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森と林業と田舎の本

2020/07/04

CLTのデメリットを主張しているのは……?

ふと見つけた、こんな記事。

これからの工法・CLT工法 メリットとデメリットは? (前)(中)(後)

ほう、CLTのデメリットを指摘する記事があるのか、というのが私の最初の感想。CLTの記事は、最近になって増えているが、多くは「将来有望な工法、建材」という切り口で、なかなかデメリットを指摘していない。でも実際に売れていないのだから、どこかに問題があると思わないといけないだろう。それを指摘してほしい、私も知りたい、と常日頃から思っていた。

それで読み出したのだが……まず(前)は、CLTそのものの紹介とメリット部分。「日本の林業を振興する」とか「地球温暖化対策の二酸化炭素削減に寄与する」などが並べられ、さらに工期が短い、デザインが変わる、断熱性が高い……などの建材と建築上のメリットが指摘されている。

うん、すでによく出される点だ。では、課題は?と惹きつける。

そこで(中)。

4階建以上になると一般的には耐火建築物で、構造部は1~3時間の耐火性能になるため、「石膏ボードなどを貼る必要がある」(日本CLT協会)

燃え移りを防ぐためCLTパネルにサイディングなどが必要となり、せっかくの木目が見えなくなってしまう。

CLTパネル工法はRC造やS造に比べて、材料コストがまだ高いことが課題

CLTパネルは新しい材料で、接合工法など建て方がまだ確立されていない。データが少なく、安全性などを現場で確認しながら建てる必要がある

CLTパネル工法は経験のある建築士や施工会社がまだ少ない。さらに木造建築は、高度な構造設計ができる技術者が不足していることも課題

RC造や木造軸組工法と比べてアンカーボルトを設置する際の精度の確保が難しく、技術が必要

こんな項目が並ぶ。なるほど、正直知っていることだけど、デメリットを指摘している点はよしとしよう。まあ、研究途上の工法であるのは間違いない。が、それに対する反論的に「補助金が充実しているから、コストは抑えられる」とか記されているのにはムカッ。税金使うのを前提にするなよ。ずっと出し続ける気かよ。

そして、いよいよ(後)だ。ここでしっかりCLTの根本問題を指摘しているか。

(後)を開いて思わず笑った。だって、森林ジャーナリスト田中淳夫氏に聞く CLT工法に課題「業界超えた情報交換を」

ようやく思い出した。少し前に電話で取材を受けたのだった。それが公開されていたのね。
CLTの問題点を、というのでたっぷり話したが、それだけでは全否定になりかねないので、先方は困っている様子だった。それを、なんとかこんな形で(先にメリットを記して)掲載したのね。最後に無理やりひねり出した、CLTを林業振興につなげる方法だって、別にCLTだけのことではない。木材全般の問題だ。

まあ、記事の基本姿勢はCLTを推進したがっているのはわかったので期待はしていなかったが、私のコメントは圧縮して記事をつくったよう。こうなるのも仕方ないだろう。

ちなみに私の立場とコメントを、ここで改めて触れておこう。
CLTは建材としては、そこそこ魅力的。だから建築業界では興味を引くかもしれない。しかし、CLTが日本の林業を振興することは有り得ないし、むしろ木材価格を引き下げる可能性が高い。さらに国産材CLTがつくられることも少なく、超厚物合板マス・ティンバーのようにCLTのライバルとなる新しい建材も次々と登場している。日本で十分に普及するように思えない。数ある建材の一つとして部分的に使われるのが関の山ではないか。

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CLTによる建築風景

 

 

 

 

 

 

2020/07/03

登山路の斜めの横木

金剛山に登ってきた。奈良との県境にあり、非常に登山客の多い山で有名なのだが、実は奈良県側から登る人はそんなに多くない。

山そのものは大半が奈良県側に入り、頂上(葛木山)など幾つかの三角点や由緒ある葛木神社、転法輪寺なども奈良県御所市域にあるのだが、なぜか大阪府民の山のように扱われ、登山も大阪側から登るルートが数多い。大阪側からロープウェイで登れるうえ、府立公園があるからだろうか。

私は奈良県側の天ヶ滝新道を登った。尾根筋をたどるルートだが、そこで見かけたのがこちら。

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わりと急な道だったが、なぜ丸太がこんなに斜めに置かれているのか。別にずれたわけではなさそう。むしろ、きっちり固定されている。
もしかして、水はけを考えたのか?真横に並べると、水が上手くはけずに道が抉れてしまうから。しかしこのような配置に効果があるか? 林道でも水を路面から掃くための斜めのゴム板が設置されていることがあるが。。。

ちなみに、このような設置の仕方は、ここだけであった。

なお、麓から尾根まで、ほぼ全域が人工林であった。これも人気のない理由かも。

 

2020/06/21

スポルティッドなギター

先日見た「美の壺」で取り上げた「ギター」。

美術品としてギターを見ると、その魅力のほとんどが使用する木材に左右されることがわかってくるのだが、こんなのも登場した。

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全面が杢の出た板。スポルティドメイプルなんだそうだ。て、そんな樹木は知らないから調べてみた。すると樹種ではなく、スポルテッドとは樹木が傷ついた際に雨水等とともに侵入した菌やカビによって出来た帯状の黒い筋のことらしい。とくにメイプルは多いとか。樹液を採取するために傷つけることが多いからだろうか。ある意味、病気?奇形?なのだが、ギターのトップには人気なんだそう。

たしかに杢としては面白い。ただ、菌に侵されて変質したわけだから、木材としては強度が落ちるし、そもそもひび割れがあったわけで、音としてはどうなんだろう。それがより面白い音になるのかもしれないが、正統派楽器ではないように思う。いや、二次的な木目の模様なのだから、本来の杢でさえないのかもしれない。

そういや、先日訪れた岩手の小友木材店で見かけた杢の板。

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これは何の木かな。この板からギターはつくれるだろうか。社長とこちらのカメラマンは、ギターの話で盛り上がっていたが(笑)。

2020/06/11

春日杉のお値段

ふらりと寄ったディスカウント店。ここには中古やバッタもんの品が格安で並べられているのだが、こんなものを発見した。

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春日杉の一枚板。書かれているところをアップしてみようか。

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春日杉とは、奈良の春日大社の境内か春日山に生えている杉のこと、とある。それに間違いないが、実は意味かかなり違う。春日大社の境内にある春日杉は、たまに枯れたり倒木、あるいは工事の支障木として出るだけで、基本的に世間に流通しない。

だが春日山は、原始林とか天然記念物指定とかはされているが、一部に民有林もある。そこに生える春日杉は、たまに出荷される。ここに出展されているのは、どちらかと言えば……。

ただ春日杉自体は、単にスギではなく、その中でも直径1メートルを越えるような大木を主にそう呼ぶ。樹齢にして数百年は経っているだろう。もっとも、中腐れしやすいので、なかなか幅広の板にはならないのだが、これは1メートルを優に越える大木だったのだろう。

そして、お値段。ここには、購入時100万円以上した品で、それが流れて、なんと9万8000円(^o^)。安い! と喜んでいいのかどうか。給付金10万円入ったら、買えますぜ(⌒ー⌒)。
木目は細かいが、傷もあるし完璧と私には思えないが、春日の神様の木という価値もあるのだろう。

それに、今どき、この木を何にするかねえ。テーブルの天板というのも、イマイチだからデザイン的に似合う使い道に困りそう。売れるかな。

2020/06/10

木材の表面に光の文字が浮かぶ?

今朝から、パソコンが上手く動かない。動きが鈍く、何度もフリーズする。何かウイルスでも入ったのかのかと疑う。

おかげで東北取材の原稿が書けない。時間がないというのに……。で、この時間に改めて立ち上げたのだが、その最初に原稿ではなく、ブログを書くというのはどんなもんか(´Д`)。イヤな性だね。

 

「mui lab」という会社を知っているだろうか。京都のベンチャーなのだが、不思議なmuiと名付けられたインターフェイスを発明している。パソコンの周辺機器として、入力や出力を行う部分だ。

この写真は会社のHPから拝借したものだが、単なる木片に、文字が浮かびディスプレーとして使えるのだ。それもタッチパネルのように。

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木材に似せたディスプレー、ではない。本物の木材を用いている。ただ、指で触れるとタッチパネルのようにLEDディスプレーが現れ、文字や線画が現れるのだ。家電の一挙操作から、天気予報、テキスト/音声メッセージの送受信までこなせるそうだ。そして操作後はディスプレイが自然に消えて一枚の木の状態に戻るという。

その原理は、説明していない。なんでも、タッチスクリーンとLEDが内蔵されていると記されているというのだが、まったくわからん。どんな仕掛けがあるのか。それを記さないのは、特許の関係かね。しかし、読者のもやもや感はよろしくないぞ。もう少し説明したらどうか。
タッチするということは、その振動、圧力、熱……などが伝わらねばならないから、たとえば0,1ミリぐらいの薄い木の膜の下に埋め込んであるのか。木材の表面を電気的に変化させるのは無理だろうし。ちょっと実物を目にしてみたい。

ただ、別に木材でなくてもよいらしい。素材は、人工大理石やハーフミラーガラス、ファブリックなども候補だったという。ただ実験的に各種を制作して、展示会の来場者の感想を聞くと、圧倒的に人気が高かったのは木だったという。「冷たいイメージのあるテクノロジーに、柔らかさや温もりのような要素を入れることで、自然な関係性を生み出せる」わけだ。

そこで木材によるインターフェイスを採用したものの、天然の木は品質や表面の状態にばらつきがあり、湿度によって収縮するし、耐熱性や耐火性においても都合のよい素材ではない。

そこでヒダクマこと「飛騨の森でクマは踊る」社に行き、メンバー全員で合宿をしたという。そして林業関係者や家具職人、木育活動をする人にヒアリングや意見交換を行い、木材という素材の性質やデザインコンセプトを検討した。
そして「人が木に魅力や価値を感じるのは、第一に見た目に温もりのある質感、次に触感だとわかり、インテリアの中での佇まいや手で触れて情報にアクセスするmuiの機能が最大限に生きる素材だと確信できました」。


まあ、私には技術的な理論が全然わからないのだが、ようは木材にはそんな魅力があることを再確認したわけだ。そして木材をこんな形に利用することもできる可能性を示してくれた。木材業界も、ぼやぼやしていられない。それに私は、ヒダクマの仕事がいまいちわからなかったのだが、こうした役割を果たしていることを知ったのである(^o^)。

ちなみに製品名の「mui」とは、「無為」から取ったとか。muiは、年内販売を予定しているとか。

2020/06/06

つまようじ屋の「非接触棒」?

国産の爪楊枝をつくっている数少ない会社、大阪・河内長野市の菊水産業が、「非接触棒」なるものを作ったという。

これは……苦笑を通り越して、あっぱれ!と声援を送りたい。

コロナ禍の中、公共の場で誰が触ったかわからないものに触れるのがイヤ、という人のために登場だ。具体的には、エレベーターの階数ボタンとか、キャッシュディスペンサー、クレジットカードのの入力ボタン……などを押すときだ。

たしかにCOVID-19がもっとも流行っていたとき、中国では爪楊枝でエレベーターのボタンを押している映像があったが……これを商品化してしまうか。なんたって国産シラカバ材でつくったもの。

まあ、これからどれほど売れるか私には読めないが、とりあえずマジに商品化した腰の軽さが素晴らしい。林業界でもっとも欠けている点だろう(笑)。爪楊枝屋を見習うがよい。

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もう一つ、この記事で気にかかったのは、材料が国産シラカバ材であること。

私は『割り箸はもったいない?』を執筆する際に、国産割り箸だけでなく爪楊枝の取材もした。国産シラカバから作るものとして共通点があるからだ。結果的には、爪楊枝の部分を記事にするのは断念したというか、書いたけど削除したのである。

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シラカバ材による爪楊枝製造行程の一部。

私が取材に行った会社は、「爪楊枝資料館」まで立ち上げていて、見学を申し出ると社長自ら付きっ切りで案内・説明をしてくれるのである。面白かったから、原稿から削除したのは断腸の思い。

シラカバ材、日本では使い道のない扱いで、せいぜい割り箸に爪楊枝なんだが、欧米ではよいシラカバ材は木工材料や家具材料として人気だ。
それにチェンソーアートの素材にもなる。私が北海道で見たときは、チェンソーで削ると、水しぶきが飛んだ。

木質が柔らかくてきめ細かいので、削 りやすく繊細な造りができるからだ。

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こうした商品、スキマのスキマにある。しかし生長は早いから早生樹とも言えるし、もっと利用法を開発したらどうだろう。

 

 

 

2020/04/13

ブラタモ「法隆寺」編で考える木材の出所

先週の土曜日にNHK『ブラタモリ』で「法隆寺」を取り上げていた。テーマは、“なぜ法隆寺は1400年愛され続けるのか”であった。見た人も多いかと思う。

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私も法隆寺前はしょっちゅう通っている。実は先日も車で参道前を走ったのだが……幾度か中に入ったものの、最後は何年前かなあ。数十年経っているような気も家するが……(^^;)。

番組では法隆寺は世界最古の木造建築であることを強調しつつ、一度建て直されている(それでも1300年の建築である)ことや、創建直後から不具合で出て軒が落ちてきたので支柱を入れていること、柱も含めてかなり修理で部品を入れ換えているなどの説明があった。その点は満足なのだが……。やはり触れられなかったのは、「法隆寺を建てた木材はどこから来たの?」である。

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私にとっては、それが最大の知りたいことなのだが、ようは謎のまま、誰にもわからないということだろう。法隆寺および法隆寺を形作る木材についての本はたくさん出ているが、肝心の出所はほとんど触れられていないのである。
なにしろ五重塔の心柱は、直径2・5メートル以上のヒノキを四つ割して使われている。すべて芯去り材というわけだ。しかし直径2・5メートルのヒノキが生えていたのはどこだ?そして、どうやって輸送したのか。

私なりに考えると、普通木材は川を流して運ぶだろう。それは昭和初期まで続いた木材運搬法だ。しかし法隆寺の近くの川は大和川。ここの上流は飛鳥であり、すでに飛鳥時代の多くの都の建築物が建てられてきた。つまり木材は枯渇していたと思われる。天武天皇が禁伐令を出すほどである。

なお平城京を造営する時は近江の国から伐りだして琵琶湖と瀬田川を下って途中から木津川を遡り、最後は奈良坂の峠を人力で越えたらしい。しかし平城京と斑鳩はまったく別の地域で河川もつながっていない。

それに聖徳太子の時代には、いくつもの巨大寺院の建築が行われており(20くらいはある)木材の奪い合いがあったのではないか。かといって、ほかの地方から伐りだし大阪湾経由で大和川の下流から運ぶのは当時の技術では難しそう。
となると可能性のあるのは、大和川の南北河畔に接する生駒山と金剛山辺りぐらい。大和川に近いから、なんとか人力でも運べただろうか。距離的に近いのは生駒山だけど……山の深さは金剛山か。

Dsc04427_20200413212901 位置関係

ちなみに法隆寺と同じく聖徳太子が建てた難波の四天王寺を建てた大工集団は、百済から招いた金剛重光率いる金剛組である。彼らが法隆寺建設に関わったかどうかはわからない(建設年は四天王寺が578年、法隆寺は607年なので辻褄は合う)が可能性は残る。そして別に名前が同じだから金剛山の木を使ったという推定も怪しいが。
なお金剛組はその後も続き、現在の株式会社金剛組につながっている。1400年続く世界最古の建設会社である。こちらの方が価値があるんじゃね? 宮大工集団として知られるが、2000年初頭に倒産しかけて、今は高松建設の傘下だったかな。

それにしても、金剛山あるいは生駒山に巨木林があったという痕跡を見つけることはできないものか。我が家の裏山に直径2メートル級の巨木が林立していた時代を想像するのは楽しい。


あと、気になったのは、法隆寺を遠見に見るシーンに写る電柱と電線。あれはなんとかしてほしい。歴史的美観地区としては恥ずかしい。

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2020/03/31

「首里城復元」のための木材は国産ヒノキに?

昨年10月に火事で焼けてしまった沖縄・首里城正殿。その復元工する工程表が決まった、と発表されている。

新聞記事には、2026年までに復元するという点が強調されていたが、気になる使用する木材をいかに調達するのか触れていない。そこで調べてみると、ようやくわかってきた。

まず正殿の柱に必要な大径木材は、約150本。それをどこから調達するか。前回のようにタイワンヒノキはもう使えないぞ、というわけで、有識者会議なども開かれたようだ。私もYahoo!ニュースに「首里城復元に使うべきはスギだ……」という記事を書いた。

私の場合の論点は、極めて簡単。過去の首里城はスギで建てていたと思われるからである。ただし日本のスギと中国のスギ(コウヨウザン)の両方が有り得る。それなのに前回の復元ではタイワンヒノキを使った。そもそも、ここから間違っているのではないか。復元なら、なるべく以前の首里城と一緒の材料を使うべきだし、それが無理でも国産材にすべきだろう。となると、やっぱり国産のスギだ。

これは、私に言わせれば歪んだヒノキ信仰である。立派な(聖なる)建築物はヒノキがイチバン、という発想から来るのだろう。そしてヒノキなら国産でなくてもタイワンヒノキでもよいとなる。ときにカナダヒノキも使う例もある。
だが、ここがおかしい。日本のヒノキと台湾、さらにカナダのヒノキは基本的に別種である。見た目も違う。ヒノキという言葉で一括りすることが間違っている。

資源として比較的豊富にあるのはスギだし、何より国産。あるいは集成材なら現代の木材加工技術、建築技術を示す意義もあったはずだ。その時代に合わせて材料を選ぶのが自然である。それなのにスギはヒノキより劣っている、集成材なんかまがい物、という木材に対する「差別意識」があるように思えてならない。スギは曲げ強度や剪断強度はヒノキより劣るが、それは寸法を太くすればカバーできる。圧縮強度はたいして変わらず、柱にしても問題ない。さらに一般の建築物には集成材は大はやりだし、国も集成材の一種であるCLTを推進している。それなのに、なぜ使わない?
ちなみに戦前までヒノキ材とスギ材の価格がほぼ同じだった。つまり適材適所であり、本来は上下意識はなかった。ヒノキの方が高くなったのは戦後である。

 

今回の工程表では、国産ヒノキをメインとし、沖縄在来種のチャーギ(イヌマキ)なども、調達できれば可能な限り使用する……という方針だそうだ。それなら(タイワンヒノキ製だった)前回の首里城とも違うものになるだろう。

では、どこから国産ヒノキを調達するのか。「日本中の専門業者らで保管しているヒノキを調べたら、めどが付いた」(林野庁)そうである。

実は私も思っていた。探せばあるだろうな、と(笑)。

すでにその点もYahoo!ニュースに「廃業時代に失われる?日本の森が生み出した宝の行方」に書いたように、各地の材木店がひっそり在庫している大径ヒノキ材が結構あるとは聞いていたし、さらに山にも伐らずに残しているヒノキの巨木がそこかしこにある。山主が「この1本だけは」と残しているものがわりとあるのだ。でも、材木店の分はともかく、山のそれに手を付けてほしくなかったのに。

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写真の自動車と木材の寸法を比べてもらえばわかるが、こんなヒノキ大径木材を眠らせている倉庫は結構ある。

この調子でイヌマキも確保するのだろうか。個人の庭や自然公園などに生えているイヌマキを探せばあるかもしれないが……。 

それにしても、林野庁は森林や山主の立場ではなく、建築材を提供することに熱心だな、と改めて思う。仮に文化庁が「ぜひ!伐らせてほしい」と欲しがる木があっても、林野庁が「それは森林生態系にとって貴重な木なのです」と反対してほしかった。
せっかくだから、通常価格より高く買い取るべきだ。それがせめてもの林業界への貢献だろう。山主への還元を増やすことが、林業継続意欲にもなる。間違っても「首里城に使うから協力を」と値切るではないぞ。

2020/03/21

巨木アートの美術館へ

軒並み、美術館が閉館している中で、新たな美術館がオープンした。さっそく行こうと思うが、問題は場所だ。一応奈良市内なのだが、中心部から車で走ること訳30分。それも山道だ。うねうね曲がる山道を走りつつ峠を越えて、なんだか谷間の隠れ里?(壬申の乱の落人部落とか…)を思わせるような地域に入る。狭山というんだが、歴史は飛鳥時代からあるんだそうで。

ようやくたどり着いたのだが、気合いる。なんと手招きされた。(ちなみに、公共交通を使うかあるいは山越えがいやならJR笠置駅からたどった方がよい。こちらからなら5分くらい。)

着いたよ、ふじい忠一記念館

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ふじい忠一という名は、私も覚えがあった。スギの巨木をぐんにゃり曲げるアート作品で有名だ。奈良県出身だが、全国各地に作品が展示されているし海外でも活躍されたのだという。それが、なぜ落人部落、もとい狭山に記念館を設けることになったかというと、もう年をとり身体も動かなくなったので、手元にある作品をどこかに寄贈したい、と考えていたら、さまざまな縁でつながって狭山にたどりいたのだという。地元もそのために熱心に各地の作品を見て歩き、とうとうNPO法人手力男(たじからお)を立ち上げて、誘致することにした。

そして廃業していた農協の建物を買い取り、米の倉庫を作品ギャラリーにするほか、木工芸家の作品を展示即売するコーナーもつくった。これを地域起こしの拠点にしようという力の入れようだ。

さて、作品を見てみよう。巨木アートが8点並ぶ。ふじい忠一氏の作品が、これほどまとまって見られるところはないのではないか。

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なかなかの迫力。運び込むのが大変だったそう。重いし、設置するのも大仕事だ。
どうやってスギの丸太を曲げたのかは秘密だが、ようはワイヤーで引っ張って時間をかけてつくるらしい。加熱圧縮とか、薬品を浸透させるとか、電子レンジでマイクロ波にかけるとか、製材するとか刻んで集成するのではなく、そのまま形を変える。スギ丸太の新たな使い方を示しているかもしれない。

これらの作品をどう評価するかは、人それぞれだろう。素直に造形に見ほれてもいいし、いかに作り上げたのか製作方法を想像するのも楽しい。ただ……せめて背景となる倉庫の壁はもう少しなんとかならなかったのか(^^;)。倉庫そのものではねえ。

なお向かいの事務所の方は、木のおもちゃのショップ「MOKMOC(モクモック)」があり、家具や木工品の展示販売のほか、木の玩具を使う木育拠点にもなっている。モンベルと関係があるらしい。東京おもちゃ美術館がかかわっているらしい。さらに地元の工芸家のほか、なぜかオークヴィレッジの作品も並んでいた。
さらに4月には、ギャラリー「陀敏知(ダビンチ)」もオープン予定。ここで彫刻や陶芸などの各界のアーティストの展示も行っていくそうだ。不思議な人脈である。

私も、入場料代わりに木の玩具を購入。まだ馴れない地元のおばちゃんが対応。「キャッシュレス対応 2%オフ」とあるが、とても無理そう(^^;)なので、現金で払いました。

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美術作品だけで地域づくりは難しいだろうけど、せっかくの寄贈だ。上手く利用してほしい。
丸太を曲げる過程を見学しませんか、2年かかるけど。なんてイベントやって、毎月どんなけ曲がったか見学会&体験会を開けば、10回ぐらい通ってくれる\(^o^)/。丸太芸術の普及センターに仕立てたいなあ。いっそチェンソーアートの拠点なんてのも考えられる。あるいは彫刻や陶芸の場を提供することで移住者を迎えるとか、できることはいろいろある。

 

ちなみに展示してあったふじい忠一氏のインタビュー記事に目を通すと、なんと一時期は生駒山中に住んでアトリエを構えていたらしい。どこだどこだ、意外と我が家の近くではないのか。知っていたら生駒で出会って製作風景を見たかった。

 

 

 

 

2020/03/19

臭いで感じる橿原神宮の鳥居

台湾ショックのさめやらぬ今日、橿原神宮へお参り。コロナウイルス退散祈願をしてきたが、そこで見かけたのが、この鳥居。

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おや、新しくなっている。さっそく顔をつけて臭いを嗅ぐ(^o^)。

うむ。このバタ臭い臭いはなんだ。ヒノキというよりマツ、いやもっと脂っぽい。それも日本にはない臭さ。以前来たときは、ヒノキチオールの香りがした。つまりタイワンヒノキ製だったのだが。

橿原神宮の創建は明治23年創建だが、その時は急ごしらえであり、その後幾度となく拡張されていく。そして紀元2300年を迎える1940年に向けて大きく改築された。その際に使われたのが、タイワンヒノキである。鳥居のほか、本殿など大きな建物の豪壮な柱などは、ほとんどタイワンヒノキで建てられたと言ってもよい。

だが、約80年経った昨年、ついに傷んできた一の鳥居、二の鳥居を新たに立て直したのだそうだ。

使われたのはカナダヒノキ。なるほど、バタ臭いはずだ(笑)。それでも樹齢1000年ものの大木だそうである。ただ、すべてが腐っていたわけではないので、柱の部分を使って横木(島木)に作り直したそうである。だから、島木は色が違う。台湾とカナダの合作であった\(^o^)/。

外国産木材を使ったというのはちと残念である。カナダだから違法伐採木材ではないと思うが……。明治神宮のように吉野杉でつくろうとは思わなかったか。やはりスギには抵抗あるのかもしれない。しかし、臭いではカナダヒノキよりスギの方が芳しいと思うよ。

なお手洗い所や南門、北門、そして本殿など全般はみなタイワンヒノキの建築が残っているようである。こちらを嗅いで、行けなかった台湾に思いを馳せよう……。

 

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