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森と林業と田舎の本

2021/10/06

林野庁がマンスリーレポートを発刊

林野庁が、webで「林産物に関するマンスリーレポート」を今月から発行することになった、らしい。マンスリーなんだから月刊なんだよね。

なんでも意図は、「木材需給、木材価格、木材産業の動向などに関するデータを集約・整理し、毎月定期的に公表しようとするもの」

すでに9月号が創刊準備号で発行されている。

令和3年9月創刊準備号 

(仮)というているから、簡単なイメージ的なものかと思いきや、なんと43ページにもなる大部なもの。目次だけ引用すると、

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しかもカラーで派手(笑)。内容は、ちょっと古い数字も混ざるが、もっと直近の動向を分析抜きで出してほしい。こうしたスピード感と一次情報を出してくれるのは有り難い。EUや中国の動向もグラフで示されているし、為替レートまで掲載している。まだ本号が発行されていないのにべた褒めするのはどうかと思うが、こういうのを待っていたんだよ\(^o^)/。本号は毎月何日に出すのだろうか。

願わくば、割り箸統計も載せてほしい。ここ10年ほど、姿を消しているから。。。

白書は1年遅れだし、しかも中身は何か意図的な取捨選択を感じるからなあ。妙な解説で色付けしないで、すばり現場の数字を出してくれるのが一番使い手がある……て、私は、分析しようと思わないけどね。それは直接利害関係のある林業関係者がやるべきだろう。

私は、つまみ食いするだけ(笑)。林業に閉じこもらずに、もっと大きな世界を俯瞰したい。そして俯瞰した視線から細部を見ると、また別の世界が広がっていることに気づくよ。

 

 

2021/10/02

2020年の木材自給率は41.8%に!

ひっそりと発表されていたから目につかなかったが、2020年の木材需給表が発表されていた。

それによると、木材自給率は41.8%。前年比で4.0ポイントも上昇している。いきなり4割台に立ったのである。これは自給率10年連続上昇でもある。

もっとも、さほど自慢できる状況でもないことはわかる。

2020年の木材の総需要量は7443万9000立方メートル、前年から746万6000立方メートル(9.1%)減少しているのだから。
とくに用材が、前年に比べて987万7000立方メートル(13.9%)減少、しいたけ原木も9000立方メートル(3.6%)減少、燃料材だけが241万9000立方メートル(23.3%)増加している。

国内生産量は、3114万9000立方メートルと前年比16万1000立方メートル(0.5%)増加した。もっとも用材は182万5000立方メートル(7.7%)減少している。しいたけ原木が9000立方メートル(3.6%)減少、燃料材が199万5000立方メートル(28.8%)増加……つまり全体の消費は減ったのに、燃やすための木材生産が増えたから自給率も上がった、というちょっと詐欺的(笑)な増え方。
もはや木材の主な使い道は燃料……という前々世紀の社会にもどってしまったかのよう。

ちなみに2020年の輸入量は、4329万立方メートル。前年と比較すると762万7000立方メートル(15.0%)減少した。用材が805万2000方メートル(17.0%)減少し、燃料材が42万4000立方メートル(12.3%)増加している。

昨年はウッドショックがあって用材(建材)輸入が減ったことも影響を受けているだろうが、結果として(見かけは)4%も自給率が上がって林野庁的には嬉しいのではなかろうか。

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2021/09/07

「2倍速で育つ木……」?違和感満載の日経記事

日経新聞に「2倍速で育つ木、実用化へ ウッドショック対策で林野庁」という記事。

まさか、こんなことを林野庁とあろうもの(笑)が、本気で口にしたとは思えないのだが。

簡単に記事の内容をなぞれば、「ウッドショック」の動きを受けて、林野庁は国産材供給の体制を強化するため、通常より2倍程度の速さで育つ樹木を2023年度にも実用化するという。具体的には「コウヨウザン」や「センダン」早生樹種を想定しているとのこと。交配の研究や最適な植林環境の調査を進めて早期実現するために22年度予算の概算要求に盛り込んだ……というのである。

あまりのおバカな記事なので唖然としたのだが……一過性のウッドショックと、早くても20年以上かかる木材の成長と生産を混乱させている。(ここからは日経記者の勝手な思い込みと思うが)背景には高騰が続く国産材価格がある。日本は輸入材に頼り、19年時点で建築材の総需要量(3800万立方メートル)に占める国産材の利用量は半分弱にとどまる。足元では輸入材の入荷減が国産材価格の高騰も招き、住宅メーカーなどに影響が出ている。

国産材が高騰して林野庁が困ることはあるまい。喜ぶべきだし、住宅メーカーが困っても、それは国交省や経産省のカテゴリーなので気にしないでよい(自慢の省庁縦割り)。だいたい国産材の利用量が半分弱にとどまる、ではなく半分弱にまで高まったのだ。(構造材に限れば、もっと高いと思う。)

それに「2倍速で育つ木」という言葉も恥ずかしいが、コウヨウザンもセンダンも、材質的にスギやヒノキの代替にならないだろうなあ。木材ならみんな一緒と思っているのか。ようするに早生樹種の研究と実用化のための予算を概算要求に取り入れたという記事を煽り記事に仕立てたように思う。

 

ところで、私が驚いたのは、上記のようなトンチンカンの部分ではない。最後の方にこのような文面があるのだ。

政府は6月、30年に国産材の割合を6割強まで増やす目標を設定。輸入材への依存度を下げて中長期的なコスト高のリスクを減らす狙いがある。

2030年に木材自給率を6割強にする……という意味なの? これ、本当? 6月に設定というが、どこに記されているのだろうか。

そもそも25年までに5割というのが目標だったはずで、これは達成できるかどうか微妙な線。約38%から12%を5年程度で上積みするのは大変だろうな……ぐらいに思っていたのだが。

今年6月といえば、森林・林業白書を出したほか、新たな「森林・林業基本計画」を決定して「全国森林計画」の変更をしている。このなかに自給率6割超えの目標なんかあったっけ。

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ようやく見つけたのが、「森林・林業基本計画の概要」の中にある木材利用計画量。R12年の見通し・目標が建材総需要量4100万立方メートルに対して国産材利用量が2600万立方メートル……とあるのを6割強と表現したのか。ちなみに木材全体では需要8700万が国産材4200万となっているが、これだと木材自給率は48%程度。つまり2030年になっても、まだ50%に達せないということになる。

日経記者は、木材の利用と言えば建材用という前提で記事にしたのかもしれないが、ちょっと違和感満載なのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/08/08

外国資本による森林買収に関する調査

まだやってんの? と言いたくなるのが、林野庁の「外国資本による森林買収に関する調査の結果について」。

外野がうるさくて、止められないんだろうなあ。でも、数字を見ると毎度のことながら無意味さを感じる。

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合計12件、22ヘクタール。

平成18年から令和2年の事例の累計は278件、2376haだそうで。相変わらず1ヘクタール未満も多いし、はっきり別荘建設としているものまで森林買収に入れるべきかね?
なお、国内の外資系起業と思われる者による森林買収は26件、404ヘクタールである。こちらの累計は240件、5765ha。

詳しくはリンク先へどうぞ。

せっかくだら、国内の森林取引の実態も合わせて報告してほしい。そして外国資本と対比させたら、その規模が一般にも伝わるのではないか。1ヘクタール未満を入れたらちょっと多くなりすぎるかな……昨年はプライベートキャンプ場にするための森林買収が伸びたから、その影響も見てみたい。
どうせなら使える・考えさせる報告にするべきだ。素人は、1ヘクタールの土地……ええと、3300坪か、そんなに広い土地が外国人の所有になっちゃったの~と住宅地と同じ感覚で見てしまうだろうから。

だいたい森林の取引を増やして流動性を持たせることが、林業にもプラスに働くと思う。目的はなんであれ、所有者が移ることでマネーフローが増えて関心も向く。そして、金を払って手に入れたら寝かすことはあまりなく、何らかのアクションを起こすだろう。それが林業的なものか、プライベートな趣味なのか、まったく新たな事業なのか。

 

 

2021/08/04

全然わからんけど「自然関連財務開示タスクフォース」

自然関連財務開示タスクフォース(TNFD)というのを知っているだろうか。

国際的な金融の仕組みづくりなのだが……日本では、おそらくほとんど紹介されてないのではないか。

具体的には、企業や金融機関が自然への依存度や影響を評価、管理、報告するための枠組みを検討するための国際イニシアチブ、だという。自然関連のリスクを測定し、世界の資金フローを自然環境に対してポジティブにしていくことを目指している。
……私もよくわかっていない(^^;)。全然具体的じゃないな。

もともとは、今年6月に英国で開催されたG7サミットで採択された「2030年自然誓約」に基づく。生物多様性が失われている中で、30年までに自然の損失が進む流れを反転させ、「ネイチャー・ポジティブ」にすることを宣言したものだ。この点については、私も紹介している。

ほとんど知られていない国際的な「自然への誓約」

ともあれ、この誓約を受けて「自然関連財務情報開示タスクフォース」が発足したのだ。企業が事業活動を通して自然にどれだけ依存し、影響を与えているかを把握し、開示する枠組みをつくる役割を担う。最終的な成果は、環境リスクや影響を可視化し、自然や人々にとってマイナスとなる資金の流れを減らすことだという。

ようするに森林や農地、海洋などの自然資源の持続的な利用に際して、金融界と産業界が「自然資本」に十分投資することが重要だとした。
運用資産総額は、8兆5000億ドル(940兆円)

肝心なのは、国連やイギリス政府、金融機関が主導して立ち上げたこと。いわゆるNPOやNGOではない。作業部会には欧州の金融機関が多く参加している。企業が情報を開示することで金融機関の投融資を促すという。

なんだか国際金融機関も、生物多様性保全のための投資に乗り出したということらしい。わからんままでも、メモ程度に記しておく。

日本政府は、こうした動きをわかっているのかなあ。少なくても政治家で知っている人は何人いるのだろう。

2021/08/01

総務省がバイオマス発電の影響を調査

総務省が、30日に木質バイオマス発電に関して、製紙業などの木材需給への影響を検証するよう経済産業省と農林水産省に要請したというニュースが流れた。製紙原料の国産チップがバイオマス燃料に回ることで、調達費用が上昇するなどの影響を懸念しているらしい。

これ、各省庁などの政策評価の調査の一環だというのだが、ちと面白い。

このところ再生可能エネルギーに対する風当たりが大きい。メガソーラーしかり、風力しかり。しかし私は、最大の問題はバイオマス発電だと思っている。メガソーラー設置や風車建設では、山林を切り開くことが問題だが、それは開発する最初だけだ。バイオマス発電では、その面積分の山林を毎年切り開いているようなものだからだ。それほど莫大な木材を燃料としている。山林を破壊して、何が脱炭素か、と問いかけたい。
それも最近では近くに木がなくなって遠方からの移送が頻繁になり、輸送のための温室効果ガス排出量をかえって増やしている。もちろん輸入燃料の使用も脱炭素にほど遠いし、海外の山を破壊しているだけだろう。

もちろん、風力では低周波とかバードストライクもあるし、メガソーラーもほかにさまざまな害を及ぼすことが指摘されるが、それらは設置場所や方法の問題である。

私は小規模分散で、たとえばソーラーも建物の屋根や遊休地などへの設置なら歓迎したい。何より気候変動防止のための脱炭素の問題は焦眉の急なのだから。なんとしても二酸化炭素排出を減らさないと、どこぞのメンバーは再び原子力発電に頼るべしと言い出すだろう。(もう言っているか。再生可能エネルギー批判を喜んでいるのは、実はそうした原発推進勢力である。)

だが、菅総理が脱炭素化に向けて舵を切る発言をしたことから、再生可能エネルギーの増強、なかでもバイオマス発電の拡大が見込まれる。

経産省のエネルギー基本計画の改定案では、2030年度の電源構成に占める再生可能エネルギーの比率は36~38%(現行計画は22~24%)だが、バイオマス発電もなりふり構わず増やさないと達成不可能だろう。

ただ、「製紙業への影響」という点に調査を絞っているのは、総務省の遠慮が透けて見える。たしかに製紙用チップ(C材)が、バイオマス燃料に持っていかれてしまう現状は問題なのだが、根本の脱炭素に当てはまるのかどうかを検証しようとは思わないのだろう。それをやると、すべての再生可能エネルギーのパンドラの箱を開けるかのような騒ぎになるから。
それに、調査を「両省への要請」だから、自分で行うわけではない。果たしてどんな結果を示されるか。両省が問題あり、と指摘すれば、自ら推進してきたバイオマス発電の足を引っ張ることにもなる。

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昨日も見てしまった、大規模皆伐地。これで何ヘクタールあるかねえ。こんな山が増えていく。

2021/07/28

厚生労働省の「ワンヘルス」

ワンヘルス、one health、という言葉が気になって調べてみた。

きっかけはNHKの「サイエンスZERO」で奄美・沖縄が世界遺産に指定されたことに触れたものなのだが……。

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簡単に言えば、人の健康は動物全体の健康、そして自然環境の健康と結びついている、あるいは逆に自然環境の健全さが人の健康にもつながると読み解けるだろうか。ようは、それらは一つの「健康」として捉えるべきだ、という考え方なのだが……。

そこで「ワンヘルス」で検索すると厚生労働省主催のセミナーが紹介されていた。

人と動物の一つの衛生を目指すシンポジウムー人獣共通感染症と薬剤耐性菌ー

講師は、迫田義博・北海道大学大学院獣医学研究科微生物学教室の教授。

その内容をタイトルだけを追うと、こんな感じ。
1. 人獣共通感染症とは?
2. One Healthのコンセプト
3. 鳥インフルエンザウイルスとは
4. One Healthの実践 鳥インフルエンザ編
5. これからの課題 インフルエンザを例に
6. まとめ -One Healthの実現のために

おお、これはCOVID-19、つまり新型コロナウイルス感染症そのものではないか。私も『獣害列島』(イースト新書)で取り上げた人獣共通感染症問題もワンヘルスと関わるのか。
人獣共通感染症の病原体は、野生動物と共存していた微生物であり、それが人に感染した時にどんな状況がもたらされるか。そして動物にいた微生物がなぜ人にうつるかと言えば、自然環境の攪乱がある。だから地球上の生態系の保全は、人と動物両者の健康が相まって初めて達成できるということだ。

取り上げている事例は、鳥インフルエンザだが……。

そこで気づいた。このセミナー、平成28年3月20日に開かれたものだった。2016年にすでにここまでのことが課題として上げられていたのだ。厚生労働省、思いのほか早かった。もちろん、その背景には国連などの機関が課題として上げていたのだろうが。まさにコロナ禍は予言されたものと言ってよい。

ここで気になるのは、野生動物の棲息地であり、その生態系である。その大部分が森林地帯とその周辺なのではなかろうか。

そこで農水省のホームページでも調べてみたら、たしかにこちらも扱っているが、それは主に畜産であった。畜産動物から人間に感染する心配なのだが……しかし、家畜の97%を占めるウシやブタ、ニワトリは、ある意味、保健衛生に気づかわれていて、未知の感染症を持っている可能性は高くない。やはり野生動物、森林の動物が危険なのだが……どこも触れていないなあ。林野庁のホームページでは? そりゃ、ないものねだりでしょ(笑)。

そして厚生労働省も、概念としてのワンヘルスを早くから取り上げていたにもかかわらず、コロナ禍には事前準備もなく、なすすべもない。

日本には、わりと先駆者はいるのだが、それを活かす能力に欠けるのだろうか。

 

2021/07/15

EUのガソリン車とプラ締め出しを真似ろ

EUが、ハイブリッド車を含むガソリン車など内燃機関車の新車販売について2035年に事実上禁止する方針を決めたという報道があった。
以前から言われていたし、個別の国の指針にも出ていたと記憶するが、やはりEUとしてバーンと打ち出すと迫力がある。やる気満々だねえ。

ただ、もっと地道で強烈な政策も打ち出している。

今月3日には「使い捨てプラスチック指令」が施行されているのだ。とくに10種類の使い捨てプラスチック製品を具体的に指摘している。
具体的な10種類の製品とは以下のとおり。これらが海洋ゴミの7割を占めているという理由からだ。

・綿棒スティック
・カトラリー(フォーク、ナイフなど)、皿、ストロー、マドラー
・風船とそのスティック
・食品容器
・飲料カップ
・飲料容器
・タバコのフィルター
・ビニール袋(レジ袋)
・パック、ラップ
・ウエットティッシュと生理用品

これらのうち、持続可能な代替品が手頃な価格で入手できるようになったら、EU内で販売できなくなる。今回販売が禁止されるのは、綿棒スティック、カトラリー、皿、ストロー、マドラー、そして風船のスティック。発泡スチロール製のカップ、食品・飲料容器も入る。するとタバコのフィルター以下は、まだ当面は使われるのか。レジ袋も生き残る。ただプラ食器類は全滅……というか、今月から完全に禁止の模様。

なお酸化型生分解性プラスチック(従来のプラスチックに添加物を混ぜて、時間とともにバラバラの細片になるもの。プラそのものは分解しない)は禁止になるとか。


なぜ、これほどEUは強気なんだろうか。もちろん市民の環境意識の高さが第一だろうが、経済戦略的にもプラスと睨んだに違いない。すでに電気自動車は先行しているから、日本車やアメ車を締め出すことをできる(中国車は力をつける?)ことも睨んでいるのではないか。プラ食器類も、代用品はすでにできているのだろう。おそらく木製か紙製。

日本だって、つくれないことはない。木製トレイや木の型抜き式のスプーンもある。EUにこれらを輸出するぐらいの気合があればよいのだが。(無理だろうなあ。)

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国際社会で優位に立つには、理想(環境問題の解決)を掲げるとともに、自国・自陣営内の有利さも重要なファクターだ。日本は、そうした駆け引きがまったく苦手で欧米、いや中国などにも遠く及ばない。

たとえば私は、違法木材使用を完全に禁止にしたら、現時点の木材需要の約1割(ほぼ外材)を締め出せるから、その分国産材にチャンスが回ってくると随分前から唱えている。自由貿易原則内でも、「違法伐採」「森林破壊によって調達」された木材を締め出すのは、大義名分が十分に立って文句の付けようがない。国産材の需要拡大とか林業振興を本気で実現したいのなら、大義名分に引っかけて外材を排除できる。さもないて、勝手に国産材優先などを打ち出したら海外からWTO違反で批判を浴びるのだ。

だが、まったく動かない。それどころかクリーンウッド法のようなネボけた(どころか違法木材を容認するような)法律をつくる能しかない。真面目に違法木材を取り締まったら、国産材も外材以上にトレーサビリティがなく、過半が否定されるとおびえているのだろうか。人災、国産材は違法というより合法を証明できないグレー木材が多すぎる。
あるいは違法木材を使っている木材業界の脅しに屈したか忖度したか。いや、おそらく取り締まるのが面倒くさいからだろう。外国機関のほか関係省庁や政治家と粘り強い交渉が必要で、大変な業務になる。仕事を増やしたくないのだ。

だがEUだって、電気自動車や脱プラスチックを掲げて(反対勢力もあるだろうに)挑んでいるのだから、日本もやる気出せよ、と言いたい。仮に厳しく違法木材を締め出した結果、国産材も沈没して合法な外材ばかりになるか、木材需要そのものが減ることがあっても、それは地球環境に貢献したことになるのだから胸を張ればよい。そして国産材の(本物の)合法化に力を注ぐべきだろう。

 

2021/06/29

保安林解除を推進?再生可能エネルギーのため……

林野庁が、保安林指定の解除をやりやすくするマニュアルづくりに乗り出した。

ようするに地熱発電や風力発電、それにメガソーラーなど再生可能エネルギーを進めようとすると保安林指定された森林に引っかかることが多いが、そのため保安林の解除が必要になる。

現状ではちゃんと手続きを進めていくと1年ぐらいかかるが、もっと迅速化するための手引だという。必要な点を明確して書類づくりや事前相談をやりやすくするわけなのだろう。

保安林とは水源涵養だとか土砂災害防止ほかさまざまな用途に合わせて指定して、その用途以外への転換ができない。当然、地熱開発や風車建設やメガソーラー設置ができない。だから解除を申請するのだが、なかなか進まない理由として業者が不慣れというか手続き方法を知らないこともある。そこでマニュアルをつくって、手取り足取り早く「森林破壊」できるようにしてあげましょう、ということか。

これって、マニュアルづくりと言いつつも、指定解除に手を貸すことである。しかし林野庁なら、本来は抵抗すべき筋のものではないか。目的をもって指定したものを、業者の希望に沿って解除する手助けとは。しかも、解除された森林は、実質破壊される運命だ。木を伐らずに地熱開発も風車やソーパーパネルも設置できないのだから。

この調子だったら、バイオマス発電の燃料調達のための保安林伐採も進みそう。

これは、菅総理が進める二酸化炭素排出削減46%(2030年)達成のためになりなりふり構わぬ動きに出たとしか思えない。しかし、考えてほしい。こうして再生可能エネルギーが増えたとしても、結果的に森林を破壊すれば大気中の二酸化炭素は減らない。増えるかもしれないのだ。

先に生駒山の奈良県がメガソーラー計画の工事を差し止めた件を紹介したが、やはり国は推進したいのだ。

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これは平群町のメガソーラー計画地。48ヘクタールがすでに切り開かれた(3分の1は残置森林だそう)。遠目に撮影したものだが、わりとはっきり切り開かれた部分が目に入る。ここにソーラーパネルを並べられたら、見事に反射して目立つだろう。

業者は一時的に差し止められても、すでに土地を購入しているし、かなりの資金を投入しているはず。簡単には引かないかもしれない。あの手この手で林地開発申請書の不備を直して再提出を目論むだろう。そこに国の省庁が手を貸す可能性は……あるな。ある。保安林ではないし、すでに伐採済だが、国定公園内だけに、さまざまな規制がある。加えて今回の差し止め理由となった排水処理や高圧電気の送電線など許認可がいっぱいだ。

アメリカのファンドは、政府内に人脈も築いているだろうから、奈良県に圧力かけるかもしれないなあ。

 

2021/06/28

ガボンの巨大「カーボンクレジット」

中央アフリカの国ガボン。そこで驚きの計画が発表されている。

Next Africa: As Oil Fades, Gabon Bets on Its Forests


ガボンは予算の半分以上を占める収入源として森に賭けるというのだ。

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森林を伐採して開発をする……ようなギャンブル計画ではない。アフリカ保護開発グループに70万ヘクタールの土地の帯を持続的に開発する権利を与えたのだ。このアフリカ保護開発グループ〔African Conservation Development Group 〕とはどんな存在かわからない。アラン・バーンスタインという人が創業者兼会長とあるから民間企業のよう。そして「持続的な林業」「農業」「エコツーリズム」「インフラ整備」などの部門を持っている。また傘下には、生態学、野生生物観光、持続可能な林業、自然資本評価、気候ファイナンス、カーボンオフセット市場の分野で世界をリードする専門知識を持つ人材を揃えているのだそうだ。

とにかく、広大なコンゴ盆地の熱帯雨林の一部を保護することでカーボンクレジット債券を得る計画らしい。見返りとして、ガボンはエコツーリズム産業と持続可能な広葉樹伐採事業を行うことを望んでいる。

カーボンクレジットは各地で行われているが、たいてい決まった森林を伐採開発計画から防ぐために行われるものだった。だが、今回のガボンは、複数の土地利用でより広い地域を保護するための計画だ。ガボンはすでに森林保護に関する以前の合意に基づき、1週間に1700万ドルを受け取っているとか。

あまりにも壮大な仕掛けなんで、日本人には理解しづらい(^^;)。ただ森を預けてカーボンクレジットでこれだけの資金を得られるのなら、日本もいっそ預けた方がいい。赤字垂れ流しの林業より、上手く経営してくれそうだ。

いくつか謎の言葉がある。「世界で2番目に森林に覆われた国 As the world’s second-most forested nation 」とはどういうことか。面積ならロシアやカナダ抜きに語れないから、ここでいう森林とは熱帯雨林のことだろう。熱帯雨林ならブラジルに次ぐか?ガボン一国ではなく、コンゴ盆地の熱帯雨林のことかもしれない。アマゾンに次ぐ中央アフリカという意味かな?

もう一つ、ガボンの環境大臣はイギリスの植物学者リー・ホワイトとある。外国人が大臣をしているのか。それも学者が。そんな融通が効くのも面白い。
そして大臣の発言「私たちがコンゴ盆地を失うと、気候変動との戦いに負けます。国として、私たちはアイデアを推し進めようとしています。排出量を削減するために支払うのではなく、排出量を吸収するために支払うのです」。

世の中、どんどん動いている。アフリカも大きく変わりつつある。

 

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