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森と林業と田舎の本

政策・行政関係

2019/06/11

外資が買収した森林よりも

また林野庁が「外国資本による森林買収に関する調査の結果について」を発表している。

昨年1年間に外資が購入した地目・山林を集計したようだが、30件・373haだったそう。平成18年からの合計で223件、2076haという。(ちなみに平成18年とは2006年だ。来年から平成~令和なんてまたがった発表されたらわからんようになる。)

毎度ながら、この調査結果がしょぼく感じるのは、取得した森林面積が0,003ha~0,006haという物件が結構多いこと。これ、どれぐらいの面積だ?

0,1haは10アール、0,01haは1アール、1アールは10メートル四方。0,003haとは、その3分の1以下。たとえば10メートル×3メートルの土地ということになる。何坪か。。。ああ、もう換算するのが嫌になった。

ともあれ下手な宅地面積より狭い。木が何本生育しているのか。これを計上することの虚しさよ。

 そもそも一時に「外資が日本の森を奪う」と狂奔した輩がいて、その対策に始まった調査である。しかし、今やまったく声が聞こえてこない。どんな結果が出ても興味がなくなったようだ。

 

一方で、国有林法改正の審議では、「外国資本の参入の可能性」が問われていた。それに対して「外資は、日本の森なんかに興味ないでしょ」という答弁が出ている。おい!

20190611_135940(毎日新聞6月6日)

この記事では、かつて外資(中国)が、日本の離島の森林資源を購入した例を上げている。その中国人は、しっかり協議に応じて紳士的であったようだ。日本の議員も、もう少し真摯に答弁しようよ。

2019/06/09

農産物輸出1兆円の大嘘

ここ数日、自衛隊がイージス・アショアの導入で、設置場所の選定でとんでもないミスが見つかったというニュースが騒がれている。
果たして本当にミスなのか、最初から秋田にしようという心づもりで揃えた資料に無理があったのか。なんとなく、後者ぽい臭いがする。

というのも、同じことが幾つもあるからだ。

たとえば「林業の成長産業化」の一環でよく唱えられるのは、輸出である。昨年の木材輸出は、前年比7%増の351億円とまた増えた、と誇らしげに白書に書かれている。

同じように「農業の成長産業化」も唱えられている。そして輸出額の目標は1兆円なのだ。それが伸びている。2012年に4497億円だった農産物・食品の輸出額は昨年に9068億円まで増えたという。1目標の1兆円が見えてきた、これもアベノミクスの成果だ、世界中に日本食レストランができ、和食そのものが世界無形遺産に指定されたおかげで日本の農産物の優秀さがよく知られるようになった、と安倍総理の演説の得意部分でもある。 

普通、日本の農産物や食品の輸出が伸びていると聞けば、何を想像するだろうか。米や野菜は無理だな。流行りは和牛に日本酒やワイン? リンゴやイチゴなど果物? 
ところが日本農業新聞の記事によると、政府が発表する統計では何が輸出されているのかわからない、というトンデモな事実が判明した。 粘り強く日本農業新聞の記者たちは追いかけたのだ。渾身の調査報道だろう。


ようやく判明した品目で、トップを占めたのは798億円の「その他の調整 食品のその他」なのだ。その他のその他???

せっかくだからランキングを並べよう。

1 その他の調製食品のその他 798 
2 パン、ケーキなどのその他 300 
3 清酒 222
4 ソース用の調整品などのその他 194 
5 紙巻きたばこ 160 
6 ウイスキー 150 
7 水のその他 146 
8 リンゴ 140 
9 ビール 129 
10 スープなど 115 

末尾の数字は輸出額。億円単位である。

清酒とウイスキー、ビール、リンゴ以外、なんだ???とハテナマークのつくものばかり。だいたい上位に「その他」が多すぎる。パンの材料の小麦などは輸入品だし、調整品というのは原材料は輸入しているものだろう。調味料も同じ。タバコはかろうじて日本で栽培しているのかもしれないが(輸入も多いはず)、ウイスキー、ビールだって大麦やホップには輸入も多い。「水のその他」なんてなんだ? ミネラルウォーターとかジュース類だろうか。これが農産物なの?

実は細かく見ると、野菜種子、小麦粉、みそ、ごま油、ゼラチンなどの加工品も大半が輸入農産物が原料。メントールなどの有機化学品(76億円)や化学工業生産品(17億円)、さらにゴム製品やココア・同調製品などもはいっているそうだ。加工食品の多くは輸入原料だから、日本の農業とはまったく関係ない。

まるで統計偽装である。農産物を可能な限り拡大解釈して、輸出額を増えるように見せかけたのか。そもそも財務省の貿易統計の数字をいじっただけで中身に興味がなかったのか。

実は林産物にも似たケースは聞く。製材や合板には原料が外材のものもあるのではないか。また中国やベトナムに輸出した国産材が、向こうで加工して木工品(家具や建具など)になって日本にもどってくるケースもあるはずだ。それも輸出統計に入れてしまうと、日本の木材が世界で欲せられているように勘違いする。逆に漆やコウゾ・ミツマタなど和紙原料はほとんど輸入だが、林産物扱いだし。

本当は、こうした調査をするのが業界紙の真骨頂であるべきなのだが、はたして林業界の業界紙は……?

農業も林業も、全然、成長産業になっていない。偽装統計もここまで来ると、国力の実態を偽装する国家になってしまう。

 

 

2019/06/08

イオンのトレーサビリティ・ウナギ

イオンが、2019年6月8日より新しいウナギ商品を発売したというニュースがあった。名付けて「静岡県浜名湖産うなぎ蒲焼」。

どこが新しいんや! と突っ込んだ人も多いだろう(笑)。

実は、ウナギ養殖に欠かせないシラスウナギを、正式許可を得た採捕団体が浜名湖で採捕した正規ルートで購入し、それを指定養殖業者が他のルートから仕入れたシラスウナギと混ざらないように育てたウナギだという。いわばトレーサビリティのあるウナギなのだ。ちなみに種としてはニホンウナギ。一時期増えていたヨーロッパウナギではない。

なぜこれが新商品になるのか。知っている人は知っている、ウナギは今や世界的な絶滅危惧種なのだ。それも、ほとんと日本が採りまくったせいだ。ウナギをこれほど好きで、高値で取引する国民に日本しかない。絶滅危惧されるほど減ると、より価格が上がって、それを狙って採りまくるという情けないことをしている。その中には、かなり違法性の高いものが混ざっている。

2015年漁期の場合、国内の養殖場に入ったシラスウナギは18.3トン、そのうち輸入された量が3.0トンなので、国内の採捕量は15.3トン。ところが適切な採捕と報告された量は全国総計で5.7トンにすぎない。さらに輸入された3.0トンのシラスウナギは、ほとんどが香港から。香港で採れるわけないので、台湾や中国本土から香港へと密輸された疑いが非常に強い。

こうした事実をまとめると、2015年漁期に国内の養殖池に入れられたシラスウナギ18.3トンのうち、約7割にあたる12.6トンが、密輸、密漁、無報告漁獲などの違法ウナギなのだ。

だから、今回のイオンが合法であることをトレーサビリティをつけた商品を開発したのは、大変な努力をしたことになる。おそらく日本で初めてだろう。

……とは言っても、結局は絶滅危惧されている種であることに違いはない。それに、イオンではこの商品以外にも多くの違法性の高いウナギ商品を販売している。そこで2023年までに販売するウナギを、100%トレーサビリティのあるクリーンなウナギにすると発表している。

まあ、ザル法のクリーンウッド法ででたらめし放題の木材よりましか。イオンに木材の流通も扱わせた方がいいんじゃないの。

 

そこで私もイオンに直行(^^;)。さて、「静岡県浜名湖産うなぎ蒲焼」は売っているか。探したのである。

だが……あったのは、鹿児島産やら愛知産やら、いかにもグレー産地ばかり。

あげくに見つけたのがこれ。

20190607_153957_1

なんと! インドネシア産ではないか。ただ、下に小さくシラスウナギょき採補、養殖、加工まで一元管理しているとトレーサビリティを売り物にしている。でも、これ……インドネシアのウナギというのはビカーラ種という、また別のウナギを使っているのではないか。これまで養殖に成功していなかったウナギで、ニホンウナギやヨーロッパウナギが絶滅危惧状態になったため、新たに目をつけられて乱獲が始まっている種である。

なんかローズウッド(紫檀)が取引禁止になったから、アマゾン・ローズウッドを扱いだしたどこかの業界と似ている……。



2019/06/06

「改正国有林野管理経営法」の目的は何か

国有林野管理経営法の改正案が参議院で可決して成立した。

これまでの林業関係の政策としては、この改正法に対する反応はわりと大きくて、一般紙の一面や大きな特集紙面で記事となった。で、私のところにもいろいろな声が届く。

私はすでに記事化もしたとおり意見は述べているが、改めて考えるところもある。これまでアチコチから得られた情報を元に、何を狙っているのか考えてみた。(裏情報もあるから、厳密な証拠は示せないよ。)

まず、業者視点で見ればこの“改正”は喜ばしい。民間業者が国有林に参入して大規模に伐採できるようになったのだから。
これまでの短期契約で面倒な書類をいっぱいつくって入札することを考えれば、一度契約してしまえば格段に楽になる。しかも長期だから経営の目算が立ちやすい。この場合、1年で20ヘクタールずつ皆伐させる(10年で200ヘクタール皆伐する)計画らしい。

次に林野庁側は、最初嫌がっていた。森林経営管理法は民有林を伐採業者に開放する手だてだったが、庁の管理下の国有林は手を付けさせない思いではなかったか。それを未来投資会議の鶴の一声?で開放させられたように感じる。何とか骨抜きにしようとしていたように思う。

だができあがった法案の条項をよくよく読むと、実は全然管理を手放していないわけだ。細かく施業内容を国側で決めて契約を結ばせる。つまり、骨抜きに成功したのではないか。民間に国有林を自由に経営させるのではなかった。むしろ国の労働力としての民間業者の囲い込みのように見える国の森林保育管理部門の労力は減少の一途で消滅寸前。そのため使える労働力を確保するという労務対策だ。民間でも林業就業者は減り続けているのだから、先に長期契約で縛りつけるのだ。

……というのが私の読み。

森林経営管理法では、委託を受ける民間業者は、わりとその森林をどのようにするか自分で決定できる要素があるから、もし性善説に立てば、業者が理想の森林経営を行うことができる。しかし今回の国有林の場合は、そんな自由度がない。

これで国有林周辺の民有林を手がけられる業者はますます人手不足になるだろう。

とはいえ、国には管理の手が足りないということは、監視もあまりできないということで、少々暴走してもバレないかな? 10年後に返すときにどんな状態になったか初めて目にするケースも出てくるだろう。

 

これで国有林の借金を返せるという声もあるが、無理だろう。そもそも国有林の借金は3兆円を超えたのを、全部一般会計に付け替えている。その時点で借金は消えたのも同然だ。1兆3000億円だけは国有林野からの収入を当てにしているというが、これも嘘くさい。返す気などないと見た方がよい。
なんなら林野庁の返済計画を見たらよい。年々、あり得ないほどの金額を債務返済額に繰り入れている。平成29年度まで90億円だったのが、30年度からいきなり200億円に跳ね上がり、その後も増額。平成60年には470億円まで増やせて返済が終了するという見込み(夢物語)だ。まあ令和に変わったから御破算かな?

いずれにしろ、今後は政策的に国有林も民有林も伐られて、全国にはげ山が増えるだろう。本当に林業の振興を考えるのなら、その時に森林が残っている地域こそ可能性がある。森が木材がなくなった、と言われ出した時代に、森林資源を保存していた山こそ、本当の意味で宝の山となる。

 

 

 

 

2019/05/31

国有林の再造林は「大丈夫」か?

国有林野管理経営法改正案は、衆議院も通過していよいよ成立しそうだ。

そこで議論の的となっているが、私もYahoo!ニュースに書いたような「再造林が担保されているのか」という点と、原則10年、最大50年という長期の樹木採取権が必要か……という点に絞られているように感じる。

ただ、どうも法律論争に陥っていて、伐採業者に造林を植林しなくて天然更新という手法もあるのに義務化できるのかとか、苗を植えさせたら所有権が移ってしまう……といった意見が目立つ。あるいは伐採者側から見て使いやすい制度か、真っ当な利益は出るのかという点から是非を論じる人もいるだろう。

私自身は、そんな小手先の法理論に興味ない。業者の都合なんかどうでもよい。ようは、ちゃんと伐採後に森林はよみがえることを誰が担保するのか(その前に大面積皆伐するなよ、という気持ちが強いが、その点は別とする)という点に尽きる。法律の文面や整合性等の理屈ではなくて、伐った跡地を森にもどせるのか。それを誰が責任持ってやるのか。失敗した場合の責任は誰が負うのか。そのための制度設計をどのようにするのか、という点からこの法改正に疑問を持っている。

で、格好の記事を読んだ。

以前にも紹介した宮崎で会った毎日新聞の寺田記者が25日朝刊に記した記事だ。

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山肌さらす国有林

ネットでも出だしは読めるが、後半は有料。もっとも上記の写真の細かい字を読むのは辛いかもしれない。
そこで前半だけ(笑)、拡大してみる。

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これは今回の法律改正とは関係なく、8年前に皆伐した国有林のケースだ。8・7ヘクタールになる。
ここは、おそらく伐採業者とは別の業者に国が造林を発注したのかな。だが、見事に失敗。今や苗はどこにも見えず、今も斜面崩壊が続く。林道さえ寸断されたという。地形・地質上の問題のほか、シカの食害もあったのだろう。
しかし、業者にしてみれば一度は植えたのだから違反ではない。ちゃんと仕事はこなしたのだ。だから責任はない。補植……というかやり直しの義務はない。では、発注した国の責任は? やはりないのである。こうした山も、再造林済みであり、森林にもどる(はず)とカウントしているから。日本の森林面積の計算には、こうした不成績造林地も含まれているはずだ。

文中によると、まともに治山して造林し直すには数千万円かかるそうで(伐採権の入札額は590万円だったそう)、その金を工面できないらしい。

この現場に私も訪ねてみたい。不成績造林地ツアーを催さないか。7月に群馬へ行く予定があるから、計画しようかな……。

 

今回の法改正では、1地域の契約で1年20ヘクタールずつ、10年で200ヘクタール皆伐させるそうだ。不成績地は必ず出る。さぼる業者も出るだろう。シカ害を完全に防ぐ手だてもない。「国が責任を負って再造林(もしかしたら再々造林も)させる」というが、赤字になったらやるのだろうか。(やるという担保はないのが、今回の法律だ)。

 

 

 

 

2019/05/18

クリーンウッド法に見る法律の正体

土曜日は、なるべく柔らかネタをブログにアップするようにしている。で、今回も用意はしていたが、あえて、こちらのネタを。林野庁は信用できるのか、という点を示したい。

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昨年できたクリーンウッド法。違法伐採木材の流通を規制する法律……ではなく、合法木材を推進する法律。こんな表現をしなければならない点からして怪しいのだが、この法律をつくってから行っていることを紹介しよう。

まず、この法律を適用される業者は登録制だ。登録業者は守りなさいよ(登録しなければ守らなくていいよ)という法律なのだが、その登録業者向けのセミナーで配られている説明パンフ。

詳しい紹介はしないが、以下の表記を見てほしい。

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読んでいただきたいのは、赤字の部分。

「合法性が確認できない場合でも、追加の措置は求められません」
「第二種木材関連事業の場合、木材等の樹種、伐採された国や地域を把握する必要はありません」

ようするに登録の勧誘で、何もしないでよい。合法でない木材だって扱える、と赤字で説明しているわけだ。赤字でないところにも、「合法と確認できなくても、確認できないまま流通させていいですよ」という意味のことが書かれてある。

なんとか登録業者の数を増やしたいからだろうが(さもないと法律をつくったことにならない)、登録しても厳しくないよ、ごまかす手段はあるよ、と林野庁自ら説明強調しているわけだ。

法律つくっておきながら、抜け道をわざわざつくって、それを強調して使わせようとする。たいしたモンだよ。

ま、ほかにもネタはいろいろあるんだけど。これぐらいで。

 

2019/05/17

信用する?されど検証する

書きたくないが、やはり書いておこう。国有林野経営管理法の改正案が、衆議院の委員会を通過した。
与党以外では、維新の会(これは、ほぼ与党)と国民民主党が賛成している。なんか、わりと分かりやすい色分け。

この調子で6月には通過するのだろう。

実は、この法案に関しては多くの人から問い合わせがあった。議員関係者からも、研究者、一般の憂える人からも。
私なりの意見は言ったが、それがどのように反映したのか、理解してもらったのかはわからない。Yahoo!ニュースには、疑問点の中の「再造林の申し入れ」部分に特化して書いたが、ほかにもツッコみたいところは多い。

一応、整理しておくと、国有林を民間業者に原則10年(~50年)の伐採期間で伐採させるわけで、それを樹木採取権と名付けている。分かりやすく言えば伐採権である。つまり、あくまで伐採の権利を販売するわけだ。だから再造林の義務はない。ならば、再造林は国が責任を持って別の業者に発注するというのならわかる。だが、そうではなく、伐採業者に「申し入れをする」。この中途半端さはなんだ? なぜ、どちらかに限定して義務化しないのか。業者の義務にするか、国の義務にするか。

逆に考えれば、樹木採取権しか持たない業者は、伐採以外の作業をしてはいけないことになる。皆伐以外の方法も許されない。植林や育林をするのは違法行為である、と記せばいい……なんて皮肉を言いたくなる。

 

結局、この法案賛成・反対は、林野庁を信用できるのか、という点に絞られる。さらに言えば参入する業者をどこまで信用できるのか。
法案の文面を子細に見たら、巧妙に理屈を捏ねて「仕方がない」風を装うが、逃げ道をつくっていることがわかる。私は性悪説に立つので、担保をとることが絶対に必要だと考える。業者でも国でも、再造林は義務化すべきだし、第三者の検査機関も設けるべきだ。必ず現地に足を運んでチェックし、伐採面積や方法を契約どおりにしているか確認する。そうでなかったら罰則を設ける。もちろん国も同じだ。国だから守るだろうなんて、過去の事例を見てきたらとても言えない。

日本の法律は、罰則のないものが多い。いかにも決めておいたら当然守ってくれるという前提で社会が成り立っている。だが、近年は契約を違えても、法律を破っても罰せられないのなら、やりたい放題……という人が増えてきたように感じる。タガの外れた人が目立つ。

よく国際条約の交渉でよく言われるのは「信用する。されど検証する」だ。たとえば核兵器の削減交渉などで、相手国を信用して条約を結ぶが、それでも条約の内容を守ることを相互に検証する項目を設ける。査察も入る。さもないと実効性の担保がない。
私は「林野庁も業者も信用できないから、検証しなければならない」だけどね。そんな原則に基づいて法律をつくってほしい。

 

2019/05/13

森林吸収源から感じた材積計算の疑問

先週末、奈良女子大学で「明日の奈良の森を考える第9回学習会」が開かれた。テーマは「地球温暖化と森林・林業・木材産業」。講師は近畿大学農学部の松本光朗教授……というより、元森林総研研究コーディネーターで地球温暖化問題の日本の最前線で活躍した人である。IPCCがノーベル平和賞を受賞した際の関係者の一人として賞状ももらっている。個人的には、かつて研究していたという混牧林に興味がある(^o^)。

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実は、私は温暖化ガス削減に森林を吸収源とする理論に以前より懐疑的で、なぜ間伐した人工林が吸収源としてカウントできるか疑問を持っている……というより嘘だろ、という意見を持っていた(笑)。科学的に見たら間伐を施すと森林がCO2の吸収量を増やすというのは理屈に合わない。ただ健全に育つ森にすると、木々はよく育ち枝葉を伸ばして光合成も盛んになるという点を国際会議の場で各国代表に納得させたということだ。これは日本の外交的勝利と国際条約を国内林政にリンクさせた政治的手腕に注目すべきではないか、というのが私の見立てである。

結論的には、私の想定は大きく外していないことを確認できた(^o^)。まさに地球的な課題を日本の林政に結びつけた張本人……という書き方をすると失礼か、ともあれ松本氏は立役者だったのである。

さて、まったく別の点で私が気になった点を。悩んだというか、今も悩んでいるのだ。

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これは、森林(人工林)のCO2の吸収量⇒炭素の固定量の産出式。

ここでは幹材積、つまり樹木の幹の材積から全体の生長量⇒炭素量を割り出すものだが、ここで拡大係数がかかる。つまり幹部分と枝葉、梢、根などを含めたバイオマスの分を見込むわけだろう。スギの20年生以上だと1・57となっている。根っこを0・25と見積もっている。すると樹木全体は幹材積の1・5~1・6倍ぐらいになる、ということだろうか?

この点がよくわからないで悩んだのだが、見方を変えると丸太(幹材積)は、樹木全体の6割ぐらいということになる。

ところで一般に木材生産といった場合、丸太だから幹材積に近いだろう。(幹でも切り捨てる部分を引けば、さらに少なくなる。)
では、木材生産量に比した伐採する樹木の生長量全体はどれぐらいか。たとえば1・8倍くらいと考えてみよう。

下図の森林・林業白書では、2015年で人工林生長量を4800万立方メートルと推定し、それに対する木材生産量を主伐に限って1679万立方メートルとして比べている……。

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これ、おかしくないか? 木材生産量は幹材積だが、伐採したら樹木全体を収穫するわけだし、丸太以外の部分は捨てるか、近年はバイオマス発電燃料にしているわけだ。もちろん間伐による収穫もある。それなのに、「生長量に比べて(木材として使われる量は)4割にも達していない」と表現するのは。単純に1・8倍したら、3022万立方メートルになるし、さらに間伐(切り捨て間伐も利用間伐もある)を加えたら、3500万は優にあるはず。すると生長量に対して伐っている割合は7割を超える。もしかしたら8割に達しているかもしれない。

この疑問に応えてくれる人、いませんか(⌒ー⌒)。

2019/04/23

森林環境譲与税は都会でいかに使われるか

新年度が始まり、地方選もあらかた終わり、いよいよ行政も動き出すかと思うのだが、そこで気になるのが国の森林環境税。そして、それを市町村に配る森林環境譲与税だ。

ここで詳しいことは説明しないが、あらかた600億円を集めて(初年度は若干少ないが)各自治体にばらまくわけだが、その基準を知っているだろうか。2割が都道府県で、8割を市町村。それを人工林面積や林業従事者数、そして人口を元に分配するそうだ。その計算式はよくわからないが、ともかく全自治体が対象だから、森林がない自治体にも配られる。つまり都会では森林は少なくても人口が多いので、結構な額になるはずだ。

そこで、私の住む生駒市はどれぐらいの金額になるか調べてみた。生駒市は結構森林が多い。生駒山に矢田丘陵を抱え、平地にもそれなりの森を残す。そして人口も約12万人と中規模。さすがに林業従事者はほとんどいないと思うが……(この林業従事がどんな仕事を指すかもよくわからない)。

すると、今年2月の議会で「生駒市森林環境整備促進基金条例」を設けていることを知った。これは、国から森林環境譲与税が下りてくるのにきもなって、各種事業充当後に生じる余剰金を積み立てる基金を設置するための条例だという。なんと、早くも積み立てるか。

では、どんな事業を行うのか。予算を見ると、

森林環境譲与税を活用した森林整備 125万円、それに市内全体の森林調査及び竹林と人工林の種類・管理状況の現地調査の項目があった。収入としていくらなのか探すと、なかなか見つからずに難航したが、森林環境譲与税486万2000円が計上されていた。

なんだ、意外と少ない。。。

何千万円かになると期待したのだが。都会でもなく林業地でもないせいか。生駒山の人工林率しれているかなあ。(私は2割はあると睨んでいたのだが。)

だが、全国を見渡せば、結構な額を手にする自治体もある。なにより東京だ。なんと23区全体で3億5000万円になるという。人工林はほぼゼロだから、ひたすら人口で稼いだのだろう。

使い道は、「間伐や人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用並びに都道府県が行う市町村による森林整備に対する支援等に関する費用に充てなければならない」となっている。そして使途等を公表しなければならない。

街路樹とか緑地の整備には使えないとなると、都会で使えるのは木材利用と普及啓発ぐらいか。公共施設の木造化と森林林業木材関係のイベントが増えるかもしれない。いや、もう一つある。連携する市町村のために使ってもよいのだ。つまり姉妹協定などを結んでいる林業地にあげちゃう。

みんな、これを狙っているだろうな。しかし公共施設を木造でつくっても民需には結びつかないし、木育イベントも本当に効果あるのか検証されることもない。どうか、素敵な企画を立てて譲与税をぶんだくって……支出させてください。

分配される税金を狙うと言えば、ふるさと納税騒動を想起する。自分で稼がず、他の自治体の市民税を莫大な返礼品をちらつかせてぶんだくろうとしている醜い自治体(泉佐野市のことだよ。ほかにもあるけどね)。産業を振興して税収を増やすのではなく、国から下りてくる税金をほかより多く受け取ろうというのは、「花見酒の経済」のように、自分の足を食ってお腹を膨らませているようなものだ。

森林環境譲与税も同じことにならないかなあ。

2019/04/08

林業の「働き方改革」

林野庁のホームページによると、「林業の働き方改革」と「木材産業の働き方改革」の手引き書をつくった、とのこと。

林野庁では、林業で働く方々にとって働きやすい環境を整備し魅力的な職場づくりを支援するため、有識者や林業の経営者等の関係者が参加する林業の「働き方改革」検討会を開催し、林業における「働き方改革」の実現に向けて-林業経営者向けの手引き-を作成しました。

ちょっと宣伝をお手伝いしておこう(^_^) 。

詳しい内容を知りたければ、こちらを。

 

※ここで少し引用して内容を紹介しようと思ったのだが、またもや本ブログ(ココログ)に不具合が発生。画像データが張り付けられない。なんか、リニューアル後、単に不具合だけでなく使い勝手も悪くなってうんざりしている。しかも、前々からの課題だったFBなどとの連携は今もできないまま。ツイッターも以前より面倒になった。ほかにも欲しい機能は全然追加されないで、何をリニューアルしたんだ、と言いたくなる。

 

せめてセルフチェックの項目(一部)だけ。

 経営理念を持ち、従業員と共有していますか。
 経営目標や売上高などの経営情報を従業員に開示していますか。
 就業規則を作成し、従業員に周知していますか。
 従業員にとって重要な労働条件を通知していますか。
 雇用契約を適切に結んでいますか。
 従業員の労働時間の管理を適切に行っていますか。
 長時間労働は発生していませんか。
 年次有給休暇などを適切に付与していますか。
 賃金制度を適切に整備し、支払いを行っていますか。

 危険防止措置を講じていますか。
 求人票などに労働条件のほか、自社のアピールポイントを記載していますか。
 女性の活躍を促していますか。
 従業員の能力や実績を適切に評価していますか。
 期初に年間の労働日数をカウントした上で、1年間の業務の進め方を計画していますか。

ま、こんな調子である

これらを行っている林業事業体が、全体の何割あるか、ぜひとも知りたいものである。


※ようやく直ったみたい。まったく。とりあえず昨夜張り付けるつもりだった画像。

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より以前の記事一覧

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