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本の紹介

森林資源

2017/04/08

吉野杉の変木?

川上村で見かけた杉。

 
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なんだろうなあ、この幹は。若い時期にクマハギにでも遇ったのだろうか。幹の表面が波打っている。輪切りにしたら星型?モコモコした不思議な形になるだろう。
 
これでは吉野杉どころか、並材にもならないよなあ……と思ったが、まてよ、思い切ってこの木の樹皮を剥いで磨けば、奇妙奇天烈な磨き丸太にならないだろうか。
 
四角く製材したって、不思議な模様が現れるような気がするが。 
並材ならぬ波材(笑)。
 
単純に、材として価値がない、燃料にしかならない、ではなくて、変木として扱えば別の道が開けるのではなかろうか。デザイン性の高い内装材に活かせないか。
数は出ないが、どうせ数はない。世界でこの一本だけ。高値を付けられそうな気がする。そんなコーディネーターがいたらいいんだけど。
 
 
……と思って周りを見ると、この木だけでなく、何本かあるんだよね。もしこれが、クマハギの跡だったら、獣害転じて銘木づくりになるじゃん。
 
なんて、おバカなことを考えてしまったのであった。

2017/03/08

人が食えるシカ肉とは

狩猟や有害駆除されたシカを専門に解体する施設を見学してきた。

 

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到着すると、罠にかかったシカが専門の解体場に持ち込まれていた。その一部始終を見たし、撮影もしたが、ここで披露したらグロい印象を持つ人もいるだろうから、止めておく。
 
簡単に段取りを紹介すると、1頭解体するのにかかる時間は10分あまりで、それを数日間冷蔵庫で熟成させる。
 
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布を巻いてあるのは、表面が乾燥しないよう。
 
そして、部位ごとに肉を切り分けるのだが、驚くほど人が食す部分は少ない。そもそも肉はシカノ体重の3割程度だが、美味しくいただくモモやヒレなどは、さらにその3割ぐらいか。
 
で、切り分けた肉は……。
 
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これはモモやウデの部分だと思うが、赤身で美味しそうじゃないか。。。。
 
が、これはドッグフードの原料行きなんだそうである。人には食えたものじゃない、と。この肉も、オレンジ色だという。(人によっては、気づかず「これがシカ肉」と食べるそうだが……。)
なぜかというと、「焼けている」とか「ムレ肉」というそうだが、処置が悪くて味が落ちてしまっているそうだ。   
罠にかかっていても、数日放置したり、暴れたり、トドメを上手くさしていなかったり、あるいは死んでから時間が経っていたり。さまざまな理由で肉の味は落ちてしまう。すると市場に出せないそうだ。 
シカ肉をジビエと持て囃すのはいいが、その供給がいかに大変なことか。
 
ちなみに、私は本当に美味しいシカ肉を購入させていただきました。
 

2017/03/04

改めて、バイオマス発電所

この前、吉野から車を走らせていたらいきなりバイオマス発電所の前に出たので、あわてて停まってパチリ。

 
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奈良県唯一のバイオマス発電所である。
 
その隣には、燃材のストックヤードもあった。それらを覗いて写真を撮っていると、所員が出てきて注意された。勝手に車を止めてはいけない、敷地内に入ってはいけない、というのだが、警戒しているのか? 
もっとも、私は「工場萌え」のファンのふりをして撮っていたが(⌒ー⌒)。
 
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燃料が、写真のような木屑に近いものばかりだといいのだが……。丸太も積み上げている。どこから集めているのか気になる。
 
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なんと、奈良県には新たにもう一つバイオマス発電所の計画があるそうだ。今でさえ燃料集めるのに四苦八苦の有り様なのに、どうする気だ?  認可されるのだろうか。。。。
 
 
そんな時に読んだのが、このブログ。
 
 
ドイツ在住の村上敦さんのブログで、「日本で持続的に利用可能な木質バイオマスの量は?」という題目でアップしている。
 
このブログは、ドイツやオーストリアの環境政策や森林事情を知るのに有り難いのだが、とくにヨーロッパのバイオマス発電事情は面白い。日本ではドイツやオーストリアをバイオマス利用の先進地として紹介するものばかりが目立つのだが、そんな“期待”をぶっ飛ばす記事が多く載る。
 
今回も私と同意見というか、非常に納得できることが書かれているが、とくに私が引っかかったのは、
 
 これでやったことで、ドイツでも、オーストリア(ウィーンやギュッシングなんか本当に死んでいます)でも手痛い失敗を過去にしたわけです。
 
この一文だ。何をやったかというと、
「自分の地域だけは、入念に地域における需要量と供給量を計算しているから大丈夫だとうそぶく」
「地域で供給できる木質バイオマス(チップ)の量を、地域にある森林面積やその蓄積から推計して計算していることがほとんどであること」

である。詳しくは、リンク先をよく読んでほしいが、実際の調達能力を無視して潜在的資源量だけで計画を進めてしまっているのである。
 
なかでもギュッシングが登場したところに目が止まった。
 
オーストリアのギュッシング市を知っているだろうか。小さな田舎町なのだが、バイオマスエネルギー利用で一躍豊かな生活を送っている! と日本からも視察団が殺到、大絶賛された町なのだ。とくにNHK番組、および大ベストセラーになった「里山資本主義」で取り上げたことで有名になったのである。  
 
私は、現地に行ったわけではないから「ギュッシング市は、例外的に上手くいった町なのかな」と思っていた。きっと製材が盛んで燃料も製材屑が調達できるのだろう……。
 
ところが、村上氏に「本当に死んでいます」と書かれてしまった。
ここを視察に行って、日本でもバイオマス発電を、と唱えた人は誰だ。。。(失敗を過去にした、とあるから、今は復活しているのかどうか知らない。)
 
 
ああ、里山資本主義もバブルを経て、死んでしまったか。。
 

2017/02/15

シカ害対策とスナック菓子

 
環境省は、獣害被害を抑えるため、積極的な捕獲を推進しているわけだが、狩猟鳥獣に関する取り扱いでニホンジカの「1人当たり1日1頭」としていた捕獲制限を解除する方針のようだ。
 
鳥獣保護法は獣類20種と鳥類28種の計48種が対象を対象にしているが、ニホンジカについては過去の保護を目的とした捕獲の頭数制限が課されたままだった。改正は5年ごとに実施するためだからだが、次の狩猟期間が始まる秋までに捕獲制限撤廃するそう。
 
 
この捕獲頭数というのは、狩猟、とくに猟銃によるものを想定しているのだろう。罠猟では、1日に捕獲する頭数、という発想は当てはまらないからだ。
 
 
ただ私は、あまり猟銃によるシカ猟というのは推奨できるのか疑問である。
 
何よりもハンターの養成が簡単ではない。それにハンターが丸1日山を歩いて狙っても1頭も仕留められないことも多い。捕獲制限を解除しても、1日複数獲れる保証はないのだ。
 
それに銃で仕留めると、必ずしも頭を撃ち抜けるわけではないから、肉利用に向かない。腹を撃つと、内蔵が弾けて肉に回り質が落ちてしまうからだ。また毛皮にも穴を開けるわけで皮革利用にも無理が出る。
さらに仕留める場所が奥山になると、運び出すのが難しくなる。その場で解体できる条件があるとも思えない。(解体しても、売り物にできない。)
だいたい1時間以内に山から道路まで引き出さないと、事実上、肉は食えないだろう。
 
 
もっと、 無理なくシカを仕留める方法はないか。。。
 
 
そんなことを考えていて思い出したのは、奈良のシカ。奈良公園では、シカを保護しようとしているのだが、実は不慮の亡くなり方をするシカが少なくない。
最大の原因は交通事故であり、次が野犬などに襲われること、そして病気だが……病の中には、食べ物がある。
 
シカは、香辛料に弱く、辛い味付けのスナック菓子を食べるとショック死するのだそうだ。またビニール袋などを間違って食べて胃の中に詰まって死ぬケースもある。
 
奈良公園では、「シカにお菓子を上げないでください」と広報しているわけだが、いっそ、獣害を引き起こす野性シカにスナック菓子を食べさせられないか?  
劇辛ボテトチップスを山にまいて食べさせる。いやいや、甘い砂糖にハバネロ粉末を閉じ込めたシカせんべいは作るとか。反芻動物に急性中毒を引き起こす硝酸塩入りの餌も考えられているが、ハバネロもありではないか。。
 
それでシカが胃痛を起こしてバタバタと倒れたら獣害が減るかもしれない……。(なんか、想像したら、可哀相になってしまう。。。)
 
 
もっとも不用意に農地の周りにスナック菓子を仕掛けておくと、人間様がつまみ食いをして、腹痛を起こすかもしれないなあ(;´o`)。。。

2016/12/11

ジビエ商品の表示も大切だが…。

農林水産省が、ジビエの商品表示方法を検討しているそうだ。2017年度以降に運用するために整備をするという。
 
野生動物の肉であるジビエ。獣害対策のため駆除した獲物を商品化することで、捕獲を促進するとともに地域おこしにもつなげる……と、ジビエ普及を切り札として扱おうという魂胆だ。しかし、その前に食品として認めてもらわねばならない。それには、商品情報を開示することが重要だと考えているわけだ。
 
詳細な商品表紙がないと、卸売業者らが安心して肉を仕入れてくれないからである。
 
なぜならジビエは、個体や捕獲後の処理により肉質や味の差が大きく出る。家畜(家禽)の食肉よりも詳細な情報を示さないと料理人向きに扱いづらい。消費する人に向けても、「得たいのしれない肉」ではないことを知らしめないと、需要は延びないだろう。
 
 
現在、家畜用の食肉表示は、原産地や種類・部位名、重量や賞味期限などが記載されるようにしているはずだ。
ジビエでは、それに加えて
 
①獣種
②捕獲日時
③市町村名までを含む捕獲地域
④銃やくくりわななど捕獲方法
⑤性別
⑥推定年齢
⑦体重(処理施設に持ち込まれた時の重量)
⑧金属探知機検査の有無
 
……などを商品ラベルに印字することを考えているらしい。直接書き込むのではなく、QRコードに盛り込むことも検討するそうだ。
 
さらに解体処理する際の統一ルールも必要だろう。
 
 
しかし。。。。私は疑問を持っている。本当にジビエは獣害駆除の切り札になるのか、という根本的な問題もあるのだが、何より野生肉の安定供給が可能だろうか、という点だ。
今は、ある意味捕獲しやすいかもしれない。シカやイノシシは生息数が爆発的に増えていることに間違いないし、人里に堂々と出没するわけだから。狩猟や罠にかけやすい。
 
しかし、そのうち人間を警戒して罠にかからなくなる固体も出てくるだろう。ハンターもその度に戦術を変えなくてはならないが、どの程度対応できるか。
 
そもそもハンターの数が足りない。近年は若者が参入する例も増えているが、本格的にジビエの量を確保しようと思ったら、専業で取り組む人も必要となるだろう。しかし、日本の山は人家が入り組んでいるから、どこでも発砲できるわけではないし、罠も仕掛けるには十分に告知などが必要で、そのうえ見回りなどの手間がかかる。
 
 
どんどん捕獲が面倒になっていくと、そのうちジビエも養殖した方が楽じゃねえ? と気づく人が出るような気がする(笑)。
 
これまでもイノシシ牧場はあったし、シカ牧場さえつくった人がいる。そこではニホンジカは飼うノウハウが十分にないうえ、肉の量が少ないからヨーロッパからアカシカを導入した(こちらはデカい)。
挙げ句の果てに牧場から逃げ出すイノシシやアカシカが出た。さらに経営失敗から山に放す輩も出て……。それでは外来種が繁殖したり、在来シカと交配して遺伝子汚染を引き起こす、と騒がれもした。
 
 
そうはならないようにルールを厳しく……あ、厳しくしたら余計にジビエは安定供給できずに普及も難しくなるなあ。。。

2016/10/25

農林水産業の「養殖」に関する一考察

野菜の高値が続いている。夏から続く台風、大雨、酷暑……天候不順、さらに大地震が起き、北海道、熊本や鳥取など有数の農業地域が大打撃を受けたことが大きい。

 
そこで注目されているのが「植物工場」だ。光の要らないモヤシやキノコ類に加えて温室内の水耕栽培で野菜をつくっていると、天候に関係なく安定した収穫量が得られる。年中栽培が可能となり、生長も早い。それが魅力だ。
植物工場こそ、未来の農業である! ……もっと多くの野菜や果実を工場で、とぶち上げられている。
 
もともと農業は、野生の植物の中から食べられるものを品種改良しつつ人の手によって栽培するものであるから、これらすべてを「養殖(植)」と位置づけることができるのだが、水分や肥料、光まで人工制御する「植物工場」は、完全養殖と考えるべきかもしれない。
 
しかし、現実には「植物工場」はほとんど成功していない。今年のような露地もの野菜が高値を付けたときにしかお呼びがかからないのではないか。なぜならコストがバカ高いからである。露地なら実質タダの光や水分もコストに跳ね返る。高ければ販売先も限られる。天候不順のときだけ求められるのでは、安定的な販売先は見つけにくい。
また水耕栽培で病気が発生すると、あっという間に伝染して全栽培ものが壊滅することもある。安定生産というほど安定していないのだ。
 
 
漁業も似た状況だ。ウナギやマグロが絶滅危惧されるほど減少していることについて、「養殖すればいいじゃん」という声がちらほら聴こえる。とくにウナギは、卵の孵化に成功したことによって、完全養殖の現実味を増したと感じるらしく、心配いらない、どんどんウナギを食おう、と考えている人もいるようだ。
 
だが、養殖はそれほど安定しないし、利益も出づらい。
ウナギも単に卵の孵化に成功しただけでは、完全養殖はほど遠い。孵化率は際めて低く、さらに稚魚に育つまでにはほかの魚に比べてはるかに長期間かかる。孵化してから稚魚まで成育した生存率は1,6%である。
安定して供給できるまで、あと何年かかるかわからない。いや、コストを考えれば商業ベースに乗せるのは不可能ではないか、と思われる。養殖できても1尾1万円かかるウナギでは出回らないだろう。
 
だいたい水産物の養殖は、いずれも採算ベースに乗りにくいのだ。なぜなら高級魚でも、養殖すると価格が落ちるから、当初の目論見どおり高値で売れなくなる。
しかも安定供給は難しい。養殖地に病気や赤潮が発生して全滅したり、網が嵐で流されたりする。そうした不慮の事故を考えると、採算はかなり厳しい。何十年もロングスパンで見ないといけないだろう。
 
 
……農と水産の養殖に触れたのだから、やはり林業も「養殖」を考えてみよう(笑)。
 
人工林は「養殖」と言えるのかもしれない。人の手で栽培することで、生長速度を速めて、一斉林にすることで収穫量を高めているのだから。ただし、それでもスギで50年はかかる。
しかし、その間(50年間)にも材価が乱高下するわ、台風大雨山崩れはあるわ。火事だって起こるわ……全然安定収穫・安定収入を見込めない。そしてコスト高。植え付け、下刈り、徐間伐……手間ヒマかけて育てるも、材価と引き合わないと嘆いているのが今だ。
 
いっそ完全温室・人工光源・水耕栽培のスギ林をつくるとか、工場の水槽内でスギの細胞をぶくぶく培養して1年で直径30㎝、長さ4メートルの丸太に成形するような「養殖」があったら面白いかもしれないが、あんまり気持ちよくない。
 
 
結果として、農業、水産業、林業、いずれの養殖も、技術的には有り得ても産業としては欠点が多すぎて成功させるのは厳しいのではないか。しかも環境に優しくない。養殖は、エネルギー収支が常に悪いし、過度な余った肥料や餌が環境を悪化させる。
 
それよりも自然界の力に頼る方が賢いように思える。
農業は、自然の雨風光を取り入れて栽培すると低コストだ。人は、少し手助けする。
水産業も、養殖より漁獲規制で自然に生息数を回復させる方が現実的だ。ウナギなんて、あきらかにシラスウナギを獲りすぎなのだから。
そして林業も、自然界に任せる。森を森として維持しつつ、少しずつ収穫する。天然更新とまではいかなくても、手助けする程度で次世代の木々を育てる方が経済的ではないだろうか。
 
 
もちろん不作の期間や病害虫の発生など不安定要素はあるし、収量が落ちて供給が需要に追いつかないかもしれない。しかし、それを乗り越えるのは利用側の問題だ。あるものを、手に入るものを、工夫して使うのである。
 
実は農作物も魚も、そして木材も、存在量は需要に足りているのだ。ただ欲しい種類が足りないことが時折起きるだけである。
野菜は季節の旬のものだけを求める。ウナギも一時期食べるのをあきらめて量の豊富な魚種に変える。スギが足りなければ、雑木を使う。
 
 
……もっと考察を進めると、世の農林水産業を敵に回しそうだな(笑)。
 
 

2016/08/01

燃やされるリグニンと研究

ネットで流れていた大王製紙の愛媛県の三島工場で進行するバイオマス発電計画。ふと目に留めると、で、燃やすのは木材ではなく、パルプ製造工程で発生する廃液(黒液)だという。
黒液とは、木材からパルプを取り出す際に排出される廃液のこと。主成分はリグニンだ。これまでも、製紙会社はたいてい黒液を燃料として自社工場の電力を熱を賄ってきたはずだが、それをFITで電力供給するわけだ。その方が儲かるということなのだろう。新設備の発電能力は、6万1000kWにも上る。
 
 
しかし、リグニンはいまだに燃料としてしか使われないことが残念である。
 
木材の主成分は、セルロースとヘミセルロース(いずれも多糖類)、そしてリグニン(芳香属化合物)だ。このうちセルロースとヘミセルロースは紙になるのはもちろん、近年はナノセルロースファイバーとして注目を集めている。
 
しかしリグニンは、木材全体の25%~40%に達するのに、あまりパッとしない。それをもっと有効利用できないかと昔から研究されているのだが、イマイチ実用化が進まない。
 
本ブログでも幾度か紹介した記憶があるが、三重大学ではリグニンを分離して「りぐぱる」と呼ぶ製品がつくられた。パルプ、つまり紙を再び木質物にもどすという画期的なものなのだが、残念ながら実験室レベルでは成功しても実用化にいたっていないようだ。
 
やはりコストに見合うリグニンの効率的な抽出ができないことが大きいようだ。
 
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さて森林総研では、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)としてリグニン研究を行っていると聞く。そこではスギに最適なリグニン抽出法を開発したという。理論値の80%以上の改質リグニンを生産できるようになり、パイロットプラントが建設されている。
 
さらにリグニンと粘土によるハイブリッド材料の開発も進んでいるという。またリグニンを分解した化学原料も生み出されていて、生物由来ポリエステルやポリエチレンとして市販されているそうだ。
一方でリグニンを抽出する過程で取り出されるセルロースやヘミセルロースの分解物から高付加価値製品の開発も行っている。
 
これらが実用化すれば、木材成分をすべて利用し尽くすことが可能になる。そして分解した各成分は軽量コンパクトになるから山村の産業として期待されているのだが……。
 
実は、同じことを「りぐぱる」の際にも聞いた。夢があるわりには、いつ実現するんでしょうね……と感じてしまうのだ。
 
早く実用化しないと、リグニンは燃やされる一方だよ。。。

2016/07/31

団扇……の骨の危機

そろそろ夜も耐えがたい暑さの残る季節である。

 
仕事中はエアコンも仕方なし、と入れているが、そうでない時間はひたすら扇風機で頑張る。
 
そして……身近には団扇。もっとも、暑い部屋の空気をかき乱しても涼しくならないよ。。。そこで取り出しましたる和の団扇。
 
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夜、ベランダでひんやりした風を、この団扇で起こすとホッとする。
 
写真は、熊本県山鹿市の栗川製団扇。「来民(くたみ)の渋うちわ」というのだそうだ。竹の骨に和紙に柿渋を塗った伝統産業だ。しかし、今やつくっているのは栗川商店一軒になってしまったという。
 
熊本県がかつては団扇の一大産地とは知らなかった。(京都、丸亀と並ぶ日本三大団扇産地……だったとか。現在は9割が丸亀製。ただしプラスチックが主流。)
 
扇ぐと、紙独特のパタパタという音が涼し気。プラスチック製ウチワに太刀打ちできないだろう。
 
ところで、この団扇の骨だが、3年ものマダケを材料にして、節から割って扇状に広げている。栗川商店では冬の間に作ってしまうというが。。。。
 
 
実は、団扇の骨が危機なのだ。日本製団扇と言えば和紙に価値がある、と思いがちだが、本当の価値は竹製の骨にある。竹材を割って数十本の骨として広げる技を持つ職人は、ほとんどいなくなった。
 
現在は、多くが中国製に取って代わっている。もともと団扇は、中国で生まれたようで、日本には古墳時代に伝わっている。
とはいえ、中国だって、いつまでも団扇の骨職人がいるとは限らない。中国に頼れなくなったとき、どうなるのだろうか……。
 
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2016/06/26

広がってきた森をつくる樹木葬

樹木葬という選択』を出版して、約4カ月だが、書き上げて校了したのは年末だから、ほぼ半年前ということになる。

 
Jumokusou
 
本書には、10か所の森をつくる(守る)樹木葬墓地を紹介した。
 
全国に樹木葬を名乗る墓は100か所は超えるだろうが、ほとんどが霊園の一角に木を植えただけの似非樹木葬。なかには樹木さえ見当たらない「樹木葬」もある有様だ。しかも合葬墓が多く、一本の木の下に何人分の骨を埋めるの(何万人?)という墓地さえある。
 
「森をつくる」「自然を守る」という基準からは、拙著の10か所になったのである。
 
その後も樹木葬墓地は、次々とオープンしているようだ。 その中でも、私の基準に合うところも出てきた。せっかくだから出版後の情報として、ここに紹介しておこう。
 
もっとも、私も実際に取材したわけではない。あくまでオープンにされている墓地の概要から「ここは大丈夫じゃないかな」と私が思うところである。機会があったら訪れて確認してみたいが、真の姿はわからない。
 
○宮城県大和町吉田 禅興寺の「七つ森樹木葬
 境内の山林約1000坪を樹木葬墓地にしたもの。昨年春に開園したという。境内にコウヤマキやカエデ、それに福島の「三春の滝桜」の実生樹も植えたそうである。基本は埋葬地への植樹方式だが、散骨も取り入れているという。
 
○千葉県長南町 日本生態系協会の「森の墓苑
公益財団法人「日本生態系協会」が、始めた墓地。まだスタートしたばかりで、埋葬者がいるかどうかは不明。予定地は元土砂採掘跡地で、樹木葬で森の再生につなげる。
面積は、周辺の森を含め約3万7000平方メートル。そのうち約9600平方メートルの敷地に個別墓1400区画と合葬墓4区画を設けたという。
地元のコナラやミズキ、ネムノキ、ヤマツツジなどの苗を育てており、利用者が選ぶ。50年かけて森に戻す計画だそうだ。
 
○三重県大台町 佛國寺の「森のお墓・いのちの森
拙著にも掲載したが、その際はまだ開園していなかったので、短めに計画を紹介するに留めたが、無事オープンした。
ここは広大な原生林など山を丸ごと墓地にしたもの。将来的には数百ヘクタールに広げる予定。こちらは、特徴は、とにかく一人当たり500平方メートルぐらいの墓地面積となる広さが売り物だ。遺骨は埋葬するのではなく、木製骨壺に入れてそこに広葉樹の苗を植え、森に「置く」形式。両墓制を採用して、埋葬地とは別に、お参りする詣で墓を設けている。
 
 
Photo
写真を送っていただいた。
 
 
 
この調子で、全国に森をつくる樹木葬が増えて行けば、本来樹木葬とは自然環境を守るものだと、より理解者が増えてることを願っているのだが。 

2016/06/12

セルロースナノファイバーvs炭素繊維

昨年はセルロースナノファイバーの話題を結構触れた。

木材のまったく新たな利用法として、ナノレベルの繊維(ファイバー)まで分離した素材である。強度は鉄の5倍以上とか、透明にでいるとか、食べられるとか、いろいろな機能性を持っている夢の素材として、今後の成長分野として注目を集めている。

 
その後、どうなっているか、なんだか世間で話題にならないから、ちょっとメモ的に残しておこう。
 
まず、実証プラントが今年中に各地にできそうだ。
まず日本製紙が、すでに3年前から岩国にプラントを稼働させている。
大王製紙は、今年前半に愛媛で稼働予定。
王子製紙(ホールディンクス)も、今年後半に徳島で実証プラントを稼働させる計画。
 
そして中越パルプ工業が鹿児島県に、商業プラントを来年春に完成させようとしている。
 
 
……こうして見ると順調なのだが、ちょっと疑問が湧いてきた。
 
セルロースナノファイバーとよく似た新素材、夢の素材がかつて登場していたぞ、という点だ。
 
それは、炭素繊維。こちらは石炭石油からつくるが、鉄と比較して強度が10倍とか比重は4分の1とか騒がれたのではないか。ほかにも耐摩耗性、耐熱性、熱伸縮性、耐酸性、電気伝導性に優れるとか。「軽くて強い」繊維として大注目された。そのうち金属に取って代わるぞ、と騒がれたことを覚えている。
(なんか、数字を見ているとセルロースナノファイバーより凄いが。。。)
 
Photo 炭素繊維
 
 
炭素繊維そのものは、発明されて60年ぐらい経つ。もちろん商品化されていくらかは出回っているが、金属や合成樹脂に取って代わったというほどではない。
どうやらコストが高くつくほか加工も難しくて、十分な使い道が見つからないらしい。ちなみに現在の製造コストは、キロ3000円。
 
 
そうなのだ。問題は何に使うのか、ということ。それもコストが見合い、現在の素材以上に優秀な点を示さないといけない。
 
その特異な機能性は語られるものの、そのうち商業ベースに乗りそうなのはどれなのか、コストと需要の予測は立てているのだろうか……。
 
 
そして、炭素繊維によって石油の需要が伸びたとか、石炭が高く売れた、ということのないように、おそらくセルロースナノファイバーが世間に広がっても、そのことによって木材の需要が伸びることも木材価格が上がることもないだろう。
 
ようするに夢の素材は、素材の元を生み出す産業(この場合は林業)には貢献しないのである。
 

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森と林業と田舎