TBSドラマ「VIVANT」~自衛隊の非合法組織・別班を取り上げたことからか、諜報とか特務工作に注目が集まっている。もしかしてスパイ防止法制定にも絡んでいるのかもしれない。
が、ここで取り上げたいのは、戦時中に行われた『チモール逆無電』作戦である。同名の書籍も出ている。ただし、これはフィクションじみた作品。

戦時中、オーストラリア北方に位置するチモール(現ティモール)島は、当時蘭領インドネシアとポルトガル領だった。ポルトガルは中立国なのに、日本軍が占領したのである。約4年間支配していたが、そこにオーストラリア軍は特殊工作部隊を送り込んだ。リーダーはポルトガル軍人だ。以前のチモール人の部下を使って、日本軍の動向をスパイしようとしたのである。
だが、日本軍はその部隊の存在を察知してメンバーを拿捕する。ただ捕虜にするだけでなく、その部隊をそのまま残して日本軍が隊員に化けて運営した。つまり、オーストラリアの本部と無線でやり取りを続けたのである。そして連合国側の情勢・情報を得ていたのだ。
もちろん、偽情報を流す。実際は武器も食料も尽きて飢餓が発生するほど追い詰められていたのに、どんどん陣地を構築して兵力も増しているように報告していた。チモールへの反攻を起こされないようにしたのである。
世界戦史上でもまれに見る諜報工作として知られている。私はそれを取材したのだった。
『チモール知られざる最前線』

出版後、オーストラリアからも反響があって、その時に拿捕されていたオーストラリア軍兵士の関係者(遺族かどうかわからない)とも連絡を取れたこともある。日本側とオーストラリア側の言い分には齟齬があって、それが面白くもある。
その話は、ここでは置いておく。ただ終戦記念が近づく中で気になったのが、オーストラリアからチモールに打電された情報だ。それは
「8月8日、日本は降伏した」というものだった。
え? だろう。だって8月8日……ポツダム宣言を受諾したのは8月14日である。
そりゃ記憶違いだろうと片付けていたが、後にそうでもない可能性が浮かび上がった。なぜなら日本政府は、8月8日にポツダム宣言受諾の打診を連合国にしているのだ。国体維持などの条件を認められるか……といった交渉段階だが、連合国側は日本が降伏!と解釈してもおかしくない。
ならば、連合国の一角であるオーストラリアにも伝えられていたかもしれない。
実際は、10日に受諾を伝えて、12日に連合国は日本降伏を世界に発信した。
その12日の放送をチモールの通信部隊が受信した。チモールの日本軍は12日に終戦を知っていたのである。
ちなみに日本軍は、チモール島からオーストラリアに小船で特務工作員を送り込んでいる。実際にダーウィン近郊の海岸から上陸して内陸部を偵察したという。これは松機関の「松工作」である。そこで拾った石が、戦後に重要資源のありかを示す可能性が出てくるのだが……。フローライトではない(^^;)。
どうだい?VIVANTより、迫真的諜報、特務工作だろ。
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