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森と林業と動物の本

2025/03/30

ティラノザウルスと遣唐使とコウゾ

恒例の平城宮跡記念公園の一周散歩。

そこで出くわしたのが、ティラノザウルスのフォークダンスだった。

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なんじゃあ、こりゃ。ティラノがフォークダンスの曲に合わせて踊っている。ティラノの駆けっこ競争が流行っているのは知っていたが、今度はフォークダンスかよ。なかにはテンポが早くてなかなか疲れそうなダンスもあったが、これは思わず噴き出してしまうぞ。

で、その背景に注目だ。これこそ、遣唐使船である。この船で(ティラノは)唐まで幾度も海を渡ったのだ。ティラノもフォークダンスも、唐の国から持ち帰った文化である(^^;)\(-_-メ;)。

そして遣唐使についての説明のパネルや映像もあるのだが、そこに輸出品と輸入品が飾ってあった。驚いたのが、これだ。日本は、これを輸出していたのか!

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わかるだろうか。楮糸とは、コウゾの繊維である。これが日本から唐の皇帝に貢いだのか。

コウゾと言えば和紙の原料だが、これはコウゾを紙の原料として輸出したのではなかろう。和紙そのものが中国伝来のものだからだ。やはりコウゾから糸をつくって、布にしたいたのだろうと思われる。
コウゾは、「白い繊維」であることから、神を招き、神が宿る布として珍重されていたという記述もある。またカゴを編む素材としても、コウゾは重要だった。コウゾの別名にカゴノキもある。ほかカジノキ、カミノキなど。神が宿るから紙を漉いた、といえば出来すぎだが。

コウゾの繊維から糸を作って、それを編むと不思議な布になりそう。

 日本の和紙は、ほぼ輸入コウゾで作られているが、国産コウゾを広げるためには、紙だけでなく布としての利用も含めたら幅広くなるかもしれない。

 

2025/02/12

樹木葬を選ぶ理由

いまや新たなお墓を作る人々の約半数が、樹木葬タイプだという統計が出ている。そして樹木葬を選ぶ理由についてのアンケートを発見した。

樹木葬の消費者全国実態調査(2024年)

これはお墓に関するポータルサイト「いいお墓」で行われた調査。

  • 調査期間:2024年1月19日(金)~1月31日(水)
  • 調査方法:インターネット調査
  • 有効回答数:873件(全体1,791件)

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「継承の課題」を選んだ人が74.8%という結果だ。あと、安いから、という点もある。

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一方で、樹木葬のタイプは、「里山タイプ」「公園タイプ」「庭園タイプ」の3つに分けているが、それらの説明はこんな風。

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森になる、自然に帰るというのが里山タイプなのだろう。公園と庭園の違いとは何か。

広い園内が全部樹木葬なのが公園で、従来の石墓墓地の一部に設けられたものを庭園としたのか。

いま一つ、納得がいかない(笑)。そもそも樹木葬という言葉自体が、森に帰るべきで、石標の代わりに樹木を植える、あるいはすでにある樹木を標とするという定義だったはず。しかし、現実に作られた樹木葬墓は、森づくりは頭になく、単に石標を樹木に変えただけのものが多い。いや草花を植えるが、石の墓標もあるタイプが少なくない。ひどいのは木もない。芝生に小さな石標だけという墓もある。

公園、庭園タイプは、共にずっと維持し続けないといけないから草木の手入れが必要だ。となると、継承の問題は解決するのだろうか。一定期間が過ぎたら合葬するのかもしれないが、それなら石墓でもできることなのだが……。

なお、お骨を納めるカロートは、土に骨が触れる仕組みでないと自然に戻らない。が、実はコンクリート製が多いのである。そこにお骨を納めても骨が分解することはなく、ずっと骨は残るだろう。ただでさえ火葬していると、骨は無機化しているだろうし。

とはいえ、樹木葬という言葉を商標登録しなかったため、みんな使い放題になってしまった。

樹木葬という言葉の定義がはっきりしないことが原因だ。やはり法律などではっきりさせた方がいいのではないか。

私自身は、もう樹木葬という言葉を消すのは無理だから、自然に還る埋葬法を「緑の埋葬」と呼んだらどうかと提言している。これは環境に優しい埋葬を意味する英語のグリーン・フューネラルから取った言葉だ。ここに森に還る樹木葬のほか、海洋散骨など自然への循環を意識したタイプの埋葬法を含ませる。公園・庭園タイプの樹木葬は入れない。

地味なようだが、こうした墓地制度をはっきりさせないと、禍根を残す。

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これは公園タイプ?庭園タイプ?

2025/02/06

卒論「余剰ゴルフ場と霊園」を発見

たまたま「余剰ゴルフ場」という言葉にひっかかってある論文を発見した。

なんたって、私は「ゴルフ場ジャーナリスト」だからね。そして、余剰ゴルフ場問題は、ほとんど20年ぐらい前から指摘してきたことだ。当時500ぐらい余っていると言っていたが、今はもっと増えている。そして閉鎖もどんどん出てきた。
もともとはゴルフ場の自然を調べたのだが、そこには新たな「里山」的自然があった。ところが、経営が行き詰まると破壊される例に多く触れたためである。

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『ゴルフ場に自然はあるか? つくられた「里山」の真実』を読んでくれたまえ。

ただ、発見したのは論文と言っても、大学生の卒論のようだ。執筆がいつだったのか書いていないが、参考文献や「大沼あゆみ研究会13期」とあることから2017年か18年ぐらいではないか。

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「余剰ゴルフ場の利用方法に関する考察」と来たか。しかし、サブに「墓地への転用に向けて」とは……。この論文は、転用はメガソーラーより樹木葬墓地を押しているのであった。

私は樹木葬ジャーナリストでもあるから、ゴルフ場の転用となれば、樹木葬墓地をお勧めしているのである。

『樹木葬という選択~緑の埋葬で森になる』

こちらの本に記している。

参考文献を見ると、『樹木葬という選択』も入っていた。『ゴルフ場に自然はあるか? つくられた「里山」の真実』(もしくは旧版の『ゴルフ場は自然がいっぱい』)も入れておいてほしいのだが。

内容は、まあ、いかにも大学生ぽい書きぶりではあるのだが、それなりにゴルフ場の実情や樹木葬については調べたようだ。私が調べた頃より約10年後の実情を知ることができた。

実は、この動きは以前からあって、私のところにゴルフ場内、もしくはゴルフ場隣接地に樹木葬墓地をつくりたいという相談が何回かあったのである。ゴルフ場経営が厳しくなる中で、完全に閉鎖でなくても、一部の土地を墓地として収入源にする発想はあるのだ。私は、宮城県まで言って支配人と相談したこともある。乗り気だったのだが、その後、ポシャったようだ。

どうやら経営者は経営危機を迎えて、あの手この手を考えるものの、オーナーにとってはゴルフ場を所有していることは、一種のステータスシンボル的な面があって、その中で転用の中でも墓地はイヤだ、という意識が高そうなのである。メガソーラーの方がマシ? 
墓地というイメージの問題なのだろう。もし、もっと経営が行き詰まれば、あるいは完全に経営が成り立たなくなって、なりふり構わずに後始末的に跡地利用を考えたら、再び持ち上がるかとも考えられる。ただし樹木葬墓地は、作ったら一気に希望者が殺到するものではなく、徐々に、コツコツ、広めていくものだ。その点は、新規事業として物足りないかもしれない。

しかし、スウェーデンには世界遺産になった墓地もあるのだ。そうしたイメージ戦略はやり方次第である。大注目を集める墓地には、希望者が殺到する可能性もある。それも生前契約させたら、結構な資金源になる。

もう一つの問題として、現在の樹木葬の広がりが、極めて安直な墓地を増やしたことが足を引っ張るかもしれない。メガソーラーと変わらない樹木葬墓地だってある。
墓地埋葬法を管轄する厚生労働省も、樹木葬や散骨を異端視しがちで、理解が遅れている。国民運動的に自然を守る「緑の埋葬」の観点を育ててほしい。日本人の「自然の中で眠りたい」要望に直視しないと難しい。

 

 

2025/01/08

地雷源でハチミツを!

なかなかテンション上がる記事を読んだ。

「地雷原のハチミツ」に思い込めて ウクライナがプロジェクト 

さらにネタ元も。

危険から希望へ:「地雷原のハニー」がウクライナの荒廃した土地をどう変えているのか 

 

なんとウクライナは、国土の4分の1近く、13万9千平方キロメートルもの面積に地雷や不発弾が眠っているという。これは世界最大の地雷汚染国になるらしいが。除去にはとてつもない時間と費用がかかる。その起死回生の策として、地雷源を花園にして、ミツバチに蜜を集めてもらおうという壮大なプロジェクトをぶち上げたのである。

なるほど!ミツバチは地雷を爆発させることはない。人は入れない土地でハチミツを生産できるわけだ。しかも、花園という景観も作り出す。

もともとウクライナには広大なヒマワリ畑があって、そこでは養蜂が行われていた。非常に質のよい蜜が採れると言われるが、それを拡大する形だから、人材や技術もあるだろう。ウクライナの復興にはグッドアイデアと思う。

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もともと農作物栽培の難しい土地では、ウシやウマ、ヒツジ、ヤギなどを放牧をして家畜に雑草を食べさせて肉や乳に変えてもらうという産業形態がある。そこに、もう一つの家畜であるミツバチを活用するのは、ウクライナでなくても応用が効くように思う。

日本でも考えられないだろうか。

ゴルフ場跡地は、すぐにメガソーラーに転用されがちだが、いっそ花園をつくれば養蜂地にできる。景観を売り出すことも可能だから観光開発にもなるだろう。もしかしたら(草花の種類によっては)ソーラーパネルの下でも花を栽培することもできるのではないか。

伐採跡地も再造林が進まないのなら、とりあえず草花の種子を撒いておく。そして養蜂家を呼び寄せる。崩壊地なども、すぐに樹林を生やせないのなら、まずは草花から……と考えてもよいし、有休農地だって、もっと利用してほしい。

ちなみにミツバチは、蜜を集めている際に人を刺すことはない。巣箱に不用意に近づくときが危険なのだ。だから、ちゃんとルールをつくれば、観光にもなるはずである。

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この写真は、スイスで見かけた養蜂小屋。こんな小屋タイプの巣箱という発想も面白いが、周辺に人家がある。問題にならないのだろう。
日本では、人家近くでは蜂を恐れる人が多くて、なかなえ巣箱を置けないが、問題はないのだ。それに巣箱の規模を大きくして、また景観的にも優れている。

そういや、最近は山村で花園を見ることが増えた。耕作放棄地や限界集落化の中で、住民のちょっとした工夫である。人が住まなくても、花が咲く季節には人が集まる。そこでハチミツの明お土産を販売できたら楽しい。
そんなオシャレな養蜂を工夫してはいかがだろう。

もちろん、日本の養蜂は衰退している。気候変動で花の咲く時期がずれて、これまでの技術では難しくなった面もある。農業の衰退と相まって蜜源不足も指摘されている。シカの増加などで森林地域に草花がなくなっていることも痛い。養蜂家自体が減少傾向だ。

しかし、有休地や崩壊地の回復、さらに景観づくり、観光開発……などの視線を使えば、新たな資金を導入できるのではないか。林業地の伐採跡に花園を! なんてのも夢がある。

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川上村の芝桜。

2024/12/24

幻の吉野漆と漆掻き道具

市立五條文化博物館で「吉野の漆掻き道具」展がやっていたのだが、それが最終日であることに気づき、急ぎ覗きに行く。車で1時間半の距離だから、結構遠い(-_-;)。

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ウルシノキの樹皮を剥いて、そこに傷をつけ、流れ出る樹液をこそげ取り、壺に入れて集荷する。それを精製して全国に出荷……という流れだったようだ。全国の産地とのやり取りを示す手紙や書類の類も展示されていた。

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なかなか渋い特別展だった。市内の某民家の蔵から漆掻き道具が見つかり、寄贈されたものが奈良県有形民俗文化財に指定されたことから企画されたそうだが、そもそも吉野漆が幻なのだった。かつて西吉野では漆の生産が行われていた。質のよさで一世を風靡したそうだが、現在は生産どころかウルシノキさえほぼないだろう。今は柿と梅の産地である。

なぜ消えたのか。まず中国産漆に席巻されたうえ、ほかの産地で吉野漆に中国産を混ぜて「吉野漆」の名で売り出すという商売が行われ、そのため質の悪さが指摘されて値を下げる……というようなことが起きたらしい。なんだか、今でもよくある産地擬装と同じことが明治時代に行われたのである。

そしてこの漆の産地の隣には吉野塗、下市塗と呼ばれる漆器もあったのだが、それも消えてしまった。

この道具類も、今ではつくる人がいるのかどうか。国産漆の産地は岩手の浄法寺と茨城の太子町ぐらいだが、道具はどうして調達しているのだろう。

産業とはちょっと気を緩めると悪辣な偽物が出回り、ブランドを失って消えていくものなのだ。ちなみに、この展示会のために参考にしたのが京都府福知山の漆だそうだが、こちらも消えつつあるところをNPOが引き継いだものなので、産業として残っているとは言えない。

私は、その福知山の漆掻きを取材したことがある。

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道具はよく似ているようだが……写っている人は最後の現役だったはずだが、もういない。

なお見学者の中には漆に詳しそうな人が何人かいた。学芸員も困っただろう。私も、つい口を挟んでしまったが(笑)。
展覧会は終わったが、写真は拡散してください、と言われたので、気になる方がいれば見せてもらえることもあるだろう。

2024/12/10

国会前にて。めざせ墓埋法改正

次のような文書がある。

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自然宗仏國寺の黙雷和尚の筆による。内容は、墓地埋葬法の改正の請願。この請願のため、和尚は鹿児島から東京まで行脚して、ついに8日、東京に着いた。そして国会議事堂前に大座している。御年84歳。

黙雷和尚の仏國寺は三重県大台町の森の中にある。そこで数百ヘクタールもの山林を所有し、「森のお墓・いのちの森」と名付けた自然葬(散骨)を行っている。

ただ散骨や樹木葬には近隣の人の反対の声が常に上がる。その理由の一つとして、法律が整備されていずに、かなりあやふやの状態であることが上げられる。散骨は、これで厚生省(当時)の見解として「自然葬を禁じる規定はない」、法務省は「節度を守って行う限り問題はない」と回答した。これを根拠としている。

一方、樹木葬は地目も墓地とした土地で行うかぎり問題はない。ただし、こちらも人によっては別の解釈で嫌う声が上がる。

もともと散骨も樹木葬も、自然に還りたいという故人の思いを実現するためのものである。同時に自然(森など)を守りたいという思いもある。

残念ながら現在の樹木葬には、その理念をほとんど理解していない業者の経営するものが少なくない。散骨は主に海にするケースが多いが、こちらも業者によっては態度に不満が出る。

墓地埋葬法の改正に取り組む意思のある政治家はいるか。官僚はいるか。

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国会前。

2024/09/16

日本草木研究所のこと

日本草木研究所というのがあって、フォレストジン、つまり国産のクラフトジンをつくっているのは知っていた。以前、紹介したかな?

ただ、“正体”はよくわかっていなかった(笑)。HP見て事業はわかるのだが、どんな人物が何を考えて始めたのか……。イマイチ、正体不明。

その一助になる記事を見つけた。東洋経済オンラインである。

【東大卒の起業家が「食」で挑む林業再生】匂いをかぎまくる32歳/クラフトジンの原材料「ネズミサシ」を求めて広島の山へ/可食植物に見出す新たな価値【ドキュメンタリー 仕事図鑑(古谷知華)】

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なるほど。こういう女性が仕掛け人か。林業再生とあるが、私に言わせれば、既成の「林業」とはちょっと違って、森林をネタにいかに食えるビジネスをつくるか、という視点ではないか。木材なんか眼中にない(^o^)。ここでは森林の中にある草木から食品、スパイスやハーブ的な価値を見いだそうとしているようだ。

まあ、これを見て、完全にここのやっている(やろうとしている)ビジネスを理解できたわけではないが(……本当にこれで儲けているの?ちゃんと売り先とか取引関係を示してよ、とか思う)、「はて?」から「なるほど。」にはなったかな。

必要なのは、「林業」ではなくて、一定の人が森を相手に暮らしていける収入源を確保することだ。それが都会人でなく、森のある地域の人々であることも大切だろう。

次は「さて、」だ。次はどういう展開になるかな。

2024/06/07

龍眼のハチミツ

台湾で空き時間を見つけて訪れたのが、花博公園。台北では何年か前に花と緑の博覧会、園芸博を開催したようだ。

その一角で農産物直売フェアをしていた。野菜や果物、そしてお茶などが多かったが、目に止まったのが、ハチミツだ。養蜂家が何軒も出展していた。ハチの巣箱を持ち込んでいるところもある。つい覗き込んでしまう。

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この娘につかまってしまった。。。。この笑顔に……。

いろいろ味見をさせてもらう。そして聞き取れたかどうかわからない説明を聞き、それなりに語り合った。どうせなら誰かが所望のミカン蜜があれば、と思ったが、柑橘系はなかった。

でも、ライチやロンガン(龍眼)の蜜があった。熱帯果実の蜜なんて、日本では絶対にない手に入らないハチミツだろう。思えば、ハチミツは養蜂する地域の自然や植物を現していることになる。純正ならば、その土地の自然を味覚で表現しているはず。ほか百花蜜もあった。

つい買ってしまったよ。

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龍眼のハチミツ。実は、まだ味わっていない。これから味見するね(^_^) 。

 

ちなみに、この買い物の後に、喉が渇いたから自家製ハチミツレモンのペットボトルを購入したのだが、いざ受け取ると凍っている。いや、暑い盛りに冷たい飲み物は有り難いんだが、すぐには飲めない。必死で溶かさないとイケないのであった。

 

 

2024/04/21

「vesta」の養蜂と蜂蜜の特集記事

vesta」という雑誌(季刊誌)があった。その春号の特集が「ミツバチとハチミツの食文化」。

思わず取り寄せてみた。

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これは面白い! 失礼ながら雑誌の特集記事の範疇を超えて“読みやすい研究紀要”レベルではないか。

まだ全部読んだわけではないが、興味深いテーマと記述が多数ある。とくに驚いたのは、日本の養蜂とニホンミツバチの起源に関する新説。

なんと、ニホンミツバチは、430年前(安土桃山時代?)に朝鮮半島から渡来した種の可能性があるらしい。逆に言えば日本の在来種ではなかった! なんだ、外来種か(笑)。 歴史もそんなに古くないことになる。

しかし、日本書紀に百済人が三輪山で養蜂に挑戦したが失敗したという記述もあり、その後も各時代に蜂蜜を味わった記録もあるではないか。また平城宮跡からの木簡にも蜜の記述がある。養蜂は奈良が起源だ( ̄^ ̄)、と私は主張していたのに。

ところが、当時の蜜とは甘味料を指していた可能性があってハチミツとは限らないらしい。しかも輸入ハチミツが少なくなかったから、日本で採取していたとは限らないらしい。輸入していたのだ。鑑真も大量のハチミツを運んでいた記録もあるらしい。国内で多少の採取はしたとしても、量は少ないし、マルハナバチの蜜の多能性もあるとか。
そもそもニホンミツバチも、トウヨウミツバチの亜種で朝鮮半島の種と区別はほぼつかないのだから、固有種のように語るのは無理だ。

3_20240421165301我が家の庭に飛ぶミツバチ

もう一つ気になるのは、ドイツの養蜂の歴史。実はヨーロッパはの林業の歴史を調べているとハチミツの採取が出てきて、養蜂とハチミツ採取も林業であり林産物に含まれると感じていた。どうやらフォレスターが養蜂を行う権利があった時代もあるらしい。日本でも、林業家が養蜂を行ってもいいのではないか。広葉樹林業と抱き合わせで収入源にできる。

さらに「偽ハチミツを探せ!」記事も面白い。私も、ハチミツには偽物が多いことを感じていたが、単純に産地や花蜜の種類を偽るものから、そもそもハチミツではなくて砂糖液を混ぜたものもあるとういう。最近では輸入物をニホンミツバチの蜜と偽って、2倍以上の価格で売るケースもある。ニホンミツバチの蜜と聞いたら希少で、美味しいと思う人がいるらしい。

セイヨウミツバチとニホンミツバチの蜜の差とは、一種類の花から蜜を集めるか、多数の花の蜜を混ぜてしまうかの差。シングルモルトとブレンディッドウイスキーの差みたいなもんだと思えば、セイヨウミツバチのシングルモルトの方が高くあるべきではないか(笑)。

そして、やはりミツバチのポリネーター(花粉媒介者)としての生物多様性への寄与も重要だろう。私は、植物進化にポリネーターの登場が関わるのではないかと想像している。

ともあれ、養蜂ジャーナリスト見習いとしては、興味深い特集であった。これ読んで、付け刃知識でエラそうにミツバチについて語ろうかな。

 

2024/02/08

能登の珪藻土鉱山はどうなる?

氷見で聞いた話で、私の心に引っかかった一つ。それは能登半島先端の珠洲にある珪藻土鉱山が、ほとんど崩れてしまったという話だ。

珪藻土は日本全国にあるが、能登半島は日本最大の層があるという。能登半島の半分以上は珪藻土でできている?とも。
その珪藻土は、掘り出して焼いてつくった代表的な商品が七輪だ。とくに土を切り出したまま作り出される切り出し七輪は、珠洲の名産。

実は、私は珪藻土の鉱山という点で興味があった。以前、雑誌で読んで憧れていたのだ。妙な言い方だが、金銀銅、あるいは鉄などのメジャーな鉱山ではなく、マイナーな産物の鉱山に興味がある。

これまでも機会があれば訪れたことがあるのは、砥石だとか陶土、長石、また朱(二酸化水銀)、マンガン鉱なんてのがある。そういや人形峠も訪れたな。ウラン鉱石はなかったが。それに石灰石鉱山は、洞窟を壊すから嫌いだ……。

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その延長線に珪藻土鉱山があったのだが、それが今もしっかり残るのが能登半島であった。

それが崩れたのか。ああ、切り出し七輪買っておけばよかったかな。あれ、一時は物色したのだが、結構値が張るし、その割りにはいつ使うんだという自制心もあって諦めていた。

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と思って検索してみたら、メーカーの一つが、こんなクラウドファンディングをしていた。

これは今回の震災ではなく、昨年春の地震で崩れた際のもの。また鉱山というよりも、七輪成形の工場再建のようではある……。これが成就する前に、また地震にあったわけだ。
ここに写っている鉱山(写真引用)は、無事なのか。話に聞いたところでは、全部崩れたというのだが。工場は再建できて発掘現場が崩れたら、なかなか修復は厳しいだろう。

ほかの鉱山・工場もどうしているのだろうね。

森林ではないが、自然資源である。

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