「三年晩茶」と「風の森」
先日、「奈良から世界へ ネイチャーポジティブの輪(和)」というシンポジウムに顔を出してきた。
内容を一言では説明しづらいが、ようするに国際的に注目されている概念ネイチャーポジティブを推進しようと、奈良の事例をいろいろ紹介していたのである。私も、へえ、奈良にこんなグループがあって、こんな活動しているんだ、と思うところは多々あった。
その中でも紹介したいのは、健一自然農園というところが出した「三年晩茶」だ。これは伊川健一さんが高校生の時から手がけてきた放置茶園を開墾する事業なのだが、放置してもはや大木に育ったようなチャノキから茶をつくっている。それも茶葉だけでなく枝も幹、樹皮も混ぜた茶である。放置されていたからこそ、無農薬で育った木なのだ。
とまあ、これだけなら「頑張ってるね」というだけで終わるのだが……実は、この晩茶による抹茶ラテも販売しているのである。つまり放置茶畑からつくった抹茶(定義上は粉末茶になる)と牛乳の飲料だ。
日陰栽培など細かな規定のある、もっとも繊細な抹茶をあえて放置されたチャノキでつくる。今世界的に流行りの抹茶ラテの世界なら可能なのかもしれない。
同時に思い出したのが、奈良県の御所市、油長酒造でつくる「風の森」だ。この日本酒は、すごい人気でなかなか手に入らないことで知られている。多分、関東では手に入りにくいだろう。うちの娘が探していた(^o^)。
この酒で驚かされるのは、原料に使っている米が秋津穂という食米であること。しかも磨くのは65%程度なこと。これ、日本酒に詳しい人なら驚きだろう。銘酒と言われているのは、みな酒米と呼ばれる品種(山田錦とか五百万石、赤磐雄町……)にこだわり、ギリギリまで削る。35%まで磨いた大吟醸だぞ!と自慢するものだ。「獺祭」とか。
が、そうした風潮に棹さして、吟醸ではなく廃れた食べるための米を使い、あまり磨かず、しかも硬水を使う。社長に言わせると、「何を原材料にしても、それを個性に美味しい酒はできる」のだ。
そんな酒が、通に大人気なのだ。さらに、米が取れる棚田ごとに味が違うと、ボトルも分けている。
これって、ワインの世界でいうテロワールだ。農園ごとにワインは違うのである。
三年晩茶にしろ、風の森にしろ、世間の常識を覆したかのような商品である。そして放置茶畑、あるいは棚田を守る活動へと進む。
これぞ、ネイチャーポジティブを土地の活動へ引き寄せることなのかもしれない。
同じことを林業でできないのは、なぜだろうね。単に原木の産地銘柄ではダメなんで、エンド商品まで落とし込む覚悟があるかないか、だろうか。


































































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