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森と林業と田舎の本

2022/01/23

CO2の森林吸収分は減り続けていた!

林野庁が「森林によるCO2の吸収量の算定方法について」うだうだと書いているが(笑)、もっと面白い記事があった。

日経の「王子HD、森林を「宝の山」に 温暖化ガス50%相殺へ」である。タイトルだけ読むと、王子製紙の提灯記事ぽいのだが(いや提灯記事そのものなのだが)、その中にこんな文言がある。

日本では19年度にCO2換算で約12億トンの温暖化ガスが発生し、この約4%にあたる4300万トンを森林が吸収した。だが政府が掲げるCO2吸収量は30年度に3800万トンと直近のピークだった14年度比で約3割減る見通しだ。

そう、吸収量は減っているのだ。その理由を樹齢40~50年の伸び盛りの木を伐って植えていないため循環サイクルが停滞している……としている。前半は笑止だが、後半の伐ったのに植えていないという点は事実だ。つまり、伐採ばかりして植えていないのだ。政府が、木を伐って燃やしたり使うこともCO2削減になるよ、と音頭を取って上げた挙げ句、伐るだけで植えない現象が全国に広がった。伐った面積の7割以上が植えないまま、ってどういうこと?

さらに衝撃的なのが、その次。

森林のCO2吸収量の評価方法そのものにも課題がある。王子HDは第三者機関のお墨付きを得て森林吸収量を算定している。だが算出した数値はあくまでも自主的な取り組みに使うもので、国に報告するような公式な排出量には計上できない。みずほリサーチ&テクノロジーズの内藤氏は、そもそも吸収量の評価についての世界的な統一基準がないことで「企業ごとに算定手法が異なっている」と課題を指摘する。

え、世界的な基準がないのか……。どの国も、どの企業も、言ったもん勝ち?

経済産業省は企業がCO2排出量を売買できる新たな取引市場「GX(グリーントランスフォーメーション)リーグ」の制度設計に乗り出した。森林吸収量がどう組み入れられるかはまだ分からないが、排出枠として売買できるようになる可能性もある。

締めくくりは、なんとか希望を持たせるようなことを書いているが、経産省頼み(^o^)。だいたい国内で森林吸収量をうんぬん言ってもねえ。しかし、記事広告の中にも、結構ためになる情報があるわい。

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だいたい石油価格が上がったと大騒ぎしているが、本来なら喜ぶべきでしょ。それで化石燃料の使用量が減るのなら。そして再生可能エネルギーに転換が進むのなら。それなのに、政府が補助金出してガソリン代を下げようとしたり、アメリカなどから備蓄分を放出して価格を下げさせようとしたり。全然、CO2削減とか脱炭素に本気じゃないことがよくわかる。

 

2022/01/21

林業商社と原野商法の森

リゾート地で有名な北海道ニセコ町が、2022年度に林業に特化した地域商社を設立するそうだ。

ニセコ町、「林業商社」設立検討 国際リゾートの脱炭素

計画では、手入れが行き届いていない町有地の森林を適切に管理し、切り出した木材に価値を付けて販売することで、地域循環型の林業をめざすのだという。将来的には民有地の森林にも拡大したい考え……とのこと。

なんだか聞いたことのある構想だな、そうか、西粟倉村か……と思ったら、今回の地域商社の運営は、西粟倉の場合と同じく「トビムシ」が関わる予定とある。近隣の木材加工業者にも参加を呼びかるそうだが。

町によると、町内に木材の素材・製品加工を行う事業者がなく、原木で出すだけ。そこで、新会社が木材の製材や乾燥なども行う加工事業者となり、建物の内装材や床材、家具など木工製品へ加工する。そしてニセコブランドをつける。世界のリゾートを誇るだけあって、地名のバリューを利用できるのは強い。ただ、なんだか商社というよりはメーカー指向のように見える。

 

ところで、私が若干面白いと感じたのは、ニセコ町内には原野商法で売られた不在地主や所有者不明の「義務者不存在の土地」が結構あるという点。そのほとんどは放置されているうえ細分化されている。これを何とかしたいというのだ。この点に私は注目したい。

所有者がわかれば、わずかな金額でも町へ売るか寄付されるように誘導することができるだろう。問題は、不明の場合。

実は、手段はある。国が所有者不明森林への対策として、改正された森林法や森林経営管理法で特例措置を設けているからだ。具体的には、市町村が探索して「公告」し、一定期間内に異議を申し出ないと「同意みなし」によって自治体が森林の利用権を取得してしまえる。

ところが、全国的には適用例が少ない。おそらく、そもそもこの特例を知らないことと、手間がかかって面倒くさいという発想。さらに同意みなしをして後で申し出られて裁判にでもなったらイヤという行政心理もあるのではないか。

もしニセコがこれに挑むなら注目したい。法律や条例でいろいろ決めても、なかなか現実には適用しないが、成功例ができたら、各地で前向きに進むかもしれないから。

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北海道の原野商法の土地って、こんな感じかな?(イメージです)

2022/01/20

世界かんがい施設遺産、日本がトップ!

佐渡島の金山跡を世界文化遺産への推薦が見送られたそうだ。だが、世界遺産はほかにもある。

世界かんがい施設遺産をご存じだろうか。昨年末に日本で2つ登録されて、私はこの時に初めて知った。

令和3年世界かんがい施設遺産の登録について

具体的には、大阪府河内長野市の寺ケ池・寺ケ池水路と、大分県宇佐市の宇佐のかんがい用水群である。 

で、肝心の世界かんがい施設遺産とは、灌漑の歴史・発展を明らかにし理解醸成を図るとともに灌漑施設の適切な保全に資するため、国際かんがい排水委員会が歴史的な同施設を認定・登録する制度であり、2014年度に創設されたそうだ。この委員会はNPO、NGOであるようだが、国連とは関係ないみたい。約80カ国地域が加盟している。

条件は建設から100年以上経っていて、農業の発展に寄与したもの……など幾項目かあるが、いろいろな世界遺産があるものと感心した。

が、驚いたのは、この遺産に登録された施設は世界に110前後あるようだが、そのうち日本が44も占めていること。(その一覧は、こちら。

おそらく日本の委員会に農林水産省が入っていて、積極的に登録申請をした・させたからだろう。こういうのは、申請されないと、勝手に登録できない。とくに、こんな特殊な世界遺産を知っている人は少ないから、教えてもらわないと該当しそうな施設関係者も気づかず申請さえしようとしないはず。私自身は、申請を待つのではなく、他薦とか認定機関が自ら見つけ出す遺産もあったらよいかと思うのだが。何らかの価値のある存在を勝手に認定するような遺産

ちなみに寺ケ池は、河内長野市民からの提案だったとか。寺ケ池は、江戸時代初期の1649年に新田開発を目的として築造されたが、満水面積は約13ヘクタール、貯水量約60万トン、全周2197メートル、最大堤高は15メートル。当時の灌漑面積は約150ヘクタールだった記録がある。水路も8・2キロ、手掘りのトンネルも何カ所かあるらしい。
現在は公園緑地になっているが、このような概要を知ると、ちょっと興味がわく。また源流部は、河内林業地帯。林業がつくった山からの水が、この灌漑施設を潤している。どうせならセットで捉えてもよいのではないか。ほかには「日本遺産」とか「林業遺産」もあるから申請してもよいかもしれない。

ユネスコの世界遺産(自然、文化)はなかなか敷居が高いから、こうしたマイナー系?遺産を狙うのもアリではないか。

Photo_20220120163201(河内長野市HPより)

余談ながら世界かんがい施設遺産に関して、私はパプア.・ニューギニアのクック遺跡も加えたらと思う。ニューギニア島南部の高地には、1万年前とも言われる農業用灌漑施設跡が発見されていて、これは人類史上もっとも古い農業の証拠だからだ。メソポタミアより古い。人類の農業はニューギニアからスタートしているのだ。もっとも世界遺産に登録されているから、それで十分なのか。
それが発展せずに、ニューギニアの農業技術は、つい前世紀までほとんど変わらなかったことが人類の文明について考えるのに非常に示唆に富むのだが……。

2021/12/21

「木材安全保障」と「森林安全保障」

週刊東洋経済誌に「木材安全保障」なる言葉が登場した。内容は、住友林業の社長インタビューである。

日本の脆弱な「木材安全保障」が浮き彫りに

内容は、ウッドショックに絡んでのことだが、ちょっと新鮮な言葉に感じたのは、そもそも現在の岸田内閣が経済安全保障を言い出したことと連動しているのだろう。つまり資源の争奪戦や、知的財産・技術の流出防止などを意味するものと思われる。日本の場合、林業がしっかりしていれば、少なくても外部要因としての安全保障など言わなくても済むはずなのだが……。

が、木材安全保障という言葉自体は昔からあったみたいで、国際熱帯木材機関などは違法木材追放を安全保障としていたはずだ。

これ、ある意味二律背反しているのではないか、という疑問が拭えずにいる。現在の世界的な木材市場は、合法性を厳密にすれば木材の供給が不安定になるのではないかと感じるのだ。
この場合の「合法」あるいは「違法」というのは、単にその国の法律という意味ではない。国によってはどんな荒っぽい木材調達をしても合法であるケースは多いし、なかには明らかに盗伐された木材でもロンダリングしてグレー、いやホワイトにさえしてしまうことが可能だからだ。森林生態系を破壊する林業は世界中に蔓延しているだろう。欧米でも。皆伐が禁止されているドイツをグーグル様で見ると、なかなかの皆伐跡地が見つかるよ。

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日本だって、(環境的な)違法木材を取り締まれば、国産材の生産量は何割か減るんじゃないか……。宮崎県の盗伐は、もはや業者だけでなく森林組合に木材市場、県木連などが絡んでいる疑惑が出てきたし、その裏に県警や県行政まで透けて見える。盗伐を止めたら宮崎県の産業が持たない状況かもしれない。ちなみに盗伐がもっとも多い宮崎3区出身の衆議院議員が古川法務大臣なんだけどね。

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もはや「森林安全保障」を打ち出した方がよいかもしれない。木材ではなく樹木と森林生態系の安全保障をしなければならない事態だ。気候変動対策に、森林を吸収源だ、炭素蓄積だと指摘する声が高まっているのだから。そして緊急事態宣言も必要かもしれない。

そして私が過去に冗談半分で提案した森林本位制と木本位が、現実味を増してこないか。

決して絵空事ではないぞ。

2021/12/16

フォレスターアカデミージャーナル

このほど奈良県フェレスターアカデミーが奈良県フォレスターアカデミージャーナルを発行した。名前、長すぎ……。

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PDFなので、こちらからダウンロード

内容についてはそれぞれが読んでくれればよいかと思うが、森の中にデッキを建設したというところが、一番目がとまった(笑)。
どこなのか訪れてみたい。そこで寝転がりたい。

ちなみにAgrioという、こちらもPDFの雑誌にも、奈良県フォレスターアカデミーが紹介されていた。主に恒続林づくりについて紹介しているが、恒続林という言葉を使っていないのが面白い(^^;)。あくまで混交林である。混交林から択伐施業で林業やったら恒続林ということになるのかな。

◎放置林を混交林に=奈良県(21/12/01)
奈良県は、施業放置されたスギやヒノキの人工林を、広葉樹など別の樹種も含む「混交林」にする取り組みを進めている。
多様な草木が育成する状態にすることで、崩れにくく防災力が高い森林にするのが狙い。県の森林環境税を財源とし、2025年度までに1100ヘクタールの混交林化を目指す。
事業は市町村に委託して進める。住宅や公共施設が災害に遭う恐れがある場所などを市町村が「森林防災力強化区域」に設定。区域内にある森林のうち、直近10年間で間伐が行われていないなど、一定の条件を満たすものを整備対象とする。

整備に当たってはまず、対象となる森林の一部を皆伐。その場所にクヌギやコナラといった広葉樹の苗木を中心に植栽していく。苗木の生育を促すため、植栽地周辺の間伐も事前に行う。皆伐する場所は、0.25ヘクタールごとに1カ所(約400平方メートル)を基準とする。苗木の数は、400平方メートルにつき約20本。植えた苗木には、専用のカバーを使って獣害対策を施す。
県によると、県内の放置林は木材出荷量の減少に伴って増加傾向にあり、試算では約8万8000ヘクタールにも上るという。森と人の共生推進課の担当者は「新しい取り組みだが、放置林をなくすために根気強く行いたい」と話している。

放置林というのはおそらくスギ林だろうが、ここに広葉樹を混交させる技術はまだ模索中だろう。小規模皆伐後に広葉樹の苗を植えるとあるが、上手く行くかどうか。こまめに観察が必要だろうな。

ちなみに私は、同校の開校後は訪れていない。避けているわけじゃない(^^;)が、改めて訪れるのに敷居が高かった。遠くから見守っていたのだよ。

が、2月に特別講師を務めることになった。1年の締めくくりになるかどうか。初訪問にして生徒たちと初顔合わせとなるか。
先日、吉野町の町長とも話したのだが、せっかく吉野にできたこの学校を上手く展開することで、奈良のみならず全国の林業に影響を与えてもらいたいものだ。

 

 

2021/11/03

忘れられた再生可能エネルギー「水力」に注目!

イギリスでCOP26が開かれているが、岸田総理の演説の中身のなさにがっかりさせられた。化石賞をもらうのも、さもありなんである。まあ、想定どおりだが。

だが温室効果ガスを排出する化石エネルギーを減らすとなると、その代わりを見つけないと現代生活が維持できないというジレンマに襲われる。もちろん、脱成長という選択肢もあるのだが、誰も選びたがらない……。

そこで再生可能エネルギーに期待が集まるのだが、このところメガソーラーや巨大風力発電への批判の声が高まっている。森林など自然を広範囲に破壊することや景観、気象害に耐えられるのか、低周波を出すのではないか……等々、何かと生活に悪影響を与えるからだ。しかも、太陽電池の製造や廃棄問題まで考えると、本当に二酸化炭素削減になるのかどうかも怪しい。

私は、危急の際だからソーラーや風力は景観程度のデメリットは諦めて推進するのも仕方ないと思う。人里から離れたところなら低周波も影響は薄いし、バードストライクも技術的には抑えることは可能だろう。ただし、森林をなくして大気中の炭素を削減になるわけない。
とくにバイオマス発電に至っては、原理的にも二酸化炭素排出削減にならない。逆に排出を増やし吸収を減らすだろう。そんな再生可能ではない再生可能エネルギーも多いのである。かろうじて意味のあるのは製材施設に付随させた端材・廃材を燃料にするものだけだが、それでは燃料が足りずに日本では小規模なものでも5基もつくれないだろう。

では、何があるか。

そう考えた際に浮かんだのが水力発電だ。これこそ、日本ならではの再生可能エネルギーの主力になれるのではないか。地形的にも多雨気候からしても、日本にもっとも向いている。もちろん温室効果ガスを排出しないクリーンなうえ、日照時間や風向き・風速など天候に左右されない電力である。しかも、一度設置したらランニングコストが極めて少ない。また施設も、たいてい長持ちする。
とはいえ何も巨大ダムを新設しようというのではない。もっとよい手がある。

まずは、農業用水路や小河川によって発電する小水力発電所。(出力1000キロワット以下を小水力発電、数10キロワット以下はマイクロ小水力発電と分類されている。)これは各地で続々と誕生している。たとえば富山県や長野県、山梨県、熊本県などで増えている。しかも発電だけでなく、売電収益を施設の維持管理費に充てたり、地域の諸施設へ電力供給することで、電気料金が燃料購入のため流出することなく域内で循環するので、地域経済に資金が回るから地域づくりにも役立っている。

しかし小水力だけでは、あまりにも発電量が少ない。そこである程度のダムによる水力も必要だ。ただし私は、何も新設しなくても、従来のダムを利用しても電力を増やせると睨んでいる。ただし障壁となるのは、河川法や電気事業法、水利権など各種法令をクリアすることだ。

まず現有ダムの貯水量を増加させることだ。第一に取り組むべきは堆砂の除去。すでに半分以上が埋まっているダムもあるのだから。次にダムサイトを何メートルか嵩上げすること。技術的には難しくない。これだけで貯水量を一気に増やせるはずだ。そして本命は、貯水能力を常時(満水時の)半分しか貯められないようにしている多目的ダム法を改正することだ。治水のために普段から貯めるな、としているからだ。これは昭和30年代の法律だ。しかし今は気象予報が進んできたから、普段は満水近くにしておいて、大雨の前に放流すれば済むのではないか。

そして発電していないダムも利用する。農業用ダムや砂防ダムだって発電できる。いやダムではなく水路があれば小水力発電ならできる。

ちなみに元国交省官僚の竹村公太郎氏は、ダムを増やさないでも発電量は2倍にできる、日本の電力需要の2割ぐらいは賄えると指摘している。すると再生可能エネルギーは全体の3割を越す。ぐっと目標に近づけるではないか。

これらに要する資金は、ゼロから建設するよりはるかに安くつく。しかも建設期間もたいしてかからない。再生可能エネルギーを増やせ、というわりには、なぜ水力発電の強化に目を向かないのか。

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奈良県川上村の大滝ダム。これは巨大な多目的ダムの一つだろうが、普段は満水になっていない。

 

2021/11/02

米需要を支えていた?フードロス

私の興味は森林だけ、と思っている人がいるかもしれないが、そうではない。農業や水産業にも目を配っている。自然と人の関わりを考えるには、農林水産業は大きなとば口になるからだ。

で、最近気にしているのが、米価

今年の米価が大きく下落したことを知っているだろうか。銘柄米(1等米)は軒並み前年比2000~4000円(60キロ)程度下落した。 なかには1万円を割り込んだ銘柄もあり、米農家はやってられんだろう。高齢化の進む農家の中には、これを機に離農の動きもあるという。
私は、この米価が落ちた原因に興味がある。いや落ちた謎というべきか。

下がった一義的な理由は、需要が減ったのに農作で供給量が増したから。

では、なぜ需要が減ったのか。一般には、コロナ禍で飲食店が営業できなくなり、客も減ったからと思われがちだ。しかし、ここで疑問が湧く。外食しなくても飯は自宅でも食べるはずだからだ。家庭での消費が増えたら、プラスマイナスゼロになると思えるのだが。多少のぶれはあるにせよ、価格に影響あるほどいきなり需要が急減したのはなぜか。そもそもコロナ禍がなくても、人口減少と高齢化で主食用米の需要は毎年10万トンのレベルで減り続けていたのだから、減少は計算に入っていたはず。実際に21年産米の作付け転換面積は、6万3000ヘクタールと「過去最大規模」になっていた。全体的に供給量は減らしていたのだ。それなのに米価が急落するのは解せん。

需要が減った理由はいろいろあるのかもしれない。ただ、理由の一つとして指摘されるのがフードロスの減少だ。

どうやら、これまでの米の需要に飲食店の廃棄ロスも消費量に含まれていたらしい。それが想像以上に莫大にあった。たいていの店舗で見込み炊飯する。あるいは店頭にないと困るので、始めから捨てる覚悟で多めに用意する。また客の残す米飯も多い。そんな捨てていた米。この「消費」がコロナ禍で消えたというのだ。自宅の米は、食べる分だけ炊くから、そんなにロスは出ない。出てもしれている。……このように考えると、なんと、ロスこそ米需要を支えていた可能性がある。それが失われると農家が困るのだ。
ちなみにパン屋でも、閉店間際でも店頭に並べなくてはならないので、廃棄するパンが非常に多いと聞いていた。それと同じことが米飯にも起きていたのかもしれない。

フードロスを減らすのもSDGsにある。それは原則としてよいことだが、ロスをなくすことが日本の農業に影響を与えるとしたら。。。
よく売れ残りを廃棄せずに無料で配る話もあるが、それも価格下落を誘発しかねないから、経済的には慎重にならないといけない。「食べられない人」に配るのに留まらず、「食べられる人」の口にも回る可能性があるからだ。すると購入量が減る。
もちろんフードロス歓迎!とは全然思わないが、きめ細やかな対策がいる。農水省は、主食用米の保管経費などを支援したり、飲食店や子ども食堂に販売する特別枠をつくったりという対策をするそうだが、その場しのぎというしかない。

そういや、木材分野でも「間伐材使ってやるから安くしろ」と要求する消費者がたまにいるが、これも林業経営を圧迫する。補助金で安くするのも同じ。GO TOキャンペーンなどで旅行や外食を安くするのも、長い目で見ると、旅行業・飲食業を衰退を招く。

 

ところで今年のアメリカでは小麦やトウモロコシ、大豆の作柄が猛暑で心配されたが、幸い収穫量はむしろ増えたそうだ。大豆は過去最高の作柄、トウモロコシも史上2番目の豊作とか。おかげでアメリカのそれらの作物価格が落ちている。
ところがカナダの麦類(小麦、大麦、オーツ麦) や菜種は3~5割の大減産らしい。日本は菜種(ナタネ油の原料)をカナダに9割以上を依存する。食パン用小麦も全体の3分の1がカナダ産。来年の食用油と食パンは値上げ必至だ!

ウッドショックをいち早く指摘した私がいうのだから信用できる……かどうかは読者が判断してほしい。

 

2021/10/31

研究員募集。「森のようちえん」はキテるか?

「森のようちえん全国交流フォーラム」から帰って来た。

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初日は青空の下で、ススキも気持ちのよい曽爾高原だった。そこで何を見聞きしてきたのかは、今後咀嚼していきたいと考えるが、せっかくだから、こんな話題を。

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森林総合研究所の求人(^o^)。正確には、

令和4年4月 研究職員募集のお知らせ (パーマネント研究職員)

パーマネントって……ようするに任期の定めのない、いわゆる正社員(職員)のことか。それはいい。そこの一覧には、いろいろな研究課題・テーマが載っているのだが、その三番目が、上記の写真。

森林における教育とそれに適した森林空間についての研究

環境教育の場としての森林の特徴を示すとともに、安全かつ効果的な環境教育に適した森林空間および周辺環境の要件と整備・管理方法を明
らかにする。そして、それらの成果に基づき、森林空間の特徴を活かした環境教育の先進的な方法を提案する。

森林における教育……なんとなく、いやそのものズバリ、「森のようちえん」を連想する(笑)。

こうした研究員を募集するようになったのかという感慨。もしかして、森林空間利用とか環境教育の分野で、「森のようちえん」はキテるのか?

2021/10/26

建築物の木材の炭素貯蔵量と住宅寿命

木材利用促進法が改正されたのに合わせて、林野庁は建築物に利用した木材の炭素貯蔵量の表示に関するガイドラインを公表している。

「建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン」について

木材の炭素貯蔵量を求める計算式とは、

Cs=W×D×Cf×44/12

Cs:建築物に利用した木材(製材のほか、集成材や合板、木質ボード等の木質資材を含む。)に係る炭素貯蔵量
(t-CO2)
W:建築物に利用した木材の量(m3)(気乾状態の材積の値とする。)
D:木材の密度(t/m3)(気乾状態の材積に対する全乾状態の質量の比とする。)
Cf:木材の炭素含有率(木材の全乾状態の質量における炭素含有率とする。)

うーむ。難しすぎる。まあ、木材の樹種や乾燥とか建材の種類などの根拠などはリンク先に載っているから、興味のある方は参考に。

Appeal_img01こんな図表もある。

建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン(PDF : 432KB)

なんか、以前にもよく似たモノがあったなあ、と考えて思い出した。ウッドマイルズだ。いや今もあるかもしれないが、すっかり陰が薄くなった。こちらは木材の移動手段や距離を二酸化炭素排出量で示すというものだ。こちらも細かな計算式があったが、今回の方はより難解。
ただ炭素貯蔵を示すなら、木材以外でも炭素を含むものは少なくないように思うが。プラスチックだって炭素を含むなあ。

ウッドマイルズは、ようは外材より国産材、そして近くの山の木の木材を使いましょう、という意図から作られた。もちろん二酸化炭素に置き換えるのだから、地球温暖化対策も名目としてある。
今回は、文字通り建築物そのものの炭素貯蔵量なんだから、気候変動対策である。建築物ごとに貯蔵量を掲示するなどして「建物を建てた企業や施主が、カーボンニュートラルへの貢献を対外的に示せる」ことを目的とするんだそうだ。外材いっぱいの家の場合はどうかな。。。

ウッドマイルズと今回の建材の炭素量を掛け合わせたら、より正確になるかもしれない。しれないが……。

日本の住宅の寿命は、平均29年である。ま、30年としても、それが炭素貯蔵期間だとするなら、その木材の成長期間の半分以下ということになる。60年生だとしてだが、外材の中にはもっと長いものもあるだろう。ということは、大気中の炭素削減のために貯蔵するという意図からすると、住宅寿命を2倍ぐらいに伸ばす必要があるだろう。さもないと、木の成長量より早く破棄して炭素を貯蔵どころか排出してしまう。非住宅の木造建築の場合は、寿命は伸びるのか、あるいは短めなのか。
しかし、仮に60年もたせても、カーボンニュートラルにはなるが削減にはならない。

国土交通省の木造住宅期待耐用年数によると「フラット35基準程度で50年~60年、劣化対策等級3で75年~90年、長期優良住宅認定であれば100年超」だそう。しかし日本では、世帯や世代交代をすると、リフォームや建て替えが多い。その度に木材は入れ代わっていく。これは時代による機能性の要求が変わる(断熱性能とかIT仕様とか)ことのほか、精神性の問題かもしれない。洋風がいい、新モダンがいい、エスニックがいい……ほか、禊ぎ意識もある。おニューを求める心だ。

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古民家リフォームでネパール喫茶

ちなみに、このガイドライン作成の意図の裏に「2030年の国産材の供給量を現在より35%拡大」方針があるそうだ。国産材生産量を大雑把に2000万立方メートル強として、700万立方メートル以上増やすことになる。これは丸太だから、その3分の2以上がチップになって紙か、あるいは燃料になる。残りが製材か合板になる。その分外材を減らすのか? 建築物になる分は何棟分だろうか。人口減少時代だからなあ。

 

 

2021/10/21

総選挙に向けて各党の森林政策

あまり時事的な問題は扱わない方(枕ぐらいにはしてきましたがね)なのだが、久しぶりに総選挙も近いので、各党の森林政策を比べてみた。

せっかくだから、まずは総務省のポスターを。「投票に生きましょう」(^o^)。

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森林政策を比べるのに、ちょうどよいサイトがある。「持続可能な森林経営のための勉強室」の中だ。
総選挙2021各党の政策の中の森林林業政策 ネット上に公表されている各党の政策の中で、森林・林業・木材という文言が入っている文章を拾い出したものとのこと。ここの記述に基づいて読んで比べてみる。

ちょっと驚いたのが、自民党の政策内容が薄っぺらい……というか、物理的に分量が少ないこと。これまで、何といっても政権与党であり、もっとも詳しく書いてあるのが自民党だった。その内容に賛同するか反対するかはともかく、実績と行政を握っている与党の強みであろう。

ところが今回は、わずか3項目を数行で済ませている。グリーン成長、エリートツリー、スマート林業、ウッドショック……これまで繰り返された言葉の羅列。なんだかテキトー感がにじみ出る。力抜いているなあ。少しだけ新しい文言は「5か年加速化対策」かもしれないが、これも中身は治山、森林整備などで違うことをするわけじゃない。

逆にもっとも長いのが立憲民主党か。これも内容はおいといて、だが。多少とも新しさを感じるのは、木材ペレットによる熱エネルギー(発電ではなく)とか、農林地の相続を取り上げていること。また懐かしい?森林・林業再生プランという言葉、適切な森林管理を実施する者に対する直接払い制度……なども登場している。民主党政権時代の名残。

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公明党は、自民党よりは長い。ただ新しい言葉が見つからない。グリーンインフラ、エリートツリーなんかも自民党と共通。焼き直し感が漂う。あえて言えばバイオマス発電などによるカーボンゼロ、カーボンマイナス、という記述は面白い(笑)。ニュートラルを飛び越えてマイナスにするんだって。有り得る?

共産党は、長い。立憲民主党とどちらが長いのか競っている。ただ切れ目のない文章なので読みづらい(-_-;)よ。中見出しを入れ、箇条書きにすることをお勧めする。
内容は、日欧EPAやTPP撤廃を謳っていて、関税で国内産業を守るという時代遅れな発想である。林業女子会、(森林)ボランティア団体にも触れているが、これもなあ。今更感が漂う。ちょっと遅れてません? それと森林環境税(国)は与党が決めたことだけど、どうも賛成しているみたい。増税なのに。

※共産党のこの政策は、4年前のものだったようです。今年のものは、こちらでした。
政府の「林業成長産業化」政策を見直し持続可能な林業をめざします

おそらく党のサイトの書き換えが時間差でずれたのだろう。新しい版にはウッドショック広葉樹利用などが登場する。「林業の成長産業化」も見直すという。これが森林破壊の元凶だから。ただ4年前と大きく変わるところはない印象だ。

 日本維新の会は、見事に1行! 農山村地域、農林水産業なんか知らん! という姿勢は結党以来、一貫している(笑)。

国民民主党は4行。その中でトップは地球環境でも林業振興でもなく花粉症対策で、木製サッシを取り上げるところは斬新かも(^o^)。ドイツのような林業大国をめざすんだって。

以上、私の個人的な見解です\(^o^)/。ほかの党(社民党、れいわ新撰組など)は記述ゼロなんだろう。

さて、参考になりましたでしょうか。なりませんね……。

より以前の記事一覧

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