

2023年上半期の木材輸入額で、もっとも多いのはベトナムだった……。

ベトナムは木工や家具製造が盛んで、日本からも木材を輸入しているはずなのだけど。内容を見ると納得。

林野庁情報誌「林野」令和5年9月号

そもそも今年は、建設不況というか資材費高騰のあおりで、建設件数が激減しているが、木材輸入額も前年比20%減だった。

とくにロシアは戦争起こして66%減。いやまだ3割程度は輸入しているのかよ、と思わないでもないが、EUが56%減、インドネシアが同24%減、カナダが同35%減、マレーシアが同27%減……だそうである。製材、合板、集成材と輸入量を減らしている。その中でベトナムは20%増なのである。ちなみにアメリカも10%増。

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問題は、ベトナムの輸出品だが、木質ペレットであった……。そもそも木質ペレットそのものが31%増なのである。木質ペレットの主要な輸入先であるベトナムは、45%増、 カナダ28%、そしてアメリカになると、なんと473%増なのだ。

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説明するまでもなく、木質ペレットはバイオマス発電の燃料。円安だし、世界中で引っ張りだこだから価格も上がっているが、発電所を止めるわけには行かず買わざるを得ないわけか。

すでに木質ペレットの製造のために伐採していることは知られてきた(当初は端材や製材屑をペレットにすると大嘘付いていた)が、値上げしても買うのを止めないのだから、ぼろい商売である。でも、発電事業そのものが赤字になるのは必須だね。いつまで輸入して発電し続けるかな。

バイオマス発電所の一覧と地図はこちらにあった。ご参考に。

全国木質バイオマス発電所一覧地図

 

 

2023/09/16

最初の並木を植えた人は大河ドラマ向き?

東京大手町の内堀通り。そこに「市内最初並木」の碑があることを知っているだろうか。

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市内とは当時の東京市のことだが、近代都市の街路樹発祥の地であるわけだ。

植えられたのはニセアカシアの木。津田仙がウィーン万博から持ち帰ったニセアカシアの種子を、明治8年(1875年)に大手町に植えたものだ。これが東京初の街路樹となった。

日本では、当初は並木と呼んだが、道路沿いに木を植える施策は、織田信長の命にもあるので、わりと歴史は深い。当時は道順であり、旅人に木陰を与える役割があったという。ただ明治に入って道路沿いに木を植えることが欧化思想の一環になったのだろう。

津田仙と言っても知る人は少ないかもしれないが、下総の国佐倉藩に生まれ、蘭学や英語を学んで、アメリカへの軍艦引取使節にも参加している。明治になるとウィーン万博にも派遣されるが、そこでニセアカシアの種子を得たのである。その後は農学者となる。

ちなみに娘が梅子。津田梅子の父と言った方がわかりやすいか。青山学院大学の設立などにも関わっている。来年の5000円札に津田梅子の肖像が使われるのだから、それに合わせて注目を集めるかもしれない。彼も大河ドラマ向きの人物だ。

ところで、現在内堀通りに植えられているのはエンジュである。ニセアカシアは枯れたのか、大きくなりすぎたのか、植え替えられた。

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街路樹は、定期的な剪定を含めた世話が必要で、大きくなりすぎたら伐採して植え替えることが前提にある。しかし、ニセアカシアを伐ってエンジュに植え替える時には、誰も批判しなかったのかね。市内最初の街路樹ですぞ。文化的価値は高くはないのか。植え替えるのも、同じニセアカシアにしなくてよかったのか。だれか、ユネスコに密告したらよかったのに(⌒ー⌒)。イコモスが反対の声明を出してくれたかもよ。

 

2023/09/10

400年生スギの切り株の秘密

Yahoo!ニュースでも紹介した川上村「歴史の証人」の伐採。

「歴史の証人」400年生のスギを伐る意味を考える

この切り株の写真をよく見てほしい。違和感を感じる人はいるかな? あれっ、なぜ?と思ったら、貴方も林業通。そして違和感のある切り株になっている理由がわかれば、吉野林業の世界に肉薄できるかも。

角度を変えて何枚か。

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なお、この400年スギだけでなく、ほかの地区でも見かける。こちらも樹齢300年くらいはあるスギの切り株だが。

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ヒントは、吉野の伐倒は、山側にするのが普通。

 

 

 

そう、通常なら倒す方向に受け口をつくる。吉野なら山側だ。ところが、この写真の切り株には受け口が見当たらない。谷側の切り込みも、受け口らしくない。

実際に伐採直後の写真をお借りした。

Img_5909

ちゃんと山側に受け口がある。そして、そこに倒した木が引っかかっている。まさに吉野の正統な伐り方。それが、今では切り口の形が変わってしまっている。

なぜでしょう。実は私も以前から不思議だったのだ。そして折に触れて関係者に尋ねた。

すると、切り株に残る根っこの部分の木材は、太い上に年輪も密で彫刻材料などに重宝されるとのことだった。だから切り取って販売対象になるのだそうだ。これも吉野材ならではだろうな。

 

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