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森と林業と田舎の本

2023/01/30

凶の年始め撮影は

今年の初詣で引いた御神籤が「凶」だったことは先に記したが、たしかに今年はついていない。まだ1カ月しか経たないが……。

父が亡くなったのは、ある意味昨年から予想されたことであったが、その後も何かと不吉なことばかり。

とくに痛手は、カメラを壊したこと。こう見えても十数万円の高級カメラを使っていたのだが、取材に行った先で、かがんだ際にほんの3,40㎝の高さから落としたのだ。それなのに修理に出すと、修理費10万円越え。。。 (゚o゚;) 。泣きそうになる。

それなら新品買うわ~!と修理を断って、4万円のカメラを買い直した(^^;)。まあ、通常の取材はこれで十分な性能がある。まさか取材先でスマホで撮影するのはみっともないからなあ。でも、馴染んだ愛機に未練が残る……。

不幸中の幸いだったのは、取材を終えてからの故障だったこと。で、最後の撮影したものはこれ。

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酒を仕込む桶である。今は木桶復活ブームらしい。でもこうした巨大桶となると、職人もだが、素材となる木がなかなかない。結局は吉野杉に行き着くのである。

ただ、話を聞いていると、桶の部材になるには、細かな条件があるそうだ。年輪が密で、無節で……というのは基本であって、ほかにもいろいろある。なかでも面白かったのは、心材と辺材の境目が重要だということ。これで4メートル材を取ろうとしたら、そりゃ、通常のスギでは厳しいだろう。

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写真に写っている白い筋のような赤身と白太の間の部分が板の中に走っていると、水がもれないらしい。これは、どうした原理だろう。白太は生きた細胞で、赤身はリグニンが沈着した死んだ細胞というが、それが桶にどういった作用をするのか。

ただ桶材は、かつての四方無地の価格で売れるそうなので、超高級材であることは間違いない。吉野林業復活の鍵は、桶にあり? 風が吹かなくても桶は儲かる、かも。

2023/01/27

等方性大断面部材って何?

トレンドはグリーンイノベーションだが、NEDO新エネルギー・産業技術総合開発機構で新たな建材開発が謳われている。

「グリーンイノベーション基金事業/食料・農林水産業のCO2等削減・吸収技術の開発」

ここの研究開発項目には、
1、高機能バイオ炭等の供給・利用技術の確立
2、高層建築物等の木造化に資する等方性大断面部材の開発
3、ブルーカーボンを推進するための海藻バンク整備技術の開発

と並ぶ。気になるのが2番目の「等方性大断面部材」である。いっとくが、この言葉の意味はわかるのよ。どちらの方向から力をかけても同じ強度を保つ部材ということだ。木材は繊維方向には強いが横からの圧力や引っ張り力には弱い。それをなんとかしよう、ということだろう。

しかしだね。そうした建築材料として開発されたのが、まずは合板であり、CLTではないのか。そしてDLTNLT、MPPである。

知ってるかな?   合板の説明はいらないだろうが、丸太から剥き取ったベニヤ板を方向を変えて貼り合わせることで大断面をつくったもの。
CLTはベニヤ板ではなく、分厚い板(ラミナ)を直交させながら張り合わせたもの。
DLTは接着剤ではなくダボで、NLTは釘でラミナを固定したものだ。
そしてMPPは、超厚物合板。ベニヤ板を貼り合わせるものの、厚さを8センチ以上にする。

みんな、私はすでに紹介してきた。これらをまとめてマス・ティンバーと呼ぶが、どれも等方性大断面部材になる(DLTとNLTは等方でないものもある)。

それなのに、また新たなマスティンバーを開発するの? なぜ? CLTが役立たずだから?

一応、説明では「従来とは異なる層構成を持つ合板の試作を重ね、国産材を原料する支点間距離8m、耐火2時間の等方性大断面部材を開発する。また、その等方性大断面部材を商用生産するため、厚剥き可能なロータリーレース製造、短時間乾燥、選別、面内接着、積層接着等の工程を効率的に実行するための要素技術開発を行う。合板の製造技術をベースにした新しい木質材料「等方性大断面部材」の開発がグリーンイノベーション基金を活用して行われる。「等方性大断面部材」は、長さと幅の両方向からの荷重に強い特性を持つ世界初の木質材料で、工期の短縮化や設計・意匠の自由度拡大など多くのメリットをもたらすと見込まれている。2030年度までに社会実装(実用化)して、高層建築物等の木造化などに利用していくことが計画されている。」とある。

説明では、MPPに近いかな。でも、アメリカでは実用化しているものを改めて研究して「世界初」を謳えまい。平行でも直交でもなく、斜めにでも貼り合わせる?そうだ、寄せ木細工なんて どうだろう。

近頃、木造の高層ビル建設が世界中でブームになっているが、現行の建築部材ではイマイチの部分があるのかね。Mitsui_01_o

三井不動産の高さ70メートル、17階建て木造ビル。今年着工予定。

 

 

 

2023/01/25

板の原木の直径は何センチ?

大寒波である。雪である。ま、実は奈良はたいしたことなかった。少なくても平地は。ナラピュタの由縁である。

雪も昼過ぎにはほぼ溶けたのだが、一応今日は車を使って出歩かないことにした。とはいえ自宅にこもるのもつまらないので散歩に出る。家から直に散歩に出るのは実は久しぶり。車で歩く起点まで移動するのが常だったから。

できるだけ細い道、通ったことのない道を選んで進む。いったい自分はどこに行くんだ?と思いながら。すると本当に知らない道に出会うのだ。おや、こんなところにこんな路地が……という気分になる。それが散歩の醍醐味なのだ。

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そんな路地のコンクリートの高い壁には、排水路からシダが生えていたりする。

そして行き着いたのがお寺。その寺自体は前から幾度か出入りしていたが、今回は別ルートから侵入、て別に悪いことではないのだが。

そして本堂の縁側に目を向ける。

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こんな板を使っていた。縁側だから風雨にさらされていて、かなり傷んでいた。そのうち張り替えなくてはならないのではなかろうか。しかし、これだけの板を何十枚と揃えるのは大変だろう。と思って、板の寸法を計ってみた。もちろん尺は持っていないのだが、手持ちの道具で印をつけて家に帰ってから計測する。

すると厚さ5センチ、幅27,8センチある。長さは本堂の中まで伸びているから正確ではないが、少なくても3メートルは必要。枚数は本堂の周りだけで30~40枚はなくてはならない。そういや何の材か確認し忘れた。普通ならヒノキなんだろうが記憶を辿ればスギかもしれん……。

さて、ここで気付いた。その板の断面の木目を見てほしい。板目なんだが、ほとんど横に伸びている。丸みは弱い。そこで疑問がわいてきた。

この板を伐りだした原木の直径は何センチだろう。一応、真円の丸太として、幅28センチの板目材を切り出すのなら、単純には35センチもあればいいのでは……と思うのだが、木目にカーブがあまり見られないのだと芯からの距離はかなりある。さあ、誰か計算してよ(^^;)。

ついでに樹齢も想像してみてください。そんな木は今、手に入るだろうか。金額はどれぐらいになるか。

 

 

2022/12/03

温故知新の木工作品

テレビをつけると、秋田の名産品を紹介していた。

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これはアイスペール、飲み屋でつかわれる氷の入れ物だが、何で作られているか。

実はメンパ、曲げわっぱなのである。わっぱと聞けば、弁当箱かお櫃を想像するが……曲げわっぱの技術を使って作られた現代風商品を紹介していたのであった。

ほかにもフランスパンをしまう曲げわっぱとか、ビアカップとか(^-^)/ 。

伝統技術を守れ、というが、弁当箱だけではたいして売れない。そもそも日常品なのに高くつく。売れ行きが悪いと技術も消えていく。むしろ技術を残して商品を変える方が戦略的かな。

ところで奈良時代に巻胎」という技術があったらしい。どうも中国から伝わったらしいのだが、木を薄い紙のような板(つまりツキ板のようなものか)にして、それを巻きながら貼り合わせて器を作るのである。ウルシで塗り固めるみたい。正倉院の宝物の中にあるそうだが、今や絶滅している。

そんな技術も今に活かして木工品を作れないかね。

(検索してみると、青森に復活させて作っているところもあるようだ。)

 

 

 

2022/11/30

小丸太は海の恋人?

またしても臼杵林業なのだが。土場に積まれたもの。

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見た通り、末口12センチ未満の小丸太だ。皮を剥がして削れば直径10センチ以下になるだろう。問題は、長さ。6メートルある。これが、なかなかの高値なのだという。さて、何に使われるでしょう。6メートル材の搬出は結構大変だと思える。

真っ直ぐのものは、国交省がご所望のようだ。わざわざ転がして曲がりを確認するというから鬱陶しい(^^;)。
が、使い道は珍しくない。土留め工事の杭である。法面などを掘削して崩れ防止だ。

しかし、6メートルの杭なんているか?
これは売り渡してからなので推測だが、だいたい長さは3メートル、4メートルに現場に合わせて切断する模様。その意味では、長さはあまり関係ない。

6メートルで出すのは、実は別の用途があるのだ。

それは、海苔の養殖。海に海苔養殖の網をかける杭になるらしい。潮の満ち引きがあるから6メートル必要となる。

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こんな感じかな。

それを聞いて思い出すのは、速水林業が牡蠣養殖の筏用小丸太がよく売れるという件。牡蠣をつけるには、金属棒などではなく木材がよろしいらしい。海水で腐食の心配もあるからだろう。ただ、新植が少ないから小丸太も市場に出なくなった。だから高値を呼んでいるのだ。

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広島上空。牡蠣筏がよく見えた。

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そうか、海という自然物に必要な素材は、やはり自然素材の木材なのだな、と勝手に感心。小丸太は、海の恋人なのである。

 

2022/11/23

幻の?吉野塗

今月は、よく吉野に足を運んでいる。もう5回くらいになるのではないか。

で、今日も訪れたのだが……その目的は、川上村で開かれたシンポジウム。「樹と水と人の共生を未来につなぐ」。

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目的の大きな一つは、基調講演に「吉野林業~森林と人間の関わりの極致」(泉英二)があったからである。私は、林業の予定調和論に懐疑的になっているのだが……まあ、その話は改めて。

このシンポジウムとはまったく関係ないのだが、すごいものをいただいた。

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漆塗りであることはわかるだろうが、なんと吉野塗。吉野(下市)には、古くからの漆塗り技法があったのだ。何か特徴かと言われると困るが、黒漆に赤漆で描かれた芙蓉が定番だろう。なんとなくもったりとした田舎くささがある(笑)。何をもって吉野塗というのかよく知らない。ただ豊臣秀吉の時代からあったそうなので、かなり古い。漆塗りそのものは古代よりあったが、それが産地と結びついて産品になっているのは意外と新しくて、多くが江戸時代だろう。

吉野塗は、石川県の輪島塗や山中塗でも模倣されたのだそうだ。やはり人気があったのか。ただ、肝心の吉野では途絶えてしまった。だから幻なのである。

それをもらっていいのか。といいつつ、ネットで出回っているらしい。吉野以外でつくられた新品もあるらしい(笑)。これは古いから、本物だろう。

林業地には漆芸が発達することが多い。それに和紙産地も重なる。吉野は、その典型かも。漆芸は、ウルシノキの栽培が必要なことに加えて生地となる木工の碗や皿が必要だからだし、和紙もコウゾなどの栽培を前提とするからだろう。

林業は原木の産地と決めつけるのはよろしくないよ。

2022/11/13

木材無人販売所

吉野町を車で走っていて、ふと目に入ったもの。

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「ウッキー」とあるが、木材の無人販売所であった。

一束500円とは、どれぐらいの量だろう。角材かな、板かな。車を降りて確認するまでしなかったので、具体的な木材はわからないが、製材だ。

薪などの無人販売所はたまに見かけるが、製材された板や角材の無人販売は珍しいのではないか。吉野は、製材所がそこそこある(以前に比べたら10分の1になったと聞くが)ので、そこで余った材や端材を並べているのだろうか。

通りすぎてから、よいものがあったら購入してもよかったかな、と後悔。ちょうど家を改造しようと思っているし。もっとも、我が家には、結構な木材が眠っているのだが(^^;)。処分しないと邪魔だよ、と普段言いつつ、また購入しようとしてしまう。古材は燃やして、新しく在庫を増やすか(笑)。

 

 

2022/11/12

寺社古材の行方

奈良に依水園という、庭園と陶芸の美術館がある。ちょっと時間が空いたときにふらりと寄ったのだが……。

裏には東大寺南門や大仏殿や氷室神社が位置する環境なのだが、この中だけは静謐(まあ、ときに団体さんのマイクの声なども流れてくるのだが)な環境で日本庭園を楽しめる。

と、そこで目にしたのが、茅葺きの小舎にこんな縁側。

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新薬師寺の古材を使っているのだそうだ。つまり、お寺の一部を修繕する際に外した木材を、転用して縁側に使ったということで、なかなかの年月の経ったカスケード利用だ。縁側なのに座れないほど(笑)。

しかし、単に古材というだけでなく由緒ある神社仏閣から出る古材は、どのようにされているのか。普通に考えれば取り替えるほど傷んでいるわけだから処分するしかないわけだが。

実は、そんな木材もありがたくなく使うケースはある。有名なのは、蝦夷地探検家の松浦武四郎が晩年に建てた「一畳敷」庵だろう。古希を記念して、全国の友人たちに頼んで古刹名所の木材を寄付してもらって建てた書斎だ。90もの寺社や歴史的建造物から集めたという。知られたところでは、法隆寺に熊野本宮、北野天満宮、出雲大社、伊勢神宮などの古材を寄せ集めたらしい。もちろん、現在の建物から切り取ったのではないので、修理の際に出た古材で、保管されていたものだろう。案外、分けてくれるものである。今ならどうだか。

こんなものもある。

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奈良県吉野高校(現・奈良南高校)の林業博物館にあった法隆寺と正倉院の古材。どうして手に入れたんだか(笑)。

 

 

2022/10/20

想定復元・大極殿南門が完成

いつもながら平城宮跡を散歩してきた。

ちょうど建設中の大極殿南門がオープンになって近づけるように。大仏殿に継ぐ巨大木造建築の大極殿の周囲に建設されている楼閣の門である。それ自体が相当巨大。間口22・1メートル、高さ20メートル。2階建てに見えるが2階はない。二重門の入母屋造りである。

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ここでも直径80センチ級のヒノキの柱が結構使われている。見えるところで12本だが、内部にもあるのかどうか。一応、紀伊半島産だということだが、果たして。奈良の業者は全国から集めているからなあ。

それにしても、いつも「もう、これが最後」「もう大径木は尽きた」と言われるのだが、それなりに出てくる(笑)。案外、山主は自分の山に何本か大木を隠しているものらしく、それを拝み倒して伐らせてもらうんだ、と以前聞いたが。「平城宮復元のため」とか言われると、OKしてしまうのだろう。

ただ、こうして完成させた大極殿や南門、朱雀門など各種の建築物は、決して設計図が残っているわけなく、想定復元である。本物と言えるかどうか。私自身は、こうして過去の都の姿を再現しようとすることにも価値はあると思っている。それに建設を通して古代の技術の再現や継承にも役立つ。想定復元する研究を通して、新たな建築上の発見もあるだろう。それでも引っかかるのは、そうした復元に枯渇しかけている大木資源を費やすことだ。本物の修復や復元なら結構なんだが、想像なら、集成材でもいいんじゃない?と思うからだ。どうだろう。

ところで、バックに巨大な鉄骨ドームが見えるが、あれは足場である。屋根のようにかぶせて、クレーンなども設置して建設していた。次は横に移動させて、東西の楼門を建設するそうだ。これが最新工法なのだろう。

古代宮殿と巨大鉄ドーム、そのミスマッチが、なんだかサンダーバードの発進基地みたいで、カッコいい。

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2022/10/16

爪楊枝ジャーナリストへの道

このところ、意外なところから意外な依頼があるのだが……。

その一つにBSテレ東のビジネス系特番「Eマンデー」からの取材依頼がある。一応紹介しておくと、この10月から始まった番組で、毎週月曜夜10時からの60分放送。テーマは「経済+エンタメ」だそうで、さまざまな「ギョーカイ」の話題を紹介する「ギョーカイジャーナリスト!マル秘スクープ」というコーナーを考えていると。マニアックな業界を取り上げたいらしいのだが、考えたのが「マッチ」と「つまようじ」

ところがマニアックすぎて、マッチ業界とか、つまようじ業界なんて、そんな業界ジャーナリストはいない(笑)。

そんでもって、私にお鉢が回ってきたわけだ。木材つながりで、なんとかなりません? ということで。

こちらとしては、まんざら知らないわけではないので、どんな企画か、話を聞いてアイデアでも提供してやるか、と応じた。

ところがZoomでつながると、もはや企画会議ではなく、取材を進めていて、それに対するコメントがほしいということになった。なんだ、ようするに出演しろってか?

せっかくマッチ棒のために植樹する樹木とか、つまようじの歴史や作り方のウンチクを紹介してやろうと思ったのに。マッチ棒に関する新島襄と八重にまつわるエピソードとか、農家の副業で始まった日本のつまようじづくりがいかに進化したかとか。ちなみに、私は『割り箸はもったいない?』を執筆する際に、つまようじに関しても執筆していたのである。ただ、最終的に本からは省いて掲載しなかった。

それでも、なんだかんだとコメントしちゃうわけよ(笑)。おれって、引き出し多すぎ\(^o^)/。その場でZoom収録となったのである。

実際の放送は月末とか言っていたから、まだ放送していないのだろうな。BSで、テレ東となると、番組自体がマニアック。

ところで、古本市で見つけた本。

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遅すぎる……というか、いまさら必要ないのだけど、つまようじについて勉強しておこう。昨日の経験から椅子ジャーナリストは諦めたけど、機会があれば爪楊枝ジャーナリスト、そしてマッチ棒ジャーナリストになる!

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