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林業・林産業

2017/05/29

未来白書を望む

昨日は、森林・林業白書の中の一つのコラムだけを取り上げたが、もちろん白書全体に目を通している。
 
それなりに白書というのは情報源として重宝していて、統計的な数字を確認するほか全体像をつかむのによい。時には自分のアンテナからこぼれ落ちた各地の動きをキャッチすることもできる。
 
で思うのだが……白書というのは、過去から現代までしか記していないのだなあ。。。という当たり前のこと。
 
ちなみに「白書」ついてウィキペディアには「白書とは、日本の中央省庁の編集による刊行物のうち、政治社会経済の実態及び政府の施策の現状について国民に周知させることを主眼とするもの。」と説明している。あくまで「政府の施策の現状」を記すものであるわけだ。
 
そう言われたら身も蓋もないというか、反論しようがないのだが、読み手としては現在を理解するだけでなく、未来へ向けての指針を得ようという要望もあるのではないか。指針とは今後の施策という意味ではなく、現状が将来的にどちらに向かうと想定されるか、という点だ。
過去から現在まではこんな流れだが、未来はどちらの方向に向かうと予想できるか……そんな指針があれば、それに対して自分はどんな行動を取るか、と考えられる。
 
おそらく、予想をして外れたら困る、責任は誰が負うのか、当たっても無策を問われたらイヤ、なんだろうが、それを条件付きでもよいから示せないものか。
あるいは予想しなくてもよい。将来の変動要素を示すだけでも考えるヒントになる。
 
 
せっかくだから、例として木材需要について見てみよう。白書ではどのように記しているか。
 
(木材需要はほぼ横ばい)
我が国の木材需要量の推移をみると……(中略)……昭和62(1987)年以降は1億㎥程度で推移した。しかしながら、平成3(1991)年のバブル景気崩壊後の景気後退等により、平成8(1996)年以降は減少傾向となった。……(中略)……平成27(2015)年には、燃料材は木質バイオマス発電施設等での利用により、前年に比べて102万㎥増加し前年比35%増の396万㎥となった一方で、住宅需要の伸び悩み等から用材の需要量は166万㎥減少し前年比2%減の7,088万㎥となった。このことから、平成27(2015)年の木材の総需要量は、前年比0.8%減の7,516万㎥となった。
 
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このように、過去から現代、昨年までの動きを示しただけなのである。
 
しかし、知りたいのはグラフの右端以降ではないか。今後はどうなるの? 今年、来年と短期予想をしなくてもよい。5年、10年、20年と中長期で考える際のヒントがほしい。
 
たとえば製材の最大用途は住宅建材だが、今年は住宅着工件数は90万余。だが約10年後は50万件ぐらいという予想が民間に出ている。なかには将来30万件を切るという大手製材会社の社長の言葉もある。
 
一方、非住宅建築物はどこまで増えるか。期待のCLTは、どこまで普及するか。それなりに普及したとして、その素材の何分の1が国産材を使った品か。
 
為替レートの変動は、外材輸入に響くだけでなく、国産材輸出の多寡に響く。せっかく木材輸出に力を入れても円高になれば一気にしぼむだろう。もちろん円安なら反対に振れる。
 
増えるのはバイオマス発電燃料だけ? いやいや、これも燃料輸入が増えそうだ。さらにFITが終わりに近づけばどうなるか。。。
 
 
……こんなヒントを羅列しておいてくれると有り難い。いわば「未来の白書」である。
 
以前は、「森林・林業・木材産業の将来予測」の本が森林総合研究所編で出されていたのだが、最近は見かけませぬな。。。

2017/05/18

チェンソーの目立てをなくす

散髪に行った。

 
そこでヒゲソリもしてもらうわけだが、剃刀を当てながら店主と会話。
「この剃刀、新製品なんですよ。先日、業界の集まりで紹介があって購入したんです」
 
と言っても見えないが……どうやらT字状の安全剃刀的な形らしい。ただし家庭用と違って柄が短く手のひらにすっぽり包める。これまでのナイフ状のプロ用剃刀とは違うのだ。
 
「これ、刃の角度が特別なんです。非常に細かな角度の設定がしてあって、それだと皮膚の上を滑るような感覚で傷がつかない。そんな特許があるらしいんです」
その後も興味深い話が続く。一般に使う電気カミソリは、回して様々な角度から刃を入れるため実は皮膚を傷めやすいとか、勉強になる。
 
が、私が引っかかったのは、この手の新式剃刀は研がないという点だった。替え刃なのである。切れ味が落ちると交換する。
これまで理容師というのは、剃刀を研ぐ技術が非常に重要だった。毎日1時間かけて研いでいたそうだ。だが、T字剃刀は替え刃だから自分で研がない。
 
そういえば私が学生の時に引っ越し手伝いをして訪ねた理容師の家で、鉄板があった。これは砥石の面直しをするものだ、と教わった。
砥石も常に使っていると表面が凹んでくる。それでは上手く研げないから鉄板で砥石をこすって面を平面に仕立て直す。ところが砥石の表面の形状が変わると、また研ぎ方が変わるので剃刀は全部研ぎ直さなくてはならない……。
 
「今は、剃刀を研ぐのは流行らなくなったんです」
 
若い理容師は、もう研ぎの練習をしなくなったそうだ。全部替え刃で済ます。
ちなみにこの理容師は、昔の剃刀も新式も両方使う。だから研ぎを止めてしまったわけではないそうだが、年寄りの理容師の中には替え刃に抵抗があるらしい。
 
まあ、時代の流れといえば流れ。
それで思うのだが、チェンソーのソーも、そのうち目立てなんかせずに替え刃になるのではないかね?
 
私も、多少チェンソーを使うわけだが、目立てが下手で、毎回切れ味が違う。よく伐れるようになったかと思うと、目立てして前より伐れなくなっちまった……と唸るときもある。
もし、交換するだけで切れ味が甦るチェンソーがあれば……。
 
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もちろん1枚ずつ付け替えるなんてできないだろうが、チェーンを丸ごと新品と交換するというのは経費の問題がある。紙製、プラスチック製のソーをつくれないか。使用可能時間は1時間ぐらい。
外したチェーンを機械にセットしてボタン一つ押すと瞬時に研ぎが終わる……なんてのはどうだ? いや、外さないでバーを目立て機械に突っ込むだけで目立てをしてくれる機械とか。あ、チェンソーの構造を根本的に変えて、使い捨てバー。
 
どんな方式が有り得るのか見当もつかないが、目立てのいらないチェンソーが登場したら大ヒットまちがいなし。林業機械のイノベーションにならないか。
使い捨てのコンタクトレンズとか衛生ゴム手袋とか、最近のウォシュレットトイレと同じになるかもしれない。
 
でも、年寄りとか職人肌の人は嫌がったりして(笑)。「自分で研がなきゃダメだ!」と言い出しそうだな。 

2017/05/17

「林業」は現場にはない

タイトル、正確には「林業を学ぶ場は」現場にはない、である。

ちっと省略したら、ぎょっとした人、別の意味に捉える人もいたかもしれない。ネットでは、タイトルしか読まないでコメント付ける人もいるようだから、楽しみだ(笑)。
 
先日、来月からフィンランドで林学を学んでくるという学生が、出発前に日本の林業を知っておきたいと訪ねてきたので、いくつか紹介した。それで彼は九州は鹿児島から宮崎、大分と回り、関東も東北も行くつもりらしい。
なんと意欲的なことか。私もそんなに熱心ではない(^^;)\(-_-メ;)。
 
で、視察場所や会うべき人を紹介しておいてナンだが、私は「現場ばかり見るのではなく、まずは本で勉強を」と忠告した。何も私の本を買って読めという意味では……少しはあるかもしれないが、現場、現場という点に、少し水を差したのであった。
 
勉強というのは情報の理解と整理が大切なんだが、現場ばかりでは理解する暇がないし、整理の仕方も間違う。整理するスキームづくりを先にしておかないと、ただ情報を溜めるだけでは無駄になる。
 
 
別の機会に新聞記者と話す中で「現場、現場という前に調べることあるだろう」という話で盛り上がった。
 
記者という職業も、「まずは現場に足を運べ」と言いがちだからだ。
 
現場に行くことを否定はしない。。。というか、現場に行かずに取材したとは言わない。それは当たり前だ。しかし順序として、まず広く全体像をつかむ勉強をしてから現場に行くのではなかったら、現場で何を見聞きするのだ? どんな質問をするのか。先方の答をいかに理解するのか。
 
実際、まずは現場に駆けつけインタビューを試みても、先方に質問内容で理解度を読み取られて、話す情報の質も左右されるのである。
 
いや、もっと単純な話、「訪れる現場」をいかに選ぶのか。自分の知っている現場を100回訪ねても、しょせん既に知っているところを再確認することにすぎない。そしてお会いして話を聞かせてもらった内容を金科玉条のように信じるだけになる。
まずは多くの事例を知って、どれとどれを取材したら核心に近づけるか、と読み取らねばならない。そのためには、やはり文献を漁って全体像を知る必要がある。この人の意見と真反対の意見はこの人が持っている……と知ってから両者に話を聞くとか。あるいは自らの仮説をぶつけるのに適した人物を探すためにも文献は大切だ。
 
 
……そんなことを考え出したのは、やはり現場に出かけるのは疲れるし、金もかかるし、老いてからも仕事ができるよう、手抜き取材を正当化する安楽椅子ジャーナリストをめざそうかな、と思ったからかもしれないねえ(^O^) オイオイ

2017/05/01

セミナーで「業界」について思う

先日、奈良県で開かれた「地方創生セミナー」を覗いてきた。タイトルが「山元への利益還元の在り方について」とあるように、林業をターゲットにしている。

 
演者は、銘建工業の中島浩一郎社長と、八木木材の八木数也社長
もっとも主催は、近畿財務局(+奈良県)という点は、地域経済がテーマなのである。だから参加者は林業家に木材関係者、それに自治体関係者。最後がイチバン多かったような気がするが……(^o^)。
 
私は、部外者ゆえ、あまり細かな話はついて行けなかったのだが……それでも感じたことをいくつか。
 
まず中島社長の話は、やはりCLTのことが大半だった。たしかに世界的にCLTの建築物は伸びていて、建材としての魅力はわかる。ただ、奈良県内でCLTを製造する動きはまだないわけで、CLT需要が直接影響するのは原材料としての原木の買いつけだろう。
 
Img003  
 
その中で私がひっかかったのは、ヨーロッパのCLT価格が立米6万円代に下がったという点。1、2年前は7、8万円と言っていたのに。そしてJASも取得して、日本への輸出を目指しだしたとか。。。。
それに対抗するには、日本製CLTも6万円代に近づけないといけない。
 
そのための原木コストはいくらになるだろう。それは奈良県の林業に貢献できるか。
 
仮に6万円代を達成しても、同じものをつくっていては勝てまい。日本製CLTが欧米製CLTと差別化できるものは何か。
いっそ化粧CLTなんかはどうだろう。現在のCLTは、外装・内装は別に必要になるから、それをいらなくする。内側に使う部分はモルダーかけした美しい壁面に仕上げる。吉野杉材を使ってもよい。
かつて吉野では化粧集成材をつくっていた(吉野杉のフリッチを貼って見た目は吉野杉の柱に見せる)のだからお手のものではないか? 
一方で外気に触れる部分は、 対腐朽性を持たせたCLTにする。……ケボニー化したスギのラミナを使うというのはどうだろう(^o^)。
 
そんなCLTを夢想してみた。うん、イケル気がしてきた\(^o^)/。
 
 
さて、より考えさせられたのは八木社長の話だ。
もともと運搬業だったところから素材生産業に参入し、その合理的で効率の高い搬出方法で一気に成長したことで知られる。そして次に兵庫県木材センター(製材所)の経営も任された。2015年実績で17万9000立米の木材を扱うまでになっている。
 
つまり八木社長は素材生産から流通、そして製材までの行程を全部経験しているのだ。
 
で、課題として上げたのが、有体に言えば、それぞれの業界・業者のいがみ合い。(本人は決してそんな言葉を使わなかったが、私はそう理解した。)
具体的には安定供給と安定価格が必要なのに、なぜ、それが達成できないか、という問題である。
 
パワーポイント資料を引用させてもらうと。
Img002 こんな具合。
 
私も両者の対立は各所で聞かされるのだが、広い意味での林業界を振興するには一体として取り組まないといけないのに、常に疑心暗鬼と出し抜き合いみたいになっている。
 
ああ、これだから「業界」はだめなんだな、と幾度思わされたか。そもそも「業界」という発想がいけない。外が見ようとせず、内向きの細かな事情ばかりを主張する。
大量に注文されたら単価が上がるのは当たり前。量が確保できないのはコレコレこういう理由なのだ。洋風住宅が増えたから国産材が売れない。和風住宅を建てない日本人が悪い、あいつらの言い分は間違っている、直すのはアチラだ。。。(;´д`)。
 
そこで提案されたのは、こんな言葉。
 
Img001
 
「安定利益」という発想を持ち込んだのだ。一緒に安定利益を目指しましょう、と。さらに業者だけでなく、国産材商品の利用者も巻き込んでの安定利益を求めるべきとした。
 
なかなかの炯眼だと思った。もっとも、実際に皆がその方向に進んでくれる方策が難しいのだけど。
 
 
実は、このセミナーの前後に会った人々とも「業界」の問題点をいろいろ話した。その結果は、やはり外部の血が必要なのではないか、ということになる。業界外から新規参入者が、現在の業界をぶっ飛ばす動きでもないと変わらないのではないか。。。業界の合意なんか求めず、従わせるような圧倒的な新商品を持ち込むとか。
 
 
とまあ、業界外の私が感じたのでしたよ(^o^)。

2017/04/18

不動産業と林業の相似性

たまたま不動産業界の記事に目を通した。日経ビジネスオンラインにあった不動産コンサルタントの牧野知弘氏へのインタビューである。

すると「これって、現在の林業事情と同じかも?」と思えたほど似たところが々ある。課題も浴似ているが、不動産業界で起きている新たな展開も、林業のヒントになるよう感じるのだ。

ちょっと羅列してみる。
 
現在の不動産は「資産であった不動産が、一転して負債になってしまう
これって、財産のつもりの山が金食い虫になったと嘆く山主の言葉そのもの。。。
 
 
不動産の価格が上がっていくことがもはや幻想
木材価格が上がっていくことなんて、もはや幻想……。もちろん森林価格も下落しているし。
 
 
空き家率が30%を超えてしまうと犯罪が増え、地域が荒廃していき、「スラム化」が一気に進む」 
地域の森林の約30%を超える面積が放置されて荒れると、森林地域(山村)全体が過疎高齢化で限界化して崩壊していく。
 
 
だが、今後へのヒントもある。 
 
若い人たちの多くは、住宅の価値とは「利用価値」に過ぎないという認識
若い人の多くは、森林は木材生産を行なう土地ではなく、空間利用する場と考えている。
この意識を強めたら、土地と利用権の分離を進めることができるだろう。土地価格はもっと下げて、利用価値で森林の売買を行なうことを考えられないか。 
 
不動産が証券化されるようになって以降、投資マネーの対象
森林の土地ではなく利用権(地上権)に価値があるのなら、それを証券化したら、投資マネーが入ってくるのではないか? 証券だから転売も可能となり、流動性が増す。
利用権を購入して、その森林を魅力的に仕立ててから転売することで利益を出す、という森林ビジネスも生れるかもしれない。
 
 
不動産業界では、自分の家を建てるためにローンを組んで購入する、その家と土地は財産となる……という固定化した考え方は古びてきた。最近の人ならは、
ローンを組むのであれば、倉庫みたいな建物を買って改装しシェアハウスとして運用するとか、二階建の戸建て物件の一階を賃貸に回すとか、民泊事業参入も視野に入れるとか、とても現実的で柔軟な発想を持っている。返済原資を自分の給料以外に確保している
森林の利用権購入も同じように考える。森林からの利益を木材生産だけで考えると成り立たない。シェアハウスや賃貸、民泊……に相当する別の収入源を一部に確保しておくことはできないか。
たとえば林内を有料の花園やトレイルラン、アスレチック場にする、林道や作業道の一部にソーラーパネルを設置したり、尾根筋に風車を設置して風力発電してもよい。尾根筋の道路は、風車のメンテナンスと林業用の両方に使える。、ほかにも小水力発電も可能だろう。さらに森林を小分けしてオーナー制度よろしく貸し出す……。いろいろ思いつくのだが、別口で利益を上げて、その金で森林を維持するのだ。
 
 
……こんな考え方を、実は折に触れて金融関係者や森林所有会社の人に提案してきたのだが、一顧だにされない(笑)。みんな、頭がカタい。アイデア勝負の時代なのに固定観念に縛られている。
むしろ先進的な不動産業者に森林経営を任せた方がいいかもしれないなあ。

2017/04/15

川の掘削

先日、川上村に行った際に、大滝前の吉野川を写真に撮った。

 
それを眺めていたのだが……ちょっと違和感はないだろうか?
 
 
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川の左半分。ちょっと不自然な形状をしている。
拡大すると……。
 
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そう、人工的な溝がある。角度を変えると
 
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この川の真ん中の岩もちょっと加工の跡が……拡大する。
 
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ようするに、人工的に削ったのだ。筏を流せるように。
この大滝で吉野川は湾曲しているが、江戸時代はここで上流から流してきた丸太を集めて筏を組んだらしい。が、土倉庄三郎はもっと上流から筏で流せるように、さらに掘削を進めた。その痕跡の一つかな、と思っている。
ぜひ、近づいて間近に調査したいところだが……。
 
ところが、なんと渡るルートがない!
 
川向こうは岸が孤立している。チョー急崖を下るか、下半身浸かるぐらいの川を渡るしかあるまい。ボートを調達するか、濡れてもよい格好をするか。。。
 
ま、そんな課題を考えるのも面白いか。

2017/03/22

お尋ね~事故による伐採賠償額

林業現場の皆さんへ、ちょっとご意見・お尋ね。

 
 
私の友人が、ドローンを飛ばしていて、木立に引っ掛けてしまった。それを回収するのには、どうしてもその木を伐採しないと無理。そこで地権者の了解を得て伐採してもらったのだが、さて、地権者には立木代と慰謝料でいくらぐらい払えばいいか。
 
伐採した木はこんなもの。
 
Dscn8688  Dscn8686
 
伐ったのは、樹齢60年生のスギ。その横の細い木も一緒に伐った。
 
写真を見ればわかるとおり、わりと目はよいが、元玉部分はかなり曲がりが見える。幹の長さは10メートルぐらいだったという。搬出はしていない。
 
なお地域は九州で、地権者は林業家ではない。伐採したのは地権者とは別で、そちらの方への代金は別途支払っている。
 
 
さて賠償としてどれほどの額が適当だろうか。原木代だけを考えたらしれているのは、このブログの読者ならおわかりだろうが、事故ったことへの慰謝料も含めるべきだろう。菓子折りつけてお詫びを言いに行く分はおいといて(^o^)。
 
山主から林業家、一般市民、それぞれの立場の賢明なる皆さんのご意見をお聞かせねがいたい。地方によっては、こうしたケースにおける独特の手続きや慣習があるのかもしれないが、それも教えていただけると幸いだ。
 

2017/03/20

「林業で儲ける」2つの方向を考える

日経ビジネスオンラインに『「もうからない林業」でしたたかに稼ぐ人たちという記事が出た。

 
ここに登場するのは、岐阜県山県市の極東森林開発(中原丈夫社長)と、和歌山県田辺市にある山長商店(榎本崇秀社長)。なるほど、この人たちを選んだか、と思う。彼らは、なぜ林業で儲けられるのか。
 
極東森林開発の売り物は、注文から3日間の「短納期」と「ジャストインタイム」だ。さらに1本単位での注文も受ける「多品種・小ロット」の商品構成。
山長商店は、自社森林から製材、プレカットまで行い、住宅メーカーは1カ所ですべての木材が、最終製品として揃えられること。しかも「紀州材」ブランドの無垢材で1本ごとに伐採から加工履歴までトレーサビリティを付けている。(……以上、記事による。)
 
 
これはこれで(林業界では)すごいことなのだが、記事にはこんな言葉が登場する。
 
「林業家は自分たちのペースで樹木を切る。『そろそろあの斜面を切るか』という具合だ。そして切り出した丸太を市場に持ち込む。仮に『1カ月以内にこの太さのスギが100本、ヒノキが100本ほしい』などと要望があっても『まあ、切ってみないとなんともいえないけど、1カ月したら連絡するよ』という具合。そして実際には必要な丸太が揃っておらず『ある程度まとまるのはまた1カ月後だからそのころ来てくれ』という始末。これでは高く売れないのは当たり前だ」(中原社長)
 
ようするに、儲からないという林業家は、ビジネスの体を成していないから、と暗に臭わせている(笑)。
 
実は、ほかにも「儲けている林業家」は私も何人も知っている。相対取引で「市場の2割増価格で売っている」とか、造材が優秀でブランド的に市場価格より高くなる林業家のケースも聞いた。
さらに「山買いで儲けている」人の話もある。「うちの山は、全然金になる木がない」という山主から、安値で山を買い取るのだが、荒れたように見える山も、しっかり歩いて調べると、それなりによい木があるのだそうだ。元山主も知らなかった銘木を見つけたら、それを出して売るだけで元が取れる。残りを十把一絡げで売っても十分利益が出る……のだそうだ。
 
 
これらの例がやっているのは、マーケティングのマネジメントだ。マーケティング、つまり市場(顧客)が欲しがっているものを見つけ出して提供することである。これまで潜在的に国産材商品を欲しがっている客がいるのに、求められる形で供給しないから売れなかった。
 
マーケティングなんて、今やビジネス界では当たり前のようにいう言葉だが、それを林業界ではやっていなかったわけで、きっちりやれば儲かるわけだ。
 
ただ私は、林業界にはもう一つのブレイクが必要だと感じている。マーケティンクだけでは限界があるように思うのだ。なぜなら住宅着工件数が激減して、木材需要が縮む一方なのに、小さくなるパイの中で取り合うだけになるから。もともと生き残る業者は限られる。
 
では何が必要か。それを流行りの言葉で言えばイノベーションだろう。
 
マーケティングがすでにある(潜在的)需要を見つけ出して提供することなら、これまでになかった新たな需要をつくることがイノベーション。平たく言えば、新商品・新ビジネスを生み出すこと。
 
では、何が木材の新商品でありイノベーションになるか。木材(とくにスギやヒノキ)を使っていなかった分野への進出や、逆に商品になると思わなかった林産物を世に出すこと。
 
たとえば現在進められているCLTやバイオマス発電燃料は、一応イノベーションの部類だろうが、原木の価格が安くないと成立しないとか、安定供給不安という問題点を抱えている。もっと山側にプラスになる新商品はないか。
 
もちろん難しい。おいそれと見つかるはずがない。それでも私なりに考えたりする。
 
それをこのブログで垂れ流すつもりもない(~_~;)。だいたい誰にでもできるわけないだろう。それでもイノベーションを起こさないと先がないように思う。
 
 
 

2017/03/16

戦中の「伐ったら植える」

日本の山が、日中~太平洋戦争において大伐採されたことは、折に触れて記してきた。

 
それを拙著『森と日本人の1500年』には、次のように記した。
 
1940年 「国有林産物増産方針」
1941年 「国有林臨時植伐案」
1944年 「決戦収穫案」
 
ようするに軍需物資として国有林を伐採して木材を得ようという政策だ。かくして、日本の戦後は、はげ山からスタートせざるを得なかった。そして大造林が実施されるのだが……。
 
この度、たまたま読んでいた資料で、付け加える法律がつくられていたことを知る。
 
1945年 「戦時森林資源造成法」。
 
伐採跡地が放置されたままでは、銃後の国土保全が危ういとする意見が強く、しっかり跡地に植える法案が提出されたそうである。これは、そして4月2日の通常国会で可決している。戦争もいよいよ末期、本土決戦を覚悟する土壇場に成立したのだ。
 
実際にどれほど実行されたのかはわからない。終戦後は、反故にされた可能性も高い。しかし、林政担当者には「伐ったら植える」精神が非常時でも根付いていたのだろう。当然、政治家、軍部にさえ。
 
 
現在、日本各地で皆伐施業が広がっているが、果たして林業関係者に「伐ったら植える」思いは、どれほど残っているのだろうか。
 
「総量としては、日本の森林蓄積は増えている」から、この程度伐っても「森林は減らない」という言葉(言い訳?)ばかりが目立つのだが……。
 

2017/03/05

日経新聞の林業記事が核心を

このところ、日経新聞の林業記事が核心に近づいている。

 
いや、私がそう読み取っただけかもしれないが……。
 
まずは、2月28日配信のこの記事。

林業担い手「不足」9割、人材の確保急務 本社調査

 
前半は、林業で人手不足が深刻という調査結果を示している。
 
林業に従事する人が不足しているかどうかを森林組合に聞いた。「不足している」は43%、「やや不足している」も41%あった。9%は「不足して経営に影響が出ている」と答えた。
とくにどうこう言わない。問題は、その背景というか理由だ。
 
 
人手不足の解消に必要なこと(複数回答)を森林組合と住宅メーカーに聞くと「賃金・待遇の改善」がそれぞれ90%、74%に達した。
 
林業の担い手を確保する上で大きな課題の一つが所得の低さだ。林野庁のアンケート調査結果によると、2013年度の林業従事者の1人当たり平均所得は305万円。全産業平均の414万円を26%下回る。
 
そう、所得の低さが人手不足の要因なのに、それに目をつぶって「需要の拡大」を叫ぶのは馬鹿げている。
そして、所得が上がらない理由は、第一に原木価格の下落だろう。私はそれだけでなく、ニーズとマッチしていない点や、頭から従業員の所得を上げようと思わない経営者が少なくない問題もあると思うが。
 
その点は、
背景には木材需要の減少による丸太の値下がりがある。調査で森林組合に林業の課題(複数回答)を尋ねたところ「丸太の販売価格の低さ」(78%)が「従事者の不足」(57%)や「国産材需要の少なさ」(43%)を上回りトップだった。
 
 
日経新聞の記者さん、この問題をもっとクローズアップしてはどうか。私なら「人手不足」より、この点を記事のメインに据えるが。
 
 
一方、3月2日付けには、こんな記事が掲載された。

 

これは、また別の意味で面白い。記事のメインは、新建材、つまりCLTだ。岡山県真庭市を中心にCLTの建築が続々と増えていることに触れている。そして、これが木材需要の大きな波であるとしているようだ。
 
木材の住宅需要が減少しているので、非住宅建築物(公共施設、商業施設)に木材を使うことを期待し、そこではCLTが有望だから、CLTが木材需要を伸ばすのではとする。
 
関係者が望みをかけるのが大型施設だ。林業調査で森林組合と住宅メーカーに期待する建築分野(複数回答)を聞くと、84%が公共施設、52%が商業施設を挙げた。
 
028  CLTによる社屋建設。
 
 
そしてバイオマス発電にも触れる。
 
木質バイオマス発電もその一つ。調査では87%が期待すると答えた。
 
 
このように、新たな木材需要が林業再生に結びつくだろうと描くのだ。 
だが、もっとも注目すべき点は、次なのではないか。
 
ただ新たな用途を開拓しても、難題が残る。CLTや木質バイオマス発電は、主に角材に適さない曲がった木を使う。収入の柱となる高品質丸太の需要にはつながらない。山陰の森林組合は「低単価の需要拡大は意味がない」と言い切る。
一方、住宅メーカーの61%は林業の課題(複数回答)に「高コスト」を挙げた。売る側と使う側の意識の開きも大きい。
 
 
記事の付け足しのように記しているが、CLTやバイオマス発電では、利益率の高い高品質丸太(A材のこと)が売れるわけではないというのだから、記事の根幹はここにある。  
 
 
私は、CLTが悪いというのではない。それなりに魅力的な建材であることは繰り返し記してきた。ただ、本当に国産材を使って作るのか、輸入CLTに席巻されるのではないか、という疑問に加えて、いくら国産材のCLTが売れたとしても、それは林業家の収入増にはつながらないということだ。
同じく、バイオマス発電も、廃材を利用する点に関しては大いに推進すべきだと思う。願わくば発電だけでなく熱利用もしてほしいが。
 
しかし、山に金が還元されないかぎり、林業現場の人手不足は続くし、日本の山は荒れ続けるのである。
 
日経の両記事は、林業問題の核心に触れたのだけど、記事としてはクローズアップしていない。本気で問題だと気づいているのかなあ。
 

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森と林業と田舎