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森と林業と田舎の本

2021/12/15

国産サカキとコウヤマキ

農産物直売所で見かけた供花の列にあったのがこれ。

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サカキだ。主に神道系の供花……というか依代だろう。が、張り紙にあるように「国産のサカキ」であることが売り物にしている。
そうなのだ、今や市場に出回っているサカキの9割以上が中国産なのであった。国産は珍しいわけだ。神道なのにねえ……。
ちなみに、売っていたのは和歌山県龍神村産でした。生産者の名前入り。

なお、その横に並んでいたのがコウヤマキ。

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これも国産だ。なんたってコウヤマキは日本固有種であり、特産だから。こちらは真言宗の供花代わりに使われる。コウヤと着くのも高野山が由来で、単にマキ(槙)とか本槙と言う方が本物ぽい。ただ天然のコウヤマキ林はほとんどなくなっており、現在は造林したコウヤマキから枝葉を採取している。すると、その森はこんなのになる。

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うねうね、にゅろにゅろ。萌芽が伸びて不思議な姿になっている。私は、これこそ魔界の森だと思ったよ。先日紹介した魔界の森の王の樹も、実はコウヤマキであった。

サカキやコウヤマキの供花生産も、立派な林業になっておりまする。

 

2021/12/09

ニオイ木って何?

たまたま目にした記事。山形県置賜農業高校園芸福祉科が、消臭効果があるとされている「ニオイ木」の研究を続けている……というものだ。

すると不快臭の原因となるアンモニアガスと硫化水素ガスに対し、空気清浄効果で有名な観葉植物「パキラ」と比べて、ニオイ木が6倍の吸着能力があることを証明した、というのである。

この記事そのものは面白い。農業高校の生徒が外部から研究依頼を受けて、いろいろ挑戦して,ついに証明した、というのは絵になる。

ただ気になったのは、「ニオイ木」って何? という点。

こんな植物は知らない。おそらく山形県か東北の地方名なのだろうけど。検索しても、グーグル君には登場しない。あえて言えば、この置賜農高の研究を紹介する記事があるだけ。しかも近年は減っているので栽培方法も研究するというのだが、どうも確立した技術がないらしい。

いろいろ断片的な情報から調べると、ようやくクサギのことだとわかった。クサギは臭木と書くが、臭いをニオイと読むのかも。

しかし、クサギとはその名の通り臭い木なのだよ。それが消臭効果というのも面白い。それに減っている? 西日本だとどこでも生えているような気がするけどなあ。もともとパイオニア植物だし、わさわさと生えて、それを切ると臭い……というイメージがある。

それでも置賜農高では、組織培養に成功して効率的な増殖方法を実現した。そして品質や環境に配慮した花卉生産の国際認証「MPS」を取得したという。この認証も初めて知ったが、それを地元の深山和紙を製造する企業に依頼して製品開発するまで進めているという。

雑木林の雑木、というよりほとんど雑草みたいな低木が、ここまで資源となるのはすごい。農業高校もやるねえ。

昭和天皇ではないが「雑草という名の草はない」のであって、それぞれの草木にはさまざまな特徴があり、それを活かせば商品化も可能なのかもしれない。

Photo_20211209220801 ニオイ木ならぬクサギ。

2021/09/16

刃物を支える石

先日、草彅剛がMCを務める「最後の○○~日本のレッドデータ~」という番組を見た人はいるだろうか。

ここでは「人知れず消えつつある数多くの職人の技や、生産物など“日本のレッドデータ”を紹介する番組だが、そこで取り上げられたのは、天然砥石だった。

日本刀がブームになったが、そこで注目されたのは古来の名刀である。そこから、それをつくる刀鍛冶……までは誰もがすぐに連想するのだが、実はその先に研ぎ師がいる。研がねば、どんな刀も名刀にならない。……ま、そこまではギリギリ連想する。が、その先に研ぎ師の使う砥石がある。今や一般には人造砥石が席巻しているが、日本刀には天然砥石しか向かない。その粒子の細かさやはがれ具合は、合成樹脂で固めた人造ものでは再現できないからだ。

で、天然砥石になる石は、日本列島はわりと全国で採れるのだが、それは二級、一級品まで。日本刀向きの特級品は京都でしか採れない、と言われている。包丁にこだわる料理人も、天然砥石を選ぶ。海外からも京都の砥石を求めて訪れる人がいる。
そして、今も砥石の原石を掘っているのはただの一人。この人がいなくなると……という番組である。日本刀から砥石の採掘まで行き着くのはなかなかの想像力がいる。

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実は、私も砥石の取材はしたことがあって、この裏話は何かといっぱい聞いている(⌒ー⌒)。ただ、実際に掘っているのはこの人しかいないのは事実だ。掘らなくなって、オレの山の方がもっとよい砥石が出る、と言うのはみっともない。

で、私も砥石鉱山に潜ったことがある。ただし、上記の現役鉱山ではなく、廃坑だけど。怖いよ、廃坑に入るのは……(笑)。

だが、日本は木工王国だと言われるのだが、それはよい砥石があるからだという。砥石がなければ刃物も活きない。

いや、刃物だけではない。漆芸も多くが砥石なしでは成り立たない。ただし、こちらは研ぎ炭と呼ばれる木炭だ。アブラギリの白炭が最高級なのだが、これを焼く職人が、これまた全国に何人もいない……。これはICチップやレンズ磨きにも必要とされる。

これらも山と森の産物だと言えなくもない。とてつもなく貴重な森林資源だ。

チェンソーに鉈、ノコギリ……林業用刃物で、そこまで砥石にこだわる声は聞いたことはない。工芸品・芸術品と日常品の差と言えばそれまでだが、技術を支える縁の下の石ころにも忘れないでおきたい。

 

2021/09/12

杉葉線香は、なぜ売れたのか

読売新聞に売り上げ「ほぼゼロ」から30倍に、手作り線香店「えらいことになったわ」という記事が載った。

これによれば島根県安来市で創業100年を超える「内田線香店」の杉葉線香が売れているという。

私はてっきり、何か工夫した新商品を出したのか、今どきのSNSでバズらせるネタを提供したのかと思ったのだが……半分外れ、半分当たり。

SNSを利用した点は当たったが、とくに変わった商品とか使い方とかを紹介したのではないらしい。地元ケーブルテレビの関係者がツイッターで書き込んだだけだという。それでも人気を呼んだのはなぜなんだ? 100年続く老舗の品だとか、もうすぐ潰れそうとか書いたの?

05261112_60adae9c914d4商品サイトより。

思えば、スギの葉が線香の材料になることは私も知っていた。というか、林業はスギやヒノキの幹ばかりではなく、葉も樹皮も売るものだ、という文脈で記事を書いてきたからである。ただ杉葉線香は、線香の中では安物扱いされていると聞いていたのだが……。

ちなみに写真の線香は825円だから、さして高くない。火付きが良く、折れにくいのが特徴だという。どうも杉葉線香という商品自体に力があるのではないか。

ちょうど割り箸の記事を書いていたところなのだが、こうした派生商品、まだまだ伸びしろがあるような気がする。SNSだけではなく、ちゃんと人々の目に触れるような宣伝・広報をすれば、商品の力で売ることは可能ではないか。

そのうちスギの花粉も商品化されるかもなあ……(^^;)。

 

 

2021/09/05

クラフトコーラ流行り

いまどき、クラフトコーラが流行っているのだそうだ。クラフトビールにクラフトジン、などクラフト流行りの中で、コーラも登場?

そもそも「クラフト~」とは何か。 「職人が作る〇〇〇」、「手作りの〇〇〇」といった意味合いで「独立性」「地域性」などがキーワードとなっている、そうだ。少量生産とか個性を前面に出して大手メーカーじゃないことを売り物にするような品か。

実は奈良県には、このクラフトコーラが次々と登場している。

「大和コーラ」に「キハダコーラ」、「おにみみコーラ」……。そこにコカコーラボトラーズが奈良デザインボトルなんぞも発売して……。

簡単に紹介すると、 曽爾村観光振興公社が今年4月1日に出したのが「大和コーラ」。きび砂糖、ヤマトタチバナ、レモン、ヤマトトウキ(曽爾産)、キハダ、クローブ、オールスパイス、コーラナッツ、カルダモン、シナモン、その他スパイス類で味付け。
ポニーの里ファーム(奈良県高市郡高取町)が今年3月31日(水)に発売したのが、「湧き水のキハダコーラ」。和漢伝統薬「陀羅尼助」を模して、キハダの実、紫ウコンスパイスをブレンド。レモンとカボスも合わせている。

「おにみみコーラ」は、「おにみみ」という風邪薬を製造する端壮(たんそう)薬品工業が製造。カルダモン、クローブ、スターアニス(ハッカク)、クコの実などの香辛料や生薬を使っている。香辛料の種類や配合を季節ごとに変えているそうだ。

ほか元祖といわれる「伊良コーラ」や、このところ売り出し中のて「岐阜コーラ」、日本酒・八海山の甘麹で作った「UMAMI COLA」。全国に広がっているらしい。ようするに流行になっている。売れるなら結構。価格はいずれも1000円以上するが、希釈して飲むらしい。もはや清涼飲料水というより健康飲料か。黒酢ドリンクに近いかも(^^;)。どこがコーラなのかわからない。

では、なぜコーラなのか。 世界最初はコカコーラだが、これはコカとコーラの実を入れていたという伝説がある。コカイン入れて飲んだら元気……だったわけである。ま、今はどちらも使っていない。ただ薬草を入れた飲料水だった。だから薬草(ハーブ、スパイス)を入れたらコーラと呼ぶのだろうか。

たしかに奈良は明治時代まで薬草栽培と販売の「薬種」ビジネスが盛んだったところで、薬草飲料であるコーラに向いているのかもしれない。奈良漢方のメッカ・プロジェクトというのもあったし(笑)。

しかし薬として販売するのは敷居が高い。薬事法があるからだ。そこで飲料水にしてしまっているのだろう。

そこで連想するのが、クラフトジンである。

私はジンが好きで、クラフトジンブームが起きたときも、さまざまなご当地クラフトジンを試し飲みした。いずれも、不味くはない。美味しいと言っても文句はない。が、今はどれも飲まない。なぜならジンとは思えぬ味になっていたからだ。

ジンは、ボタニカルと呼ぶ植物性の香り原料をアルコールに浸漬させてつくるスピリッツだが、一つ絶対的条件がある。ジンのボタニカルで欠かせないのはジェニパーベリーである。日本名はネズの実。この香りが基本なのだ。

ところが、日本のクラフトジンは、ご当地を意識しすぎて、ご当地ボダニカルを必死に選んでいる。日本製だからユズだクロモジだ、サンショウにショウガ、緑茶まである。そしてヒノキなども。それが不味いわけではない。しかし、その分ジェニパーを軽んじている(と私は感じる)。もしかして、ジェニパーを入れないでジンを名乗っているものもあったのではないか? あまり奇をてらいすぎると本質を忘れる。

だが、私はジェニパーベリーの香りがないのをジンとは思わない。

結局、私が行き着いたというか、もどってきたのはシップ・スミスだった。とくにVJOP。

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これは通常のロンドンドライジンの3倍のジェニパーが入っている。だから「Very Junipery Over Proof Gin」 だそう(^^;)。でも、ジンだ~!と声を上げたくなる香りと味だ。しかも57度という度数。炭酸で割るだけでいい。

これだって、少量生産だし、職人芸的なつくりだからクラフトジンの仲間かもしれない。ちなみにイギリスの醸造所だが、サントリーが買収したから日本の会社でもある。

クラフトコーラも、よ~く本質を考えて展開してね。

2021/07/19

雑草バブル?

今、「雑草バブル」なんだそうだ。

ほとんどメディアでは話題になっていないけど、ネットでは凄いらしい……ホントカ。

「雑草バブル」は、ネットオークションを中心とした希少植物・観葉植物の価格が高騰している現象を指した言葉だ。ベテランの愛好家からは、これらの植物を買いたい人々が最近にわかに増加したことで、希少な植物に手が出づらくなっていることを自虐的に「雑草バブル」という使い方がなされているようだ。

もっと読めばわかるが、生粋の「雑草」というより、観葉植物や多肉植物のことなんだろう。ただ、従来の園芸植物として知られるものの枠を超えて、世間の認知度の低い草、稀少であまり目にしない草を「雑草」と呼んでいるのかも。

ま、バブルは弾けるものと相場は決まっていて、木材バブルであるウッドショックもすでにアメリカでは弾けたみたいだし、来日したオリパラ出場選手らを市民と隔離するバブル戦術も、すでに弾けて脱走者(笑)まで出している。(今後、とくに破りそうなのは選手よりマスコミの連中だろう。じっとしているわけない。すでに宿舎のホテル周辺を歩き回っているらしい。)

だから雑草バブルがどうのというよりも、名もなき草木の魅力再発見の視点で考えると、非常に発展性がある。

実際、私も若いときにボルネオのジャングルに初めて足を踏み入れた際、身の回りが「みんな観葉植物じゃん!」と思った記憶がある。繁っている木々、草のどれもが面白い形をしていて観察すればするほど美しいのだ。

今は日本の里山でも、そうした草木を発見することがある。山では珍しくもないが、よくよく見ると可愛い花や葉をつけているなあ、と思うものがある。それを利用してバブルを起こせるかもしれない。
そのままだと地味だったり、小さすぎて気づかない花や葉も、ちゃんとそれらしく説明すれば人気を呼ぶかもしれない。
葉に虫食いの穴が空いただけでも、結構美しく見えないか。なんならテキトーに伝説もでっち上げて、歴史上の人物を登場させたり、悲恋の物語なんぞにしたら、いきなり高値をつける草花に早変わりヾ(- -;)。

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さあ、上記の写真は、それぞれの名前は私も知らないものが多いのだが、産地は生駒山のほか、ボルネオや沖縄のやんばるで撮影したものもある。どれだかわかるかな? ついでに世界遺産に指定されるのはどれだ?

 

2021/07/17

私が期待する「森の利用法」

本日、よみうりランドに「ポケモンの森」がオープンしたそうだ。

なんでも遊園地「よみうりランド」には約4500平方メートルの森があるそうだが、これまで有効に利用はしてこなかったよう。そこで森の中に、50種類を超える「ポケモン」を設置して、それを探し出すゲームをつくったらしい。入場すると、ポケモン発見の手がかりが記された「調査ノート」とカメラが手渡され、いかにたくさん発見して撮影するかを競う……らしい。

今どきのヴァーチャルリアリティだ拡張現実だといったIT系の仕掛けではなく、マジに森の中を歩いて、地面やら木々の間やらに隠れたポケモンを見つける趣向だ。当然、木々や草をかき分けて進み、土や泥に触って歩くことになる。

よろしい。森の楽しさを本気で楽しむのならこうでなくちゃ。

近年は、森のレクリエーションの場にする試みが各地で行われている。しかし大半は、単なる森林散策(それも決まったルート)や自然観察するようなガイド付きエコツアーだ。一方で「冒険の森」などは樹上にアスレチックコースを設けて挑戦するものもある。

それらが悪いとは言わない。しかし、私的にはなんか「違うんだなあ~」と思っていた。散策なりハイキングなり、アスレチック(地上でも樹上でも)は、いわば肉体で楽しむアスリート系の楽しみ方だ。自然観察は、動植物の名前や生態を教えてもらって目で見るのはよいけれど、これは知的というよりはマニアの勉強系の臭いがする。昆虫の生態を教えてもらってワクワクする人は一部だと思うよ。

そうじゃないんだなあ。私が森に行って楽しめるのは、もっと原初的な感覚、隠れた何かを探すワクワク感だから。草が繁って先が見えない向こうに何があるのか、宝物か怪獣か古代遺跡か、みたいな楽しみ方。そんな好奇心系の楽しみ方をつくりたい。

そういった仕掛けをした森のレジャーはつくれないだろうか、と常々思っていて、実は私の頭の中には腹案もあったのだよ( ̄^ ̄)。

それにもっとも近いのが、この「ポケモンの森」のような気がする。

地味に本物の森を探索して、何かを見つけたい。ま、一人で「ポケモンの森」に行っても楽しくないか(笑)。誰かいないか。娘を誘ったら……断られる気配濃厚。

もっとも、私はポケモンには何の興味もないのだけど。「ポケモンGO!」もよく知らない。一度だけ、娘に教えてもらってやったことあるけどね。それに対象は小学生クラスの子どものよう。

できたら、もう少し大人ネタで同じ趣向の森林レジャーをつくってくれないかなあ。。。。

と思っていたら、こんな宿泊施設もオープンしていた。

ツリーピクニック アドベンチャー いけだ

これは大人向きだ。レジャーというより、森の樹上で夜を過ごすことがワクワクする。この樹上テントサイトでは焚き火もできるらしい。ただ地上3~4メートルというのはイマイチ。もっと高くしてほしい。それに、ほかのアクティビティはアスリート系だな。。。

こちらも、実は私は昔から考えていた(笑)。

これは実際に樹上でテントサイトをつくる仕掛けが考案されていて(関西大学探検部)、マダガスカルの熱帯雨林で使用済みのものがある。それをもっとレジャーに活かせないかと思っていたのだ。

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私も登らせていただいた。これで地上10メートルぐらいはあったか。二メートル四方のサイトだから、一人か二人が泊まるのがせいいっぱいだけど。

もっと森のレジャー施設の多様化を研究したら、面白い物がいっぱいできるよ。

 

 

 

 

2021/03/20

仏隆寺に行ってきた

奈良県宇陀市の山間にある仏隆寺に行ってきた。

この寺、関西人なら知る人も多いだろう。桜の名所だ。ただし本数が多いのではなく、巨木の桜があるから。また秋は、曼珠沙華、ヒガンバナが咲き乱れる。

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ただ桜はまだ早い。だが咲いていない方がいいのである。満開時期には何百人と押し掛けて駐車場も小さいため大騒動になるからだ。何キロも歩いていくほどだ。その点、蕾も硬い今ならのんびり見られる。(何を見るんだ?)

実は隠れた価値が仏隆寺にはある。

それは大和茶発祥の地ということ。それは日本の茶の故郷ということ。

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中国から持ち帰った苗を植えた伝説がある。それが全国に広がったと。茶の木は自生していたとも言われるが、茶文化は中国から伝えられたのは事実だから、まあいいか。今の仏隆寺には、参道の周辺に繁っている。

2021/01/05

樹木葬墓地が広がってきた

正月、娘に促されて母の墓参りをした。

私は墓参りが苦手である。あの、石の墓標に何の愛着も感じないからだ。娘は意外と律儀?で、「行かなくちゃダメでしょ」とせっつくのである。そこで訪れて、墓石を磨いて、花を供えて、線香を立てて、手を合わせてきた。

ところで、私はどこの墓に入るのだろうか。この墓に入るのか……と考えた際に、頭に浮かぶのは樹木葬である。

私が『樹木葬という選択~緑の埋葬で森になる』(築地書館)を出版したのは、2016年だから5年前になる。ちゃんと重版がかかったから、そこそこ売れた本なのだが、発売直後はそれなりに声がかかって講演やら原稿執筆を行ったが、やがて音沙汰がなくなった。拙著のラインアップからすると特異すぎるのだろう。一見、森林とも林業ともつながらないからか。私的には樹木葬で森を守り育て、限界地域を活性化する壮大な可能性を描いたつもりなのだが。

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しかし、昨年あたりから再び声がかかり始めた。樹木葬墓地をつくりたいという人から連絡があるのだ。

実際、各地に「樹木葬」を名乗る墓地は増えてきた。ただし、私の基準からするとまがい物が多すぎる。なかには「木のない樹木葬」さえある。芝生に埋葬するのだ。スペインから輸入した巨大なオリーブの木を真ん中に植えて、その周りに石の墓板 (゚o゚;) を並べる「樹木葬」もあった。墓石の代わりに樹木を、という基本さえ無視されている。「自然に帰る」という理念もない。樹木葬の定義自体が蹂躙されたと言ってよい。墓石があるのに、なぜ樹木葬なのか……。単に墓石の周囲に花木があるだけだ。植木の世話は墓石以上に大変だし、遺族は継承が大変になるだろう。

 

そんな中、大阪府の公設霊園(大阪北摂霊園)に樹木葬エリアを設けて、今春開園するというニュースがあった。この霊園は総面積98ヘクタールもあり、山の中に広がる巨大霊園である。私も訪れたことがあった。縁者が眠っているからだ。
この広大な敷地の一部の森に生えている木を墓標にするドイツ式(正確にはスイス式)だそうだ。樹木葬エリアは「木もれびと星の里」と名付けるという。広さは6500平方メートル。232本の木立から自分で木を選び、その根元に埋葬できるようにするそうだ。ほか集合墓も設ける計画だ。計約2000人分の区画ができるという。契約金額は1件15万~120万円に設定するらしい。

まだ完成していないし、詳細はわからないが、私の定義する樹木葬になんとか含められそうだ。(定義については省略するが、世界的には「緑の埋葬」と呼ばれる潮流に関わっていること。拙著をお読みください。)

なぜ、各地に樹木葬墓地(エリア)が設けられるようになったかというと、近年、通常墓の契約数が減少しているからだそうだ。死者は増えているのに墓地が売れなくなってきたのである。一方で、2019年の墓の購入のうち4割が樹木葬だったという統計もある。これは母数がネットで墓の資料請求をした人の中で、という条件がつくし、何より樹木葬を名乗っているだけで、中身はいい加減なものが多いから数字そのものは信用ならないが、少なくても樹木葬(という言葉)は人気があって、希望者が急増しているのは間違いない。

しかし、本当に満足できる墓になるだろうか……私も、自分が入りたくなる樹木葬墓地を作りたいなあ。と、正月から終活を考えてしまったのであった。

2020/10/22

森林認証とウッドデザイン賞を取ったお菓子

日本では、森林認証がなかなか広まらない。いや面積だけはそこそこ広がってきたが……まあ、ほとんどの林業家や消費者から認識されていないのではないか。なぜって、利益に結びつかないからである。認証取ったって、木材価格が上がるわけでなし、売れる量が増えるわけでなし。

森林認証とはそんなものではなく、むしろビジネスのプラットフォームに乗るための条件であり倫理的な基準なのだ……と言いたくもなるが、日本の林業家と消費者が全然とんちゃくしないのでは話にならない。

そんなときに、森林認証を取得したお菓子があると聞いた。秩父である。

Photo_20201022164801サイトより拝借

正確には、SGEC/PEFCのCoC認証を取得したお菓子 「ちちぶまゆ」。マシュマロだそうである。

埼玉県秩父市の市有林がSGEC認証(国際的なPEFC認証と相互認証)の流通認証を取得しており、そこから採れた楓の樹液、つまりメープルシロップをつかっているからだそうである。今年6月に発売開始とか。

本来の森林認証とは、その森林の施業が環境に配慮しているかどうかを問われるわけだが、認証を取った森から採れる産物は、その流通経路を押さえればなんでも認証付き商品になる。

そういや森林認証付きシイタケというのがあった(宮崎県諸塚村)が、とうとうお菓子の世界に踏み込んだか……。

秩父では、天然林のカエデから樹液を採取して、それを煮詰めてメープルシロップを作っている。

051 シロップを採取中

秩父市および林業家は、この手の発想が豊かで、また扱いも上手い。私が秩父の樹液組合を訪れた際は、採れるカエデの樹液なんて量がしれているから、たいした実利に結びつかないのではないか、と思っていたのだが、秩父駅に降り立ってびっくりした。いきなりお土産物として秩父産メープルシロップのパンやお菓子類が並んでいたからである。ほか「カエデゼリー」とか「カエデサイダー」もあった。使用しているシロップの分量はごくわずかだろうが、とにかく使っていたら看板になる。そして結構な種類の商品が生まれていた。言い換えると「秩父産メープルシロップ」のブランディングに成功したわけだ。

そして、今度はお菓子である。秩父産メープルシロップというブランドだけでなく、そこに森林認証を被せてくるとは。

しかも、それだけに終わらず、なんとこの商品、ウッドデザイン賞を受賞したのだ。ウッドデザイン賞の基準て、なんなの?と思わないでもないが、この際、どうでもよろしい(笑)。

これこそ、日本における森林認証の上手い扱い方なのかもしれない。木材にこだわらず、森林認証はブランディングのツールとして使えるのだよ。

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