無料ブログはココログ

森と林業と田舎の本

林業・林産業

2019/06/21

アジサイと草刈り秘策

これまでタナカ山林の状態を折々に紹介してきたが、今はこんな感じ。

そもそも5年ほど前に皆伐をして、その後の植生遷移を見つめつつ、どの木を伸ばすか、どの木・どの草を刈り取るかと思案してきた。そしてアジサイの移植を続けている。これは数年前から移植を続けてきたものだが、ソコソコ大きくなって花もよく咲くようになってきた。雑木林にアジサイが咲くというのはちょっぴり不思議だが、悪くない。このままアジサイの森になったら有料花園にする構想\(^o^)/。

196-7

実は、2週間前に草刈りをした。道沿いの部分はあえて残して内部を刈り取っておいたのだが、今やその痕跡がない(-_-;)。草ぼうぼう。

先に「除草剤のどこが悪い」をエントリーしたら、それなりに反響があったわけだが、たしかに草刈りはきつい。ただ楽しい面もあって、趣味の草刈りというのはありではないかと思っている。せっせと草を手鎌で刈っていると、気分がハイになる。これが林業となると、毎日夏の間はずっと草刈りになりかねないので悲鳴が上がるわけだが……。

 

ちなみに私は下草刈りの軽減方法の取材も数多くしている。

一つは、盗伐で叩いている最中の宮崎県(^^;)。ここでは林内放牧で草刈りをウシにさせる研究が行われていた。もともと宮崎県は焼畑や林内放牧が最近まで行われていて、今も技術としては残されているのだ。ほかにも隠岐や山口(長門市)など、各地の放牧を取材して回っている。

3_20190621160501

1_20190621160501 4_20190621160501

結論としては、林内放牧は面白い(^o^)。そして下刈り効果も十分にある。なぜか雑草を食べても杉苗は食べないのだ。おそらく柔らかい雑草の方が美味しいのだろう。杉苗に巻きついた蔓植物をきれいに剥がして食べるのだ。舌刈りという言葉もあった。
実際、きれいになった林床を見ている。電気柵で囲えば逃げない。ただシステムが難しい。ウシを飼育するノウハウと、餌場移動、そしてウシの出荷までがセットだから。

さらにツリーシェルターによる下刈り軽減実験も取材していて、こちらもかなりの効果。ツリーシェルターをしておけば、下刈り回数は半分以下かそれ以下に落とせる。ツリーシェルターは設置に手間と金がかかるわけだが、獣害対策と下刈り軽減を組み合わせれば、十分にペイするのではないかと思えた。

12_20190621213701

 

ま、こうした研究成果はなかなか現場に還元されて実行されることは少なく、除草剤を撒くのがもっとも楽なのね。それに、補助金がないとやらんのだろうけど。

私もアジサイ園にするために、タナカ山林にヤギを放そうかなあ、と思わないでもないのだが。ヤギはアジサイも食べちゃうかもしれん。

 

 

2019/06/20

宮崎県の盗伐現場3

誤伐か盗伐かどちらか見抜くのに、一つは現場の荒っぽさが基準になると思っている。

誤伐、つまり間違ったのなら合法的な伐採地と同じような伐り方になるはずだが、盗伐の場合は違法でバレないうちに伐って材を出そうとするから荒っぽくなる。何より跡地に責任を負うつもりもない。

結果として、その跡地は時とともに崩壊の可能性が高い。とくに宮崎は雨量も多いし台風の通り道でもある。

Photo_20190620211001

谷から尾根まで無茶な作業道を切り開いているのだが、おかげで1年経たずに崩れている。もはや重機でさえ通れないのではないか。土砂は谷を下り、奥に見える溜め池に流れ込んでしまった。

さらに山自体の崩壊も始まっている。

2_20190620211001

2_20190620211002

山の尾根部を皆伐して、下からは見えないようにしたつもりが、このように崩れて麓の水路を埋め、水田まで土砂が押し寄せている。そのため耕作法規となった。いや、大雨の時に道まで土砂はあふれたらしい。

恐ろしいのは、これが誤伐だと言い張り示談で済ませられたら、こうした崩壊の責任は所有者になることだ。伐採した業者はもう決着済みと逃げるだろう。木を伐られて盗まれ、さらに崩壊責任まで押しつけられる。

どちらにしても業者が治山や再造林を真面目にするとは思えないので、この後始末は誰がすることになるのか。行政も逃げ回っている。

県がどんな対応をしているかはWedge7月号をお読みいただきたい。

 

2019/06/19

宮崎県の盗伐現場2

宮崎県の盗伐現場写真、第2弾。

8_2

これはスギの1列を残して伐採したところを内側から眺めたところ。いかにも意図的な伐採であることがわかる。それにしても、表土を引っかき回して道を入れたり伐採した酷い現場だった。それに、その後の大雨のせいか、倒木や土壌流出が多すぎる。

昨年9月に発見されてすぐに警察を呼んで止めに入った。その時は、伐採した木がまだまだ山積みだったのだが、その後なくなっている。こっそり持ち出したらしい。それでも誤伐なんだそうだ。

詳しい内容は、Wedge7月号をお読みいただきたいが、行政も関係者も「境界線がはっきりしないから起こる」という。

5_1

ところがこの山は、地籍調査が済んでいたのだ。だから現場には、コンクリートの境界線を示す杭が打たれている。それでも誤伐なんだそうだ。

どこをどう間違ったのか。

2_23

1_21

これは借り写真。現場に残されたグラップル?いや補助金一覧によると、ハーベスタらしい。しっかり補助金で購入しております。税金使って盗伐(泣)。

2019/06/18

宮崎県の盗伐現場1

先月に宮崎を訪れたのは、盗伐問題の取材であった。もちろん当地の林業事情を幅広く探ったが、あまりに盗伐現場のインパクトが強すぎてほかの情報が入ってこない(笑)。

その取材結果が、ようやくまとまった。掲載されるのはWedge7月号である。20日発売であるから、東海道・山陽新幹線を利用の際はグリーン席のポケットから抜いてください(^^;)\(-_-メ;)。いや、キオスクでお買い上げください。全国の大型書店でも扱っています。

ただ、記事にはスペースの関係で載せられなかった写真をここで紹介しておこう。

1_20

これは宮崎県国富町の現場。この小山が盗伐されたのだが……一見、緑なのだが、よつ見てほしい。スギ木立の間から赤茶けた土が透けて見えるだろう。これは、スギを1列だけ残して内部を伐っていた。おそらく発見を遅らせるためだろう。

3_11

その奥に入ると重機が走り回った無残な状況が広がっているのだが、これは作業道。昨年の夏に伐られたのだが、もうかなり崩れている。

3_10

作業道を登り切った向こう側。もう道路から見えないと思ったのか伐りたい放題。ざっと10ヘクタールほどを伐るつもりだったらしい。途中で見つかって止まったようだが、実はその後もこっそり伐っていた気配がある。ともかく荒っぽい。伐り方も道の入れ方も。枝条も、みんな谷に放り込んである。

2_22

これは切株の一つ。なんだか不思議な伐り方。受け口と追い口が同じ高さ? しかも斜めだし。

まだまだ写真はある。それにしても、こんな伐り方をしても「盗伐じゃない。誤伐」といい、「被害届は受理しない(警察)」「立件しても不起訴(検察)」なのが宮崎県である。行っているのは、素材生産業者だけでなく森林組合も。行政も止める動きが見えない。

2019/06/17

除草剤のどこが悪い

このところ、林業で除草剤を使うことの是非が話題になっている。是非というか、批判・反対がほとんどだが……。

きっかけは、林業ボブマーリーさんのブログで「宮崎からオーガニックがなくなる?農薬林業と宮崎の未来」と訴えたことだろう。ようするに宮崎県で、下刈り作業を簡易化するために除草剤を使う(2020年より)動きが現れたことに反対を唱えたもの。

今のところ、除草剤は危険だからダメだ、というのと、下刈りのきつさを考えたら仕方ないという意見がある。下刈りが林業従事者を減らしているという声もある。

実は、私は先月ボブマーリーさんにお会いしていて、この話題でも話している。ただ、私はとくに反対に同意しなかった。だって、世界中の林業現場で除草剤は使われているし、日本でも使っているところはそこそこあるから。そして、私は、これらの薬品をさして危険と思っていない。我が家でもたまに庭で使う。タナカ山林でも使おうかと思ったこともある。

 

そもそも大前提をごっちゃにしているのが気になる。

まず肝心なのは、除草剤と農薬は違うこと。さらに殺虫剤と殺菌剤も違う。ここで、農薬とはなんぞや、除草剤とはなんぞやと解説するつもりはないが、化学薬品をすべて拒否することはできない。人体を含めて、すべての地球上の物質は化学物質でもある。
それに草を枯らす、虫を殺すから人体にも悪影響と短絡するのもよくない。まったく生体の機能が違っているのだから、<虫が死ぬ=人体にも危ない>連想は通用しない。(逆に言えば、虫にはまったく無害で、草の栄養になる成分が、人体に悪影響を与えるものだってある。)
また動植物の体内では、天然性農薬様物質もつくられている。虫にかじられた葉っぱは農薬様物質で虫を追い払おうとするのだ。それらは合成農薬と組成はたいして変わらない。もちろん天然物だから安心、なんてことはない。

いまだに農薬というと頭から拒否反応を示す人が多すぎてげんなりするのだが、危険な農薬があった時代は40年ぐらい前の話だ。レイチェル・カーソンの時代。その後は超速の進歩を遂げているのだ。それに最初は、残留農薬の危険性が問題だったが、その後散布者の被爆が課題となった。今も残るのは環境汚染の心配ぐらいだろう。

今や残留性の危険はほとんど払拭されている。この手の薬には一定期間で分解される構造を持たせている。つまり野外に散布しても、数カ月後、早ければ数週間でほとんど無害化する。ま、これは農業現場の話だが、林業ならもっと少量になるだろう。そして10センチくらいの厚さの土壌があれば吸着されるから、思っている以上に地下水には浸透しにくい。これは福島の森林に降り注いだ放射性物質と同じ。

散布時の被爆は、いかに本人が気をつけるかも重要だが、そもそも毒性の選択性が極めて高くなって、対象の害虫や雑草以外に利かないものが増えた。
最後の環境への影響は私も危惧するところだが、これも誤解とフェイクニュースが蔓延している。ミツバチが大量死した原因も、まだ解明されていない。すぐネオニコチノイドのせいにするが、異論も多いのである。そのほかの問題でも明確な生態系破壊の証拠は出揃ったとは言えない。ただ私は、予防原則としての危険性を感じるだけである。

それでも食品はイヤだというのは感情論としてはわかる。しかし、木材は食べないでしょ。農地よりはるかに薄く撒かれた除草剤は、地下水まで行き着くのは極めてわずかだ。そして下流に流れるまで数カ月~数年かかる。その間に分解されるだろう。

もちろん、だから農薬・除草剤はいくら使ってもよいとは言わない。むしろ地域ごとに適切な薬剤を選んで、成分量を減らすかが課題だ(成分量というのは、たいていの農薬が散布しやすくするため無害物質で増量しているからだ。本当の有効成分は全体の数%)。それはコストにも響く。

ようは、風邪を引いた時に風邪薬を飲むのも拒否するのか、ということである。もちろん風邪なのに下剤を飲んでも治らないし、市販の風邪薬であろうと1回に50錠を飲んだら危険だろう。しかし1回3錠1日3回……なんて基準を守れば、風邪の諸症状を抑えてくれる(はず)。

だから、農薬・除草剤を撒くことが危険なのではなくて、どれだけ・どこに・いつ撒くのかを研究しなければならない。今回の宮崎県も、そのための実験を行うというものだった。すぐに散布を始めるというわけではないようだ。

エビデンスを持って下刈りに有効なのか、どの雑草にはどんな薬剤を使うのか、その量は……厳密に研究して検証しているのだろうか。また下刈りをせずに苗を育てる方法の研究だってした方がよい。昔は放置が多かったはず。今だって草を繁らせた方がシカに食われないかもしれない。あるいはツリーシェルターを雑草対策にかぶせるのも可能性はあるんじゃないか。
1ヘクタールに3000本植えて、10年後に1000本くらい育っていれば下刈りしなくてはよいのではないか。

ただ、今回の宮崎県の除草剤散布実験は、単にとりあえず撒いてみようよ的な様子がかいま見れる。本気でやるなら試験地を決めて、何種類もの薬を時期と量を変えて散布方法も工夫を凝らして検証しないといけない。撒いた後数年間は土壌なり地下水なりの検査をすべきだろう。その上で是非や、種類、散布量、時期、そして方法などを科学的に論じてほしい。

 

 

 

2019/05/30

鬼瓦に描かれた林業

吉野林業の中心地・川上村大滝の松本さんより写真が送られてきた。これって……!

1_17

2_18

大滝集落の某家の鬼瓦だそうだが、ちょっと妙な情景を描いている。

最初は、何かノコギリで伐っている?棒でつついてる? とか思ったのだが、よくよく見れば手にしているのは櫂、足元の円筒が並んでいるのは丸太を組んだ筏だろう。そして波うっているのは川面。ブツブツ穴が空いている部分は、何も瓦が割れたのではなく、岩を表現しているようだ。

つまり、吉野材の筏流し! 在りし日の吉野林業、最後のクライマックスではないか。

すげえ。これって量産品とは思えないから、特注したのだろう。戦前~戦後の景気のよい時期の林家にとって、誇りだったのか。

そもそも大滝には筏場という地名もあって、かつてはここで筏を組んでいた時期もあったらしい。そうでなくても上流から下ってくる筏の中継地点。急流を下るのは腕自慢の仕事だ。それを写した絵はがきもある。

Photo_18

もはや林業遺産もの。川上村に林業資料館が復活した際は、ぜひとも陳列してほしい。

もしかしたら、ほかにも大木の伐採シーンとか木馬とか修羅のシーンの鬼瓦もないかな(^^;)。

2019/05/28

米中摩擦と国産材価格と古紙予想

私は基本、業界紙みたいな木材価格や需給予想、さらに景気判断みたいな記事は書くまい、と堅く心に決めているのだが、たまにはやってみたくなった(笑)。イーカゲン

そのきっかけは、今起きている米中経済摩擦だ。アメリカがいきなり中国産品ほとんどの関税を上げている。それに対抗して中国は、6月から米国に報復関税を課すことを決めているが、その対象に木材も含めている。これがどのように影響するか。

米材、とくにスプルースなどの関税は、10%から20%に上がるから、中国の輸入は減るだろう。となると、アメリカ林業界は、売れ残った米材を日本などに売りつけようとする? もっとも、それ以前に日本も住宅着工件数は減少の一途だ。昨年の木造住宅の新設戸数は54万1905戸まで減っている。ならば米材価格はより一層下落するかもしれない。ユーロも下落しているからか、欧州材も安くなっている。

外材が安く手に入るなら国産材も下がっていくだろう。

そういや、宮崎では、一時期スギ丸太1立米が1万4000円まで上がっていた(これは全国平均より高い)のに、今はまた1万1000円まで下がったと聞いた。これは季節要因もあるだろうが、じわじわ国産材の安売りが進むかもしれない。もっとも宮崎では、かつては9000円台だったのだから、今でも高止まりと見ている人もいたが。もし全国でこの金額になったら恐慌状態になるんじゃないか。

 

面白いのは、中国がアメリカから輸入していた古紙が激減している点。25%関税が課せられて半分近くまで落ちたという。その代りに買われているのが日本の古紙。当然上がり続けている……と思ったのだが、最近は落ちているのね。。。中国は環境問題から廃棄物輸入を制限したからだと言われている。古紙も廃棄物扱いなのだ。

さて、日本の古紙がなくなるのか、それともだぶつくのか。日本の製紙工場は、多くが古紙対応になっているからなくなると困るはず。その分、パルプを使えばいいというほど簡単じゃない。紙全体の値段が上がるかもしれない。それでトイレットペーパーが不足してパニックになる……とは起こらないか(笑)。とりあえず買いだめしておこう\(^o^)/。

 

ま、経済紙に目を通して、こんな戯れ言予想をしているのも一興だ。当たるも八卦、当たらぬも八卦。。。

2019/05/27

無花粉の在来スギ品種から「品質」を考える

これ、本来なら春先の花粉症真っ盛りのシーズンにYahoo!ニュースにでも記事にしたいところなんだが……メモがわりに。

 

北山杉の産地で、花粉がほとんど出ない固有品種のシロスギを全国に広める活動が始まった、というニュースを読んだ。シロスギは、北山杉の古い品種の一つだが、近年はあまり育てられていない。なぜなら絞り丸太づくりには向いていなかったからだ。
ところが花は咲かず、花粉をほとんど出さないという特徴があった。これまで挿し木で増やしてきたのだ。

地元「中川村おこしの会」が、林野庁や各地で花粉の出ないスギ品種づくりに必死になっていることを知り、そんな無理に育種しなくても昔からあるよ、と普及活動をすることにしたというのである。現在約1500本を植え、順調に育てば約2年後には全国各地へ無料配布することを計画しているのだそう。

シロスギは、床柱にする北山杉としてはあまりよくない品種だったのかもしれないが、台杉のような庭園木としてはすで各地に植えられている。材質とか各地域の気候でよく育つかなど今後の検証は必要だろうが、ゼロから新品種を開発するより遥かに簡単だし、シロスギを母樹として花粉の出ないスギを開発することも可能なはず。


そういや、九州では花粉症が少ないという話も聞いた。なぜなら九州で植えられているスギは花粉の量が少ないからだそうだ。
そもそも生長が早いのが九州のスギの特徴だが、早く生長するためには花粉のような生殖器官づくりにエネルギーをあまり割けない。より幹の木繊維を作ることに力を注ぐわけだ。つまり早生の品種ほど花粉が少ないことになる。研究所では生長の早い品種「エリートツリー」づくりも一生懸命やっているけど、一石二鳥?
 

なんだ、花粉の少ないスギ品種は各地にあるんじゃないか。なぜ、そうした地方品種を吟味せずに「花粉の出ない品種づくり」に各地の研究所が狂奔しているのだろう。意外と研究現場でも情報交換が行われていないのか?

おそらく、これは花粉だけスギだけでなく、さまざまな遺伝資源が、各地に眠っているのではないか。遺伝資源も足元から発掘できることがあるような気がした。そういや紀州のごく一部で栽培されていた柑橘類ジャバラも、今では果汁が花粉症に聞くと評判だが、これも一地域品種。何が有効な資源になるかわからない。

木材の品質だって、思いもしない性質に価値が生まれるかもしれない。そう考えると、「質のよい木材」をつくるのではなく、今ある資源から有効な使い道を考える方が先決ではないだろうか。

1_15

こんな、足元の庭園木(北山杉の台杉)にも、意外な遺伝資源があるかもしれない。

 

 

2019/05/26

変わる環境事情~中国の人工林面積が世界一に

世界の環境事情は急速に動いている。少し前の知識を振りかざすと、とんでもない間違いをしでかすかもしれない。

その一例として、中国の森林面積がある。近年急増していることは知られてきたが、とうとう人工林面積では世界一になったそうだ。

大雑把に一手地球上の森林面積は、約40億ヘクタール。ただしアジアは6億ヘクタールぐらいだ。その中で中国の森林面積は2億800万ヘクタールと半分近い。そのうち人工林保存面積は6933万ヘクタールになったという。(この「保存面積」という言葉の意味がよくわからんが、現在も森林状態を保っているということだろうか。それなら、伐採跡地まで森林面積に数えている日本の統計より、よほど良心的だと思う。)CRIon line

ちなみに森林率は新中国成立初期(1950年前後)の8.6%から21.66%まで上がったという。

Cqgnolzns1oaeth0aaaaaaaaaaa866600x1067 ※上記リンク先より拝借

だいたいこのような紹介をすると「中国の統計なんて信用できん」と、すぐにアンチ中国派が反応するのだが、たとえば国連食糧農業機関(FAO)が発表した報告書「世界森林資源評価2015」でも、2010から15年までの間、中国は森林面積の純増量が年平均で154万2000ヘクタール増になっており、世界で最も多かった国だ。

さらに「ネイチャー」の論文でも世界の森林面積は増えており、その理由の大きな理由が中国やインドの植林だとしている。

もちろん大陸国家だから森林面積が多くて、また植林する場も広いのは言うまでもないが、日本は木材自給率を上げようと伐採を強化してはげ山を増やしているおは正反対の動きがあることに気づくべきだろう。

 

同じく、他国も変わりつつある。

これまで違法木材が横行していると言われてきたインドネシアも、気がつけば日本より厳しい違法木材対策を作り上げていた。2013年より SVLKと呼ばれる新木材合法性証明制度が開始されたが、これはサプライチェーンをちゃんと第三者機関が調査して認証するもので日本のクリーンウッド法より遥かに厳しく透明性も高い。(というより、クリーンウッド法は何も制限していない。努力義務だけだ。)
国有林のコンセッション(伐採権。日本の樹木採取権)の払い下げも一時停止している。日本はこれから国有林をどんどん民間に払い下げて伐らせようとしているのと反対だ。

また森林破壊の権化扱いされているインドネシアの製紙会社アジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)も、このほどシンガポール環境協議会の環境ラベルである「シンガポール・グリーンラベル・スキーム(SGLS+)認証」を取得した。完全に天然林の伐採を終えたかどうかはわからないが、すでに方針を転換している。そして森林を焼いて発生していた煙害もほとんど消えた。

世界中の国の環境政策や企業の方針が急速に変わりつつあるということを、そろそろ日本も理解すべきだ。いまだに日本の方がスゴイと思ってたら時代に取り残されてガラパゴス化するだけである。

 

2019/05/16

国際機関に密告しよう(^^;)

朝刊を読んでいたら、次のような記事が目に留まった。

20190516_194629

五輪施設の建設現場の環境が劣悪なことが報告されたというものだ。

たしかに私も多少は聞き及んでいるが、もはや納期を守るどころか建設そのものがドタバタ状態らしい。そして安全確保や労働条件も守られずグダグダになっている。過去、建設業界が築いてきた安全のためのシステムや法規、規制などが次々にないがしろにされているらしい。

がこの記事は、そうした問題点が国際機関に報告されたことを取り上げている。その機関名は、「国際建設林業労働組合連盟」だそうである。

20190516_194629_1

ここでピピピと感じた(笑)。林業という文字が入っているではないか。建設と林業の労働組合なのである。日本の林業組織も関わっているのか? そこでググる。

すると全日本森林林業木材関連産業労働組合連合会(森林労連)なるものが加入しているらしい。その前身は山労で、現在の「連合」の一角か。ま、そんな労組組織はどうでもよいが、国際的な上部組織に報告して、そこから日本に勧告が下りてくるのか。

いっそ、日本の林業現場の労働問題、どんどん国際機関に伝えて世界的にアピールしたらどうだろう。事故率は全産業の15倍ですよ、とか。いまだに出来高払いや日給制だぞ、とか。盗伐だらけだぞ、とか。でたらめの合法木材証明つけてるぞ、とか。

国内でいくら改善を呼びかけても馬耳東風というか、改革はまず無理なんだから、外圧を利用してみるのだ。ダメもとだ。

以前も紹介したが、熊野古道が作業道に破壊されたとき、もっとも早く動いたのは、実は古道を歩く観光客だった。世界遺産の道を歩いていたら、いきなり皆伐地が広がり、古道も土砂で埋まっていた、とユネスコの世界遺産会議イコモスへの報告が相次いだという。歩いてそんな現場に出くわしたら、すぐに写真を取り、その場でメールを打つ。そんな報告が多数届いたら、イコモスも当然ながら日本に問い合わせる。もし、これが本当なら世界遺産の認定解除になりかねない……。

文化庁も焦っただろう。

同じことをやってみたらどうか。日本の林業労働はひどい、ひどい自然破壊をしている、ということを国連のさまざまな関係ありそうな機関に密告する。世界に広めたら、冷や汗をかく省庁も出てくるだろう。これも一種のロビー活動かな。

より以前の記事一覧

June 2019
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

森と林業と田舎