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森と林業と田舎の本

2020/03/24

「油ヤシ記事」から考える林業の犯した愚

22日の朝日新聞の1面トップに油ヤシ問題の記事が掲載された。それは2面にも続く大きな扱い。1、2面をぶち抜く記事って、通常は大スクープのはずだが、内容的にはいま改めて新事実が出てきたような記事ではなく、知っている人は知っている、油ヤシプランテーションが熱帯雨林を食いつぶしている話である。
なぜ今、これほど大きく扱うのか。記事には「環境転換点2030」というロゴが入っているから、何かキャンペーンがあるのか。

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ちなみにネットでは、こちら。ドローン映像まで載せている。また本紙記事より分量も長いし写真も多いようだ。紙面では省略した部分がかなりありそう。

この記事を書いたのは、神田明美記者。私は以前会ったことがある。たしかスウェーデン大使館だったと思うが、ブリーフィングの際に隣の席だったので少し話した。その際は、環境はともかく森林問題に興味があるとか詳しいようには思えなかったのだが、その後すぐにボルネオに行って、いきなり熱帯雨林問題を書き出した。その後、朝日環境フォーラムでも見かけたかな。

今回の取材先はインドネシアだが、幾度も通って熱帯雨林問題が得意分野ぽくなっている。潤沢な金と時間をかけて取材できて、デカい発表舞台もあって羨ましいという面もあるのだが、基本的にどんどんやってくれ、という気持ち。私はメジャーな情報は扱わない、手を引くというスタンスだから、この手の記事はお任せしたい。フリーランスは常にニッチを狙うのだよ。

ちょうどWEBRONZA「論座」にも、「パーム油の何が問題なのか?」という記事が載った。(これも朝日系の論壇だから、やっぱり朝日新聞あげてのキャンペーンか?)

 

ここで私の立ち位置を記すと、単にパーム油を批判し、企業を批判し、それを消費する市民を批判しても意味はないと思っている。その点は、Yahoo!ニュースに「グリーン・ライ(環境の嘘)をつくのは誰だ」という記事も書いたとおり。

パーム油は油脂としては非常に優秀で、ほかの植物からの油脂生産よりもマシな面がいろいろある。そして消費者はそれを求めているという点で、いくら批判しても空砲にしかならない。
また誤解もあって、油ヤシプランテーションすべてが熱帯雨林を破壊して開いたわけではないし、パーム油によるバイオマス発電も、本来は廃油(パーム油を精製する際に出た非食用部分)を燃料にするものだった。それなら問題にするほどのことではない。だが、現実には始まれば大量に必要となり、廃油だけでは絶対に足りなくなる。結局、食用油も含めて燃料にしてしまうのは目に見えるからケシカランのだ。
これは木質バイオマスエネルギーでも同じだ。本来は廃材や製材葛を熱エネルギーに変えて利用するものだった。ところが、熱より発電に傾斜し、さらに燃やすために伐採する、そのため補助金や割り増し電気代を出すという本末転倒の政策になっていることを批判する。

油ヤシプランテーションの問題は、油そのものではなく、経営の問題だ。労働問題など多方面にあるが、一つ上げよう。
油ヤシは植えて15~20年もすると収量が落ちる。だから植え替えるのだが、その際にやっているのは、これまでのプランテーションを放棄して、新たに天然林を伐り開いて(焼いて)土地を確保する企業が多い。その方が安上がりで簡単だからだ。老いて巨大になった油ヤシは伐採しても、その幹の搬出だけでも大変だし、処理が非常に面倒だ。すぐ腐って悪臭を放つし、使い道もない。目先の利益を追って森林を安易に消費している。

油ヤシプランテーションの拡大は、日本の拡大造林を連想させる。戦後、大造林を推進したが、もう植えるところがなくなったときに、造林政策を転換させずに、それならと天然林・里山林を伐って造林する土地を確保したのである。結果的に、不成績造林地を増やし、育林を放棄し、生態系も景観も破壊し、増やしすぎた人工林そのものが問題となった。そしていま、持て余している。
本来、造林ははげ山をなくし緑化と木材生産の両面で価値のある手段だった。だが手段の暴走が、造林と人工林そのものの価値を落とした。その愚を熱帯で繰り返しているように感じる。

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とりあえず取り組むべきなのは、新たに伐り開かず、プランテーション面積を今以上に増やさないこと。すでに農地としたところを持続的に循環させて再利用することだろう。それだけで、かなりの問題が抑え込める。そして生産量ではなく、商品の質を上げ価格も上げること。安すぎるパーム油は無意味な使い道を助長するが、高価格になれば生産量を伸ばさなくても利益は伸び、大切に使うだろう。

それは、日本の林業でも同じである。

2020/02/04

林業機械がアバターになる時代

最近は、通信環境の5Gだとかで医療現場や災害救助・復興現場、そして建築現場の遠隔操作が可能になるんじゃないか、とか言われているが、どうやら林業の世界にもその流れは始まっているようだ。

【RSKイブニングニュース】

先に林業や木工のスマホゲームを紹介したが、そこで「これはゲームではなく、現実の仕事現場に応用されるかも」というコメントが付いた。

で、調べたら本当にそうなっていた(笑)。コーワテックという会社が無人というか、遠隔操作の重機操縦機器を開発しているが、それを林業にも取り入れる動きがある。

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アクティブSAM。コーワテック株式会社のホームページより拝借。


実は、私は20年以上前に長崎県の雲仙普賢岳火砕流災害現場の復旧に無人重機が実験的に使われているのを取材したことがある。それは国交省だったが、いよいよ実用化に進んでいるようだ。(その取材時の資料などは探してみようと思う。どこかに残っているはずだ……。)

林業現場で、全方向カメラと遠隔操作で木を伐ったり運び出す作業ができたら……ハーベスタやグラップル、フォワーダを動かせたら、一気に作業の安全性が増す。もしかしたらゲーム好きが参入するかもしれないし、肢体不自由な人が街のオフィスで操縦しつつ「林業」する時代が来るかもしれない。そうなれば労働力不足も解消するかもね。

映画「アバター」では、足の不自由な主人公が、異世界でアバター(分身)に精神を乗り移らせて自在に活躍するという設定だったが、それとよく似た時代が来るのかもしれない。

その時、「いや、人間が自分の足で山を登って、その目で確かめながら木を選び、伐らなかったらどうするんだ。全身で体感しないと林業はわからんよ!」と思った人、はい、貴方は時代遅れです(笑)。

むしろ、現場に足を運ばないとできない林業の仕事とは何か、それを考えて仕事を見つけていかないと失業するだろう。よほどの高級材の採材とか細かな作業だろうか。それらは現場に行ってもできない人はできないだろうけど。

いや、一つ仕事があった。この無人機械をセッティングする役割だ。つまり、ロボットのお守り役。いやロボットの下働き? 林業人、そして林業技術に対する正念場ではなかろうか。

 

2020/01/30

盗伐に判決&広島にも盗伐業者

全国版のニュースにはなりにくいが、宮崎の盗伐事件で逮捕されたブローカーや実行犯の裁判の判決が徐々に出ている。

国富町の山林を討伐したことで逮捕された日向市の黒木林産の黒木達也社長に対して宮崎地裁は、27日に懲役1年執行猶予4年(求刑懲役1年6カ月)の有罪判決を出した。執行猶予が付くのか、と思ったが、そもそも罪状はスギ計20本(21万5000円相当)を(従業員に)伐採させたというものだ。

この現場は私も訪ねたところだが、一面はげ山状態で、ざっと数ヘクタール、普通に考えたら1000本近くは生えていたはず。しかも黒木林産といえば地元でも盗伐で有名な業者で、各地に被害地はあるから実際は数万本を盗んだはず。だが、立件したのは20本だけなのである。金額にして21万円ぽっちでは、執行猶予を付けざるを得ないのかもしれない。ちなみに黒木被告は即時に控訴した。

 

そして16日には、討伐するための伐採届や売買契約書を偽造した山林ブローカーにも判決が出ていた。西都市の鈴木英明に懲役2年執行猶予4年である。こちらの罪状は、スギ1318本(237万8000円相当)である。こちらの方が重い。

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この本数の差が解せないのだが……。法律家に聞いたら、警察や検察がよくやる手だそうである。窃盗をたくさん立件するのは手間だからちょっとだけにしておくのだ。有印私文書偽造なら、本数は文書で処理できるから増えてもかまわない。

 

そして、昨日まで訪れていた広島県三次市。車で走っていたら目の前に巨大なはげ山が見えた。急斜面がごっそりと伐られている。草は生えているから、もう年月は経っているのかもしれない。
同行している地元の業者に聞いたら「あの業者は、勝手に伐って、文句が出たら賠償金払って済ますんですよ。その方が安上がりだから」とあっさり盗伐業者がいることを認めた。ただし、賠償金で済ますというのは、盗伐ではなく誤伐だと主張するということだろう。(ただし、国道沿いのよく見える場所だから、半分ぐらいは伐採届をとっておいて合法にしておき、越境する手口だろう。)

雨だったし、車が走っている最中だったので写真も撮れなかったが、きっと広島各地にあるだろう。

浮かび上がってくるのは、盗伐は宮崎だけの特殊事案ではなく全国で起きている事実だ。私はそれを証明したいと思っているので、事例を集めている。もし、何か具体的な盗伐現場を知っていたら教えてほしい。

本当は、林野庁がやる仕事だろ……。

2020/01/25

下落する木材輸出額から見えてくるもの

日本経済新聞によると、丸太輸出価格が3年2カ月ぶり安値だそうだ。

その理由は、米中貿易摩擦のによる中国の景気減速で工業製品の梱包材向けの木材(つまりスギ材など)の需要が減ったためだとしている。

この記事を読んでいて、ようやく輸出する木材の姿が浮かび上がってきた。『絶望の林業』にも書いたが、木材輸出、木材輸出が日本の林業を元気づけるみたいな言い方をしている割には、実態がわからない。白書の数字は全体の金額ベースだけで、樹種や品質、そして量の記載がない。何か隠しているな、と思わせがちなのだ。それが、日経の記事で少しわかってきた。

財務省の貿易統計によると、2019年11月の平均輸出単価は1立方メートルあたり約1万1800円。直近の高値だった5月より2500円(17%)ほど安く、16年9月以来の安値水準となった。

これを読むと、1万1800円ならまだいい方じゃないか……と思ってしまったのだが、志布志港を使う曽於地区森林組合(鹿児島県志布志市)によると、スギ・ヒノキの丸太輸出価格は19年の年末時点で1立方メートルあたり7800~8000円。好調だった19年1~5月に比べて1000~1500円安いという。

やっぱり中国輸出向けは7000円~9000円だったのだ。(圧倒的に多い中国向けがこの値段なのに、平均だと1万1800円になるからくりがわからん。引き揚げる高値の木材とはなんだ?)これはB、C材の価格だろう。山元は半分以下。輸送費を引くだけで2000~3000円ぐらいになってしまう。

12_20200125214701 志布志港の木材輸出

中国向けの丸太は細く曲がった低品質の丸太や節・枝の大きい大径木が多い。中国で丸太を加工して、家電や工業製品を運ぶ際に使う梱包材などにする。中国企業が家屋を囲うフェンス材として米国に輸出もしてきた。

これで使い道もはっきりした。完全に原材料輸出だね。それも品質問わずの安値たたき売り。ともあれ19年は丸太は前年実績を割り込みそうだという。林業の成長産業化を支えるはずだった木材輸出で、倍々に増えていると誇らしげに森林林業白書には書かれていたが、ついに中折れ。。。昨年の夏以降、輸出が伸び悩んだので、今年の白書にはなんと書くかなあ。

 

ちょっと気になるのは、同時に安い欧州材が中国に流入しているという点。なんでも18年に欧州全域で虫害が発生して、木が腐る前に伐採が進められ、さらに18年暮れには風害もあって、大量に発生した倒伏丸太が中国に輸出されたのだという。これらも安値が売り物だろう。ドイツやチェコが多いらしい。
今年以降も欧州材は中国への輸出に力を入れそうだから(20年の欧州産の対中輸出量は19年の1.5倍との見方)、いよいよ日本材が割り込む隙間は狭くなりそうだ。

やはり丸太を売っているだけなら価格競争に巻き込まれて、さらに安い木材が現れたら、あっさり乗り換えられるわけである。

 

2020/01/20

写真発掘・明治時代の吉野林業か?

今年の初めに、土倉龍次郎の子孫から提供された台湾の玉山、阿里山の写真を紹介した。

実は、ほかにも借りた資料を現在複写中。仕事の合間に取り組んでいるのだが、これが手間もかかるし、結構気をつかう。結果的に遅々として進まず、悩ましい。そろそろ終わらせて返却しなければならないのだが……。

とにかく古い写真が多く、色褪せているし、一部の裏書きのあるもの以外は、どこの何を撮ったものかわからない。なんとか写っているものから類推しようとするのだが……。だが、よくよく見れば、台湾の原住民、いわゆる高砂族の写真が多い。明治30年代の写真だから、結構貴重なはず。多くは和装しているのも特徴的。ただ家は、草葺の伝統家屋が多く写る。

そうした写真群の中に、ちょっと台湾ぽくない写真もあった。

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河に筏である。これは、吉野の川上村大滝ではないか? つまり、かつて土倉屋敷のあった正面の河原で筏場である。ここで上流から流してきた丸太や筏を組み換えて下流に流していたらしい。
上の写真は、大滝の屈曲部だろう。多くの筏があるが水量がなく流せない状態。これは、堰で止めているのだろうか。当時は、今より随分深かったと聞く。現在は伊勢湾台風などで土砂が積もった状態だそうである。
下の写真は、人(女性?)が細い丸太で何かをしている。筏を組み立てているようには見えない。(奥の方に筏らしき太い丸太が見える。)むしろ筏に積んできた(積んでいく?)細い丸太をいじっているように見えるが……。

とにかくわからんが、明治時代の林業の作業を示す写真として貴重なのではあるまいか。

それにしても……セピア色の薄くなった写真を修復する手だてはないだろうか。フォトショップのようなソフトを使えばできるのか。しかし私に使いこなせるかどうかも含めて悩む。きれいに修復したら、いろいろ新しいことがわかると思うのだが。

 

 

2020/01/19

木材流通をブロックチェーンで

先日、速水林業の速水さんにお会いして、いろいろ話す中で、「木材流通にブロックチェーンを使えないかと考えている」という構想が出た。

ブロックチェーンとは、暗号資産、いわゆる仮想通貨で使われる技術で、私なりの理解で極めて大雑把に言えば、情報の流れの中の各ステージごとにブロックと呼ぶデータの単位をつくって連結した上でデータを保管する。理論上、このデータは書き換えはできないし、誰もが目にできるので監視されていることになる。すると中央統制なしで、信用を得られるのだ。これを日本語では「分散型台帳」という。

これを木材のようなブツの流通に取り入れたらどうなるか。トレーサビリティが確保でき、おそらく違法適法かの判断もできるようになるはず。面白い。そもそも通貨とは信用の元に交換可能なわけだが、その信用を作るのは基本、中央政府である。それに対してブロックチェーンは分散型ネットワークとして、中央の管理者がいなくても誰でも情報にアクセスでき監視することで信用を担保する。

これ、理論や技術的なことは専門家に任せるとして、政府や何か公益法人的な管理団体をつくって統制させるのではなく、誰もが見られる情報にすることで、誰もおかしなことができなくなるという仕組みである。

……と言っても、電脳空間の理論を木材という物の流通に? と具体的なテクニカルの面で想像しにくかった。これは仮想通貨のような電子情報で成り立つものならわかるが、実際に形あるブツでできるのか。

ところが、すでに行われているらしい。仮想通貨ではなく、実際のブツで。それも水産物である。

三菱ケミカルとNTTデータが、ブロックチェーンによる魚の輸出の実証実験を昨年11月に手がけた。三重県や鹿児島県の養殖場で水揚げされたマダイやブリを中国の大連や北京向けに空輸したのだ。そこでブロックチェーン技術を応用したという。魚を詰めた発泡スチロールの函に貼られたQRコードを基に、いつどこを経由して届けられたのかを書き込む。すると現地の業者や客も確認できる仕組みを作ったのだ。

魚でできたのなら木材だって(^^;)。木材で応用すると、生えていた山や伐採業者、日時、そして流通工程までQRリーダーさえあれば、誰でも読み取れる。これで産地はおろか、ちゃんと伐採届を出しているのかまで監視して盗伐をなくすというのばどうだろう。

 

なぜ魚の輸出でこれが採用されたかというと、(トレーサビリティさえしっかりしているのなら)「倍の高値でも買いたい!」との声が現地にあるからだそう。中国は日本産水産物を欲しいのだけど、本当に日本産かどうか信用が担保されていないのだろう。「高値で買いたい!」中国人期待の日本産水産物のカラクリ

残念ながら国産材を、それほど欲しがっている人がいるようには思えず、高値は期待できない。しかし流通履歴を全部公開し、それぞれの業者が取っているマージンまで読み取れるようにしたら、林業家-木材業者間の疑心暗鬼は解消するのではないか。プラットフォームを整備することで、生産者への還元額も適正化できるかもしれない。

以前にも立木にICチップを付けて、その後伐採搬出、製材まで情報を書き足していく発想は以前にもあったが、信用の担保が弱かった。もしブロックチェーン技術で応用したら、可能性が広がるだろう。

 

2019/12/13

ゲーム「キコリの王朝」の日本版を!

こんなゲームがあることを知った。

Lumberjack's Dynasty

直訳すると「木こりの王朝」になるが、ようは林業のシミュレーションとロールプレイングゲームのよう。

私は一切パソコンのゲームはしないのでやり方は全然わからないのだが、説明文を読むと、魅力的な資源である木材によって独自の王朝を築くゲームのようである。王朝とはあるが、ようは林業会社。森から木を伐り出しさまざまな製品に仕立てて、ビジネスを成長させるのだ。

スタートは、父親から受け継いだ荒廃したロガーキャンプ。ようは森林の伐採基地か。それらを立て直してしっかりしたビジネスにする。
まず家の修理(ここからか!)と、ロガーキャンプ自体を修繕し、古い製材所も再稼働させる。そして、いよいよ木を伐採し、工場に運んで、さまざまな製品をつくっていく。
生活、ビジネス、木こりの要素を組み合わせてシミュレーションしていくエンターテイメントなんだと。

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版元はオーストリアの会社だが、舞台はアメリカっぽい。あるいは一昔前のヨーロッパ? 日本語版もないけど、誰か試してください(^o^)。

 

逆に日本語版なぱぬ日本版を作ってほしいな。また別のスリリングを味わえるよ。

まず親から広大な森林を相続する。大金持ちや、と小躍りするが、帳簿を見て真っ青。森は切り売りしてはならぬという遺言があったので自宅と貯金で相続税を払う。しかし親がつくった借金を返すのに四苦八苦して、とうとう土地を処分。よし事業を始めようと思っても、森林組合は当てにならないことがわかり、作業員の募集と養成に取りかかる。そして森林経営計画づくり。しかし、森林の境界線が確定していないため、てんやわんやの騒動の末に裁判を経て、なんとか確定する。
さあ、森づくりをしようと思い、いかに補助金をたくさん引っ張ってこれるかに頭を絞る。道を入れる。はげ山部分に植林する。ところが台風で山崩れ発生。山火事騒動もあって、一番金になりそうな山がなくなる。
それでも伐採事業を開始。ところが搬出したら、素人の悲しさで傷だらけの丸太は二束三文。また借金をする。一念発起で製材業に乗り出し、新木工商品をつくるが、流通に載せられずに在庫の山。輸出にチャレンジしたら県森蓮の横やりが入るし、建築家と組んで直販したら欠陥住宅だと訴えられる。もう木材はダメだ、と森林観光を仕掛けてキャンプ場とアスレチック場をつくるが、今度は自治体が横やり。許可が下りずに開業できず……う~ん、どうしてもハッピーエンドな展開を思いつかない(泣)。

でも、なんとか王国を建設してね。王国がダメなら帝国でも。ダースベーダーになりきろう。木がダメなら砂でもいいから。築こう、砂上の楼閣を……。

2019/11/03

最新宮崎盗伐事情。ヤバイのは森林組合か

このところあまり触れなくなった盗伐問題。決して忘れているわけではなく、しつこく追い続けていくつもりだ。そこでイッパツ。

やはり入ってくる情報の多くは宮崎県だ。

6月7月と摘発が相次いだので、少しはおとなしくしているかと思いきや、まだ盗伐は納まっていない模様。(発見された盗伐現場は伐られたのは1、2年前だろうということで、摘発後に伐ったかどうかははっきりしないものも多い。)

まず詳しいレポートとして、FoE JAPANのレポート「日本にもあった違法伐採! 波紋広がる宮崎県の盗伐事件」を紹介しておく。現在まで3回続いているが、今後も出るだろう。私が取材した場所や話もあるが、こちらの方が詳しい。(私の場合は掲載誌の都合もあったし……取材が手抜き(^^;)だったって? いや、まあ、そう思ってくれ。)

FoE JAPANHは、これまで基本的に海外の違法伐採問題を追求してきた団体だが、日本国内にも目を向けたことは大きい。なぜなら即世界に発信されるからだ。今後は、日本の木材に違法伐採の可能性が高いことを世界中で知れ渡るだろう。

そして私が最近得ている情報で目立つのは、森林組合の盗伐である。これまでは森林組合の名が出ることはあっても、やはり中心は民間の素材生産業者だった。それが、このところ森林組合に勤めていた人から「うちもやっていたよ」という証言が出るようになってきたのだ。

森林組合が無謬だというつもりはサラサラないし、私もそれなりに批判してきたが、少なくても森林所有者の集まりであり公的な役割も持っていた。しかも造林・育林も担当することが多い組織である。それが、かなり大規模な盗伐を繰り返しているようなのだ。まだ詳細は明らかになっていないが、すでに動き出したメディアもある。そのうちガツンと大きな記事が出るのではないか。

それに、これは全国に通じる問題だが、造林補助金の詐取も指摘されている。(合法的な)伐採跡地に再造林するため支出される補助金だが、この金を受け取りつつまったく植えずに放置しているケースがあまたあることが知られだした。山奥の現場なんか誰も調べに行かないと思っての犯行だろう。事実、所有者だけでなく、再造林を前提に伐採届を受理した自治体も、誰も伐採後にその山に足を運ばない。そして数年後言ってみたら、何も生えていなかった……。

そういう際の言い訳は「シカやイノシシが食べてしまった」だ。いや「植えたけど根付かずに枯れた」と言っても、その嘘を証明するのは難しい。その場合、一度は植えたから罪にはならない。補植する義務もない。私自身は、そんな誤魔化しが全国の皆伐現場に蔓延していると想像している。

なお、当たり前だが、盗伐現場でも再造林が行われていない。こうしてはげ山が増えていく。

 

やはり、今の林業現場に必要なのは、伐採届の受理時と伐採終了後に現場に足を運んでチェックする検査体制の確立だ。そして再造林の終了を届けられても現地に足を運び確認するべきだ。もちろん担当者は、フォレスター的な森林知識と権限を持っていること。残念ながら林業関係者に性善説は通じない。徹底的に性悪説に則って巡検すべきではないか。

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宮崎県某所をグーグルマップで見ると、道から奥に分け入って広く伐採した現場が多い。こういうところは世間から見られずに伐りたい放題なんだろうな、と思わせる。

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道沿いに、ここまで山をズタズタにしている現場は、逆に合法的なんだろうな、と思わせる(笑)。いや、(泣)。

 

 

2019/10/28

世界最古の植林は、いつ、どこか。

「森と文明」(ジョン・パーリン著・晶文社)という本が手元にある。とりあえず買ってしまったが、分厚いのでなかなか読む気がしない。

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とはいえ、パラパラめくって気になる箇所があった。挿絵だ。

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これは現イギリス王立教会のジョン・イーヴリンが著した林政報告書にあったらしい。「森-林木論と国王陛下の領土における木の増産」である。提出は、1662年、出版は1664年だそうだ。

その挿絵に「この図は、植林の様子を描いた、おそらくはじめてのものと思われる」とある。この「はじめて」なのはイギリス領土という意味だろうか。いずれにしろ、ここに図になるわけだから、実際の植林はそれより少し前だろう。

これまで日本では、林業的に植林を始めたのは吉野で1500年ということになっているから、それより古いと自慢?できるのだが……気になって、少し調べてみた。

すると、神聖ローマ帝国時代のニュルンベルクの「帝国の森」で1368年に種子を蒔いてマツとモミ、それにシラカバを育てた記録がある。だが、これより前にはドレスナーハイデで種子蒔き植林をしたことが報じられていた。(こちらの年代はわからない。)

いずれにしろ1300年の初めごろには植林が試みられたのだ。

残念ながら、日本が世界最古と言い張るのは難しくなったようだ。ともあれ植林は育成林業、つまり近代林業の出発点。ある程度、年代を割り出しておく必要がある。もっとも萌芽更新による森づくりや、種子も苗も植えずに生えてくるのを待つ天然更新に期待する動きも強まっているので、どこからが育成林業とするかという問題も控えているけれど。

 

2019/10/27

興野家文書と林業技術のアレンジ

縁あって、「興野家文書」の資料をいただいた。

「興野家文書」とは、日本の林業遺産第一号になった「太山の左知」(とやまのさち)の興野隆雄(1790~1862)および興野家に関わる文書である。
興野家は、現在の栃木県那須地方にあった黒羽藩の重臣で、なかでも5代当主隆雄は林政家として知られる。傾いた藩政を立て直すため植林を進め、財政を立て直した。その経験をまとめたのが「太山の左知」である。太山とは太い木が生えている山を示し、左知は幸のこと。

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隆雄はもともと江戸に住む幕臣の息子だったが、幼いころから樹芸を好み、植木屋で「種樹の法」を学んだという。黒羽藩の興野家に養子に入ってからも山林育成に熱心で、家臣や雇用人に任せるのではなく自ら山に入った。そして吉野にも視察に訪れている。

吉野林業を学びに行ったとすれば、おそらく川上郷大滝村に訪れただろうし、そこでは土倉家を訪問したのではないか、と想像を膨らませる。年代的には、土倉庄三郎の父・庄右衛門に面会しただろう。晩年なら若き庄三郎とも顔を合わせている可能性がある。(庄三郎は1840年生まれ。15歳で家督を継いでいる。)

ただ、吉野林業方式をそのまま持ち帰ったわけではない。実際に「太山の左知」に記されているのは、
1、樹下植栽
2、疎植
だからだ。一般に日当たりのよいところに植えるスギを、ほかの樹木の陰に植える方が活着しやすいというのは土壌水分の差だろうか。そして2間(約4メートル)間隔の植栽というのは、吉野の密植とは真逆で、早く肥大成長を進めて太くするという育林法だ。あくまで大径木を育てるのであって、木目を密にすることはめざさなかったようだ。

そのほか細かな点はさておき、吉野に学びつつ、吉野方式を丸ごと取り入れるのではなく地元の状況に応じている。それは立木売りが主流で、地元で製材や商品化はしていなかったことも影響しているのではなかろうか。

思えば明治になって、林業は「吉野に学べ」と吉野式の林業を教えるために庄三郎を筆頭に吉野の林業家が各地を出向いた話が多くあるが、実際に吉野式の林業が根付いた土地はほとんどない。せいぜい天竜ぐらいではないか。土地の条件が違えば、盲目的に真似ても根付かないのである。

現在の林政はすべてが画一的。1か所の成功事例(本当に成功かどうかも疑わしいが)を全国で真似させようとして失敗を繰り返している。それをもっとも推進しているのが林野庁なわけだが、ほかにも自分の体験を元に「このやり方が一番。このようにすれば林業は復活する」と声高に唱える意見が散見される。もっとも林業をわかっていない証拠だろう。

必要なのは成功事例のエッセンスを学びつつも、それをいかに土地に合わせてアレンジするかだ。それも目先の条件ではなく、広く地域も時間軸もとって考えねばならない。画一的な真似をするようでは、200年前の興野隆雄の境地にさえ達していないということだ。

私も、改めて過去の日本各地の林業技術について学んでみたく思う。かつては実にさまざまな形態が花開いていたようだから。

 

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