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森と林業の本

2024/09/28

台湾土産

今日は、台湾行の後片付けをのんびりと。

お土産を買ってきた。

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まずは台湾紅檜のエッセンシャルオイル。購入したのは阿里山のギャラリーの、素敵なお姉さんから(^o^)。

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一般にタイワンヒノキと呼ぶのは、タイワンヒノキ(柏樹)と、タイワンベニヒノキ(扁柏)の2種ある。オイルも二種類ある。しかし、匂ってみるとタイワンヒノキは日本のヒノキ(実はヒバ。日本のヒノキにヒノキチオールは含まない。木曽檜は少し含む)に近い香りだが、ベニヒノキの方がヒノキチオールの香りが強いように感じた。

ベニヒノキは台湾固有種だ。そこで今回はベニヒノキの方を購入。ただしベニヒノキは、ヒノキよりもサワラに近いと言う。


これ、身体に塗ってオーデコロンのように匂わせて歩こうかな(^^;)。

次にこちらは空港の「原住民土産」のお店で。

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まず箸。これを私の木箸コレクションに加える(割り箸ではない)。タイワンヒノキ製だとある。はて、タイワンヒノキは伐採禁止と聞いているのだが、すでに伐り出された木材からか、あるいは人工林か。天の部分に中華の紋様の焼き印と、玉が埋め込まれている。

下は栞だが、材質は「柚木」「竹片」「楓木」と記されている。タケとカエデはわかるが、柚木は何だろう?   柚子、柑橘類の木かもしれない。

お土産は高粱酒だけではないのである。

2024/09/15

国産材でバイオリンをつくる意義

高知県の木でバイオリンをつくったというニュースを目にする。

高知県産の木材を使った“初”のバイオリン!四万十町の工房で完成間近

間近、とあるからまだ完成したわけてはないのかもしれないが、音の最終調整中らしい。

製造は、表面はヤナセスギ、裏面はミズメザクラと高知県産の木材だけで作られたそうだ。記事を読む限り、これは民間の事業で県や市町村関係の事業ではないようだ。四万十町の高橋ヴァイオリン工房と、南国市の溝渕木材工業、そして県出身のバイオリニスト川村陽華さんの名が上げられている。

ちなみに高橋ヴァイオリン工房のホームページを見ると、製造をオーダーすると、使用する木材は
表面・・・・・・モミ(樅)裏面、
ネック、横・・・ カエデ(楓)
指板(しばん)・・コクタン(黒檀)

 使用する木材はモラッシー工房の最上級ランクの材を中心に他、いずれも厳選した材のみを取り揃えています。 オーダー時には工房でストックしてある材から、お好みの木目や虎杢の入った材を選んでいただく事も可能です。

とも記されている。これらの木は、おそらく外材だろう。今回は、それを国産材、とくに高知県産でやってみようというプロジェクトなのだろうか。

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(高橋ヴァイオリン工房のHPより借用)

国産材でバイオリンと言えば、奈良県でも吉野杉によるバイオリンを製造している。これは県の企画だ。2017年に発表されて、私もそのコンサートに行ってきた。音色は、通常のバイオリンとは少し違うが、柔らかくてよい音色、とのことであった。(私に判定できるほど耳は肥えていない。)

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ようするに建築材ばかりではなく、新たな商品づくりに挑戦、という意味である。

その際に私が評したのは、<楽器は木材の使い道としては最上級のカテゴリーで、もっとも魅力を発揮できる分野である。ただ今回見吉野杉でも楽器(なかでも最上級の弦楽器とされるバイオリン)をつくれることを示したのだから、非常に価値がある。ただし、ここで使われたのは200年生の吉野杉で、しかも長く製材されて保管されていたことで乾燥が行き届いた逸品であること。つまり、これで量産などはできないし、新たな木材用途にはならない。今回の試みと成功は、いわば国産材の可能性を世間に示すことに意味がある。これに触発されて、地場産の木で新たな商品を開発しようという機運が出てきたらよい。>……ということであった。

今回の高知の試みも、ヤナセスギとは柳瀬杉、高知県東部の天然杉の銘木だし、ミズメザクラも通常出回っている木材ではない。

今後の波及効果に期待したい。

そういや、今年11月10日に四万十市で開かれる「幡多山もりフェス」に呼ばれていた。もしかしてバイオリンを目にできるかな。四万十市と四万十町。名前は似ていてもそんなに近い距離ではないようだけど(^o^)。

 



2024/09/08

伸びるか、木製フローリング市場

市場調査会社のレポートを読んだ。

木製フローリングの世界市場

それによると、
2023年に488億米ドルと推定される木製フローリングの世界市場は、2023年から2030年にかけてCAGR 4.7%で成長し、2030年には671億米ドルに達すると予測されます。

なかなかの成長率だ。

米国の木製フローリング市場は2023年に70億米ドルと推定されます。世界第2位の経済大国である中国は、2030年までに130億米ドルの市場規模に達すると予測され、分析期間2023-2030年のCAGRは7.1%です。その他の注目すべき地域別市場としては、日本とカナダがあり、分析期間中のCAGRはそれぞれ2.8%と3.1%と予測されています。欧州では、ドイツがCAGR 3.8%で成長すると予測されています。

実は、私も木材の用途としてもっとも有望なのはフローリングだ! と20年前から言っていた。と、後出しジャンケンのような言い草(^^;)。

一応の証拠としては2012年に国交省の「木の家づくり推進委員会だったかに意見陳述で呼ばれて発言している。

そこでは、木造住宅を推進しても木材の需要はたいして増えないこと、そして価格が安くて利益が出づらいことを訴え、木材を高く売れるのは建築物全般の建具やインテリアであるとした。とくにフローリングは、耐火基準など建築基準法で木材規制に引っかからないからよろしい、と言って、国交省役人の笑いを(苦笑?)取ったので゛よく覚えている。

ところで、木製フローリングには、無垢材フローリングと、単板を集成したエンジニアードウッドフローリングに分かれる。どっちがいいかは使い方、場所などによるのだろうが、昨年我が家でもフローリングの張り替えをしたのは集成材フローリングから無垢材フローリングへだ。

その際に驚いたのは、古いフローリングを剥がすとボロボロに砕けたこと。持ち上げられないほどだった。その理由はわからない。40年以上経っているし、親の部屋の使い方にもよるのだろうが、恐ろしく感じた。

20230927_105320張り替えた床

もっとも、この工事でフローリングの難しさも学んだ。集成材のフローリングならパネル化していて、簡単だとは聞くが、無垢材の場合は水平を取るだけでも大変。下地から全部張り替えだった。

さて、レポートにもどる。

世界の木製フローリング市場は、木材加工技術の進歩と消費者の嗜好の変化により、着実な進化を遂げています。持続可能で環境に優しい建材を求める動きが顕著になり、持続可能な森林管理が認証された森林からの木製フローリングの需要が高まっています。DIYでの施工を容易にするクリックロック技術や、耐久性と湿気や害虫への耐性を高める木材治療の改良などの技術革新により、木製フローリングの使用と用途が拡大しています。さらに、木製フローリングの美観は多様化し続けており、素朴な手擦りの板や、高度に磨かれた現代的な仕上げの板が好まれる傾向にあります。これらの動向は、個性的で環境に配慮した住宅装飾を選択する消費者のシフトを反映しています。

消費者の嗜好は、より持続可能で審美的に多様な床材オプションへとシフトし、市場はより高品質でエコロジーに配慮した製品へと向かっています。またオンライン小売の台頭により、消費者は多様な木製フローリングオプションに容易にアクセスできるようになり、市場の成長をさらに後押ししています。

ここで私が重要だと思うのは、「持続可能で環境に優しい建材を求める動き」だ。そして森林認証を受けた得た木材の需要が高まっていること。

そして、フローリンク材の多くは、広葉樹材であること。スギやヒノキ製もあるが、いかにも和風の床になる。私もリビングのデザイン上、広葉樹材を求めた。一方で広葉樹材は、供給不安がある。今は外材全盛だが、そのうち底を突くのではないか。

今から対策を練って、安定供給できる素材を準備しておくことも、日本の林業の長期戦略になるのではないかな。

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国産の里山フローリングと名付けられた雑木の材

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なんと、割り箸素材のアスペンも、サーモにすると立派なフローリング材に。

 

 

2024/08/25

違法木材を飲み込む業界はどこだ?

以前、拙ブログでも紹介した、三木楽器の違法木材使用問題、詳しい裏側を描いた記事があった。

希少木材の密輸、競合他社のチンコロ…木材不正輸入で話題になった、中古楽器業界の「呆れた秩序」

なかなか面白い裏事情を紹介している。目利きの難しさもあれば、業界内の疑心暗鬼とライバルを刺す動きもある。

楽器をつくる工房は少ないし、それぞれが職人業を競っている。希少木材を使うこともブランド化には力を貸す。実際のところ、ハカランダを使えばどれほど音色がよくなる……という理由ではなく、希少木材を使うという行為自体が重要なのだろう。そして、そのためには違法木材にも手を出すわけだ。価格は一気に跳ね上がるから。ある意味、こうした木材価値を生み出す業界ほど、違法木材を使いたがるわけだが……。

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もう一つ、違法木材を飲み込む業界がある。こちらの方が、楽器より大きいかもしれない。

それは、ツキ板業界だ。

ツキ板は、木材を厚さ数ミリ以下まで薄くして、紙のようにしたもの。それを張れば下地がなんであろうが、そのツキ板の木材に見えてしまう。
集成材であろうが、合板、いや金属であろうがコンクリートであろうが、ツキ板の木材製に見える。

そして材料とする樹種は、スギやヒノキでもあるが、もっとも多いのは広葉樹材。色や木目・杢によって高く売れるかどうかが決まってくる。

木目命、だから、調達は非常にシビアだ。逆に言えば、よい木目の原料を手に入れるためなら、トレーサビリティとか合法性を問うてはいられない。極めてグレーな木材が出回っている。

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自動車もボディをツキ板で覆えば、木製自動車になる?

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東京の某高級ホテルの室内扉。一見、無垢の板のように見えるのだが、ツキ板だった。おかげで軽い。

さて、いつか追求される日が来るだろうか。それとも、見なかったことにするかな?

 

 

2024/08/12

10代目木製腕時計

つい買ってしまった。最近、衝動買いが多い。

木製腕時計である。

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私の腕時計の歴史はこんなもん。

9代目木製腕時計に挑戦!

が、末路はこうなった。

木製時計の最後

これが今年3月だから、5カ月後、また買ってしまったのだ。
今回は、シンプルというか派手さは押さえて黒木の時計。ただデザインを変えようと、ストップウォッチ機能の秒針つき。なんで3つもあるの?
なおメーカーのBOBObirdは、中国メーカーらしいが、日本に総代理店を設けていると書いてあった。これまでの中国製バッタモンよりは、大手なのかも。

金属併用の8代目は健在だが、やはり重いのだ。春から今まで使ってきたが、夏に入って手首に重さが意識されるので、つい軽い木製を望んでしまった。

今のところよい。肌の触感もよいし、なんたって軽い。狂わない。ただ……まだ不平が出てしまうのだが、このストップウォッチの秒針が邪魔で、分針が見ずらい(^^;)。また防水を謳っているが、腕にしたまま手を洗うと、なんかガラス面が濁る。。。何かと文句が出るものである。

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ただ価格は、半額セールのときでAmazonのポイント使ったら4000円に届かなかった。多少長く使えたら損はしない。

2024/08/03

平城宮跡の大極殿の柱は太る?

平城宮跡歴史記念公園には大極殿が復原されているが、それは第一次大極殿。

実は、一度遷都してからもどってきて作り直した第二次大極殿もある。こちらは復原されていないが、柱のあった跡を植木で示している。

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しかし、最近、その柱が太ってきたように思う。。。

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直径80センチ級が、1メートルを超えたような雰囲気。ただし、ぶよぶよ。まずいんじゃないか(笑)。しっかり引き締めてほしい。

柱や土台にした木が成長する建築はできないものかなあ。。。

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2024/07/24

ホームセンターの薪のお値段

たまたま寄ったホームセンターで、さまざまな薪が売っていた。その値段からいろいろ考える。

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まず上段が、広葉樹薪なんだけど、束とあるのは梱包していないということか。758円。

その真下が国産広葉樹薪(ナラ)5キロ。束と量的にはどちらが多いのかわからないけど、新寸法は若干短いか。898円。

下段・右手がアカシア薪。ニセアカシアでなく、本物のアカシア5キロ。広葉樹薪ではある。おそらくベトナム産。798円。

下段・左手がコロ薪。どうやら短い薪ということらしい。量は書いていないが、箱が広葉樹薪よりかなり大きい。698円。

さて、どれが一番お得でしょう?

針葉樹薪はここになかったが、コロ薪が安いのが気になる。短い方が、コンロに入れるのにはよいように思うが、焚き火用だと弱いのかな。
束の薪は国産材なのだろうか。箱詰めとの差は何か。海外御用達のアカシア薪は最近流行りのようだが、ここではそんなに安いわけではない。アカシアはよく燃えるのか不明。

それぞれ仕入れ値や生産の手間などがどさぐらいなのかわからないが、売れ筋の価格を設定しているとすると、やはり一番高いのは、国産・ナラの薪なのだろう。それが短くなると、とたんに安くなる。海外産は意外とそれほど安くない。

さて、自分がキャンプで焚き火をして、その火でバーベキュー調理などをすると仮定したら、どの薪を選ぶべきだろうか。

先日の下北山村ては「焚きつけ」が売っていた。焚き火だろうがコンロでバーベキューだろうが、最初は薪ではなく焚きつけがないと火をおこせない。そこで割り箸生産から出る屑の細いスギ材を焚きつけ用に売っていて、ふるさと納税返礼品にも入っていた。焚き付け薪セットは、スギ材21~24cmのスギの木っ端。それが約20kgでカンナくず付き。これそのものの価格はわからないが、寄付金額2万4000円だという。仮に3割とすると、7200円分か。送料を引くと、ざっと5000~6000円ぐらい? 5キロ単価にしてみると1300~1500円。ホームセンターのお持ち帰り用の薪より高い。

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これが一番賢い薪の売り方のように思う。(^_^) 。

2024/07/20

木材輸出は日本の工法で?

ネットの建通新聞にこんな記事。

全国知事会 木材の輸出拡大 国に要請へ

全国知事会は7月17日に開いた国産木材活用プロジェクトチーム会議で、国産木材の需要拡大に向けた2024年度の提言(案)を承認した。重点事項に木材などの輸出拡大を新たに位置付けた他、民間非住宅建築物の木造化・木質化の推進や建築士などの育成を引き続き盛り込んだ。 

全国知事会ではこんなこともやってるのか。

だいたい木材輸出に国が関わるとはどういうことか。何か輸出に関して法令的な規制が関わっているから緩めてくれとかいうのならわかるが、どうもそうではないらしい。

新たに重点事項に位置付けた木材・木材製品の輸出拡大では、ジャパンブランドとして注目される木造軸組工法を海外に普及・促進するよう求める。

木造軸組工法がジャパンブランドというのもなんだかなぁ、なのだが、ようするに日本の家づくりの工法を、海外まで広げろというらしい。

余計なお世話ではないか。各国で自分の国ならではの家づくりの技術があるのに、日本の木材には日本の工法を、というのはいかがなものか。

鹿児島に日本木材住宅輸出協会とかいうのがあって、主に韓国への国産材輸出に取り組んでいたことを思い出す。ところが、どうにも売れない。なぜなら日本家屋と同じ規格の木材を出していたから。ようやく韓国規格に合わせて、少し売れた……という話を取材したことがある。

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鹿児島県の志布志港で輸出を待つ国産材。

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韓国で建てた日本材の家。

今回は、どこの国をめざしているのか知らないが、日本の木は日本の工法が一番、というのは思い上がりではないのか。1軒2軒と、物珍しさから日本的な建築物を建てることはあっても、それが普及するとは思えない。アメリカが日本にツーバイフォー工法を持ち込んで、ものすごい宣伝とごり押しをしてきたが、50年以上かけてツーバイフォー住宅は木造住宅のうちの2割以下ではないか。(アメリカでは9割がツーバイフォーで、これこそ正しい工法だ、と主張している。)
日本では、ツーバイフォーも仕様を変質させているし、国産材のツーバイフォーも増えて、アメリカが木材を売り込む目的はいつしか消えてしまった。

ここで日本も軸組工法を広めて、日本の木材を輸出しよう……としても失敗が目に見えている。仮に軸組工法が気に入られても、多分欧州材か米材で建てることになるんじゃないかな。

それにしても国に要望とは、なんとも情けない。ビジネスは民間でやりたまえ。国の金を使って日本的独善の家を広めようというのは、他人の褌で相撲を取ってズルして勝とうというのと変わるまい。郷に入っては郷に従えだろう。

 

 

 

2024/07/18

法隆寺の古材が国宝……はて?

法隆寺に残された建築廃材が国宝に追加指定されるというニュース。

法隆寺金堂の大量の古材、国宝へ 60年超の調査完結、火災の教訓も

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 ようするに幾度か繰り返された法隆寺の修理の際に交換された建築材や戦後の火災で焼けた部分などが国宝になるのだそう。

詳しくは記事を読んでいただきたいが、廃材もとい古材も、全部調査してどこの何のための部材なのか履歴を調べ尽くした3284点は、国宝・法隆寺に加えるということである。

これを読んで、あれ?はて? と思った人もいるのてはないか。実は、この手の古材は意外と世間に出回っているから。

なにしろYahoo!オークションにもかかって売り出されている。

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もちろん履歴などはあやふやで、偽物の可能性もあるけど。

しかし、もともと修理で交換した材は、世間に流通するものなのだ。寺が放出するのか、手がけた大工が役得として引き取っているのか。私自身も、アチコチで見ている。

知る中で古いのは北海道の探検家・松浦武四郎が晩年の明治時代に建てた「一畳敷」という書斎だろう。これは「木片勧進」と称して、全国の有名古刹から木材を集めて建てたもので、その中には法隆寺ほかの寺社の木材も使われていたはず。

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写真は一畳敷のレプリカだが、現物の木材は、みな「勧進」で得たものだ。当時は手紙で「木片くれ!」と求めたら、意外と応えてくれたようだ。

さらに奈良県の吉野高校(現・奈良南高校)の林業博物館にもあった。

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右が法隆寺。左は正倉院。

ほかにも法隆寺の古材を保管している施設はいくつかあるのだが、暴露は止めておこう(^_^) 。

結局、古材が国宝と言っても、実は木質に価値があるのではなく、履歴がわかるかどうかなのである。木材に価値を付けるのは、産地や成長過程、そして加工者……などのストーリーなのだな。

 

2024/07/12

「歴史の証人」と川上村の源流学園

下北山村からの帰り道、川上村を通るのだが、そこで目についたのは義務教育学校「かわかみ源流学園」。

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小中学校一貫の新たな教育組織だが、そこに保育園も加えている。ここに樹齢400年生の吉野杉を使ったことを以前記事にしたことがある。人が植えて育てた木としては日本最古級。「歴史の証人」として村のふるさと文化財に指定(ほか、林業遺産、日本遺産などに指定)している村有林だが、そのうちの1本をこの学校建設のために伐ったのだ。詳しくは、昨年の毎日新聞奈良県版を。

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なかなかの勇気である。ただ記事にしたときは、まだ建設中だからどんな様子になるのかわからなかった。そのことを思い出して、車をUターンさせて飛び込みで「見せてくれ」と頼む。アポなしでも融通してくれるのが、有り難い。

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エントランスにあるのが、「歴史の証人」の薄い断面。意外と細いと感じるかもしれないが、むしろ400年でこの細さということが年輪の詰まった吉野杉ならではである。しかも節がほとんど見つからない!

一つ一つを説明するのは無理だが、学校のイメージを覆す造りである。日本旅館みたい(笑)でもある。食堂もあって、全児童生徒は一緒に食事を摂るそうだ。とにかく、これら木質建材のすべてを村内で賄ったのだ。建設費は、折からの資材・人件費の高騰受けて、なんと25億円!!!

詳しくは、以下のサイトを参照のこと。

川上村立かわかみ源流学園 建設物語

建設事業の進捗

これだけの建物なのに、あまり内外に知られていないのは惜しい。教育関係や林業関係者もだが、できれば建設関係者に視察してもらいたい。ただし、何も構造がどうだとかデザインがどう、吉野杉は建材としてどう、と言ったことを聞くのではない。
たとえば公共建設物なのに村産材ばかりを使おうとすると、どんな仕組みが必要か。入札を通すと絶対に無理である。さらに敷地の関係から3階建てにするとどうか。保育園やこどもセンター、学童保育まで併設するにはいかなる法的条件と施設の構造的課題をクリアするべきか……などを聞き取ってほしい。また地域の人々を気軽に招ける仕組み。教師の確保や複式学級にしないための施策も重要になる。

ま、案内してもらいながら、そうした苦労話?愚痴?を聞くのも面白かったのだけどね(笑)。

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