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森と林業と田舎の本

2022/06/13

木で覆うだけで耐火建築?木造ビル?

大成建設が、「木材で覆うだけで耐火になる」建築方法を考え出したという。

正確には、準耐火構造らしいのだが、鉄骨を木材で包むと45分間の準耐火性能を発揮するのだという。ちゃんと国土交通大臣認定を国内で初めて取得そう。理屈はものすごく単純。木材は水分を含むので厚い木材で覆うことですぐに燃え尽きずに時間を稼げるとか。これって、今までさんざん木造建築は火事に強いと言い訳?してきた原理そのものだ。

しかも耐火被覆と内装意匠を兼用する木板は、製材、集成材、単板積層材(LVL)、直交集成板(CLT)などを選ばず、さらにスギでもヒノキでもカラマツでも、ようするに樹種による制限もない。施工費は安くなって、施工時間も短くなる。……なんだかいいとこづくめ。

木材のみで耐火被覆する、準耐火構造の鉄骨柱部材を開発

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私が注目したのは、この準耐火構造の建材ではなく、木材をデザインとして使う点である。芯は鉄骨でも、木材で覆うことで目に映るのは木となり、デザイン的に人の感性に刺激する。その上で準耐火だから高層建築も可能になる。

逆に言えば、なぜこれまで行われなかったのか。おそらく木造建築は、芯まで木造にこだわったからではないか。中に鉄骨のような非木材を使うのをよしとしなかったのではないか。しかし「柱は木材」の呪縛から離れると、一気に選択肢が増える。これは、私が以前より提案していた「建築はみんな鉄骨・鉄筋コンクリートでよく、ただ表面を木材で覆うだけで木造になる」……という理論?の後押しにならないかなあ。

木の柱はもういらない? 木材は建築材から撤退しよう

こんな記事も書いていたのだよ。

 

2022/06/11

酒樽から作られた家具

久々に大阪に出て、梅田のバーに入った。ここで待ち合わせをしていたからだが、そのバーの手前にこんなお店が。

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ウイスキー樽の木材を木工品に生まれ変わらせた店だ。お箸やペンのような小物文具から椅子・テーブル、キャビネットまで。オーク樽だから、ミズナラやツクバネカシの類だろうか。細かなところまで手の入った素敵な品だ。むしろ樽の痕跡があまり残っていないところに残念と感じる。思わずウイスキーの香りはしないのか、と鼻に近づけたが、匂いはまるでしない。乾燥させたりする中で飛んでしまったか。お店の人は「みんな嗅ぎます」と笑っていた……。

なかなか面白い商品ではないか、と思わず触手が動いたのだが……価格は目玉が飛び出るほど高かった(笑)。樽丸の再利用というのが、リサイクルだから安くではなく、逆に価値を上げる、いわゆる「アップリサイクル」になったよう。ウイスキー樽というブランド化に役立つのか。

 

2022/06/06

春日杉テーブルのお値段

バッタモン屋、、、というか古道具屋というか、そんな店で見かけた逸品。

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一枚板のテーブルなんだが、その材質は春日杉である。

そう、奈良の春日大社の鎮守の森「春日山原始林」に生えている天然杉だ。本来、出回ることのない材なのだが、ときに風倒木などが処理されたり、あるいは微妙に天然記念物の春日山原始林からはみ出たところに生えているスギが、(民有林なので)伐採されて出されることがある。

このテーブルにしたスギも、おそらく直径1メートル以上の樹齢300年生ぐらいはする木だったろう。

ただ春日杉は、実は材質はあまりよくない(^^;)。虫食いやウロが形成されやすい。節も多い。写真を見てもわかるだろう。テーブルだが、ま、あまり上に物をおけそうにない。
そんな木でも、神様の木だからね。そして、そのお値段が、9万8000円! えっ、と思うが、よく読むと原価は100万円以上したらしい。が、古道具として出されると10分の1ぐらいになるのだね。

それに、こんな和テーブル、今では喜ばれないからなあ。春日杉の御利益を言っても、ほとんどの人に通じないだろうし。

どう? ほしい人、いる?

2022/05/28

南あわじに木製遊具あり

淡路島を走った際、南あわじ市で見かけた公園。人形浄瑠璃で有名なところなんだが、私の目を引いたのは、こっち。

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さして大きくもない公園なのに、巨大木製遊具があった。それもクスノキを取り込んだもので、アスレチック仕様。樹木には負担をかけないように工夫している。思わず登ってしまったが、登るのもロープをつかまり、網をゆらゆら揺らしながら進まねばならない。。なかなか複雑な構造で、オーダーメイドなのだろう。

なかなかやるやん。単なる公園遊具とは違うぞ。近所にあったら、子どもより大人が楽しめそう。全国の公園は、すべからくこうであってほしい。

遊具は身体が触れるものだから、木製はよい。メンテがどうのとか、事故率がどうの、建築費がどうの、なんてことの前に楽しめる遊具という視点を追求してほしい。そして、木材にはこうした遊具需要というのも折り込みたい。

 

 

2022/04/29

日本最大級の木造仏像?

実は東京に来ているのだが、泊まったのは門前仲町。そこで朝早く深川不動尊を参拝した。

なかなか見せる工夫をしているお寺だと思ったが、そこで目に留まったのは木造の仏像(不動尊)である。

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これ、座高で3メートル以上ある。天草の楠木の巨木40本以上の寄せ木造りだとか。

日本最大級と書かれてあったが、正確には奈良長谷寺にも巨大木造がある(高さ10メートル以上)から、何とも言えないが、まあ、デカイことは間違いない。

作られたのは平成に入ってからで、決して古いものではないが、こうした木製品のなかでも仏像は迫力ある。しかも触ってよいそうである。今はコロナのため中止だが。


2022/04/27

頭がフィンランド~幻の立ち枯れ木

このところ頭がフィンランドになっている。

何冊フィンランドの本を読んだことか。もちろん観光案内的なものもあるが、フィンランドの歴史やら文化論やらフィンランドが舞台ぽい小説まで。フィンランドと言えば、サンタクロースやムーミン、最近ではサウナ発祥の地とかで人気だし、ほかにもオーロラやIT大国だとか世界一の教育先進国……いろいろ言われるが、その経済成長は「北欧の日本」と言われたこともあるとか。基本的イメージはやはり「森と湖の国」。その点はスウェーデンと一緒だろう。

そこで、フィンランドの森について登場したのが「立ち枯れ木」という言葉だ。シルバーパインともある。非常に貴重なんだとか。

そんな名のマツがあるのか。最初、意味がわからなかったのだが、検索してみると、意外なことがわかった。

ラップランド地方などの森に立ち枯れているヨーロッパアカマツのことらしいのだが、枯れて200年~400年経っているというのだ。枝葉が落ちても倒れず、石化した状態だという。写真を見ると、まるで蔵王の樹氷みたいな状態で立っている。そしてログハウスなど建築用材として人気で、一部は日本にも輸入されているらしい。サウナ小屋にも使われる……。

おそらく極寒の地で枯れたから、乾燥しきっているのだろう。水分は冬に凍っては夏に蒸散するから、含水率はどこまで下がるのか。だから腐らず狂わずの幻の建材になる。色も灰色がかった風合いがある。「幻の」とはあるが、日本に輸出されてログハウスになるぐらいなんだから、量的にはそこそこあるのだろう。日本なら、たとえば屋久杉の土埋木みたいな感覚の銘木かもしれない。

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これって、木材的にはどんな状態なのだろうか。細胞はどうなっているのか。絶乾状態になっているのだろう。石化とあるが、まさか本当に珪化木のようになっている? 機能的には、木質の部分を残しているのだろうか。日本の湿気のあるところに置かれるとどうなるか。いまさら水分を吸収するとは思えないし。

ただ日本人の銘木イメージからはちょっとかけ離れているかもしれない。樹木と木材の新たな形だ。

頭がフィンランドになって、この立ち枯れ木が実際に立っている森に行ってみたくなった。

 

2022/04/18

仮説/家づくりは安くなった?

ウェブで打ち合わせしている際に、ふと思いついたこと。

住宅は、昔と比べてものすごく安くなったのではないか。安くしたのではないか、という仮説だ。

何をいう、今は断熱だの耐震だの、どんどん家づくりの単価は上がっているはずだ、と思うのが通常なんだが、別の見方をしてみよう。

戦前までは、自前の家を持つ人は極めて少なかった。多くが長屋暮らし。仮に持ち家があっても、かなり小さく安普請だった。自宅に風呂がある家も少なかった。

たまに自前の家をつくろうとする人は、やはりお金持ちである。だから大工に頼んでも完成まで半年、1年かけられる。木材をゆっくり乾かして、大工の手間賃も長く払って、一軒一軒土地に合わせて、施主の希望に合わせて違う構造の家を手間隙と技術で作り上げた。

今は、多くの人が自前の家を欲しがる。しかも、小さくてもキッチンに風呂付き、トイレは水洗、冷暖房もそこそこ備えている設備が求められる。しかも金持ちではないから安く建てなければならない。先に建築してしまう建売住宅も登場した。

そこで工期を短くして大工の手間賃を減らし、材料は安い金属や新建材。工法も合板などのパネルを多用したり、簡単・安くつくれる方法を開発する。大壁工法もその一つだ。すると木材加工もプレカットにしてしまう。ハウスメーカーのように画一的な家を大量に供給することで価格を落とす。木材価格も安く買いたたかないといけない。さらに長屋ならぬマンションのような集合住宅もつくる。

機能は高く、それでいて安い家。ただ画一的で土地の条件に合わせることはしない。一方で大工は収入が減るから、一軒に長く張り付けず年間何棟も建てねばならない。技術もあまり求められない。建材も大量に同じものを生産して薄利多売にする。木材も外材と天秤にかけたりして買い叩く。かくして誰もがあくせくし、儲からない業界になってしまった。

まあ、国民の多くが持ち家を手にできたという功はあるのだが、そのため無理をしたため、きしみが生じているような気がする。

……というのが、仮説。ちゃんと家を建てる人の収入を今と昔で比べるとか、当時の工事単価とかを調べないと、仮説の実証にはならないし、そこそこ正しい面もあるのかも確認できない。誰かやってくれ(笑)。

でも、みんな喜ばせた結果として、多くの産業が苦しくなってしまった……という可能性もあるかもしれない。どうだろうか。

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2022/04/10

奈良公園のコロナ対策の衝立

最近、ちょくちょくと奈良公園周辺に出かけるのだが、奈良すごいぜ、と思うことが増えた。

観光地なのだ。

というと、呆れられるか。奈良は(コロナ禍前は)年間1000万人以上が来訪した日本屈指の観光地である。が、現実には20年ぐらい前は全然観光地ぽくなかった。東大寺だ興福寺だ、その間の奈良公園にはシカがいるよ、といった観光地ではあったが、日常的な町はまったく観光客を寄せつけないというか、寄ってくれないというか。。。駅前の商店街だって、フツーの店ばかり。観光エリア(というよりピンポイントの観光地)と市民エリアがくっきり分かれているようだった。

ところが最近は、すっかり垢抜けしてきた。それも私的にはよい方に。たとえば午後8時を過ぎたら開いている飲食店がないと馬鹿にされがちだが、それは本気で町を歩いていない証拠。よくよく路地まで歩くと、結構店がある。世間がマン防だとかで店が閉まっていた時期でも奈良はしっかり開いていた。だってマン防も緊急事態も発令していないから。(だから大阪からわざわざ奈良まで飲みに来る客が少なくなかった。)

そしておしゃれな店が増えた。昭和の喫茶店しかないのか、と思わせた平成時代だが、令和になって隠れカフェ的な店がそこかしこに見つかる。それこそ、こんな路地まで観光客来ないでしょ!と思わせるところに店がある。飲食店だけでなく、工房あり、ゲストハウスあり。団体客は入りづらいだろうが、一人二人の旅にはむしろ心地よさそう。むしろ、どこにどんな店があるか、と探す楽しみがある。安く長期滞在できるし、町家の風情も味わえる。

おそらく町を歩いて自分で面白スポットを探したいような通の旅人に、奈良は絶対楽しめる。

……と奈良の旅をオススメしたところだが、そんな中で見かけたもの。

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奈良公園の中に野外にテーブルが並んでいて、好きに座ってゆったりできる。春先のサクラの花の季節にはなかなかよい。

が、そのテーブルの真ん中にあるのは……衝立。やはりコロナ対策に向かい合って座った人に飛沫を飛ばさないようにしているのであった。野外で……。なんか無意味だなあ、と思ったのだが、その衝立が杉板であった。アクリル版でないところが好感。こんなところに一工夫?

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聖武天皇陵近く、ほとんど人影のない、そこに道があるとも気づかないような路地にも店があった。

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「自由に落書きしてください」というビル。こうした感性が育っている。

2022/04/03

バイオマス白書2022が公開

今年も「バイオマス白書2022サイト版」が公開された。バイオマス発電の現況を知るには、貴重な情報源である。

しかし、脱炭素を唱えながらウクライナ戦争もあって石油・天然ガス危機が叫ばれ、またバイオマス発電にも目が向くというのは、どうも釈然としない。

ざっと目を通してみると、昨年稼働を始めたバイオマス発電所は14ある模様だが、40~50キロワット級の温泉施設やイチゴのハウス栽培と結びつけた施設もある一方で、福岡県の刈田バイオマスエナジーの7万4950キロワット、沖縄県うるま市の中城バイオマス発電所なと4万9000キロワット級のようなバカでかいところもある。2極分化しているようだ。結局、燃料はデカくなれば輸入しかないのだけど。

そして輸入燃料のなかでも、パーム油発電は伸びなくなっている。これは反対運動があったからではなく、単に価格が高騰したからだろう。ただ価格の不安定さが露呈したから、今後諦めるのではないか。

ちょっと面白く感じたトピックは、世界3大木質ペレット製造企業は、全て欧米の大手金融・投資会社が所有し、また、消費量第1位(英国の発電企業)と2位のオランダ・ドイツの発電企業)の企業も国際的な機関投資家がほとんどの株式を所有している。

という点だ。木質ペレットは儲かるのだ。もっとも、それはFITや補助金のおかげであり、税金搾取みたいなものだが。

もう一つ、セルロースナノファイバーもコラムで取り上げている。

ここでは、あまり広がっていない事情を説明しながら、それは高価すぎるかからで、もっと大量生産されれば安くなって使用も増える……という、なんというか好意的な見方をしている。が、私はまったく評価していないのだけどねえ。

何もセルロースナノファイバーが悪いというのではない。多少の用途では利点はあるだろう。しかし、それが木材消費を増やしたり、ましてや木材価格を上げる効果は微塵も感じない。あってもナノレベルだ。また利点も、他の方法もあるのでセルロースナノファイバーしかない特徴でもない。

ちょうど欧米にあるフラウンフォーファー研究機構の木材研究所で、サトウキビの搾りかす(バガス)とマツのおが屑からセルロースナノファイバーを製造しバイオプラスチックなどに使用する方法を開発したというニュースがあったが、ようは木材から作らなくてもよいし、高く買い取る必要もないのだ。その点は、バイオマス発電燃料と一緒かな。

とまあ、こうした白書資料を読んでいると、いろいろ頭の中で考える。脳トレみたいなもんだ(笑)。今、森歩きはビジネスにどんな影響を与えるかという命題を抱えているのだが、ネットサーフィンでも同じことができる。いや、ネットの森を歩く効果も考えてみようかな、と思った次第。

 

2022/03/27

集成材に化粧フリッチを張る方法

車から、こんなものが出てきた。以前、積み込んで降ろすのを忘れていたのだ。長さは1メードルほど、厚さは1ミリぐらいかな。

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よいこの皆さん(^^;)はわかるだろう。化粧張り用の吉野檜のフリッチである。この薄い板を張れば、中の材の見映えがいくら悪くても関係なくなる。見事な吉野の銘木に化けるわけだ。先日、吉野を訪問した際に、工場を見学させていただいた。

最近は建築が大壁工法となって、柱などが見えなくなったので、化粧張りも流行らなくなった(同時に銘木そのものが流行らない)が、私は、もっと化粧張り技術を応用して現代流の銘木商品を作れないかと思っている。何しろ木材は見た目が9割だ。化粧張りはそれを達成してくれる。同じようなものにツキ板があるが、その厚さは0・2ミリぐらいだから、それよりフリッチは厚くて木質感も増す。部位によって使い分けられるはずだ。

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ただ不思議なのは、角材の四面にそれぞれ別のフリッチを張るはずなのに、いくら目で見ても木目がつながっていて無垢と区別がつかないことだ。これは私のような素人だけでなく、木材を扱うプロでも、かなりの割合で見抜けないはず。断面を見て、初めて集成材かとわかる。

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どうやって木目をつなげているのだろう……というのが昔からの疑問だった。それで尋ねたのだが……。

「目で見て、木目が合うフリッチを選んでいます」。

あああ、そうだったのか。決して、機械で判別するとか、あるいは機械で木目をつなげるわけではなかった。こんなところにも職人の技量が使われていたのだ。以前書いた植物工場で自動生産していると思われるカイワレも、実は人の飽くなき観察と調整の技量が左右していた。

カイワレの作り方・「やりがい搾取」の農業論

化粧張りも一緒だったのか。これには人間の技量のすごさと同時に危うさも感じる。その技量に見合う利益を得られているのか、そして後継者が育つのか。

早く化粧張り技術を活かして高く売れる商品を開発しないとマズい。それも単品ではなく、全体のグレードを上げることになればよいのだが。(たとえば柱のような1本の商品ではなく、建築物そのもの価値を上げて利益を高める。)いっそCLTのパネル一面に化粧張りをして、そのまま壁にできないか。そうしたら内装もいらなくなる。構造材のCLTをそのまま内装になれば、単品の価格は上げても、建築側は手間が省ける分安くできる。化粧張りも、紋様を入れるとか木目の色合いを利用してデザインになるようにする……とか。

とにかく見える用途を考えるべきだろう。

さて、お土産にもらったフリッチは何に利用しようかな。

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