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森と林業と田舎の本

2020/11/26

1年3カ月後の『絶望の林業』書評

「グリーンパワー」12月号の書籍紹介欄に『絶望の林業』が取り上げられた。

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いやあ、忘れられかけた時の紹介、有り難い(^o^)。さすがに一時の勢いはないが、コツコツ売れて、もう一度増刷されることを願っている。

ちなみにこの紹介の中で木材の価格について触れている。現在は木材の量ばかりを追って安きに流れていること、国内の消費者は「国産材は高い」と思い込んでいること、実際には「世界一安い」と言われていること……。
実は、私は今も価格の形成の原理について考えているのだ。何が商品(とくに木材)の価格を決めるのか。

たとえば労働価値説に基づけば、数十年かけて育てる木材の価値はかなり高くなるはずだ。だがほとんど価格に反映されない。それどころか長引いて太くなると、逆に安くなる有様。
では市場原理に基づいて供給と需要のバランスかと言えば、それも怪しい。補助金が狂わせているのは言うまでもないが、それ以上に木材代替マテリアルの席巻で、需要が増えても供給が絞られても価格は上がらない。上がりかけたら代替物に移るからだろう。それにタイムラグもありそうだ。需要に合わせた供給にタイムラグが数か月以上あるので、価格に連動しにくい。必要なときに適切な価格にならない。さらに気候や海外リスクなど不安定要因も数多くて、それを価格にどう取り込むかわからないまま。だから異業界の思惑で動く。林業界内で制御できない。

……という風に考えていくと、結局合理的な木材価格の形成要因がぼやけて見えないのだ。

これを分析して解決方法を編み出さないかぎり、林業は産業として成り立たないのではないか。まさに絶望のまま終わる。

そう、『絶望の林業』の確信は強まるばかりだ。

 

 

2020/11/22

「ガダルカナル島の近現代史」とソロモンの切手

『ガダルカナル島の近現代史』(内藤陽介著 扶桑社刊)を読んだ。

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ガダルカナル島(餓島)は、太平洋戦争において、旧日本軍の海軍も陸軍も墓場となったような激戦地として知られる島だが、私にとっても思い出深い。40年近く前に初めて、その後も学生を連れて探検隊として訪れたからだ。

その旅については「ナンバワン ソロモン」に記したが、こちらはソロモン諸島ではあるが、ガダルカナル島はほぼ登場しない。私の処女作とも言える「不思議の国のメラネシア」には、少し触れているかな。また「森は怪しいワンダーランド」にもソロモンの体験は多く取り上げている。

ともあれ、懐かしの島である。私も訪れるときは、それなりにソロモン諸島の歴史、そして餓島の戦闘などについては勉強したものだが、決して詳しいわけではない。そこでこの本を読んだのだが、いやあ、知らないことばかり。

イギリスのソロモン植民地がいかに苛烈な……というより現地人を人間扱いしていなかったかわかるし、戦争についても一般の戦史とは切り口が違っている。そして独立する成り行きや、その後のソロモン政府まで……。こんなにヘンで怪しい人物がソロモンの首相だったのか、と驚く。
実は私の滞在中にも選挙があったりしたのだが、わりとウェストミンスター流に、投票で議員と首相を決める点は感心していた。しかし、その陰で……。なぜ日本の会社ソロモンタイヨーが撤退したのかも、ようやくわかった。

なお表紙の帯文には「中国の札束外交に……」とあるが、これは最終局面であって、中心の話題ではない。ただ混乱の外交と内政の中で最後につけ込んだのが中国だったわけだ。そしてソロモン諸島は恩のある台湾を捨てて、中国と国交を結ぶ。一部の島を中国に売り渡すという噂もある。

著者の内藤氏は、郵便学者という肩書を使っている。郵便物、とくに切手を通して各国の事情や歴史、政治まで読み解く学問分野を自ら切り開いたそうだ。だから本書にも、多くの切手が紹介されている。

それで思い出した。私もソロモンの切手を持っていたのだ。と言っても、滞在当時に動物が描かれた切手ばかりを選んでお土産のつもりで購入したはず。あまり歴史はわからない(^^;)。

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価値があるかどうかわからんが、なつかしい。

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激戦地ガダルカナル島オースチン山の記念碑で遊んでいた子どもたちと、撃墜された飛行機。おそらく日本軍のものだろう。

2020/11/09

北日本新聞に『獣害列島』

北日本新聞(富山県紙)の読書欄に『獣害列島』が紹介された。10月24日紙面である。

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新書欄だから、コンパクトだが、新聞としては異様に早い。だって、発売が10月10日である。2週間で載せてくれるのは珍しいのではないだろうか。あ、先の夕刊フジも一緒だが、あちらはデイリーマガジンという位置づけだからね。

もし3かして、記事は共同か時事の通信社配信かもしれないが、早めに載せておこうと思ったのかもしれない。

なぜなら、富山県の隣の石川県小松市は、クマ出没のメッカ……と言ってはナンだが、駅前のショッピングセンターまでクマが侵入するほどの状態。加えて米どころだし、獣害には敏感だろう。

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これ、小松市のクマ出没のマッピング。改めて見ると、すごいね。これをクマの営業マンさんが頑張っている……と茶化してはいけない(-_-;)コラコラ

ともあれ、獣害はすでに農作物被害は及ばず、身被害へと重心を広げているのかもしれない。

2020/11/04

『獣害列島』自著紹介記事

時事通信発行のAgrioは、pdfで発行される電子農業誌だが、ここに『獣害列島』を紹介してくれと頼んだら、自分で書けと言われた(笑)。

いや、そうではなくて自著につながる記事の執筆を勧められたのだ。

そして掲載されました。本の紹介は別枠として、世間に獣害が広がっていることを説明する記事。Agrio自体は農業関連団体や官公庁のようだが、あえて都市部向きに書いた面はある。農村の農作物被害が獣害だと思い込んでいるとエライことになりますよ、と都会人に通じるかどうか。

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この記事をブログに載せることについては、承諾を得ている。まあ、著作権は私にあるのだけど、発行権はAgrioなのだよ。

不思議なもので、執筆中は世間の獣害についての理解が低いことを嘆いていたのだが、発行前後からクマの出没に代表される野生動物の都会出没が相次いでいる。あと10年もしたら大都会に深刻な獣害が広がる……という心づもりだったのだが、それ以上というか、まさか出版直後から大騒ぎになるとは。予言したわけでも、狙ったわけでもない。クマが営業マンというキャッヂフレーズで売り出したいぐらい。

ちなみに今日は、東京お台場にサルが出たとな。

 

2020/11/03

「山林購入ブーム」番組の裏側

今日が祝日なんて、すっかり忘れていたよ……。

しっかり朝から仕事をしていたわけだが、夕方にふとテレビをつけると、ローカルニュース番組でいきなり「山林購入ブーム」をやっていた。

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まだ続いているのか、このネタ。9月10月はこのネタで私も結構アチコチコメントしまくったが……そして今度は私自身に執筆依頼が来て、今朝書いていた原稿も「山林購入」についてなのだが(^^;)、全国版のテレビで取り上げたのをローカルが後追いするのは、ちとみっともなくない?

とはいえ、見てしまう。私の原稿のネタになるかもしれん(笑)。

しかし、あけすけなほどキャンプ目的の山林購入を持ち上げているのにあきれた。みんな山を買って、そこでキャンプしてハッピー! みたいな例ばかりを紹介する。価格も〇〇〇坪で、何百万円と安い! と連呼。いや、本当の山林価格はもっと安いよ。それ、業者を通しているから高くなっているよ、と私は心の中で叫ぶ(笑)。そして最後に山を持つことのリスクを十数秒しゃべらせたかな? という程度。

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そして気づいた。ようするにこのテーマで取材するディレクターが、「山を買って、そこをプライベートキャンプ場として楽しむ」人たちに憧れているんだ。取材しながら「楽しい」「山を買ってよかった」と言わせようとしている。できれば自分も山を買おうかな、と密かに思っているのかもしれない。自分の願望を反映させている番組なんだな。
私だったら、そこを突っこめば、山を買ってからの大変さ、ちょっと後悔していることを聞き出すのにな、と見ていて思ってしまう。

ただ、すでに山林売買は「個人の夢」から「事業対象」に移っている。こんな「山林購入がブーム」という番組や記事を読んで、それなら彼ら向きのキャンプ場を建設したら一発当たるんじゃないか、と事業欲で山林購入が動き出している。だから番組の中には、自分たちだけがキャンプするのではなく、キャンプ場を建設して事業として行うために購入した人も登場していた。

でも、キャンプブームも移り変わるからね。現在は、グランピングのような豪華キャンプと、他人と接触しないソロキャンプにブームが分かれているが、さて、生き残るのはどちらだろう。

 

2020/11/01

HPに『獣害列島』のページ

すっかり忘れていた。いや、HPのことを。

いつも新刊を出版したら、自分のHPにその本を紹介するページをつくるのだが、今回はなかなか作ろうとしていなかった。SNSでは熱心だったのに。それだけHPの地盤沈下というか、力を入れなくなったのだね。

とはいえ、書籍名で検索をしたら、やはり内容を紹介したサイトが出てくる方がよい。版元のサイトにもよく似たものはあるから、お任せになりがちだが、自分のHPを持っている限り、ちゃんとやらねば。

……というわけで、突貫工事でつくった。

http://shinrin-journalist.la.coocan.jp/chosaku-juugai.htm

ものすごく、そっけないつくり(^^;)。いやあ、目次などを張り付けただけではないか。しかし、序文は全部読める。多少は第1章も載せようかな。ほかのページも追加していくつもりだ。買わずに読めるページがあるのは特典だろう。でも、どこまで載せるか。。。今しばらくお時間を。

 

 

2020/10/29

夕刊フジに『獣害列島』書評

相変わらずクマの出没は各地で続いているようで、まさに『獣害列島』営業マンの活躍だが……。

初めての紙の書評は、夕刊フジだった。

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10月22日号(21日発行)である。有り難や。ま、コロナ禍も獣害である……というのは、明らかになる真実というより、わりと初っぱなに書いてしまっているのだけどね(^^;)。むしろ「共存の道はあるのか?」という難問の方が大変。ヒントは奈良のシカにあり?

 

2020/10/25

クマは『獣害列島』の営業マン(^o^)

このところ、クマに関する取材依頼やコメント依頼が相次いでいる。

実は、今日の昼12時からの「ABEMA的ニュースショー」にも出演しているはずだ。はずだ、というのは私は見ていないから(笑)。なんかよくわからないが、この番組、テレビ朝日がつくっているそうだが、クマの出没が相次いでいることに関するコメントをzoomで求められて、ちょっと話した。それが多分使われているはず……だ。このABEMA的ニュースショーはネットで放映していて、しばらくは見られるということなので、そのうち確認してみよう。

で、ほかにもBSテレビ東京の番組からも取材を受けた。こちらもそのうち使われるのだろうか。ほかにも雑誌などあったような気がするが、覚えていない。。。

いずれも私はクマの専門家ではないことを繰り返して説明した上でのコメントである。クマの生態とか聞かれても、私は注意深く避けて、あくまで世間一般、あるいは研究者が言っていることを伝えるというスタンス。でもって、私の見解として「クマは増えている」「人馴れしてきた」ことを伝えている、つもりである。

まあ、研究者ではなく私に取材が来るのは、Yahoo!ニュースで獣害の記事を書き、『獣害列島』を出版した効果だろう。
ともあれ、クマが人里に出没してくれると、『獣害列島』の宣伝になるという……クマは営業マンを務めてくれているのである\(^o^)/。

 

というわけで、何ヵ月ぶりかに大阪のイオンモールに出かけた。大阪はコロナウイルスが蔓延しているイメージなんで出かけないようにしているが、ついに越境!まあ自宅から20分くらいなんだけど。そして、本屋で初めて確認した。

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3冊も並んでいた。私が書店が確認したのは、これが初めてである(^o^)。

 

2020/10/23

「大江戸商い白書」に炭屋を見る

大ヒット中の漫画・アニメ『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎は、炭焼きが職業のようである。まあ、その後鬼退治の剣士になるそうだが……実はマンガを読んでいないしアニメも見ていないので、ストーリーはよくわからん。ただこのおかげで炭焼きという職業が注目されているらしい。舞台は大正時代だが……。

さて今回読んだのが、「大江戸商い白書 山室恭子著 講談社選書メチエ

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舞台は江戸時代だが、江戸の町奉行所などの残している古文書を解析して、商店の分析を行っている。これがなかなか緻密で、よくまあ、ここまでと思うほど商店の数や内容がわかることに感嘆する。そして、それらの史料を数量分析を重ねて江戸の商売事情を浮き上がらせた労作だ。各町に何人住んでいたかまでわかるのだから、国勢調査なみ。

そして、意外な江戸の商い事情を描き出した。たとえば一つの商店が存続したのは、平均15,7年にすぎない。つまり潰れては新たに起業する、を繰り返していたのである。しかも株(商店経営の許可証みたいなもの)を孫子に相続することは珍しく、多くは譲渡。全然、2代目の若旦那、ぼんぼんなんか滅多にいなかったことになる。

そして。私が目を止めたのは、お店の業種だ。

ある年代では、41業種のうちイチバン多いのが「炭薪仲買」であった。それも全体の4分の1を占める。そして米屋が2番目でほぼ同じ。なんと約半分、つまり5割がお炭屋か米屋だったのである。

起業も炭屋か米屋がもっとも多い。どうやら新規に店を開きやすい業種だったらしい。なぜなら米も炭も、日々必要な食料と燃料であって絶対売れる。しかもかさばって重いから、遠くの店まで買いに行きにくい。各町になければ運ぶのに困る。そして商品は全部仕入れるにしても、品質はあまり問わない。どこの店で買っても同じものが手に入る……というわけだ。

ただし、同時にものすごく利益は少なくて、儲からない商売でもあった。だからすぐ潰れた。

こんな分析を見ていると、炭や薪の商売は、まったくもって厳しい。そこに納品している炭焼きの手取りはどうなるんだ、と心配になる。いや、もしかしたら、炭焼きの方が引く手あまただから儲けていたのかも? なにしろ江戸の町で燃料を自給することはできない。どんな貧乏長屋でも、自炊するにも暖を取るにも、お金を払って燃料(薪や炭)を購入していたはずだ。

大坂の場合は、薪炭は四国や九州から仕入れていた。おそらく江戸も、関東一円から東北当たりから薪炭を輸送していたのではないか。輸送には川を使ったか。となると大がかりな商いとなる。明治・大正時代になると、徐々に汽車やトラック輸送も始まっていたかもしれない。

とまあ、こんなことを考えながら、「鬼滅の刃」を読んだら面白い……わけないか(´Д`)。

 

 

 

 

 

2020/10/20

書評「植栽による択伐林で日本の森林改善」

このところ、私の講演では奈良県の恒続林計画を話すことが多い。別に勝手にやっているんじゃなくて主催者側から「奈良県のケースをぜひ」とか「恒続林について触れてくれ」という要望があるからである。おかけで私は奈良県の森林新条例と、そこで恒続林をめざす方針に触れながら、奈良県フォレスターの育成などについての話を各地でしている。まさに奈良県の広報マン(笑)。

ただ奈良県フォレスターはともかく、恒続林となると難しい。何もメーラーの「恒続林思想」から説き明かす必要はないにしても、林業(木材生産)と森林生態系保持をいかに両立させるかという理念だけでなく、技術的要素に触れざるを得ないからである。そして日本で恒続林をつくる技術はまだ確立されていない。せいぜい、各地の成功事例を紹介する程度だ。

そこで、この本。

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植栽による択伐林で日本の森林改善 (梶原幹弘著 築地書館)

本書には恒続林という言葉は一度も登場しないが、択伐、それも針広混交林を対象とするとしている。これは恒続林につながると言ってよいのではないか。
 
目次も紹介しておこう。

はじめに

Ⅰ 木材生産と環境保全の歴史と現状
1 天然林の利用
原生林
木材生産と環境保全への利用
2 皆伐林と択伐林の成立
日本
ヨーロッパ
3 皆伐林の増加と環境保全対策
皆伐林の増加
環境保全対策
4 森林の現状とその問題点への対策
森林の現状と問題点
現行の対策とその疑問点

Ⅱ 樹冠からみた皆伐林とヨーロッパ方式の択伐林の比較
1 基礎資料とした林分構造図について
幹曲線と樹冠曲線の推定
林分構造図の作成
2 樹冠の大きさと空間占有状態および量の差異
樹冠の大きさ
樹冠の空間占有状態および量の検討
3 木材生産機能の優劣
樹冠と幹の成長との関係
幹材の形質
幹材積生産量
4 環境保全機能の優劣
水土保全
生活環境保全
景観の維持
野生動植物の保護
地球の温暖化防止
5 森林経営上の得失
森林の健全性と持続性
施業実行の難易
木材生産の経営収支

Ⅲ 森林の改善策
1 皆伐林とヨーロッパ方式の択伐林の総括
木材生産
環境保全
森林経営
2 森林改善における基本方針と森林区分の見直し
基本方針
森林区分の見直し
3 択伐林導入の方法と効果
皆伐林
環境保全用の森林
4 経費負担と支援体制
経費負担
支援体制

おわりに

梶原氏は、以前も「究極の森林」という本で択伐を記している。それも針広混交林だ。今回は、それをより煮詰めて、理論的にした感じ。
ドイツと日本の択伐施業を紹介するとともに、生長量や木材生産能力、防災機能、生物多様性(野生動物)、景観、地球温暖化、そして林業経営までを皆伐林と択伐林を比べている。その結果は、択伐林の圧勝(^_^) 。まあ、ちょっと身贔屓すぎないかと思う点もあるのだが、長期的な視点からは択伐にした方が木材生産も増えるのだそうだ。

あえて言えば、景観で日本人は人工林の景色の方を好む点を指摘している。これは別の意味で興味深い。一般に人はイメージで「人工林より天然林」を喜ぶように思えるのだが、実際の調査では吉野や北山の林立するスギなどの景観の方を美しいと感じるという結果が出ているのだ。択伐林はより天然林に似ているのだから、好まれないことになる。
一方でスギやヒノキの天然更新が難しいことも指摘。混交林にするための間伐の仕方や植え付けの仕方まで言及する。

その点は理論的でありつつ、実際の恒続林づくりの技術につながるのではないか。

奈良県フォレスターの業務も幅広いが、とくに不成績造林地の更新の際には、混交化が大きなテーマになる。荒れたスギ林の中に、いかに広葉樹を誘導するか。そしてスギも広葉樹も元気に育てる育林を行えるか。多分、これまでにない施業を行うことは反発も強いだろうから、相当ていねいに取り組まないといけない。

奈良県フォレスターは、そうした技術を身につけなければなるまい。フォレスターアカデミーは、それらを学ぶ場になり得るか? 各地で取り組んでいる人を呼んでほしいし、彼らの技術を奈良県の各地に根付かせるための実験と工夫が必要だ。私の感覚では、おそらく弱度の抜き伐りをしつつ、森の変化をこまめに観察して次の手を繰り返す多段階間伐をしないといけないと思っている。

1本の伐る木を選ぶのに1年かけた……というドイツのフォレスターに負けない苦労がありそうだ。本書は、そうした取組の教本になるのではないか。

 

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