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本の紹介

林業・林産業

2017/07/02

アテの元祖

能登半島の旅で、なかなか見応えのあったものの一つが、これ。

 
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アテの元祖、という標識。もう少し見やすい位置からだと
 
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これは、泉家という一般の住宅敷地内の裏山にある。
石川県、とくに能登半島の林業と言えば、アテだろう。アテとは、ヒノキアスナロ、ヒバという方が通りがよいかもしれない。
ヒバと言えば、青森県(アオモリヒバともいうか)だが、石川県でも県木となっている。
 
その由来を調べると面白い。まず地元にあった天然のアテを造林した説と、津軽から持ち込んだ説の二つがある。が、後者が有力だ。
 
渡来伝説は、さらに二つある。そのうちの一つはまた二つに分かれる(~_~;)。
まず奥州の藤原氏の秀衡三男である泉三郎忠衡が、1189年に当地に赴任した際に、義経が生前愛でていたヒバの苗木を2本持ち込んだというもの。
 
一方で泉家19代之兵右衛が、ヒバの苗木5本を津軽から持ち帰ったという説もある。
これが写真の元祖アテだ。 
太いものは目回りが約4メートルあり、樹齢も400~700年と言われている。
 
あと一説は、加賀藩5代目藩主前田綱紀が、ヒバの苗木移出を禁じていた津軽へ藩士を農民に変装させてヒバ苗 を取寄せ、これを能登各郷に植林したというもの。
 
いずれにしても、江戸時代から能登ではアテを植林するようになったのである。
ただ、今回の旅でも目につくのはやはりスギ。アテはどこにでもある、とまでは言えないようだ。
 
アテは、初期生長が遅いので、戦後の造林品種としてはあまり使われなかったのだろうか。 
 
 
ただアテ(ヒバ)材は、非常に耐水性・耐腐性が強い。それはノキチオールを豊富に含んでいるからだ。そもそもヒノキチオールはヒノキにはほとんど含まれず、ヒバの精油なのだ。
 
アテ植林、今なら見直してもよいのではないか。
 
なぜなら、国が早生樹種の植林に力を入れているから。。。
常に国の政策の逆張りをしておいた方がよい(⌒ー⌒)。
 
ちょっと調べると初期生長は遅いと言っても、40年生でスギの70%ぐらいの材積だという。これならヒノキと比べてそんなに大きく劣らない。材質も(見映えでなく)香りで勝負すれば、十分太刀打ちできる。いや、ヒノキチオールを前面に出せば、高級材とすることも可能だ。アオモリヒバのまな板は超高級品(何万円!)もする。
 
もちろんヒバ、アテの一斉造林などする必要はない。
スギやヒノキ林の一部に植えておけばよい。耐陰性ゆえ、枯れる心配はない。
いっそ早生樹種の合間に混交させてもよいのではないか。20年で直径30センチ以上になるセンダンやコウヨウザンの合間にヒバを植えても育つだろう。そして早生樹を伐採後に大きく育てる。
 
林業は、森づくりは息の長い仕事だ。とにかく時間がかかる。現在の売れ筋や経済状況だけを見て行ったら、将来公開しかねない。常に国の政策の逆張りを加えて多様な森を。
 

2017/06/14

南郷檜がブランドの理由

熊本県高森町は、阿蘇地方に生えるヒノキを南郷檜(なんごうひ)としてブランド化を進めているそうだ。

 
南郷檜は、1955年にこの地方の在来品種として認定されたが、その特徴はなんと挿し木で育つこと。
 
通常、ヒノキは実生で育つ。というか、挿し木苗など聞いたことがない。それもそのはず、挿し木で苗をつくれるのは南郷檜だけなんだそうである。どちらもヒノキという同じ種なのに、挿し木できるものとできないものがあるのは、植物学的には何が違うのだろうね。
 
逆にスギは挿し木苗が当たり前で実生苗が少ないうえ、やたら品種が多い。ヒノキと対称的だ。
 
 
挿し木だと、基本的に色や木目などが均質な材質となる。挿し木苗がブランドになる理由というのは、ちょっと意外。なんとなく、個性がないようなイメージがあるうえ、同じ形質ゆえに病虫害や風害に一斉にやられる可能性がある。多様性がないというのは、私的には好みでない。
 
もっとも南郷檜は、梢側と根元の完満の差が小さく円柱・直材が採れるとか。こうした材としての利点と挿し木できる点が合わさった幸運?ゆえだろう。
今でも、一般ヒノキより2、3割高く取引されているという。
 
ただ植林記録などから南郷檜と認定できるのは260ヘクタールしかない……。これではブランド化しても供給がなあ。ほかにもないか探しているそうだが。
 
 
しかし、材質は遺伝子以上に育林環境が影響するからね。吉野杉は実生苗からつくるし、そもそも吉野杉という品種はない。それでも材質が一定程度似通っているのだから。
 
ブランドというのは、もっとイメージ戦略と最終商品の質に左右される。いっそのこと、幻のヒノキ品種として売り出す方がよいかも?

2017/06/09

南洋材の終焉?

マレーシア・サラワク州(ボルネオ島)は、木材の伐採税の税額を今の約60倍に引き上げると言い出した。
 
同州の伐採税は、土地によって木材1立方メートルにつき0,8リンギ~3リンギ。それを今年7月1日からすべての木材の伐採税を同50リンギとする。税額は30年間見直しされていなかったものを、いきなりの60倍である。
 
サラワクの森林の約3分の1の伐採権を所有する大手木材業者がつくるサラワク木材協会は増税の見直しを求めているが、州政府は、引き上げに応じない業者は取引を停止することを示唆しているらしい。
 
今回は本気のよう? もちろん、だから確実といえないのがこの世界なのだが、これまで幾度も繰り返してきた禁伐令とはちょっと違う雰囲気。
 
昨年のサラワク州の木材輸出で日本への輸出額は全体の38%に当たる。おそらく丸太だけでなく合板など日本向け製品についても価格は上がるだろう。
 
 
いよいよ最終局面かな、と思う。
 
私が40年近く前にボルネオ(サバ州)に行った際、現地で木材買付けを行っている日本の商社マンにお世話になったが、その際に聞いた話では、日本が南洋材を買い付けた最初は、フィリピンだったという。ルソン島、ミンダナオ島と時期が違うのだが、いずれも伐りすぎて山を草原にしてしまい、次がカリマンタン(インドネシア領ボルネオ)。そしてサバ州へと渡ってきたという。
 
フィリピンは素晴らしかったそうだ。森全体がフタバガキ科(ラワン)の大木に覆われていて伐り放題。それがなくなったので西カリマンタン、東カリマンタンへと行ったのだが、どんどんラワン(こちらではメランティなど)の密度は落ちてきた。材質もよくない。
 
今はサバ州で伐っているが、ここの資源量はさらに落ちる……。
 
そんな嘆き?を聞いたので、「隣のサラワク州はどうですか」と問いかけてみた。
 
「サラワク州の森なんて、ろくな木がない。あんな森から木材を求めないといけなくなったら、もう日本は終わりだね」
 
こんな返事が返ってきた。それから10年もしないうちに日本の木材商社はサラワクに押しかけるようになるのだが……。そして熱帯雨林伐採反対運動が巻き起こる。 
一方で、東南アジアから離れて、ニューギニアやソロモンへと木材を求める範囲は広がっていく……。
 
 
それから30年近く、日本は主にサラワクから南洋材(の製品)を輸入し続けている。もちろん量は減ったし、原木ではなく、合板なと現地で加工された製品に代わったが。
意外とサラワクにも木材資源はある? いや、昔なら相手にしなかった木材でも必要に迫られたのだろう。
 
だが、いよいよ終焉……?
南洋材は主に型枠合板などに使われるので無駄遣いと言われて批判も根強い。しかし南洋材という言葉からなんとなく漂う熱帯ジャングルの香り。そこにはちょっぴり懐かしい時代の思いも残している。
いよいよ消えて、南洋材という言葉も死語になるかもしれない。

2017/05/29

未来白書を望む

昨日は、森林・林業白書の中の一つのコラムだけを取り上げたが、もちろん白書全体に目を通している。
 
それなりに白書というのは情報源として重宝していて、統計的な数字を確認するほか全体像をつかむのによい。時には自分のアンテナからこぼれ落ちた各地の動きをキャッチすることもできる。
 
で思うのだが……白書というのは、過去から現代までしか記していないのだなあ。。。という当たり前のこと。
 
ちなみに「白書」ついてウィキペディアには「白書とは、日本の中央省庁の編集による刊行物のうち、政治社会経済の実態及び政府の施策の現状について国民に周知させることを主眼とするもの。」と説明している。あくまで「政府の施策の現状」を記すものであるわけだ。
 
そう言われたら身も蓋もないというか、反論しようがないのだが、読み手としては現在を理解するだけでなく、未来へ向けての指針を得ようという要望もあるのではないか。指針とは今後の施策という意味ではなく、現状が将来的にどちらに向かうと想定されるか、という点だ。
過去から現在まではこんな流れだが、未来はどちらの方向に向かうと予想できるか……そんな指針があれば、それに対して自分はどんな行動を取るか、と考えられる。
 
おそらく、予想をして外れたら困る、責任は誰が負うのか、当たっても無策を問われたらイヤ、なんだろうが、それを条件付きでもよいから示せないものか。
あるいは予想しなくてもよい。将来の変動要素を示すだけでも考えるヒントになる。
 
 
せっかくだから、例として木材需要について見てみよう。白書ではどのように記しているか。
 
(木材需要はほぼ横ばい)
我が国の木材需要量の推移をみると……(中略)……昭和62(1987)年以降は1億㎥程度で推移した。しかしながら、平成3(1991)年のバブル景気崩壊後の景気後退等により、平成8(1996)年以降は減少傾向となった。……(中略)……平成27(2015)年には、燃料材は木質バイオマス発電施設等での利用により、前年に比べて102万㎥増加し前年比35%増の396万㎥となった一方で、住宅需要の伸び悩み等から用材の需要量は166万㎥減少し前年比2%減の7,088万㎥となった。このことから、平成27(2015)年の木材の総需要量は、前年比0.8%減の7,516万㎥となった。
 
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このように、過去から現代、昨年までの動きを示しただけなのである。
 
しかし、知りたいのはグラフの右端以降ではないか。今後はどうなるの? 今年、来年と短期予想をしなくてもよい。5年、10年、20年と中長期で考える際のヒントがほしい。
 
たとえば製材の最大用途は住宅建材だが、今年は住宅着工件数は90万余。だが約10年後は50万件ぐらいという予想が民間に出ている。なかには将来30万件を切るという大手製材会社の社長の言葉もある。
 
一方、非住宅建築物はどこまで増えるか。期待のCLTは、どこまで普及するか。それなりに普及したとして、その素材の何分の1が国産材を使った品か。
 
為替レートの変動は、外材輸入に響くだけでなく、国産材輸出の多寡に響く。せっかく木材輸出に力を入れても円高になれば一気にしぼむだろう。もちろん円安なら反対に振れる。
 
増えるのはバイオマス発電燃料だけ? いやいや、これも燃料輸入が増えそうだ。さらにFITが終わりに近づけばどうなるか。。。
 
 
……こんなヒントを羅列しておいてくれると有り難い。いわば「未来の白書」である。
 
以前は、「森林・林業・木材産業の将来予測」の本が森林総合研究所編で出されていたのだが、最近は見かけませぬな。。。

2017/05/18

チェンソーの目立てをなくす

散髪に行った。

 
そこでヒゲソリもしてもらうわけだが、剃刀を当てながら店主と会話。
「この剃刀、新製品なんですよ。先日、業界の集まりで紹介があって購入したんです」
 
と言っても見えないが……どうやらT字状の安全剃刀的な形らしい。ただし家庭用と違って柄が短く手のひらにすっぽり包める。これまでのナイフ状のプロ用剃刀とは違うのだ。
 
「これ、刃の角度が特別なんです。非常に細かな角度の設定がしてあって、それだと皮膚の上を滑るような感覚で傷がつかない。そんな特許があるらしいんです」
その後も興味深い話が続く。一般に使う電気カミソリは、回して様々な角度から刃を入れるため実は皮膚を傷めやすいとか、勉強になる。
 
が、私が引っかかったのは、この手の新式剃刀は研がないという点だった。替え刃なのである。切れ味が落ちると交換する。
これまで理容師というのは、剃刀を研ぐ技術が非常に重要だった。毎日1時間かけて研いでいたそうだ。だが、T字剃刀は替え刃だから自分で研がない。
 
そういえば私が学生の時に引っ越し手伝いをして訪ねた理容師の家で、鉄板があった。これは砥石の面直しをするものだ、と教わった。
砥石も常に使っていると表面が凹んでくる。それでは上手く研げないから鉄板で砥石をこすって面を平面に仕立て直す。ところが砥石の表面の形状が変わると、また研ぎ方が変わるので剃刀は全部研ぎ直さなくてはならない……。
 
「今は、剃刀を研ぐのは流行らなくなったんです」
 
若い理容師は、もう研ぎの練習をしなくなったそうだ。全部替え刃で済ます。
ちなみにこの理容師は、昔の剃刀も新式も両方使う。だから研ぎを止めてしまったわけではないそうだが、年寄りの理容師の中には替え刃に抵抗があるらしい。
 
まあ、時代の流れといえば流れ。
それで思うのだが、チェンソーのソーも、そのうち目立てなんかせずに替え刃になるのではないかね?
 
私も、多少チェンソーを使うわけだが、目立てが下手で、毎回切れ味が違う。よく伐れるようになったかと思うと、目立てして前より伐れなくなっちまった……と唸るときもある。
もし、交換するだけで切れ味が甦るチェンソーがあれば……。
 
Dsc_0516_1
 
もちろん1枚ずつ付け替えるなんてできないだろうが、チェーンを丸ごと新品と交換するというのは経費の問題がある。紙製、プラスチック製のソーをつくれないか。使用可能時間は1時間ぐらい。
外したチェーンを機械にセットしてボタン一つ押すと瞬時に研ぎが終わる……なんてのはどうだ? いや、外さないでバーを目立て機械に突っ込むだけで目立てをしてくれる機械とか。あ、チェンソーの構造を根本的に変えて、使い捨てバー。
 
どんな方式が有り得るのか見当もつかないが、目立てのいらないチェンソーが登場したら大ヒットまちがいなし。林業機械のイノベーションにならないか。
使い捨てのコンタクトレンズとか衛生ゴム手袋とか、最近のウォシュレットトイレと同じになるかもしれない。
 
でも、年寄りとか職人肌の人は嫌がったりして(笑)。「自分で研がなきゃダメだ!」と言い出しそうだな。 

2017/05/17

「林業」は現場にはない

タイトル、正確には「林業を学ぶ場は」現場にはない、である。

ちっと省略したら、ぎょっとした人、別の意味に捉える人もいたかもしれない。ネットでは、タイトルしか読まないでコメント付ける人もいるようだから、楽しみだ(笑)。
 
先日、来月からフィンランドで林学を学んでくるという学生が、出発前に日本の林業を知っておきたいと訪ねてきたので、いくつか紹介した。それで彼は九州は鹿児島から宮崎、大分と回り、関東も東北も行くつもりらしい。
なんと意欲的なことか。私もそんなに熱心ではない(^^;)\(-_-メ;)。
 
で、視察場所や会うべき人を紹介しておいてナンだが、私は「現場ばかり見るのではなく、まずは本で勉強を」と忠告した。何も私の本を買って読めという意味では……少しはあるかもしれないが、現場、現場という点に、少し水を差したのであった。
 
勉強というのは情報の理解と整理が大切なんだが、現場ばかりでは理解する暇がないし、整理の仕方も間違う。整理するスキームづくりを先にしておかないと、ただ情報を溜めるだけでは無駄になる。
 
 
別の機会に新聞記者と話す中で「現場、現場という前に調べることあるだろう」という話で盛り上がった。
 
記者という職業も、「まずは現場に足を運べ」と言いがちだからだ。
 
現場に行くことを否定はしない。。。というか、現場に行かずに取材したとは言わない。それは当たり前だ。しかし順序として、まず広く全体像をつかむ勉強をしてから現場に行くのではなかったら、現場で何を見聞きするのだ? どんな質問をするのか。先方の答をいかに理解するのか。
 
実際、まずは現場に駆けつけインタビューを試みても、先方に質問内容で理解度を読み取られて、話す情報の質も左右されるのである。
 
いや、もっと単純な話、「訪れる現場」をいかに選ぶのか。自分の知っている現場を100回訪ねても、しょせん既に知っているところを再確認することにすぎない。そしてお会いして話を聞かせてもらった内容を金科玉条のように信じるだけになる。
まずは多くの事例を知って、どれとどれを取材したら核心に近づけるか、と読み取らねばならない。そのためには、やはり文献を漁って全体像を知る必要がある。この人の意見と真反対の意見はこの人が持っている……と知ってから両者に話を聞くとか。あるいは自らの仮説をぶつけるのに適した人物を探すためにも文献は大切だ。
 
 
……そんなことを考え出したのは、やはり現場に出かけるのは疲れるし、金もかかるし、老いてからも仕事ができるよう、手抜き取材を正当化する安楽椅子ジャーナリストをめざそうかな、と思ったからかもしれないねえ(^O^) オイオイ

2017/05/01

セミナーで「業界」について思う

先日、奈良県で開かれた「地方創生セミナー」を覗いてきた。タイトルが「山元への利益還元の在り方について」とあるように、林業をターゲットにしている。

 
演者は、銘建工業の中島浩一郎社長と、八木木材の八木数也社長
もっとも主催は、近畿財務局(+奈良県)という点は、地域経済がテーマなのである。だから参加者は林業家に木材関係者、それに自治体関係者。最後がイチバン多かったような気がするが……(^o^)。
 
私は、部外者ゆえ、あまり細かな話はついて行けなかったのだが……それでも感じたことをいくつか。
 
まず中島社長の話は、やはりCLTのことが大半だった。たしかに世界的にCLTの建築物は伸びていて、建材としての魅力はわかる。ただ、奈良県内でCLTを製造する動きはまだないわけで、CLT需要が直接影響するのは原材料としての原木の買いつけだろう。
 
Img003  
 
その中で私がひっかかったのは、ヨーロッパのCLT価格が立米6万円代に下がったという点。1、2年前は7、8万円と言っていたのに。そしてJASも取得して、日本への輸出を目指しだしたとか。。。。
それに対抗するには、日本製CLTも6万円代に近づけないといけない。
 
そのための原木コストはいくらになるだろう。それは奈良県の林業に貢献できるか。
 
仮に6万円代を達成しても、同じものをつくっていては勝てまい。日本製CLTが欧米製CLTと差別化できるものは何か。
いっそ化粧CLTなんかはどうだろう。現在のCLTは、外装・内装は別に必要になるから、それをいらなくする。内側に使う部分はモルダーかけした美しい壁面に仕上げる。吉野杉材を使ってもよい。
かつて吉野では化粧集成材をつくっていた(吉野杉のフリッチを貼って見た目は吉野杉の柱に見せる)のだからお手のものではないか? 
一方で外気に触れる部分は、 対腐朽性を持たせたCLTにする。……ケボニー化したスギのラミナを使うというのはどうだろう(^o^)。
 
そんなCLTを夢想してみた。うん、イケル気がしてきた\(^o^)/。
 
 
さて、より考えさせられたのは八木社長の話だ。
もともと運搬業だったところから素材生産業に参入し、その合理的で効率の高い搬出方法で一気に成長したことで知られる。そして次に兵庫県木材センター(製材所)の経営も任された。2015年実績で17万9000立米の木材を扱うまでになっている。
 
つまり八木社長は素材生産から流通、そして製材までの行程を全部経験しているのだ。
 
で、課題として上げたのが、有体に言えば、それぞれの業界・業者のいがみ合い。(本人は決してそんな言葉を使わなかったが、私はそう理解した。)
具体的には安定供給と安定価格が必要なのに、なぜ、それが達成できないか、という問題である。
 
パワーポイント資料を引用させてもらうと。
Img002 こんな具合。
 
私も両者の対立は各所で聞かされるのだが、広い意味での林業界を振興するには一体として取り組まないといけないのに、常に疑心暗鬼と出し抜き合いみたいになっている。
 
ああ、これだから「業界」はだめなんだな、と幾度思わされたか。そもそも「業界」という発想がいけない。外が見ようとせず、内向きの細かな事情ばかりを主張する。
大量に注文されたら単価が上がるのは当たり前。量が確保できないのはコレコレこういう理由なのだ。洋風住宅が増えたから国産材が売れない。和風住宅を建てない日本人が悪い、あいつらの言い分は間違っている、直すのはアチラだ。。。(;´д`)。
 
そこで提案されたのは、こんな言葉。
 
Img001
 
「安定利益」という発想を持ち込んだのだ。一緒に安定利益を目指しましょう、と。さらに業者だけでなく、国産材商品の利用者も巻き込んでの安定利益を求めるべきとした。
 
なかなかの炯眼だと思った。もっとも、実際に皆がその方向に進んでくれる方策が難しいのだけど。
 
 
実は、このセミナーの前後に会った人々とも「業界」の問題点をいろいろ話した。その結果は、やはり外部の血が必要なのではないか、ということになる。業界外から新規参入者が、現在の業界をぶっ飛ばす動きでもないと変わらないのではないか。。。業界の合意なんか求めず、従わせるような圧倒的な新商品を持ち込むとか。
 
 
とまあ、業界外の私が感じたのでしたよ(^o^)。

2017/04/18

不動産業と林業の相似性

たまたま不動産業界の記事に目を通した。日経ビジネスオンラインにあった不動産コンサルタントの牧野知弘氏へのインタビューである。

すると「これって、現在の林業事情と同じかも?」と思えたほど似たところが々ある。課題も浴似ているが、不動産業界で起きている新たな展開も、林業のヒントになるよう感じるのだ。

ちょっと羅列してみる。
 
現在の不動産は「資産であった不動産が、一転して負債になってしまう
これって、財産のつもりの山が金食い虫になったと嘆く山主の言葉そのもの。。。
 
 
不動産の価格が上がっていくことがもはや幻想
木材価格が上がっていくことなんて、もはや幻想……。もちろん森林価格も下落しているし。
 
 
空き家率が30%を超えてしまうと犯罪が増え、地域が荒廃していき、「スラム化」が一気に進む」 
地域の森林の約30%を超える面積が放置されて荒れると、森林地域(山村)全体が過疎高齢化で限界化して崩壊していく。
 
 
だが、今後へのヒントもある。 
 
若い人たちの多くは、住宅の価値とは「利用価値」に過ぎないという認識
若い人の多くは、森林は木材生産を行なう土地ではなく、空間利用する場と考えている。
この意識を強めたら、土地と利用権の分離を進めることができるだろう。土地価格はもっと下げて、利用価値で森林の売買を行なうことを考えられないか。 
 
不動産が証券化されるようになって以降、投資マネーの対象
森林の土地ではなく利用権(地上権)に価値があるのなら、それを証券化したら、投資マネーが入ってくるのではないか? 証券だから転売も可能となり、流動性が増す。
利用権を購入して、その森林を魅力的に仕立ててから転売することで利益を出す、という森林ビジネスも生れるかもしれない。
 
 
不動産業界では、自分の家を建てるためにローンを組んで購入する、その家と土地は財産となる……という固定化した考え方は古びてきた。最近の人ならは、
ローンを組むのであれば、倉庫みたいな建物を買って改装しシェアハウスとして運用するとか、二階建の戸建て物件の一階を賃貸に回すとか、民泊事業参入も視野に入れるとか、とても現実的で柔軟な発想を持っている。返済原資を自分の給料以外に確保している
森林の利用権購入も同じように考える。森林からの利益を木材生産だけで考えると成り立たない。シェアハウスや賃貸、民泊……に相当する別の収入源を一部に確保しておくことはできないか。
たとえば林内を有料の花園やトレイルラン、アスレチック場にする、林道や作業道の一部にソーラーパネルを設置したり、尾根筋に風車を設置して風力発電してもよい。尾根筋の道路は、風車のメンテナンスと林業用の両方に使える。、ほかにも小水力発電も可能だろう。さらに森林を小分けしてオーナー制度よろしく貸し出す……。いろいろ思いつくのだが、別口で利益を上げて、その金で森林を維持するのだ。
 
 
……こんな考え方を、実は折に触れて金融関係者や森林所有会社の人に提案してきたのだが、一顧だにされない(笑)。みんな、頭がカタい。アイデア勝負の時代なのに固定観念に縛られている。
むしろ先進的な不動産業者に森林経営を任せた方がいいかもしれないなあ。

2017/04/15

川の掘削

先日、川上村に行った際に、大滝前の吉野川を写真に撮った。

 
それを眺めていたのだが……ちょっと違和感はないだろうか?
 
 
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川の左半分。ちょっと不自然な形状をしている。
拡大すると……。
 
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そう、人工的な溝がある。角度を変えると
 
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この川の真ん中の岩もちょっと加工の跡が……拡大する。
 
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ようするに、人工的に削ったのだ。筏を流せるように。
この大滝で吉野川は湾曲しているが、江戸時代はここで上流から流してきた丸太を集めて筏を組んだらしい。が、土倉庄三郎はもっと上流から筏で流せるように、さらに掘削を進めた。その痕跡の一つかな、と思っている。
ぜひ、近づいて間近に調査したいところだが……。
 
ところが、なんと渡るルートがない!
 
川向こうは岸が孤立している。チョー急崖を下るか、下半身浸かるぐらいの川を渡るしかあるまい。ボートを調達するか、濡れてもよい格好をするか。。。
 
ま、そんな課題を考えるのも面白いか。

2017/03/22

お尋ね~事故による伐採賠償額

林業現場の皆さんへ、ちょっとご意見・お尋ね。

 
 
私の友人が、ドローンを飛ばしていて、木立に引っ掛けてしまった。それを回収するのには、どうしてもその木を伐採しないと無理。そこで地権者の了解を得て伐採してもらったのだが、さて、地権者には立木代と慰謝料でいくらぐらい払えばいいか。
 
伐採した木はこんなもの。
 
Dscn8688  Dscn8686
 
伐ったのは、樹齢60年生のスギ。その横の細い木も一緒に伐った。
 
写真を見ればわかるとおり、わりと目はよいが、元玉部分はかなり曲がりが見える。幹の長さは10メートルぐらいだったという。搬出はしていない。
 
なお地域は九州で、地権者は林業家ではない。伐採したのは地権者とは別で、そちらの方への代金は別途支払っている。
 
 
さて賠償としてどれほどの額が適当だろうか。原木代だけを考えたらしれているのは、このブログの読者ならおわかりだろうが、事故ったことへの慰謝料も含めるべきだろう。菓子折りつけてお詫びを言いに行く分はおいといて(^o^)。
 
山主から林業家、一般市民、それぞれの立場の賢明なる皆さんのご意見をお聞かせねがいたい。地方によっては、こうしたケースにおける独特の手続きや慣習があるのかもしれないが、それも教えていただけると幸いだ。
 

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