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森と林業と田舎の本

2019/08/17

林野庁マンガ「女神コウリン」

突然だが、ブログのデザインを変えた。と言っても、これまでの図案テンプレートが、来月には使用できなくなるかもしれない、という案内が来たから。うちのが該当するかどうかもはっきりしないが、ここ数年変えていない気がしたので、新しくすることにした。もっとも、従来のテンプレートの流用だから、あまり変わらない。そのうち思いっきり斬新にしようかと思うが……。


さて、林業界の広報にもイラストやマンガが多用され出した。とくに林業マンガがよく登場する。これは、たまたま林野庁の女性職員の中にマンガを描く人がいたからだ。その一つが広報誌RINYAで発表された「お山ん画(おやまん が)」だ。その紹介もした。

これを描いているのは平田美紗子さんだそうだが、今年4月に北海道森林管理局に異動したそう。こちらの企画課事業企画係長なのだが、本庁の林野図書資料館にも籍を残すとか。これはマンガを書き続けるだめだろう(^^;)。

で、今回連載を始めたのが「林業のススメ」
テーマは高性能林業機械(通称コウリン)に焦点を当てている。そして主人公?が「女神みどり」という女性。つまり「女神コウリン」。降臨でも光臨でもない。その機能を解説しながら、林業の現場を紹介する。。

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ほかにも何種類か、林業マンガを書いているようだ。詳しくは、林野庁ホームページのイベント情報欄


最近は、さまざまなニッチな職業をマンガに取り上げるのが流行っているのだから、林業を舞台にしたマンガが登場してもよいはずなのに、イマイチありませんね。書き手が林業を知らないのか、取材も難しいからか。
ちなみに私も林業マンガの原作を提案したことがある。調べたら10年も前だった。

せっかくだから、誰か『絶望の林業』をマンガ化してくれないかなあ。いかに林業界が理不尽で不条理で危険で、暗黒面に満ちているかを描く。タッチは絶望感の溢れる諸星大二郎みたいなのがいいわ。

 

 

2019/08/13

空撮・謎の帯状皆伐?

友人のカメラマンが、九州へ空撮に行き、そこで見かけた写真を送ってきてくれた。

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なんだかわかるだろうか。佐世保市里見町上空だそうである。よく見ると、貯水池?上の森が妙な形に伐られている。

拡大してみよう。

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見事に列状に伐られている。ただし間伐というには幅が広すぎる。さらに拡大すると……。

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おそらく伐採地の幅は数十メートルになる。跡地に造林も行われている。
あえて言えば帯状皆伐だろうか。漸伐……順次、皆伐をしていくやり方かもしれない。これぐらいの幅があれば、苗にも光が射し込んで生長するかもてしれない。複層林化を狙っているのだろうか。ただ伐採跡地に植えた部分は一部ではげているから、成績はあまりよろしくないように思える。植えた本数も少なめ。疎植だろうか。
これを施業として行ったとは思いにくいので、何かの実験地だろうか。主体は、長崎県かな。簡単に検索してみたが、この伐採地に関する記載はネットでは見つからなかった。

せっかくだからグーグルマップでも見てみた。

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かなり整然と、意図的に伐採したことがわかるね。さて、なんだろうか。ご存じの方は教えてください。

 

2019/08/05

違法伐採対策「timflow 」と一知半解

先日、奈良で 某会合があって出席した。ここで総合商社の木材調達部門の方が話をすると聞いたからである。

木材調達と言っても基本は外材の話なのだが、話されたのは伊藤忠建材の元担当者で、現役の社員の方も参加されて補足してくれた。

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そこでは北欧の話が多かったが、ルーマニアの建材の話を出た。ルーマニアと言えば、私はYahoo!ニュースに「原生林を破壊したルーマニアの木材が日本の住宅に化ける事情」という記事を書いている。そうか、オーストリアのシュバイクホファー社の建材を輸入しているのが、伊藤忠建材であったか。

ただ、そこで紹介されたのが、違法木材対策としてルーマニア政府が実施している「timflowチムフロー」である。

伐採地から製材、そして輸出までの木材流通を監視するシステムだ。申請された伐採量と入荷量を把握して違法材が流入しないようにする手法である。ちょっと森林認証制度CoC認証に似ている。
私は、本当に機能しているのか、4,5年前から実施しているというなら、なぜ今も違法木材が問題になっているのか質問した。

その当たりは宿題となったが、実際にシュバイクホッファー社は現地でもかなり評判が悪いらしい。それを輸入したらアカンでしょう。
もっとも、日本にはチムフローに相当するような木材管理はないのだから、ルーマニア以下である。ちなみに日本の「合法証明」はクズである。泥棒に店番を頼むようなもの。

気になったのは、海外の木材調達では、どこでも違法木材が話題に上がっているという点だ。それは北欧でも同じとか。今や発展途上国だけではないのである。そして「日本でも起きているらしい」とWedgeの記事を持ち出されたが、「あ、それ書いたの私です」。(笑)。

ともあれ、違法木材の横行とその対策はどこの国でも課題のようだ。日本では対策そのものが取られていないわけだが……。


ちなみに出席者は建築系の人が多かったのだが、そのためか「日本の森は伐らないから荒れている」という意見の元に「だったら、もっと伐ってほしい。国有林の保安林を外して伐らないのか」という意見が出たのには驚いた。「盗伐でもいいから、伐ったら森がよくなるんじゃないの」とまで。

単純に日本は木が余っている、だったらしゃにむに伐れ、盗伐だっていいじゃないか、という発想になるのか。おぞましい。

商社にしても、国産材を扱いたい気持ちはあるようなのだが、なぜ国産材が十分に出回らないのか事情をほとんど知らないらしい。価格も「日本の山は急峻だからコストがかかる」と単純化してしまっている。南ドイツやオーストリア、スイスなどの林業地は山ばかりだよ。北欧だってノルウェーは山がちだし。そんな感覚的な情報で国産材業界に手を出したら、痛い目に合うだろう。
木材商社が当地の林業事情に詳しいわけではないわけだ。

結局、一知半解というか、勉強不足も甚だしい。そして反知性というか無知性な意見が飛び交うのも虚しい。

 

2019/08/04

長野でお会いした人々に

次世代森林産業展2019では、多くの人に出会った。交換した名刺だけでも数十枚になる。それを整理していて、名刺ファイルを改めて購入しないといけないことに気づいた。

講演が終わってから、あるいは書籍販売ブースで声をかけてくださった方々。そこでちょっとした自己紹介と意見交換をしたわけで、それなりにためになる情報がいっぱいあった。私が紹介した「絶望」の次の「希望の林業」にすでに取り組んでいますという人もいれば、アドバイスを求められるケースもあった。皆さん、熱心だ。こうしたイベントに参加する人は、基本的に意識が高いのだろう。

ただ、ここで皆さんに感謝するだけで終わっては私らしくない? ので、あえて苦言を呈しておこう。

話した中には、宮崎の盗伐問題に言及する人が少なくなかった。講演でも触れたし、何より私がここ1~2か月、もっとも力を入れて取り組んできた報道だからだろう。なかには宮崎県から来られた方もいた。それなりに気になる情報ではあったようだ。

そこで気になるのは、みんな自分事に置き換えていないように感じた。「うちの地元では起きていない」とか、「関東が管轄なので九州のことはわからない」といった言葉ばかりが出る。自分の担当区域でなかったら平気なのか?

本気で盗伐が悪いこと、林業界にとって由々しき事態だと認識していたら、いや森林が無残な状況に陥っている点に怒りを感じていたら、自身の管轄を超えて憂慮すべきだし、自らのできることを考えるべきではないのか。本当に自身の地元で起きていないと言えるのか。単に声を上げる人がいない、上げた声を誰かが握りつぶしているからだとは想像しないのか。実は、私は未確認ながら宮崎以外の各地でも盗伐まがいのことが起きていることを耳にしている。
それとも管轄外の地域のことに口をはさんだら縦割り社会では許されない行為として追求されるのを恐れているのか? それが自身の出世や給与に響くから……?

盗伐の蔓延は、確実に宮崎県のイメージを落とし、さらに日本の林業を貶めている。世界から「そんな国」として見られるようになるだろう。それでも、「自分には関係ない」と目を背けているのか。

盗伐だけではない。日々日常の業務で環境を破壊しているケースを認識しているのか。
林業現場の安全管理がデタラメで多くの死傷者を出していることをどれだけ認識しているのか。
何の役にも立たない施策を展開して、税金を無駄遣いしていることに吾に返ることはないのか。

結局、自分が日本の森を(いや地球の環境を)守る一人なのだという意識が希薄なのではないか。自身の立場の維持と森林環境を天秤にかけ、結局は森林に目を伏せて犠牲になってもらうわけだろう。

これが、私が林業に絶望する理由の大元である。

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数少ない、次世代森林産業展で撮った写真。

2019/07/25

ベトナムへの木材輸出の?

日本の木材輸出に関して、私が注目しているのは、ベトナムだ。

貿易統計上は目立った数字にはなっていないが、実は中国、フィリピン、韓国、台湾の次ぐらいに来ているはず。フィリピンは合板輸出だろうから、丸太輸出としてはいい線いっている。ベトナムは、内需ではなく木材加工国として、世界の舞台に立っているのだ。家具、建具、内装材などを世界中に輸出している。今や素材はベトナムや近隣の国だけでは集まらず、アメリカ・カナダから輸入しているが、そこに日本も割り込んだわけだ。

そんな中、今や農林中金が中国四国地方の木材を集めてベトナム輸出していることを知った。扱うのは、主にヒノキ丸太。

その陰には愛媛県森連があるのだが、愛媛だけでは対応できないほど輸出量が増えて、広島、山口、島根、大分、熊本、長崎の6県森連から愛媛県森連が木材を購入していた。そして四国・九州地方の木材は愛媛松山港から、中国地方の木材は島根県の浜田港に集めてから送り出しているそうだ。そして5年で扱い量を10倍にしたという(約3000立方メートル)……しれているか。

ま、ここまでは県森連としては(珍しく)よくやっている、頑張っているなと思うのだが、気になるのは、なぜかベトナムに日本式の木造家屋を普及させようとしていることだ。構造材として利用してほしい、ようするに日本的なヒノキ柱を売りたいらしい。そのために日本の木材加工技術も伝えるという。だからベトナム人の研修生を受け入れているのだが……。今年中にモデル住宅建設を考えているとか。

なんかオカシイ。日本がベトナムの木材の使い道を誘導しようとするのは無理でしょ。ベトナムに日本式住宅なんか建ててどうするのか。結局、構造材の方が量を出せるという発想ではないのか。あちらは世界の市場を見ているのだから。世界は柱じゃなくて板だ。
丸太を送り込んで、お好きにどうぞ、というのは商売としては下手。むしろベトナムの木材加工(内装材)に適した木材を輸出するよう努力して、単価を上げることを考えないと。ベトナムでも森林認証取得業者は増えてきたみたいだ。そのうち「日本の木材も認証つけないと買わないよ」なんて言われるんじゃないか。独りよがりにならないよう望みたい。

 

2019/07/21

ICTもAIも、日本林業にはいらない?

フィンランドのコレクティブ・クランチという企業が、AI(人工知能)を活用した林業マネジメントシステム「Linda Forest(リンダ・フォレスト)」の開発に取り組んでいるという。

「Linda Forest」は、GISをベースにAIによって衛星画像データやセンシングデータ、気象データ、地理データなどを解析して、林業地における森林資源の樹種とその質、量を精緻に予測する仕組み。森林資源の精緻な予測が簡単に得られたら、現地調査をする手間や費用を削減でき、効率よく木材生産をその需要に結びつけられるから、材価も上がり無駄が出なくなる可能性がある。

……というニュースがあった。フィンランドの林業産出額は年間750億ユーロ(約9兆1400億円)で、GDPの4%以上。そんな基幹産業だから、最先端技術が惜しみなく投入されているなあ、という感想を持った。
ただし、ここでAIによって林業がどのように変わるかと予測するつもりはない。

先日、テレビで久しぶりに「サマー・ウォーズ」を見て~世界を網羅するネット上のOZシステムを暴走したAIが破壊する~設定に感心した。実は、初めてこのアニメを見たとき(10年前)は、OZシステムやらAIがしっくり来なかった記憶がある。現在(2009年)からかけ離れた設定だったからである。それが今回はすっかり馴染んでいた。まだ現実世界が追いついたとまでは行かないけど、それなりに「あり得る世界」と認識できるようになったからだろう。

世界の林業は、すでにICTの時代となった。情報通信技術で生産と消費が結ばれている。ハーベスタに乗りながら、木材の市況を聞いて高く売れそうな寸法に造材することも行われている。そしてAIへと進歩しつつあるわけだ。

そこでハッとした。ICTの導入どころか、日本の林業はいまだに重厚長大な巨大林業機械を信奉しているのだ。ようやく今後はドローンを活用して……なんて言っている状態。ICTの輪郭に触れた程度か。いや、ドローン活用なども研究レベルで実用的に使われている現場はほとんどない。スマホで材積計算! なんて技術も全然普及していない。一時は登場したネットの木材市場も低調なまま。

だからAIを林業に……なんて言えるレベルに達していない。入れたって使えない。いや、AIだって入力すべき情報はあるが、それさえ揃っていないいのだから、AIも匙を投げるか。境界線未確定なのは、AIでも解決してくれないよ。
だから日本の林業現場は人間力で勝負している……のではなく、現場の人間は何も考えず(考えさせられず?)お上の言われたとおりに動かされているのが現在の林業だろう。しかしお上だって、単に思いつき?勘?で計画をつくっている。

私は、そのうちパーソナルAIの時代がくるんじゃないかと思っている。パーソナルコンピュータ(PC)のように個人が自分専用のAIで情報提供や助言を受けて判断をゆだねる時代。それが日本の林業に応用するなら、たとえば林業人に個別の林業AIをセットして人が見た現場やその土地のデータを読み込んで最適の判断をしてもらう。人間は言われるがまま。人間のお上に従うよりましな林業になるかもしれない。

ちなみに小松左京の遺作「虚無回廊」(未完)には、AE(人工実存)が登場する。「実存(Existence)」である。AIをさらに発展させて、自ら「魂を持つAI」となるのだ。もう、人間いらない(笑)。

 

 

2019/07/14

宮崎県の盗伐業者、ついに逮捕

宮崎県の盗伐業者が逮捕された。これはWedge7月号の記事冒頭で取り上げた宮崎県国富町の事例の当時者である。私は、新幹線に乗り換えるホームで聞いた。思わず小躍りしたよ(笑)。

ここでは一報を伝えたNHKの記事を紹介しておく。

逮捕されると、会社名や社長名をようやく書ける。日向市の素材生産業者「黒木林産」社長、黒木達也容疑者である。実は、私は以前から合法・違法にかかわらず素行の悪い会社として聞いていた。南九州に広がる100ヘクタールを超える皆伐を行ったり、各地に広がる荒っぽい作業を行った業者としておそらく10年以上前から知られていたはずである。

もっとも今回の容疑で立件されたのは7本の無断伐採にすぎない(立件するのは面倒なんだなあ、と改めて思う)。しかも容疑は森林窃盗であるが、本当は有印私文書偽造とか、詐欺罪にも相当するはずだ。今回の現場だって実際に伐られたのは何百本にも及ぶし、さらに多くの盗伐事案を合わせたら何千本、ほかの業者の行った盗伐を含めたら何万本にもなる。まさか7本分だけで済まされたら、たいした罪にならないだろう。あっさり執行猶予がついて釈放されるのではないか。そんな程度で幕引きをさせてはならない。


もう一つ重要なのは、この黒木林産が宮崎県造林素材生産事業協同組合連合会(県素連)の「合法木材供給事業者」に認定されていることだ。しかも国からも県からも助成金も受けていた。この金で林業機械を購入しているのである。早くから問題のある企業とされていたにも関わらず、しっかり「合法木材供給事業者」に指定したのは結局のところ宮崎県であり国であるのだから話にならない。宮崎県は「本県の伐採業者のイメージダウンにつながりかねない」とコメントしているが、何をか言わん、すでに昔からイメージは地に落ちているよ。もちろん林野庁も。「意欲と能力のある林業事業体」(森林経営管理法や改正・国有林管理経営法に対応できる事業体)の中にも、盗伐を疑われている業者がたくさん入っている。これを精査して追放しないと、やり得にしかならない。

もしかしたら、盗伐ができなくなったら宮崎の木材生産量はガクンと落ちるのではないか。。。

 



「盗伐か誤伐かわからない」という言い訳は通用しない。だから「境界線が明確でない問題」「所有者が不明問題」とは基本的に関係ない。

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なお宮崎県の盗伐業者は「我々は逮捕されない」と豪語していたと言う。なぜ、そう口にできたかも興味深いが、同時に「逮捕されたら、全部しゃべる」と(警察側に)脅しをかけているとも聞く。つまり、裏でつながっていたことを話されたら困るから逮捕できるまいと思っていたのではないか。ま、警察も甘くない。逮捕しても全部しゃべらせない(笑)。都合の悪いことはカットするだろう。

この1件だけで収束を図ることのないよう監視を続けたい。

 

2019/07/11

ヨコワとスギ~若年層を浪費する日本

スーパーマーケットの鮮魚売り場に並ぶ刺身の舟。たまに見かけるのがヨコワだ。

ヨコワとは、クロマグロの幼魚のこと。これは関西の言い方で、関東ではメジというらしい。明確な定義はないが、重さ30キロ未満、3歳魚までのマグロの別名だ。マグロも出世魚であったか。30キロ未満というが、実際に出回っているのは見たところ数キロだろう。そんなに大きくない。ただ30キロ未満のマグロは未成熟な個体だから幼魚であり、卵も生んでいないはず。

味は、マグロ(成魚)と比べて脂が少なめで、さっぱりしている。それを好む人もいるが、値段はぐっとお安い。マグロとは肉質が違うことに加え、漁場が近くてわりと獲りやすいうえに、一度に獲る量が多いので水揚げ量としてはだぶつきやすい。それに扱いは雑になって質が下がるから……という。悪循環だ。

以前はそんな幼魚を獲ることはなかった。ヨコワ、メジが一般消費者の手元に届くようになったのは、わりと近年のことだ。

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なぜなら大型の成魚が減って獲れなくなってきたから幼魚まで獲るようになったのだから。しかし幼魚を獲れば獲るほど、成魚になる魚は減ってしまう。だから止める、のではなく、さらに幼魚を獲る……。
それは最近ではサンマでもやってくる。脂がのって大きく育ったサンマが秋に獲れなくなってきたら、なんと漁期を決めずに周年獲っていいよ、と水産庁が言い出したのだ。結果として小さな脂も少ないサンマを春先から獲っている。秋のサンマはいよいよ獲れなくなるだろう。

ちなみに太平洋クロマグロの場合、1980年代に60年代に比べて1/10近くにまで資源量が減ってしまった。その後も低位安定というかじりじり減っているのだろう。国際機関でも資源量が問題になり、2014年からは30キロ以下の小型魚(ヨコワ)の捕獲制限を始めている。日本は本気で守っているのか知らんけど。

……というような記事を読んだ。なるほど、漁業と林業は相似形だな、と思えた。


日本の林業も、同じことをやっているのだ。樹齢数百年、成熟するのに少なくても150年はかかるとされるスギを、50年60年で大量伐採しているのだから。だが、それでは大径木材は得られない。また材質も落ちる木材を出回らせる。ただ量だけを出すから市場でだぶついて価格は下落……。そこで利益を確保するためにより大量に伐る、という悪循環。

森林資源はたっぷりあると言いつつも、実は大径木・長大材はすっかり減ってしまった。材質のよい木材も減少している。大トロ材質のスギは少なくなった。

日本人は、未成熟な資源を無駄に消費するのが好きらしい。そういや国民だって、若年層を痛めつけているな……。

2019/06/21

アジサイと草刈り秘策

これまでタナカ山林の状態を折々に紹介してきたが、今はこんな感じ。

そもそも5年ほど前に皆伐をして、その後の植生遷移を見つめつつ、どの木を伸ばすか、どの木・どの草を刈り取るかと思案してきた。そしてアジサイの移植を続けている。これは数年前から移植を続けてきたものだが、ソコソコ大きくなって花もよく咲くようになってきた。雑木林にアジサイが咲くというのはちょっぴり不思議だが、悪くない。このままアジサイの森になったら有料花園にする構想\(^o^)/。

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実は、2週間前に草刈りをした。道沿いの部分はあえて残して内部を刈り取っておいたのだが、今やその痕跡がない(-_-;)。草ぼうぼう。

先に「除草剤のどこが悪い」をエントリーしたら、それなりに反響があったわけだが、たしかに草刈りはきつい。ただ楽しい面もあって、趣味の草刈りというのはありではないかと思っている。せっせと草を手鎌で刈っていると、気分がハイになる。これが林業となると、毎日夏の間はずっと草刈りになりかねないので悲鳴が上がるわけだが……。

 

ちなみに私は下草刈りの軽減方法の取材も数多くしている。

一つは、盗伐で叩いている最中の宮崎県(^^;)。ここでは林内放牧で草刈りをウシにさせる研究が行われていた。もともと宮崎県は焼畑や林内放牧が最近まで行われていて、今も技術としては残されているのだ。ほかにも隠岐や山口(長門市)など、各地の放牧を取材して回っている。

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結論としては、林内放牧は面白い(^o^)。そして下刈り効果も十分にある。なぜか雑草を食べても杉苗は食べないのだ。おそらく柔らかい雑草の方が美味しいのだろう。杉苗に巻きついた蔓植物をきれいに剥がして食べるのだ。舌刈りという言葉もあった。
実際、きれいになった林床を見ている。電気柵で囲えば逃げない。ただシステムが難しい。ウシを飼育するノウハウと、餌場移動、そしてウシの出荷までがセットだから。

さらにツリーシェルターによる下刈り軽減実験も取材していて、こちらもかなりの効果。ツリーシェルターをしておけば、下刈り回数は半分以下かそれ以下に落とせる。ツリーシェルターは設置に手間と金がかかるわけだが、獣害対策と下刈り軽減を組み合わせれば、十分にペイするのではないかと思えた。

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ま、こうした研究成果はなかなか現場に還元されて実行されることは少なく、除草剤を撒くのがもっとも楽なのね。それに、補助金がないとやらんのだろうけど。

私もアジサイ園にするために、タナカ山林にヤギを放そうかなあ、と思わないでもないのだが。ヤギはアジサイも食べちゃうかもしれん。

 

 

2019/06/20

宮崎県の盗伐現場3

誤伐か盗伐かどちらか見抜くのに、一つは現場の荒っぽさが基準になると思っている。

誤伐、つまり間違ったのなら合法的な伐採地と同じような伐り方になるはずだが、盗伐の場合は違法でバレないうちに伐って材を出そうとするから荒っぽくなる。何より跡地に責任を負うつもりもない。

結果として、その跡地は時とともに崩壊の可能性が高い。とくに宮崎は雨量も多いし台風の通り道でもある。

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谷から尾根まで無茶な作業道を切り開いているのだが、おかげで1年経たずに崩れている。もはや重機でさえ通れないのではないか。土砂は谷を下り、奥に見える溜め池に流れ込んでしまった。

さらに山自体の崩壊も始まっている。

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山の尾根部を皆伐して、下からは見えないようにしたつもりが、このように崩れて麓の水路を埋め、水田まで土砂が押し寄せている。そのため耕作法規となった。いや、大雨の時に道まで土砂はあふれたらしい。

恐ろしいのは、これが誤伐だと言い張り示談で済ませられたら、こうした崩壊の責任は所有者になることだ。伐採した業者はもう決着済みと逃げるだろう。木を伐られて盗まれ、さらに崩壊責任まで押しつけられる。

どちらにしても業者が治山や再造林を真面目にするとは思えないので、この後始末は誰がすることになるのか。行政も逃げ回っている。

県がどんな対応をしているかはWedge7月号をお読みいただきたい。

 

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