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森と林業と田舎の本

2021/07/21

枝葉だけでも盗伐?

メールで問い合わせが来た。

四国の某県なのだが、ヒノキ林に漁協の軽トラが止まっていて、そこでヒノキの枝を高枝切りバサミで切り取っているというのだ。それも1ヶ所だけでなく、何カ所も。そして一度だけでなくここ数年続いているらしい。かなり組織的な収奪である。

その漁協の内部の人に聞いたところによると、ヒノキの枝葉は大型冷蔵庫に搬入されており、直販市に出す商品の陳列や商品発送時の彩りとして詰めているとか。つまりヒノキの枝葉を飾りとしているわけだ。

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こんな風に飾りつけている。

問題は、どうも無断で伐っているらしいこと。山の所有者に断りを入れた気配がないという。これって、盗伐?

さて、どうだろう。無断で他人の山の木を枝葉といえども勝手に伐っていたら、これは窃盗だ。しかも少量・その場限りではなく、定期的に商品として盗んでいる。

ただ、ここで難しいのは、ヒノキの枝葉に価値をつけることはできるか、という点である。昔は、それこそツマモノとして一定の人気があった。いや今も多少は需要はあるだろう。ヒノキもスギも、木材だけでなく、樹皮に枝葉に、なんでも商品として扱っている時代もあった。
しかし現在は、実態としてヒノキ丸太一本だって何千円しか値段がつかず、その枝葉は捨てている。つまり無価値扱いなのだ。

もしこれが、所有者の許可を取っていたり、伐って捨ててあるものを採集しているのなら問題にしづらい。ただ、生きて立っている木から切り取っているのは、樹木を傷つけたとして賠償責任を追求できるかもしれない。

法律的な判断もだが、林業家としての判断はどうなるだろうか。

 

2021/07/11

「安いニッポン」~日本が売るべき「林業」

『安いニッポン~「価格」が示す停滞』(中藤玲著 日経プレミアシリーズ)を読んだ。

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タイトルで、ほぼ中身がわかる。とにかく日本の物価が異常なほど安いことを示している。そして、それこそが経済低迷の主要因なのだ。
帯文にあるとおり、アメリカでは、年収1400万円の人材は「低所得」に分類されてしまう。そして世界中のディズニーランドでも日本は破格に安い(でも、日本人には高く感じる)入場料とか、給与の実態が示される。

ダイソーショップに関しては、100円均一なのは日本だけで,台湾が180円、中国本土160円、マカオ200円、アメリカ160円、フィリピン180円、タイ210円、イスラエルにいたっては320円……。中国製品も多いのに、中国の方が高い(-_-;)。

ようするに世界中で物価は上がり続けているのに、日本だけは横ばいから下降気味だから。この物価安こそ日本経済の停滞の象徴なんだろうが、なぜ安いかと言えば、安くないと買わない消費者の存在があり、安くするために社員の賃金を安く抑え、社員の収入が低いということは消費者の収入が低いことになる。だから安くないと買えないわけだ。

私が目を見張ったのは、『崩れる日本のお家芸「アニメ」』の章である。

今、日本のアニメーターがどんどん中国企業に引き抜かれているらしい。中国ではアニメ市場が爆発的に広がっているが、まだ人材も技術も足りない。そこで日本にアニメ製作会社を設立して日本のアニメーターを雇うのだが、給与は3倍以上、休暇など待遇もよいところが多いらしい。これなら、こぞって転職するわな。日本のアニメ製作現場の劣悪さはことに有名だもの。やりがい搾取の最たるものだ。
そして中国企業傘下でアニメをつくれば、日本だけでなく中国全土、世界の中華世界全域にまで通用する。市場規模が全然違ってくる。

これは、喜ぶべきことだ。ひどい雇用環境を打ち破る契機になる。日本のアニメーターは全部、外資に転職すればよいのではないか。そして中国アニメ制作会社の下請けとして作品をつくり、それを日本が買えば(買えたら)いい。日本語で、舞台も日本のアニメでよいと思う。

同じ理屈でネットフリックスでは、ドラマ制作費が日本の何倍も出る、しかも制約が少ない。日本では自主規制とかスポンサーの意向でつくれないテーマの番組もつくれるというのだ。

そして、ここからが肝心なのだが、私は林業も同じになったらよいのではないか。外資が日本の森を奪う、なんてデタラメ並べて騒いでいる場合じゃない、外資に売るべきなのだ。ただし、山や森を売る必要はない。というか売れないだろう。売るべきは素材生産業界である。

中国だけでなく欧米の外国資本と経営陣で素材生産会社を設立してもらう。日本人の林業技術者を給与は3倍ぐらい出すと言えば優秀な人を引き抜けるだろう。働く舞台は地域に縛られる必要はない。日本全国を機動的に動くのだ。経営トップは、山主に対しても立木価格を2倍にすると宣言して営業すれば、十分に施業地を確保できるだろう。

肝心の木材の売り先は、従来の木材流通なんぞすっ飛ばして建築業界、あるいは施主などエンドユーザーと契約を進める。製材、プレカットなどは賃挽きにする。使い道を先に決めるのだから、木材に無駄が出ないし、各施業や工場稼働も計画的にでき閑散期がなくなる。在庫も消える。営業コストも浮く。これなら流通マージン(というより流通ロス)をカットできて、賃金や立木買取に高値を出す資金も調達できるだろう。また高級材は海外へ送ってもよい。販路開拓は、国際的に行うのだ。ファイナンスは、たとえば施主の住宅ローンを担保にして調達するという手もある。赤字になりそうになっても、日本は補助金があるから心配いらない(笑)。

ちなみに過剰伐採の禁止や再造林の実施なども事前計画に組み入れて、第3者が監査する制度をつくればよい。日本の業者より真面目にやってくれるだろう。いや、その前に日本の企業の大半が失格するだろう。再造林を真面目にやっている業者なんて、日本では3割ぐらいだから。外資の方がよい森づくりをしてくれるはずだ。
日本の資金が海外流出する? なに、日本人を雇用し、賃金を高くするんだから、税金もたくさん払ってくれる。今より税収は増えるだろう。

山主も従事者も製材業者も喜ぶはずだ。誰も困らない……素材生産業の経営者以外は。いや、真面目な経営者なら外資に負けないよ。真面目な経営者なら。

林業界は、やりがい搾取が甚だしい。だいたい現在の林業に不満を持って愚痴ばかり言っている人ほど、この業界から離れない。賃金が低くても、理不尽な仕事が多くても、林業をやりたい、と言う人が少なくない。それに付け込まれていることに気づかないから、経営者がやりたい放題になるのだ。

「安い林業」から脱出するには、もはや外資に期待するしかない。巨大資本で業界をぶっ壊さないと変わらない。

 

2021/07/07

「伊勢湾台風で大儲けした」話

今日は七夕。で、見事に朝から1日雨。

でも、七夕は天の川を巡る織姫と彦星の話だけではない。7月7日は「カルピスの日」だ!

というわけで、安売りしていたカルピスを購入して飲んでいます(^o^)。糖質60%オフを選んでしまうのが、自分の腹を見た結果なんだけど。
本当は、ここで「もう一人のカルピスス父・土倉龍次郎」について語りたいところだが、今回はお預け。

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カルピスを飲みながら見たテレビで、「スーパー台風」を扱っていて、伊勢湾台風もその中にあった。5000人以上の死者をだし戦後では最大の被害をもたらした台風だが、主に伊勢湾、つまり名古屋近郊の海浜地帯の被害が取り上げられていた。

しかし、伊勢湾台風は紀伊半島を縦断したので、実は山間部でも大きな被害を出している。山崩れに土石流が各地で頻発した。とくに吉野川流域は大被害で、吉野杉の植わっている山々も多く崩れて、太い吉野杉がバタバタ倒れた……。

そんな話を聞き取りしたことがあるのだが、そこで出た裏話。

「バタバタ木が倒れたので、山主はもうアカンと諦めて、倒木は山守に引き渡された。倒木なんて、二束三文にしかならない……。
ところが、多くの木は根元の地盤ごと倒れていたので、肝心の幹はほとんど傷がついていなかった。それを出材したら、いい値段がついた。おかけで山守は大儲けした。もちろん、そのようなことは山主には伝えない。むしろ倒木を伐って出して山を片づけるのは大変だった~と嘆いてみせたのである。」

台風被害で暗くなるだけでなく、少しは笑える?裏話ということで。

 

2021/06/22

「林業にブロックチェーン」の勉強を

フォレストジャーナル21年夏号が出た。

特集は、「選ばれる職場のつくり方」。その中の岐阜県のアンケート調査なんだが、林業会社を辞めた人の約半数は、別の林業事業体に就職するか、独立して林業を継続しているという結果が出ている。なんで林業を辞めたのに、また林業に勤めるんだ(笑)。私の林業七不思議。さっさと愛想尽かしすれば現場も変わるのに。

ほか「おかえりモネ」の清原果耶さんも登場している。もう、今年の「緑の女神」は彼女でいいんじゃないか(^o^)。

さて、私が気になったのは、特集の一つで取り上げているブロックチェーンだ。実は、わたしもそれにちなんだ記事を書いたのだが……。

私も知らなかったのだが、もはや海外では林業にブロックチェーンを導入するのは当たり前になっているらしい。実験段階ではなく、実施段階になっていた。これに目をつけたのは、なかなか編集者も凄い。既存の林業雑誌には登場しないネタ(笑)。

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実は私も記事を書く際に、日本でブロックチェーンの実験をしているところはないかと探した。もし知らずに書いたら恥をかくと思ったからだ。結果的に日本にはまだないと結論づけた。ただ水産業界では始まっている。

日本も、いざという時にオロオロしないよう、今からブロックチェーンを勉強して、少しずつでも実験をしておくべきだ。そのうちトレーサビリティの主流になるだろう。日本のダサい「合法証明書」なんか相手にされない時代が来る。さもないと、またもや世界から置いてきぼりを食らうよ。

……と、私は「予言」したからね。ウッドショック到来の予言も見事に当たったと思っているが、ようするに情報はあっても活かせないと意味ないから。

 

 

2021/06/20

山村のおばばの呟き

本日訪れた、某山村。

なかなか形のよい山があったので、写真を撮ろうと、ちょっとだけ脇道に入り、田畑の中の駐車スペースに車を停めた。そこで、手早くカメラで山の写真を撮ろうとしたのだが……そこにビニールハウスからおばさん……いや、おばあさんかなあ……が、登場した。

ここは農作業用のスペースだったのだろう。挨拶して、「ちょっと写真を……」と説明する。そのまま雑談に移っていくのだが。山の写真なら、どこで取ったらきれいに撮れるかという点から、農作業の話に移っていくのだが、そこで聞いた話。

「あの山のふもとも、昔はみんな畑だったんよ。当時は山の足元からきれいに見えた。今はスギばかり植えているけどな。もう50年も60年も前に国の政策で植えることになったんよ。でも、今は木が育っても全然金にならない。植えたときや草刈ったり木抜いたりして至るときは仕事あったけど、20年ぐらいで終わって、あとはほっといても育つようになったけど、今の方が儲からない。
それで国がな、里山なんとかという事業始めて、木を伐るのに金を出すようになって、道沿いを伐ることになってな、伐る人には出るんやで、でも地主には何も出ない。うちの山かって、70年も経っていて、太い木が生えていたのに、みんな伐られた。木を伐って、その木はみんな業者が持って行ってしまう。それを売った金で儲けるわけや。でも地主は一銭ももらえないんやで。何十年育てて、何もなしや。伐られた跡も、また田畑にもどせるわけないし。最近は農業やる人も減ってきたから。みんな年とったからやってられなくなってな。直売所をつくったのに、野菜出荷する人がだんだん減ってきた」

現場からは、以上です。(異常かな。。。)

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こんな感じですかね。道沿い、山のふもとはみんな丸裸。

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それにしても、こ林分の断面を見たところ、枝が上がっているねえ。

2021/06/18

「ウッドショック」のリスクヘッジ

いまだに、というか、世間では今が盛りなのか、ウッドショックの話題が絶えない。マスコミの記事がどんどん増える。

もしかして、これまで木材とか林業にまったく興味のない・知識もない連中が、「なんだか今はウッドショックと呼ぶ現象が起きているらしい。ネタになるぞ」という先駆的?記事を目にして、自分も参入せねば、と焦って取り上げている気がしないでもない。ネットの中だけでも経済ネタ、国内ネタ、貿易ネタ、いろいろ切り口が増えていく(^o^)。

それはどうでもいいのだが、そもそも「ショック」というのは木材価格の高騰および木材不足のことだ。しかし、この現象は歴史的に見れば珍しいことではない。数十年に一度は木材は高騰するのが当たり前で、バブル景気とバブル崩壊の繰り返しみたいなもの。上手く立ち回ったものが大儲けするのは歴史が証明している。もちろん、大損して破綻する人も多く出る。

ちなみに、私は明治時代の山林王・土倉庄三郎のことを調べる過程で江戸時代から明治、大正時代当たりまでの木材価格の値動きを調べたことがあるのだが、その時にも木材の乱高下は珍しくなかった。日本国内にかぎるが、高騰、暴落がしょっちゅう起きていた。明治維新後には木材需要が爆発的に増えたが、その後だぶついて緊縮財政になったりと繰り返している。明治末にも材価は低迷したが、大正には爆上がりしている。逆に言えば、それにいかに乗るかが林業家の腕の見せ所というわけだ。庄三郎は、その点も長けていたようである。

庄三郎が、大阪の北浜に陣取って、木材バイヤーのカルテルに対抗した話も残る。価格を下げさせようとする業者と張り合って、安値では売らずに木材価格を下げさせなかったそうだ。それに耐えられる資金力もあった。

そして戦後は、「吉野ダラー」という言葉もあるように、木材で儲けた人々(主に吉野)が株式相場に乱入することもあって、これまた乱高下を経験している。木材価格自体も、戦後は一貫して上がっているかと思いきや、意外と下落も何回となく起きていた。投機で遊んだのは困ったものだが、それだけ博打感覚を持っていたとも言えよう。

あの経験・感覚を現在まで持続していたら、今回のウッドショックも上手く立ち回われたかもしれない。

なぜ、現在の林業・木材関係者があの頃と同じことをできないのか。

一言で言えば、余裕がない、資金もない、知恵もない、ということだろう。

ただ、株式相場と同じように考えれば、こうした高騰とか暴落に備える技はある。いわゆるリスクヘッジだ。株の世界には、常にリスクヘッジが必要とされている。

まずは、ポートフォリオだ。分散投資である。なるべくハイリスクハイリターンの株と、真逆の安定株を組み合わせて売買する。外貨建てなんてのもある。国産材を外貨で取引したらどうだろう? そのほかに相対取引も、価格の変動を抑えるためのもの。年間の予約・先払い購入もありえる。

本命のリスクヘッジは、先物取引である。先物は江戸時代の大坂の米相場から誕生したと言われるが、米の価格の乱高下に備えるものだった。それがなんだか今は先物というだけで、投機筋の泡銭稼ぎのように思われてしまうが、本来は相場の安定のための仕組みである。

ここで先物の仕組みについて解説するつもりはないが、木材も先物で半年、1年先の価格を決めて売買しておけば、ウッドショックなんか怖くなかったのに。ぼろ儲けのチャンスを逃したと嘆くかもしれないが。林業家も、先物に合わせて大量生産しておく先読みが必要だが、その資金調達も証券市場で行えばよい。いっそ木材先物市場を創設したらどうか。

だいたい、アメリカでウッドショック(木材価格の高騰)が起きたことは昨秋あたりからわかっていた。木材を扱う商社などは把握していたようだ。ところが、その情報は日本の林業界には伝わらなかった、あるいは伝えても無視された。つまり、突然起きたことではないのである。ちゃんと備える仕組みと情報発信を行っていれば、恐れるに足らずだ。

結局は、木材の川上(山側)と川中(製材)・川下(建築)の流通で情報をしっかりやり取りしておくのが、最大のリスクヘッジである。それができていないのだから、話にならない。

Dsc00295 製材品市場の競り

2021/06/09

もし「イギリスがTPP加入」すれば

ヨーロッパ連合(EU)を脱退したイギリスが、環太平洋連携協定(TPP)への加盟を求めた。それに対して加盟国11カ国は協議を始めると全会一致で決めた。

というニュースが流れた。あれほど揉めて、TPPはアメリカ1国だけが得する貿易協定で、日本他の国は痛い目にあう! と一部の人間は強行に反対していたのに、いざ米トランプ政権が「アメリカは(損するから)入らない」とあっさり脱退したら沈黙した。いったいどうしたの? 一人勝ちするはずのアメリカが抜けたんだよ、と言いたい。そして現バイデン政権も、すぐには加入を求める様子はない。そこへイギリスという大物が加盟したいと言い出したのである。

日本はイギリスの参加を後押しする立場だが、実現したらTPP全体の名目GDPは10.8兆ドルから13.5兆ドルに増加。EUの15兆ドルに匹敵する巨大経済圏になる。ちなみに日英間では今年1月、経済連携協定(EPA)が発効している。

さて、それがどうした、と国際経済に興味のない向きもいるだろうが、ふと私は思ったのだ。木材輸出はどうなるのだろう、と。EU内には林業木材産業大国がたくさん含まれるし、その周辺にもある。スウェーデン、フィンランド、ドイツ、オーストリア、ポーランド、そしてノルウェイ。だからTPPに限らず、日本は木材製品を輸入する立場で、関税撤廃もそこに力点を置いてきた。
ところがイギリスは、とくに林業が貧弱なヨーロッらの国だ。

イギリスは、今までどおりヨーロッパ圏内から木材を輸入するのだろうか。EUを抜けたら木材関税がどうなるのか知らないが、もしかして圏外からの輸入も考え出すのではなかろうか。そしてTPPに加入すれば、その加盟国も輸入相手国の対象になる……。

で、日本はどう出る?

な~んにも考えていないだろうなあ(笑)。木材輸出に熱心な割りには、対象は中国・韓国一辺倒だからね。あとフィリピン、ベトナムぐらいか。そして付加価値をつけて輸出したいと(白書で)言いつつ、原木輸出ばかり。ここで逆転を狙うならイギリス向けを考えたら?

と思って、日本のTPP対応戦略を探してみたら、こんなのが見つかった。「林業・木材産業分野におけるTPP対策」

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林野庁、こんなのつくっていたのだね。表紙はのどかでよろしいのだが、ほとんどは合板や製材輸入に関する項目。それでも一応は木材製品の輸出に関する項目もあった。木材製品のブランド化を推進するとある。「日本の優れた加工技術を活かした輸出向けの木材製品」だと。ほお、そんな技術があったのか。ベトナムにも劣るかと思っていたが。

でも、こうなりゃイギリス向けに売り込むべきではないか。きっと面白いことが起きるよ。

まず原木には興味示さないと思うが、ヨーロッパ産の製材と対抗しようとすれば、品質でケチョンケチョンにたたきのめされるのではなかろうか。それによって日本産木材の品質の国際的評価に初めて気づくかもしれない。そこで頭を垂れて撤退するか。

だが、もしかしたら日本独特の木取り技術と木目のデザイン性などをイギリス人に売り込み、蟻の一穴をこじ開けるかもしれない。今や日本では時代後れ扱いの木取りも、海外では魅力の発信になる可能性が眠る(と私は思っている)。

でも、今や日本国内でも木取り技術は衰退している中、世界に発信できる業者がいるだろうか。いないだろうなあ……。

ただイギリスのTPP加盟まで、何年もかかるはず。今から先読みして、可能性を思考実験しないのか。

しょせん、反実仮想にすぎないか。「もし~したら、どうなるだろう」と。そうした想像力を働かせる人は、、、いないだろうなあ……。

 

 

2021/06/07

林業事故をなくす究極の方法

林野庁は、もうすぐ公表するはずの「森林・林業基本計画に死傷年千人率を、今後10年をめどに半減」という目標を書き込むようだ。ようやくというか、林野庁は林業死傷事故削減を掲げるようになった。とりあえず「半減」ですか。10年かけて……。

ちなみに2019年の死傷年千人率は、全産業平均が2.2人、林業は20.8人。10倍近い。やっぱり異常だ。とはいっても、つい最近15倍だったこともある。
なにしろ全従事者数が少ないから、事故が少し増えた減ったで、大きく率は揺れ動くのだ。ただ主要産業の中で最も高い状態なのは間違いない。この点は揺れ動かない。永遠の1位?

事故は、何といっても、木の伐採作業中に発生することが多い。技術がない新人だけでなく、ベテランも多い。加齢による身体機能の低下のため……と言いたいところだが、ちょっと怪しい。技術というより安全に対する意識の問題のように思う。単にこれまでいい加減でも運がよくて生き延びられただけではないか。むしろ林業大学校などで基本的な安全管理を教わった新人の方がマシなんじゃないかな。

方策は、都道府県ごとの事故の発生原因を分析し、作業安全のための個別規範やチェックシートをつくるそうだ。チェーンソーの操作訓練とか、防護ブーツなど安全装備の導入……すでに行っているべき項目じゃない?

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私が林業の危険性を感じたのは、関わって何年もしてからだ。最初の頃、林業体験を積もう、平気で刃物を扱っていた。とくにチェンソーを手に入れたときは、嬉しくて周りの木を伐って回った(笑)。今思えば、かなり危険なこともしている。かかり木の処理で根元から刻んだり、かかった木の方を伐り倒したり。ソーが挟まって大騒ぎしたり。

慎重になってきたのは、チェンソーの扱い方講習などを受けたこともあるが、やはり事故を耳にすることが増えたこと。
それまで直径30センチ級の木でも平気で伐っていたが、20センチを超える木を伐るのは止めた。さらに15センチ以下にし、10センチ以下にした(^^;)。さらに進めてチェンソーは使わなくなった\(^o^)/。手ノコとナタで伐る。伐れないものは諦める。これぞ、究極の安全対策だ。

趣味の森仕事&チェンソー遣いだったから使用を止められたのだが、仕事の場合はそうもいかないだろう。では、どんな研修を受けるべきか。

私の場合、もっとも効いたのは、アメリカ人フォレスターの講習会に参加したことだ。

そこでは、ひたすら映像を見せられた。写真も動画も。それも本物の事故ばかり。死人も見せられたよ。顔をずっぱりチェンソーで伐ってしまった人もいたな。樹上で幹をカットして、吹っ飛ばされる人とか。よく、そんな映像が残っているな、とも思うほど多彩な事故動画だ。今ではユーチューブを漁れば同じようなものが見られるかもしれないが、とにかくショックであった。

教育には、この手の実際の事故を見せるのが一番だと思う。日本の研修では、そこまでやらないだろうか。大木の下敷きになっている死体とか、チェンソーでばっさり伐られた傷口とか。それらを見たら、ようやく本気で安全について考え出す。
労働災害を疑似体感できる「VR(仮想現実)体験シミュレーター」もあるそうだから、みんな、これで自分の足を切り落としてしまって、血しぶき浴びる経験をしたらいいんじゃないかな。それで、みんなチェンソーを手放したら……どうしよう(^_^) 。

究極の事故防止法は、林業を辞めることかなあ。

 

2021/04/28

みどりの日はいずこ? 植樹・植林記念日の行方

明日からゴールデンウィークだそうである。で、29日だから「みどりの日」、と思っていたら、「昭和の日」に変わっていた (゚o゚;) 。
「みどりの日」は5月4日に引っ越したんだそうだ。祝日をそんなええ加減なことでいいのか。ちなみに4月15日から1カ月は「みどりの月間」だと。

そういや、先週4月22日はアースディとかで環境の日であった。実は4月の頭には愛林日(だいたい2~4日)と定められていて、それが植樹祭だったのだが、植樹祭も最近は5月に移っている。そもそも愛林日は、本来はアーボアデイ、植樹の日というアメリカの植樹運動の一環だった日で、最初は11月3日だった。それを4月の明治天皇祭に変えたのは本多静六である。

なんだかややこしいが、ようするに記念日は結構いい加減に日を変えているということと、4月5月は植栽関係の記念日になりやすいということだろうか。

今後、林業でも植林・造林が非常に重要になるだろう。伐採ばかりが林業ではない、ビジネスとしても種苗づくり、植林が強まるのではないか。逆に言えば、この点をしっかりしておかねば、日本の林業の今後は成り立たない。そのことを考えている林業家はどれだけいるのだろうか。伐りたがるばかりの人は時代後れ(笑)

また植樹の日でも制定したらいいのではないかね。

というわけで、こんな記事も書いておいた。

高齢化進む造林事業を"ビジネス"にして、伐採跡地に再造林を! 苗づくりや植え方を吟味して取り組もう | フォレストジャーナル

 

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木曾式伐木運材図式の「鳥総立ち」の図

2021/04/24

緊急盗伐ゼロ宣言しない?

ブラジルのボルソナーロ大統領が、気象変動サミットで「2030年までにアマゾンの違法伐採をゼロにする」と宣言したそうだ。

これまでアマゾン開発を進めると、違法も含めて森林破壊を後押しするかのような発言(と規制緩和の政策)が続いていたボルソナーロ大統領がこんなこと言い出しても信用できん、という声はあるだろう。だいたい30年までとは9年かけるということで先すぎる。。。

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が、宣言をするだけマシとも思える。やはり国際世論の風向きを気にしたうえに、気候変動への対応でもあるのだろう。

ちなみに日本でも違法伐採が相次いでいるが、それに対する根絶の意向は政権から示されたことがない。林野庁も「触らぬ神にたたりなし」的対応に終始する。違法伐採は犯罪なんだから警察の領分とでも逃げているのか。だが林野庁の木材生産拡大方針が盗伐を引き起こしていることは誰の目にも明らかだ。
現実にもたいして取り締まりは強化されていない。2年前にようやく摘発が始まったが、ほんの数件にとどまっている。しかも罪状は現実の10数分の1ではなかろうか。たとえば5ヘクタール盗伐(伐られた木の本数は何千本か)しても、立件は12本とか…… (゚o゚;)、さらに林野庁長官が国会で『盗伐か誤伐か区別がつかないので』なんてトボケた答弁をする有様だ。 

5月の連休明けに、ようやくというか、初めて林野庁が宮崎県の盗伐現場を視察することになったと伝わる。本庁だけでなく熊本森林管理局などのメンバーだという。コロナ禍の緊急事態宣言が発令したからとすっぽかす可能性もあるが、ともあれ現場を見て、盗伐ゼロ宣言でも出すべきだ。緊急事態を頭につけると、今風になるよ。せめて蔓延防止?いや、はっきり盗伐は違法です(当たり前すぎる)と訴えないと、関係者はのらりくらりと逃げそうだ。ちょっとは宮崎県も真面目に取り締まる気になるだろう。(無理か?)

 

ところで、私の「予言」が当たって、外材価格に続いて国産材の価格も暴騰し始めたようだ。これをウッドショックと呼ばれるようになった。木材価格が上がったのだから林業家は喜んでいるかと思えば、あまりに急激な値上がりだったので林業家も対応できていないようだ。今木材を出せば高く売れるとわかっていても、すぐには増産できないのである。

しかも、現在の高値によって儲けたのは素材生産業者だけ。数か月前に行われたと推測できる伐採のための山買い(伐採契約)の際は通常の値段だったのに、伐採を始めて原木を売りに出すころに価格が高騰したのだから、山主に儲かった分は全然還元されていない。では、今から次の山を契約する場合には、高値にして山主にも還元できるか……というと、そうした動きもないそうだ。

なぜなら、業者はいつまで高値が続くかと戦々恐々としている模様だから。今契約しても、資材や人員の配置を考えたら伐って出せるのは3カ月後ぐらいになる。だが、3カ月後も今の高値が続いているかわからない。急に暴落する可能性もある。そうなったら高く山を買った分だけ損をしてしまう。素材生産業者はそんな計算をしている。逆に山主は高くしなければ伐る契約をしないだろう。

さて、どうなるか。私は、契約せずにこっそり他人の山を伐る、つまり盗伐に走る業者が増えるのではないかと想像している。目の前に高値でも買うという相手がいるのだから、面倒な部分をすっ飛ばす誘惑にかられるのではないか?

そもそも木材価格高騰だって、木材商社などはちゃんと事態を把握していたようだ。だが国内の林業家には情報が届かなかった。届けても理解できなかったのかもしれない。そして行政も放置した。全然先読みができないのは、コロナ対策と同じだ。

さらにこの先、盗伐対策を強めなければ、いよいよ無能をさらけ出すことになりかねない。

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