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森と林業と動物の本

2026/01/25

マハティールよ

昨夜、何気なくTVをザッピングしてETV特集で「マハティール100年の風に立つ」をやっていた。思わずかぶりつきで見た。

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マハティールはマレーシアで長く首相を務めた政治家。なんと御年100歳。にもかかわらず、元気……というか頭脳の明晰さに驚嘆する。

私にとってマハティールは、世界中でもっとも尊敬できる政治家である。彼を超える者はいない。そのスタンスと思想、哲学どれをとっても、日本の政治家は及びもつかない。もちろん政局時の立ち回りや政策的にどうかな、と思う面もないではないが、それを超えた人間的な魅力である。

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実は彼が最初の首相に就任した時から追いかけている。そして「マレージレンマ」の出版と「ルックイースト政策」の推進……ちょうど私がマレーシアのボルネオに通い出した頃と重なっているので、常に注目していた。

そういや欧米の幼児がマハティールに「熱帯雨林を破壊しないでください」と手紙を送った逸話がある。それに対して、彼は本気で返事を書いた。これまでいかに欧米人がマレーシアを、世界中を植民地にして搾取してきたかと。子供に対して大人げない?いや、子供扱いしない、全力全身で向き合ったのだ。議論としてはかみ合っていないけど、10歳に満たないイギリス人が、上から目線でかつての植民地の首相に忠告したような手紙にかみついたのだろう。

思えば、現在の地球環境問題にも似たところがある。

アジア通貨危機に対して変動相場制を捨てるという世界経済を敵に回す荒技もとった。強欲ファンドの批判もする。同時多発テロに対するアメリカのアフガン、イラク攻撃もたしなめた。首相引退後は、世界中の庶民の格差解消と平和教育に取り組み、日本にもよく来ていた。
ちなみに日本びいきに見えて、実はしっかり日本が出すぎない手をとっていて、策士であった。

もちろん、強引で、独裁的、そして策略を巡らせて国際的に孤立するような振る舞いもあった。ただ、そうした点は、マレーシアからの留学生と話していて腑に落ちた。

「大国ならできないが、マレーシアの規模の国なら許されるのではないか。自らの尊厳と国を守るためにやったのだ」と聞いたのだ。IMFの言う通りにすれば、主権を奪われ、また経済格差が拡大する。それに怒ったのである。清濁併せ呑む政治家なのだ。

当時私は、マレーシアとの友好団体を運営していたのだが、「マハティールさん、呼んで講演会開かない?」と半分本気で提案したいたこともある。

そういやマレーシアである寺院を訪れたとき、急に周囲がざわつき始めた。聞けば、マハティール首相が訪れるという。それで写真を撮ろうと構えていた。当然、警備員に囲まれて整然と歩くだろうと思って。ところが、到着するや否や、いきなり民衆が殺到した。みんなマハティールに握手を求めているのだ。警護も何もない。それ以上にマレーシア人にとってとてつもない人気があることに驚いた。
で、私も写真は諦めて、その群集に混じってマハティールに接近、握手をしようと手を伸ばした。ほんのわずか触れたと思う。

と、ここまで書いて、以前も同じことを書いたな、と思い出した。探してみると、こちらである。

オルタナティブな仕事~Look Malaysia

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選挙を前に、彼を思い出す。

2025/12/09

『盗伐』が平積みに

奈良のイオンモール橿原にある喜久屋書店。

そこで見たのは……。

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この棚がすごいのは、『盗伐 林業現場からの警鐘』が平積みになっていることだ(^_^) 。正直、出版後1年半も経つと、なかなか平積みはされない。そして、『絶望の林業』が1冊だけその下にある(^^;)。

しかし、『山林王』がないぞ。

農林業棚ではなく、もしかしてノンフィクション棚? なかった…。

あったのは「郷土」棚。奈良本の一角だ。

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なんと2か所も平積み! ポップ付。さすが奈良県内では売れ筋なのだ(⌒ー⌒)。

2025/11/03

「ガバメントハンター」が普通語になった

クマの出没が増す中、急速に使われるようになった用語「ガバメントハンター」。マスコミだけでなく、政府、自治体の行政の会議でも頻発するようになった。

これ、私が紹介したのは昨年の6月だ。ほとんど1年半前である。

クマ出没に備えるガバメントハンターについて考える

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この用語、当時は一般にほとんど知られていなかった。私はクマ対策の一環で猟友会頼みの限界を感じる中で、一部の自治体には公務員でハンターをしている人がいることを知った。彼らのような存在をガバメントハンターと呼ぶらしい。いわば獣害対策を担う公務員であり、駆除も担当する人という意味だ。これこそ、必要なのではないか、という思いから取り上げたのである。

ただ調べる中で、そんなに簡単なものではないことがわかってきたので、そのことも含めて記した。

言葉としてはそんなにこなれていないと思うが、公務員ハンターではちょっと別のニュアンスになりそうで、あえてガバメントを使ったのだが……。

それが急速に注目されている。そして拙記事も今頃よく読まれるようになった。

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これ、Yahoo!ニュースのアクセス数解析の一部。もっとも読まれたのは執筆直座の昨年6月だが、その後は低空飛行でひと月に100もいかなかったのに、いきなり先月から急上昇している。少なくても拙記事が先鞭をつけたと自負しておく。

こうした盛り返しは、ネット特有である。読者が長々と続くというロングテール(長い尻尾)理論的には、いきなり尻尾の先を踏まれて腫れ上がった病気みたいだ(笑)。踏んだのは、誰だ?政府か?

まあ、よろしい(^^;)。ただ記事に書いた通り、そう簡単ではない。ハンター任せではなく、役所上げて連携しなけれは機能しない。ちゃんと記事を読んでね。

それにしても、自衛隊だけでなく、警察もライフル銃を持たせようという動きがある。警官もピストルを撃つ訓練をしているし、SATのように特殊急襲部隊はライフル射撃訓練をしているからできると考えたのだろう。
しかし、そんな特殊部隊員をクマ駆除に動員できるのか疑問だし、対人とはまったく違うから、改めて対クマ用訓練を必要とする。何よりライフルは長距離射程による狙撃だ。市街地出没個体を狙うのには向いていない。射程は数m~30mくらいしか見込めないから、使うべきなのは短距離射撃に向いた散弾銃でスラグ弾ではなかろうか。

ヒグマ駆除!市街地で銃を撃つ難しさを考える

……とまあ、考え出すと、本当に簡単ではない。警察は許認可的には自衛隊より現実的だが、いずれも即戦力ではなく、長い目で見てクマ対猿要員を養成する覚悟がいるだろう。部署も新設する必要があるかもしれない。今年のクマより来年のクマ対策である。

いずれにしろ専門家としてのクマ駆除のできるハンター養成は急務になってきたのは間違いない。

2025/10/27

安藤栄作展と吉野林業展

奈良県立美術館で、木彫り作家の安藤栄作展が開かれていた。昨日は奈良女子大学のシンポジウムで、なかなか示唆に富んだ内容だったのだが、実はその開会前に訪れたのである。以前より狙っていたのだが、ようやく行けた。

安藤氏は東京生まれながら福島県いわき市で長く創作活動を続けていたが、東日本大震災の津波で自宅も作品も愛犬も流されしまう。加えて原発事故の発生で、奈良県に避難してきた作家だ。以後、ずっと奈良で活動を続けている。

2018年にも地元ギャラリーで作品展を開いているが、今回は美術館で大規模な展覧会。

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迫力満点であった。抽象的な木彫りかと思えば、具象の面もあり、私はニューギニアのセピック芸術かと思った。写真の「約束の船」という作品も、海を表す木片は、よく見ると人形であった。さらに弦を張った楽器、巨大な仮面、カヌー……。ところどころ諸星大二郎の絵を連想する造形も隠れている。プリミティブな魅力があふれていた。

ちなみに素材は多くがヒノキとクス。奈良県なら手に入りやすい材だ。クスは西日本に生えている木である。ほか、ナラなど雑木林の木も混ざる。

絵本「あくしゅだ」に描いた原画も展示されていたが、これは、やはり津波だろうか……。

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じっくり見て回り、さて、いよいよシンポジウムへ……と思った出口のところで、一室を使ったミニ展示コーナーがあった。それが「吉野林業の世界」。これは閉館中の奈良県立民俗博物館の飛び地展 であった。

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伐採道具など古き時代の林業道具から割箸づくりの過程まで。よく見ると、使われている写真は「吉野山林写真貼」であった。なんだ、私のシンポ用資料で紹介する写真と同じではないか。。。

2025/09/28

陸地面積の移ろいやすさ

石川県の面積が福井を抜いたという。その理由は能登大地震。

県面積、石川が福井を抜き逆転 能登地震で4平方キロ増 国土地理院

国土地理院は26日、全国の都道府県と市区町村の面積(7月1日時点)を公表した。2024年1月の能登半島地震で隆起した影響で、石川県の面積が4・74平方キロ増えて4190・94平方キロになり、福井県(4190・59平方キロ)をわずかに上回った。この結果、石川県の面積は全国の都道府県で34位、福井県が35位になった。

日本全体の国土面積は37万7980・29平方キロで、4月1日時点より4・92平方キロ増えた。

ようするに地震で海が盛り上がって陸地面積が増えたわけである。

国土面積は、意外と移ろい易い。地球温暖化で海面上昇が進んで国土が全部沈んでしまう危機にある太平洋の国、ツバルもそうだ。

近年は、海流で砂が運ばれて積層することで地上面積が増えていることがわかった。沈むどころか、国土が広かった?

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この点は,『虚構の森』の記事の要約という形で、プレジデントオンラインに掲載されている。

「115年前から32ヘクタールも拡大」温暖化で沈むはずのツバル諸島の面積が増えているという不都合な事実

編集部に『虚構の森』を読んだという読者から手紙が届いたそうだ。もっとも感想というより、自身の経験談として、学生時代に指導教官がツバルのことに触れた際に冷笑したらしく、それが元で教官と言い争いになったという……( ̄∇ ̄;) 。

ちなみに私の見解は、別にツバルは沈没するどころか国土を増やしてウハウハだ、ということではない。むしろ沈没の可能性は高まっていると思う。一時的に砂州ができて面積が増えても、その土地を開発できるわけではなく、海面上昇によって失われる海岸線の代わりにはならない。増えた部分も高潮で削られる可能性だってある。

物事を一元的、一方向からだけ見ていては、現実はつかめないのである。

私は、何もひねくれて世の中を見ているのではなく、素直に情報収集する中で、こうした事実を発見しただけだ。

ただ不都合な真実を見つけた時に隠さず紹介してしまうという、これも私という人間が素直であるゆえに行えるのである( ̄^ ̄)。いかに私ができた人間であるかがわかるだろう。と、こう自画自賛してしまうところは傲慢だけど(笑)。

 

2025/09/19

紀伊國屋書店新宿本店にて

東京では紀伊國屋書店新宿本店にも寄った。

ここ、実は書店としてはそんなに大きくない。最近の巨大書店に比べれば、本の種類も冊数もイマイチだろう。が、本店のプライドにかけて、選書はこだわっている……はず。

その目で、森林コーナーを見る。

拙著は何があるかな。。。おっと、最初に目に止まったのは『森は怪しいワンダーランド』だ。それから……『虚構の森』。あ、訳書になるが、『フィンランド 虚像の森』もあった。棚はバラバラに分散気味。が、肝心の本が……。

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絶望の林業』と『盗伐 林業現場からの警鐘』は、平積みになっていた。本のポップで隠れていたよ……。まあ、出版後2年以上経っているのに平積みなんだから有り難い。『山林王』は、このコーナーには置いてなさそう。

こーゆーチェックは、書店の動向をつかむために大切なのである。

2025/09/18

科博「植物×匠」展にて

実は昨日まで千葉~東京に行っていた。なかなか忙しく、取材して食って飲んで……ああ会議もあった……が、その合間に覗くところはないかと探す。そして国立科学博物館に寄ってきた。ただ、ここでも時間がなくて、特別展「氷河期展」は見られず、常設館の「植物×匠」展だけ見る。

これは竹中大工道具館との共催で、主に日本の伝統家屋の建て前で使われる植物~木材だけでなく、茅葺き、檜皮、畳……などを紹介するミニ展示。

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この木材見本、わかるかな? 左からスギ、ヒノキ、アカマツ、そしてクリだ。

鉋屑で臭いも感じる……はずだが、すでに日にちが経っていて、臭いはほとんどしなかった(笑)。

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こんなコーナーで林業を紹介していた。誰か、ツッコミたい人、いる?

まあ、それにしても思うのは、暑すぎる(> <;)。街を歩くと熱いスープの中を泳ぐような気持ちになる。熱帯地方を旅したときの記憶が蘇った。もはや秋は来ないで、延々と暑い日々が続くのだ……。

おまけに科博の常設館には、こんな森林を模したコーナーもある。

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クマもいる(^^;)。先日の「森遊館」構想にはほど遠いが、こうした屋内施設内に森林環境を作り上げて、さらに林床に生きた草木を植えて動物も生活させることはできないか。

 

 

2025/08/27

クズ対策ハンドブック

『新クズ対策ハンドブック』をいただいた。

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発行元は、NPO法人緑地雑草科学研究所。気になる方は、リンク先を見てほしい。監修者は、伊藤操子・京大名誉教授。

≪目次概要≫
  序 章 葛がクズになった歴史  
       第Ⅰ部 クズ対策の基礎知識  
  第1章 クズとはどんな植物か  
  第2章 クズを制御するには  
  第3章 有害雑草被害認定の必要性とクズ問題  
       第Ⅱ部 クズの場面別問題と対策  
  第4章 耕作放棄地のクズと獣害との関係  
     :回避に向けた家畜の放牧  
  第5章 鉄道敷におけるクズ問題の現状と対策  
  第6章 河川におけるクズ問題と対策の現状  
  第7章 道路におけるクズ問題と対策の現状  
  第8章 太陽光発電施設におけるクズ問題と対策の現状  
  第9章 クズの雑草化と戦った日本の林業史  
       資料編   
  クズを適用雑草とする除草剤一覧  
  クズに関わる文献のリスト

クズは、日本在来ながら世界の危険草本の一つとして知られている。日本の野山などで野外活動する際に、クズに触れないことはまずないだろう。それは雑草としてだ。

実は、クズは古来よりクズでんぷんを取り出して食用にするほか,繊維で布や籠などを編むことまで、実に幅広く利用されてきた植物だ。それが近年になって雑草として嫌われるようになる。とくに皆伐後の林業現場では、クズ対策抜きで再造林もむずかしいだろう。対策といっても、もはや除草剤を使うしかないが。

またクズの栄養たっぷりの根を餌とするイノシシなどの獣害にも広がっている。

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このハンドブックでは、クズと日本人の歴史もふれてあり、なかなかクズ愛(^^;)に満ちている。

先日のNHKの「サイエンスゼロ」でもクズは取り上げられていた。こちらはクズを利用してバイオマス燃料にする……研究とかが紹介されていたが。もっとクズの遺伝子を使って成長力のある植物を作れたらいいのに、と思ってしまった。

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気になる方は、リンク先から手に入れてほしい。

2025/08/11

「突撃カネオくん」に出演した裏話

8月10日のNHK「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」に出演した。といってもZoomだが。

テーマは割り箸なのだが……これ、あんまり見てほしくない(笑)。

割り箸を取り上げるというのだが、輸入割り箸のことには触れないというし、私がカネオくんらしく、お金からの切り口をいくつも提案したのに興味を示さず「お金のことは触れないです」と言われてしまった……。もはや番組趣旨はお金から社会を見る、ではなくなっているそうだ。

そんな中で私が仕掛けた唯一の手は……。

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私の紹介を森林ジャーナリストとするのだが、割り箸に関しても詳しいことを説明するのに著書を取り上げてもらった。

割り箸はもったいない?』は当たり前。『森林異変』にも割り箸の章を設けて語っている。だが、どちらも絶版に近くて、現在ではほとんと手に入らない本なのだ。それでは私にメリットは少ない。

そこで『絶望の林業』を加えた。今、書店で扱っている本も加えないと、見た人が購入につながらないではないか。ただこの本には、実は割り箸のことは数行しか触れていない(⌒ー⌒)。あくまで吉野林業との絡みである。

それでも、ちゃんと表紙を紹介してくれたから、ヨシとしよう。

2025/08/10

ジュンク堂の書棚とブックオフ書棚

気がつけばお盆入りの3連休中日。

こんなときは定点観測的に書店に行って、森林棚を眺めるに限る。

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これはジュンク堂書店難波店。私の本がかなり置かれていることに安堵。持っている本も多いなあ。つい森林関係の本は買ってしまう。読むのが大変だけど。

そして近隣のブックオフも覗くと、ついにこの本も出展されくようになったか。

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『山林王』である。ブックオフというか古本屋では初めて見た。若干複雑の気持ちなのだが、まあ、古本流通に回るのは売れている証拠と思っておこう。ちなみに、そんなに安くなっていなかった。まだ新刊に近い扱いか。

書棚を眺めて、世の移り変わりや流行り廃りを感じとれるのだよ。

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