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森と林業と田舎の本

2019/10/12

『絶望の林業』朝日新聞書評

『絶望の林業』、朝日新聞の書評欄で紹介されました。

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なおネットの「好書好日」でも読めます。書き手は、どうも新聞記者ぽいと思ったら、論説委員でした。

ちなみに、拙著は以前はしょっちゅう朝日の書評欄で紹介されていた。とくに『「森を守れ」は森を殺す!』の出版時には、なんと書評欄で「ここまで書かなくても」と批判?されたのだ。この本は、「絶望の自然保護運動」的だったからね。そして森林ジャーナリストという肩書を最初に使ったのは、その書評ではなかったか。

今回は、タイトルに「環境も経済も持続へ 希望探る」とある。『絶望の林業』のうち希望を記したのは、6分の1ぐらい、それも「無理でしょ!」という絵空事なんだが、そこに注目するとはお目が高い(笑)。

今回の紹介では、プロフィール欄に「フリーの森林ジャーナリスト」としたうえに、著書として『森林異変』(平凡社)と『樹木葬という選択~緑の埋葬で森になる』(築地書館)を並べている。このチョイスは謎だ。『森と日本人の1500年』(平凡社)でもなければ、『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』(築地書館)でもない。文字数の関係かね?

ともあれ、共同通信の書評が全国の地方紙に掲載されるのに合わせて広がってほしい。

 

 

2019/10/09

なぜ?伸びる売れ行き

今週頭より、また『絶望の林業』が売れだした。とくにAmazonで動いている。

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今日(午前)は、なんと全書籍で418位。これは発売以来、最高位だ。ノンフィクション部門でも69位と二桁台をキープしている。

売れて喜ばしいのだが、発売後2か月が経って、この動きはよくわからない。3刷になって、ようやく各地の本屋に並びだしたのかもしれないが、Amazonと直接関係はなかろう。SNSでも、目立ってバズッた様子はないし。

とりあえず週刊エコノミストに書評は載ったが、専門誌だし、さほど大きい扱いではないのだが……。

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これはネット版だが、紙版とだいたい同じ(だろうと思う)。あと、朝日新聞の「次回の読書欄-好書好日」でも取り上げられている。これは今週土曜日に書評が載るよ、という背禁じた告知であるが、まだ本文がないまま、そんなに影響を発揮できるとは思えない。日経の広告は、さほと効果がなかった、とは版元の言葉(^^;)。

では、どこでどんな情報が広がって、売れているのか。わからん。正直、そんなに売れる本だと思っていなかった(^^;)。かなりマニアックでしょ、林業なんて。これまでタイトルの多くが「森林」とか「森」であり、「林業」と付いていなかったのも、森林の方が一般向きという意図からだった。自然よりも産業を扱う方が興味湧くのか。

いや、いいんですけどね。売れれば。ただ理由がわからんと、パタンと売れ行きが止まる恐れでってあるのですよ。

私としては、こつこつ口コミで広がってくれるのが一番。テーマは流行りものじゃないしね。9月は千葉の停電問題でYahoo!ニュースのほか新聞や雑誌に露出したから、このコメント出したのはどんな奴だ? と思って調べてたどり着いたのかもしれない。

ちなみに農水省地下の三省堂書店での8月の売上ランキングでは、以下の通り。

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「森林未来会議」の後塵を拝しております(^^;)。

 

2019/10/06

人の道を外れて獣道ファン

運動をしなければならないと思った。

近頃の体調不全は運動不足、それも自然不足にあるのではないか。

思えば夏の間は暑さを忌避して、あまり森を歩いていない。昨日のような森散歩はしていたが、ガッツリ歩かないから不眠や肩こりや胃痛や目の充血……と体調がおかしくなるのだ。

と決めつけて、久しぶりに山に入る。運動だから、ザックに水を詰めたペットボトルを幾本も入れて担ぐ。ざっと5,6キロか。これは小手調べ。徐々に重くしていこう……と思って家を出た。予定していた道はすぐに途切れたので、早速木々をかき分けることになる。未知のない斜面を直登する。蜘蛛の巣が顔にかかる。

……ぜえぜえ。あかん。重い。この程度で足があがらん。体力もかなり落ちていることを自認したのであった。これから鍛え直さねば。

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そこに現れた獣道。なかなかくっきり見えて、上等な獣道だ。ここだけなら山の小径に見える。が、後も先もないのだよ(^^;)。

私は獣道ファンである。獣道とは獣(おそらくイノシシ)の通り道だろうが、獣道を歩くと人とは違う視点で山を見られる。何を目的にこのルートを選んだのか、どこへ向かっているのか。そんなことを考えると、思わず自分の人生に当てはめてしまう。人の道から外れて獣道。


ご承知の方も多いが、昨日の朝日新聞の「耕論」の面に私が登場した。千葉の倒木停電から全国の林業危機、森林危機へと話を広げてほしいという依頼だった。さすが朝日新聞というべきか、ひさしく連絡をとっていないかった人から次々とメールなどで「新聞に出ていましたね」と連絡が来る。

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このところインタビューやコメント依頼が相次ぐのは、たまたま森林関連の法律が立て続けにつくられたことに加え『絶望の林業』の出版や千葉の災害と森林絡みの話題が相次いだのに森林林業について発言する人物が極端に少ないからだろう。

もっとも、別の面も見えてくる。

先日電話をくれた方は、以前取材した人なのだが、『絶望の林業』を購入していた。幾度も幾度も読み返したという。そして「ようやく林業のことがわかった。私が受けた仕打ちが理解できた」。

ここで、その仕打ちの内容は紹介できないのだが、かなりひどい目にあっている。この人は親から継いだ山を持っているのだが、理不尽な仕打ちにあって七転八倒してきた人なのだ。その過程で林業界に触れたわけだが、理解できないことばかり。

そして「ごめんなさいね」と言うのだ。実は私が取材を申し込んだ際に、県の役人や林業団体など林業関係の複数の人に私のことを訪ねたそうである。「森林ジャーナリストの田中という人は何者なのか」と。
かなり評判が悪かったそうである(^^;)。だから取材時も色眼鏡で見てしまった……。たしかにつっけんどんな対応だったなあ、と思い返す。

私としてはしてやったりである。林業界に喜ばれることなんぞ書いていたら森林ジャーナリストは務まらん。もともと業界に寄り添わない、ニッコリ笑って振り抜きざまに切りつけるのが信条だが、悪評こそ勲章。有り難い。

獣道だなあ。

2019/10/04

「 大阪万博奮戦記」の時代

関西の人以外は、いや大阪の人以外は誰も知らないかもしれないが、2025年に国際万国博覧会が大阪で開かれる。ほとんどの人は興味ないだろうし、情報も持っていないのではないか。

たまたま小松左京の「やぶれかぶれ青春記」(新潮文庫)を読んだ。表題は小松左京自身が青春時代(主に中学~旧制高校)を描いた作品だが、この本自体は30~40年ぐらい前に読んでいる。ただ、今回読んだ復刻版には、第2部として「大阪万博奮戦記」が収録されていた。こちらがショッキングな内容だった。

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知る人ゾ知るかもしれないが、SF作家として知られる小松は、1970年の大阪万博のブレーンでもあった。かつて(1980~90年代)は、影の立役者であり万博を主導した人物とさえ思っていたのだが……実は全然違っていたのである。

簡単に紹介すると、もともと新聞の片隅にあった「大阪へ万博誘致?」の記事を読んで興味を持ち、「万博を考える会」を発足させる。万博って何?何をするの?すべきなの? といったことを考える、まったく私的な勉強会であるが、メンバーには梅棹忠夫や加藤英俊など関西の碩学揃い(ただし、当時は30代の新進気鋭の学者というべきか)。そして万博のあるべき姿について意見を出し合っているうちに、本当に大阪万博が決定して、そのプロジェクトの渦中に巻き込まれていくのだ。

肝心の誘致した国は、単なる商品見本市の国際版的な目で見ていて、具体的なことは何も考えていなかった。そこで「考える会」の成果をパクろうとしたわけだ。しかし、それが「理念」の大切さや情報と世界の未来を描く必要性を突きつけたのだから不協和音が出る。それは官僚たちの主導権争いに巻き込まれることを意味し、世間からもまるで「万博成金」扱いされる中、戦い続けるのだ。
実際は、まともな経費も払われないまま、自腹まで切って行う「満身創痍」である。一時は下りかけたのだが、国のためではなく、ましてやお役所のためではなく「人類の未来のため」に引き受ける。小松にとっては戦争時代の総決算的な意味があったことは、前半の青春記から自然と浮かび上がるのだが。(それにしても、この頃の小松は30代前半である。多くの実働メンバーが30~40代。)

……それでも、なんとか動き出し、結果的には大阪万博を成功に導いたのは、小松の周辺の優秀な人々、そして当時の官僚の中にもいた全体像がつかめる人のおかげだろう。この本を読んで、もし小松左京が「万博を考える会」をつくっていず、単なる国際的見本市としての万博だったら、どれほどひどいものになったか想像できる。

……実は、万博当時の私は小学生で学級会の中でも幾つかの班に分かれて万博について勉強し全員の前で発表するという「授業」があった。一生懸命に調べて教室の前で発表するのは、なかなか緊張感のある経験だ。そのおかげか、今でも時代のなにかしらの空気感はつかめるし、万博がもたらした壮大な未来の夢の断片を感じる。

さて、2025年の万博まで約6年。ちょうど小松が考える会のつくった頃だ。果たして見えない裏側で50年前と同じような苦闘をしているメンバーがいるのかどうか。単に「東京五輪の次は大阪万博」と過去をなぞっているだけではないのか。戦後の幾つかの大きなイベント開催によって積み重ねたマニュアルに沿ってオシャレなコンテンツをチョロチョロと並べて、集客だけはできるようなウケ狙いのお祭にしてしまうような危惧を覚える。

正直、今の私は大阪万博になんの期待も持っていない。小松や彼を取り巻いた超エキサイティングな人材が現代にいるように思えないし、官僚社会はより強固に、人材はより小粒になっている。何より時代が違う。未来を見られた当時とは。
高齢化した社会に似合うのは、未来より過去の回顧ではないか。いっそ「絶望の日本社会」をテーマにした方が世界にアピールできるんじゃないか、と皮肉を言いたくなる。世界の反面教師としての日本である。

 

2019/10/03

インタビュー掲載誌紙届く

今日は、なぜか続々と掲載誌紙が届いた。

もともと8月は、私が取材を受けることが多かったのだが、それに加えて9月は千葉の台風被害問題でもアチコチにコメントすることになった。それらが一斉に届いた状態。私の執筆ではなく、書かれる立場の記事である。

全部は紹介できないが、いくつか披露しておこう。

まずは高知新聞。これは8月初旬に取材を受けた。テーマは森林経営管理法。四国各地に取材して回ってたうえで私のところに来たのであるが、5回連載となり、私の回は9月29日だったそう。余談だが、この記事を書いた記者は、このあと林業の勉強をするためにしばらく会社を休んで林業研修を受けるのだそうだ。なんか、林業沼に足を突っ込んでしまった……パターン(笑)。

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そして週刊プレイボーイ。この雑誌はいいよ。なんたって、グラビアに数々の色っぽいアイドルが登場して、付録に傳谷恵里香のDVDも付いている……記事がなかなかの硬派なのだ。千葉も現地入りして、かなり密に歩いている。私のコメントは最後のまとめ。

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ちゃんと『絶望の林業』にも触れてくれた。

そして、8月にオークヴィレッジで行った対談が、「オークヴィレッジ通信」430号に掲載。これは会員誌?なのか。
1ページ目と4ページ目を紹介しよう。

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最初に「絶望の林業」に触れて、最後に「希望の林業」に言及……ちょっとヨイショぽいが(笑)、なかなかバランスがよい。
ちゃんと本も紹介してくれた。

なお今週末5日(土)の朝日新聞にもインタビュー記事が掲載予定。

とまあ、こんなところです。自分で書かずに書いてもらうのは楽でいいなあ。

2019/09/29

日経新聞9・30

明日は9月30日。日経新聞を見てほしい。

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こんな広告が入っているはずだから。いや、私は確認していないけどね。。。

前回とわずかに文面が違う。何か。一つは、3刷になったこと。そして9・9千葉災害を受けて……。

ちなみに東京新聞にも記事(千葉停電を引き起こした倒木に関して)になったよう。こちらはまた改めて。

 

2019/09/25

3刷決定!『絶望の林業』

私ももういい年であり、今後は仕事を減らそうとたくらんでいる。食うに困らない程度に、楽しい記事、書きたい記事だけに絞っていこうかと思っている。穏やかな余生を送りたいのだ……と言う割には、尖った記事ばかり書いてしまっているが。

やはり楽しく。嬉しく。わくわくドキドキを。人生、暗く悩んで、絶望ばかりしていてはダメだ。

というわけで、楽しいニュース。

『絶望の林業』、3刷決定!v(^0^)

多分、3刷本は、10月初旬から店頭に並び始めるだろう。なお9月30日に日経新聞に広告を打つことになった。日経というところがミソか(笑)。業界ものとはビジネス書なのか……?

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なんか、久しぶりだなあ(泣)。こう見えても、以前の出版物では2刷、3刷……は幾度も行ってきたのだが、このところトンと縁遠くなっていた。出版不況とともに、自分の書きたいものと世間の興味とのズレを感じたのだが。

しかし、「絶望」が世間の琴線に触れたというのもミョーな気分。楽しい路線ではないような……。

 

ちなみに近鉄奈良駅前の啓文堂書店では、『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』がずらりと並んでいた。下段に4冊、上段に1冊。もう尽きていたのに、改めて並ぶのは追加発注してくれたのか。(^人^)。こちらは楽しい路線の本。

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2019/09/21

『絶望の林業』と一緒に買われる本

久しぶりに『絶望の林業』のAmazon 売れ筋ランキングを見てみると:本日は1570位だった。ノンフィクション部門で191位。

重版になったから、多少上がっているか。ちなみに三版になることが内定。まだ部数などは未定だが、重版した分が底をつきそうなのである。ありがたや。

ところでAmazonの項目を見ていると、「よく一緒に購入されている本」というコーナーがある。読者傾向がわかるし、似た分野の本が多いだろうから、新たな購入意欲を刺激しようというわけだな…。

Amazon

しかし、一緒に買われるのが『森林未来会議』と、『森と人間と林業』(いずれも築地書館)とは……。いずれも今年6月から8月に発行された林業関係の書物。

なかなか奇遇なのである。なぜなら、『森と人間と林業』の著者は、村尾行一氏。そして『森林未来会議』は熊崎実氏になっているが、複数の筆者がいて、そのうちの一人が森林総研の石崎涼子氏だから。

この二人に私を加えた3人は、実は奈良県の森林新条例の検討委員会のメンバーなのだ。約2か月に1回奈良に集まって議論している仲間。外部の委員は全部で6人ほどだから、そのうちの3人が時を同じくして林業系の本を出版したことになる。2冊の本の内容については、このブログで適時紹介しているからリンク先を読んでいただければと思うが、3冊とも現在の日本の林業事情を描いていて,ある意味似通った指摘をしているのだが、結論としてはちがう方向に向いているというのが面白い。

そして、各本に興味を持つ人は共通していることがわかるので、いっそ3冊セットで購入すると特典をあるようにできないかね(^^;)。

 

 

2019/09/20

反応は「森林ジャーナリストって、いるんだ」

今日は、TBS系の「ひるおび!」に出演。て、電話でコメントしただけだけど。

溝腐れ病の木の写真も送れというから、テレビ局なんだからビデオはたっぷりあるだろうに、と思ったら、最近はスタジオでフリップを使った説明が主流なんだね。

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内容的には、わりとていねいに使ってくれたように感じる。山武杉をケシカランとけなすのではなく、材質がいいことや花粉が少ないことにも触れてくれた。そのうえで単なる倒木ではなく中折れした木の処理の難しさも指摘している。

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ちなみにこれは、昨夜のブログを読んで、急遽追加になった。森林経営管理法とは出なかったけど、「災害等防止措置命令」が随分有名になったのではないか。林野庁よ、喜んでくれ(笑)。

なお今日の東京新聞にも出たようだ。こちらは取材を現地の人に振ったのに、コメントは掲載された。

 

それでツイッターの反応を見たら「森林ジャーナリストという職業があるんだ」というのが多かった……\(^o^)/。

いやあ、本当にこんな職業はあるんだろうか。でも世間の認知度が少しは上がったのなら幸いである。

 

さて、明日の講演会。なんだか雨模様の予報だが、私が行くとき帰るときは降りません。晴れ男ですから。霊感です。。。

しかし、ぐずついた空模様で本を担いで持っていくつもりなので、なるべく売り切りたい。重いものを再び担いで帰りたくない。そこで、大安売りすることにした。『絶望の林業』を特価2000円、税なし!!!(定価2376円)利益なしの出血サービス。ほ他に鹿の本も持っていこう。

本を買うためだけに来てください。入場料はかかるけど。

2019/09/18

千葉大停電記事の余波と森林経営管理法

驚いたことに、昨日執筆した「千葉大停電の遠因か。倒木処理の難しさと山武杉の悲劇を振り返る」の記事のアクセス数が100万を越えたようだ。

えっ、この記事が……?と筆者の私がいうのもナンだが、意外な反響ぶり。100万を超すのは、昨年の「バカマツタケ」以来だ。

おかげで昨日・今日は、さまざまなメディアから問い合わせが相次いだよ。それなりに対応しておいたが。。。

どうも私が一義的に伝えたかった「倒木処理は簡単じゃないよ」ということより、山武杉の悲劇、つまり溝腐れ病に興味があるようだ。こちらは専門ではないのだが、知っていることを伝える。ついでに日本の林業の衰退の原因だとかも聞かれる。つい「安い外材に押され」たわけではないことを力説し、さらに国産材の質が外材よりはるかに悪いことを説明する。国産材は乾燥がなっとらん、反る、曲がる、縮むと使うとひどい目にあうんだ、と……。こちらの方に驚いてくれたら、多少とも世間の思い込みを破壊できるだろう。

 

今回の千葉の停電は、電線に引っかかった樹木を処理するのが大変なわけだが、その理由には倒木処理の技術的大変さとともに、電力会社の立ち会いがいることや所有者の了解を取り付けることの困難さの問題がある。

しかし、電力会社の立ち会いはともかく、昨年成立した森林経営管理法があるではないか? これで所有者の了解はかなりクリアできる。

森林経営管理法の中には、災害等防止措置命令」もあって、危険と判断された森林は所有者の同意がなくても、市町村が伐採などの命令を出し業者に委託できるのだ。もともと、この法律は「経営する気がない」森林所有者の山を、自治体が所有者の管理権を取り上げて他者に委託できる条文がある。地元自治体が「勧告」し、さらに知事が「裁定」して、それを決定できる。これを「見なし同意」と呼ぶが、所有権をないがしろにするという点で非常に危険度も高い。その気になれば、他人の山を勝手に伐ったり道を入れたりできるのだから。

しかし、もう一つ、緊急事態こそ使える条文もあるのだ。それが「災害等防止措置命令」だ。こちらは知事の裁定さえ抜きで市町村の首長が決められる。このままでは災害を引き起こしかねない森林の伐採や斜面の保全工事を行えるのだ。もちろん専門家の意見を聞くことなどの縛りはあるが、基本的に独断専行が可能だ。これを使えば、道路際で電柱や電線に絡みかけている樹木を伐採する「伝家の宝刀」になるのではないか。今のような緊急事態には対処しやすくなるだろう。

もちろん、危険性はより高い。他者の森林を防災の名の元に伐る乱用に陥らないように慎重になるべきだ。しかし、今のような緊急事態にはフレキシブルに使えないだろうか。

……おそらく森林経営管理法の内容を十分に理解している自治体は非常に少ない。こうした点を伝えるのもプラスではないだろうか。

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千葉で見かけた電柱の設置し直し工事。

 

 

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