先日のNHKスペシャルでは、「「ヒューマンエイジ 人間の時代 出地球」として宇宙(とくに火星)への移住を扱っていた。
イーロン・マスクなどは2050年だったかに火星に100万人都市を築くなんてぶち上げている。下記の想像図にある宇宙の建築群のように。

これ、以前から私が考えていたというか疑問を持っていたことがある。
火星に人が行くことをどうこういうわけではない。調査基地を設けることぐらいならできるだろう。が、都市をつくって移住となると……。
そこで質問。その都市をつくる建設資材はどこから得るのだ?地球から全部運ぶのか?人一人送るのにおそるべきエネルギーとコストがかかるのに、何万トンもの鉄材を?それとも木材を宇宙に打ち上げて、何カ月もかけて宇宙船で運ぶ?
火星に木はないよ。石油もないから合成樹脂も使えない。鉄だって怪しい。鉄分子はあるだろうが、鉄鉱石はないからだ。鉄鉱石は水が鉄分子を凝集することで生まれる。火星にあるのか……もしかしたら数億年前の水が作り出しているかもしれないが……。
識者には、隕鉄を含んだ小惑星を見つけて火星まで運ぶ、あるいは宇宙空間で精錬するという構想があるが。ならば精錬所、製鉄所はどこにつくる? 何でつくる? こちらも重いよ。月につくって打ち出すか。
とまあ、考えていくと、宇宙に人類が(大量に)住めるほどの建材の調達は非現実的なのだ。
そこで、考えられているのが、菌類がつくる菌糸で建材をつくる方法。なるほど、菌糸から布はつくれる。それを重ねていけば強度を保てる建材になるかもしれない。菌類なら炭素と酸素などがあれば成長できるだろう。……で、その炭素と酸素は?人類が呼吸する以上に膨大な酸素を消費しそうだ。
いっそのこと、宇宙に森をつくろう! その方が本物の木材が得られる。
そこで思い出したのが、「サイレント・ランニング」。1972年作のアメリカ映画で、かなりマニアックながら、優れたSF映画だ。特撮はちゃっちいが、それは仕方ない。むしろ愛着のわく描き方であった。

地球では植物が絶滅し、わずかな標本が「植物保存計画」によって、土星軌道の3隻の貨物船に接続された温室ドームで生き延びていた……という設定だ。まさに宇宙に森をつくっていたのだ。
映画では、地球政府から計画を中止してドームごと植物を核爆弾で破壊し帰還せよ、という指令が届く。一人反対した植物学者が、このドーム内の植物を守ろうとして……と展開する。が、何より森を作り出しているところに、私は興奮した。
実は、先日の奈良女子大学のシンポジウム「木と人の共生 過去から未来へ」では(私は古代からの日本林業史を語った)、「宇宙で木材は使えるか」というテーマもあり、そこで木造人工衛星が語られた(村田功二京都大学大学院教授)。その延長で、宇宙に森をつくることも触れられたのである。
たとえば火星に森ができたら、そこで木材の調達も可能になる、かもしれない。もちろん食料だって得られる。
「森の国・木の街づくり」なんて小さなことを言っていないで、「宇宙の森、火星の木造建築」づくりを夢見ようよ。
木造衛星
木材を宇宙空間で使えるようにするのは大変らしいが、植物を育てることはもっと大変(^_^) 。空気だけでなく紫外線や宇宙放射線もある。でも、地球環境問題を考える際の切り口になりそうな気がする。
実は人工衛星の木造化には、別の意図があった。アルミニウムなど金属製衛星は大気圏に突入すると、エアロゾルとなって汚染してしまうのだ。オゾン層に影響を与え気候変動に引き起こしかねなかった。逆に太陽光を反射して、地球の寒冷化を招く可能性もある。
すでに現在でも何千トンかのアルミニウムが大気中に拡散している中、喫緊の課題だったのだ。そこで木製の衛星を考えるようになったのだ。
いずれにしろ、宇宙移住計画には森と木が欠かせないと思うよ。
最近のコメント