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森と林業と田舎の本

2024/02/16

「木造疲れ」と腐る建築

日経TECHの記事に「盛り上がる発注者と「木造疲れ」の設計・施工者、広がるギャップなぜ?」があった。

ようするにディベロッパーなと建造発注者は木造建築に期待を膨らませているが、設計・施工側の業者は、木造疲れが見られるとのこと。なぜ?という点は、記事を読んでいただきたいが、意外とあっさりと理由を想定してすませている。いやあ、私はそうじゃないと思うけどなあ。木造は何かと厄介なのだよ(⌒ー⌒)。設計や施工業者からすると、建てたくないのが本音ではないか。

ま、本音を推測することよりも気になっているのは、木造とは何かという根本的な考え方だ。

このところ伝統的建造物を見る機会が増えている。奈良はとくに多いのであるが、そこで現代の木造に関して違和感を持った。

今は、木造建築をめざす勢いの中で、「木造でも建ちますよ」から「木造でも耐久性がある、耐震性、耐火性、耐腐朽性がある」ことを求めているし、それを証明しようとしている。能登半島地震でも、古い木造は壊滅した……なんて指摘をして耐震建築を謳う。

だけどねえ。私は木造建築なんて長持ちしなくていいと思っているのだ。木は腐って、燃えて、価値がある。表面も変化するから木肌に表情が生まれる。明るい木肌が年月をかけて焦げ茶とかシルバーに移り変わるのを楽しめないか……だいたい長持ちしたら、木が売れないんじゃない?

経済とは、ものが入れ代わることで更新していくことで成り立つ。一度作ったものがまったく変化せず、傷まず使い続けられたら、経済は縮小するだろう。

『腐る経済』という本もあった(『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』渡邉格著)が、これは、マルクスの資本論を繙き解きながら、添加物で腐らないようなパンはおかしいというところから、パンは腐るから経済が回ることに気付く。そして自ら「タルマーリー」という店を開いて天然酵母にこだわったパンづくりとビールづくりを進めていく。現在は鳥取県智頭町に店を構える。私も幾度か訪れているが、昨秋にパンとビールを買いました。まあ、タルマーリーは有名だから知る人も多いだろう。この本もベストセラーだ(なぜか韓国で)。

もちろん、木造建築は腐って短寿命でいいというのではない。修繕を繰り返すのだ。腐った部材は交換して行くことで長持ちさせる。火事と地震は困るけど、壊れることを前提に建てる。

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奈良県の宇陀の重伝建の一つで見かけた民家。壁を古いクスリの看板(もともと薬屋だったらしい)で修復している。それが味を出している。

家の前に水路があってよく水が流れているから湿気も高いだろう。木造の土台も腐るのが早いのではないか……と思うのだが、江戸時代から100年200年も建ち続けている。腐ることを前提にした家づくりもアリだと感じた。

まあ地震で倒れて死者を出したら困るという意見ももっともなのだが、耐震構造にしても、一度二度と揺れると、芯の部分で折れるかもしれない。すると倒れはしなかったが、建て直さないと住み続けるのは難しくなる。ならば、簡単に建て直せる構造もあるかもしれない。あるいは構造材は鉄骨・コンクリートで耐久性を持たせて、内装外装を木材で行う考え方もできる。

ちなみに、こちらはタルマーリーの新しいパン工場。

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古民家改造である。

 

2024/02/15

伝統建築物さまざま

本日は、奈良の宇陀を訪れたのだが、その旧市街は重要伝統的建造物群の指定を受けた町並み。

そこで目にした商店。

20240215-112946こちらは和菓子屋。

格子戸に屋根着き看板。

20240215-114035旅館だった建物の二階部分。

この明り取りの障子?に斜めに入った桟がいいね、であった。

ところで、先日は高野山を訪れたことは書いたが、そこで見かけた商店の表構え。

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ちょっと寺っぽい(笑)。

宇陀の松山通りは城下町だったが、高野山は門前町である。そうしたことが店構えにも影響するのかな。

じっくり見ると、新しい発見がいろいろある古民家が多い。

2024/02/09

美の壺で「木桶」

NHKの「美の壺」という番組を知っているだろうか。

4日のEテレ放送分で「木桶」が取り上げられていた。再放送だけどね。

美の壺「木桶」
百年以上、木桶(おけ)を使い続ける老舗銭湯。手業が引き出すぬくもり ▽江戸中期創業の京都の老舗桶店店主が作る伝統の湯桶の技! ▽静岡の木桶仕込みしょうゆの蔵元。百年以上の大桶(おけ)の魅力 ▽大桶職人の緻密なこだわりとは? ▽カフェバーで人気!桶の製法で作ったバーカウンター▽世界から大注目の桶のシャンパンクーラー。桶の概念を覆す新たな形とは?! <File589>

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ちょうど小豆島で開かれる今年の木桶職人プロジェクトがあったばかりだから、それに引っかけた?と思わぬでもない。

伝統的な液体を汲み上げる桶から、醤油、日本酒などを仕込む大桶、そして近年模索されているニューウェーブと、なかなか盛りだくさん。

もちろん社会派番組ではないから触れていないが、職人の問題や、材料となる木の生産=林業の問題などには触れていないが、番組の底辺部分で継承が簡単でないことが描かれている。日本には、こうした技術や美的感覚はあるのに、それを活かさない社会も微妙に浮かび上がる。

これを日本の木の文化というには厳しい。やはり文化としての木の利用は衰退しているのである……。

その再放送がまたある。

2月14日(水) 午前9:30 〜 午前10:00 日、BSにて。

2月10日(土) 午前6:45 〜 午前7:15 BS4Kでも。

NHK+でも見られるのかな。「木桶」ではなくて、「炭」はやっているらしい。おそらく放送が終わったら、ネット配信もするのだろう。わりと森、木材関係の美を取り上げることが多い番組だから、注目である。

 

 

2024/02/06

軽トラ仮設住宅?

富山県氷見市で開かれた「ひみの森づくり塾2023」。(開いたのは24年2月4日でした。)

そこで楽しませていただいたが、その門前に乗り付けられた軽トラがあった。

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軽トラの荷台に設置された小屋。

私はキャンピングカー?と思って覗いたのだが、なんと茶室だった。

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設計したのは、設計工房MandMの丸谷芳正さん。富山大学の名誉教授でもある。

わざわざ会場に運んできて展示しているのだと思っていたら、普段からこの車で移動しているらしい。つまり、日常的に使っているのであった。そのついで?に展示したわけである。ちなみに、この小屋部分はひみ里山杉でつくられている。ひみ里山杉というのは、ボカスギのこと。この需要拡大と、使い方の展示でもあるわけだ。

さて、肝心の小屋の中。お茶を立ててまったりするのもいいが、家具(テーブルだけ)を片づけると、大人二人が寝転がれる広さ。これならキャンピングカーにもなるが、ふと思ったのは仮設住宅にもなるかもしれない(^^;)。まあ、長く住むのではなくても、プライベート空間確保としたらよいではないか。木造ゆえに落ち着く面もある。15センチのスギ材だから断熱性も高くて、金属ボディの車中泊をするよりも、冬の能登半島に耐えられるような気がする。窓は覆わないといけないが。

そういや、今回の震災も含めて災害では、軽トラはいろいろ活躍している。実際に軽トラで運べる仮設住宅ユニットもあるし、仮設・移動店舗としても使える軽トラ……。避難民の足として軽トラを提供する動きもあるよう。狭い悪路でもぐいぐい進める能力は侮り難し。

思えば木造の仮設住宅、そして仮設住宅のストックづくりや(移動させられる)モバイル仮設住宅などの案は、東日本大震災の頃からあった。実際に動き出した計画もある。
だが、いつしか止まってしまう。喉元過ぎたらナントヤラで、徐々にテンションが落ちて実現しない。やっぱり金もかかるからなあ、とみんな諦めるみたいだ。

だから、普段は茶室とかキャンピングカーとして貸し出しておく。小屋部分を取り外して、庭の納屋にするとか畑の農作業小屋にもなる。いや、フツーに軽トラで荷物を運ぶのに使っておいて、いざとなると接収し被災地に送る仕組みでもあればよい。循環型仮設住宅。

我が家も、庭に設置したら入り浸りそうだ。あ、軽トラ買わねば。

2024/01/26

豆腐の値段から思うカジュアルウッド

スーパーで豆腐売り場を見る。

値段の開きがすごい。

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安いのは47円(たまに30円台もある)。次に67円、117円、177円、217円、237円……量の差などわずかだ。原材料も大豆と凝固剤(たいてい塩化マグネシウム、硫酸カルシウムなど)で、ほぼ変わらない。それなのに、なぜ、この値段の差があるのか。

まあ、実際の作り方に違いはいろいろあるのだろうが、価格差が5倍6倍以上というのは、その設定意図には、極めて微妙なのだろう。それが、どこまで味の差になるのか。

私は、あまりの安売りの豆腐は買わない。味がどうのというよりは、それでは作り手が儲からずやる気を失っているような気がするからだ。機械に任せて、やっつけ仕事の豆腐は食べたくないという、まったく非科学的な理由からである。
かといって、あまりの高級豆腐もどうか。たまに地元でないところの専門店で、お土産のように300円、いや500円を超える豆腐を買うことがあるが、いつもではない。非日常感覚を味わうためだ。味は悪くはないが、10倍の価格なら10倍美味しいわけではあるまい。

結局、100円台を選ぶ。カジュアルだけど、買いやすい価格だけど、品質は悪くない線を狙う。

ここで木材価格に目を向ける。ほぼ成分的には同じでも、価格差はもっと開くだろう。

銘木の中には並材の100倍の価格をつける場合もある。もちろん、木材は素材よりは商品になってからの値段だから、どこに使うのか、見映えとデザインにこだわる。インテリアになる場合は、高くても美しいものになる。通常、目にする部分が美しければ(自分の感性に合うならば)、高くても損した気にならない。むしろ癒しを味わえて、心の健康に寄与すると思えば安いのだ。

が、見えないところは強度など実用一点張りで、同時に価格は安いに越したことはない。外材でも国産材でも合板、パーティクルボードでもいい。……しかし、安さを追求すると、アブナイ木材、違法伐採だとか、身割れして強度もない材かもしれない。それに山の人は儲からないだろうなあ、と考えてしまう。おそらく生業を維持できない値段。

……では、視点を山の生産側に移すと、どんな木材を出荷するのが地震の利益と誇りを保てるか。どの線を狙うべきか。
安売り競争に参加すべきではなかろう。安いとひたすら量を売らないと利益は出ない。環境破壊につながり持続性を失う。それでも何も考えず、傷だらけの木材でも騙して売りつけて儲けると割り切るか。心がすさみそうだけど。
かといって、銘木はリスクは大きい。消費者の感性に触れるか触れないかは、博打みたいなもの。だいたい売れる量はしれている。流行から外れたら二束三文だ。

となれば、カジュアルだけど、品質と利益のバランスの合う木材はないか。豆腐なら100円台である、鶏肉なら高級地鶏ではないが、平飼いのニワトリの肉は美味いのではないか……。手頃な価格なら量も期待できるし、利益率も悪くない。カジュアルな高品質木材、カジュアルウッドだ。

とまあ、そこまで豆腐売り場の前で立ち続けて考えた末に、今晩は湯豆腐にしようと思ったのでありました。

 

 

 

 

2024/01/15

能登の真脇遺跡は軸組建築の出発点!

能登半島地震で能登町の国の遺跡「真脇遺跡」の竪穴式住居(復元)が、無事だったというニュースが流れていた。

能登町の国史跡「真脇遺跡」で、竪穴式住居を再現した「縄文小屋」が能登半島地震でも無傷だったことが分かった。小屋は高さ約3・5メートル、幅約5メートル、奥行き6メートルあり、屋根には重さ15キロの石が40個載っている。柱は直径10センチほどの掘っ立てだが、関係者はその強度に驚いている。(北國新聞)

これで、ピンときた。この真脇遺跡、覚えがある。というのは建築の歴史を変えた存在だからだ。

そこで探してみると、本ブログにも書いていた。

林業発祥は縄文時代!?

改めて説明すると、木材で建築物を作る際に、単に縄で結ぶなとするのではなく、仕口をつくる、つまりほぞ穴に差し込む加工を施すのは、これまで中国伝来で、弥生時代くらいからと思われていた。ところが真脇遺跡から出た仕口は3000年前だというのだ。縄文時代である。しかも角材に製材もしている。これは立派な軸組工法による建築である。

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しかも、こんな木による環状木柱列まであるとされる。だから、以前より行きたい思いがあったのだ。

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こちらは加工された角材。(写真は、真脇遺跡縄文館のサイトより。)

まあ、今回の竪穴式住居とは関係ないが、日本の伝統建築の出発点であり、そうした木材加工をしていたとなれば、日本の林業の出発点でもある。そうした歴史的な場所の大地震である。

ここに、ちゃんとした避難所および仮設住宅を建ててほしい。竪穴式とは言わないが、軸組工法でも可能なはずだ。

 

 

2024/01/11

B材は銘木

ホームセンターで見かけた製材。

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この間柱の値段ではなく、真ん中にわざと面を見せるように立てた材を見てほしい。黒芯に近く、大きな節が散らばっている。これを、わざと見せるように置いてあるのが特徴的。これ、木材関係者なら、B材以下扱いだろう。しかし、材を展示した人は、この模様を見てほしいと思ったのではないか。ホームセンターでは、むしろ目玉商品のような扱い。

そのつもりで見ると、なんだか黒芯が模様を描いているように見えてくる(^^;)。これを、どこに使えば引き立つか考えてみたい。

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こんな板材もあった。流れ節のオンパレード。これもおしゃれ?

通常、節は嫌われ、曲がっていたり材に色が走っていたらB級品扱いだ。値段もドンと下がる。だが、それって木材関係者の偏見ではなかろうか。その材の強度が落ちるなどの場合は仕方ないが、そうではなく見映えの問題なら、逆に見せ方次第ということになる。ある意味、口先三寸で「この木材はおしゃれな紋様入りですぜ」と高値をつけてみるのは(^o^)

ちなみに、こういうのはどうだろう。

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これはホームセンターではなく、銘木市。曲がりくねった断面に節だらけ。高値が付いている。
そもそも銘木の中でも変木と呼ぶのは、曲がったり瘤があって妙な木目が走ったりしているもの。一般製材の世界から見ればB材以下である。ただ、見せ方次第でインテリア的価値が生まれる。

最近は、外構材、エクステリア用に節穴材が人気だと聞いた。穴が開いて曲がった材で壁や塀にするのだそう。これも、通常の木材業者なら想定外のことだろうが、逆に言えば、このことに気付けば、B材こそ高く売れる。真っ直ぐなA材は、一般の建築材。曲がって節や木目がヘンなのは意匠材……こうなれば山の木の価値が転換するのだけど。最後はチップにするC材が宝石扱いとか(笑)。

 

 

2023/12/01

古代出雲神殿!

 

島根で訪れたのは、たたら場だけではない。古代出雲歴史博物館も訪問。

ちょうど「伊勢と出雲」展をしている。ヤマト人としては、何かと考えるとであった。

そして。

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やっぱり古代の出雲社殿を見なくては。

こんなのが本当に平安時代にあったらなあ。ただ、この模型はさっぱりしていて綺麗すぎ。もっとリアルな木材加工の様子を再現して欲しかったな。 もっとも本当に見たかったのは、この柱なんだよ。それは、また明日。

2023/11/30

たたら場に来た

昨日から島根県を訪れている。

まずは雲南市吉田。山間の集落かと思わせて、ある路地を曲がると、土蔵群の連なるびっくりの世界が広がっていた。

さらに少し離れた谷に「もののけ姫」の舞台モデルにもなったたたら場があった。

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菅谷のたたら場。この屋根をアシタカも走ったのか……とか(^-^)。

驚いたのは、こけらから柱まで栗材だというのだ。百数十年前には栗が豊富だったのか。

そして天井。梁には土壁が塗られていた。木炭で1000度以上に炉の温度を上げて、砂鉄を溶かす際に燃えないようにだろう。

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こうした木造建築もある。

2023/11/24

平城宮跡のコーンは奈良デザイン?

平城宮跡の公園を歩いてきた。そこでオギ(ススキの仲間)の群落を観察するのが目的だったが、もっと面白いものを発見。今日は、先にそちらから。

で、面白いものとは……コーンだ。三角コーン、カラーコーンと呼ばれる、工事現場などで区切りをつけて「この中に入らないでくださいね」的な印とされるコーン。たいてい赤く染められたプラスチック製の無粋なものなのだが。

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見よ。このコーンを。おそらく竹製。なんとおしゃれな。奈良時代の人がつくっているのか、とか思ってしまった(笑)。手づくり?と思えるほど細かな細工物げある。コーンだけでなく、その上に渡しているバーまでおしゃれ。

いやあ、こういうのを見ると工事現場も楽しくなりますね。ただし、まだ数がないらしく、見つけた設置場所は数カ所に留まる。値段も高いだろうなあ。しかし、仮にも国立公園であり、特別史跡であり、何より世界遺産なのだから、こんなところに気を配るのはよろしい。

また、こんなコーンもあった。

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これはおしゃれというほどではないが、デザインに一味加えている感がある。合わせて奈良デザインとでも呼んでおこう。奈良の町は、意外とこんな小さなブツにこだわりがあるように感じる。東大寺のトイレなど、木製格子戸ですぞ。

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まあ、従来のカラーコーンもあるのだけどね。少しずつ予算をつけて竹製に変えて行ってほしい。施設の格というのは、こんなこだわりから決まるのだから。

 

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