農林・林畜連携はできないのか
今、全国的に注目されているのが「耕畜連携」である。農業と畜産業の連携、具体的には減反や耕作放棄地で飼料作物を栽培して、畜産現場に飼料とかワラなどを提供し、ウシ、ブタ、ニワトリの糞を肥料として農業現場に提供する……という動きだ。
その背景には畜産飼料と化学肥料の高騰、輸入減がある。農業は採算が合わずに耕作放棄が進む一方で肥料不足、一方で畜産飼料の自給率は2021年度で25%(カロリーベース)に過ぎない。地域で両者が連携すれば、お互い補える。
これをイマドキの言葉で言えば「未利用資源の活用、循環」「輸入依存の肥料や食品を国産化」「環境負荷の小さい農業への転換」などなど、ポイントが大きいわけだ。農林水産省が推進する「みどりの食料システム戦略」とか、SDGsの考え方にも合致する取り組みなのである。
まあ、よいことである。
が、その前に脳裏に浮かんだのは、なぜ農林連携、林畜連携ができないのか、という点。
実は、山林を使えば、より簡単に農業に肥料、畜産に敷き藁など素材を提供できるから。
本当は山の を集めて堆肥を作ればよいと思うが、複雑な地形では落葉を一カ所に集めるのは難しいし手間もかかる。しかし、雑木や残材をその場でチップにすれば、積んでおくだけで堆肥になる。腐葉土などは海外から輸入しているが、簡単に生産できるはず。畜産の糞尿を山に貯蔵する手もある。わりと副業的に商品化できると思うのだ。しかも短期利益を得られる。
思えばほんの一昔、農業は山を持っていなければ成り立たなかった。落葉落枝、下草などを肥料にしなかったら、農業はできなかったからだ。ところが化学肥料の登場で、農林の分断が進んだ。さらに山地放牧も普通に行われていたが、放牧獣が植林苗を食べてしまうとか、広域放牧は管理しづらい……などの理由で林地と畜産の分断も起きた。
しかし、今ならもう一度結べるのでは、と思ってしまう。
だた農家や畜産家は多くが主たる生業としているが、林業そのものが副業的な面がある。山主と作業者が別という点も大きい。それが連携しづらさを生んでいるのかもしれない。
雑木林の落ち葉を集めて堆肥にし、田畑に入れる……農林連携どころか農林複合、アグロフォレストリーだ。
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