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森と林業と田舎の本

2020/11/28

「林業の専業化は不可能」論

また林政審議会の話だが、今月開かれた界では、「森林・林業基本計画」の改定がテーマだったようだ。

そこで林野庁側のたたき台として多角経営というか、副業との抱き合わせ例を紹介したようだ。資料にこんなページがあった。

Photo_20201128102601

そこにあるように副業の例として「露地ナス栽培やキウイフルーツ栽培~つまり農業」「タケノコやサカキ収穫」「土日はカフェ」「林政アドバイザー」「アウトドアガイド」「薪や木工品」といった複合経営の事例を紹介した。

すると出席した委員(自治体首長)は「林業と他の仕事を掛け持ちしても成功している人はわずかで、これで所得を上げるというのは邪道。本業がきちんとあることが大事」と発言したそうである。ようするに林業に専念しろ、と。

ああ、こういう発想が今も根強いのだな、と私はまた「絶望」したのである(笑)。

『絶望の林業』の「希望の林業」の章で触れたが、50年100年のスパンでサイクルが回る林業で、「林業専業」にこだわるのは馬鹿げている。もともと歴史的に林業を専業とする林家はほとんどいず、農林複合などが当たり前だった。戦前までの日本がそうだった。そして現在生き残っている林業家もほとんどがそうだろう。今風の6次産業化なんてのも基本は「林業だけじゃダメ」だから考えつかれたのである。そもそも百姓とは農業だけに専念する職業人ではなく100の職の集まりだった。その中には山仕事も含まれていた。
ところが木材景気に沸いた戦後の一時期に「より効率」を求めて分業⇒専業へと突っ走った。林業から農業、畜産……などを切り離した。結果はいずれの産業も衰退してしまった。

林業を専業化して成功しようと思ったら、広大な面積(たとえば1万ヘクタール以上)の山林を所有するか、あるいはアーボリカルチャーとか大径木伐採のような特殊技能を磨いて高付加価値の「オンリーワン」になるしかない。そして仕事を求めて全国を飛び回る覚悟がいる。狭い地域に特殊伐採や大径木伐採の需要はわずかしかないからである。もし自分は林業(の中の一部の作業)しかできないという人がいたら、それは雇われて……下請け化するしかないだろう。自分の意志で林業はできなくなる。

だが全員がそれをめざすのは非現実的だし、そんなにたくさんの技能者がいたら破綻するわけで、大多数はもっとしなやかに平均的な技術を身につけるだけで多様な職種を抱える方が理に適っている。林業家はジェネラリストであるべきだろう。加えて「ウィズコロナ」時代は副業の時代であり、一つの仕事に固執するのは絶滅へ向かいかねない。林業も、多くの職業の中の一つ、副業のアイテムだ。

しかも多様な職を展開することは、リスクマネージメントになる。一つの職が失敗した際に、生きていけなくなる。居酒屋だけやっていたら、コロナ自粛で経営危機になる例を目の前で見ているのだから。

また「林業」ではなく、「山村」の維持の点からも多様なライフスタイルと多角経営が行うことが人口減社会では重要となる。

専業指向は日本の悪しき意識ではないか。違う他者を排除するムラ社会から、多様な人材を受け入れる社会を築くためにもさまざまなスタイルが必要だろう。

 

※この論考、もう少し練りたい。

 

2020/11/20

盗伐カルテルは、成長産業!

日本の山では、相変わらず盗伐がのさばっている。これまでの盗伐告発は宮崎県が中心だったが、最近は鹿児島や熊本など周辺県でも告発が相次ぐようになってきた。さらに広がりそうだ。盗伐は全国で起きているのだから。
盗伐の犯罪性は、単に他人の山の木を勝手に伐ってしまう窃盗というだけでない。数十年育ててきた山主の気力を奪う仕業なのだ。しかも切り方は乱暴極まりなく、土壌も引き剥がすから、再び造林するのも至難の業。そして剥き出しの土は、雨で流れだすだろう。環境破壊であり山崩れなどの災害を誘発する。その点からも重大犯罪だ。にもかかわらず、取り締まりは遅々として進まず、わずかに捕まった犯人も、執行猶予のつく大甘の刑罰。だから頻発する。

Img001_20201120231901宮崎県の盗伐を報じる地元紙

そんな疑問が広がる中、こんな記事を読んだ。主に中南米で激化している盗伐のルポだ。盗伐とは世界レベルのものであることを伝えている。

木材マフィア ラテンアメリカの森を侵食する

ここにはコロンビア、ホンジェラス、メキシコ、ペルーの大規模な盗伐が報告されている。コロンビアの伐採規制を行う当局が、違法木材の供給者になっている事実や、ホンジェラスでは盗伐が産業として成り立ち、マフィアのボスが木材流通チェーンを経営していること、メキシコでは麻薬カルテル(マフィア)が盗伐事業に乗り出していること、ペルーには元警官の盗伐ネットワークがあること……などがルポされている。

もちろん盗伐は中南米だけではない。中国や東南アジア、シベリア、そしてヨーロッパでも盗伐が起きていることを伝えられている。

こうした記事に目を通していると、すでに国家の産業に盗伐が組み込まれていることを感じる。それも巨大産業なのだ。そして、腑に落ちた。なぜ日本の盗伐がなくならないのか。それは世界中で起きている事情と同じだからだろう。

まず不思議というか興味深いのは、世界中の林業関係者が「木材価格が下落して儲からない」というのに、違法伐採すると木材が儲かるということだろう。
何も盗伐業者が、木材を高値でさばけるルートを持っているわけではない。それどころか違法ゆえ価格は安値で扱われているはず。ただ莫大な量を動かすから儲かるのだろう。しかも本来は対価を支払うべき森林所有者への還元を無視して、再造林もしない。仕事は荒っぽく済ませる。また環境破壊に対する防止策も何も取らないことで経費がかからないから利益が上がる。
言い換えると、通常の方法では利益を出せないから、違法性を利益にして儲けるのだ。しかも証拠を消すため、伐採後に森に火を放つらしい。災害が起きても、当然ながら賠償することもない。

そして摘発されないのは、地域社会(ときに国家そのもの)と密に連携しているからだ。盗伐された木材であっても、それを欲しがる業者がいる。違法な木材であっても取引すれば流通業者も利益を得るし、製材業者も、加工業者も、建設業者までビジネスとして動く。輸出もするから貿易業者も儲ける。最後は施主も、違法木材を使った方が安価になるなどの利益を得る。適法では手に入らない貴重な木材を得られるのも魅力だ。その間には警察機構や行政、そうして政治家まで利益を得る構造がつくられている。
ちなみに日本の輸入する木材の約1割は違法性の懸念があるという。盗伐された木材は日本をお得意様にしているのだ。

そして日本の盗伐も、基本的な構造は一緒だ。儲からない林業も、違法にやれば儲かるから参入者が絶えない。そして、それは政治家や行政組織、そして産業構造に食い込んでいるからやたらと取り締まらないし逮捕もされない。盗伐してでも木材を出さないと、木材産業(伐採業者から製材、建築まで。さらに木材輸出やバイオマス発電まで含む)が立ち行かなくなっているのだ。
自治体も、盗伐によって木材生産量が増えたら、地域経済の活性化することを期待する。「林業を成長産業にする」という目標を掲げる国にとっても、盗伐を取り締まることは、自ら目標達成の足を引っ張ることになりかねないから目をつぶる。さらに業界・政界の圧力があるのか、警察機構も摘発に及び腰だ。ただでさえ仕事を増やしたくないのだから。

かくして日本にも盗伐マフィアと盗伐に関わる各業界のカルテルが生まれている。違法であっても、みんなが利益を得られる。損をするのは森林所有者だが、実は彼らも「林業は儲からない」と思って山を放置してきたから、被害意識が希薄になりがちだ。ただ物言わぬ環境だけが破壊されていく。いつか大災害を引き起こすかもしれないが、先のことは考えない。

もはや盗伐の成長産業化をみんなが後押ししている状態だ。今が良ければいい、という空気が蔓延している。将来、森林の破壊がもたらす厄難より、今、自分たちが利益を得ることを優先した結果だ。世界の盗伐事情を見ていると、日本の盗伐の謎部分も透けて見えてくる。

ただ、新たな動きも多少あるそうだ。宮崎県では、警察が被害届の受理をかたくなに拒み、仮に受理してもすぐに不起訴にしていたのが、急に盗伐に関して被害届を受理しだしたのだ。被害届を出していない人にまで提出するよう促しているという。検察のトップが交代したことと関係があるのかもしれない。その本気、続けていただきたい。検察までが盗伐産業に組み込まれることがないように。

 

 

2020/10/24

紀伊半島の森林経営管理に適した目標林型 ?

紀伊半島3県共同研究実行委員会というのがあるそうだ。

そして、「紀伊半島の森林経営管理に適した目標林型の類型化と施業指針の作成に関する公募」というのをやるそうだ。

う~ん。なんだ、こりゃ。

ちなみに「紀伊半島3県共同研究実行委員会」とは、紀伊半島3県(三重県、奈良県、和歌山県)、近畿中国森林管理局、国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所を構成員とし、紀伊半島3県の森林・林業の発展に寄与する共通課題(人材育成・担い手確保、林業省力化、森林管理等)の解決を目的に設置された機関……だそうだ。

そして効率的な森林整備を推進するため、目標林型の整理や経営管理に適した森林の判定基準・施業指針づくりに向けた調査・研究業務の公募を行うのだそうである。イマイチわからんが……。そして事務局は和歌山県が行っているそうなので、そちらのサイトに案内が掲載されている。

紀伊半島の森林経営管理に適した目標林型の類型化と施業指針の作成に関する調査・研究業務

2.委託料  上限600万円(税込)

3.委託期間 原則契約日から令和3年3月31日までとするが、実施計画の内容に応じて最大で令和5年2月28日まで、委託期間を設定することができます。

要項やスケジュールなどは、サイトを見てほしいが、600万円かあ。目標林形を決めるための調査研究?

ところで、こんな募集というか、クラウドファンディングもあった。

荒廃した奥地人工林を『低コストで管理できる森林』へ!

こちらは北海道大学が和歌山県に持つ研究林で、人工林の管理する研究をしている大学院生が、里山や奥地の人工林は天然林にもどすのがイチバンだろうと思いついて、間伐をどれぐらいしたら天然更新で広葉樹などが浸入してくるかの研究課題をぶち上げた、しかしその研究をする資金(主に作業道づくり?)が足りないので募集するというものらしい。

大学院の研究にクラウドファンディングかあ。研究林なら大学内でなんとかしてほしい気もするが。いっそ上記の公募の600万円を獲得したらいかがかな。

ともあれ、なんだか紀伊半島で似たこと言い出している。何より奈良県の立場が浮いているが、「恒続林」、つまり針広混交林づくりを指向していることは以前から幾度も紹介してきた。その研究をすべきではないか、と先日のブログで書いたばかり。まあ、研究成果を奈良県がいただければ、それに越したことはないが。

これ、偶然? みんなバラバラにやってるの?

 

2020/10/19

尾根に並ぶ風車と発電規模

これ、和歌山県から大阪南部の上空。

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尾根筋に白く点々と立っているものが見えるだろう。これは風力発電の風車のよう。

ここまで並んでいるのは思わなかった。数えてみると、その時は48まで見つけたが、もっと周辺にありそうだ。

最近は風力発電公害を言われるようになったが、私は風力発電にそんなに忌避感はない。原子力はダメ、石炭火力もダメ、ダムを築く水力発電もダメ……と言い出すと、もはや発電方法がなくなってしまう。そして私は木質バイオマス発電の危険性を訴えている立場だ。
その中で太陽光発電や風力発電はマシな方だと思っている。ただ立てる場所と規模だろう。風力発電は、景観が悪くなるというのは主観的だが、低周波音を出すとか、鳥類の衝突事故が多いことが問題となっている。また台風などの強風で壊れるケースもある。ただ人が滅多に近づけない尾根筋なら低周波などはさほど心配なくなるのではないか。

管首相……(カン直人である、現在のスガ義偉首相ではない)は、尾根筋に林道を伸ばして、そこに風力発電を築くことで林業と電力の複式経営を提案していた。私はなかなか面白いアイデアと感じた。森林経営を多角化することになる。尾根筋の林道で集材等施業をしつつ、風車の保守点検もできる。また電力収入で森林整備を支えられる。そりゃ、いくつか難関はあるだろうが、政治力と技術力があれば解決するだろう。

ただ、上記の写真ほど規模が大きくなるとなあ……。愛媛に行った際に、見たかったものの行けなかったものの一つに内子バイオマス発電所があるが、ここは熱を回収して発電に回す方式で、効率を30%台まで高めているそうだ。しかも、当初は5000キロワット級の規模を予定していたが、地元からそれだけの燃料材を集められないと注文が入って、持続的に経営するために半分以下の2000キロワット級に下げたという。収支は悪くなっただろうが、地元の意見を聞いて小規模にするという点では、模範的な木質バイオマス発電所だろう。

何事も、持続的な規模というものがあるのだよ。山の上の多数の風車に何か不都合があるとは聞かないが、慎重にね。

2020/10/18

盗伐メカニズムの研究発表

今頃、ここで紹介しても遅いんだろうけど……。

森林総研の東北支所で「もりゼミ」という名の研究発表が行われているが、19日、つまり明日の昼間に開かれる。

テーマは二つあるが、私が興味を持ったのは、

「宮崎県における盗伐の問題:なぜ盗伐が起こったのか?」(御田 成顕)

近年、宮崎県で盗伐や誤伐といった無断伐採が問題となっており、その対策の構築が求められています。
しかし、盗伐の全体像や盗伐が発生するメカニズムは分かっておらず、研究の蓄積も十分ではありません。
かつて盗伐は、森林資源に生活を依存する山村住民と山林所有者との権利争いとしてみなされていましたが、高度経済成長やエネルギー革命による森林資源利用の減少に伴い、盗伐の研究はながらく途絶えていました。
そこで、盗伐事件の裁判記録や関係者への聞き取り調査を通じ、盗伐が発生するメカニズムを検討しました。
今回、かつての盗伐と現在生じている盗伐との違い、盗伐がどのように行われたのか、そして盗伐が発生するメカニズムを紹介し、山村や林業が抱える問題の整理や盗伐をどうやって防ぐかを議論したい。

私も追いかけた宮崎県の盗伐問題だけに興味ある。ただ御田氏の研究は、その際に取材したから、だいたいの内容は知っているが……。

しかし、これはあくまで東北支所で開かれるのだし、ネット中継されるわけでないし、そもそも定員が20名だし(^^;)、参加できる人は限られているわな。


私も先日会った宮崎県の林業関係者から多少話を聞いたが、ようやく警察も動き出したよう。でも、そのためにまずは「盗伐って何?」という勉強会を警察関係者向きに開かないといけないらしい。
盗伐にあった木を証明するには切り株がないといけないとしているが、林地を引っかき回して切り株もつぶしている現場では、それでは立件できない。現に、数ヘクタールも盗伐されたのに、立件したのは20本だけ……というケースもある(というか、それが普通)。

しかも裁判では裁判官が「なぜ自分が所有する山林の境界線がわからないのか」「生えている木の本数を知らないのか」というレベルの質問を被害者にするそうで、山林事情をまったく把握していないまま判決が出されているようだ。

私は、今後も宮崎の盗伐の実情を声を大きく広めていこうと思う。なんか、宮崎県人と話していると、意識的?無意識的?に問題を矮小化しようとしてるように感じる。自分の地元では起きてないとか、盗伐といわずに誤伐という言葉にすり替えるし。同時に宮崎県の対応批判をするからね(-.-)。何より宮崎県が本気で動かないことには止まらないだろうから。

2020/09/15

どこでも起きる、無断伐採

久しぶりに健康診断を受けているのだが、私の行きつけ?いやホームドクターは無駄話ばかりする。

「妻の実家が龍神でな」。これ、和歌山県龍神村のことである。

「結構、山を持っているんだけど、久しぶりに見に行ったらバッサリ伐られているねん」。おや、それは盗伐か!?

どうやら山の管理を頼んでいた親戚が勝手に伐ったらしい。金が必要だった、と。まあ、在り来たりの言い訳である。そんな金ならいくらでも都合つけたるのに、よりによって山を伐ってしまうとは……と嘆いているそうである。つまり、現金より、長い年月をかけて育てた木に価値を感じているのだろう。(もっとも、最近は、伐採しても搬出に経費がかかって利益が出ないことも嘆いていた。)

身内で、しかも管理を委託していた相手となると、簡単に訴え出るのも難しいだろうが、やはりこれは犯罪行為、窃盗に当たる。こうした無断伐採は、表に出づらいだけに結構多いのではないか。

 

というわけで、手元に届いた「旬刊宮崎」紙の一面を紹介しよう。

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「旬刊宮崎」は、唯一宮崎県で盗伐問題を追及し続けている地域紙。今回は1、2面で盗伐問題を大きく取り上げている。これに目を通せば、今も続く盗伐と、それに対する役所や警察の対応もわかるだろう。
どうも、上は知事から、下は自治会まで、ほとんどグルで動いているようだ。告発したら、どうにも都合の悪いことになることを皆がわかっていて、握りつぶそうとしているのか。それだけ宮崎には林業に関わる人が多いのだろうが、網の目のように人間関係(というより盗伐ネットワーク)が築かれていると思うとウンザリする。

もしかして、宮崎は声を上げる人が出てきただけマシなのかもしれない。こっそり内輪で処理されて、泣き寝入りになっている山主も全国的には多いのではないか。

 

 

 

2020/09/13

宮崎の台風被害の原因は?

9月7日の台風10号では、宮崎県椎葉村に山崩れを発生させて、4人が行方不明になった。今も捜索は続けられているだろうが、事態は絶望的だ。

それに関する新聞記事。まずは朝日新聞だが、写真を見てほしい。

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いかにも山の斜面が中腹より崩れて麓の川沿いの民家を襲ったように写っているのだが…。

実は宮崎日日新聞の記事を送ってくださった方がいる。こちらは共同通信配信のようだ。どちらもヘリを飛ばして、だいたい同じ位置から撮影したように思える。ただし、違いがある。

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宮崎日日新聞では、崩れた起点の少し上も写っている。そこには、明らかに伐採跡地とそこまでの作業道が入れられていたことが写し出されている。崩れたのも、はっきりと道からだとわかる。

その点、朝日新聞側は、なぜかその場所を切り取っていてわからない。できるだけ崩れた場所を大きく載せるためにトリミングしたのかもしれないが、印象がガラリと変わるだろう。朝日の写真だと、山の中腹が崩れたのは仕方ないように思えるが、宮崎日日の場合は、林業こそが山崩れを誘発したと自然に感じるのだ。

まさか、伐採されている土地は、盗伐ではないだろうな、と疑ってしまうが、流れ出た土砂に丸太が混ざって見えることから土場があったのではと想像する。

宮崎の各所に続々と発見される盗伐地。それらが台風などの被害を増大していたら、もう誰が謝るのだ?盗伐被害者が、水害の加害者扱いされかねない。

2020/09/06

木質ペレットの生産量統計を読む

林野庁の統計発表。 「木質ペレットの生産状況」

令和元年における木質粒状燃料(木質ペレット)の生産量は前年から1.6万トン増加の14.7万トン(対前年比112.1%)となりました。一方で工場数は147工場で、前年から7工場の減少となりました。
生産された木質ペレットを用途別に見ると、燃料用としての生産がほとんどを占め、14.2万トン(構成比96.7%)となりました。
また、原料入手別に見ると丸太・林地残材からの生産が6.3万トン(構成比43.0%)、製材工場等残材からの生産が5.9万トン(構成比40.3%)、建設発生木材が2.4万トン(構成比16.4%)となりました。
丸太・林地残材から生産されたものの樹種別で見ると、スギが3.8万トン(構成比60.2%)、マツが1.9万トン(構成比29.4%)、ヒノキが0.5万トン(構成比8.1%)となりました。

この数字を見ていろいろ考えるのもよいが、問題は、用途。ほとんど燃料用とあるが、何の燃料だろうか。ペレットストーブがそんなに増えたとは思えないから、やはりバイオマス発電だろう。だが、発電用の燃焼炉はチップでもいいのじゃないか。わざわざペレットにしなくても……。ペレットにすると保管しやすいとか、何か別のメリットがあるのだろうか。そういや、バイオマス燃料として輸入されるのには、木質ペレットが多かった。

そして、本当の疑問はこちら。燃料以外の利用法は何か。3.3%を占める木質ペレットの用途は何か。単純計算では4851トンだ。燃やす以外の使い道は……ネコ砂とか(笑)。油の吸着剤なんてのもあるな。

ちなみに原料も、林地残材が4割以上と多いが、これって、わざわざペレットにするため伐採しているのか。そして粉になるまで粉砕する……。なんか「もったいない」。樹種は、マツが3割とわりと多い。そんなに建材としては出てこないマツが、こんなに多いのは支障木か。それとも、わざわざ伐採しているというのなら不思議。

地域別の生産量。

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生産地は北海道(約1万2000トン)が圧倒的に多い……と思っていたら、なんと岡山がその倍以上もあった。2万5766トンである。これは真庭地方のバイオマス発電のためだろうか。使い道も、工業用とか農業用がそこそこある。どんな使い方だ?
次が宮崎県で、1万9467トン。そして愛媛、高知、秋田、福島、長野、新潟……。
それぞれに、どういう背景があるのか、考えてみると面白いなあ。

2020/08/20

「見た目の伐採地」の研究

森林総合研究所のHPに、伐採後の「見た目」についての研究が発表されていた。

伐採地の「見た目」に抱く印象のズレを理解し森林管理に活かすために

サイトには7種類の写真があるから、見比べてほしい。見た目から伐採跡地を論じるのは、なかなか珍しいだろう。

森林の「見た目」の印象は立場によってズレがあり、その人にとっての価値を大きく左右します。したがって、利害関係者が伐採地にどのような印象を持つのかについて、伐採者がしっかりと認識していることが期待されますが、これまで特に伐採地の「見た目」の印象のズレについての研究はほとんど行なわれてきませんでした。

そこで私たちは、北海道のトドマツ人工林を対象地として、さまざまなタイプの伐採地を写真撮影し、専門家ではない人々(非専門家群)と森林・林業を専門とする研究者ら(専門家群)を対象にして、伐採地の写真の「見た目の印象」について調査しました。

その結果、非専門家は皆伐地と広葉樹老齢木が残された伐採地をポジティブに、トドマツを群状に伐り残した伐採地をネガティブにとらえる傾向があること等が明らかになりました。また、林業を行うための伐採への評価は両群で大きく異なっており、その解消には、伐採の必要性や生態系保全への配慮等についての情報提供が有効なことが分かりました。

本研究は、森林の持つ公益的機能(景観、生物多様性)と林業の折り合いをどうつけるのかといった課題を、非専門家の視点を中心に解析した点に新規性があり、今後、地域住民や旅行者等の目線や生態系に配慮した伐採計画を考える上で役に立ちます。

非専門家、というのは、ようするに林業に関わらない一般人という意味なんだろうが、「皆伐」を評価しているのか。これをどのように解釈するか。写真の撮り方? 斜面か平坦地か。見上げるか、見下ろすか。案外、そんなところも見映えの印象に影響する。

ちなみに私は、「中級保持」がいいかな(^o^)。それと、これって「保持林業」のことだと思った。これまでも幾度か紹介しているが、

ブログなら、保持林業の実践地!

フォレストジャーナルでは、主伐後の森林の生態系を守る! 欧米で提唱されている「保持林業」とは?(前後編)

皆伐時に木の残し方の見た目の評価にもなる。

見た目を重視するのは、たとえば恒続林のように「最も美しき森」をつくるというのにもつながるかも。美しいと感じるのは、実は生態系が健全な森なのかもしれないから。

日本森林学会誌に発表されたものらしいが、ちゃんと本文も読んでみたい。

 

 

 

 

2020/08/11

「中抜きの林業」のヤバい部分

ふとSNSで流れてきた「東洋経済オンライン」の『日本人を貧しくする商習慣「中抜き」のヤバい訳』を読んだ。

ああ、これだこれだ、と私の考えていた「林業がなぜ儲からないのか」理由を改めて振り返る。ただし、この記事の指摘する「中抜き」という言葉の意味は違う。

この記事の冒頭には、政府の持続化給付金事業を受託した組織が、業務を外部企業に再委託していた問題でが説明されている。まったく仕事をせずに請負額から手数料だけ抜いて(下請けに)丸投げしていることには激しい怒りを感じるが、この手数料だけを抜くことを「中抜き」と記している。この額、通常は約1割だが、ときに半分ぐらい搾取するケースもあるから恐るべき日本社会の構造である。

だが、私の指摘する林業の問題の「中抜き」は表面上は少し違う。山主から伐採業者(素材生産業者)、市場、製材所、プレカット工場、木材問屋、木材店から工務店、施主までの流れに幾度となく木材が動いているが、ここに問題があると指摘すると「中抜き」が行われるのである。たとえば市場を抜く、木材問屋を抜く……などである。ときに山主と伐採業者が一体化する「自伐」によるマージン削減も考えられる。この様な流通の一部の機能を飛ばすことを「中抜き」と呼ぶことが多い。

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私自身は、この中抜きに危険を感じている。なぜなら各ステージにある役割を誰が負うかはっきりしないからである。たとえば市場を外して、その移動などの手間と手数料を削減するとしても、市場の土場の仕分け機能や市場自体が持つ金融(ファイナンス)機能を代わって負うのは誰か。仕分けは、山主が指揮する?伐採業者がどこかの土場で行う? 資金の先払いを受けずに業者は仕事を回せるのか……もちろん、代わりを務められたら大いに結構。山主が自ら木を伐るのはそんなケースだ。まさに中抜きがコスト削減になる。
しかし、もし馴れないため仕分けが上手くなく、売れ筋を外したらどうするか。金融機関が適切な資金供与せずにショートしたらどうするか。いや仕分けが面倒だから、A材もみんなバイオマス発電行きだあ~! てこともある。中抜きによって得るべき利益を失っているのである。

一方で、多くの(独立した)業者が介在することで、確実に増えるものがある。それぞれのステージで管理部門の手数と人件費がかかるのだ。たとえば経理担当者も、営業マンも各自抱えている。材料の入荷と工場の稼働状況を管理する人がいないと、工場の常時稼働はできず、止まれば損害を負う。

これは、日本の多くの産業全般で行われる流通の細分化にも通じることだ。いくつもの会社を経由することで、仕分けなど機能は分担できるが、それぞれの会社の管理コストが膨らんでいく。しかも、それぞれのマージンもデタラメ。力の強いところが多く取る。ほとんど仕事をせず下請けに出しながらマージンを2割3割取る業者もいれば、要求に応えて細かな管理をしているのに数%しかとれないところもある。

私は、林業改革で最初に手を付けるべきは、この部分ではないか、と考えていたのだ。

管理部門をばっさり落とせば、随分経費が浮くはずだ。全体のコーディネートを行う会社が、流通過程のすべてを把握して、一括して管理(営業も、経理も、スケジューリングも)する役割を果たせば、1割2割のコストが浮いて、その浮いた金を適正に配分するだけで、随分業界は儲かるようになるのではないか。何より山主にまともな金額を配分できるのではないか。

……ということを考える、お盆のさなか。

 

 

 

 

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