無料ブログはココログ

森と林業と動物の本

2025/05/04

この価格は!『山の富豪の資本主義』

たまたま目に止まった本の案内。これから出る本である。5月15日発行とある。

9784815811938_600

山の富豪の資本主義「資源国」日本の近代  中西 聡著 名古屋大学出版会

なんか、タイトルからそそる(笑)。

で、序章はこんな具合の目次。

序 章 近代日本の林業と鉱業
     はじめに ―― 山の資源利用と近代日本
     1 林業地の形成と展開
     2 近代日本の主要林業家
     3 近代日本の主要鉱業家
     4 主要林業家・主要鉱業家の経営展開事例
     5 本書の構成

土倉家が出てくるかどうかは別として、林業資本が明治以降の日本の近代化に果たした役割という点で気になる。実は、私も明治時代のGDP:GNPと林業の生産額から当時の日本にとっての林業経済力を知ろうとしたことがあったのだが、調べきれなかった。そもそも統計として当時の国内総生産額が出ているのかどうかもわからない。林業も農業と一緒になって8割を超えていた、という数字は見つけたのだが。

ただ、この本の目次を追うと、その後は鉱山や汽船、ガス、水力発電などの事業も取り上げている。森林経営だけに絞った財産ではなく、山からの資産を広く経済界の事業に広げた例を取り上げているらしい。全国の林業資本家の中では、吉野では永田家が取り上げられている模様。最近、永田文書が注目されているからね。

もしかしたら永年の私の疑問というか、林業が日本経済に果たした役割を読み解けるのではないか。

ぜひ資料としてほしい本……と思って予約しようかとクリックしかけたのだが、価格を見ると…… (@_@)

こ、これは、なんということでしょう。いやはや(泣)。

内容を確認しないと決断できないよ。。。。。と、そっと手をマウスから離す(笑)。

 

2025/04/03

世界最大の無印良品と橿原書店

吉野の黒滝村に行ったのだが、そこで「橿原書店に『山林王』がいっぱい並んでいる!」と教えてもらった。

それは行かねばなりませぬ。そこで帰りに寄り道した。

橿原書店とは、イオンモール橿原に隣接したウェストヴィレッジにできた“世界最大の無印良品”店の中にある書店コーナー。

20250401_163736

この通りの巨大店舗だ。中も広いのは当たり前だが、ちょっと変わった配置になっていて、木育コーナーもある。

20250401_163955

橿原書店は、意外と狭かったが、品揃えが面白い。かなりマニアックもとい(^^;)セレクトした本が並ぶ。若干刊行年は古いが、こんな本が出版されていたの?と思わせるものもあるし、漫画本もこだわった選書。これ、感性が合えば楽しめるだろうなあ。とくに図鑑類や、木に関する本、家具、さらに椅子に特化したコーナーまである。

さらに書店の区切りを超えて、店内各所にブースが設けられているなど、本を無印の品揃えの一つと捉えているようだ。

そして、私が探していたのは……。

20250401_164920

20250401_170649

ありました。2か所に。こうした奈良人に選書してもらい、プレゼント用のラッピングもしている。

書店子に声をかけようかとも思ったが、ちょっと誰が担当かわからない。今回は遠慮しておきました。

編集者に「奈良では売れている」と言われる(涙目)が、奈良から全国に広げるのだよ。黒滝村でもサインを求められて感謝感激。

それと、実はテレビ番組製作会社からも接触があり、吉野山の桜を取り上げたいが、土倉庄三郎について……と聞かれた。こちらは、改めて内容が固まれば紹介したいが、私の元には、ちょっと『山林王』ブームが来ているのだよ。

2025/02/20

イオンモールの喜久屋書店

ちょっとイオンモール橿原まで行った。

ここにある喜久屋書店は、おそらく奈良でもっとも広い書店だろう。ジュンク堂書店奈良店より広い。

やっぱり行うのは自著チェック!

1000009362

1000009363

ありました(*^^*)

ただ森林カテゴリーはなく、農業分野と郷土コーナー。『山林王』はやはり郷土本扱いがありがたいね。

ちなみに3月1日になると、このイオンモールに世界最大の「無印良品」の店がオープンする。そこに書店も併設するそうだが、なんと『山林王』を50冊も注文してくれたそうだ。(事実)

これは、きっと『山林王』を山積みしてくれるにちがいない!(期待)

そして爆売れする!(願望)

増刷り決定!(夢想)

テレビドラマ化決定!(妄想)

楽しみだなあ(笑)

1000009365

 

2025/02/19

『日本の森林』に書かれていること

四手井綱英・京都大学名誉教授の『日本の森林』を改めて目を通している。サブは「国有林を荒廃させるもの」。

Img_20250219111349

なんと1974年の出版である。私は、少し遅れて80年代に購入したのだと思う。それにしても、その内容の新しさ…というべきか、今の時代にぴったりだ。まず目次は、こんな風。

日本の森林と林業の現状
造林技術のあり方―生産力増強計画(拡大造林計画)を批判して
続・造林技術のあり方
いいたいことをいわしてもらおう
森林生態学の歩み
生産力増強と短期育成
亜寒帯の森林生産力
広葉樹林について
秋田の天然スギ
木曽谷のヒノキ
裏木曽・飛騨視察記
九州の照葉樹林
自然開発・自然保護・林業

私は大学生の時に読んだのかと思うが、よく覚えていない。ただ、四手井氏の本はかなり読んでいる。この本にも、蛍光ペンなどの書き込みが多くある。

ここで、ああだこうだと本の紹介はしないが、とくに目を止めたのが最後の章。

そこに「これからの林業を考える前提条件」が記されている。

 

まず林業は、時間がかかるので未来は誰にもわからない点が記されている。今、ヒノキが売れるからと言ってヒノキを植えても育ったころの市況はどうなっているか。といった点だ。「全く不思議なことに、森林育成の長期性にかかわらず、いわゆる林業人は、こうした目先の動向の変化に非常に敏感であり、だれかがこれがよいと提案すると、すぐそれに便乗してしまう。」とある。

これは、今なら「もっと敏感になれよ!」と思ってしまうことも多くて、便乗してほしいほど鈍感なのだが。

 

そのうえで前提条件は、
(a)自然は自然としてもちいるべきである
(b)森林の生産物である木材の主な用途はやはり建築材料、とくに内装用の美術品として用いられる公算が多いであろう

(c)外材の輸入は当分続くがしだいに少なくなってくるであろう

(d)林業労働者は今後も減少するに違いない

なんか、今でもぴったり合う。とくにbの「内装用の美術品」という点が、私の予想と重なる。ただし用いられるというより、用いられるべき、なんだが。

そして「私の考えるこれからの林業」の項目。

(a)樹種の多様化
(b)長伐期・高蓄積林の実現
(c)全国土、全気象区にわたって自然保護地として保存せられるようになるし、またそうすべき

これまた私の意見とぴったり!

なぜ私がこのような意見を持つようになったかと言えば、この本を読んだからではなく、その後の森林現場、林業の実情を取材する過程で行き着いたのだろう。この本のことはすっかり忘れていたのだから。つまり実直に現場を見れば、行き着く意見は同じになる。

なお四手井氏は、林業研究者であると同時に日本の森林生態学の泰斗、創始者と言ってもよい。森林生態学を知った上で林業を考えた結果の意見なのだ。林業に関わる人は、すべからく森林生態学を学ぶべし、という私の意見にも合致する。

今では、なかなか手に入る本ではないが、多少とも内容を知ってほしい。

2025/02/03

盗伐問題の記事に思う

思わず私が書いたんじゃないのか?と思ってしまった記事(^^;)。

再生可能エネルギーを促進する制度が「森林破壊」を加速させている

Photo_20250203132701

だって、再生可能エネルギーというのはバイオマス発電のことで、そこに「盗伐が助長される」とあるのだから。バイオマス発電批判、盗伐批判となれば、私のテーマにそっくり。

よく読めば、宮崎県盗伐被害者の会の海老原裕美会長が登場している。拙著『盗伐』にも登場する盗伐問題の火付け役だ。なるほど、彼に取材したのなら、重なるはずだ。

まあ、バイオマス発電が木材価格を上昇させた、というよりも、まず大規模伐採ありきで、伐った木の使い道がないゆえバイオマス燃料に流れ込んだとみた方が正確だろうと思うが。結果的に建材になる木が燃料なのだから、木材価格はむしろ引き下げた。それでも量を多くして利益を出すという刹那的なビジネスモデルである。そこに他人の山を乱暴に伐るのだから、コストを抑えてより儲けられる盗伐が、広がる余地があった。

Photo_20250203133301

ちなみに、先日地元の図書館に行った。ここは、近年の拙著はほぼ全部揃えてくれている有り難い図書館なのだが、なんと『盗伐 林業現場からの警鐘』はなかった。内容をチェックして、これは生駒市民にはいらないわ、と判断したとは思えないので、ようはタイトルに魅力がなかったのか。盗伐という言葉は、そんなに興味が持てないのかね。都会の街路樹伐採となると、飛びつくのかもしれないが。

盗伐問題がイマイチ盛り上がらないのは、他人事を感じさせ深刻さが伝わらないからかねえ。

 

 

 

2025/02/02

『看取られる神社』考

このところ、暇を見つけては近隣の「散歩」をしているのだが、その際に発見に努めているのが「廃神社」。正確には仏教施設も含むし、神社=神道というより、新興宗教的施設も多いのだが、ようするに信仰を基盤とした「聖地」が廃れていった後の姿だ。

そして、生駒、少し広げて奈良というところは、そんな施設は少なくないのである。犬も歩けば、森林ジャーナリストも歩けば廃人、じゃない廃神社に当たる。。。

市街地でも建築物の合間に挟まるように藪があり、そこに潜入すると、たいてい祠とかため池がある。山に入れば、森の中に崩壊しかけた宗教施設の残骸が見つかる。なかにはパワースポット扱いもあれば、ホラーかオカルトの拠点かと思わせるところもあるのだ。

そうした所ばかりを見て歩くと、なんだか精神が病んでいるかのようなのだが、さまざまな幻の記憶が蘇る。その施設が勃興した時、栄えたとき、いつしか寂れていくとき。見ても聞いてもいないのに、感じ取れる。

そんな最中に読んだのが、『看取られる神社 変わり行く聖地のゆくえ(島田奈穂子著 あいり出版)であった。

嶋田さんは、イマジナリー生態学を標榜して、聖地の研究をしている。現在、滋賀大学の非常勤講師だそうだ。

Photo_20250202220601

目次を示すと、

1章 聖地が生まれる
 (災害の爪痕を、自然の恵みを願う場に 稲荷神社 滋賀県守山市服部/土地の先住者をカミに プーターの森 ラオス・チャンパサック県ノックコック村 ほか)
2章 育つ聖地
 (筏流しの守護から、新しい村の鎮守へ 思子淵神社 京都市左京区大原大見/水神は、イノシシ除けのカミになった 大川神社 滋賀県高島市朽木生杉 ほか)
3章 看取られる聖地
 (神社を看取った人 大山祇神社 福島県大沼郡昭和村畑小屋/神社の“墓標”を立てた夫婦 菅八幡神社 福井県越前市菅町 ほか)
4章 それでも、聖地が生き続ける理由
 (誰もいなくなる土地に生きることを願われる聖地 白山神社 福井県勝山市横倉/合祀された「井戸」 沖縄県那覇市 ほか)

見出しどおり、聖地の誕生、育ち、看取り、そして復活を描いている。

神社の誕生として示されるのは、洪水被害地や、丸太の筏流しの拠点、そして何らかのストーリーがあるようだ。ラオスのコック爺さんなんか、村に先住していた人らしいのだが、なんだか可愛らしい。

そして過疎化の進展から消滅集落化によって看取られる。だが、神社がなくなっても信仰の地、聖地として残り続ける土地もあるようだ。

実は、私の訪ねた廃神社と重ね合わせると、どこかに共通点を感じる。もちろん、私は研究しているわけではなく、その神社の由来を調べるわけでもなく、現状の聞き込みをするわけでもない。ただ、見て、感じる。妄想に近いのだが。

たとえばため池が祀られることは、比較的多いようだ。池を掘ったときに、水の神様を勧進したのだろうか。ほか森、大木、巨石なども聖地になる。イマジネーションを刺激されるからだろうか。生駒山にはナナツモリの伝説があって、小さな森が聖地とされる。7つとは語呂合わせで、実際にいくつあるかわからないが、訪ねると、祠や石仏があったりする。

神社が廃される裏には、明治の神社合祀令があるが、これは半強制的なケース。私の見つけたものは、個人で建てたが、世代が変わって捨てられたものや、カリスマ的な教祖によって生み出された宗教施設も、カリスマがいなくなることによって消えていく。後を継ぐものの存在がいなくなれば、当たり前だが廃される。

しかし、信仰の記憶が続くと、いつしか記憶のバトンタッチがされて復活につながることもあるのだ。山がなくなっても、聖地は残る。

2_20250202170801
大豪邸の一角に祀られていたのだが、いつしか豪邸は空き家になり、神社も荒れ果てた。

3_20250202170801
新興宗教らしいが、山中に捨てられた。そこに教祖様のお言葉が掲げられている。

1_20250202170801
住宅再開発が進み、周辺の山はなくなってしまった祠が、近年になって建て直された。復活したのである。

 

ところで、最後に余談を。実は、著者にあったことがある。取材したのだ。それも東チモールのコーヒーについて。そのときのことを記していた。当時は思想生態学と名付けていたが、それはイマジナリー生態学になったようだ。

森の思想生態学!

2025/01/25

『敵』と『モリのいる場所』から描く晩年

映画『』を見た。筒井康隆原作の映画。原作は1998年発行で、ほどなく読んでショックを受けた作品の一つ。

Gholdbdbiaebxaz

老後を丹精に生きる元大学教授。フランス文学の権威とも語られるが、引退してからは文筆生活だ。食事、歯磨き、洗い物、洗濯、入浴、買い物、庭掃除……と丁寧に生活が描写される一方で、教え子などが頻発に通ってくれて、ワインをたしなめば話も弾むし、家事の手伝いもしてくれる。バーで女子大生とフランス文学について語り合ったりもする。一方で煩悩や妄想もあり、見栄にも縛られる。辛いキムチを食べすぎて腹を壊す。体臭を気にする。遺言書を何度も書く。

もう、私には憧れの晩年生活だ(^o^)。こんな風に過ごせないか。

なお、筒井康隆は現在90歳で頸椎を痛めて歩けなくなったため老人ホームに入っているが、頭はしっかりしていて執筆活動も続けている。こちらの姿にも憧れる。ただ、『敵』を執筆したのは63歳の時と知って驚愕。主人公も70代の設定だが、現代から見ると老後というには若すぎる。80代に設定した方がよかったように思える。なお映画は、昨年東京国際映画祭でコンペティション部門最高賞を受けたという。

実は、以前にも記したが、モリのいる場所』という映画を見て、これぞ憧れの老後!と思っていた。こちらは2018年公開。30年もの間、ほとんど自宅から外出することなく庭を彷徨い、その世界を描き続けた画家の熊谷守一がモデルというか主人公。94歳という設定で、30坪足らずの庭に毎日通い動植物を観察し続ける生活を続け、やがてファンタジックな展開となる。こちらも憧れた。

35204f3069c2bb8fdd91268a5e506a8b453x640

マジに今の私が庭をいじり続けるのは、このような晩年を送りたいので、1日中彷徨を続けられる庭をつくろうと思ったからである。我が家の庭は30坪もないけどなあ。

『敵』でも、庭の風景は重要な役割を果たしている。井戸があって、納屋があって、和風だが庶民的な庭のたたずまいが私の好みだった。こんな庭なら倒れても様になるというか。死体を井戸に放り込むのはどうかと思ったが(⌒ー⌒)。
せっかくの丹精な暮らしも、「敵」が現れたために徐々に崩れていくとともに残酷な展開となるのだが、それも老いを生きる(そして死ぬ)という点においてはアリだな、そんな晩年もいいかな、と思わせる。どちらも妄想や譫妄はあるようだが認知症ではない。頭はしっかりしているのである。

映画を見て帰る途中に、居酒屋とバーを梯子。女子大生ではなく、おばさんらと少しの会話を楽しんだ。予行演習か?

20250124-191720

庭づくり、頑張ろう\(^o^)/ね。

 

2025/01/19

「関口宏のこの先どうなる?」で林業特集

まったく偶然なのだが、日曜日お昼にテレビをつけて何かあるかとチャンネルサーフィンをして開いたのが、BS-TBSの「関口宏のこの先どうなる?」という番組だった。

そこで林業をテーマにしていた。

「関口宏のこの先どうなる?」

おやおや、渋いことやってるなあ、と見だした。最初は微笑ましく、次に笑いながら、そして最後は怒りに変わった。

とくに驚いたのは、ドイツとの林業比較だ。

20250119-122719 20250119-122727 20250119-122733

日本はスギやヒノキの一斉林(画像には針葉樹とあるが、ようするに同一樹種)。ところがドイツは混交林で「自然環境に良い森づくり」なんだそうだ。ほほお。日本の林業のおかしさを指摘したか。しかも、日本は機械化を進めて作業道をいっぱい入れているが、ドイツはウインチ利用であまり道を入れないそうだ!

20250119-122811

日本が大型林業機械を使うために林道・作業道を入れだしたのは、たかだか20年、それもドイツを見習ってではなかったかなあ。ドイツからたくさんフォレスターを呼んだじゃないか。ところがドイツは道を入れたら森が傷つくと入れない方向に向かったというのだ。

しかも、この指摘の後に「日本の林業は伐って、植えての循環型」だと言い出した。それって、日本は混交林にするつもりがないということか。針広混交林づくりだってドイツのフォレスターに勧められたが、拒否している。
ドイツを見習う気はない宣言(笑)。

その後は「希望」も語る。たとえば林業従事者は減っているけど、若者率は高まっている。つまり将来に希望がある!
まあ、4万人ちょっとの人口の中で若者が増えたって、数百人だけど。しかも定着率は悪い。高齢林業者が引退したら、今の半分以下の林業従事者になるだろう。その中で若者が少し増えたとしてもねえ。。。(ドイツの林業従事者は120万人と紹介されたが、本当? 木材事業者も入れているのか。)

あとCLTも目いっぱい宣伝。木造ビルの素晴らしさを謳い上げる。
なぜ普及しないの?という関口さんの質問に「まだ生産する工場があまりない」。

え? 補助金ジャブジャブで全国8か所につくったけど、閑古鳥が鳴いているのではなかったか。ようするに需要がないのであって、生産が追いつかないのではない。そもそもCLTは失敗に終わったともっぱらの評判である。すでに現場ではやる気を失っている。

仮に今後CLTの需要が伸びたって、原木に対する歩留りは2割~3割。カーボンニュートラルに寄与するどころじゃない。この点は、私も書いたばかりだ。

〈ヤバい林業〉大阪・関西万博のリングの木はどこの国から来たものか?木材のことを知らない建築家、木材業者、ハウスメーカー担当者が多すぎる!

ほか、セルロースナノファイバーとか改質リグニンとかも紹介する。それもいいけど、研究途上で、実用化したとはとても言えない。それに、いずれの研究者からも、「あれはダメだ」という言葉を、私は聞いている。実用化の道は険しいのだ。

私自身は、仮に実用化できても、何ら林業に貢献しないことは間違いないと思っている。そもそもナノファイバーだってリグニンだって、そこらへんの雑木や農業廃棄物からだって抽出できる。森林所有者と林業家が一生懸命に育てた木を使うことはない。つまり山元に利益が還元されることはない。

この番組、結局のところ、林野庁の言い分紹介番組になっている。もっと木を伐れ、もっと木材を使え路線だ。それが森林を破壊しているとは信じたくないのだろう。もう少し、正確な問題点を指摘する人に取材したら。私に声をかけろとは言わないけどね(⌒ー⌒)。

ちなみにTVerなどで、まだ見られるようである。

20250119-125342

2024/11/12

ブックファースト新宿の「名著百選」

東京帰りにブックファースト新宿店に寄ってきた。

実は、ここで名著百選という催しをやっていて、私に(森林系の)本を推薦してくれという依頼があって応えたから。

3_20241112123601

こんな感じのコーナーであった。私が推薦したのは、この本。

1_20241112123601 1_20241112123701

広葉樹の国フランス』。すでにこのブログでも紹介しているが、広葉樹林業(正確には針葉樹も植えているから、針広混交林林業というべきかもしれない)を行っている、知られざる林業大国だ。「針葉樹だけの人工林皆伐方式林業」が世界的に行き詰まり、針広混交林づくりと択伐方式も課題となっている中、注目すべき要素が詰まっている。

次は、誰か私の本を推薦してくれ(笑)。もっとも森林系の本を選書する依頼が私に来るのなら、自著を推薦するのは気が引ける。

ところでブックファースト新宿には初めて訪れたのだが、何かと驚かされた。店の造りが迷路みたいだったとかもあるのだが、意外な棚が大きかったから。それは……「超科学」とか「スピリチュアル」棚。その分量たるや、ものすごいのだ。全部で何千冊置いているんだ、と思わせる。まあ、なかにはヨガとか宗教学的な本も混ざっていたが、圧倒された。

6_20241112124001 7_20241112124001

そして、それらしい本を漁っている人も見かけた。売れるんだ。私も挑戦しようかな。。。。

しかし、何かと尖っている書店は面白い。

2024/10/23

朝ドラで気づく土倉家の物語

現在の朝ドラ「おむすび」は、「カンナの無駄遣い」というそうだ。何も大工道具の鉋を無駄遣いしているのではなく、橋本環奈の魅力を思い切り殺す役柄だから。なんで彼女をこのキャラに配役したのか不思議なほど。

私は、BSの「カーネーション」に夢中。そしてBS11の「半分、青い」。いやあ、どちらとも面白い。とくに「半分、青い」が描く高校生の姿は、いいなあ。会話が断然いい。「おむすび」は、同じ高校生でも、まったく会話が弾んでいない。

20241021-0717451

そして気づくのだ。「カーネーション」は、日本人、とくに女性が着物から洋服へ移り変わる時代を描いているのだなあ、と。だいたい大正から昭和初期の時代だ。(その後に戦後編に移る。)その陰で悪戦苦闘をしている主人公にはワクワクする。実際に、こうした開拓者がいたのだろう。

そう言えば思い出した。土倉庄三郎は、明治9年に川上村の大滝小学校の生徒に制服として洋服をプレゼントしている。生地はちょっとジーンズに似ていて、デザインはブレザータイプ。横浜の店でつくらせたという。「カーネーション」より時代的には60年以上早い。実際、早すぎて根付かなかったわけだが、奈良の山村に洋服を着た子供たちがいたことは特筆すべきだ。なお土倉家は、みんな洋服を着て写された写真がある。当時は、写真館で洋服を貸し出して写真を撮るのが流行ったらしい。まあ、コスプレのような……。

1_20241023194001

ちなみにタイトルのカーネーションは、何を意味するのか。ドラマの中では、子供の頃に洋館のパーティで見かけた花として描いている。時代は、やはり大正か。

日本にカーネーションが広がったのは、土倉龍次郎が温室栽培に成功してからだから、大正10年以降。ぴったり符合する。土倉家二代に渡る朝ドラとの縁。こじつけだけど(^-^;

Photo_20241023194901

土倉龍次郎の著した『カーネーションの研究』より。

 

より以前の記事一覧

May 2025
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

森と筆者の関連リンク先

  • Yahoo!ニュース エキスパート
    Yahoo!ニュースに執筆した記事一覧。テーマは森林、林業、野生動物……自然科学に第一次産業など。速報性や時事性より、長く読まれることを期待している。
  • Wedge ONLINE執筆記事
    WedgeおよびWedge on lineに執筆した記事一覧。扱うテーマはYahoo!ニュースより幅広く、森林、林業、野生動物、地域おこし……なんだ、変わらんか。
  • 林業ニュース
    日々、森林・林業関係のニュースがずらり。
  • 森林ジャーナリストの裏ブログ
    本ブログの前身。裏ブログとして、どーでもよい話題が満載(^o^)
  • 森林ジャーナリストの仕事館
    田中淳夫の公式ホームページ。著作紹介のほか、エッセイ、日記、幻の記事、著作も掲載。