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森と林業と田舎の本

2020/09/10

ヒグマと奈良県フォレスター

北海道知内町の広葉樹シンポ、実はその前に森林観察会があって、森を歩くことになった。
参加者は20人くらいはいたと思うのだが……そこにハンターが二人。猟銃を背負って登場。これ、クマ対策なのだ。実は知内を含む道南は、今やヒグマがもっとも多いところの一つだという。知床より多い?とか。北大のヒグマ研も、こちらで研究しているらしい。

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大人数がザワザワと歩くのだから、まず大丈夫だと思いつつも、実際に木々の幹にヒグマの爪痕がある。さらにシカが食った後も見かけた。
だから彼らの先導で進むのであった。

Dsc05842トドマツに残るデカいヒグマの爪痕

さて、そんな最中に電話があった。奈良県の森と人の共生推進室(以前の林業振興課の一部がこんな名前になった)だった。

後で掛け直したのだが、奈良県の森林管理職募集を9月3日で締め切った報告である。以前紹介した、奈良県フォレスターになることを前提とした県職員の募集だ。5人程度の枠に、なんと121人の応募があったらしい。女性も1割以上いるそう。詳しい内容は改めて公表するとのことだったが、想定以上?の人気だったらしい。この件では、私は奈良県の広報マンになってしまっているだけに(^^;)、告知宣伝した甲斐があったというものだ。第1次試験は9月27日にある。全国から奈良に集まる皆さんの、合否より面構えを見てみたい 。

森林観察の後にあったシンポジウムでは、広葉樹も収穫できる針広混交林づくり⇒恒続林を提案したが、そこで奈良県の試みを紹介する。結構な反応があった。ヨーロッパに似た森林の広がる北海道は、恒続林施業の適地でもあるし、北大には恒続林の講座も残っていたのだから、この地でも挑戦してもらいたいのだが。

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実は先日の遠野のシンポでは、主催者側から奈良県の取組を紹介してくれという要望があったので、そこそこ詳しく奈良県の森林政策について紹介している。こちらのシンポは「持続可能な多種共存の森」づくりがテーマだったから「画期的だ」という期待の声が上がった。……こうして振り返ると、私は随分、奈良県の広報マンをしているなあ。まあ、森林政策だけだけど。

ちなみに誤解されないように付け加えると、今回の募集は、あくまで奈良県職員だ。121人から5人程度を選抜し職員にしてから、奈良県フォレスター・アカデミーの学生になる。ところがアカデミーのフォレスター科定員は、約10人。つまりあと5人分の学生枠は残っている。純粋な学生としてアカデミーを卒業した後に、奈良県フォレスターになる道もある。こちらの入試の出願締切は11月だから、まだ応募可能である。我というものは挑戦していただきたい。

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ああ、また奈良の広報マンになってしまった。。。

 

2020/08/26

奈良県フォレスターの募集記事

まだ募集していたか。と思ったのは、朝日新聞奈良県版に「奈良県フォレスターになれる県職員の募集記事が出ていたから。

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なんか、もう締め切りがすぎていたように思っていたが、募集は9月3日までのようだ。なんたって、先に県職員になってから学校に入学できるという有り難いコースだから奈良県内だけでなく、広く全国から受験することを期待するけどね。

ちなみに記事には、「約10年周期で常駐」とか「森林組合や民間企業への就職をめざす生徒も5人程度募集」とか、なんかわからんこと書いてある。そりゃ絶対異動がないと断言はできないし、県職員になるつもりのない入学生もいるかもしれないが、どうもニュアンスにズレを感じる。

ちなみに昨夜の講演では、このフォレスター話もしたのだが、期待と懐疑が半々ぐらいかな(^^;)。
そんな役職つくって何が変わるねん、という気持ちもあるが、少なくても奈良県は新しい道に踏み出したから期待してみようか、という気持ち。

実際、フォレスターが誕生するまで今から2年半かかるし、それが赴任しても十分に仕事ができるまで数年かかるから、結果を見るまで5、6年はかかる。長い目で見ようよ、ということである。そもそも制度と人材は別だからねえ。

 

 

2020/08/18

林業・木質バイオマス発電の成長産業化に向けた研究会 (@_@)

資源エネルギー庁と林野庁が、先月「林業・木質バイオマス発電の成長産業化に向けた研究会」を立ち上げて第1回会合を開いた。

テーマは、「木質バイオマス発電の発電事業としての自立化と、木質バイオマス燃料の供給元としての森林の持続可能性の確保を両立させるため、経済産業省、農林水産省、及び関係事業者団体等が、課題認識を共有するとともに、課題解決に向 けた方策を官民連携により検討」すること。

バイオマス発電を成長産業に、とは恐ろしい発想ではないか。今まで以上に建設して、数を増やし、多くのバイオマスを燃料に燃やすという意味なのだから。私は、早く撤退してほしいのだが。

バイオマス発電は、燃料を集めるのが最大のネックだ。そこで燃料費をFITで嵩上げして集めている。しかしFITは20年で切れる。それまでにコストを削減しなければならないが、燃料コストが全体の7割も占めるだけに、そう簡単に削減できない。削減するというのは、木材を安く買いたたくということだ。それでは売る人がいなくなるだろうし、何より林業振興にならない。補助金を積み上げて高く買い取れば、燃やすために木を伐ってしまうから、これまた林業は持続的にならない。

やるとしたら、産廃(建設リサイクル材)のような安価なバイオマスだけを燃料にすることだ。それは成長産業にはならない……。どう考えても堂々巡りで、成り立たない。

さて、肝心の会議は傍聴はオンラインでできるということだったが、さすがにおつきあいはしなかった(^^;)。

その内容と当日の資料が、経産省のHPで公開されている。

第1回 林業・木質バイオマス発電の成長産業化に向けた研究会

その中から、両庁の資料が見られる。

なかでもエネ庁の資料には、

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なんとFIT制度を20年度中に抜本的に改めるとな?本当ならすごい。なんとか「未利用材」区分をなくしてくれないか。そして輸入バイオマスにFITを適用しないでくれ。それでは維持できないというのなら打ち切ることだ。

一方で両庁が、それぞれ課題と思うところを並べていた。

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なんか、生ぬるい。絶対に成長産業にならないことを薄々感じつつも、無理やりこじつけて結論を出そうとしていないか。早生樹植林まで持ち出しているが、植えて、育てて、燃やす、のだろうか。さらに広葉樹を持ち出すところを見ると、雑木林や天然林も燃料扱いか。

私も委員に入れてほしかったなあ(笑)。徹底的に論破してつぶしてやるのに。

私案としては、バイオマス発電はゴミ発電と抱き合わせて、全国に5件くらいに絞る。発電は従として熱利用を主とする。燃料は、ゴミと端材と建設リサイクル材のみ(もちろんFIT価格はずっと引き下げ)。これが量的にも限界だろう。林業振興ではなくなるから、林野庁は外してゴミ問題を扱う環境省を入れる。

いかがか?

2020/08/05

林野庁次長に浅川京子氏

このほど農林水産省の事務次官・末松広行氏が退任し、後任には官房長の枝元真徹氏が就任した。ま、これはすでに流れていたニュースなのだが、林野庁がらみでは、次長に四国森林管理局長などをつとめた浅川京子氏が就任する異動もあった。

おそらく林野庁次長に女性は初めて(森林管理局長としても初)だと思うが、それはともかく、どんなお人なのかちょっと探る。

すると農水省の女性キャリアを紹介する冊子があって、こんなインタビューが載っていた。

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内容は、公務員の心構え的な無難な内容(^^;)。そこで経歴を見ると、入省後最初は林野庁林政課だったようだが、その後東北農政局、いきなり労働省職業安定局、水産庁の協同組合課、食品流通局、林野庁の林政課調査官、水産庁の加工流通課長、厚生労働省の職業能力開発局育成支援課長、農水省にもどって経営局総務課長、そして林野庁の四国森林管理局長……その後も水産庁資源管理部長、関東農政局長、去年は大臣官房総括審議官を務めていた。目まぐるしい。

農水省の中でも本丸の農業だけでなく林野、水産もまんべんなくこなし、さらに労働畑ですか。ちなみに東大法学部出身。広く浅く? オールマイティー?なのは事務官らしい。

経歴からだけでは、林業、それも産業面に精通しているとは思えない。四国森林管理局長の経歴が強調されているが、それは2014年から1年間だけみたい。1年で何ができる。

 

あえて期待するなら、劣悪な林業現場の労働環境を改善することだろうか。とりあえず、従事者がまともな保険に入るようにね。入らない(雇用者が入れない)事業体も多いから。労災も申請できるようにね(雇用者が申請させないところも多い)。事故率が全産業の10倍以上という異常さから抜け出ることだ。もっともその前に、違法行為をさせないことかな。法律守っていないところが多すぎる。あまりにささやかな目標かもしれないが……。

ちなみに気分転換法は、床に壁に鍋を磨くことだそうで。無心に磨く……といわずに、木のフローリングに目覚めてほしいなあ。フローリングの木はどこのなんという木か。合板にフリッチ張っただけかもしれない。とはいえ建築物でもっとも触れやすく、また価値も高いのは造作材だよ。建築基準法にも適用されないしね。国産材フローリングをもっと売るといい。それとも木は傷がつきやすいから磨きがいがないかな?

次長となると、将来は長官の目もあるのだろうか。だが、幅広い経歴の持ち主だから、長官は長官でも水産庁もあり得るかも。事務次官だって。ま、どこでも何でもできる人なのだろう。林業以外は?ヾ(- -;)。

 

ちなみに異動は、ほかに林政部林政課長に経営課長、国有林野部管理課長などもあったようだよ、林政課長の永井春信氏は、未来投資戦略で林業の成長産業化を担当していた人かな? 知らんけど。

2020/07/17

「奈良県の森林管理職」制度を考える

奈良県の森林管理職の募集要項(試験案内)が発表された。先に『ひっそり募集?奈良県の「森林管理職」』に記したものである。

森と人の共生推進室のHPにも記された。いよいよだ。

ちょっと引用すると

奈良県では、スイスやドイツの森林管理官(フォレスター)を参考とした「奈良県フォレスター」(市町村において、長期間、同一の森林に関する行政事務を担う奈良県職員)となる職員(森林管理職)を採用するための試験を実施します。
この試験に合格し、採用された方は、県職員として令和3年4月開校予定の奈良県フォレスターアカデミーに入学し、2年間のフォレスター学科における教育を経て、卒業後に「奈良県フォレスター」に任命される予定です。

この奈良県フォレスターに関しては、

森林環境の維持向上に関する専門的職員として奈良県フォレスターを県に置きます。
奈良県フォレスターは、目指すべき森林への誘導、森林環境の維持向上に関する技術・知識の普及指導、森林の巡視などの専門的事項をつかさどります。

とある。試験内容に関してはリンク先を見ていただければよいが、ちと思うところを。

と言っても、単なる感想や評論ではない。というのも、私は、この制度の元になる条例「奈良県森林環境の維持向上により森林と人との恒久的な共生を図る条例」づくりの検討委員会に参加していたからである。もちろん私に条例づくりの権限も知識もなく、あくまで理念面での意見を述べただけだ。それでも、多少は内部事情を知っている立場から個人的思いを説明しておきたい。

まず、私は「制度(条例)は器」であると考えている。制度をつくれば施策が動き出すわけではない。中に何を入れてどう利用するかである。ただ器がなければ何も入れられないし、動かせない。いかなる森への思いも実行に移せない。

その意味でこだわったのは、森林を総括的に見て指導できる役職の必要性であり、その担当官は長期間異動しないことだ。通常の行政職員では2~3年ごとに異動があって専門性も地域密着性も薄れる。地元の人も舐める。だから原則動かない立場の確保すること。
そして森林施業の許認可権限を持つこと。これは条例レベルでは難しかったが、「届出」をきっちりチェックするという発想で形作った。施業前と後に担当官が現地に足を運び調査確認することで、書類だけの植林も、書類とはかけ離れた伐採も、ごまかすことができなくなる。そこから指導力を発揮してもらいたい。
一方で地元密着しすぎても癒着する。また給与が担当地域の林業収入で賄うことになったら、危険だ。その点、県職員という身分が保証されたら、生活の安定とともに地元の林業家にもの申す距離感ができる。

……とまあ、こんな形の「器」をつくり出した。もちろん私が提案したのではなく、委員の理念的意見に対して事務方が知恵を絞って理念を具体化する方法として設計された。私はその内容に「お見事!」と思っている。結果、議会も通ったのだから器として完成したわけだ。

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一方で、奈良県フォレスターアカデミーも開校し生徒募集も始まった。めざすは「器の中に入れる人材」の育成だ。これは、土壇場で大きな変更があった。

フォレスター学科の募集人員は10人だが、その半分5人を、最初から奈良県職員とするというのだ。給与をもらえるわけだから、現林業従事者など社会人が入学すると、学生の間の生活をどうするかという問題が解決する。全国から経験豊かで志のある林業関係者が応募できるのではないか。大英断だ。もっとも、卒業生が奈良県以外の地域に出て行ってしまわないように仕掛けた安全弁かも(^o^)。

ちなみにスイス林業を参考に、と紹介されているが、これは世間の勘違いを呼び込みかねない。たしかにスイスのフォレスター学校と提携する、というのは看板として目立つが、スイスの林業技術をそのまま学ぶわけではない。学ぶのは理念だ。その理念は、大雑把に言えば豊かで健全な森づくりを第一とする林業だ。今の日本の主流となった木材生産量を競う林業ではない。
だから学ぶ技術は、コミュニケーション能力とか生態学、生物多様性など広範囲な知識だろう。恒続林をめざすのも、スイス・ドイツの技術で行うのではなく、針広混交林など豊かな森を育てながら木材生産も同時に行うという理念だけを取り込む。そのための技術は日本(奈良)独自のものを考え出さないといけない。なお、恒続林をつくるのは吉野林業のような確立された林業地で行う必要はなくて、舞台はおそらく施業放棄林・不成績林になるだろう。

こんな担当官(フォレスター)を養成するのはなかなか厳しい。よっぽど全国の多くの人が応募し、その中から選別しないと適格者はいないのではないか、と思う(^^;)。

そして、どんな優秀な人材でも、アカデミーを出たらすぐにフォレスターとして活躍できるとは思えず、また赴任する地域に溶け込む大変さもある。おそらく完全に制度が機能するまで数年から10数年かかる。長い覚悟が必要だろう。短期間で結果を求めて制度をいじったら林野庁の二の舞になる。

委員会中に私が口にしていたのは、「奈良県の森を林野庁から守れ」であった。林野庁というのは全国一律の、短期間で成果を出そうとする制度の代名詞で、そうではない制度と理念で森を守りたいという意味。そして全国の森がボロボロになったときに、奈良県だけに健全な森が残っていたら、奈良の林業発展間違いなしだ。

さて、この器が機能するか否か。中に入る適格者は現れるか否か。求む、志のある林業人。

2020/07/16

森林・林業基本計画のパプコメ募集

林野庁が、来年度に予定されている「森林・林業基本計画」の変更に向けてパプコメ、つまり一般からの意見を募集し始めた。(まあ、これは法案ではないけど、一緒だろう。)

募集期間は、6月30日から始まっていて、7月20日(月曜日)17時00分までというから、あんまり日が残されていない。しかし、1分野に意見を200字以内ってなんだ? ツイッター並にしろってか? それとも200字以上書かれたら読むのが面倒くさいのか? いや、長々と文句を書かれたら困るからなのか。

職業欄も、なんだか業界人ばかりをイメージしているようだ。多くの人は「一般消費者」に区分されてしまう。ちなみに分野は以下の通り。このうち一つ選べって。難解もログインしてもいいのかね。

なおフォレストジャーナルでは、その告知をしつつ、参考文献として北海道大学森林政策学研究室の柿澤宏昭教授の論文「平成28年森林・林業基本計画と森林・林業基本法についてのいくつかの考察」を紹介している。
(私は、こうした告知をしっかりする点でも、フォレストジャーナルを買っている。従来の林業雑誌にはないだろう。)

私は……ちょっと気分が削がれたかな。

私がもの申すとすれば、何より「法律を守れ」。「法律を守らせろ」。「違反者はちゃんと摘発しろ」。これだけだ。

林政としての意見はいろいろあるが、それは立場によって分かれるし、なぜそうした意見を言いたいのか説明しようとしたら複雑になる一方だ。しかし、法律に従え、というのは当たり前すぎるほど当たり前の要求だろう。言われる前にしなくてはならん。そして林業現場では、それが見事にないがしろにされている。林野庁の施策は、それを後押しさえしている。
それによって棄損するのは、まず税金である。国民の血税が無駄に、無意味に使われている。そして森林生態系そのものが棄損している。

こんな状態で、将来に向けて顔向けができるのか。あああ、私が書くと怒りが噴き出て200字に収まらないので、書かない(^^;)。

ぜひ、皆さん書いてください。怒りに任せて。

 

2020/07/14

密漁対策の漁獲証明制度、創設か

また、宮崎県で盗伐案件で逮捕されたようだ。詳しいことは明日の朝刊に載るそうだが……このところ、次々と起訴されている。それでも盗伐、つまり違法伐採は収まらないのだが……。それより先に

水産庁が動く、かもしれない。

林業と双璧をなす?違法取引オンパレードの日本の水産業だが、このほど有識者の検討会で漁獲証明制度創設の内容を取りまとめた。

内容は、なかなか思い切った施策だ。産地などを表示した漁獲証明を添付しなければ販売・輸出できなくするというのだ。漁業者が魚種や水揚げ量、漁獲日などを漁協に報告し、漁協がこれを基に漁獲証明番号を付与する。そこに扱う漁協、日付、ロットなどの情報も示す。事業者は、証明番号などを記載した販売・購入記録の保存を義務化する。

ただし、すべての漁獲物にそれを当てはめるのは無理があるので、現在考えられているのは、アワビとナマコ。これって、反社会勢力、つまりヤクザの資金源になっている密漁品だ。なにしろ日本の市場に流れているアワビの約半分が密漁品と言われ、中国に輸出されるナマコも大半が密漁品。将来的には伊勢エビなども対象にしたいという。私は、シラスウナギも加えるべきかと思うけどね。

なお輸出品も漁獲証明を必要とする。輸入する水産物の一部も相手国の漁獲証明書を求める。これがこのまま法律として成立すれば、結構厳しいものだ。これらを排除することができれば、アワビなどは市場に流通する量は激減し、価格は高騰するかもしれない。

こうなると漁業者や卸売、加工業者、小売りなどは証明の表示がある水産物しか扱えなくなる、はずだ。証明書のない水産物や正規品に密漁品を混ぜて販売した場合には罰則も設けるというから、なかなか水産庁本気か?と思わせるのだ。(もっとも、あくまで検討会の案だから、それを水産庁が法案化して、それを国会で通せるかという点が不明確なのだが。)

秋の臨時国会に関連法案を提出する予定だそうだ。法律が成立したら、2年後には運用を開始する。原案どおり法律ができるか。それともヤクザさんのために抜け道をいっぱい用意してあげるのか。

やはり反社会勢力が参入していることが大きいのかなあ。今や暴力団に対する締めつけは相当厳しくなったので、それに連動しているのだろうか。

さて、林業界はどうするのだろうか。違法伐採、無断伐採、違法木材の輸入などが今も続く状況に何らかの手を打つ気はあるのか。

残念ながら林野庁にやる気は見えない。ようやく作った法律がクリーンウッド法だからなあ。初めから抜け道をつくった中身のない形だけの対策。そもそも違法を取り締まるつもりはなくて、合法にしましょう、とよびかけるだけ。盗伐が相次いでいることに対しても、遺憾声明さえ出さない。

しかしその気になれば、取り締まりは水産業界より簡単だと思うのだ。何より業者が(違法に)手にしようとしている金の原資は、たいてい補助金だから。最初に取り締まるだけでなく、施業前と後に厳しく検査すれば、すぐボロが出る。デタラメな伐採届と実際の施業。重機購入。それを抑えて利益が出なくなれば、違法行為をやる意味がない。

林業の場合は、ヤクザの参入というよりは国がヤクザの育成をやっているような気がする。ヤバイことできる余地やチャンスをわざとつくって暗に勧めるのだから。。

 

2020/07/09

今更ながらの「過剰木材緊急対策」

コロナ禍不況対策として打ち上げられた「令和2年度 過剰木材在庫利用緊急対策事業」に目を通してみた。

この件に関しては、Yahoo!ニュースに「輸出木材の保管費用もコロナ禍対策?輸出拡大をめざす農林産物の怪しげな内容」を書いている。ここでは、コロナ禍対策が木材輸出の在庫に補助金を出すことか! と突っ込んだわけだが、それをそのまま延長したような対策事業(笑)。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡⼤により、林業・⽊材産業においては、中国への丸太輸出の停滞、資材難による住宅建築の遅れ、経済活動全体の停滞などにより、国内外での⽊材需要の減少やこれに伴う在庫の増加、減産、⼊荷制限等といった事態が起こっており、事業者の事業継続に影響が⽣じています。
輸出の停滞により⾏き場のなくなった輸出向け原⽊を有効活⽤するため公共施設等における⽊材利⽤を⽀援します。

どうしてもコロナ禍による木材輸出の停滞を強調したいらしい。中国は、すでに正常化しているって。在庫が増えた原因は、国内の建設現場の停滞だろう。今どき輸出木材抱えて「売れない!」と嘆いている業者は、ビジネスの失敗をコロナ禍に隠しているだけではないか。
さらに付け加えれば、水害で山は各地でズタズタになっていて、木が出せなくなっている。現在の在庫が尽きたら、原木価格は一転値上がりするかもしれない。その頃に、この対策事業で需要が増えたらどうなる?

で、肝心の補助案件だが。

○ 過剰⽊材在庫利⽤緊急対策事業
通常⽊材が使われない外構部や公共施設等における⽊材の活⽤を通じて輸出の停滞により⾏き場のなくなった輸出向け原⽊を有効活⽤するための取組を⽀援します。
また、⽊材利⽤を促進するための普及活動を⽀援します。
(対象となる施設)
• 公共建築物等⽊材利⽤促進法に基づく公共施設(学校、保育園、病院、⽼⼈ホーム、駅、庁舎等)
• 災害対策基本法に基づく指定公共機関の施設
• 公共の⽤に供する場に設置される外構(公園等の塀や柵、デッキ、遊具等)

とはいえ、さすがに輸出木材だけに対策というのもオカシイというわけで、木材建設関係に大盤振る舞いをしていた。すごいよ、この項目。

これらは、どこを見ても国産材を使えとは書いていない。おそらく書けないのだろう(書いたらWTO違反になるから?)けど、それなら外材の建材も使えるということか。まあ、それもコロナ禍不況対策にはなるだろうけど(建築業界の、ね)。

(⽀援⽔準)
⼯務店等の施⼯者が⽊材を活⽤する際の経費(材料費、⼯事費等)について、以下の⽔準で⽀援。
• 構造材床⾯積  1平⽅メートル当たり 39,000円以内
• 内装材 内装⾯積 1平⽅メートル当たり 12,000円以内
• 外構材 延⻑  1メートル当たり 17,500円以内 等

これらの金額は、なかなかのものだ。

ただ、よくよく読むと「利用できるのは、CW法に基づき合法性が確認された木材製品です。」という項目があった。CW、クリーンウッド法がこんなところに登場するなんて。CW法に登録していたら支援額が増額するそうだ。こんなもん、取っている業者がいるのか? と言われているが、餌をぶら下げたか。コロナ禍対策のふりをしつつ、不興の法律を抱き合わせるとはなあ(苦笑)。あわてて登録する業者もいるかもしれない。しかし、外材なら合法性は森林認証制度で押さえているはずだ。こちらの方が信頼度は高い。


それにしても外構材高いねえ。ここにケボニー化木材を押し込めないか(⌒ー⌒)。デッキや公園遊具にも使ってほしい。現状は欧州材だが、少しはスギ材製のケボニー化木材(フラン樹脂化木材)もあるよ。

ぜひ、これらの支援策を使って、コロナ禍を乗り切ってくれ(⌒ー⌒)。

 

2020/07/05

ひっそり募集? 奈良県の「森林管理職」

まだ全容はわからないのだが、奈良県職員の募集にこんな職種があった。

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えっ、読めない?そうでしょう(笑)。ならば拡大を。

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どうでしょうか。奈良県職員の採用試験実施計画にひっそりとたたずむ?新たな職種(笑)「森林管理職」

来年から設けられるのだけど、これは、奈良県フォレスターのこと。奈良県フォレスターになるには、来年度開校予定の「奈良県フォレスターアカデミー」で2年間学ぶことになっている。こちらの生徒募集もそのうち始まるのだろうけど、その中に特待生?みたいに、最初から奈良県職員として学ぶメンバー枠を設けたようなのだ。

言い換えると、給料もらいながらアカデミーで学べる。そしてスイスへも研修に行けちゃう! 卒業後の進路も迷わずというか決まっているというか、すでに就職しているわけだ。すぐに県内のどこかの地域に幹部として派遣されるのだ。イメージ的には、防衛大学校みたいな感じ? 給与もらって学んで訓練受けて自衛官の幹部候補生になるようなもの。

詳しい条件は7月17日に試験内容が配布されてからわかるだろうけど。

もし、森林や林業に携わりたくて某官庁や自治体職員、あるいは組合とかに勤めたものの内実はデスクワークばかり……あるいは森を破壊する仕事ばかりと腐っている人。あるいは楽しく森の仕事やっているけど、収入など待遇が劣悪とか不安定で将来設計が立たず悩んでいる人。一考に値するかもよ。しかも、この森林管理職は原則配属替えはないから、定年まで同じ森の現場に張りつくことになる。

年齢制限は、昭和55年生まれということは、今年40歳まで受験資格があるわけか。定員は5人らしい。狭き門になるかならないかは、全国から応募が殺到するかしないかによる。我と思わんものは、どんどん応募してほしい。奈良の森の将来が決まる。

それにしても……ひっそりとした募集だな。。。

 

 

2020/06/30

民間地の生物多様性認証制度の創設?

環境省が、景観や生物多様性などを長期的な観点で保全するための認証制度をつくろうとしているらしい。

ここでポイントなのは、対象は民間所有の森林・土地であること。国公有地はすでに保護制度をかぶせているところが多い。国立公園のほか森林生態系保護地域だの原生環境保全地域だの、いろいろある。だが、そうした法的な枠組に入っていない森林や里山を当てはめることを想定しているようだ。そのための認証の基準や選定方法などをこれから検討していくのだという。

今年度から候補となる森林や里山に関して動植物の生息や景観の実態を調査し、2022年度から運用を始める予定だ。

もっとも、まず民間所有の森林などが、どこに、どれくらいあるのか、その管理状況を把握するところからスタートするらしい。日本には企業や個人のほか神社や寺も森林などを所有しているところが多いし、共有地などもある。環境省としては、これまで目を向けなかったそうした地域の自然保護を強化したい考えだ。そして認証地をつなぐネットワークを構成して生物が移動できるようにし、健全な生態系を保存したいという。

しかし調査方法も難しいし、認証基準や選定方法についても決めねばならない。しかし民有地となると、私権の制限につながるのかどうかも大きな課題になるだろう。とくに林業地などはいかなる判断をするのか。仮に現在の環境が素晴らしいと認定した後に、伐採できるのか。あるいは里山のように、水田や畑を始めとする農業地も含むと、常に人の手を加えることで維持される自然となると、単に「保護する」では済まない。それこそ農薬や除草剤の使用方法まで考えねばならない。
さらには森林認証制度との兼ね合いも出てきそうだし……なかなか前途多難な様子が目に浮かぶ(^^;)。

有識者や海外の事例を元に決定するそうだが、そもそも民間所有者が積極的に認証を取りたい、と参加を促すには、メリットがないと進まないだろう。むしろ認証を取得できない森林は二流のレッテル張られるぐらいでないと前向きにならないのではないか。
ただ、トキやコウノトリの保護のために里山を保全する自治体の条例もあるわけで、不可能ではないだろう。むしろ市民の意識を高めなければ効果を生まなくなりそうだ。

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タンチョウヅルのいる里山の風景も候補、かも?


その背景を探ると、国際的にも、法的に保護された区域以外の場所でも動植物や景観を守らないと全体の生態系を維持できないという考え方が広がっているらしい。それを日本に取り入れようというわけだ。

実は、日本の愛知県で開かれた生物多様性条約会議では、2010年より10年間の目標を定めていた。いわゆる「愛知目標」である。20もあって複雑なので、リンク先で見てほしい。ただ今年が目標の最終年となっているため、次の締約国会議では、新たな目標が議論される。そこで民間所有の自然の保護を入れることになりそうなのだ。環境省は、先んじて認証制度を創設して、国際的にアピールしたいのだろう。

さて、どうなるか。民間であろうと森林は公共財であり、社会資本であるという見方に立てば、何らかの枠組は必要だ。それを認証制度の形で行うのが適切なのかどうか……イヤなら参加しないだけ、とはならないか。

ともあれ、環境省が意欲的に取り組むのなら期待して見守っていきたい。

 

 

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