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森と林業と動物の本

2025/11/03

「ガバメントハンター」が普通語になった

クマの出没が増す中、急速に使われるようになった用語「ガバメントハンター」。マスコミだけでなく、政府、自治体の行政の会議でも頻発するようになった。

これ、私が紹介したのは昨年の6月だ。ほとんど1年半前である。

クマ出没に備えるガバメントハンターについて考える

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この用語、当時は一般にほとんど知られていなかった。私はクマ対策の一環で猟友会頼みの限界を感じる中で、一部の自治体には公務員でハンターをしている人がいることを知った。彼らのような存在をガバメントハンターと呼ぶらしい。いわば獣害対策を担う公務員であり、駆除も担当する人という意味だ。これこそ、必要なのではないか、という思いから取り上げたのである。

ただ調べる中で、そんなに簡単なものではないことがわかってきたので、そのことも含めて記した。

言葉としてはそんなにこなれていないと思うが、公務員ハンターではちょっと別のニュアンスになりそうで、あえてガバメントを使ったのだが……。

それが急速に注目されている。そして拙記事も今頃よく読まれるようになった。

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これ、Yahoo!ニュースのアクセス数解析の一部。もっとも読まれたのは執筆直座の昨年6月だが、その後は低空飛行でひと月に100もいかなかったのに、いきなり先月から急上昇している。少なくても拙記事が先鞭をつけたと自負しておく。

こうした盛り返しは、ネット特有である。読者が長々と続くというロングテール(長い尻尾)理論的には、いきなり尻尾の先を踏まれて腫れ上がった病気みたいだ(笑)。踏んだのは、誰だ?政府か?

まあ、よろしい(^^;)。ただ記事に書いた通り、そう簡単ではない。ハンター任せではなく、役所上げて連携しなけれは機能しない。ちゃんと記事を読んでね。

それにしても、自衛隊だけでなく、警察もライフル銃を持たせようという動きがある。警官もピストルを撃つ訓練をしているし、SATのように特殊急襲部隊はライフル射撃訓練をしているからできると考えたのだろう。
しかし、そんな特殊部隊員をクマ駆除に動員できるのか疑問だし、対人とはまったく違うから、改めて対クマ用訓練を必要とする。何よりライフルは長距離射程による狙撃だ。市街地出没個体を狙うのには向いていない。射程は数m~30mくらいしか見込めないから、使うべきなのは短距離射撃に向いた散弾銃でスラグ弾ではなかろうか。

ヒグマ駆除!市街地で銃を撃つ難しさを考える

……とまあ、考え出すと、本当に簡単ではない。警察は許認可的には自衛隊より現実的だが、いずれも即戦力ではなく、長い目で見てクマ対猿要員を養成する覚悟がいるだろう。部署も新設する必要があるかもしれない。今年のクマより来年のクマ対策である。

いずれにしろ専門家としてのクマ駆除のできるハンター養成は急務になってきたのは間違いない。

2025/10/27

安藤栄作展と吉野林業展

奈良県立美術館で、木彫り作家の安藤栄作展が開かれていた。昨日は奈良女子大学のシンポジウムで、なかなか示唆に富んだ内容だったのだが、実はその開会前に訪れたのである。以前より狙っていたのだが、ようやく行けた。

安藤氏は東京生まれながら福島県いわき市で長く創作活動を続けていたが、東日本大震災の津波で自宅も作品も愛犬も流されしまう。加えて原発事故の発生で、奈良県に避難してきた作家だ。以後、ずっと奈良で活動を続けている。

2018年にも地元ギャラリーで作品展を開いているが、今回は美術館で大規模な展覧会。

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迫力満点であった。抽象的な木彫りかと思えば、具象の面もあり、私はニューギニアのセピック芸術かと思った。写真の「約束の船」という作品も、海を表す木片は、よく見ると人形であった。さらに弦を張った楽器、巨大な仮面、カヌー……。ところどころ諸星大二郎の絵を連想する造形も隠れている。プリミティブな魅力があふれていた。

ちなみに素材は多くがヒノキとクス。奈良県なら手に入りやすい材だ。クスは西日本に生えている木である。ほか、ナラなど雑木林の木も混ざる。

絵本「あくしゅだ」に描いた原画も展示されていたが、これは、やはり津波だろうか……。

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じっくり見て回り、さて、いよいよシンポジウムへ……と思った出口のところで、一室を使ったミニ展示コーナーがあった。それが「吉野林業の世界」。これは閉館中の奈良県立民俗博物館の飛び地展 であった。

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伐採道具など古き時代の林業道具から割箸づくりの過程まで。よく見ると、使われている写真は「吉野山林写真貼」であった。なんだ、私のシンポ用資料で紹介する写真と同じではないか。。。

2025/09/28

陸地面積の移ろいやすさ

石川県の面積が福井を抜いたという。その理由は能登大地震。

県面積、石川が福井を抜き逆転 能登地震で4平方キロ増 国土地理院

国土地理院は26日、全国の都道府県と市区町村の面積(7月1日時点)を公表した。2024年1月の能登半島地震で隆起した影響で、石川県の面積が4・74平方キロ増えて4190・94平方キロになり、福井県(4190・59平方キロ)をわずかに上回った。この結果、石川県の面積は全国の都道府県で34位、福井県が35位になった。

日本全体の国土面積は37万7980・29平方キロで、4月1日時点より4・92平方キロ増えた。

ようするに地震で海が盛り上がって陸地面積が増えたわけである。

国土面積は、意外と移ろい易い。地球温暖化で海面上昇が進んで国土が全部沈んでしまう危機にある太平洋の国、ツバルもそうだ。

近年は、海流で砂が運ばれて積層することで地上面積が増えていることがわかった。沈むどころか、国土が広かった?

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この点は,『虚構の森』の記事の要約という形で、プレジデントオンラインに掲載されている。

「115年前から32ヘクタールも拡大」温暖化で沈むはずのツバル諸島の面積が増えているという不都合な事実

編集部に『虚構の森』を読んだという読者から手紙が届いたそうだ。もっとも感想というより、自身の経験談として、学生時代に指導教官がツバルのことに触れた際に冷笑したらしく、それが元で教官と言い争いになったという……( ̄∇ ̄;) 。

ちなみに私の見解は、別にツバルは沈没するどころか国土を増やしてウハウハだ、ということではない。むしろ沈没の可能性は高まっていると思う。一時的に砂州ができて面積が増えても、その土地を開発できるわけではなく、海面上昇によって失われる海岸線の代わりにはならない。増えた部分も高潮で削られる可能性だってある。

物事を一元的、一方向からだけ見ていては、現実はつかめないのである。

私は、何もひねくれて世の中を見ているのではなく、素直に情報収集する中で、こうした事実を発見しただけだ。

ただ不都合な真実を見つけた時に隠さず紹介してしまうという、これも私という人間が素直であるゆえに行えるのである( ̄^ ̄)。いかに私ができた人間であるかがわかるだろう。と、こう自画自賛してしまうところは傲慢だけど(笑)。

 

2025/09/19

紀伊國屋書店新宿本店にて

東京では紀伊國屋書店新宿本店にも寄った。

ここ、実は書店としてはそんなに大きくない。最近の巨大書店に比べれば、本の種類も冊数もイマイチだろう。が、本店のプライドにかけて、選書はこだわっている……はず。

その目で、森林コーナーを見る。

拙著は何があるかな。。。おっと、最初に目に止まったのは『森は怪しいワンダーランド』だ。それから……『虚構の森』。あ、訳書になるが、『フィンランド 虚像の森』もあった。棚はバラバラに分散気味。が、肝心の本が……。

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絶望の林業』と『盗伐 林業現場からの警鐘』は、平積みになっていた。本のポップで隠れていたよ……。まあ、出版後2年以上経っているのに平積みなんだから有り難い。『山林王』は、このコーナーには置いてなさそう。

こーゆーチェックは、書店の動向をつかむために大切なのである。

2025/09/18

科博「植物×匠」展にて

実は昨日まで千葉~東京に行っていた。なかなか忙しく、取材して食って飲んで……ああ会議もあった……が、その合間に覗くところはないかと探す。そして国立科学博物館に寄ってきた。ただ、ここでも時間がなくて、特別展「氷河期展」は見られず、常設館の「植物×匠」展だけ見る。

これは竹中大工道具館との共催で、主に日本の伝統家屋の建て前で使われる植物~木材だけでなく、茅葺き、檜皮、畳……などを紹介するミニ展示。

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この木材見本、わかるかな? 左からスギ、ヒノキ、アカマツ、そしてクリだ。

鉋屑で臭いも感じる……はずだが、すでに日にちが経っていて、臭いはほとんどしなかった(笑)。

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こんなコーナーで林業を紹介していた。誰か、ツッコミたい人、いる?

まあ、それにしても思うのは、暑すぎる(> <;)。街を歩くと熱いスープの中を泳ぐような気持ちになる。熱帯地方を旅したときの記憶が蘇った。もはや秋は来ないで、延々と暑い日々が続くのだ……。

おまけに科博の常設館には、こんな森林を模したコーナーもある。

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クマもいる(^^;)。先日の「森遊館」構想にはほど遠いが、こうした屋内施設内に森林環境を作り上げて、さらに林床に生きた草木を植えて動物も生活させることはできないか。

 

 

2025/08/27

クズ対策ハンドブック

『新クズ対策ハンドブック』をいただいた。

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発行元は、NPO法人緑地雑草科学研究所。気になる方は、リンク先を見てほしい。監修者は、伊藤操子・京大名誉教授。

≪目次概要≫
  序 章 葛がクズになった歴史  
       第Ⅰ部 クズ対策の基礎知識  
  第1章 クズとはどんな植物か  
  第2章 クズを制御するには  
  第3章 有害雑草被害認定の必要性とクズ問題  
       第Ⅱ部 クズの場面別問題と対策  
  第4章 耕作放棄地のクズと獣害との関係  
     :回避に向けた家畜の放牧  
  第5章 鉄道敷におけるクズ問題の現状と対策  
  第6章 河川におけるクズ問題と対策の現状  
  第7章 道路におけるクズ問題と対策の現状  
  第8章 太陽光発電施設におけるクズ問題と対策の現状  
  第9章 クズの雑草化と戦った日本の林業史  
       資料編   
  クズを適用雑草とする除草剤一覧  
  クズに関わる文献のリスト

クズは、日本在来ながら世界の危険草本の一つとして知られている。日本の野山などで野外活動する際に、クズに触れないことはまずないだろう。それは雑草としてだ。

実は、クズは古来よりクズでんぷんを取り出して食用にするほか,繊維で布や籠などを編むことまで、実に幅広く利用されてきた植物だ。それが近年になって雑草として嫌われるようになる。とくに皆伐後の林業現場では、クズ対策抜きで再造林もむずかしいだろう。対策といっても、もはや除草剤を使うしかないが。

またクズの栄養たっぷりの根を餌とするイノシシなどの獣害にも広がっている。

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このハンドブックでは、クズと日本人の歴史もふれてあり、なかなかクズ愛(^^;)に満ちている。

先日のNHKの「サイエンスゼロ」でもクズは取り上げられていた。こちらはクズを利用してバイオマス燃料にする……研究とかが紹介されていたが。もっとクズの遺伝子を使って成長力のある植物を作れたらいいのに、と思ってしまった。

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気になる方は、リンク先から手に入れてほしい。

2025/08/11

「突撃カネオくん」に出演した裏話

8月10日のNHK「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」に出演した。といってもZoomだが。

テーマは割り箸なのだが……これ、あんまり見てほしくない(笑)。

割り箸を取り上げるというのだが、輸入割り箸のことには触れないというし、私がカネオくんらしく、お金からの切り口をいくつも提案したのに興味を示さず「お金のことは触れないです」と言われてしまった……。もはや番組趣旨はお金から社会を見る、ではなくなっているそうだ。

そんな中で私が仕掛けた唯一の手は……。

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私の紹介を森林ジャーナリストとするのだが、割り箸に関しても詳しいことを説明するのに著書を取り上げてもらった。

割り箸はもったいない?』は当たり前。『森林異変』にも割り箸の章を設けて語っている。だが、どちらも絶版に近くて、現在ではほとんと手に入らない本なのだ。それでは私にメリットは少ない。

そこで『絶望の林業』を加えた。今、書店で扱っている本も加えないと、見た人が購入につながらないではないか。ただこの本には、実は割り箸のことは数行しか触れていない(⌒ー⌒)。あくまで吉野林業との絡みである。

それでも、ちゃんと表紙を紹介してくれたから、ヨシとしよう。

2025/08/10

ジュンク堂の書棚とブックオフ書棚

気がつけばお盆入りの3連休中日。

こんなときは定点観測的に書店に行って、森林棚を眺めるに限る。

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これはジュンク堂書店難波店。私の本がかなり置かれていることに安堵。持っている本も多いなあ。つい森林関係の本は買ってしまう。読むのが大変だけど。

そして近隣のブックオフも覗くと、ついにこの本も出展されくようになったか。

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『山林王』である。ブックオフというか古本屋では初めて見た。若干複雑の気持ちなのだが、まあ、古本流通に回るのは売れている証拠と思っておこう。ちなみに、そんなに安くなっていなかった。まだ新刊に近い扱いか。

書棚を眺めて、世の移り変わりや流行り廃りを感じとれるのだよ。

2025/08/02

「林業経済」誌に『盗伐』書評

林業経済誌78巻4号に『盗伐 林業現場からの警鐘』の書評が掲載された。

これは誰でも読めるよう公開されている。ダウンロードはこちらから『盗伐 林業現場からの警鐘』(鮫島弘光評)

ここにも張り付けさせていただく。

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出版して1年以上経つので、私は何を書いたっけなあ、と拙著を本棚から取り出して確認する有様である(笑)。

そうそう、こんなこと書いたんだ……と思いつつ、読み直しかけて、頭がカッカッとしてきた。また怒りが蘇る。

なお出版後に宮崎県だけでなく、各地に新たな盗伐事案が報告されている。九州は大分、熊本まで広がり相変わらず多いが、北海道でも大規模事案がある。ただ警察が捜査するか裁判の事案にでもならないと、表沙汰になりにくいのが実情だ。きっと盗伐被害を洗いざらい掬いあげたら、とてつもない件数と面積、そして木材量になるに違いない。

今更なので盗伐内容は繰り返さないが、出版後に強く感じたことは、結局、林業者および林業周辺の関係者の「甘さ」である。厳しいこと、不都合な事実は目をつむって見ない、読まない、考えない……傾向があること。宮崎県では、書店が本書を仕入れない、並べない。また読者の中には「読みかけたけど気持ち悪くなって止めました」なんて声もあった。これが一般市民ならともかく、林業関係者なのだ。

幸い、最近になって宮崎県では盗伐業者の摘発が続いているという。理由はわからないが、宮崎県検事正が交代したことも関係しているかもしれない。それが新たな潮流になればいいのだが……。

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といいつつ私自身も、この本を書いて以降、急速に林業への興味を失っている。正確に言えば、林業なんかにこれ以上関わったら人生台無しになる、ぐらいの意識になってきた。

本書評の冒頭では、過分なほめ言葉が並んでいるのだが、私の主張が林業界に影響力あるのかどうかはともかく、私のできることはやりましたよ、もういいでしょう、という気分なのである。余生は、もっと自らの感性に触れる、わくわくする分野にシフトしたい。

2025/07/08

『実証実験・保持林業』を読む

実証実験・保持林業 広葉樹を残して生き物を守る』(築地書館)を読んだ。

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これは、以前出版された『保持林業 木を伐りながら生き物を守る』続編というべきか。サブタイトルでは、残すのは広葉樹に限定してしまったのだな。

出版日は7月2日になっている。が、私は1週間ほど早く購入した記憶がある。

そして購入より約1週間前にアップされた私の書いた記事。

〈注目〉一部の木を残す「保持林業」って?林業の新潮流、全部切る「皆伐」より森林の再生が早く、生物多様性にも寄与か

Wedge ONLINEに、保持林業の記事を書いたのだが、この時点では上記の本の出版はまったく知らなかった。知っていたら、出た本を読んでから書いたか、出版より前に書いてしまおうと急いだか。結果的に本書の影響は何も受けていない。
いずれにしてもたまには林業の記事を書こうと思って、最先端の動きとして保持林業を取り上げたのである。

ここで紹介したものと、本書の内容は似ている。実践とあるのは主に北海道の保持林業実験地のデータを入れているからだが、その内容は私も報告で読んだからだろう。

私自身は、保持林業というのは中途半端というか、次善の策、やらないよりまし(^^;)と思っていた。なぜなら皆伐が基本だからだ。皆伐面積をどれほどに設定しているかどうかはともかく、バッサリ伐った中に数本の木を残しても、しょぼく感じる。フィンランドでも保持林業をしているが、そこで残すのは1ヘクタール2,3本ということを知っていたから。残木率(保持率)30~40%ぐらいにしないと、「生き物を守る」と言えないのではないか?

と思っていたのだが、この実証実験によると、わりと効果はあるようだ。鳥類に甲虫類、下層植生……いずれも残さない皆伐より優れて生物多様性を保てる。また全面的な皆伐と比べても木材生産性は、ほぼ変わらない。

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ただ、本書を読むと、残し方にはいろいろあれど、多いものは2割ぐらい残すという。しかも広葉樹を選別するらしい。まあ、伐る本数が少なくなれば山主にとっては収入減だろうが、残せば残すほど、生き物のレヒューリアは増える。

そして、広葉樹を残すということは、それが生育すれば針広混交林へと近づくことになる。次の伐採時でも残して、また新たに映えてきた広葉樹も残す……としていけば、植林した針葉樹と天然性広葉樹が入り交じる。針広混交林づくりの手法となり得る。

奈良県では針広混交林づくりを進めているものの、技術的には模索中だ。山林所有者の了解を取るのに難航しているという。広葉樹を植えるということは、金になるスギやヒノキの本数が減ると感じるのだろう。私は、この手法を取り入れてもよいのではないかと思う。減ると言っても、元から映えてきた広葉樹だ。。100年ぐらいかけて2~3度の伐採を実施しつつ完成させるのだ。それは恒続林に近づく。

なお本書は、私が読むより林業家が読んで実践するために使ってほしい。本書には四国の山主が実践に移している事例が載っているが、もっと全国レベルで実践例を増やして各地の条件にあった技術を磨いてほしい。

目次、長いけど、全部転記しておこう。

はじめに

第1部 序論

第1章 なぜ今、保持林業か?……山浦悠一
久万高原町のハリギリ
保持林業とは
人工林と生物多様性
自然保護区の役割とその限界
保護区を取り巻くマトリックスの重要性
世界の人工林経営は環境保全型へ
本書の構成
北海道での大規模実証実験
なぜ保持林業か?
数十年後を思い描きながら、木を残す

第2部 大規模実験の成果

第2章 保持林業の木材生産性……尾崎研一
はじめに
伐採とは
伐採の経費
保持林業の伐採経費
調査結果から考えられること
おわりに

第3章 保持木の生残……明石信廣・雲野 明
はじめに
保持木調査
保持木の死亡率
伐採に対する樹種ごとの反応の違い
気候に左右される保持木の生残
おわりに

第4章 下層植生……明石信廣
はじめに
調査方法
伐採前の植生と人工林の管理の影響
伐採後の種組成の変化と保持林業の効果
おわりに

第5章 外生菌根菌……小長谷啓介
はじめに
外生菌根    ─森林を支える菌との共生
調査方法    ─北海道の大規模実証実験
群状保持区の結果    ─パッチが守る非伐採林の多様性
単木保持区の結果    ─広葉樹保持木の周りに作られた独特な群集
考察    ─見えてきた菌の応答パターン
おわりに    ─多様性に配慮した木の残し方は?

第6章 地表性甲虫……山中 聡
はじめに
調査方法
実証実験から分かったこと
    オサムシ・ゴミムシ類の応答
    腐肉食性シデムシ・糞虫類の応答
おわりに

第7章 コウモリ……河村和洋・赤坂卓美
はじめに
コウモリにとっての森林
森林にとってのコウモリ
調査方法
意外にも活気ある人工林
皆伐の影響、広葉樹保持の効果
おわりに

第8章 鳥類……山浦悠一・雲野 明
はじめに
土地の節約vs共有
調査方法
観察された鳥類
伐採前の広葉樹の役割
各処理の効果
伐採後の広葉樹の役割
おわりに
    コラム1 ポツンと残された孤立木で営巣するクマゲラ……雲野 明
    コラム2 ヨタカ─伐採で守る遷移初期種……河村和洋

第3部 実験のとりまとめと振り返り

第9章 実証実験の10年間の成果をまとめて……尾崎研一
はじめに
世界で行われている保持林業
成果のとりまとめ
    生物多様性保全
    伐採地の風景的価値(保健休養機能)
    機能間の比較
人工林に適した保持林業
    何を保持するのか
    どれくらい保持するのか
    どのように保持するのか
おわりに

第10章 保持林業を現場で作業して……髙篠和憲・伝法和也・佐藤雅彦
はじめに
伐採作業について
伐採後の保育作業や伐採地の様子
おわりに

第11章 道有林で保持林業を実践して……峯岸敏行
はじめに
道有林について
保持林業の導入に至った経緯について
試験地の設定・活用について
研究成果の活用に向けて

第4部 保持林業の実践

第12章 北海道の社有林で保持林業を実践して……髙森 淳
はじめに
取り組んだ経緯
石井山林の存在
ドイツの森林コンサルタント来訪
アイヌ文化保全としての取り組み
現場での苦労、今後の取り組み
おわりに

第13章 高知県のスギ・ヒノキ人工林で保持林業に取り組んで……瀨戸美文・富田幹次・山浦悠一
はじめに    ─本州以南の人工林での保持林業の実証研究の必要性
主伐後の林地で保持された広葉樹の樹種・本数
スギ・ヒノキ人工林における保持林業が鳥類多様性に与える影響v おわりに    ─展望

第5部 今後に向けて

第14章 保持林業の課題と展望……山浦悠一
2024年6月28日、ストックホルム
日本でもやればできる
「広葉樹高木は必ずしも容易に残せない」
保持林業は万能薬ではない
オープン・クエスチョン
風倒リスク
施業指針
労働災害の防止
そろそろ次のステップへ

おわりに
用語解説
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