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森と林業と田舎の本

2022/09/30

新聞に「山崩れと林業政策の関係」

朝日新聞に「てんでんこ」という災害関係の連載が長く続いているが、今週は「山が崩れる」シリーズ。

この記事の出色なのは、はっきり林業との関係、それも林政問題に触れた点だ。

これまで単発で、「山の人工林が皆伐されたから山が崩れたのでは」といった記事はあったが、その背景に林野庁の「林業の成長産業化政策」や「木材自給率50%をめざす」「平均林齢の若返り=皆伐再造林」といった政策があることを記した新聞ではなかったように思う。
記事の内容を個別に見れば、多少不満もあるにはあるが、とにかく書いてくれた\(^O^)/。

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一応、ネット先のリンクを張っておくが、有料記事なんだよな。。。「てんでんこ」

なお皆伐してもすぐ崩れるのではなく、根株が腐る10年~20年後が危険と指摘する。(私が学んだところによると5年から崩れだす、というものだったが、地質や地形などケースバイケースだろう。)
つまり皆伐が全国に拡大し始めて約10年が経つ今、もっとも危険な時期を迎えたことになる。今後、皆伐地、とくに作業道が縦横無尽に入った山は相当危険だろう。ちなみに記事には「崩れにくい工法を学び、実践している。しっかり排水措置も取ったが、想定を上回る大雨が降ったのが一番の原因」と皆伐した業者の弁解を載せている。こんな言葉信じられんよ。どんな工法なんだ、皆伐しても崩れない工法って。だいたい結果責任だよ。崩れたら責任とるべきだ。

なお、私がさらに許せんのは、こうして山が崩れた後の復旧工事は公共事業として税金で行われること。施業者にも負担させるべきだろう。そうしたら怖くて皆伐なんかできなくなるから。

私がチマチマと雑誌やネットに書くよりは、影響力があることを期待する。

 

2022/09/12

国産材の「安定供給」試論

林業振興、あるいは日本林業の弱点という話題になると、「国産材は安定供給ができない」という意見が出る。

ようするに注文する側(木材消費側)からすると、木材が欲しいときに、どこそこの業者あるいは市場が、さっと供給してくれるのを願っている。注文したときに、いつも同じように在庫がないと使いにくい、だから外材に流れる……という意見である。いつでも注文したら、さっと揃えて納品してくれるのなら国産材を使うよ、と言いたいらしい。

そこで対策として国産材の供給力を増やす、大量供給することで品切れを抑えるという発想になるのだろう。それが安定供給だと。

まあ、たしかに国産材が安定供給できていないのはその通りで、それが国産材需要が伸びにくい理由の一つなのもその通りだと思うが、その対策が大量供給というのは安直ではなかろうか。

「安定供給」を文字通り捉えたら、出荷量が安定していること。毎年、季節にこだわらず、できる限り同量出荷されて在庫もあることだ。

だったら、何も量を増やすことと同義ではない。出荷量を安定させればよいのなら、林業現場(事業体ごとか、市場など産地レベルか)で計画的な生産をすれば、可能である。むしろ闇雲に増産して供給力を増やしたら、常に在庫を多く抱えることになり、それは値崩れを起こしかねないし、少なくても在庫コストが上がる。また大量生産は林道・作業道の開削や機械類の購入、人件費……などのコストも上げる。そして資源量の減少と山地崩壊の頻発も招きかねない。

一産地の生産量が小さくても、そこからは常に一定量が出荷されることを周知させれば、発注する側も計算できる。そこだけで足りなければほかの産地と抱き合わせることで量を確保すればよい。ちゃんと、どこにいくら在庫があるか、という情報を告知されていれば融通できる。どうしても足りない分は外材でもよいが、スポットで購入せず計算して輸入すれはよい。山側もその方が供給側もコスト減になって利益を確保できる。

そうなれば国産材全体の生産量を増やさなくても、確実に品は捌ける。むしろ供給量が絞られた方が、売り手市場となり価格決定権を手にできるだろう。それなら外材を頼ると言い出す建設業者もいるだろうが、今や外材自体が手に入りにくくなっている。価格も高い。そんなに思い通りにできないのだ。使用するのは国産材か外材か、はたまた鉄筋コンクリートかと悩むのは発注側に任せておこう。林業側が言いなりに増産しなくてよい。むしろ売り手市場にすべく駆け引きしなくてはならない。

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OPEC(石油輸出国機構)は、常に原油生産量を、世界の需要量の少し少なめに保とうとしている。その方が高値を維持できるからである。現在、ロシア原油の禁輸を進めたことで石油が足りないと欧米はOPECに圧力をかける……いや、増産をお願いしているが、なかなか応じないのは、まさに駆け引きしているのだ。最大の産油国サウジアラビアは、アメリカの懇願で多少の増産はしたが、景気悪化で石油需要が減少しそうと読むと、すぐに減産に切り換えた。したたかである。

木材が高値で困る、という買い手、つまり建設業界の言いなりになる必要はない。むしろ「40年前は、今の5倍した」と脅せばよい。

各社バラバラで疑心暗鬼の塊の国産材市場に、そんなディールは望むべくもないが、決して増産だけが安定供給ではないのである。

そして木材生産量を絞ることは、森を大きな炭素の在庫に仕立てることである。(木を伐らないとCO2吸収量は減る、なんて林野庁のデタラメを信じてはいけない。)伐採量を減らし皆伐を少なくすれば、森林生態系は守られ、生物多様性の維持、山地崩壊など災害の防止にも貢献するだろう。

ま、そんなこと論じても、自分は損したくない、自分だけ儲けたい……と業者は連帯などどこ吹く風と抜け駆けするのだろうけど。。。

 

 

2022/09/06

FSCジャパンの正職員募集

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FSCジャパンより、こんな案内が届いた。

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森林認証制度であるFSC(森林管理協議会)の日本支部、FSCジャパンの正職員募集である。詳しくは、リンク先へ。資格としては英語を含むコミュニケーション力は必要とはいうものの、日本各地に加えて海外出張も盛んなよう。森林や林業に関わりたいが、今の現場に腐っている人には魅力ある職場ではないか。

私が応募するつもりはない(^^;)。働きたくないし。そもそも「書類はパスワードをかけて」送れとあるが、私にはメールへのパスワードの掛け方がわからん(泣)。この点で、スキル不足だ。

というものの、実はこのところ何かと森林認証と縁がある。10月末には某地域の森林認証協議会で講演を依頼されている。

日本への森林認証導入時は、私もしゃにむに勉強したのでそれなりに詳しかったのだが、最近の事情は少し疎くなっているので、改めて調べている最中だ。なかには不都合な真実に触れることも……。

現在の日本では、FSCとともにPEFCの二本立てになっている。日本独自のSGECも、PEFCに加入することで世界的な認証の仲間入りになった。これによって内容もそこそこ変わったようだ。しかし、全体に低調になってきたように感じる。具体的なメリットがいまだに見えず、また活かそうとする動きも鈍い。日本人は、認証に対する意識が低いのかもしれない。それだけに広報の役割を、もっと強化しないとマズいだろう。手取り足取り教えないと動かないのだよ、日本人は。

 

2022/09/01

林道補助率の改定が狙うもの

たまには、林業政策の速報的、真面目な記事も書いてみよう。

林野庁は、林道の拡幅工事など改良工事を行う自治体への補助率を、これまでの3割から5割に引き上げる検討を行っているそう。
具体的には、林道の「幹線」から枝分かれする「支線」「分線」の補助率だ。幹線の改良補助率は5割。その他は3割というのがこれまでの比率だった。そこを支線や分線の改良補助率も5割にしようということだ。2023年度予算概算要求に関連経費を計上しようとしている。

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ちなみに全国の林道の長さは、19年度時点で合計約13万5000キロメートルだという。随分増えたように思う。私の学生時代は10万キロ行っていなかった記憶がある。なお、あくまで林道だから、作業道は入っていない。あ、写真はどちらだろう(^^;)。比較的立派な道だが、作業道の可能性もあるな。撮影時は確認していなかった。

林野庁は、25年度までに国産材供給量を4000万立方メートル、今よりざっと1000万立方メートルも増やす目標を立てている。そのための林道整備なのだろう。

でも、おかしいな。毎年木材需要は減っていたはずだけど。自給率を上げるために国産材の生産量を増やすという理屈は、本末転倒のような……。外材か減る当てはあるのか。下手すると在庫がだぶついて材価の暴落を招く危険な政策だ。

また林道の改良とは何か。幅員を広げるというのも何メートル幅を考えているのかわからないが、大型車両を通れるようにするのが目的だろう。巨大トラックを入れて木材搬出能力を高めるわけだ。しかし現在の林道は耐えられないから、法面強化や土場や排水施設の設置といった改良や、路面の舗装などを施すらしい。

路面を強化するのはよろしいが、幅員を広げるのは難しい地質の山もあるよなあ、路面の形状も変えないと。幅広くした林道は崩れやすくなる。大規模崩壊を招くかもしれないし、小規模でも常に修復が必要となればコストが跳ね上がり稼働率は落ちる。
補助金出るから必要ないけど太い道を入れよう。そんな声を聞いたこともある。逆に幅広い道でないと補助率が悪いから無理やり広くした、なんて例もある。無駄金と崩壊が増えるだけ。

私は、作業道はフォワーダを走らせ、林道とつながる土場でトラックに積み替える作業は、搬出の効率を悪くするように感じている。いっそ,公道を走れるフォワーダを作った方がよい。いや作業道を走れるトラックであるべきか。

一方で,単価の高い木を数本だけ伐り出す林業もよい。高利益で山の蓄積は減らない。林業とは出す木材量を競うコンテストではなく、儲けを増やすビジネスなのだから。

林道も、その原則に忠実であってほしい。

2022/08/29

FORESTRISEで本を売りたい

FORESTRISE(次世代森林産業展)のHPを見ていた。9月14日~16日に東京ビッグハットで開かれる国際見本市である。

ここにどんなブースが出展されるのかと見ていると、フランウッドのニッポニア木材が出展していた。フランウッドの実物見たい人、ここに行けばいいですよ。

で、フォレストジャーナルも出展している。そういや19年の長野では、『絶望の林業』を売りまくったのであった。その際に創刊間近のフォレストジャーナル編集部の面々に手伝っていただいたことはよい思い出だ。300冊くらい売ったんだっけ。思えば出版直前だったのだよ。店頭にナラ部前にこんなに売ったのだから勢いがつく。これだけ売れたのは皆さまのおかげです<(_ _)>

どうせなら今年は『フィンランド 虚像の森』を売れないかなあ、誰か販売ブースを貸していただき売ってくれないかなあ(他力本願)、と思っていたら、なんとフィンランド大使館も出展していた! しかも3日目にはセミナーまで開いているではないか。

バリューチェーンに基づく正確かつデジタル化された森林データの活用についてフィンランドは、森林から消費者までの林業活動を強化するため、正確かつ視覚的なリモートセンシングデータを利用するなど、高性能なデジタルスマート林業を上手に運用していることでよく知られています。本講演では、世界中のデジタル化された林業バリューチェーンの一部として、リモートセンシングにより取集したデータを日々の業務にどのように活用しているのか、林業に関わる4名の講師が紹介します。

ここで、『フィンランド 虚像の森』を販売したい! ……無理だろうなあ(^^;)。

そして思い出したのが、こちらの記事。

フィンランドに学ぶ、森林資源の「サーキュラー」な使い方

こちらもフィンランド大使館商務部が登場するのだが、そこで林業のデジタル化、サーキュラー(循環)化を謳っている。森林の知財売りなんて興味深い。木材によるバイオプラスチックなどもあるが、『フィンランド 虚像の森』によるとまだ研究段階。全然経済に乗っかっていないとのことである。しかし、果敢に新ビジネスを研究している点は伝わる。

ただ、そこで気がつくのだ。林業の経済化は、必ずしも森林のサーキュラーにはつながらないことを。むしろ林業が盛んになればなるほど、森林を過剰利用してしまうことに。これは経済学というより心理学、あるいは行動経済学の範疇だが、人は成功すると止まらない止められないのである。適度に抑えることの難しさは古今東西の経済の歴史が示している。

ならば、日本のように林業が衰退していく方が、結果的にサーキュラーエコノミクス(循環型経済)になるのではないか。。。。ダメダメの産業ゆえの良さもあるのではないか。

反論はあるだろう(笑)が、本当に論理的に崩せるかな。人が手を入れないと森はダメになる、なんて手垢のついた論法はダメだからね。もう否定されている。

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フィンランドに残された樹齢700年の木々のある森

 

 

2022/07/19

「他人の山でも蔓を切る」?

実は、土倉庄三郎の本の改訂版を出そうとしている。『森と近代日本を動かした男 山林王・土倉庄三郎の生涯』(洋泉社)を出版して10年、書き上げたときは、もうこれで書き尽くしてオワリのつもりだったのだが、その後次々と新しい事実やエピソードが浮かび上がってきた。それらを追いかけると、また違った庄三郎翁像が見えてくる。本は絶版になって手に入らないことから福製本として『樹喜王 土倉庄三郎』(芳水塾刊)を出版したのが、2016年。百回忌の年である。だが、こちらもそろそろ品切れ。

そこで、全面的に書き改めて新たな本にしようという目論見なのだが……。

庄三郎は「木を育てるのにどんな肥料を与えたらよいですか」という質問に対して、「これだ」と見せたのが腰の鎌だったとか。山に通い、苗の周りの草を刈ることで木の成長を促す。刈った草を苗の根元に置くことで肥料となる、と説明した。さらに「山で木に蔓が巻きついていたら、それが自分の山でなくても伐ってやる。それで、その木が大きく育ち国を富ませることを思えば、なんと楽しいことか」と言ったとかなんとか。

 

さて、先日の吉野の山の余祿。葉枯らし乾燥している現場のすぐ側にあったスギの木。

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なぜか、この木だけ蔓が伸びてしまったのだが……。なんだか見事な装飾ぽい。しかし、蔓が巻きついたら育ちが悪くなるだろうか。いや、もしここまで大きく育ったスギには関係ないかなあ……。が、そこで土倉庄三郎の言葉を思い出したのである。

他人の山でも蔓を切ってやるべきか。

ええと。これから車までもどって、積んである鎌を取り出して、また山を下って蔓を切ることは国を富ませるよいことでしょうか。

へたれの私は、結局放置したのであった。。

皆さんはどうする?

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2022/07/18

続・業界脳……でなく業界ノウ?

昨日の葉枯らし乾燥について新事実がわかった。

というのも、昨日のエントリーを読んで吉野の林業家から電話がかかってきたのだ。そして教えてくれた。あの葉枯らし乾燥、目的は杉皮なんだそうだ……。

今や実(丸太)は金にならん、皮の方が高く売れるのだそう。皮剥いたついでに葉枯らしする?

そういや、たしかに杉皮がていねいに積んであった。風のせいかブルーシートがめくれていたので気づいたのだ。ちなみに写真撮影後にかけ直しておきましたから。

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杉皮の需要が増えたわけではない。ただ寺院や数寄屋づくりなどにはコンスタントな需要がある。しかし杉皮そのものの生産がこのところ細っているのだ。だから高値が見込める。

これは業界脳ではない。むしろ業界通だろう。しっかり山からの生産物の需給と値動きをチェックして入ればこその生産計画だろう。目先の木材市場だけでなく、広く世間の売れ筋を知ることで可能になる。

もちろん実も売れるはず。皮を剥いた状態で葉枯らしすると、表面にヒビがいって値が下がるそうだが、杉皮と併せて売り物とすればそれなりの収入になる。天然乾燥の吉野杉、芯がほんのり赤く染まった材もそれなりに需要はあるのだから。

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葉枯らしの際の皮むきは、こんな形にするのか。これは現場のテクニックか。業界脳? いやこれは業界ノウハウ(^o^)。

 

 

 

 

2022/07/17

葉枯らし見て気づく業界脳

朝、突然思いついた。山へ取材に行こう。

天気予報では、今週はずっと雨マーク。今日は晴れだが、明日から崩れだす。このままでは取材に出る日が決まらない。確実に晴れるのは今日だけか。明日早く出て午前中に済ませるとか? しかし曇天だと写真が映えない。せめて写真だけでも……。

と思い急遽出発したのである。が、今は3連休中だったのだね……。渋滞に巻き込まれて、片道2時間の予定が3時間近く。

しかも山村は空いているに決まっているという私の概念をぶち破る混雑ぶり。みんな行楽なんだ。。。

それでも目的地は誰もいなかった。だいたい私が観光地を取材するわけないんで。

で、帰りは山越えマイナールートを取ったのだが、それでもよく車やバイクとすれ違う。狭隘な道をバックするのを嫌がる手合いが多いので、こっちがバックさせられる。ちょっとうんざり。

そこに、ふと目に入ったのが、吉野杉の葉枯らし乾燥の現場だった。

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久しぶりに由緒正しい?葉枯らしを見たよ。ちゃんと木は山側に倒して、元口を切り株に乗せて、樹皮を剥いて。

思わず感激して車から降りて写真を撮る。この方法で天然乾燥すると、渋が抜けると言って芯材部分が赤くなるとか、山側に倒さないと乾きが遅いとか、伐倒して元口を切り株に乗せるのが腕の見せ所とか、スギ皮を剥くのはアオキの枝がよいとか……。

そして、気づいた。これって、業界脳??

業界脳とは私が名付けたのだが、業界内だけの価値基準で判断してしまうバカのこと(笑)。私は常々、業界脳になっちゃダメだ、業界内ではよいことだ、美しいだろう、これが正しい……と思っていることは一般人には通じないぞ。その勘違いが業界を衰退させる。常に外野のつもりで眺めるのだ、と言い聞かせている。
本当に葉枯らししたら、木材としての質がよくなるのか。芯が赤いのは美しいのか。それは高く売れるのか。問い返さないと。

それなのに、葉枯らし乾燥のスギを見てつい喜んでしまったのは「業界脳」だね(> <;)。ああ、俺も染まってしまっていたか。

……でも、一目見て、車から飛び下りてしまったよ(泣)。

2022/07/05

分断の林業-建築をつなぐもの

たまには、自分の書いた記事を紹介しようか。

オルタナ2022・7月号(69号)に連載中の『「森を守れ」は森を殺す』では、

林業は「分業」から「連携」へ

と題して、新しい動きを紹介した。もともと日本の林業がドツボなのは、各分野ごとに情報が寸断されていて、無駄ばかりだしていることと指摘してきた。おかげで木材の歩留りは悪化の一途だわ、管理マージンが膨れ上がるわ、チャンスロスと在庫ロスが詰み上がるわ……。育った木(バイオマス)のうち商品になっているのは、実質1割ぐらいではないか。

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それをつなぐために様々な試みはされているが、結局大成功とはいかない。やはり第3者がしゃしゃり出て間を取り持とうとしても無理なのではないかと思わせる。

そこで各人の努力に目を向けたい。取り上げたのは、まず自伐林業。自伐型林業ではないことに注意。あくまで森林所有者が自分の山を自分で伐るタイプだ。自伐型なんてわけわからん言葉使ったって、請負になったら山主とは乖離する。山主自ら動けば、少なくても上流の山主-素材生産-搬出まではつながる。山主ならやる気次第。

次に林地で行う製材。言い換えると、林業家自らが製材に乗り出すやり方。もちろん設計士、工務店から情報を得て、必要とされるサイズに山土場で造材から板、角材までしてしまう。幸いい、移動製材機はどんどん登場している。さすがにモルダー掛けやプレカットなどは後で専門工場でやればよい。
すると、これまで傷がある、曲がっているなどとB級品扱いしていた木も、サイズによっては十分に活かせるし、歩留りを上げることができる。しかも製材品は山で天然乾燥させてから搬出すれば、随分軽くなって燃料費も浮くというものだ。林家・素材生産業者レベルで取り組める。

そして大型パネル。これは工場で家をパネル化してしまう方法。現場では、パネルをつなぐだけ。大工の効率がよくなり、作業も楽になる。それ自体は建築業界の要望なのだが、そこに山側の人(林業家、森林組合など)が参入することで、一気に山に還元される収益を増やすことができる。必要な建材をすぐ調達できるうえ、木材以外の建材も仕入れから扱うので、マージンがいただける。森林組合などが取り組めば利益も大きくなる。

さて、どこの地域はどれを採用するか、はお好きにしてほしい。それぞれ主体の規模が違う。少なくても行政は関係なく、自らの利益を上げるためにやる手法だ。別に地域上げてやらなくてもいいし。やったところだけが儲かる。やる気のないところが切り捨てられるのがよいところ。

いずれも情報が生命だから、各段階の情報収集をきっちりできることが最重要だ。

 

2022/06/12

中国の植林方法は、誰が教えたのか

梅田のサントリーウイスキーハウスで中国の専門家と会って、飲みながらいろいろ話を聞いたのだけど、こんな話題が出た。

中国の東北から西域では植林が盛んに行われている。日本人がわざわざ金を払って植林に行くツアーもある。ただ、見ると植林する予定地だけが砂漠になっていて、その周辺には緑が茂っているのだという。つまり日本人が来るところだけ、わざと砂漠にしている?

さらに植え方がヘンだと感じたそうだ。まず、すでに生えている在来の樹木や草木を全部刈り取り、何もない裸地にしてから苗を植える。
たいてい乾燥地帯なので、そんなことをしたら土地はますます痛めつけられる。半砂漠では、表土を少し掘ると、うっすら湿っていて水分があるものだ。ところが、その表土を耕してしまうと乾燥が進み、土が風に飛ばされて失ってしまうのだ。それが黄砂にもなる。

しかも植えるのが外来種であることも多く、必ずしもその土地に合うかどうかわからない。ポプラのような水を多く吸い上げる樹種だと、いよいよ環境破壊になるだろう。つまり日本人の植林ツアーは中国で砂漠を増やしているのだね( ̄∇ ̄) 。

ここで気になるのは、こんな植林の方法はどこから伝わったのか、誰が教えたのか、という点。その質問に驚くべき答が返ってきた。

日本人なのだ。それも戦前である。日本が満州国を作り上げ、大挙して移住したが、そこで森林を伐採して開墾して農地づくりが進められた。満州が原野という景観になったのは、この時代なのである。さらに日本人だけでなく、ロシア人や漢人も含めて、鉄道を敷いては、その線路周辺を切り開いた。かくして満州では、ほとんど森林が消えた。
ただし林業関係者もやってきて、伐った跡地に植林することを教えた。その方法が、従来の表土に生える草木を全部剥がして植えること。
その流儀が満州⇒東北部に残り、今の中国人も同じ方法で植林をしているのだという。つまり日本の植民地林業が、今も中国の自然を破壊していることになる。

では、日本人の行う植林方法はどのように身についたのか。それは明治以降に主にドイツから持ち込まれた技術だった。

いわゆる土地収益説に基づく法正林づくり、つまり木材栽培業である。

なんと、ドイツでは廃れた古い林学が、日本を経由して中国に残っているとは。日本も、いまだに法正林思想から抜け出ていないが、まだ湿潤な日本列島ならなんとかなる面もある。だが、乾燥地帯では恐ろしい結果を生むことにならないか……。

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燻製盛り合わせのオードブル。まったり飲みました。

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