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森と林業と田舎の本

2022/06/15

J-クレジット制度は生物多様性のために

林野庁が、パブコメを求めている。

J-クレジット制度における森林管理プロジェクトの制度見直しの概要についての意見の募集について

J-クレジットって、ほとんど忘れられた存在(笑)で、ようするにCO2の森林吸収分を算定して、排出権取引に載せようというもの。それに合わせてお金も動くから、儲からない林業の切り札のように一時は言われたのだが……。海外はそれなりに盛んなのに日本ではとんと動かない。たしかクレジットを取得したのは100社ぐらいしかなかったのではなかったか。

一応引用しとくと。

J-クレジット制度とは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2等の排出削減量や、適切な森林管理によるCO2等の吸収量を「クレジット」として国が認証する制度です。
本制度は、国内クレジット制度とオフセット・クレジット(J-VER)制度が発展的に統合した制度で、国により運営されています。
本制度により創出されたクレジットは、経団連カーボンニュートラル行動計画の目標達成やカーボン・オフセットなど、様々な用途に活用できます。 (林野庁HP)

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が、重要なのは、ここだ。
国内における地球温暖化対策のための排出削減・吸収量認証制度(J-クレジット制度)の下で認証された森林クレジットは全認証量の2%未満

ということだ。脱炭素を急がなくてはならない国の立場としては活性化したくて改正案を練っているのだろう。

とはいえ、私も全然興味がわかない(笑)。とにかく手続きは面倒なのよ。しかも必要面積は広すぎる(20ヘクタール以上)し、費用は高い。そもそも対象は人工針葉樹林だけ。つまり林業用以外の森は相手にしないという……。

まったく箸にも棒にもかからない。もちろん、私がパブコメを書くこともない。

私自身は、森林が吸収源という前提自体を疑っているし、森林整備をしても、少なくても2030年までの炭素削減には間に合わない、どころか短期間ではCO2の排出を増やしかねないと思っている。

森林のクレジット化は、むしろ気候変動対策と対になっている生物多様性対策に向いていると思うのだ。日本では意識低すぎなのだが、国連の掲げるSDGsなどCO2削減と生物多様性維持は、同レベルで検討されているし、表裏一体とも捉えている。生物多様性を守るということは森林保護であり、SDGsに合致しており、結果的に大気中のCO2を減らすこともできるというわけだ。

日本が世界に先駆けて、生物多様性クレジットを立ち上げたら、ちょっとは世界で注目されるんじゃない?

ただし、対象となる森林は人工林だけでなく自然林も含む。あえて言えば民有林全部。そして面積は1ヘクタール単位にして、目的は「森の豊かさ」維持。これに金を出す企業もなくはない。金額が小さくなれば、個人でも購入できるかもしれない。購入者に対しては、大々的に宣伝して名誉を与える。「森の守護者」勲章を出すとか。国が人も商品も紹介してやる。

購入者には、国債ならぬ生物多様性債権を発行することもできないか。100年後に換金します、とか(^^;)。

どうかなあ。

2022/06/07

盗伐監視システムになるか「FAMOST」

林野庁が「FAMOST」という盗伐を監視するためのシステムをつくった、というのは小耳に挟んでいた。が、具体的な内容は知らなかったのだが……意外なところで生まれた経緯を知る。日経オンラインの記事だ。

官僚だってやりたい仕事がある 2割の時間を「本業外」に

この記事は、「官僚再興」というシリーズで、霞が関の新しい動きを紹介する連載なんだが、まさかここに。

そもそも「FAMOST」とは「森林の変化点抽出プログラム」なのだったそうだ。地図アプリを使って森林の変化を見つけることができる、というアイデアで、結果として違法伐採の有無や災害による森林の減少が自動的にわかるというものだ。今年度から自治体向けに運用が始まっているという。また、この記事の趣旨は、本業とは異なる事業も打ち出せる「政策オープンラボ」という枠組みを紹介するものだった。これは自身の分野外のことに20%だけ力を割いてもいいよ、というつましいシステムである(^^;)。

実際に開発に取り組んだのは、4年前に農水省の大臣官房文書課にいた熱田尊さんで、林野系ではない。ただアメリカ留学時に知ったデータ分析の手法を、日本の林業や農地政策にも生かそうとして思いついたのが、クラウド上で地球の衛星画像を解析できる米グーグルの地理情報プラットフォームの利用なのだった。

スタート時は、農地や森林などに詳しい国際部や農村振興局、林野庁などの官僚に声をかけ6人のメンバーで発足。さらに農村政策部長と森林整備部長にメンターとなってもらい……という根回しの良さは、官僚的(笑)。

FAMOSTの仕組みは簡単で、Google earth Engineを使って、ある地域の時間差のある衛星画像を比べて、反射された光の波長から、地上にあるのが植物や地表、コンクリート……といった読み取れるのだ。基準年と比べた森林の変化を自動的に色で示せば、変化がわかる。雪があると少し誤差が出るが、それ以外なら98%の正答率だという。なお撮影される画像は、同一地点を5日程度に1回撮影されているし、解像度も 10m~と肉眼でも伐採地等をおおよそ確認できる精度があるという。

自治体の GIS 情報と重ね合わせると、伐採届出制度に基づく伐採状況の確認や、違法伐採の早期発見、林地開発箇所の確認、災害の発生状況の確認等も行えるわけだ。
しかも市町村ごとに森林の変化した点を抽出可能だから、自治体向きだ。操作はきわめて簡単で、市町村名、衛星の撮影時期の入力(2時期)、抽出下限面積の設定の3つの設定を行うだけで、当該市町村における伐採等の変化箇所の抽出結果を表示できるという。

これ、特別なアプリを使わず、ネット上で処理できるというんだから、なんか、プログラムよりGoogleのすごさを感じる。

Famost

詳しいことは自分で調べてもらいたいが、期せずして盗伐地帯や風水害地帯を現地に行かずに洗い出せるわけだ。もっとも、盗伐が終わった跡地に気づいても遅い。自治体担当者が、毎日でもこのシステムを起動させておけば、無許可で伐採された初日に気づけるはず。やっぱりマンパワーではある。ちなみに、オープンラボでつくったプログラムは、昨年度から林野庁に政策として引き継いでいる。

でも……肝心の熱田さんは、現在は農林中央金庫営業企画部の部長代理として出向しているそう。この異動の多さこそ、官僚機構の問題点かもね。


 

 

2022/05/19

クリーンウッド法改正?中間見直し

クリーンウッド法は、成立してもうすぐ5年。見直しのための「合法伐採木材等の流通及び利用に係る検討会」が「中間とりまとめ」とやらを出していることを知った。

合法伐採木材等の流通及び利用に係る検討会中間とりまとめ 

私は、こんなザル法意味なし! と言い続けてきたから興味がある。なぜ私を呼んでくれなかったのだ(笑)。

で、どんな話し合いをしてきたのか見てみた。ちなみに検討会は8回開かれていて、その内容もHPに載せてある。

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しかし、あまり実のある内容は期待できないようだ。まとめの言葉を引用しよう。

最近の国内外における状況変化
(1)違法伐採問題に対する世界的な動き
・COP26 や G7 関連会合でも地球規模の環境問題の深刻化が話題となるなど、森林減少や違法伐採問題の重要性がこれまで以上に増大
・EU、豪州、中国などで違法伐採対策に係る法制度の制定や見直しの動き
(2)持続可能性や SDGs 等への関心の高まり
・国際的にも合法性だけでなく持続可能性や SDGs 等の視点にも関心の高まり
(3)国内における潜在的なリスクへの対応の必要性
・森林が主伐期を迎える中、無断伐採等に対するリスクが潜在

最後の「無断伐採等に対するリスクが潜在」ってなんだ? 潜在なのか? ずっと表に出ているではないか。

しかも途中の議論で、ある委員は「検討会を通じて、国産材は合法性確認100%を目指せる状況ではないか」「国産材はほぼ合法と認識しているのに対し、外材は一部違法材があると認識している」というのだ。国産材は100%合法!! 
委員の顔を見てみたい。

私は国産材の3割は少なくてもグレー木材だと思っている。完全なブラックは数%かもしれないが、森林経営計画に沿っていないのが相当ある。そもそも伐採跡地の再造林が3~4割しかしていないと言われているのだから、残りの6~7割は、計画を提出せずに伐ったか、あるいは再造林をすると言ってしていない違反ではないのか。さらに再造林をしたと届け出を出しつつ、植えていないケースも馬鹿にならない。そのほか細かな違反行為はいっぱいあるだろう。

こんな言葉もあった。
無断伐採等を行う悪質な素材生産事業者への対策は、クリーンウッド法と別の仕組みで行うことが必要

匙を投げたか。責任逃れか。。。

どうやら今後もクリーンウッド法はザルであり続けるようだ。

 

 

2022/05/12

林業DXのわからんちん

備忘録として。

デジタル林業戦略拠点」なるものを、林野庁は企画している。
具体的には、スマート林業の普及を後押しするためのモデル地域を設定する方針だという。森林調査に始まり、伐採搬出、木材流通、そして再造林までの過程をデジタル技術の活用を進めるべく地方を支援するというのだ。

肝心の地域組織は、森林組合などに加えて、デジタル技術やデータ活用に詳しい識者、活用を考える民間企業、投資を見据えた金融機関、そして行政機関を想定している。そこへ林野庁の「林業イノベーションハブセンター(森ハブ)」からプロジェクトの運営や人材の呼び込みをサポートするのである。

……わかる? わからん(^^;)。とりあえず森ハブとは何かを調べる。

森ハブとは、「林業イノベーション」を推進し、新技術の開発から普及に至る取組を効果的に進め、林業現場への導入を加速化することを目的としてつくった「林業イノベーション現場実装推進プログラム」(令和元年12月)のために令和3年度に設置したのが「林業イノベーションハブセンター(通称:Mori-Hub(森ハブ))」なのだ。

わかった? わからん……。

まあ、いい。とりあえず図表を載せておく。

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ようするに林野庁が今流行りのDX(デジタル・トランスフォメーション)に少しでも顔を突っこもうという意欲の表れなんだと読んだ(笑)。実は、林野庁ではすでに12都道県内でスマート林業の実証事業をやってきた。森林調査に地上レーザー計測を利用するとか、スマホで撮影して材積を計算するとか、その手のヤツだ。

しかし、私が「わからん」を連発するように、世の林業オジサンの世界ではデジタル技術への抵抗感があるだろうなあ。加えて、導入経費や維持費もかかるから、余裕のない林業事業体は手を出さないだろう。前途は厳しそう。

ここで私の提案としては、林業DXがわからん人は、口も手も出さずに得意とする人に任せることだ。そして静かに自分は消えていく。理解できたものだけが生き残る。それが林業界の弱肉強食、進化の掟とするといい。

無理にやらせようとするから失敗する。しがみつくから進化できない。古いものよ、消え去るべし。もちろん、私も……。

2022/04/04

林業産出額と、木材生産量

林業産出額が、5000億円を割り込んだというニュースが流れていた。農林水産省が公表した最新データでは、2020年の林業産出額は対前年比2.9%減の4831億円にとどまったというのだ。

林業産出額は、2018年に18年ぶりに5000億円を上回り翌年も5000億円台だった。それが落ちたわけである。直接の理由は、木材需要が落ちたことに求めているが……。

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ちょっと気になって、木材生産量の推移を調べてみた。すると、農水省の統計にこんな言葉が出ている。

令和元年(2019年)の国内生産量は、3,098万8千立方メートルとなりました。前年と比較すると78万7千立方メートル(2.6%)増加しました。国内生産量は、平成22年から10年連続で増加しています。
これは前年に比べ、用材が12万5千立方メートル(0.5%)増加したこと、しいたけ原木が2万3千立方メートル(8.4%)減少したこと、燃料材が68万4千立方メートル(10.9%)増加したことによります。

令和2年(2020年)の国内生産量は、3,114万9千立方メートルとなりました。前年と比較すると16万1千立方メートル(0.5%)増加しました。国内生産量は、平成22年から11年連続で増加しています。
これは前年に比べ、用材が182万5千立方メートル(7.7%)減少したこと、しいたけ原木が9千立方メートル(3.6%)減少したこと、燃料材が199万5千立方メートル(28.8%)増加したことによります。

なんだ、木材生産量は伸び続けているではないか。

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結局、建材(製材と合板)需要は減っても、それをカバーするほど燃料材が伸びていたのだ。それでも金額的にはマイナスになったのは、価格が落ちたことを意味する。つまり木材生産量は増やしても、全然報われない。売れないから安くしてどんな用途でもかまわず突っ込み、見た目の量を増やしたものの、売上は落ち純益はもっと減る。林業の地盤沈下はより加速する。

おそらく政府の統計としては、今後は産出額をあまり表に出さず、生産量の拡大を高らかに歌い上げるのではないかなあ。

 

 

2022/03/29

疎植という選択

林野庁には「森林環境保全直接支援事業」というのがあって、再造林の省力化・低コスト化を支援するそうだが、2022年度の予算案で、これを拡充するという。補助率に掛ける査定係数を引き上げ、通常より4%程度増えるらしい。脱炭素だ森林吸収分だと言っている割には、再造林遅れているからねえ。いや、遅れているというより、「大多数が再造林していない」というべきか。

私はこんな補助金に関することはわからんし興味もないのだが、ふと引っかかった点。省力化や低コスト化は、これまでコンテナ苗の使用だとか、伐採と同時に機械で地拵えだとか言っていたが、いよいよ植林本数を減らす、つまり疎植が入ってきたという点だ。そりゃ、植える本数が減れば苗代も浮くし、労力も減る。

ただ、この拡充の条件に「1ヘクタール当たり植栽本数を同2000本以下に減らし、下刈りの回数も植林から10年間で3回以内に抑える」とあるのである。

もともと植栽本数は、以前は1ヘクタール3000本以上としていて、これは、かなりの密植。吉野林業などは1万本も植えたから、少なめにしたのだろうか。それでも普通に育てる樹木としては密だろう。吉野は密植に適した技術を確立したからできたこと。が、全国一律にしたから技術が伴わない林業地は困ったことになった。それで今は2000本くらいまで補助用件を下げたのだっけ。

それを今回は、もっと引き下げるようだ。さらに下刈り回数も。それだけ造林・下刈りは機械化がほとんどされずに人手に頼っているし、労働力も減っているからか。で、こんな研究結果を出していた。

「再造林の推進」

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植栽本数が減ったらコストが下がるとか当たり前すぎるんだけど(^^;)、さらに下刈りが減って草が生えても成長には影響しにくいと記している。草が杉苗の梢まで覆われなければいいという。(もっとも私は、梢まで草に覆われても、大半が枯れずにゆっくり成長し、いつしか草の背丈を抜くから下刈りなんていらないんだ、という研究も読んでいる。また多少は枯れても、ヘクタールあたり1000本以上は残るから主伐分は十分育つという意見もある。)

これって、ようするに目的が違う。密植の場合は、間伐材が収入になるほか、密に植えて育つのを遅くしたら年輪が密になり、木目が美しく強度も増す……など木質のコントロールにつながった。それは売れる際の金額にも関わる。ようするに収穫する木の目標があったのだ。下刈りをする理由も同じく。昔の林業家なら言わずもがなだろう。

ちなみに植栽本数を減らしたら、炭素蓄積量が減る、森林吸収分が少なくなるという意見には、植える本数が少ないと切り捨てる間伐材も少なくなって、間伐材が腐って排出する二酸化炭素が減るからいいんだそうだ。最終的な森林の姿とCO2吸収量は大きく変わらない……。
それなら、間伐そのものが脱炭素に必要ないじゃないか(^^;)。間伐の手間とコストをかけてやらないでよいことになる。

ほかにも、植栽本数-下刈り・間伐回数-吸収分……コストと省力……と考え出すと、いろいろ疑問が出てくるなあ。

ちなみに再造林の面積は、現状の年間約3万ヘクタールから30年度に7万ヘクタールまで拡大する方針とか。8、9年かけて7万ヘクタール程度か。少々寂しくなる。これでは皆伐地を全部再造林する数字ではないだろう。

いっそ皆伐しなければ、植栽も必要なくなって、コストも人手もいらなくて、森林蓄積は増えて森林吸収量は増えるのではないかな。COPで決めた脱炭素の基準には入らないけど。

 

2022/03/28

なぜ人は「森」に甘いのか

朝日新聞の社説で、森林環境税を取り上げていた。

(社説)森林環境税 国民の理解得られるか

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まず、ようやく森林環境税を論じるようになったか、という思い。これまで、インフォメーションとしての記事はともかく論説にはなかなか取り上げられることがなかった。

今回は、森林環境譲与税が真っ当に使われていないとか、そもそも配分基準がおかしくて森林のない大都市にたくさん分配される……などから切り込んでいる。ここまでは、すでに指摘されている。

私が問題にしてきた期間限定の復興税を焼き直して住民税上乗せで徴収するおかしさに触れている。さらに最初に予算の分配ありきで使い道が不明確であることを取り上げている。

その点からは、まあ、これまでの森林環境税の取り上げ方の中では真っ当かな、と思った。

が、どうしても気に食わない点がある。

森林保護の財源を充実させる狙いは理解できる。

木材価格の下落などで放置される森林が増え、山林崩壊の懸念が高まっている。地球温暖化対策の面でも、森林の機能は重要だ。政府は19年度、所有者に林業経営の意思が無い場合、市町村が代わりに管理する制度を導入した。その財源を確保するのであれば、意義は大きい。

この部分だ。理解できる?意義が大きい? どこが?

森に金を出すのは喜ばしい、財源があれば森林が充実できる、というのでは、もとから森林管理を必要経費と見ているのだろう。林業は産業ではない、という認識か。なにより森林のためには金をかけるのは当たり前としている。これが気に食わん。

ほかの分野なら、補助金バラマキに対してわりと厳しい目を向けるのに、こと森林に関しては甘い。

だいたい国民自体が、森林環境税という明らかな増税に対して文句を言わない。また用途に対しても甘い。1円でも、その使い道が本当に森林のためになっているかと追求しなくてはならないのに、なぜアマアマなの。これは日本人の特徴なのか。あるいは人類みんな同じなのか。

この甘さが、逆に森林を痛めつける。税による事業者を堕落させる。なによりバラマキだから、支出した後の検査がほぼしない。どんな目的外使用でも文句がつかない。

また「放置される森林が増え、山林崩壊の懸念」とか、「地球温暖化対策」のための「管理」とか、ちゃんと検証したのだろうか。「林業を活性化して木材生産を増やせば、森林はCO2の吸収する」とかいう説明に疑問を持たないのか。

なんか、「森」と名がつけば庶民は文句を言わないと見透かしている。


もう一つ私が嫌いな税制度に、「ふるさと納税」がある。これも、自分で稼ぐのではなく他の自治体の税金を横取りする制度だ。しかも自分の自治体に納税させるために「税金の控除」と「返礼品」という名の餌をぶら下げる。これも税金の無駄遣いである。ふるさとでもない、行ったこともない地方に納税すると見せかけて返礼品で儲けるという個人納税者もいやらしい。下品だ。

ふるさと納税も森林環境税も地方税の食い合いだろう。徴税額は減らさず、いや増やして、地方同士を争わせているのだ。

2022/03/14

「つなぐ棚田遺産」に「聞き書き甲子園」の選び方

棚田と言えば、最近は何かと環境保全のシンボルになっていて、注目を集めがちだが、同時に保全が難しい里山の一環境。そして「日本の棚田百選」なんぞも選定されている。

そこに農水省農村振興局は、今度は「つなぐ棚田遺産」271地区を選定した。(棚田百選は、134地区)

なんだ、屋上屋を重ねるというか、看板の上に看板を重ねるのか、と思ってしまうが、そのとおり(^^;)。完全に重ねて下の看板を潰している。なんでも「百選」は、せっかく選んだのに、その後保全が進まず荒廃しているところが増えてきたのだそうだ。そこで景観保全などに積極的に取り組む棚田に絞って選び直したとか……絞るはずが、百選の2倍になってるやん。ま、一応は市町村や地域住民などが、棚田の振興や保全に参加することなどが要件となっている。

きっかけは2019年に棚田地域振興法が施行されたことがあるようだ。同法に指定された棚田地域は、通常より手厚い財政支援を受けられるらしいのだ。加えて22年度予算案では「超急傾斜農地」に加算措置が設けられている。それらの予算・補助金バラマキのための指定なのだろう。しかし「遺産」に選ばれた地区でも指定を受けていない棚田が約3割あるという。

一覧は、こちらにあった。

つなぐ棚田遺産~ふるさとの誇りを未来へ~の選定について

ざっと目を通したが、本当?と疑いたくなるのもあるし、逆に有名なあそこが入っていないの? と思うものもある。

いつも思うのだが、この手の選定の候補はどうやって上げているのだろう。おそらく地元からの推薦などが必要なはずだが、たまたまその担当者(市町村? 農協などの団体?)が、この制度を知らない、もしくは興味ないと、候補にも上がらず、その後の選定審査にも引っかからないはず。その方が多いのではないか。

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たとえば私の地元の生駒山も、巨大な棚田地帯があるし、その中で幾か所か保全運動をしている団体もあるが、今回の「遺産」には選ばれていない。推薦がなかったからだろうか。そもそも巨大すぎて一部の保全はしても、全体としては荒れているからだろうか。

そういや「聞き書き甲子園」というのも、今年で20回を迎えている。もともと「森の聞き書き甲子園」だった。森の(技術)名手・名人100人を顕彰するのに合わせて高校生が聞き取りするものだ。名人の顕彰と、高校生への啓蒙が目的だったようだが、回を重ねるごとに川や海も加え、もう名人も尽きただろうに、聞き書きさせるために選んでいるような状態だ。20回って、全体では2000人をはるかに超えているよ。

 

結局、財政支援とか言っても、その手の金で本当の保全活動はできない。もともと活動をしていたケースを多少助けるだけだ。手がける人の手弁当に近くて、時間とともに限界が来て荒廃していく。また新たな選定をしなくてはならなくなりそう。

「百選」の次が「遺産」なら、その上に重ねるとしたら、なんとネーミングするかね。「遺跡」とか「化石」の「発掘」かもね。

2022/02/21

日本では過熱しない「カーボンクレジット」

今、世界中でカーボンクレジットが“過熱”しているそうだ。ようするに二酸化炭素の吸収源として森林が注目され、排出枠を取引する動きが進んでいるわけである。環境貢献は、今や企業の一大戦略となりつつある。だから森林取得を含む森林への投資が盛んになってきた。

たとえば、アメリカのJPモルガン・アセット・マネジメントは21年、運用額53億ドル(約6100億円)に上る森林投資専門の米キャンベル・グローバルを買収した。世界に約69万ヘクタールの森林を管理する同社を買収し、ESG(環境・社会・企業統治)投資を進める。
 温暖化ガスの排出と森林などによる吸収との差し引きでマイナスまで落とす「カーボンネガティブ」の実現に向け、業種の垣根を越えた様々な大企業が希少資産としての「森林」に触手を伸ばす。
日経新聞 森林崩壊 第1回荒ぶる放置林)

この記事は、3回連載だそうで、主に国内の林業を扱う予定のようだが、ここで海外の動きに触れている。まあ、ちょっと国内林業の描き方には気に食わないところもあるが(笑)。

ともあれ、世界中では森林に投資が集まっているのである。

そして日本の住友林業も、国内外の森林運営に投資するファンドを設立する。ファンドを通じて取得した自然林や人工林を保護・運用して、出資分に応じてカーボンクレジットを配分する仕組みを構築するために動き出した。事業で大量の二酸化炭素を排出する航空会社や海運大手などの出資を見込む。

住友林業は、国内に森林4.8万ヘクタールを保有するが、実はインドネシアやパプアニューギニア、ニュージーランドなどに計23.1万ヘクタールの森林を管理・保有している。それを30年までには50万ヘクタールまで引き上げる計画だという。新たに取得する森林の資産規模は1000億円程度で、欧米の航空会社やエネルギー企業の出資と購入が見込まれている。

自然林として保護するためには、違法伐採や農園への転用をさせないで、その面積や樹種などに応じて二酸化炭素吸収量と炭素固定量を正確に測定しなけれはならない。そこで認証機関と提携するほか、IHIと人工衛星からの画像や気象情報、地上の観測機器のデータなどを基に森林を管理するシステム構築をして、本当に排出量削減の実効性があるクレジットするという。


……という状態なのだが、住林という日本の会社ながら、ほとんど日本国内の森林が話題にならない。
国内に持っている山でカーボンクレジットは進んでいない。

なぜだろうね。ここで私の推測を書くのは面倒だから止めるが、ようするに日本は国土の7割を森林だと自慢しつつ、使い物にならないわけだ。前述の日経の記事にも、こんな一節がある。

国際的な基準に従うと、手入れがなされ一定の日照などを確保できる森林でなければ、実は「二酸化炭素(CO2)吸収源」としても認められないのだ。「すでに国内の人工林約1000万ヘクタールのうち、2割程度は吸収源に算入できない」。

伐採後の造林が計画的に進んでいない「造林未済地」は17年度に約1万1400ヘクタールとなり、3年前から3割増えた。

それにしても、この記事の中のグラフは面白い。こんなに騒ぎながら、実際の森林の吸収量は落ちているんだから。林野庁は、これを高樹齢化した森林のせいにしたがるが、そりゃないだろう。たかだか60年程度で高樹齢も糞もない。

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ようするに木を伐りすぎた。二酸化炭素を吸収してくれる木を減らしたのだから吸収源も減ったということ。この10年、日本の森林は二酸化炭素を吸収させない方向に進んできた。いわゆる「卵を産むニワトリを殺しすぎた」状態。カーボンクレジットが成り立たないはずである。森林に投資しようというファンドが現れないはずである。

この点を整理して、ちゃんとクレジットとして成立する面積(1万ヘクタール単位ぐらい?)を100年以上保全し続ける契約をしたら、投資家も動くのではないか。

 

2022/02/11

日本林業は「法隆寺以来」持続的?

おバカな記事を読んでしまった……。

林野庁が、国際熱帯木材機関(ITTO)を通じて木材生産国での「日本型木材利用システム」の普及支援を始めたのだという。

この、日本型木材利用システムってなんだ? どうも持続的な林業と木材利用を意味している書きっぷりなんだが……。

まず長期間育成して収益を上げられる体制を構築する戦略や、公共建築物木材利用促進法によって低層の公共建築物の木造化を進め、国内消費を促進するためのネットワークづくり。官民で連携して消費拡大への取り組みの経験を踏まえ、協議会設立や利用促進に向けた国家戦略づくりなど。。。

木材生産国(これ、東南アジア諸国を指しているらしい)で都市化が進む中、国内では建築物などに木材が十分活用されていない傾向があり、「早く収入が欲しくて木材が二束三文で買いたたかれる」ので、適正価格で売る仕掛けづくり……。

おいおい。その問題点は、そのまま日本に通じる。補助金と税金で建てる公共建築に法外な木造建築を増やした経験でも伝えるつもりか。林業打ち止めのつもりで木を全部伐って二束三文の金を得て、そのまま再造林せずに放置する林業やっているのはどこの国だ。育ててる待て数百万円かけてつくった森をバイオマス燃料に叩き売りしているのはどこの林業だ。

すでに昨年はベトナムでスタートしており、今年はあと2カ国で始めるというのだが……。
日本よりひどい林業やっている国を見つけて説教垂れるのかい。いっそのこと、ベトナムが短期間に立ち上げて世界中に輸出を成功させた家具産業の極意を教えてもらった方がいいのではないか。

極めつけは、「日本はずっと前から森林の『持続的利用国』。法隆寺以来だ」と来年のG7サミット(日本が議長国)で、紹介したいと林野庁幹部が言ったらしい。

どうして法隆寺が森林の持続的利用なのかわからん。こんなこと国際会議で口にすると、恥をかきそうだ。

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そもそも1400年前、法隆寺を建てる木材をどこから調達したのかわかっていない。ただ当時の輸送能力からすると、遠くではなく近隣の生駒山系か金剛山系だろう。(大和川上流部の飛鳥は、すでにはげ山だった。)そして、これらの山に今は巨木の森はない。江戸時代には木の生えていない草山になっていた。回復したのは戦後だ。全然持続させていない。

ブラタモ「法隆寺」編で考える木材の出所

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これは森林・林業白書に載せている「循環型林業」イメージ図で、これがお好きらしくて林野庁関連の資料にはアチコチに登場する。

だが私は、これが循環型とはとても思えない。環を描いているようでも、その途中で皆伐して森がなくなっているのだから。すぐに再造林したとしても、最低限の森らしくなるのに10年ぐらいはかかる。その間は草原みたいなもので、別の生態系になってしまう。そこに棲んでいた動物や昆虫、草本性植物や苔、シダ、地衣類……などは近所に避難する別の森が残っていればよいが、滅んでしまった可能性がある。一度滅べば、樹木が繁ってももどってこない。そのほか二酸化炭素吸収や木材商品などの描き方にも違和感はあるが、突っこまないでおこう。

 

スギやヒノキ、(ベトナムの)アカシアの木を使ったデザインコンテストもやるとか。まあ、これぐらいが関の山かな。

 

 

より以前の記事一覧

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