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森と林業と田舎の本

2022/01/13

エンドユーザーが木桶をつくる

先日……というか昨年訪れた東京駅で、木桶を見た。

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どうやら江戸の職人キャンペーンで伝統的な木桶仕込みの醤油を紹介していたらしい。もうキャンペーンは終わっているので、細かなことは知らない。

ただ、この醤油屋、実は木桶もつくっている(゚д゚)。

小豆島の醤油会社ヤマロク醤油が始めた木桶職人復活プロジェクトで、醤油用を中心とした巨大木桶の製造技術を学んで作り出したものだ。この点は、わりと各地のメディアも取り上げられているしら知っている人もいるのではないか。

これまで大きな木桶をつくるところと言えば大阪のメーカーしかなかったのだが、そこも廃業したらしく、いよいよ作り手がいなくなるというので、自ら学んで桶職人養成に乗り出したのである。

ここで私が注目したのは、使い手が作り手になったこと。職人の世界は、分業が多い。生産各段階で専門の職人に分かれているのだ。だが、この分業体制は、ほんの少し歯車が狂うとネットワークは崩れ、バラバラになる。そして商品の生産までストップする。あるいは別物になる。

私はいくつもそんな世界を取材してきた。絹織物も、漆芸も、和紙も、葛細工も。分業は全体像をわからなくするから、一カ所ピースが消えると、全体が消えるのだ。

その反動からか、エンドユーザーが川上に遡って全体の製造に乗り出す動きが各地の工芸各業界で生まれている。絹織物や染め物職人が養蚕から始めたり、漆塗り職人ウルシの植林から漆掻きまでやったり。和紙漉き職人がコウゾ栽培を始めるケースもあった。

もしかしたら、醤油や酒造会社が桶づくりだけでなく、樽丸づくり、そして林業にも手を伸ばすかもしれない。おそらく樽や桶に向いた木材は、枯渇しつつあるから。さらに住宅メーカーや家具メーカーが林業を始めるべきだね(⌒ー⌒)。林業界も、苗づくり業者が消えて、植林業者が消えているから、そのうち消える(笑)。

住友林業のように川上から川下に下って木材のエンドユーザーになってしまった会社はあるが、河口から源流まで遡る業者はいないだろうか。

 

2022/01/10

ウシ一頭買いの林業

サガリステーキを食した。

最近は、牛肉も細かく部位の名を示すので面白い。サガリとは、横隔膜の一部でハラミより腹側なのだそうだが、内臓肉に分類される。

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別にサガリステーキについて解説しようというわけではない。これまで内臓肉はホルモンと一括されることも多かった。それが個別に分けるとステーキになるのである。またミスジとかサンカクとかザブトン、イチボ、カイノミ……と分けて稀少部位だと言われると、なんだか美味しそうに感じて買ってしまう。業者側からすると、個別の命名によって、これまで売りづらかった部分を好む人に届けることができる。すると単価は上がるし、無駄を出さない効果もある。

ちょうど、先日リモートで取材を受けたのだが、そこで今後の林業の在り方について語らされた。絶望している私に何を聞くんだ(笑)と思わぬでもないが、それでも新しい傾向の一つとして、林業家とビルダーが結びつくことで、家づくりに必要な木材を注文に合わせて出すことで無駄を省くビジネスモデルの登場を紹介した。

すると取材者は、「焼き肉店の“ウシ一頭買い”みたいですね」という。

なるほど、大手焼き肉チェーンなどではウシを丸ごと購入して、各部位の肉に切り分けてすべてを商品化する方法が登場している。
それなら、寿司屋の漁船1艘買いもありますね、と私も応じた。マグロのトロだけを買うのではなく、水揚げした雑魚も全部買って、それぞれを調理によって商品化する。それによって全体の利益も増やせるし、ロスも減らせる。

分業が進んでいる業界では、業者によって求める部分が違うので、無理な買い方になりがちだ。マグロのトロだけを買い占める寿司屋は、マグロの赤身やアラは買わない。それらはロスになり漁師は儲からない。またトロを大量に仕入れようと思えば高値になる。また供給側も量を仕入れないといけないので、売れにくい部分は避けてしまう。それが無駄を出して全体の価格を下げる。

それを、より大規模にやっているのが林業だ。建材、合板、製紙チップ……と業者が違うので仕分けが必要だが、往々にして面倒なので全部チップにしてしまう業者もいる。だからバイオマス燃料のチップの中に銘木や立派な柱を採れる材が混じっていることも多くなる。山の木を全部伐って、全部燃やしてしまう林業が横行する。

林業も、樹木そのものを売って、その1本の木を細かく分けて(製材するなりして)、すべてを商品化することを考えるべきだろう。たとえば柱と板と造作材、家具を1本の木から得る……。さらに枝葉をインテリアにする。
もちろん量では売らないで、利益を確保する。そのためにはエンドユーザー(工務店や家具メーカー、製紙会社……)などの情報を一元化しなくてはならない。加工には製材やプレカットの業者も加わるべきか。

いやいや森林丸ごと買いも考えられないか。木材だけでなく、森林空間の商品化も視野に入れる。環境創生もビジネスに加えたスマートな森林ビジネスを描くべきだろう。

これが、本当のスマート林業だよ。今の日本の林業は、大間のクロマグロを全部ツナ缶にしているようなもの……いやキャットフードにしているようなものだろう。

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2022/01/08

驚くべき年輪

某林業家の家を訪ねた。そこで見せられた不思議な木片。この奇妙さがわかるだろうか。

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年輪に注目してみよう。なんか、ヘンと思いません?  気づくかなあ。

樹齢はどれぐらいだろうか。100年をはるかに越えているのだが。芯と辺を見比べてほしい。

 

ヒント。

20220108-3 芯である。

20220108-2 辺である。

どう? いつも丸太の小口を眺めていたら気づくはず。

 

そう、通常は、芯の部分の年輪は開いている。若いときは直径が小さいゆえに生長は即木目に現れて1年に太くなる割合が高いからだ。そして年齢を重ねた辺材となると、年輪幅は狭い。直径が大きくなった分だけ同じ生長量でも年輪は薄く狭くなる。

だが、この木片は、辺材の方が広く育っている。

こうした材の方が高く売れるのだという。だから人為的に生長を制御して歳を重ねるほど生長をよくしたのだ。どのような施業をすると、こんな年輪でできるのか。これが第2問(^o^)。

よーく考えてみよう。林業技術の妙だ。というか、アレしかない。

 

2022/01/05

「ぎぼむす」に学ぶ森林投資

正月2日に「義母と娘のブルース2022」を見た。

このドラマについて知らない人は勝手に調べてくれ。私は綾瀬はるかを見たかっただけだ(笑)。

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ただ、このドラマの中で、悪役的に登場した人物・岩城は、外資系投資ファンドだった。いわゆるハゲタカなのだが、そこで相手を切り崩す手法として、移動販売者の人にポンと500万円を渡すシーンがあった。そして「これは出資なんだから、返さなくていい」とのたまうのだ。

これ、いいねえ。資金がなくて事業拡大ができない人にとって、手段は融資を受けるのがまず第一。しかし、これは言い換えると借金だ。最終的には何がなんでも返さなくてはいけない、利子をつけて。それが不安の元で事業拡大に踏み込めないケースも多いだろう。いや、融資する方だって絶対返してもらえるか厳密に審査して、担保も要求する。

だが、出資(投資)なら返さなくてもいいのである。担保もいらないのである。それで事業を成功させた暁には配当を出すとか、あるいはファンドが株などを売って儲けるわけだが、事業が失敗ならば返さなくてよいのだ。ファンドもすっぱり諦める。

私は、以前より林業は「投資を受け入れらるようになれ」と言ってきた。融資は怖い。かといって返さなくてもよい補助金は麻薬だ。よほど意思を強く持たないと補助金の奴隷となり、自発的意欲を吸い取られる。だが、投資は失敗を恐れず事業に挑戦できる。成功したときの配当なりは高くつくが、儲けた結果なら平気だろう。

そろそろ森林の証券化を真面目に取り組むべきではないか。

証券化は、リスクとリターンを細かく分散させることができるから(銀行などの)融資より資金を集めやすい。同時に投資を呼び込む努力のし甲斐がある。回収に長期間がかかる林業にとって、ファイナンス、財源と資金管理の心配を低減できるだろう。逆にリスクが大きい森林物件は、配当率を思い切りよくして、一か八かの投資家を呼び込む。

以前から住宅ローンで森づくり、なんて構想も唱えていたが、森林証券とローンの取引を想定すれば成り立つのではないか。いずれにしろ山主のアイデアと努力が報われやすい。

思えば森林環境税が各地でつくられるとき、私は「これは税金でもなければ補助金でもない。国民から森林への投資だ。ちゃんと事業を成功させて配当を払えるようにすべきだ」と講演でぶって、周囲をポカンとさせたことがある(笑)。

投資はいいぞお。

 

2021/12/21

「木材安全保障」と「森林安全保障」

週刊東洋経済誌に「木材安全保障」なる言葉が登場した。内容は、住友林業の社長インタビューである。

日本の脆弱な「木材安全保障」が浮き彫りに

内容は、ウッドショックに絡んでのことだが、ちょっと新鮮な言葉に感じたのは、そもそも現在の岸田内閣が経済安全保障を言い出したことと連動しているのだろう。つまり資源の争奪戦や、知的財産・技術の流出防止などを意味するものと思われる。日本の場合、林業がしっかりしていれば、少なくても外部要因としての安全保障など言わなくても済むはずなのだが……。

が、木材安全保障という言葉自体は昔からあったみたいで、国際熱帯木材機関などは違法木材追放を安全保障としていたはずだ。

これ、ある意味二律背反しているのではないか、という疑問が拭えずにいる。現在の世界的な木材市場は、合法性を厳密にすれば木材の供給が不安定になるのではないかと感じるのだ。
この場合の「合法」あるいは「違法」というのは、単にその国の法律という意味ではない。国によってはどんな荒っぽい木材調達をしても合法であるケースは多いし、なかには明らかに盗伐された木材でもロンダリングしてグレー、いやホワイトにさえしてしまうことが可能だからだ。森林生態系を破壊する林業は世界中に蔓延しているだろう。欧米でも。皆伐が禁止されているドイツをグーグル様で見ると、なかなかの皆伐跡地が見つかるよ。

Photo_20211221204601ドイツ某地域

日本だって、(環境的な)違法木材を取り締まれば、国産材の生産量は何割か減るんじゃないか……。宮崎県の盗伐は、もはや業者だけでなく森林組合に木材市場、県木連などが絡んでいる疑惑が出てきたし、その裏に県警や県行政まで透けて見える。盗伐を止めたら宮崎県の産業が持たない状況かもしれない。ちなみに盗伐がもっとも多い宮崎3区出身の衆議院議員が古川法務大臣なんだけどね。

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もはや「森林安全保障」を打ち出した方がよいかもしれない。木材ではなく樹木と森林生態系の安全保障をしなければならない事態だ。気候変動対策に、森林を吸収源だ、炭素蓄積だと指摘する声が高まっているのだから。そして緊急事態宣言も必要かもしれない。

そして私が過去に冗談半分で提案した森林本位制と木本位が、現実味を増してこないか。

決して絵空事ではないぞ。

2021/12/04

盗伐を音で探知する!

秋田県湯沢市で盗伐が起きた、という情報を得た。すでに“犯人”業者は特定されているようだ。

そして、また宮崎県からも100ヘクタール単位の盗伐が確認されたという連絡も受けた。串間市を中心に広範囲に行われていた。こちらも業者はわかっているのだが、多くの人が出した被害届を宮崎警察は受理されない。それを却下した警部の名前もわかっている。仕方ないので民事で訴えたが、すると「盗伐」ではなく「誤伐」扱いされて、賠償金の額は、1本あたり400円程度になってしまう。50~60年育てた木が400円!
一方で、宮崎地検が動き出しており、警察抜きで実況検分を行う動きもある。警察が受理しなかった被害届を地検が取り上げたとしたら、極めて珍しいことだろう。

盗伐は、今も治まる気配がない。わずかな業者が告発されたものの、それぐらいで止まらないほど、業界のシステムに組み込まれているのだろう。多いのは九州とされているが、さらに東北、北海道へと広がりを見せている。

それにしても、これほど広がっている盗伐を止めないどころか警告も出さない林野庁を始めとする行政官庁に失望する。そして林業を専門とする業界紙誌も、まったくと言ってよいほど触れない。仕事放棄に等しい。いや盗伐者と同じ穴のムジナだからか。

暗澹たる気分。SDGsだ、地球環境だというわりには、森林環境よりは目の前の金なのだろう。

そんなときに、こんな記事を読む。日立の研究なのだが、熱帯雨林の違法伐採を見つけるシステム設計を手がけているというのだ。それはアメリカの環境NGO、レインフォレスト・コネクションとのコラボだ。

日立、熱帯雨林での違法伐採を防ぐ「監視システム」開発

これまでも盗伐発見のために衛星画像を使うとか、なんだかんだと研究はされているが、映像だと伐採跡地を見つけることはできるが、後の祭り。盗伐にあった場所は見つけられるが、それは伐られてから発見するわけで手遅れ。犯人探しをしても、切られた森はもどらない。
だが、ここで開発されたシステムは、音で探知しようというところ。音ならば……。

チェンソー、トラック、銃声……さらには森の動物の鳴き声までをAIで分析して、違法伐採業者の侵入を探知する。そして、すぐにしかるべき機関に通報するという。

「最大の課題の1つは、人びとにできるだけ早く森の中にある脅威に気付いてもらうことです。日立は、森の音が私たちに脅威を知らせてくれるようにしてくれました。チェーンソーや銃を持った人が森に踏み入ったり、トラックが乗り入れたりすると、動物たちの行動が変わり、森の中でいつも起きている音とは違う音が生じます。非常に繊細な形で、動物たちが自分たちの感情や考え、感覚を表現するだけでなく、周囲で何が起きているかを伝えるのです。こうした現象を察知する上で、人工知能を利用することが重要なのです」(ホワイトさん)

違法伐採者が森林の下見に入ったときの音を検知するのだという。森の住人が入るのとは音が違うのだろう。膨大な森の音を収集して、AIで森に危害を加えそうな人の侵入を音で聞き分けるのだ。

もちろん、これは熱帯雨林に合わせた仕様ではあるが、理論的には日本の森でも応用できそうに思う。むしろスギやヒノキの一斉林の場合は、音の種類も少なめで簡単ではないか。ぜひ開発してもらいたい。
もっとも、森を守る意識高い系の林業関係者がどれだけいるのかが問題だけど。装置の設置をしぶる林業家に、そもそも山に関心のない山主。通報があっても動かない行政や警察……なんてのを想像してしまう。現場に足を運ぶのが1週間後とかだったら、あまり意味がない。

それでも、予防効果はある。探知したら自動でサイレンを大音響を流すとか警告を放送するなど、対応も自動にすれば盗伐が始まる前にストップをかけられるかもしれない。

日立よ、小型原子炉をカナダから受注するよりも、こちらの研究の方が価値があるぞ。

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パプアニューギニアのジャングル伐採跡。

2021/11/30

ウッドショックを感じる

ホームセンターでツーバイフォー材を購入した。たった4本、というか4枚というか。

でも、価格にびっくり。以前はと300円台、たまに200円を切る代物まであったのに、今や税込で700円を越す。2倍以上かあ。それも量が少ない。かつてはドンと積んであったのが、今や売り場の隅に少しだけ。

ここで私にとって初めてウッドショックを感じたのである(笑)。今年になって記事書いたりテレビやラジオに出たりウッドショックについてはこんなに関わってきたのに。ウッドショック、まだ終わっていないようである。(遅いよ。)

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そんなときに朝日新聞の夕刊にウッドショックの連載が始まった。「現場へ!」というコーナー。遅いよ(笑)。オレと一緒やん。

訪れる「現場」は、国産材の生産現場。大分の日田とか岡山の院庄林業、福島の協和木材などだ。そして論調は、基本「コロナ禍で木の価値が上がった」というものだ。そして山主や素材生産業者は儲かっている様子を描く。

なんとなく違和感が拭えない。「現場」の様子は否定しないが……ようするに皆伐で儲けているからだ。いつまで伐り続ける?
そして「輸入材の入荷が戻り、価格低下が見込まれる今後が正念場」というセリフ。今の高値が通常価格になったわけではない。とくに国産材は。

これはウッドショックについて語るときに常に指摘しているのだが、この現象は、木材が足りなくなったからではない。欧米でも日本でも、山には立木が眠っている。それを伐って出して、製材し運んで行く歯車が狂っただけ。単に需要と供給のバランスが一時的に崩れただけなのである。加えて山火事やストライキや虫害やコンテナと貨物船不足、そしてコロナ禍で労働力が動かせない……などの要因が重なったのだろう。

これは木材だけでなく、ほかの資源も同じだろう。

では、じっと鎮静化するのを待てばいいのか? しかし、私のような日曜大工に毛の生えたことをしようとするものにとっては、2倍価格のツーバイフォー材も買ってしまう。その分、古材の再利用もして経費節減する予定。

……これって、いいことではないか。森林への負荷が減る。林業関係者の利益が増える。高くなればなるほどロスを減らそうとするし、無駄遣いもしなくなる。工夫を凝らすし、SDGsにも合致するではないか。

さらに付け加えると、バイオマス燃料の値段も爆上がりしている。おかげで使えない。国産も、輸入木質ペレットも、パームオイルも。これでバイオマス発電所が止まるといいなあ。(すでにパーム油発電所は止まっているみたい。赤字なら止めるのは、電力供給の公共性……なんて建前はなく、利益しか考えないこの手の企業では当たり前。)

ここは喜ぶべきなのかもしれない。

 

 

2021/11/28

NHK国際放送で日本の林業が

先日、何の気なしに夕方4時台にテレビをつけ、とくに見たくなる番組もなくザッピングしているうちに、普段は滅多に見ないケーブルテレビに合わせた。すると、NHKの国際放送が。

そこに映った画面が、古い日本の山仕事の写真。さらに現代の林業の様子が。

おや、海外に日本の林業を紹介する番組なのか、とそのまま見てしまった。海外向きに、「日本の林業は絶望的ですよ」とは放送しないよなあ、とは思うものの、映し出されたのは、こんな現場。

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こんな皆伐現場を世界に発信する番組なんて……と思ったが、とにかく英語。日本人まで英語をしゃべる(吹き替え)。なかなか聞き取れず番組内容がつかめない。せめて字幕は出ないか……。
ただ、どうやら大面積皆伐を告発する番組ではなさそうだ。舞台は鹿児島と埼玉・飯能であることはわかる。そして、最新IT機器が登場する。そのうち、知っている人の顔をちらちら。

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……ははん。レーザー測量の技術を紹介しているらしい。山の中を歩くだけで、地形や木々の太さ・高さ・数……などの毎木調査までできてしまうシステム。

なんだか、こんな番組を見ていると、日本の林業は最新技術を駆使して世界を席巻しそうな気分になる。ないない、と頭の中で手を振るのだが。そもそも、このレーザー測量の技術を実用レベルで使っている林業地があるのか。こうした技術を見せるとムリムリムリと首を横にブンブン振り後さずりして逃げ出すのが、ほとんどの林業地ではないのかなあ。

結局、番組を見られたのは15分ほどだったので、全体のニュアンスはわからなかったのだが、多分日本すごいぜ、と自慢していたのだろう。

しかし、この番組の日本語版は日本で放送されたのだろうか。

 

2021/11/25

黒羽にあったもう一つの林業

栃木に行った際、以前よりネットで交流のあった興野喜宣さんにあった。彼は、江戸末期の興野隆雄(1790~1862)の末裔である。

と言っても、興野隆雄を知っている人はそんなに多くないだろう。彼は栃木北部の黒羽藩の重臣であり林政家だ。黒羽に優秀な林業を展開したのである。そして技術書とも言える「太山の左知」という文書を残している。太山(とやま)とは、太った山、つまり豊かな森林資源のある山、左知とは幸、つまり恵のことなのだろう。隆雄は父の代より林業を研究しており、それをまとめたものである。林業遺産第1号に指定されている。

Img001_20211125222201博物館の企画展のパンフレット

私が興味を持ったのは、隆雄は林業の先進地として吉野を訪れており、そこで吉野林業を学んだという点。にもかかわらず黒羽で展開したのは、吉野林業と対極にある技術なのだ。

特徴的なのは、樹下植栽を推進したこと。日除けがある方が根付きがよいからだという。

次に植栽の樹間は2間、つまり4メートルと広く取ったことだ。ようするに疎植である。吉野は、ざっと1メートル間隔で1ヘクタールなら約1万本植えたが、4メートル間隔なら625本にすぎない。広い間隔で肥大成長を早めて大径木材を取るため、とする。

ほかにも枝打ちを否定する。枝を切ると、抜け節になりやすいからだという。

面白いのは、文中に「吉野では~」という記載がいくつもあり、違いを記していることだ。吉野に学んだのに下野の環境条件ではこうすべきという確固たる意思を感じる。

まさに、過去の日本には多種多様な林業があったことを知る。現在は全国画一的な山になってしまったが、それこそ林業を低迷させている諸悪の根源だろう。

そこで、この黒羽林業の名残を見られるところはないかと案内してもらったのだが、残念ながら当時植えた木々が残っているところはないようだ。明治になって黒羽藩がなくなったことでこの林業方式が廃れたことと、あまり長伐期ではないため全部伐ってしまったようである。今や幻の林業となってしまった。

それでも案内してもらったのは、帝国造林の山。

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これは100年生のスギ。「太山の左知」方式ではなく、密植-間伐の繰り返しで育てたスギ林だ。

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こちらはその山に隣接したところで、中国木材が皆伐した山。残念ながら霧で見えない。同行者が、切り株にツルがないのに驚いたが、これはハーベスタで伐ったのだろうね。

もう一点、気になること。隆雄が吉野に視察に行った年代ははっきりしないが、1820~40年頃だろう。この時代に吉野林業を視察したとしたら、大滝村を訪れるのが普通だ。すると、土倉庄三郎の父の庄右衛門と会ったのではないかと推測してしまう。もしかしたら幼い庄三郎にも会っていたかもしれない。庄右衛門は熱心に吉野林業の要諦を伝えたに違いない。それをよくよく学んで、吉野とはまったく違う技法を考え出したというのは……そんな想像をしてみるのも楽しい。

 

 

2021/10/16

誤解呼ぶ熱帯丸太の取引量

ITTO(国際熱帯木材機関、横浜市)の熱帯木材貿易(隔年発表)の最新版(2019-2020年版)報告書が出た。

そこでは、
2020年における世界の熱帯丸太生産量は3.3億m3。最大の輸入国は中国の858万m3で、世界シェアの70%を握っている。日本は、1998年まで世界最大の熱帯丸太輸入国だったが、現在のシェアは0.6%にまで低下している。
とある。

が、これ、かなり誤解を呼ぶというか、恣意的に誤解させようとしているんじゃ? と思わせる統計数字の扱い方だ。

熱帯丸太の貿易では、中国が全体の70%を握って世界最大……。そして日本はたった0.6%……。

数字そのものを疑うつもりはないが、これでは中国が独占していて、日本は熱帯材をほとんど使っていないみたいではないか。

鍵となるのは「丸太」という点だ。熱帯材の丸太の生産量のうち中国の輸入量を見ると、約3.85%にすぎない。それが7割ということは、貿易量そのもが生産量の5.5%程度ということだ。輸入しているのは、ほとんどが中国なのかもしれないが、そもそも貿易量が少ない。

実は熱帯諸国は、丸太輸出を止めて、製材や合板に加工して輸出する方向にシフトしている。

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今年の白書によると、日本の木材需要の内訳はこんなん。熱帯木材は、インドネシアとマレーシアがほとんどで6.9%。加えてベトナムはパルプやチップにして輸出しているようで、それが9.0%もある。合わせると16%近い。これを総需要から導くと、1140万立方メートルになる。中国の丸太輸入量より多くなる(-_-;)。ま、中国も製材や合板でたくさん輸入しているんだろうけど。

だいたい日本の南洋材輸入は、ほとんど終わった、と今年初めに紹介したばかり。丸太で輸入することはなくなったのだ。これまでも、これからも製品輸入が主流だろう。いや、資源量の減少から考えると、熱帯木材の製品そのものが減っていくかもしれない。そのうち熱帯産木材といいながら、樹種はアカシアやユーカリなどになっていくかもなあ。

2021年「南洋材時代」は終焉を迎えるか

 

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