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森と林業と田舎の本

2019/10/15

報道に見る「被害と原因」の因果律

やはり出てきたか。そう思わせる記事が林政にュースにあった。

林野庁と千葉県は、9月の台風15号で発生した大規模な風倒木被害に関する緊急調査の結果を10月11日に公表した。どこで被害が起きてもおかしくない強風と地形的な要因が相まって、人工林・天然林、樹種などを問わず風倒被害が発生したと分析。サンブスギの多くが溝腐病に罹病・腐朽していたが、「倒木の発生原因とは必ずしも言えない」とした。

これは「倒木の原因は山武杉の溝腐れ病」という報道がなされたことに対する返答だろう。そして、溝腐れ病の存在を大きく広めた一人として私と、私の記事も含めているに違いない。

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で、私は反論するというより、この意見に同意する。いや、初めからそう言っている。

ここで改めて私の記したことをなぞると、台風被害で「中折れしているスギが多い」⇒「千葉県は山武杉が多く植林されていて、その杉の多くは溝腐れ病に罹患している」「溝腐れ病になると幹が途中で折れやすい」と説明してきた。倒木すべてを溝腐れ病のせいだとは言っていない。

また多くのメディアに私がコメントしているが、必ず私は「今回、多くの倒木が出た理由は、何といっても台風15号の風が強かったから」と説明している。そのうえで「街路樹などは根元から倒れているのが多いが、山に植えられたスギの多くが幹の途中から折れている」「中折れした倒木の処理は、通常の倒木以上に難しい」⇒停電解消には時間がかかる、としたのだ。

実際、あるテレビ局の番組では「根元から倒れた木」と「中折れした木」を並べて写して、なぜこんな違いが出たのか、そして今回の千葉では中折れが多かった……ことを説明していた。これは、かなり丁寧に取り上げてくれたと思っている。ただ、中には一部を抜き出して「山武杉は病気がかかっていてすぐ倒れた」と説明してしまうケースもあった。

だいたい千葉県の森林のうち人工林は4割ぐらいで、そのうち8割がスギで、スギの2割ほどが山武杉。山武杉の8割は溝腐れ病。こうした数字を突き合わせたら、溝腐れ病にかかっているのは森林全体の5%にすぎない。

どうしても報道は(時間や文字数の関係で)端折る部分が出るし、単純化してしまうのは仕方ない。そして読者・視聴者も読み聞きしたうちで理解して記憶に残すのは、全体のほんの少しだ。いくら懇切丁寧に説明しても正確に伝わるのは一部になる。これは報道が悪いとか、視聴者がアホだとかいうのではない。人的コミュニケーションとはそういうものなのだ。

ただ、やはり情報のリテラシーを磨くことは大切だろう。さもないと、結果をつくった原因を誤ってしまう。

ちなみに台風19号でも、ダムの緊急放流がいけないとか八ッ場ダムが洪水を救ったとか、スーパー堤防をつくれとかという言説が垂れ流されつつあるが、これもいい加減。もともとダムの貯水量なんてしれていて洪水の時間差をつくるものにすぎないし、もし放流せずにダムの整備が壊れたらより大災害につながりかねない。八ッ場ダムも今回の雨量・河川流量の数%にすぎない。巨大洪水の前に効果は限界があるのだ。そんなこと、ダムが建設される前から計算でわかっている。またスーパー堤防は幅が広いのであって高さは従来の堤防と一緒。かといって見上げるばかりの高い堤防を河川両岸全域に築くのは現実的ではない。ここでは日経新聞などが言い出した「もう堤防に頼れない」の方が正しい。

原因と結果を結ぶのが仏教用語でいう「因果」だが、この因果律をしっかり見極めないと災害対策まで間違えかねない。

 

 

2019/10/01

東京新聞の私のコメント

9月27日の東京新聞「こちら特報部」で、千葉の停電から全国の森林問題につなげる記事が掲載され、そこに私のコメントが引用された。

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ここでは全部読めないように小さくしているが、実際は見開きだからかなり大きい。タイトルだけでも味わってくれ。

私は、その前にも東京新聞で千葉の停電を取り上げた記事にコメントを寄せているが、今回はまた別の記者が林業につなげる記事を書くに当たって電話してきたのだ。

いきなりであったが、それはまあいい。ただコメントの使い方に若干誤解を招きそうな点があるのでここで触れておく。そのためコメントのある段だけ引用する。

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「倒木は手入れが行き届いていないことによって起きていると考えられる」。

このセリフの前に、私は「今回の千葉の倒木は台風の風が強すぎたから起きた」と念を押している。だからスギ以外の広葉樹だって倒れたことを指摘している。手入れしようがしまいが、風が強ければ倒れる。私が指摘したのは、今回の千葉のスギは中折れしている(から処理が難しい)が、それはスギが溝腐れ病になっていたからで、手入れ不足だろうということだ。
ついでに言えば、千葉を訪れたのは別件で、台風被害を視察するためではないことも説明した。

そして溝腐れ病は山武杉だけだが、全国的にはナラ枯れが起きていて危険だと言った。こちらは手入れは関係ない。ナラ類は太くなったらナラ枯れ(カシノナガキクイムシ)が入りやすくなるということだ。

その後、林業の衰退理由を林野庁の見解をそのまま垂れ流している。

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ここの私のコメントもなあ。「人工林は育て、切って、また植栽する」というのは林野庁の見解であって、私は使わない言い回し。これって今の皆伐推進理由に利用されかねないからね。しかもサイクルを繰り返すだけで森は健全にならないし、間伐と保水力は関係ない。保水力と倒木も関係ない。
ついでに言えば、その下のサブタイトル「NPOなど巻き込み」なんて、とんでもない。林業はプロの世界だ。NPOが何を意味するかはともかく、現場作業を気軽に動員する話にしてはいけない。

以上、記事コメントに関する私のコメントでした。

ちなみに私が責任を持つ文章は、書籍と雑誌・新聞など自身が執筆する文だけ。インタビューなどで他人が書いた私のコメントなどには責任をもたない。仮に私の名で書かれた文章によって読み手が誤解しても気にしない。もちろん、正反対の意見・事実だとかまったく別のことを書かれては困るが、ニュアンスの違いなどは口をはさまないことにしている。週刊誌などには、絶対に私が口にしない言葉づかいで、しかもアケスケに語っており、この森林ジャーナリストどこのどいつや、と思うものもあるが、笑って済ます。

そもそも私は本来取材する側の人間で、私自身も他人から話を聞いて記事を書くわけだが、その際に誰のコメントのどこの部分を切り取ってどのように載せるかは私の権限(と責任)において行っている。もしかしたら拙記事に気に食わないコメントを引用されたと思っている人もいるかもしれない。いや、録音などして確実に言ったことを引用しても、ニュアンスの違いは出るし、読み手の誤解はさらに大きい。どんなに詳しく書いても誤読は絶対に起こる。むしろ誤読前提でいなければならない。その程度のリテラシーだ。誰がどんなに丁寧に書いた文章でも誤読されているよ。しょせん、自分の伝えたいことは全部伝わらない覚悟を持たねば。
だから、他人が私のことをどのように書いてもドーデモよいのである。

だけど、たまにはブログでチクチク書く(笑)。

 

 

 

2019/09/19

『絶望の林業』講演会のタイトルを決定!

千葉から帰って、いよいよ9月21日の「第11回明日の奈良の森を考える学習会」の資料づくりに勤しむつもりだったのだが……合間にちょろちょろと書いたYahoo!ニュースの記事がえらくヒットしてしまった。ヾ(- -;)

おかげで朝からテレビのワイドショーに出演してしまうわ、その後も移動中にメールに電話で何かと問い合わせや依頼が来る。結局、また明日も出ることになる。あ、あくまで電話出演ね。奈良からスタジオに出演するわけない。ほか新聞にもコメントを出す。なんかヘトヘト。

失礼ながら、そんなに千葉の被害が国民の関心事なのか。。。。おそらく首都圏にあり、キー局に近いからだろう。それに長引きすぎて、ワイドショーでも「大変だあ」というネタだけではもたなくて、深掘りしないと番組をつくれなくなったからではないか。とひねくれた考え方をしてしまう私。

とはいえ、講演の資料づくりもすっぽかすわけには行かない。

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パワーポイントの資料を鋭意作成中だが、ここで改めてタイトルを考えた。決めた。

奈良でシカ語らない 絶望の林業と希望の林業 

どうだ。奈良のシカの話をいっぱいしよう。ちがう。奈良の林業の話をいっぱいしよう。現在進行中の新たな政策に関してもネタばらしする。(いいのか?)

表紙はこんなのはどうだ。

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 やっぱりシカだ。。。

なんでも会場の奈良女子大のG201教室は100人ぐらい入るそうだ。少ないと寂しい(-_-;)。遠慮せずお越しください。ただ二次会、じゃない懇親会、いや交流会は会場の都合もあるので、事前に申し込んでくださいませ。

2019/09/09

奈良シカ話さない講演

そろそろ告知しておこう。

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9月21日に「明日の奈良の森を考える学習会」に招かれて語ることになった。場所は奈良女子大学。かつての奈良奉行所。
この会は、奈良県森林総合監理士会の主催。意外なようだが、日本で最初にできた森林総合監理士の組織である。これまで10回開いており、どちらかというと私は聴講する側だったのだが、今回話す側を務めることになった。

もちろんテーマは『絶望の林業』。出版記念でもあり、本には書けなかったことを曝露する会である。なお、即売会でもある(^^;)。多分、定価より安く売れると思いますが……重版になったばかりで、多少の誤字・誤記の訂正がなされた最新版。

もう2週間を切ったので、そろそろ準備をしなくては……と思い出したのだが、本の内容をなぞってはつまらないなあ、と考えて思いついたのが、「奈良で開くのだから、奈良でしか語れない、奈良ならではの情報」。奈良しか話さない、ナラシカ放さない、ナラシカの話。

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え? 奈良のシカの話ではダメ? まあ、そうだろうな。。。ナラシカ話さないよ。

それなりに、奈良の森・奈良の林業の話を入れます。明日の奈良の森の話を。さて、絶望が広がるか。希望を持てるか。

2019/09/08

フォレストジャーナルWeb版

以前、お知らせしたフォレストジャーナル。次世代林業マガジンと銘打って発行されるフリーマガジンで、当ブログでも紹介した。そして8月1日~に長野市で開かれた次世代森林産業展で拙著『絶望の林業』と抱き合わせ販売? した(^o^)。

実は、8月に出されたのは創刊準備号だったので、本格的な創刊はこれから。だから林業系の記事を書けるライターも募集している。我と思わんものは挑戦したし。

ところでフォレストジャーナルは、紙媒体だけでなく、ウェブ版もある。それが正式にスタートした。

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そこにも、私が記事を書くことになった。紙媒体で始めた「希望の林業」連載の一環である。最初は、林業用?「着るロボット」だ。この連載が長く続いて、分量が溜まったら『絶望の林業』の続編『希望の林業』が出版できるかもしれない。ただし、中身がなければ「気泡の林業」になるかもしれないが……。

 

 

2019/09/04

Yahoo!ニュース「流木も街路樹も資源……」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「流木も街路樹も資源。生み出すのは100万円のキャットタワーに20万円の木製イヤホン」を書きました。

そう、この前飛騨高山に行っていたのは、こちらが主要目的だったのだよ。「君の名は。」聖地巡りはオマケだったのだ。まあ、ほかに漬け物ステーキと飛騨牛、赤蕪、ほう葉味噌、高山ラーメン、飛騨蕎麦も食べるという命題もあったが……。これで、ようやくヒダクマの正体もわかったのは大収穫であった(笑)。

ちなみに、以下の写真は、製材所の端材。何かわかるかね。いずれもブナ材。お土産に一つくすねた。これも磨けば宝の山になるかも。写真もインスタ映えするか……と思って撮ったのだが、スマホではなかったのでインスタにアップできないということに気づいた……。(デジカメからスマホに移すことはできるが、結構面倒。)

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こうした取材は、いつか『希望の林業』を執筆する際のネタになるかもしれないよ。

 

2019/09/03

電子農業誌Agrioに「絶望の林業」の記事

このところ、『絶望の林業』と宮崎県の盗伐関連の記事を交互に書いている気がするが……今度は「絶望」の番だね!

ということで紹介するのは、電子農業誌Agrio。時事通信社が発行しているpdfで発行している第1次分野の専門週刊誌だ。通常、20数ページ。中心を占めるのはやはり農業だが、それなりに林業、水産業の記事も載る。その一角に私も執筆している。

今回は、拙著『絶望の林業』のエッセンスを紹介する記事を2ページ分書いた。ほかにもスマート林業の記事もあって、この号は林業記事がわりと豊富。

Agrio-1

こんな紙面で、結構専門的だから業界関係者でないと着いていけないかもしれない。政治(国会)や行政(官庁)の裏側情報なども掲載しているから貴重。一般誌紙では記事にしないネタを拾い上げている。興味のある方は……。

●ご購読に関するお問い合わせ(業務局) customer-s@grp.jiji.co.jp
●誌面内容に関するお問い合わせ(編集部) agrio@grp.jiji.co.jp
●毎週火曜日発行(但し祝日等を除く)
●購読料金:月額税抜き 4,000 円

こんだけ宣伝したからいいだろう(^^;)。

私の書いた記事の出だしを紹介する。

Agrio-2

さあ、Agrioを1か月購入するか、『絶望の林業』を購入するか。。。(比べる対象がオカシイ)

2019/08/25

Y!ニュース「アマゾンは「地球の肺」ではない……」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「アマゾンは「地球の肺」ではない。森林火災にどう向き合うか」を書きました。

実は、このアマゾン火災のニュースは幾度もネットで目にしていたが、忙しいさなかだったので無視していた。そして飛騨高山の「聖地巡礼」に出かけていた。するとメールが来たのである。Yahoo!ニュースの編集部から。

この記事について、何か書きませんか? コメントを付けませんか?

うううむ。聖地か、アマゾンか。。。。

ま、現地で何か考えたわけではないが、忙しいので(^^;)、そうだなあ、帰ったらコメントぐらい付けようかなあ……と思っていた。

昨夜は帰りついたものの疲れていたので無視。そして今朝、さあて、どうするか。

コメントを付けるのは、意外と面倒だ。元記事に準拠しないで勝手な自分の思いを書くのは本来の意味のコメントにならない。

ええい、と自分の記事として書くことにした。

早かったよ。おそらく15分~20分くらいで仕上げたのではないか。いつもは原稿をイジイジといじって時間をかける私が、たまには早書きするのだ。昔の新聞記事を書いていた時の感覚に近い。まあ、えてしてこうした早書きの方がよくできていたりするのだが。内容的には、昔から唱えていた「森林は地球の肺ではない」論を基調にすればよいが、結論はどうするか? やはり「手を付けるな」だな。。。

さあて、飛騨で見てきたこともイジイジしつつ書こうかな。

 

 

 

2019/08/22

Yahoo!ニュース「ニイタカヤマに初登頂したのは誰だ」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「ニイタカヤマに初登頂したのは誰だ? 知られざる探検家を探れ」を執筆しました。

これは、台湾取材による土倉龍次郎ネタの第2弾。

というか、ある意味偶然だ。台湾で知り合った謝英俊氏より、送られてきたメールで得た情報なのである。なんたって、龍次郎が玉山(新高山)に登っていたかもしれない、そしてそれは初登かもしれない、と知らされたら……もう、一瞬身体が震えましたよ。

これまで「伝説」だったことが、「現実」になるかもしれないのだから。

それから情報交換するとともに、こちらでも文献を探して調べてみた。国会図書館まで行ったのだよ。すると、おぼろげながら可能性が見えてきた。(もっとも、戦前の台湾に関する日本語文献は日本より台湾に多く残されている。謝さんの発掘がなければ気がつかなかっただろう。)

もっとも、まだまだ十分な裏取りはできていない。今回の記事は、むしろ世間に「どこに情報あるか知りませんか~」という呼びかけでもある。

「台湾林業の父」「台湾発電の父」だけでなく「台湾の探検家」という視点も必要になってくる。長野義虎についても調べなくてはならないし、ほかにも森丑之助や鳥居龍蔵など関係者が増えていく。どんどんテーマが広がってしまうのである。

 

せっかくだから土倉家(龍治郎系)に残されていた台湾先住民高砂族の写真を初披露。結構貴重である。場所や年月はわからないのだが、多分探検の合間に撮ったものだろう。

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2019/08/16

『絶望の林業』をHP掲載

ふと、『絶望の林業』をホームページに掲載していないことに気づく。

最近は、わりと放置状態だが、私のホームページもあるのですよ。実は二段仕込みで趣味と仕事の両方なのだが、「仕事館」にはこれまで出版してきた著作を紹介している。そこに『絶望の林業』を追加することにした。

森林ジャーナリストの仕事館 絶望の林業

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あわてて作ったので、何の工夫もない。背景を珍しい紫にした程度(^^;)。
ただ「目次」は全部載せたうえに、「はじめに」を全文掲載。ここでしか(無料で)読めないから、ご笑覧あれ。
ここを読んでから本物の本を手にとるかどうか決めていただいたらよい。

今後、手直しを続けようと思うが、まずは告知しておく。さらに無料で読める章を入れようかと思案中。

なお、趣味の「安楽椅子探検家のヴァーチャル書斎」もよろしく。今後は、こちらにも力を入れていく所存だ。趣味を仕事にして、両方を合体させようという魂胆。

 

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