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森と林業と田舎の本

2020/06/13

「山猫」の実験場、求む

 岩手の花巻市で取材したのは、小友木材店。ここで何を取材したのかはおいといてヾ(- -;)マタカ こちらを紹介しよう。

正確に言えば、これも取材の一部ではあるのだが、まったく別の扱いなのである。

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これ、何かわかるだろうか。一応は木材運搬機。丸太の片方を乗せて、引っ張るのである。人呼んでデジタル馬搬「山猫」という。馬搬というより山猫搬かもしれないが。。。

岩手では、馬搬がまだ残っているというか再興している。ウマならば作業道を入れていない山からでも木材が出せるし、山を傷めないですむという点から注目を集めているからだ。ただしウマを飼育するのはなかなか大変だから、それを機械化したものだ。動力は充電式電池。ベースマシンが除雪機というのは、さすが岩手である……。そして「山猫」という命名が、いかにも岩手らしい。賢治の故郷だねえ。

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ともあれ、通常4メートル材1本を引っ張って出せる力がある。道のない山の斜面を引きずっていける。見たところ下りは強そうだが、登りは斜度次第といったところか。搬出は基本的に下りだが、部分的に登りもあるだろうから、そこをいかにクリアするか。

これを使うのは、一般的な林業家ではなく、副業、それもたまに少量の木材を搬出したい林家だろうか。少量だけに道を入れるほどではない、しかし、出したい木がある。それは銘木級で高く売れる……などの状況が考えられるか。
といっても、用途はそれほど絞り込まなくてもよいはずだ。むしろ伐採現場に燃料、植林現場に苗木などの資材とか弁当を運ぶのはどうだろう。あるいは自家用の薪や椎茸原木にする木を伐って搬出するのも使える。私は、有害駆除したシカやイノシシを運ぶのに使えるのではないかと感じた。山中で倒しても、それを道路まで運ぶのは大変だからである。

開発者によると、これを全国のさまざまな実地で試してデータを取りたいとの意向である。どんな山でどんな用途に使えるか、あるいは使えないか。まさに提案によって改良も進む。

林業以外の用途でも使いたい人がいたら声を上げてほしい。道なき山中で何を採取する仕事や、ハンターに向いていると思うが。もともと4月以降に実験するはずだったが、コロナ禍で止まっていた。しかし、そろそろ動き出したいところ。今なら間に合うよ。

私も何軒かに声をかけたが、あまり乗ってくれる人がいない。とりあえず吉野の某山主にOKをいただいたが、林業関係者の引っ込み思案というか、新しいものへのとっつきの悪さを感じるのだが、もっとフレキシブルに動こうよ。

 

2020/06/04

ロボットのプロトタイプはSFにあり

最近、NHKの深夜でアニメ「未来少年コナン」が再放送している。1978年放映のテレビアニメだが、宮崎俊が演出をしていたことから改めて注目を集めているようだ。

さて、それを見ていて気がついた。当時、乗用型の土木機械、いやロボットが登場していたのだ。

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ようは人間が乗って操縦して動かすロボット。鉄腕アトムのような人工知能AIによって自分で考えて動くロボットではなく、また鉄人28号のような遠隔操作でもなく、人間が乗るものの車両型の重機ではなく二足歩行し、人間のように腕を動かすことで、現場の複雑な条件にも対応できるという設定。

この手のより具体的なロボットとして登場するのは、映画『エイリアン2』のパワーローダーだろう。コナン版とよく似て乗用で操縦する人間型重機といったところか。これでエイリアンと戦った。さらに映画『アバター』にも登場していた。

このパワーローダーを映画で見て、実際に作ってみようとした人たちがいる。それが株式会社ATOUN。そこで林業にも使える「着るロボット」を作っていることは、私も記事にした。これは山登りが楽にできるものだ。

この会社の発表会があったので行ってきた。

そこで見たのは、こんなもの。まずはプロトタイプNIO。パワーローダーそのものだ。まだコクピットはないけれど。こちらは「着る」のではなく、まさに装着してロボットに歩かせ人間のパワーを増大させる機械だ。これは100キロの荷物を持ち上げることもできる。巨大重量物を運搬できるから、建設現場だけでなく、災害現場でも使えそう。ただし操縦は難しくて、ニュータイプでないとなかなか習熟できないというのだが……。こちらはガンダムの影響? 

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さらに見つけてしまった。林業用ロボットTABITOを。

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急斜面をすいすい登り、重量物を運搬できるのだ。実は林野庁と組んで開発中。甲冑みたいに身につけ、足の力を増大させて急斜面を登れる。しかも背中の荷物の重みも下に逃がすから重くない。
ただTABITOくんは、まだ18キロあるらしくて、凸凹斜面を歩いたらバランスをとるのが難しいらしい。。。。ここにもニュータイプ人材が必要だ。ロボットより人間を進化させねば。

ATOUNでは、SCI-FIプロトタイピングという理念を打ち出している。サイエンスフィクション(SF)のアイデアを現実に、という発想だ。まさにコナンやエイリアン2で出たアイデアの実現を目指しているわけである。

これは、現在の科学技術を少しずつ改良したり進展させて新しいものを発明する(フォアキャスト)ではなく、先に遠い目標を設定してから、そこにたどり着くように今を進むバックキャストの手法である。その目標にSFを採用するのだ。

 

そこで、はたと思いだした。実は、60年前に同じことをやった科学者がいたことを。アメリカのラルフ・モシャーだ。軍用ロボットを作っていた男である。ちょうどテレビでも紹介されていた。

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1960年代に、装着型ロボットを開発し、人が重いものを持ち上げられるようにしたのだ。アイデアは古くからあったわけだ。現実はSFよりも早かったのか。モシャーのアイデアの元に何かSFがあるのかもしれないが、最初に思いついたのは誰なのか今となってはわからない。

ただし、モシャーのロボットはものにならなかった。巨大な腕は700キロもあって、とても装着して動けないから。当時の技術では軽量化も馬力増もできなかったのだ。しかし今なら……強力な電池と軽量マテリアルを駆使したら、かなりの線まで行くかもしれない。

とはいえSFの世界の実現をめざすのなら、もっとエネルギー源と素材を革新する必要がある。現在のリチウム電池では、まだまだ力足らずのように思えるし、もっと小さく長持ちさせてほしい。常温核融合による原子力電池……とかなんとか(笑)。素材もチタン以上に軽いものが求められるかも。炭素繊維やセルロースナノファイバーも候補だろう。SFだったら、架空の技術や素材が登場させられるのだが。

大風呂敷を広げないと、革新的イノベーションは起こらない。

 

2020/05/22

宮崎盗伐事情のまとめ(警察本部長への手紙)

コロナ禍でどこも仕事が停滞している中、不思議と素材生産業で休止したという話が出ないのだが……とりあえず現場は「3密」ではないし、年間契約か何かで木材を出せば金になるのかもしれないが、じりじりと引き取り手(製材工場、合板工場……など)の在庫が積み増し、市場の価格も落ちていくから、遠からず行き詰まるだろう。コロナ禍2波、3波の可能性も考えたら、長期的に動きにくい。バイオマス発電所だけは燃料不足でどんどん持ってこいや~状態かもしれないが。。。

そんなときに送られてきた宮崎県警本部長に当てた「宮崎県森林盗伐の仕組み・利権についての情報提供」が送られてきた。面白いから公開しちゃおう\(^o^)/。

盗伐問題、気にかかるけど具体的にどんな事態が起きているのかピンと来ない人、これを読めばわかる。もちろん、政治家が絡んだ利権などは証拠をつかめていないので推測だが、勝手に伐る業者、仲介業者の存在、警察、検察の不可思議対応、行政が違法業者に出す補助金……など一連の状況は、これで知ってほしい。

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2020/03/24

「油ヤシ記事」から考える林業の犯した愚

22日の朝日新聞の1面トップに油ヤシ問題の記事が掲載された。それは2面にも続く大きな扱い。1、2面をぶち抜く記事って、通常は大スクープのはずだが、内容的にはいま改めて新事実が出てきたような記事ではなく、知っている人は知っている、油ヤシプランテーションが熱帯雨林を食いつぶしている話である。
なぜ今、これほど大きく扱うのか。記事には「環境転換点2030」というロゴが入っているから、何かキャンペーンがあるのか。

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ちなみにネットでは、こちら。ドローン映像まで載せている。また本紙記事より分量も長いし写真も多いようだ。紙面では省略した部分がかなりありそう。

この記事を書いたのは、神田明美記者。私は以前会ったことがある。たしかスウェーデン大使館だったと思うが、ブリーフィングの際に隣の席だったので少し話した。その際は、環境はともかく森林問題に興味があるとか詳しいようには思えなかったのだが、その後すぐにボルネオに行って、いきなり熱帯雨林問題を書き出した。その後、朝日環境フォーラムでも見かけたかな。

今回の取材先はインドネシアだが、幾度も通って熱帯雨林問題が得意分野ぽくなっている。潤沢な金と時間をかけて取材できて、デカい発表舞台もあって羨ましいという面もあるのだが、基本的にどんどんやってくれ、という気持ち。私はメジャーな情報は扱わない、手を引くというスタンスだから、この手の記事はお任せしたい。フリーランスは常にニッチを狙うのだよ。

ちょうどWEBRONZA「論座」にも、「パーム油の何が問題なのか?」という記事が載った。(これも朝日系の論壇だから、やっぱり朝日新聞あげてのキャンペーンか?)

 

ここで私の立ち位置を記すと、単にパーム油を批判し、企業を批判し、それを消費する市民を批判しても意味はないと思っている。その点は、Yahoo!ニュースに「グリーン・ライ(環境の嘘)をつくのは誰だ」という記事も書いたとおり。

パーム油は油脂としては非常に優秀で、ほかの植物からの油脂生産よりもマシな面がいろいろある。そして消費者はそれを求めているという点で、いくら批判しても空砲にしかならない。
また誤解もあって、油ヤシプランテーションすべてが熱帯雨林を破壊して開いたわけではないし、パーム油によるバイオマス発電も、本来は廃油(パーム油を精製する際に出た非食用部分)を燃料にするものだった。それなら問題にするほどのことではない。だが、現実には始まれば大量に必要となり、廃油だけでは絶対に足りなくなる。結局、食用油も含めて燃料にしてしまうのは目に見えるからケシカランのだ。
これは木質バイオマスエネルギーでも同じだ。本来は廃材や製材葛を熱エネルギーに変えて利用するものだった。ところが、熱より発電に傾斜し、さらに燃やすために伐採する、そのため補助金や割り増し電気代を出すという本末転倒の政策になっていることを批判する。

油ヤシプランテーションの問題は、油そのものではなく、経営の問題だ。労働問題など多方面にあるが、一つ上げよう。
油ヤシは植えて15~20年もすると収量が落ちる。だから植え替えるのだが、その際にやっているのは、これまでのプランテーションを放棄して、新たに天然林を伐り開いて(焼いて)土地を確保する企業が多い。その方が安上がりで簡単だからだ。老いて巨大になった油ヤシは伐採しても、その幹の搬出だけでも大変だし、処理が非常に面倒だ。すぐ腐って悪臭を放つし、使い道もない。目先の利益を追って森林を安易に消費している。

油ヤシプランテーションの拡大は、日本の拡大造林を連想させる。戦後、大造林を推進したが、もう植えるところがなくなったときに、造林政策を転換させずに、それならと天然林・里山林を伐って造林する土地を確保したのである。結果的に、不成績造林地を増やし、育林を放棄し、生態系も景観も破壊し、増やしすぎた人工林そのものが問題となった。そしていま、持て余している。
本来、造林ははげ山をなくし緑化と木材生産の両面で価値のある手段だった。だが手段の暴走が、造林と人工林そのものの価値を落とした。その愚を熱帯で繰り返しているように感じる。

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とりあえず取り組むべきなのは、新たに伐り開かず、プランテーション面積を今以上に増やさないこと。すでに農地としたところを持続的に循環させて再利用することだろう。それだけで、かなりの問題が抑え込める。そして生産量ではなく、商品の質を上げ価格も上げること。安すぎるパーム油は無意味な使い道を助長するが、高価格になれば生産量を伸ばさなくても利益は伸び、大切に使うだろう。

それは、日本の林業でも同じである。

2020/02/04

林業機械がアバターになる時代

最近は、通信環境の5Gだとかで医療現場や災害救助・復興現場、そして建築現場の遠隔操作が可能になるんじゃないか、とか言われているが、どうやら林業の世界にもその流れは始まっているようだ。

【RSKイブニングニュース】

先に林業や木工のスマホゲームを紹介したが、そこで「これはゲームではなく、現実の仕事現場に応用されるかも」というコメントが付いた。

で、調べたら本当にそうなっていた(笑)。コーワテックという会社が無人というか、遠隔操作の重機操縦機器を開発しているが、それを林業にも取り入れる動きがある。

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アクティブSAM。コーワテック株式会社のホームページより拝借。


実は、私は20年以上前に長崎県の雲仙普賢岳火砕流災害現場の復旧に無人重機が実験的に使われているのを取材したことがある。それは国交省だったが、いよいよ実用化に進んでいるようだ。(その取材時の資料などは探してみようと思う。どこかに残っているはずだ……。)

林業現場で、全方向カメラと遠隔操作で木を伐ったり運び出す作業ができたら……ハーベスタやグラップル、フォワーダを動かせたら、一気に作業の安全性が増す。もしかしたらゲーム好きが参入するかもしれないし、肢体不自由な人が街のオフィスで操縦しつつ「林業」する時代が来るかもしれない。そうなれば労働力不足も解消するかもね。

映画「アバター」では、足の不自由な主人公が、異世界でアバター(分身)に精神を乗り移らせて自在に活躍するという設定だったが、それとよく似た時代が来るのかもしれない。

その時、「いや、人間が自分の足で山を登って、その目で確かめながら木を選び、伐らなかったらどうするんだ。全身で体感しないと林業はわからんよ!」と思った人、はい、貴方は時代遅れです(笑)。

むしろ、現場に足を運ばないとできない林業の仕事とは何か、それを考えて仕事を見つけていかないと失業するだろう。よほどの高級材の採材とか細かな作業だろうか。それらは現場に行ってもできない人はできないだろうけど。

いや、一つ仕事があった。この無人機械をセッティングする役割だ。つまり、ロボットのお守り役。いやロボットの下働き? 林業人、そして林業技術に対する正念場ではなかろうか。

 

2020/01/30

盗伐に判決&広島にも盗伐業者

全国版のニュースにはなりにくいが、宮崎の盗伐事件で逮捕されたブローカーや実行犯の裁判の判決が徐々に出ている。

国富町の山林を討伐したことで逮捕された日向市の黒木林産の黒木達也社長に対して宮崎地裁は、27日に懲役1年執行猶予4年(求刑懲役1年6カ月)の有罪判決を出した。執行猶予が付くのか、と思ったが、そもそも罪状はスギ計20本(21万5000円相当)を(従業員に)伐採させたというものだ。

この現場は私も訪ねたところだが、一面はげ山状態で、ざっと数ヘクタール、普通に考えたら1000本近くは生えていたはず。しかも黒木林産といえば地元でも盗伐で有名な業者で、各地に被害地はあるから実際は数万本を盗んだはず。だが、立件したのは20本だけなのである。金額にして21万円ぽっちでは、執行猶予を付けざるを得ないのかもしれない。ちなみに黒木被告は即時に控訴した。

 

そして16日には、討伐するための伐採届や売買契約書を偽造した山林ブローカーにも判決が出ていた。西都市の鈴木英明に懲役2年執行猶予4年である。こちらの罪状は、スギ1318本(237万8000円相当)である。こちらの方が重い。

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この本数の差が解せないのだが……。法律家に聞いたら、警察や検察がよくやる手だそうである。窃盗をたくさん立件するのは手間だからちょっとだけにしておくのだ。有印私文書偽造なら、本数は文書で処理できるから増えてもかまわない。

 

そして、昨日まで訪れていた広島県三次市。車で走っていたら目の前に巨大なはげ山が見えた。急斜面がごっそりと伐られている。草は生えているから、もう年月は経っているのかもしれない。
同行している地元の業者に聞いたら「あの業者は、勝手に伐って、文句が出たら賠償金払って済ますんですよ。その方が安上がりだから」とあっさり盗伐業者がいることを認めた。ただし、賠償金で済ますというのは、盗伐ではなく誤伐だと主張するということだろう。(ただし、国道沿いのよく見える場所だから、半分ぐらいは伐採届をとっておいて合法にしておき、越境する手口だろう。)

雨だったし、車が走っている最中だったので写真も撮れなかったが、きっと広島各地にあるだろう。

浮かび上がってくるのは、盗伐は宮崎だけの特殊事案ではなく全国で起きている事実だ。私はそれを証明したいと思っているので、事例を集めている。もし、何か具体的な盗伐現場を知っていたら教えてほしい。

本当は、林野庁がやる仕事だろ……。

2020/01/25

下落する木材輸出額から見えてくるもの

日本経済新聞によると、丸太輸出価格が3年2カ月ぶり安値だそうだ。

その理由は、米中貿易摩擦のによる中国の景気減速で工業製品の梱包材向けの木材(つまりスギ材など)の需要が減ったためだとしている。

この記事を読んでいて、ようやく輸出する木材の姿が浮かび上がってきた。『絶望の林業』にも書いたが、木材輸出、木材輸出が日本の林業を元気づけるみたいな言い方をしている割には、実態がわからない。白書の数字は全体の金額ベースだけで、樹種や品質、そして量の記載がない。何か隠しているな、と思わせがちなのだ。それが、日経の記事で少しわかってきた。

財務省の貿易統計によると、2019年11月の平均輸出単価は1立方メートルあたり約1万1800円。直近の高値だった5月より2500円(17%)ほど安く、16年9月以来の安値水準となった。

これを読むと、1万1800円ならまだいい方じゃないか……と思ってしまったのだが、志布志港を使う曽於地区森林組合(鹿児島県志布志市)によると、スギ・ヒノキの丸太輸出価格は19年の年末時点で1立方メートルあたり7800~8000円。好調だった19年1~5月に比べて1000~1500円安いという。

やっぱり中国輸出向けは7000円~9000円だったのだ。(圧倒的に多い中国向けがこの値段なのに、平均だと1万1800円になるからくりがわからん。引き揚げる高値の木材とはなんだ?)これはB、C材の価格だろう。山元は半分以下。輸送費を引くだけで2000~3000円ぐらいになってしまう。

12_20200125214701 志布志港の木材輸出

中国向けの丸太は細く曲がった低品質の丸太や節・枝の大きい大径木が多い。中国で丸太を加工して、家電や工業製品を運ぶ際に使う梱包材などにする。中国企業が家屋を囲うフェンス材として米国に輸出もしてきた。

これで使い道もはっきりした。完全に原材料輸出だね。それも品質問わずの安値たたき売り。ともあれ19年は丸太は前年実績を割り込みそうだという。林業の成長産業化を支えるはずだった木材輸出で、倍々に増えていると誇らしげに森林林業白書には書かれていたが、ついに中折れ。。。昨年の夏以降、輸出が伸び悩んだので、今年の白書にはなんと書くかなあ。

 

ちょっと気になるのは、同時に安い欧州材が中国に流入しているという点。なんでも18年に欧州全域で虫害が発生して、木が腐る前に伐採が進められ、さらに18年暮れには風害もあって、大量に発生した倒伏丸太が中国に輸出されたのだという。これらも安値が売り物だろう。ドイツやチェコが多いらしい。
今年以降も欧州材は中国への輸出に力を入れそうだから(20年の欧州産の対中輸出量は19年の1.5倍との見方)、いよいよ日本材が割り込む隙間は狭くなりそうだ。

やはり丸太を売っているだけなら価格競争に巻き込まれて、さらに安い木材が現れたら、あっさり乗り換えられるわけである。

 

2020/01/20

写真発掘・明治時代の吉野林業か?

今年の初めに、土倉龍次郎の子孫から提供された台湾の玉山、阿里山の写真を紹介した。

実は、ほかにも借りた資料を現在複写中。仕事の合間に取り組んでいるのだが、これが手間もかかるし、結構気をつかう。結果的に遅々として進まず、悩ましい。そろそろ終わらせて返却しなければならないのだが……。

とにかく古い写真が多く、色褪せているし、一部の裏書きのあるもの以外は、どこの何を撮ったものかわからない。なんとか写っているものから類推しようとするのだが……。だが、よくよく見れば、台湾の原住民、いわゆる高砂族の写真が多い。明治30年代の写真だから、結構貴重なはず。多くは和装しているのも特徴的。ただ家は、草葺の伝統家屋が多く写る。

そうした写真群の中に、ちょっと台湾ぽくない写真もあった。

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河に筏である。これは、吉野の川上村大滝ではないか? つまり、かつて土倉屋敷のあった正面の河原で筏場である。ここで上流から流してきた丸太や筏を組み換えて下流に流していたらしい。
上の写真は、大滝の屈曲部だろう。多くの筏があるが水量がなく流せない状態。これは、堰で止めているのだろうか。当時は、今より随分深かったと聞く。現在は伊勢湾台風などで土砂が積もった状態だそうである。
下の写真は、人(女性?)が細い丸太で何かをしている。筏を組み立てているようには見えない。(奥の方に筏らしき太い丸太が見える。)むしろ筏に積んできた(積んでいく?)細い丸太をいじっているように見えるが……。

とにかくわからんが、明治時代の林業の作業を示す写真として貴重なのではあるまいか。

それにしても……セピア色の薄くなった写真を修復する手だてはないだろうか。フォトショップのようなソフトを使えばできるのか。しかし私に使いこなせるかどうかも含めて悩む。きれいに修復したら、いろいろ新しいことがわかると思うのだが。

 

 

2020/01/19

木材流通をブロックチェーンで

先日、速水林業の速水さんにお会いして、いろいろ話す中で、「木材流通にブロックチェーンを使えないかと考えている」という構想が出た。

ブロックチェーンとは、暗号資産、いわゆる仮想通貨で使われる技術で、私なりの理解で極めて大雑把に言えば、情報の流れの中の各ステージごとにブロックと呼ぶデータの単位をつくって連結した上でデータを保管する。理論上、このデータは書き換えはできないし、誰もが目にできるので監視されていることになる。すると中央統制なしで、信用を得られるのだ。これを日本語では「分散型台帳」という。

これを木材のようなブツの流通に取り入れたらどうなるか。トレーサビリティが確保でき、おそらく違法適法かの判断もできるようになるはず。面白い。そもそも通貨とは信用の元に交換可能なわけだが、その信用を作るのは基本、中央政府である。それに対してブロックチェーンは分散型ネットワークとして、中央の管理者がいなくても誰でも情報にアクセスでき監視することで信用を担保する。

これ、理論や技術的なことは専門家に任せるとして、政府や何か公益法人的な管理団体をつくって統制させるのではなく、誰もが見られる情報にすることで、誰もおかしなことができなくなるという仕組みである。

……と言っても、電脳空間の理論を木材という物の流通に? と具体的なテクニカルの面で想像しにくかった。これは仮想通貨のような電子情報で成り立つものならわかるが、実際に形あるブツでできるのか。

ところが、すでに行われているらしい。仮想通貨ではなく、実際のブツで。それも水産物である。

三菱ケミカルとNTTデータが、ブロックチェーンによる魚の輸出の実証実験を昨年11月に手がけた。三重県や鹿児島県の養殖場で水揚げされたマダイやブリを中国の大連や北京向けに空輸したのだ。そこでブロックチェーン技術を応用したという。魚を詰めた発泡スチロールの函に貼られたQRコードを基に、いつどこを経由して届けられたのかを書き込む。すると現地の業者や客も確認できる仕組みを作ったのだ。

魚でできたのなら木材だって(^^;)。木材で応用すると、生えていた山や伐採業者、日時、そして流通工程までQRリーダーさえあれば、誰でも読み取れる。これで産地はおろか、ちゃんと伐採届を出しているのかまで監視して盗伐をなくすというのばどうだろう。

 

なぜ魚の輸出でこれが採用されたかというと、(トレーサビリティさえしっかりしているのなら)「倍の高値でも買いたい!」との声が現地にあるからだそう。中国は日本産水産物を欲しいのだけど、本当に日本産かどうか信用が担保されていないのだろう。「高値で買いたい!」中国人期待の日本産水産物のカラクリ

残念ながら国産材を、それほど欲しがっている人がいるようには思えず、高値は期待できない。しかし流通履歴を全部公開し、それぞれの業者が取っているマージンまで読み取れるようにしたら、林業家-木材業者間の疑心暗鬼は解消するのではないか。プラットフォームを整備することで、生産者への還元額も適正化できるかもしれない。

以前にも立木にICチップを付けて、その後伐採搬出、製材まで情報を書き足していく発想は以前にもあったが、信用の担保が弱かった。もしブロックチェーン技術で応用したら、可能性が広がるだろう。

 

2019/12/13

ゲーム「キコリの王朝」の日本版を!

こんなゲームがあることを知った。

Lumberjack's Dynasty

直訳すると「木こりの王朝」になるが、ようは林業のシミュレーションとロールプレイングゲームのよう。

私は一切パソコンのゲームはしないのでやり方は全然わからないのだが、説明文を読むと、魅力的な資源である木材によって独自の王朝を築くゲームのようである。王朝とはあるが、ようは林業会社。森から木を伐り出しさまざまな製品に仕立てて、ビジネスを成長させるのだ。

スタートは、父親から受け継いだ荒廃したロガーキャンプ。ようは森林の伐採基地か。それらを立て直してしっかりしたビジネスにする。
まず家の修理(ここからか!)と、ロガーキャンプ自体を修繕し、古い製材所も再稼働させる。そして、いよいよ木を伐採し、工場に運んで、さまざまな製品をつくっていく。
生活、ビジネス、木こりの要素を組み合わせてシミュレーションしていくエンターテイメントなんだと。

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版元はオーストリアの会社だが、舞台はアメリカっぽい。あるいは一昔前のヨーロッパ? 日本語版もないけど、誰か試してください(^o^)。

 

逆に日本語版なぱぬ日本版を作ってほしいな。また別のスリリングを味わえるよ。

まず親から広大な森林を相続する。大金持ちや、と小躍りするが、帳簿を見て真っ青。森は切り売りしてはならぬという遺言があったので自宅と貯金で相続税を払う。しかし親がつくった借金を返すのに四苦八苦して、とうとう土地を処分。よし事業を始めようと思っても、森林組合は当てにならないことがわかり、作業員の募集と養成に取りかかる。そして森林経営計画づくり。しかし、森林の境界線が確定していないため、てんやわんやの騒動の末に裁判を経て、なんとか確定する。
さあ、森づくりをしようと思い、いかに補助金をたくさん引っ張ってこれるかに頭を絞る。道を入れる。はげ山部分に植林する。ところが台風で山崩れ発生。山火事騒動もあって、一番金になりそうな山がなくなる。
それでも伐採事業を開始。ところが搬出したら、素人の悲しさで傷だらけの丸太は二束三文。また借金をする。一念発起で製材業に乗り出し、新木工商品をつくるが、流通に載せられずに在庫の山。輸出にチャレンジしたら県森蓮の横やりが入るし、建築家と組んで直販したら欠陥住宅だと訴えられる。もう木材はダメだ、と森林観光を仕掛けてキャンプ場とアスレチック場をつくるが、今度は自治体が横やり。許可が下りずに開業できず……う~ん、どうしてもハッピーエンドな展開を思いつかない(泣)。

でも、なんとか王国を建設してね。王国がダメなら帝国でも。ダースベーダーになりきろう。木がダメなら砂でもいいから。築こう、砂上の楼閣を……。

より以前の記事一覧

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