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本の紹介

政策・行政関係

2017/05/25

違法ジビエは諸刃の剣

政府の「農林水産業・地域の活力創造本部」が、獣害対策の一環として、野生鳥獣の肉(ジビエ)の利用を拡大し、2019年度にジビエの消費量を倍増させる目標を立てたそうだ。
 
それによると、全国に12のモデル地区を指定し、ハンター養成に加えてハンターに仕留めた獲物をジビエとして商品化する処理方法を研修するほか、捕獲後すぐに処理できる移動解体車や、年間1000頭以上を処理できる処理加工施設を整備する。
さらに野生鳥獣を適切な衛生管理の元に処理する施設を認証する制度や、捕獲日や捕獲者などの情報を提供する情報管理システムの開発支援……だそうだ。
 
 
う~ん。ジビエを普及させることが獣害対策につながるかどうかはかなり疑問なのだが、その前にこの手の策から浮かび上がるジビエ利用の現状を思い出してしまった。
 
これまでのジビエと言えば、(輸入品は別として)猟師が獲ってきた肉の“おすそ分け”として存在した。見知ったハンターが獲った獲物を分けた肉である。その際に金銭のやり取りがあるかないか。あっても、あくまで個人間のお礼レベルだ。
だから、仮に食中毒が起きても、問題化しにくい。またE型肝炎への感染リスクがあると思いつつも、シカの生肉の刺身をオイシイheartと食べている。
 
 
では、彼らがどのように獲物を処理しているか。私も目撃したことがあるのだが、多くのハンターは、仕留めた獲物(シカやイノシシ)をその場、つまり野外で解体する。血抜きして毛皮を剥ぎ、渓流などに獲物を浸して肉温を下げ、また内蔵を捨てる。オイシイ肉部分だけを持って
帰るわけだ。
 
しかし、それが何を意味しているのか。何よりも衛生的でない。地べただったり、段ボールを敷く程度。川の水も、どの程度衛生的か怪しい。
 
これは、はっきり言って食品衛生法の違反である。だから販売してはいけない。しかし、実際には出回っている。これは違法ジビエだ。
 
さらに野外に血を流したり川で肉を洗うのだから水を汚すことにもなる。解体後の死体の処理も、しっかり穴を掘って埋めるとは思えない。川岸に放置したり、ブッシュに投げ込んで終わり。それが環境破壊になるどころか、クマの餌になったりもする。
 
 
上記の施策は、違法ジビエを排除することを目指しているのかもしれない。というと良いことのように思えるが、完全に実施すると日本で出回っているジビエの多くが消えるだろう。
 
なぜならハンターの多くは、ジビエ利用(野生肉のおすそ分け)を諦めるから。ジビエを遵法化しようとすると、すごい手間とコストがかかるが、それを嫌うのである。
現在でも、ジビエに参入するハンターは、ごくわずか。少しでも駆除個体の有効活用したいと思うからだが、始めたら「全然儲からない」どころか「赤字で首が回らない」話が出てくる。やってられないだろう。仕留めて1時間以内に解体処理場に運び込めと言われると、農地の側で仕留めるのならともかく、山の中ならいかに大変か。
 
そんな苦労しないでも、有害駆除報償金を受け取っておけばよい。そして、自分の分の肉だけを(違法に?)解体して持ち帰るのではないか。それを有償おすそ分けしたら、犯罪になってしまうから。
 
 
ジビエ倍増作戦が、逆にジビエ消費量を激減させるかもしれない。
 
103_2
 
シカ個体の3分の2が、ゴミとなる。

2017/05/13

愛媛県が外国人林業研修生?

愛媛県が、今年度から3か年の「林業担い手外国人受入れモデル事業」をスタートさせたことを知った。

具体的にはベトナム人研修生を毎年5名程度招き、林業事業体等に就業できるまでの教育や技能講習等について支援するのだそうで、2800万円程度の予算が付けられている。
 
これまで林業現場に外国人労働者を受け入れる案は幾度も登場しているし、一部には日系ブラジル人など外国人を就労させるケースはすでに行われている。また建築現場や農業でも年々、外国人労働者が増加している現状がある。
その背景には慢性的な人手不足があるわけだが、行政が積極的に関与して林業界に受け入れる例を私はほかに知らない。
 
 
しかし、今回の事例で苦笑いしたのは、事業内容が「林業における新たな担い手を確保するため、全国初となる短期の外国人技能実習生の受入れを支援するモデル事業に取り組み、継続的な受入体制を整備し、林業の活性化を図る」とある点だ。
 
3年間の滞在が終わったら帰国する外国人を担い手とするのは、ようするに林業は単純作業で3年ごとに入れ換えても大丈夫という認識か。多分、さほど技術を必要としない下刈りや切り捨て間伐のような作業に従事させるつもりだろう。それが技能実習か。
農業界の外国人研修生が年々増加しているが、数々の問題が噴き出して批判を浴びていることを知らないのだろうか。下手すると人権問題にもなりかねない。
 
一方で、その他林業労働力の確保の促進に関する事項の中には、
愛媛県の造林・緑化・木材の搬出等の優れた林業技術の移転を図ることは、諸外国の経済発展と国土保全を担う人材育成が成される重要な国際貢献であり、林業労働力の確保にも繋がるため、外国人を継続的に受け入れる体制を整備を検討していく。
と記している。
 
この点に関するパブリックコメントの複数の批判的な指摘に対して
外国人技能実習生の活用につきましては、現在のところ、農林水産業において、林業のみが外国人技能実習生の実習期間を2年以上に延長する制度の対象になっておらず、活用されていない現状であるため、今後の国の制度改正を見据え、法律に準拠した適正な制度の運用を行う体制づくりを検討していくこととしたものですのでご理解をお願いします。」と木で鼻をくくったような返事を繰り返している。
 
担い手確保とか国際貢献という、本音と建前のような言葉の羅列はおいといて、愛媛県の優れた林業技術、とあるところで爆笑した。どこが? どんな優れた技術があるのか、ぜひ具体的に教えてほしい。日本の林業技術は遅れているからと、ヨーロッパから指導者を呼んで学ぼうとしている最中ではないか。(ちなみにドイツ人フォレスターが、日本の林業現場は30年遅れている、と言ったのを聞いたことがある。)
 
たとえば熱帯と温帯という決定的な風土気候の違いに加えて樹種も生態系もまったく違う中で、どんな造林を教えるのだろう。日本固有種のスギの造林法をベトナム人に教えるのだろうか。それとも熱帯産のチークの育て方を日本の林業家は知っているのか。
木材の伐採や搬出も、低効率が指摘されているのに何を教えるのだ。林業機械の操縦を教えても、ベトナムにない機材だと意味がない。
 
もっと本音を言えばよい。低賃金で危険な仕事は外国人にさせたいと。使い捨てしたいと。
 
 
実は林業は、第一次産業の中で若者率が伸びている職種だ。実際、希望者は比較的いるのだ。自然の中で働きたいという声はよく聞く。
 
しかし結果的に日本人の林業の担い手が少なくなるのは、あまりの待遇の悪さに起因する。事故率は全産業の平均の12倍に達するのは安全教育がなおざりになっている証拠だ。毎年、多くの人が林業現場でなくなったり大怪我を負っている。
また給与は日当払い・出来高払いがまだ多数を占めているうえ、額も平均以下だ。独り暮らしならなんとかなるが、家族は養えない……と結婚退職(もちろん男子)が多い所以だ。家族ができたら生活を送れないからである。
だから全国に林立し始めた林業スクールの卒業生も、いざとなると林業に就業しない人が少なくない。
 
 
どうせなら2800万円を現在の林業従事者の給料に上乗せしたらどうか。離職を防いで定着率を上げられるし、新たに参入するケースも期待できるだろう。
 
 
日本中、どこも腐った政策が横溢している。

2017/05/11

国の森林環境税で思い出す森林交付税構想

森林環境税構想、国は本気らしい。すでに総務省で検討会が開かれている。

 
これ、少々勘違いされがちだが、すでに森林環境税に類する独自課税をしている県は、たしか34ぐらいある。これは県税に上乗せ方式だ。
それに対して国は住民税に上乗せして全国民から徴税しようという魂胆。そして市町村に配分するという。
 
言い換えると、多数の県では森林整備目的で県税と住民税の二重に課税されるわけだ。 ようするに増税。すでに森林環境税を取られている私からすれば、ええ加減にせえ、と思う。
 
全国町村会は賛成。全国知事会や全国市長会は慎重……というところか。
 
 
ツッコミドコロは満載なんだが、もともと森林環境税のある県は森林面積が広いわりに人口が少なかったのだから、東京など大都市圏から徴税すれば総額として増えるのは間違いない。
 
 
どうせなら県の森林環境税を撤廃して国税に一本化したらどうか。そして森林面積割にして配分する。それが都道府県単位か、市町村単位かは悩ましいが。。。東京都23区とか大阪市なんか、取られるだけでほとんど受け取れないんじゃないか(笑)。
 
 
ここで思い出すのが「森林交付税構想」だ。覚えているだろうか?
 
これは和歌山県本宮町の当時の中山町長が提案して、それに呼応するように全国で賛成の声が上がり、森林交付税創設促進連盟みたいなのができたはず。
 
これは、新税を徴収しようというものではなく、正確には森林交付税交付金構想である。
通常ある地方交付税交付金は、国税を各自治体に配分するものだが、これは基本的に人口配分である。すると人口が少ない自治体に不利なのだ。そこで森林面積割にしてくれ(人口が少なく森林面積の広い自治体に多く配分してくれ、という提言である。
 
森林整備関連の配分は補助金などの形であるが、これらは厳しく使い道を国に規定されて使いにくい。というか、無駄な使い方をしたり、余計な事務手続きばかりがかさんで、小さな自治体にとっては負担ばかりがあった。だから自由に使える交付金がほしいというわけだ。
つまり地方交付税交付金の配分規定に森林面積を加味することを陳情した。
 
私は、発案当初から取材していた。参加自治体は1000近くまで膨れ上がり、通信も発行され……と盛り上がったのだが、結果的に国は動かなかった。  
そんなときに高知県で森林環境税がつくられたこともあって、連盟も解散してしまった。
 
 
さて、今頃になって国が森林環境税を導入しようというのなら、もう一度、森林交付税の発想を取り出してもよいかと思う。当時の検討内容を引っ張りだせば、配分方法や、使い勝手の参考になるかもしれない。
 
ただ、都道府県でも市町村でも、「自由に使える金」というのは、目先のバラマキになるのが目に見えている。森林に使われないかもしれない。森林関連というのがどれほどの縛りになるか。かといって、使い道を国が規定したら補助金と変わらない。
思いっきり使い道をオープンに住民に示して、批判に耐えるのがイチバンだと思うが。。。
 

2017/04/07

信組の農業法人向けファンド

先に、まちづくりは不動産屋が手がけて上手く行っている事例が多くあるが、森づくりは金融機関が手がけられないか……とアップした。それに類する記事を見つけた。
 
全国9つの信用組合が共同で農業法人を育成する投資ファンドを立ち上げたという。その名は、信用組合共同農業未来ファンド
 
具体的には、北央(北海道)、秋田県いわき(福島)、あかぎ(群馬)、君津(千葉)、第一勧業(東京)、糸魚川(新潟)、都留(山梨)、笠岡(岡山)の9つ。加えて、恒信サービス株式会社(東京)と日本政策金融公庫、そしてフューチャーベンチャーキャピタル株式会社も出資して、投資事業有限責任組合を設立した。各信組が2000万円ずつ出資していて、総額が3億6000万円で運営期間は原則15年。
 
目標は、農業を核とした地方創生、6次産業化、異業種からの農業参入支援……。20~30件程度の投資案件を扱う予定だ。 
ちなみに東京が地盤の第一勧業信組が地方の信組の消費地・東京の窓口を務めるという。大消費地の農産物消費動向を農業地域に伝える意味があるかもしれない。
 
もともと農業法人投資円滑化法の改正で農業法人投資育成制度というのがつくられたそうなのだが、ま、そんな背景はともかく、金融機関が比較的農業に関心を強めている印象だ。
 
もちろん、本当に上手くいくの?という疑問もチラホラ浮かぶ(~_~;)。支援に値する農業法人があるのか、法人でなければダメなわけで、新規立ち上げの壁も高いかもしれない。
 
ただ、(JAなどではなく)外部の金融機関が、農業に眼を向けて本格的に動き出す先駆けではないか。農業異業種の目が売れ筋トレンドを示せたら、参考になるうえ勇気づけられる起業家もいるだろう。
 
 
さて、本ブログの趣旨からすれば、その次は林業界がターゲットになるだろうか……とつなげたいところだが、林業にそれだけの潜在的可能性を認めてくれる金融機関があるかどうか。いや、可能性はあっても、農業以上に面倒くさい障壁を感じるかもしれない。
しかし、農作物よりは量や単価が高く、消費対象が建築や土木など動くマネーが大きいから当たればデカいと見ることもできる。
 
 

2017/03/21

鳥獣被害は「減った」

シカにイノシシ、サル、カラス……と鳥獣被害が話題になっているときに、農水省から2015年度の農作物被害額が発表になった。

 
その結果は……被害金額は176億円。前年度から15億円減(対前年7,8%減)。被害面積は8万1000ヘクタールで前年度より300ヘクタール減。被害量は50万トンで前年度より4万6000トン減(対前年8%減)……。
 
なんだ、騒がれているから年々増大かと思いきや減少傾向にあった。
被害金額については、シカが60億円と6億円減少(対前年9%減)、イノシシが51億円で3億円減少(対前年6%減)、サルが11億円で2億円減少(対前年16%減)。やはりシカとイノシシが圧倒的に多いが、鳥類もカラスとその他を合わせると、30数億円になる。
 
これはあくまで農作物被害なので、林業のほか一般家庭の被害(たとえば家庭菜園)は入っていない。実態は5倍ぐらいあると聞くが、とりあえず全体的には減少しているのだろう。
 
その点は、グラフを見るとわかりやすい。
 
Photo (農水省)
 
 
なぜ減ったのか。分析によると、まずは市町村の対策、つまり防御と駆除が進んでいることだろう。なんだかんだと言っても、駆除数は毎年増えている。柵も設置が進んでいる。
 
ただ「餌となるドングリが豊作だった」(鳥獣対策室)という声が出ているようだ。
これには首をかしげる。そこには「野生鳥獣は野山のドングリなど天然ものの餌が好きで、それが足りないから里に下りてきて農作物を狙う」という発想があるように思う。また「わざわざ危険な里の農作物を狙うのは大変」だから本来なら忌避する、と思い込んでいるのではないか。
 
これは私の勘だが、むしろ野生鳥獣は農作物が好きで、里で餌を得る方が簡単……だからやってくるのだと思っている。
 
なぜなら品種改良された野菜は美味しいし、栄養価も高い。量もまとめてある。取るのも簡単だ。柵をしているとか、ハンターが狙っているというのも、まだまだ局所的。人間に姿を見られても、今では追われない。逆に人が逃げる。
そもそも餌となるのは、人が収穫する農作物以外にもたくさんある。農業廃棄物や畦道に生える草などは、いくら食べても人間は怒らない。それどころか、廃棄物を喜んで提供してくれる人が少なくない。
 
これまで里に食事に行くことを知らなかった鳥獣が、いったんそれを覚えたら止められない止まらない、ではないか。「あそこのファミレス、美味いねん」的な(笑)。
 
この私の説には、明確な裏付けはないので今後の研究を待ちたい(^o^)。
 
 
ともあれ、被害は多少減ったのは事実だ。人間側のガードがきつくなったこともあるだろう。
しかし、被害届けを出さなくなった可能性もある。諦めてしまったり、老後の楽しみ農園だったりすると。また農業廃棄物を食べても届けないし、農道・林道の草刈りをしてくれてありがとう、と思う人もいるだろう。それが鳥獣を呼び込んでいるのに。
 
実態はなかなかわからない。
 

2017/03/15

一歩先を行く?農業政策

林業界を観察していると、激変する周辺環境とは別に、な~んにも変わらない日本の林業現場という印象がある。
 
林政も、民主党から自民党に変わって以降、目立った変更がない。単に旧に復しただけだ。が、変わらずに続けられるとは思えない。では、何がどう変わるのか……。
 
そんなときは農業事情を見ると、少しヒントになる気がする。農業の方が、ちょっとだけ、林業より先を行っているからかもしれない。やはり農業の方が産業規模が大きいし、人口も多い、林業よりは……。世間の関心も強いし、圧力団体もある。で、政府も林業よりは農業の方に注力する。
 
 
そんなつもりで農業ニュースに目を通すと、こんな動きがあった。
 
静岡県は、所有者が不明の耕作地の利用権を農地中間管理機構に設定する知事裁定を全国で初めて行なう、というのだ。
 
これ、前提を知らないと何のことかと思うのだが、実は2014年の改正農地法で、所有者不明の農地については、知事の裁定で利用権を農地中間管理機構移転させることができるようになっている。
この機構とは、通称・農地集積バンクというが、都道府県に各1つ設けられている。何をするかと思えば
①地域内の分散し錯綜した農地利用を整理し担い手ごとに集約化する必要がある場合や、 耕作放棄地等について、農地中間管理機構が借り受け
② 必要な場合には、基盤整備等の条件整備を行い、 担い手(法人経営・大規模家族経営・集落営農・企業)がまとまりのある形で農地を利用 できるよう配慮して、貸付け
③ 当該農地について農地としての管理
④ その業務の一部を市町村等に委託し、農地中間管理機構を中心とする関係者の総力で農地集積・耕作放棄地解消を推進 
 
簡単に言えば、公の信用で、所有権はさておき所有者が不明の農地を実質的に取り上げ、他者に貸し出すということだ。
上記の静岡県の例で言えば、東伊豆の889平方メートルが、所有者も相続人も死亡し、少なくても10年以上放棄されている。そこに適用するという。すでに近隣農家の借りたい希望が出ているから、比較的スムーズに進みそうだ。
 
 
この手法、そのうち林地にも応用されるのではないか。
たとえば所有者が不明、あるいは所有者の同意を得て山林を一括して利用権を取り上げ、集約化して経営を別の林家に任せる、ということは有り得るだろう。どうせなら集約化した林地の境界線の不明確な部分も一括裁定してほしいが……。
 
日本の森林を奪うのは、外資なんぞではなく、宙に浮いた所有権であることは、そろそろ政治家も官僚もわかってきたのではないか。
 
 
もう一つ。
政府は閣議で国家戦略特区法の改正案を決定した。その中を見ると、農業分野(ほか観光、サービス)で就労する外国人の在留要件を緩和する項目がある。今国会で成立するだろう。いよいよ外国人が日本で農業をやる時代が来るかもしれない。
 
当然、林業にも広がるかもしれない。外国の林業技術者を雇用する時代が……。

2017/03/02

専門職業大学が誕生する

この4月から林業学校が3校増え、全国19校になる。兵庫県の森林大学校、岩手県の林業アカデミー、和歌山県の農林大学校に新設される林業経営コース……。

今後も計画・構想は目白押し。また短期の林業研修コースを設けている自治体もある。
 
 
ま、こんなに増設・拡大することの善し悪しはともかく、一方で専門職業大学を設立する動きがある。
 
専門職業大学は農業や観光、ITといった分野で経営者層を育てることが目的とかで、4年生大学や短大と同じ学校教育法に位置付ける。つまり卒業すると、大学と同じ「学士」が得られるわけだ。(今国会で同法を改正予定)
だから専門職業大学は4年制か2~3年制にする。ほかにも条件としては、専任教員の4割以上を実務経験者にすること、企業内実習を2年間で300時間、4年間で600時間以上……などがあるそうだ。とにかく経営者として必要な実践的な内容を学べることが目標だ。
 
その一番手として考えられているのが、農業大学校の改組。今のところ静岡県の農業大学校が手を挙げているそうだが、さて全国に広がるだろうか。
 
 
と聞けば、その流れは林業学校にも来るのかと考えてしまう。静岡の場合は農林大学校だから、林業コースはどうなるのだろうか。
 
ワーカー(作業従事者)ではなく、経営者を育成しようという考え方は賛成だが、学校教育法に馴染むかどうか、と考えると疑問もある。
 
そもそも、現在の通称「林業大学校」の中で、学校教育法に沿って「専修学校」扱いで設立されたところは少ないはずだ。農業大学校の場合の法的根拠は、農業改良助長法だ。
 
林業大学校も自治体の林業関連部署直属だったり、社団法人や森林組合の塾的扱いのところもある。
なぜなら、その方が自由度が高いからだ。学校教育法に沿うと、一般教養や体育なども含めないといけなくなるとか、上記のような授業時間に枠がはめられる。それでは、新しい実習や講座が開けなくなりかねない。
 
林業理論も、あまりにバラエティがありすぎて、定番を教えることが難しそう。
 
さらに言えば、林業で専門職業大学を作っても、専業林家なんてほとんどいない(食えない)わけであり、新規就農者が農地を得ること以上に自分の土地(林地)を確保するのが難しい。だいたい経営を考えるなら、100年単位だ。
 
ああ、成長分野の経営者を育てる、という専門職業大学の趣旨から林業は外れているわ。。。むしろ既存の林業経営者を学び直させる必要があるわけか。
 
 
そのように考えると、日本の林業って、つくづく「学校」が似合わないなあ(⌒~⌒ι)。
 

2017/02/24

クリーンウッド?グリーンウッド?

合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律 」が、今年5月20日から施行される。
 
 
昨年、議員立法で誕生した違法木材の取り締まりを目的としていたはずだが、内容は「合法木材の促進」であって、違法木材の排除ではない。しかも促進であって、「絶対に合法木材だけ」という気概もない。
 
 
……とまあ、昨年から悪口を垂れ流している(~_~;)のだが、実はどうもよくわからないというか、混乱している点がある。
 
 
それは、……この長ったらしい法律の名前の略称だ。
実は「クリーンウッド法」と「グリーンウッド法」が混在しているのだ。
 
え、クリーン? グリーン?
 
 
みんな覚え間違いしているのか、新聞などのニュースでもグリーンウッドという言葉とクリーンウッドというのが時として混ざっている。
文字も、クとグでは、区別がつかない。小さな紙面やネット画面だと点があるのかないのか……。
 
 
すでにグリーン購入法があり、ここでグリーンというのは緑、つまり環境に優しいという意味を込めているのだろうが、今回だってグリーンでもおかしくはない。
 
しかし、合法という点からはクリーンなのだろうか。正しいという意味をこめているのだろう。
 
 
ちょうど林野庁は運用に必要な省令と施行規則及び基本方針の案に関してのパプリックコメントを募集している。それでは、クリーンウッドのようだ。
 
でも、グリーンと間違って使っている人も少なくないよ(~_~;)。
 
私もグリーンの方がわかりよいと思うが。グリーン購入法と並んで使えばいいし。
 
 
この法律の中身や運用よりも、略称の正しい普及を先に進めてもらいたい(笑)。
 

2017/02/22

「地域林政アドバイザー」の影に……

林野庁が、来年度から市町村に「地域林政アドバイザー」を配置することが決まったというニュースがあった。それが「地方財政対策」だというのだが……。

市町村には林務行政に通じている職員が少ないため、専門職員を雇用する経費を特別交付税で手当てするのだという。
 
対象になりそうな人物は、森林総合監理士や、林業技師、森林部門の技術士、それに森林施業プランナーなどを想定しているようだ。もっとも、そのうち林政アドバイザーの資格をつくって認定ビジネスにしてしまうのかも。
 
Photo こんな図があった。
 
 
しかし、仕事は市町村有林の経営計画づくりや認定、林地台帳の整備、境界線確定、林業の担い手支援、木材利用提案……などということだから、本来これこそがフォレスターの担当すべき仕事だ。
その意味では、やたら範囲を拡げて多くの有資格者を取り込もうとするよりも、日本型フォレスターともいう森林総合監理士が担うと絞り込む方がよいのではないか? 
これまで「取っただけ」になりかけていた資格だが、ようやく役割を発揮できる場ができたと思えば喜ばしい。
 
しかも有資格者を雇用する財政措置を行うわけで、市町村側としては有り難いのだろうね。
 
 
……ただ、これが「地方財政対策」だというのは、私なんぞは、その代わりに国の森林環境税をつくるための地ならし、という意味だと勘繰る……というか読み取っている(笑)。特別交付税が財源だからね。
 
ようするに増税であるが。。。自治体の森林環境税とかぶる。まあ人口が少なく森林面積の広い地方府県が課税するより、大都会の住民からも取れる国税の方がたんまり集まるか。

2016/12/02

バイオマス発電の買取区分が変更

FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)の調達価格等算定委員会で、中小水力とバイオマス発電では、区分を新たにつくることになったようだ。
 
ここではバイオマス発電に絞って内容を確認してみた。
 
現行のバイオマス発電は、燃料の種類によって5つの区分がある。
バイオマス発電の5区分のうち3種類が木質(あと2つはバイオガスなど)。林地に残された未利用材、製材端材・農業残渣などの一般木質そして建築廃材などリサイクル木材だ。また未利用木材に対しては、出力2000キロワット未満と以上で買取価格を分けている。
 
これまで多かったのは、未利用材を使った発電だ。その場合、規模では5700キロワット辺りが損益分岐点のようだ。(そこで2000キロワット以下の区分をつくって買取価格を高くしたわけだが。)
ところが認定・導入量を見ると、一般木質の認定量が圧倒的に多くなってきた。認定量で比べると、未利用材は44万キロワットなのに対して、一般木質は322万キロワットにもなる。約8倍だ。ちなみに建築廃材は38万キロワット。
 
とくに目立つのは、一般木質で出力が2万キロワット以上の大規模発電設備の認定量が急速に増えていることだ。おそらく輸入バイオマス(PKS:ヤシ殻等)を当てにした計画だろう。
 
実は出力の規模によって発電効率は、大きく違ってくるのだ。
現在の買取価格は出力5700キロワットの設備を基準に、発電効率を26%と想定していた。しかし調査によると、大規模なバイオマス発電設備では出力が1万kW以上の発電効率が30%を超え、2万キロワット以上では32%に達していた。
 
2万キロワット以上の発電所が32%で発電できると、26%で計算した場合と比べて、年間で2割以上発電量が増える計算だ。一方、買取価格は26%で計算している。当然収益も大きく上がる。儲かるから建設ラッシュなわけなんだろう。 
 
そこで2017年度から、一般木質燃料による発電に対して出力2万キロワット未満と以上で買取価格を分けようという方針が持ち上がったのだ。現在の買取価格は24円(税抜き)だが、20円前後まで引き下げるという。
 
事業者は、びっくりというかタマランだろうなあ(笑)。さすがに赤字になるほどの引き下げではないだろうが、儲けが減ると読めば、計画から撤退する事業者も出るに違いない。
政府にとっては、それが狙いかもしれない。あまりに多すぎる計画(一般木質による発電所は現在121件認定、稼働は26件)だから、減った方がよいと思う。
 
 
ちなみに未利用材による発電所も現在78件認定で、稼働しているのは38件。これも多すぎる。これ以上新規につくっても燃料調達の面から行き詰まるだろう。未利用材というのは、簡単に集められないのだ。
 
また毎年度ごとに決定していた買取価格を、発電事業者が収益性を判断しやすくするため、2017年度から複数年先の買取価格を決める方針とか。これも計画抑制につながるだろうか。
 
 
ヘドロから湧くメタンガスみたいなバイオマス発電計画が、これで少しは目覚めて減ることを期待している。
 
 

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