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森と林業と動物の本

2025/12/04

火葬は伝統?樹木葬こそ伝統!

参政党の梅村みずほ議員が、国会で「土葬を規制しろ」という質問をしたのだが、これはようするにイスラム教徒が土葬を求めることへのいやがらせだろう。この議員、アノ維新を除名されるレベルの議員なのだが、まったく懲りていない。

ただ、その周辺の議論を見ていると「日本は火葬が伝統」と信じ込んでいる意見が飛び交っているのに驚いた。こういう声を聞くと、ホント、勉強不足というかアホな人が多いんだなあ、と思う。

日本の葬儀は、もともと土葬だった。法律は墓地埋葬法である。埋という字を使う通り、「土葬が伝統」なのである。火葬は、戦後に広がった。つまり祖父母から曾祖父母の代は、日本人の大半は土葬だったわけだ。決して古い話ではない。私の父は、若い頃に土葬の穴を掘らされた(村の青年団などの役割)話をよくしていた。

研究者によると、ずっと土葬だったのだが、西暦で700年に僧の道照が初めて火葬をしたという。それだって特異な例であった。その後、室町時代末、つまり戦国時代には、天皇や将軍など武家も火葬をするようになったが、豊臣秀吉や徳川家康などが土葬にもどし、江戸時代はだいたい土葬となった。
もっとも町の住人は火葬が残る。また浄土真宗では火葬が多かったらしい。

幕末になると、水戸藩が火葬禁止令を出している。日本古来の神道では土葬であるべき、と考えたのだ。これが廃仏毀釈にも結びつき、明治に入ると土葬が中心となるのだ。また墓も一人一墓であった。

それが戦中戦後のどさくさで、土葬する場所もなくなり、火葬が奨励されるようになる。また一人一人に墓を造るのも大変で場所もなけれはかねもかかるので、家族墓、つまり「〇〇家の墓」という形態へと移っていく。

この流れを知らない人が、イスラム教徒を排斥しようという意図を持って、「土葬禁止」を言い出したのだろう。イスラムでは火葬されるのは罪人という取り決めがあるからだ。実は復活を願うキリスト教徒もそうだったのだが、徐々に緩んで火葬も認めるようになったのである。欧米では、火葬はかなり広まっているが、それでも基本は土葬だ。

……という蘊蓄を唱えるのは、現代は土葬火葬を飛び越えて、「墓はいらない」という動きと、家族一緒の墓に入りたくないという思いから一人一墓にもどる動きがあるからだ。独身だけでなく、夫婦でも同じ墓に入りたくない人もいるし、ペットや友人と同じ墓に入りたい希望もある。

そのなかに樹木葬もある。樹木葬って、いわば縄文、弥生時代から続く埋葬方式である。ただ遺体を埋める土葬であった。そのうち卑弥呼の墓が見つかり、遺骨も発掘されるかもしれない。
現代の樹木葬で埋葬されるのは火葬された遺骨だが、最終的には森に還る。土葬、火葬を超越した埋葬だ。そして一人一墓なのである。

そうしたことを知らず考えずに、イスラム移民排斥・土葬排斥と同じ流れで樹木葬を忌避する声も出ている。それも行政から。あまりに時代の潮流を読まない人々に日本は落ちたなあ、と思う。

そのうち樹木葬が伝統だ!という人も出てくるかな?

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どこだとは言わないが、近年まで土葬が行われていた墓地。平成の墓標があった。わりと身近にあるのだ。

参考・『樹木葬という選択~緑の埋葬で森になる

 

2025/10/26

クズの栽培、イノシシの飼育

クズと言えば、今や大厄介な雑草扱いで、世界中で問題視されている。だが、日本文化からすると、葛は貴重な資源。根っこからデンプンをとった葛粉は食品としても漢方薬にしても、有用な植物だ。また蔓の繊維は、何かと細工物にされてきた。

ただ肝心の根っこの堀り子がいなくなってきた。吉野葛も、今や地元では掘る人がいなくなってきて、鹿児島から取り寄せているそうだが、鹿児島にだって堀り子がいつまでいるのかどうか。

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それを栽培しようという提案を、奈良県の五條市立西吉野農業高校の生徒たちが行っている。それが、高校生ビジネスプランコンテストで優秀賞・地域部門賞を獲得したというニュースを読んだ。

奈良の西吉野農業高校生がビジネスプランコンテストで地域部門賞

これって、想像以上に面白い。ちゃんと畑で育てる栽培モデルを確立しており、葛根を生薬業者に出荷すると、20アールで1350万円、営業利益は950万円稼げるというのだ。栽培したのだったら、場所は集中しているし、掘り出すのも簡単だ。

経たな農作物より稼げる可能性がある。農地だけでなく、人工林の林床で行うという手も考えられる。また製品も、葛粉ばかりでなく、繊維を利用した新製品もありえるし、その成長力を活かせば草食性の家畜の餌にもなりそうに思える。

そもそもクズを厄介者とした時点で、生産者はいなくなっている。いわば希少性を担えるのだ。こんな資源が山にはほかにもありそうな気がする。

厄介者も栽培すると、利益になる……それで思い出したのは、獣害を引き起こすイノシシも肉が高く売れるのだが、そうすると野生のイノシシを捕獲するのではなく、牧場をつくって飼育する動きが起きていること。その方が収穫が簡単で安定供給できて、しかも肉質もよくできる。

また野生のイノシシを夏に駆除せず数を増やそうとする猟師もいるらしい。農作物被害が出ても、数が多ければ、冬にたくさん仕留めて出荷できるから……。

ちなみにシカも牧場で飼育する実験は何度も行われている。ただ広い土地が必要なので意外と上手くいかないらしい。肉もそんなに売れない。

では、クマはどうかなあ。牧場で飼育して、よく慣らして人間の味方にしたら……(^^;)\(-_-メ;)。

2025/07/28

柿渋づくりスタート!

先日の折れた柿の木から収穫した青柿。

このままコンポストでは、タンニンが大量に発生したらどうなる?堆肥になる?と考えて、やはり柿渋づくりをすることにした。ただし、極力手間を省く。

まず実を4つに割って壺に詰めてみた。ヘタは切り取るが、結構硬くて大変。

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しかし、これでは発酵しづらそう。やはりすりつぶすのか……ならばミキサーを使おうと決める。
が、それが大変なのである。4つ割をそのまま放り込むと、水を加えても回らない。そこそこ堅い実なので、刃が実に食い込んで回らなくなるみたいだ。
そこで、再び取り出して包丁で細かく刻む。それでも、回りにくい。水の量を変えたり揺すったり、といろいろしつつミキサーで砕いた。これが大変な手間。

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ちょうど満杯になった。これなら発酵しやすいだろう。が、天然酵母?で発酵するのだろうか。

ここで、大変なことがわかった。検索して「柿渋の作り方」を見ていると「渋柿を使って。甘柿はダメ」とあるではないか。うちの柿は甘柿だ!ここまでしてダメとは……が、検索で出てきた別のページによると、7-8月の青い柿は甘柿でもOKとあった。しめた。どちらが正しいかわからないが、とりあえず製造は続行する。

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中には、絞った液体を煮ろとか、いろいろ書いてあるが、全部無視。さまざまな方法があるんだねえ。

野外の軒下に置く。数日で発酵が始まるというが、さてどうなる。。ただし、発酵したら、晒の布で絞るらしい。そして搾りかすは捨てて、液体を発酵熟成で2年間…… (@_@)。

絞るのが大変らしい。止めた。このまま放置して発酵させよう。時間が経ったら液体と個体が分離してくれないか。そうなれば澄み液を取って発酵させる手もある。この高温の中、大丈夫かどうか。ヘンな菌が入ると腐敗する。

さて、どうなるか。上手く柿渋になるか。まあ、柿渋が取れても、それを何に使うか決めていないのだから、のんびりやるしかない。

 

2025/07/12

ゴム会社が森を購入した理由

北海道でカエデのシロップ、メープルシロップの生産が行われ、販売を始めたというニュース。

ゴム大手、新規事業でメープルシロップ販売 ニッタグループ、北海道十勝の社有林生かし

ようは所有林にあるイタヤカエデヤマモミジから樹液を採取し、商品化し始めたというのだが、私が面白いと思ったのは、その山はゴム製品の大手ニッタだということ。そしてこの会社は大阪市が本社なのだが、北海道の十勝地方に約6700ヘクタールの森林を所有しているということだ。

その理由は、1906年に皮なめしに使うタンニンの原材料となる樹木を求めて十勝に森林を購入したという。今回は、わざわざわくっとニッタ」という会社を立ち上げてメープルシロップを生産するというのだから、力が入っている。

なめし工程でタンニンが必要だったというのは、かつては毛皮を皮革になめす仕事をしていたのか。と思って調べると、製革業をスタートさせ、タンニン製造も仕事にしていたらしい。そして革ベルト製造からゴムベルトに切り替わった、ということのよう。

さて、森林面積670ヘクタールは広いが、北海道では目立たないのかもしれない。これまで同社は社有林で原木や造林用の苗木を販売してきたとある。そして新規事業として、カエデ類約2000本から樹液を採取するのだそうだ。糖度1.5%ほどの樹液を採取し、66%まで凝縮するというから、生産量としては微々たるものになるのではないか。

まともにカナダ産と張り合っても量・質・価格で太刀打ちできないように思う。

むしろ、国産メープルシロップをブランドして、このシロップを使った派生商品開発に頑張った方がいいんじゃないか。スイーツ系のほか、パンやお菓子など、「北海道産シロップを使っていますよ」と宣伝する。

国産メープルシロップの先進地・秩父では、すでに商品開発が進んでいる。

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実際に使っているのは微々たる量でも、それでブランド価値が上がれば、その商品が売れる。結果的にシロップで利益が上がる……と思う。

そういやアサヒビールが所有する広島県庄原市の森林は、もともとコルクをつくるためにアベマキを育てるためだったと聞いた。戦争などで海外からコルクが入ってこなくなることを恐れて、日本でコルク栓をつくれる樹木はアベマキの樹皮だ、となったらしい。

結果的にはコルク栓を採れるまでに成長するには年月がかかり、その頃には戦争も終わってしまったから……。

だが、その森が、現在「アサヒの森」としてFSC認証を取得している。その森林認証の価値で有名になったのだから、元は取れたのではないか。そうした森林の使い方もあるよ。

2025/03/30

ティラノザウルスと遣唐使とコウゾ

恒例の平城宮跡記念公園の一周散歩。

そこで出くわしたのが、ティラノザウルスのフォークダンスだった。

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なんじゃあ、こりゃ。ティラノがフォークダンスの曲に合わせて踊っている。ティラノの駆けっこ競争が流行っているのは知っていたが、今度はフォークダンスかよ。なかにはテンポが早くてなかなか疲れそうなダンスもあったが、これは思わず噴き出してしまうぞ。

で、その背景に注目だ。これこそ、遣唐使船である。この船で(ティラノは)唐まで幾度も海を渡ったのだ。ティラノもフォークダンスも、唐の国から持ち帰った文化である(^^;)\(-_-メ;)。

そして遣唐使についての説明のパネルや映像もあるのだが、そこに輸出品と輸入品が飾ってあった。驚いたのが、これだ。日本は、これを輸出していたのか!

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わかるだろうか。楮糸とは、コウゾの繊維である。これが日本から唐の皇帝に貢いだのか。

コウゾと言えば和紙の原料だが、これはコウゾを紙の原料として輸出したのではなかろう。和紙そのものが中国伝来のものだからだ。やはりコウゾから糸をつくって、布にしたいたのだろうと思われる。
コウゾは、「白い繊維」であることから、神を招き、神が宿る布として珍重されていたという記述もある。またカゴを編む素材としても、コウゾは重要だった。コウゾの別名にカゴノキもある。ほかカジノキ、カミノキなど。神が宿るから紙を漉いた、といえば出来すぎだが。

コウゾの繊維から糸を作って、それを編むと不思議な布になりそう。

 日本の和紙は、ほぼ輸入コウゾで作られているが、国産コウゾを広げるためには、紙だけでなく布としての利用も含めたら幅広くなるかもしれない。

 

2025/02/12

樹木葬を選ぶ理由

いまや新たなお墓を作る人々の約半数が、樹木葬タイプだという統計が出ている。そして樹木葬を選ぶ理由についてのアンケートを発見した。

樹木葬の消費者全国実態調査(2024年)

これはお墓に関するポータルサイト「いいお墓」で行われた調査。

  • 調査期間:2024年1月19日(金)~1月31日(水)
  • 調査方法:インターネット調査
  • 有効回答数:873件(全体1,791件)

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「継承の課題」を選んだ人が74.8%という結果だ。あと、安いから、という点もある。

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一方で、樹木葬のタイプは、「里山タイプ」「公園タイプ」「庭園タイプ」の3つに分けているが、それらの説明はこんな風。

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森になる、自然に帰るというのが里山タイプなのだろう。公園と庭園の違いとは何か。

広い園内が全部樹木葬なのが公園で、従来の石墓墓地の一部に設けられたものを庭園としたのか。

いま一つ、納得がいかない(笑)。そもそも樹木葬という言葉自体が、森に帰るべきで、石標の代わりに樹木を植える、あるいはすでにある樹木を標とするという定義だったはず。しかし、現実に作られた樹木葬墓は、森づくりは頭になく、単に石標を樹木に変えただけのものが多い。いや草花を植えるが、石の墓標もあるタイプが少なくない。ひどいのは木もない。芝生に小さな石標だけという墓もある。

公園、庭園タイプは、共にずっと維持し続けないといけないから草木の手入れが必要だ。となると、継承の問題は解決するのだろうか。一定期間が過ぎたら合葬するのかもしれないが、それなら石墓でもできることなのだが……。

なお、お骨を納めるカロートは、土に骨が触れる仕組みでないと自然に戻らない。が、実はコンクリート製が多いのである。そこにお骨を納めても骨が分解することはなく、ずっと骨は残るだろう。ただでさえ火葬していると、骨は無機化しているだろうし。

とはいえ、樹木葬という言葉を商標登録しなかったため、みんな使い放題になってしまった。

樹木葬という言葉の定義がはっきりしないことが原因だ。やはり法律などではっきりさせた方がいいのではないか。

私自身は、もう樹木葬という言葉を消すのは無理だから、自然に還る埋葬法を「緑の埋葬」と呼んだらどうかと提言している。これは環境に優しい埋葬を意味する英語のグリーン・フューネラルから取った言葉だ。ここに森に還る樹木葬のほか、海洋散骨など自然への循環を意識したタイプの埋葬法を含ませる。公園・庭園タイプの樹木葬は入れない。

地味なようだが、こうした墓地制度をはっきりさせないと、禍根を残す。

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これは公園タイプ?庭園タイプ?

2025/02/06

卒論「余剰ゴルフ場と霊園」を発見

たまたま「余剰ゴルフ場」という言葉にひっかかってある論文を発見した。

なんたって、私は「ゴルフ場ジャーナリスト」だからね。そして、余剰ゴルフ場問題は、ほとんど20年ぐらい前から指摘してきたことだ。当時500ぐらい余っていると言っていたが、今はもっと増えている。そして閉鎖もどんどん出てきた。
もともとはゴルフ場の自然を調べたのだが、そこには新たな「里山」的自然があった。ところが、経営が行き詰まると破壊される例に多く触れたためである。

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『ゴルフ場に自然はあるか? つくられた「里山」の真実』を読んでくれたまえ。

ただ、発見したのは論文と言っても、大学生の卒論のようだ。執筆がいつだったのか書いていないが、参考文献や「大沼あゆみ研究会13期」とあることから2017年か18年ぐらいではないか。

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「余剰ゴルフ場の利用方法に関する考察」と来たか。しかし、サブに「墓地への転用に向けて」とは……。この論文は、転用はメガソーラーより樹木葬墓地を押しているのであった。

私は樹木葬ジャーナリストでもあるから、ゴルフ場の転用となれば、樹木葬墓地をお勧めしているのである。

『樹木葬という選択~緑の埋葬で森になる』

こちらの本に記している。

参考文献を見ると、『樹木葬という選択』も入っていた。『ゴルフ場に自然はあるか? つくられた「里山」の真実』(もしくは旧版の『ゴルフ場は自然がいっぱい』)も入れておいてほしいのだが。

内容は、まあ、いかにも大学生ぽい書きぶりではあるのだが、それなりにゴルフ場の実情や樹木葬については調べたようだ。私が調べた頃より約10年後の実情を知ることができた。

実は、この動きは以前からあって、私のところにゴルフ場内、もしくはゴルフ場隣接地に樹木葬墓地をつくりたいという相談が何回かあったのである。ゴルフ場経営が厳しくなる中で、完全に閉鎖でなくても、一部の土地を墓地として収入源にする発想はあるのだ。私は、宮城県まで言って支配人と相談したこともある。乗り気だったのだが、その後、ポシャったようだ。

どうやら経営者は経営危機を迎えて、あの手この手を考えるものの、オーナーにとってはゴルフ場を所有していることは、一種のステータスシンボル的な面があって、その中で転用の中でも墓地はイヤだ、という意識が高そうなのである。メガソーラーの方がマシ? 
墓地というイメージの問題なのだろう。もし、もっと経営が行き詰まれば、あるいは完全に経営が成り立たなくなって、なりふり構わずに後始末的に跡地利用を考えたら、再び持ち上がるかとも考えられる。ただし樹木葬墓地は、作ったら一気に希望者が殺到するものではなく、徐々に、コツコツ、広めていくものだ。その点は、新規事業として物足りないかもしれない。

しかし、スウェーデンには世界遺産になった墓地もあるのだ。そうしたイメージ戦略はやり方次第である。大注目を集める墓地には、希望者が殺到する可能性もある。それも生前契約させたら、結構な資金源になる。

もう一つの問題として、現在の樹木葬の広がりが、極めて安直な墓地を増やしたことが足を引っ張るかもしれない。メガソーラーと変わらない樹木葬墓地だってある。
墓地埋葬法を管轄する厚生労働省も、樹木葬や散骨を異端視しがちで、理解が遅れている。国民運動的に自然を守る「緑の埋葬」の観点を育ててほしい。日本人の「自然の中で眠りたい」要望に直視しないと難しい。

 

 

2025/01/08

地雷源でハチミツを!

なかなかテンション上がる記事を読んだ。

「地雷原のハチミツ」に思い込めて ウクライナがプロジェクト 

さらにネタ元も。

危険から希望へ:「地雷原のハニー」がウクライナの荒廃した土地をどう変えているのか 

 

なんとウクライナは、国土の4分の1近く、13万9千平方キロメートルもの面積に地雷や不発弾が眠っているという。これは世界最大の地雷汚染国になるらしいが。除去にはとてつもない時間と費用がかかる。その起死回生の策として、地雷源を花園にして、ミツバチに蜜を集めてもらおうという壮大なプロジェクトをぶち上げたのである。

なるほど!ミツバチは地雷を爆発させることはない。人は入れない土地でハチミツを生産できるわけだ。しかも、花園という景観も作り出す。

もともとウクライナには広大なヒマワリ畑があって、そこでは養蜂が行われていた。非常に質のよい蜜が採れると言われるが、それを拡大する形だから、人材や技術もあるだろう。ウクライナの復興にはグッドアイデアと思う。

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もともと農作物栽培の難しい土地では、ウシやウマ、ヒツジ、ヤギなどを放牧をして家畜に雑草を食べさせて肉や乳に変えてもらうという産業形態がある。そこに、もう一つの家畜であるミツバチを活用するのは、ウクライナでなくても応用が効くように思う。

日本でも考えられないだろうか。

ゴルフ場跡地は、すぐにメガソーラーに転用されがちだが、いっそ花園をつくれば養蜂地にできる。景観を売り出すことも可能だから観光開発にもなるだろう。もしかしたら(草花の種類によっては)ソーラーパネルの下でも花を栽培することもできるのではないか。

伐採跡地も再造林が進まないのなら、とりあえず草花の種子を撒いておく。そして養蜂家を呼び寄せる。崩壊地なども、すぐに樹林を生やせないのなら、まずは草花から……と考えてもよいし、有休農地だって、もっと利用してほしい。

ちなみにミツバチは、蜜を集めている際に人を刺すことはない。巣箱に不用意に近づくときが危険なのだ。だから、ちゃんとルールをつくれば、観光にもなるはずである。

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この写真は、スイスで見かけた養蜂小屋。こんな小屋タイプの巣箱という発想も面白いが、周辺に人家がある。問題にならないのだろう。
日本では、人家近くでは蜂を恐れる人が多くて、なかなえ巣箱を置けないが、問題はないのだ。それに巣箱の規模を大きくして、また景観的にも優れている。

そういや、最近は山村で花園を見ることが増えた。耕作放棄地や限界集落化の中で、住民のちょっとした工夫である。人が住まなくても、花が咲く季節には人が集まる。そこでハチミツの明お土産を販売できたら楽しい。
そんなオシャレな養蜂を工夫してはいかがだろう。

もちろん、日本の養蜂は衰退している。気候変動で花の咲く時期がずれて、これまでの技術では難しくなった面もある。農業の衰退と相まって蜜源不足も指摘されている。シカの増加などで森林地域に草花がなくなっていることも痛い。養蜂家自体が減少傾向だ。

しかし、有休地や崩壊地の回復、さらに景観づくり、観光開発……などの視線を使えば、新たな資金を導入できるのではないか。林業地の伐採跡に花園を! なんてのも夢がある。

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川上村の芝桜。

2024/12/24

幻の吉野漆と漆掻き道具

市立五條文化博物館で「吉野の漆掻き道具」展がやっていたのだが、それが最終日であることに気づき、急ぎ覗きに行く。車で1時間半の距離だから、結構遠い(-_-;)。

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ウルシノキの樹皮を剥いて、そこに傷をつけ、流れ出る樹液をこそげ取り、壺に入れて集荷する。それを精製して全国に出荷……という流れだったようだ。全国の産地とのやり取りを示す手紙や書類の類も展示されていた。

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なかなか渋い特別展だった。市内の某民家の蔵から漆掻き道具が見つかり、寄贈されたものが奈良県有形民俗文化財に指定されたことから企画されたそうだが、そもそも吉野漆が幻なのだった。かつて西吉野では漆の生産が行われていた。質のよさで一世を風靡したそうだが、現在は生産どころかウルシノキさえほぼないだろう。今は柿と梅の産地である。

なぜ消えたのか。まず中国産漆に席巻されたうえ、ほかの産地で吉野漆に中国産を混ぜて「吉野漆」の名で売り出すという商売が行われ、そのため質の悪さが指摘されて値を下げる……というようなことが起きたらしい。なんだか、今でもよくある産地擬装と同じことが明治時代に行われたのである。

そしてこの漆の産地の隣には吉野塗、下市塗と呼ばれる漆器もあったのだが、それも消えてしまった。

この道具類も、今ではつくる人がいるのかどうか。国産漆の産地は岩手の浄法寺と茨城の太子町ぐらいだが、道具はどうして調達しているのだろう。

産業とはちょっと気を緩めると悪辣な偽物が出回り、ブランドを失って消えていくものなのだ。ちなみに、この展示会のために参考にしたのが京都府福知山の漆だそうだが、こちらも消えつつあるところをNPOが引き継いだものなので、産業として残っているとは言えない。

私は、その福知山の漆掻きを取材したことがある。

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道具はよく似ているようだが……写っている人は最後の現役だったはずだが、もういない。

なお見学者の中には漆に詳しそうな人が何人かいた。学芸員も困っただろう。私も、つい口を挟んでしまったが(笑)。
展覧会は終わったが、写真は拡散してください、と言われたので、気になる方がいれば見せてもらえることもあるだろう。

2024/12/10

国会前にて。めざせ墓埋法改正

次のような文書がある。

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自然宗仏國寺の黙雷和尚の筆による。内容は、墓地埋葬法の改正の請願。この請願のため、和尚は鹿児島から東京まで行脚して、ついに8日、東京に着いた。そして国会議事堂前に大座している。御年84歳。

黙雷和尚の仏國寺は三重県大台町の森の中にある。そこで数百ヘクタールもの山林を所有し、「森のお墓・いのちの森」と名付けた自然葬(散骨)を行っている。

ただ散骨や樹木葬には近隣の人の反対の声が常に上がる。その理由の一つとして、法律が整備されていずに、かなりあやふやの状態であることが上げられる。散骨は、これで厚生省(当時)の見解として「自然葬を禁じる規定はない」、法務省は「節度を守って行う限り問題はない」と回答した。これを根拠としている。

一方、樹木葬は地目も墓地とした土地で行うかぎり問題はない。ただし、こちらも人によっては別の解釈で嫌う声が上がる。

もともと散骨も樹木葬も、自然に還りたいという故人の思いを実現するためのものである。同時に自然(森など)を守りたいという思いもある。

残念ながら現在の樹木葬には、その理念をほとんど理解していない業者の経営するものが少なくない。散骨は主に海にするケースが多いが、こちらも業者によっては態度に不満が出る。

墓地埋葬法の改正に取り組む意思のある政治家はいるか。官僚はいるか。

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国会前。

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