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森と林業と田舎の本

2023/01/19

農林・林畜連携はできないのか

今、全国的に注目されているのが「耕畜連携」である。農業と畜産業の連携、具体的には減反や耕作放棄地で飼料作物を栽培して、畜産現場に飼料とかワラなどを提供し、ウシ、ブタ、ニワトリの糞を肥料として農業現場に提供する……という動きだ。

その背景には畜産飼料と化学肥料の高騰、輸入減がある。農業は採算が合わずに耕作放棄が進む一方で肥料不足、一方で畜産飼料の自給率は2021年度で25%(カロリーベース)に過ぎない。地域で両者が連携すれば、お互い補える。

これをイマドキの言葉で言えば「未利用資源の活用、循環」「輸入依存の肥料や食品を国産化」「環境負荷の小さい農業への転換」などなど、ポイントが大きいわけだ。農林水産省が推進する「みどりの食料システム戦略」とか、SDGsの考え方にも合致する取り組みなのである。

まあ、よいことである。

が、その前に脳裏に浮かんだのは、なぜ農林連携、林畜連携ができないのか、という点。

実は、山林を使えば、より簡単に農業に肥料、畜産に敷き藁など素材を提供できるから。

本当は山の を集めて堆肥を作ればよいと思うが、複雑な地形では落葉を一カ所に集めるのは難しいし手間もかかる。しかし、雑木や残材をその場でチップにすれば、積んでおくだけで堆肥になる。腐葉土などは海外から輸入しているが、簡単に生産できるはず。畜産の糞尿を山に貯蔵する手もある。わりと副業的に商品化できると思うのだ。しかも短期利益を得られる。

思えばほんの一昔、農業は山を持っていなければ成り立たなかった。落葉落枝、下草などを肥料にしなかったら、農業はできなかったからだ。ところが化学肥料の登場で、農林の分断が進んだ。さらに山地放牧も普通に行われていたが、放牧獣が植林苗を食べてしまうとか、広域放牧は管理しづらい……などの理由で林地と畜産の分断も起きた。

しかし、今ならもう一度結べるのでは、と思ってしまう。

だた農家や畜産家は多くが主たる生業としているが、林業そのものが副業的な面がある。山主と作業者が別という点も大きい。それが連携しづらさを生んでいるのかもしれない。

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雑木林の落ち葉を集めて堆肥にし、田畑に入れる……農林連携どころか農林複合、アグロフォレストリーだ。

2022/11/17

下水汚泥より落ち葉を

政府内で下水汚泥を肥料として活用する取り組みの検討会が開かれた。参加するのは農水省だけでなく国土交通省に自治体、肥料メーカー、農業団体など関係する部署組織だという。

なぜかと言えば、昨今は肥料不足だからである。まず化学肥料の材料であるカリやリン、アンモニアなどは、みんな輸入である。それが海外から入ってこない、価格が暴騰したという事情がある。とくにリン鉱石は、日本にはほとんどないから自給は難しい。

そうかといって有機肥料も増えないのだ。なぜなら有機肥料の材料とも言える魚粉、海藻、骨粉、家畜・家禽の糞、油粕……などもほとんど輸入。ウクライナ危機だけでなく、円安も影響して輸入しづらい。

一方で下水汚泥はリンや窒素といった肥料成分を含む。これまで輸入した少なからぬリン分の含む肥料は下水に流れ込んでいるからだろう。また有機成分も多い。事実、一部が肥料として利用されているが、割合としては1割ほどだ。そこで肥料の国産化を推進しようという検討会らしい。それ自体は結構なのだが……。

下水汚泥よりいいものがあるではないか。

秋になれば目につく落ち葉。これをもっと活用できないか。現在、市街地の街路樹が落とす葉は、ほとんどが焼却処分されている。これは行政として、あるいは町内会のお仕事として落ち葉を集めて袋詰めしてゴミの日に出している。

それなら集める手間はほとんど済んでいるのだから、それを仕分けして落ち葉だけを別のところに運んで寝かせばいいのではないか。半年でほとんど腐葉土になるし、もう1年ぐらい寝かしたら、よい土、よい肥料になるよ。

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写真は私の住む町で行われていた落ち葉かき。森の中のようだが、実は住宅地に隣接した棚田と雑木林だ。彼らは、自分の田んぼ用の腐葉土をつくろうとしているのだろうが、積んでおくだけで肥料になるのだから簡単だと思うけどな。

そして、その寝かせる場所としてもっとも適切なのが山林だと思うのだ。落ち葉や剪定枝などは産業廃棄物ではない。そして、1年2年後、完熟堆肥として売り出せば、副収入を得られると思うのだ。積んでおけばカブトムシやコガネムシの幼虫は大発生するかもしれないが、妙な有害昆虫の発生源にはならないだろう。

そして、こうした堆肥は高く売れる。葉っぱには、リンもカリも窒素も含む。意外と完熟腐葉土の堆肥はあまり出回っていない。

ちなみにホームセンターで売っている腐葉土の多くは海外産だし、実は完熟させていない。わざと?葉の形を残す状態で販売している。その方が早くつくれて早く売れるし、客も葉の形が残っていると腐葉土ぽいと喜ぶからだ。だけど、そんな腐葉土を入れても土壌改良以上の効果は出づらい。たまに化学肥料をまぶした腐葉土もあるそうだが。

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こちらは、森の落ち葉を山でしっかり完熟させた腐葉土。

我が家も、今年から落ち葉や剪定枝のほとんどをゴミに出さないで、庭で土に還るまで積んでおくようにした。

下水肥料よりイメージもよいと思うよ。

2022/11/08

カエデの水とり

函館の北方民俗資料館で描かれていたアイヌの暮らし。

春夏秋冬の絵の一角に「イタヤカエデの水とり」があった。

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そうか、アイヌ民族も、カエデの樹液を採取していたのか。これまで欧米、とくにカナダのメープルシロップのイメージが強くて、その物真似ぽく感じていたのだが、なんの、アイヌもやっていたのなら日本の民俗にも入るのではないか。やはり甘みのある樹液を味わっていたのだろうか。煮詰めてシロップにまではしなかったのか。

そして、今や全国に広がりつつある。先鞭を切ったのが秩父だ。秩父樹液採取組合までつくっている。現在はもっと各地で行われているみたいだ。

アイヌの図では、春先の仕事として描かれていたが、まだ雪深い季節から行う。

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秩父で見たのは2月だった。

ただ、日本ではメープルシロップまでするほど量が採れないし、おそらく糖分も多くないのだろう。煮詰めると、量的には100分の1くらいになる。もっと別の商品化は考えられないか。シベリアの民族は、シラカバからも樹液は採れて飲料にするそうだから、そのままのジュースとして売れるのではないか。味はあまりしないと思うが、冷やして飲めばわからんものだ。

「万病に効く霊水、霊薬」とかいって、カルト宗教に売りつけるとか(笑)。

 

 

2022/09/09

「冒険の森」のパイ

奈良県王寺町に「冒険の森」がオープンしている。

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「冒険の森」とは、簡単に言えば森の中のアスレチックだ。わりと立木の上にルートが作られることが多く、ちょっと体力も勇気も必要。ただしガイドがしっかりついて安全面には気をつけている。

もとはフランスで広がった「フォレストアドベンチャー」が日本に持ち込まれ、そこから独立したのが「冒険の森」。自然共生型アウトドアパークというキャッチフレーズだ。単なる遊具としてのアスレチックと違うのは、わりと地域起こし的な視点があって、森を利用した地域づくりが謳われる。どちらも合わせると、全国で何十か所になったか。どんどん増えている印象。

それ自体はいい。また高さ10mぐらいの木の上を渡り歩くなど、子供の遊び場というより大人の愛好家が多い。

私も、以前はこの動きを推奨していたのだが、全体のパイ、つまり需要はどれほどあるのかと考えてしまった。全国に両方を合わせると60ぐらいあるのではないか。とくに関東圏は多い。冒険の森は関西圏中心。ほかにも「ポケモンの森(ポケモンワンダー)」とか「ツリーピクニック」なんてのもある。私も、それらを「私が期待する森の利用法」を書いている。

たとえば奈良には,山添村に「冒険の森」がある。その運営母体が王寺町にもつくったわけだが、王子町は奈良県でも人口が増加しており人気の地域だ。大阪にも近い。それだけに集客は期待できるだろうが、逆に森の区画は狭い。周りは住宅地になってしまっている。
山添村は大和高原にあり結構遠い。果たして食い合わないか? さらに遠い十津川村には「空中の村」という同じくフランスから導入した施設があり,こちらはアスレチックというよりのんびり木と木の間を歩いたりお茶したり読書したり寝転がれたりする趣向。遊ぶより癒し、と大人向きを極めた感じ(笑)。経営者がフランス人という点も興味深い。もちろん、中身のコースの違いなども重要だろう。

今後はコンセプトの住み分けと、内容次第だろうね。スリルがある方が人気がありそうではあるが、その分ガイドがしっかりしないといけないし、コストは増える。ガイドの質も問われるし、宿泊させた方が落ちる金も増えるはず。

さてさて、健全な競争をしてもらいたい。

2022/07/29

「乾燥」という魔法

木材は乾燥させないと使えない、乾燥剤と未完乾燥材は別物……とよく聞く。実際、木を乾燥させると寸法は変わるし、重さは変わるし、強度も何もかも変わる。見た目もかなり変わる。

という話をするつもりはなくて、たまたま見つけたお菓子というかおつまみがこちら。

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 愛媛県の柑橘類の実を薄切りして乾燥させたもの。ただ、それだけ。シトラス・チップスというそうだ。かじるとよく乾燥しているので、パリパリと割れて口の中でふやける。ほのかに甘く、また渋みがあったり、香りもそれぞれ違う。しかし何も味付けしていない。砂糖も使っていないそうだ。皮も美味しい。口の中で柑橘にもどる。

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種類は7種類ほど(温州みかん、愛媛果試第28号、伊予柑、河内晩柑、はるか、ブラッドオレンジ、レモン)混ぜてあるのだが、なんともシンプルで美味い。酒のつまみにもってこい……と思ってから、あえてチップを酒(今回はジンソーダ)に漬けてみた。
しばらくすると、乾燥チップがほぐれて生っぽくなる。果汁が溶けだす。これはジンリッキー(ジン、ソーダ、ライムのカクテル)だね。入れたのはライムじゃないけど。

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そこでふと思いついた。木材も、乾燥を通してこんな変化(へんげ)を見せられないか。7つの樹種の板を乾燥させて違いを楽しむ。何の違いか。内装材というのはアリキタリだな。やはり、かじらせるか(笑)。鉋屑に調味料をしみこませて乾燥させたら、珍味として売れるような気がする。

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こちらはダイソーで見かけた。「枝をかじってストレス解消!」とあるから、えええ、そんな商品あるの? と驚いたのだけど、よく見ると「小動物」用だった(笑)。リスとかハムスターにかじらせるのか。これの人間版を出してみたらどうだろう。食い物にすると、木がもっとも身近になる。

 

2022/07/24

ジン飲みの本音~フォレストジン

先日、東京を訪れた際に、面会する人は、場所として帝国ホテルを指定してきた。そして、ごっついステーキランチをご馳走になった後は、カフェに移ったのだが、そこでお酒を頼むようにいう。いや、まだ昼間ですし、お酒を飲んだら仕事に差し支えます……なんで言いながら、「ではジントニックを」と注文してしまう私(^o^)。

するとウェイターは「ジンは何にしましょう」と聞くのだ。さすが帝国ホテルのバー(からカフェに運ぶ)。ジンの銘柄を指定できるのか、と感動して、「ではシップスミスを」。シップスミスVJOPがお好みなのだ。

ところがしばらくしてウエイターは「すみません、シップスミスは置いていません」とな。結局、ビューフィーターにしたのだが……。

何をだらだらと書いているかというと、私はジン飲みだ、ということだ\(^o^)/。

このほど「フォレストジン」なるものが発売されたらしい。それも酒造メーカーではなく「日本草木研究所」というところから。

アルコール度数は45度で、内容量は500ml。

一口飲めば、魅惑の森林旅行。
木で酔う「フォレストジン」が新登場。
日本草木研究所では、日本の未利用木材を有効活用する香木酒「フォレストジン」を開発しました。
原材料の60%以上にスギ/ヒノキ/ナラの間伐材を使用し、そしてボタニカル原料の100%が国産野生香木という取り組みは、日本初の試みとなります。

Fe6cf29e36052a953c7c(研究所のHPより)

酒の製造者は、株式会社スティルダムサガと、佐賀県の会社になっている。ここ2020年に設立だと。それもジン専門?の蒸留所らしい。日本草木研究所も、イマイチ存在が不明確。

なかなかそそるではないか。でもお値段は、送料を含めると6000円を優に超える。500mlで。ちょっと手を出しにくいぞ。

そもそもジン飲みを自認しているから、昨今のクラフトジンブームは歓迎していて、各地の地場メーカーがつくるジンを試してみた。が、いま一つ満足していない。マズいんじゃないよ。味としてはそれぞれイケるものもあった。が、ジンとして美味いんじゃないんだなあ。

ジンとは、スピリッツにボタニカルと呼ぶ植物性のエキスを浸透させたものだが、基本はジュニパーベリー(セイヨウネズの実)にコリアンダーである。その風味なくしてジンとはよべない(個人の感想です)。ところが、日本のクラフトジンは、和製ボタニカルを意識しすぎてユズだ茶だヒノキだと懲りすぎて、肝心のジュニパーベリーの香りが隠れてしまっている。

というのが、我が不満。だから、結局は洋物のジンにもどってしまった。シップスミスは、その中でもジュニパーベリーにこだわったジンだ。(ちなみにシップスミス社は、現在サントリーが買収したので日本の会社とも言える。そういやサントリーの「翠」が売り出し中だが、私は鼻で笑っていた。ところが、先日たまたま飲んだら、意外や?イケる。ネズの松脂ぽい香りもかすかにする。価格も手頃で、お気に入りに入れた。サントリーやるじゃん。)

さて、このフォレストジンはどうだろうか。よくよくボタニカルを見ると、ハイビャクシンやネズミサシというセイヨウネズに近い種も入れているようである。

【味わい】
まるで深い新緑の森の中で深呼吸した時のような圧倒的な「森林感」を味わえるフォレストジン。ヒノキの枝葉から抽出する鼻を抜ける青いフレッシュな香りや、杉の林檎を思わせるたおやかな芳香、そして神事でも利用される高野山の霊木コウヤマキの酸味ある後味。ハイビャクシンとネズミサシは和製ジュニパーベリーとして機能し、スパイシーで華やかな風味が引き立ちます。

どうしようかなあ。試飲するには高すぎるし、製造母体もコンセプトも、何か不安。誰かお試しした人の感想を待ちます。

 

2022/07/04

葉ッぱ切り絵展

奈良で「葉っぱ切り絵展」が開かれていたので覗きに行く。

これ、わりと最近有名になってきた、葉っぱに細かな細工で切り絵にしていく手法だ。

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リトの名で、たしかSNSで発信したことで知られるようになったのではなかったか。そしてバズッたことで、彼はプロのアーティストとして活動するようになったのだったと思う。これもSNS情報だけど。下記リンク先を見てほしい。

リト@葉っぱ切り絵 (@lito_leafart) • Instagram 

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せっかくだから作品世界をいくつか。

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展示は、額の中の本物と完成時の写真がセット。本物は押し葉ぽく茶色に変色しているのが残念だが仕方ない。でも、青いできたてほやほやの作品も見てみたいな。やはり葉っぱだもの。

葉っぱも、意外な「資源」であるという認識ができたね。そのうち「切り絵用葉っぱセット」を売り出すことはできないか……なんて考えてしまうのは、アートに耽溺できない私の悪い癖。。。

会場では、「写真OK」「SNS発信OK」と大きく書かれていた(笑)。昔だと、この手のアーティストの作品は、写真撮影しようものなら係員が飛んできて削除を要求するという……場面が展開されたのだが、今や逆転。発信してください、というわけだ。

作品を勝手に撮影するなというのは、、私は「撮られたくないなら発表するな」と思っていた。まあ、アート作品は仕方ない面もあるが、シンポジウムなどで演者のパワポ資料などを撮影禁止するのは理解に苦しむ。後でゆっくり読み返して理解しようと思う参加者の気分を阻害する。それをするなというのは誤解したまま、理解できないままにしておく行為ではないか? もし資料をていねいに見られたらボロが出るからか? と悪態をつきたくなる。

とまあ、脱線したが、これからは参加して拡散する(してもらう)時代なのだ。

私の本の情報も拡散してね(^^;)。

 

2022/05/29

ニホンミツバチと養蜂昨今事情

玄関先にミツバチが群舞していた。これは……と探すと、門上に咲いている花に群がっている。この花の蜜に夢中なご様子。

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というわけで接近する。どうやらニホンミツバチのようで、基本的におとなしいし、採蜜中のハチは、蜜に夢中で人を刺すことは少ない。というわけで、極超接近撮影。刺されたら自己責任!

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わかるかな、ミツバチがブンブンと飛んでいる。大丈夫、刺されませんでした。

この花、いつから咲いているのか知らなかったのだが、キンリョウヘンではないか?ニホンミツバチが喜ぶフェロモンを出すと言われている花だ。そんなの植えた記憶はないし、別種かもしれないが、とにかくハチが寄ってきているのだからよしとしよう。

このまま住み着いてくれる(分蜂)のなら面白いが、巣箱を用意してみようかな。もう時期的に間に合わないか。

というわけで、私の行きつけ(!)の養蜂園に話を聞きに行く。

話は趣味のニホンミツバチ養蜂の話に収まらず、セイヨウミツバチによるにわか養蜂家が増えたことになった。かつては免許制だった養蜂も、今では届け出制に変わって、やたら参入者が増えてきたのだそう。とはいえ、プロとは言えないから養蜂技術も怪しい。

まあ、それだけなら文句言えないし、切磋琢磨すればよいのだが、慣習的ルール無用の状態になっているのだそうだ。たとえば巣箱を置く場所は、これまでなら距離など業者間の取り決めがあったのが、勝手にこちらの巣箱の側に置くそうだ。しかも、プロの養蜂家は草花の種子散布や花木の植樹などを行って蜜源づくりに取り組んでいるのに、にわか養蜂家は、それなしに蜜の採れそうな花の側に巣箱を置きたがるのである。
単に蜜の取り合いだけでなく、病気やダニの感染を引き起こしかねないので怖い。なかには巣箱の盗難もあって……。養蜂業界、百鬼夜行する。

ちなみに今年は(今年も?)蜜はあまり採れなかったという。年々厳しくなっているとか。それは気候などもあるのだが、今春はサクラの花が非常によく咲いたのに、蜜は全然採れないという状況も起きている。蜜を持たない花が増えた……? いや、暖冬で早く花を咲かせると蜜をつけないのかもしれない。この辺の樹木の生理はわからない。これって、森林生態系にとって由々しき事態だし、ヤマザクラのハチミツ、美味しいのに食べられなくなるかも。

とまあ、業界裏事情をいろいろ聞いたよ。(本来なら、このネタで雑誌の記事として売り込むところだが、最近は仕事を自ら増やすのが面倒で、無料でブログに書いてしまうのであった。。。)

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生駒山のニセアカシア蜜と、北海道中頓別のアザミ蜜。

 

2022/05/25

大楠と、怪しい樹齢

日本には、各地に日本最古を謳った神社があるのだが、淡路島の伊弉諾神宮(いざなぎじんぐう)もその一つ。

ま、何をもって最古とするか、理屈はどうでもよいのだが、この神社には大楠がある。私は、この大楠を見に行ったのだよ。

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夫婦楠の名で知られるが、幹周り8mを誇っている。まあ、大きいことは認めるし、それをご神木よろしく祀るのも結構。根元に祠もある。
ただ樹齢を900年としているんだなあ。これは怪しい。

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よく見たら、約「900」年のところは張り替えている(^^;)。元は700年か800年か。

しかも、夫婦クスの名のとおり、幹は二つに分かれているのだが、これは2本の苗がそろって成長する際に癒着してくっついたものらしい。つまり1本の木ではなかったわけで、それを単に太さから樹齢を割り出したとしたら、ちょっと、いやかなり怪しい。

私の見立てでは、その半分以下、300~400年ぐらいではなかろうか。

どうも、人は大木の樹齢を長く長くと勝手に割り増しする傾向がある。以前、樹齢700年と判定されたツバキがあったのだが、(それも割り増しで実際は300年くらいだと思うのだが)命名されたときは「千年椿」となってしまい、いつのまにか説明板の樹齢も1000年に変えられてしまった経緯を聞いている。古くて太いとした方が神格化できて自慢なんだろう。

ちなみに同じ淡路島の妙勝寺にも大楠はある。こちらは見事。神酒周りは7・8m、根回りは11・6mとされている。根元に穴も開いていて、奥にはトトロが住んでいるらしい (゚o゚;) 。。。

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墓地の真ん中にあるが、「夫婦クス」よりずっと樹冠が広い。樹齢は600年とされていた。ちょっとだけ、謙虚(笑)。

しかし、この墓地はいい。高台にあるので海が見渡せる。それでいて、このクスの枝の広がりが素晴らしい。樹木葬ならぬ樹下葬だ。思わず墓参りに来ていた人に「こんなところに墓があるなんて羨ましいです」と言ってしまった。

樹木葬よりいいかな。墓石はあるけど。

2022/04/11

特用林産物を忘れない

先日のブログで林業産出額について書いたが、ふと、そこで触れたのは木材ばかりであることに気づいた。

木材以外、特用林産物と呼ぶものもある。これは何で、いかほどか。だいたい想像するのは、キノコだろう。分類を見ていると、薪炭も入っていたが、さて算出額は……。

2020年のきのこ類の林業産出額は、2259.6億円(対前年比4.3%増加)だという。生産量では46万2277トンで、前年に比べ6588トン(1.4%)増加している。さらにタケノコの生産量は2万6449トン、前年に比べ416.4トン(18.7%)増加。

2020年の薪炭の産出額は、59.6億円(対前年比2.6%増加)。木炭の生産量は1万2925トンで、前年に比べ1468トン(10.2%)減少。

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まあ、そんなものか……と思ってグラフを見て気づいた。木材に匹敵するほどの産出額なのだ。言い換えると林業産出額という中で、木材は約半分にすぎない。キノコもほとんどが室内で栽培されたものだから、林業というより農業に近いと思うのだが、それが半分を占めるということ何を意味するか。

そもそも林業補助金のほとんどは木材生産のために出されているだろう。キノコ栽培にも多少はあるだろうが、そんな莫大なものではない。せいぜい初期の施設投資の補助ぐらいではないか。何から何まで、コストの7割がた補助金で賄っている木材生産とは違う。つまり木材産出額に対しての補助額は、大雑把にこれまでの推定の2倍近いと思っていいのではないか。

 

ただ、私が興味を持った特用林産物は、実はキノコではない。「その他」だ。キノコ以外には何があるのか。

ここで登場するのが、ロジンとテレピン油、であった。どちらも松脂から採取するものだと思うが、何に使うのだろうか。そして(植物性)蝋がある。

ロジンは、野球などで使う滑り止めのイメージがあるが、ほかに体操やバレエシューズの滑り止め、ヴァイオリンなど弦楽器への使用がある。だが、ここで使い道として多いのは、製紙用の滲み防止剤(サイズ剤)だろう。加えて油ワニス、ラッカー、塗料、顔料の表面コーティング、そしてチューインガムベースにもなるそうだ。
テレビン油は、油絵具の薄め液・画用液としてのイメージが強いかな。実際は塗料やワニスなどの溶剤のほか、医薬品の成分など科学薬品の原料らしい。

蝋は、いわゆるロウソク用はほとんどない。和ロウソク以外は石油系。ハゼなどの実から取る植物性の蝋は、ワックスやクレヨン、CD、コピー機のトナー、整髪料、口紅にグミ……なるほど、こんなところに使われるのか。

渋い生産物だ。しかも輸出している。

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特用の輸出額は、なんとキノコより「その他」がずっと多い。キノコは国内消費用がほとんどなのか。乾燥シイタケ以外は輸出しづらいからかも。むしろ輸入超過だ。キノコ以外の特用林産物の1月末迄の輸出額は1億6800万円で、対前年同期比73%と伸びている。これも林産物輸出の数字を結構左右しているのではないか。

特用林産物。これは曲者だ。一般に意識する「木材生産の」林業の姿を見誤らせる元ではないだろうか。

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