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本の紹介

森林学・モノローグ

2017/05/27

「日本遺産」のキャッチフレーズ

ふと覗いた文化庁のホームページ。新着情報の中でそこで目に止まったのが、認定された『日本遺産』である。

 

今年は17も選ばれた。それを目に通すと、中身はさることながらそのキャッチフレーズが楽しい。いくつか紹介すると……。

 
≪江差の五月は江戸にもない ─ニシン繁栄が息づく町─≫
 
≪荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間 ~北前船寄港地・船主集落~≫
 
≪サムライゆかりのシルク 日本近代化の原風景に出会うまち鶴岡へ≫
 
≪忍びの里 伊賀・甲賀─リアル忍者を求めて─≫
 
≪「最初の一滴」醤油醸造の発祥の地 紀州湯浅≫
 
≪日が沈む聖地出雲 ~神が創り出した地の夕日を巡る~≫
 
≪きっと恋する六古窯 ─日本生まれ日本育ちのやきもの産地─≫
 
≪関門“ノスタルジック”海峡 ~時の停車場、近代化の記憶~≫
 
……これ、観光ポスターのキャッチコピーか!
自治体の担当者が知恵を絞ったのか、広告代理店や観光関係者に知恵を借りたのか。ある意味、これは遺産という名を借りた、観光客誘致合戦だということを感じさせる。
 
もともと「日本遺産」には“ストーリー”が求められる。モノ、コト、だけでなくドラマ性のあるものを選ぶと定められているから、余計に観光向きなのだ。
 
応募されたものをそのまま使っているのだろうが、選定されるためにキャッチフレーズ、つまり応募テーマに凝ったのだろう。
 
どうせなら、申請された地域全部 を眺めると、もっと面白い。79の応募があったそうだが、みんなの工夫の跡を感じる。
中身はわからないが、キャッチコピーだけなら、認定されたものよりこちらの方が面白そう、というものもあれば、こんなテーマで応募したのかよ! と突っ込みたくなるものまで。
私の知っている地域や「ストーリー」も目に止まるが、それはイマイチじゃねえ?というものもある(でも、認定された)。
 
地域と歴史のストーリーというのは、いわばイマジネーションだ。ドラマが地域と歴史を喚起し感情を刺激する。意外なものがこんなところで関連し合っているのだよ、と興味を引く。
観光振興でよく使う手段だが、実際に訪れた人々を満足させられるかどうかは、努力次第。
 
 
今回の認定された地域の中には森林や林業系は見当たらない。申請地域の中に宮崎県の飫肥杉がある程度か。近いものなら「日本一の木彫刻のまち」とか、「木蝋」とか「薬草木」などだろうか。
 
ちなみに「薬草木」を取り上げたのは奈良なんだが、これは本草学(江戸時代の薬学。動植物鉱物の効能を研究したもので、発展して博物学、そして正統科学としての生物学へとつながる)の地として切り口として、日本の秘境探検と結びつけたら、面白くなるのだけどなあ。
紀伊半島からは多くの本草学者を輩出した。南方熊楠だってその末裔と位置づけられる。いずれも紀伊の山奥に分け入り未踏の地で動植物を探索している。幕府派遣の探検隊も組織された。
もっとウケるキャッチフレーズを付けて次回の認定をめざそう(笑)。
 
 
ちなみにホームページには「国宝・重要文化財建造物の保存修理で使用する漆の長期需要予測調査」も報告されていた。理想的な修理周期において国宝・重文建造物に使用する国産漆の需要量は、年間平均約2,2トン……という結果を出している。
 
現在の国産漆の年間生産量は、約1,2トンなので、あと1トンの増産が必要……。それを平成30年までに達成したい? 
漆を取るにはウルシノキを10年くらい育てないといけないから、今年から何十ヘクタールかのウルシノキの植林を毎年続け、漆掻き職人も育てないと。無理そうだな……。
 
 
たまにに官庁のホームページをネットサーフィンしてみよう。面白いものが見つかるかもしれない。

2017/05/23

でき損ないの「木×仏像」展

私は、わりと博物館などの展示施設が好きだ。今回は、大阪市立美術館で「木×仏像」展をやっているというので足を運んだ。。

仏像にたいして興味はないが、木彫仏にこだわっているというからだ。開催が「美術館」ということに一抹の不安はあったのだが……。
 
001
 
結論から言えば、期待外れ。飛鳥仏から円空まで、素材となった木材とともに語るという趣旨とはほど遠い内容。
 
だって、単に仏像を陳列しているだけだよ。。。その素材については、わずかに一部の仏像にクス、カヤ、ヒノキ、ときにサクラ……と記されているが、なんら詳しい記述はない。
 
なぜ、この木を使ったかとか、樹種によって仏像にどのような違い(美術的センスとして、あるいは製作過程で)があるか、についてほとんど説明なし。時代ととにも扱う木材の種類がなぜ変わったか。当初の一木彫りから寄木造りに移った理由もちゃんとした説明なし。それらのメリット・デメリットもなし。当然、時代ごとの森林事情を説明することもなく。
 
さらに言えば、飛鳥・奈良時代に盛んだった木彫が一時期廃れて金属仏・石仏に替わるのだが、再び復活して世界的に稀なほど木彫仏が多くなった理由……なども考察なし。
仏像という精神性の高いものと木材の特質に対しても考察なし。
もちろん円空の特異な彫り方にも言及なし。。。。
これって企画倒れ? 
 
 
最後の出口に、素材の木材を並べているが、付け足し感がすごい(笑)。
本気で展示するなら、クスの仏像のところにクス材、カヤの仏像のところにカヤ材……を置いて、その場で触ってもらうぐらいのアイデアはなかったのか。
あるいは木造と塑像、金属仏と並べて違いを比べてもらう展示なんてのも考えられる。 
 
006
 
 
つまり、私の興味の中心に何一つ応えていなかった。せっかく仏像の素材にテーマを置きながら、これではなあ。ようは美術品としての仏像展示にとどまっている。展示方法が平凡というか、観覧者の気持ちをくすぐる工夫が感じられない。国宝・重文ぞろいの仏像を並べるんだから、黙っていても見に来るでしょ、と思っているのか。
いっそ自然史系か歴史系の博物館が、この企画をやった方がよかったのではないの? 
 
某大臣が、「学芸員がガン。観光マインドがない」と暴言を吐いて騒ぎになったが、私に言わせれば、観光マインドのあるなしとは次元の違う、見せる技術・アイデアがないように思う。これでは学芸員が観光に寄与したいと思っていても、観覧者の心に響く展示ができないのではないか。
 
私が、仏像の材質がせめて針葉樹なのか広葉樹なのか木目を見て判断しようと身を乗り出したら、監視が飛んできて止める。触ってないよ。鑑賞気分を削ぐことこのうえなし。こういうのもホスピタリティの問題なんだろうな。「見てもらう」より「規制する」「注意する」のが仕事と思ってるのだろう。
 
学芸員は、研究者と一般人の間に立ってインタープリターの役割を果たさないといけないのだが、資格取得の際にそうした技術を教わっていないのか。大臣の発言で存在意義が問われているのに、この有り様では……。
 
いやいや、ときに感動するようなすごい展示をしている展覧会・博物館もある。以前、ムンクやシャガールの絵画展に行った際は、素晴らしい展示と新しい見方を発信していて圧倒されたことがある。ようは、担当者の才能の問題だろうか。
 
 
そういや、先日、某県の某者(実は大学林学科の同級生)から講演の打診が来たのだが、話す相手が森林の〇〇や林業の○○な人々の集まりで、そこで私が森林の〇〇や林業の〇〇を話してもしょうがないんじゃないの、と悩んだ。
まだ決定していないので説明は控えるが、そこでふと思ったのは、彼らは、一般人へのインタープリテーションについては素人だろう。その点、メディア界に沈殿している私は多少ともハウツウを知っているから、そうしたことなら話せるかな……と考えたのであった。
 
逆に考えれば、私もインタープリテーション精神と技術を失ったらアウトだわ。。。。
 

2017/05/22

超レアな洞窟が続々と

始めに言っておくが、今回は森も樹木も木材も登場しない。あくまで私の興味の対象であり、その備忘録的な意味で記す。

 
 
先週は、NHKで洞窟の番組が続いた。
 
一つはNHKスペシャルで、ロシアの水中洞窟。なんと真冬極寒の大地の底に発見された水没した洞窟に潜るのだ。全長5キロ以上。このオルダ洞窟は、世界一美しい水中洞窟と言われているらしいが……。
 
2_2 4
 
一方、BSプレミアムでは、ギアナ高地の洞窟をやっていた。俳優の桐谷健太が潜るのだが……。
 
1_2
 
 
私は、かつて洞窟潜り、いわゆるケイビングをしていたのでどちらも注目したわけだが、興味深かったことがある。
それは、オルダ洞窟が石膏洞窟であり、ギアナ高地の洞窟は珪岩洞窟だったこと。これは仰天だったのだ。
 
一般に洞窟と言えば、石灰岩洞窟だろう。石灰洞窟、あるいは鍾乳洞と呼ぶものだ。石灰岩はCO2を溶かし込んだ水によって溶ける。だから穴が穿たれるわけだ。
ほかに比較的知られるのは熔岩洞窟だ。主に火山活動によって玄武岩質熔岩が流れる過程で、熔岩が流れ動きガスが抜けることで空洞ができる。
ほかにも海岸などには海食洞窟とかもある。また特殊なものなら氷河の中にできる氷の氷河洞窟なんてのもある。
 
 
しかし、今回は石膏に珪岩だよ。こんな洞窟は極めて珍しい上に、ここまで巨大な洞窟を形成するとは……。石膏(硫酸カルシウム)は、まだ理解できないことはないが、もっとも硬い岩の一つである石英などの珪岩に空洞ができるとは。
 
一応、番組では生成過程を説明していた。
 
5  7
 
ギアナ高地の洞窟は、イマイチ理解しにくかったが……。
 
 
私がソロモン諸島のシンボ島でケイビングしたパツキオ洞窟は、火口に空いている。火口洞窟自体はよくあるが、そんなに深くない。ところが、この洞窟はかなた深く、しかも岩は安山岩だったのだ。これは珍しい……と思っていたら、その後安山岩洞窟は各地で見つかり、何も特殊なものではないことがわかってきた。流動性の低い安山岩でも、高温になれば割れ目をつくるのだろう。
 
1_4 パツキオ洞窟の洞口
 
ところが奥へ奥へと進む(下る)と、石膏に覆われたホールに出た。岩から石膏が噴き出して表面を覆っているのだ。柔らかくて、泥のようだった。
 
1_5 石膏に覆われたホール
 
その一角には、謎の結晶ができた壁もあった。
 
3_2 結晶
 
方解石か、塩類か……。標本取って持ち帰ればよかった。。。
 
 
まだまだ洞窟には知らないことがいっぱいある。今回の番組は、地学マニアの血が騒いだのだった。
 
※シンボ島の探検の話は、『森は怪しいワンダーランド』に記しました。
あるいは、拙ホームページ にも一部掲載している。
 

2017/05/10

鏡の中の青空

ちょっと足を延ばした散歩で訪れた、御嶽山大和本宮。

 
これ、木曽の御嶽山を御神体とする御嶽教という宗教団体なのだが、本部は奈良にあるのだ。森の中にひっそりとたたずむ……と言っても、近年は周辺が宅地開発されてしまって、なんだか新興住宅地の中になってしまったが、それでも本宮の回りは森が保たれている。
その中に不動尊やお稲荷さん、神武天皇まで神仏混交で祀られている。
 
そして森の中には、木曽の御嶽山の山上が模されている。本家?が噴火で近づけなくなったから、こちらをお参りしてください。。。
 
001
 
これが本殿。結構、立派な建物だよ。その中に見つけた。
 
003
 
青空と緑の外苑が鏡の中に入っていた。
 

2017/05/09

火の生態学

連休後半から各地で強風にあおられた大火事が相次いでいる。なかでも森林火災、山火事は関東~東北で頻発した。栃木の那須、福島の浪江、宮城の栗原、そして岩手の釜石。何日経ってもなかなか完全鎮火しないようだ。

現地では、関係者みんな大変な思いをしていることと思う。早急な鎮火を祈念したいが……。
 
 
ここで思い出したのがfire ecology、つまり火の生態学だ。
 
世の中には、自然環境に与える火事の影響を調べる学問があるのである。森林火災はもちろん、野火や焼畑まで含む。実は、私も焼畑に興味を持つ中で、結構調べて勉強したり取材した記憶がある。
 
なかには火事で焼けないと発芽しない植物の種子があったり、火事の後に繁殖する植物や昆虫、そして動物種まである。また一定期間ごとの火事の発生によって植生の遷移が進む構造も見つかっている。畑で同じ作物ばかり植えていると連作障害が起きるが、火入れをすることでそれを解消する効果まで確認されている。
実は、アマゾンの大ジャングルもそうした火災を繰り返してきたのだという。
 
 
さて、そんな目で森林火災を見ると、意外と焼けるのは表面だけだそうだ。樹冠が燃える姿は巨大炎が立ち上り恐ろしいが、実はその下ではあまり温度が上がっていない。とくに土壌は、植物が燃える程度ではほとんど焼けず、数センチ地下になると常温だとか……。むしろ水蒸気の影響で土がふかふかになり、地下水が毛細管現象もあって上がってくる。だから焼畑では、まだ煙がくすぶるなかで種まきをしても良く育つわけだ。
多分、焼けた森からは一斉に芽吹きが始まり、再生へと歩み始めるだろう。
 
2 (金剛山の森林火災跡・松田育子氏提供)
 
 
ちなみに福島は帰還困難区域の火災で、放射性物質の飛散が心配されている。
私は現地の状況に関して十分な情報は持ち合わせていないが、少なくても森林の樹木が焼けても放射性物質は飛散しないだろう。
なぜなら6年の間に葉は落ち、枝や幹も降水で洗われているから付着していないという調査結果が出ているからだ。落ちた放射性物質は土壌内の粘土質コロイドに吸着されているはずだ。そして通常の森林火災は樹木や下草が燃えるだけなので、たとえ灰が舞っても心配ないと想像する。
 
むしろ鎮火寸前まで行って、おき火、つまり炭の状態で林床にとどまっていると腐葉土が燃え、土壌の温度を上げてしまう可能性が高い。その結果がどうなるのか私には想像できないが……。
 
 
ここは火の生態学を研究している人々が、それなりの所感を発表すべきではないかと思う。現地を知らない、調査していないからと及び腰になるのではなく、これまでの研究内容を援用して想像できる範囲を、ていねいに説明するのも学者の役割ではないか。
そしてマスコミもしっかり取材してください。。。。私? 私に仕事として発注してくれるのならやりますけどね(^o^)。

2017/05/06

宙に浮くサクラの花びら

例によって? 道からそれて森の中に入った。

 
理由は、カポカポと鳴る水の音に引き寄せられたのです(^o^)。
 
スギ林の中にせせらぎを見つけて納得。そのまま急斜面を登っていくと、いきなりサクラの花びらに包まれた。一応スギ林なんだけど……。良く見ると、山桜ぽいサクラの木があった。当然ながらこの花を見た人がいるとは思えず、人知れず咲いていたのだろう。
 
サクラの花びらは周囲一面に落ちているのだが、実は空中に浮いた状態の花びらも多数あったのだ。
 
 
2
 
こんな感じ。何も散っている花びらの一瞬を切り取ったわけではなく、花びらは宙に止まっている。こんな状態が広がっているのだ。
 
ま、ナゾでもなんでもなく、クモの巣に引っかかっているのだけどね(o^^o)。
 
でも、風流である。これを楽しめたのは私だけなのだから。

2017/05/05

「謎の路上植物」の正体

昨年の夏だったか、自宅の前の道路のヒビから生えている植物を紹介した。

 
2  
 
秋になって、それを刈り取られる前に引き抜いてベランダのプランターに移植したことも紹介した。
 
1
 
この草の正体は、最初はミントっぽいと言いつつ、どうも葉の形がはっきりせず自信がなかったのだが、思い切って葉をちぎって匂いを嗅いでみると、ちゃんとハッカ臭がするではないか。これでミントだと確定させたつもりたったが、では何ミントかわからない。
ペパーミントでもスペアミントでもアップルミントでもない。ブラックだのナンだの、ミントの種類は多いからなあ、と思っていたのだが……。゛
 
春になって、元気に育ちだした。新葉もいっぱい出た。すると色も変わってくる。
 
Photo
 
おや、この葉の様子は……レモンバームじゃないか?
 
調べてみると、そっくりだ。たしかにレモンバームもミントと同じシソ科だし、匂いもよく似ている。ただハッカ臭というよりはレモン系の香りに入るのかな。
 
さっそく、摘み取ってはお茶にしてみたり、料理に使ってみたりしております。味? ビミョー(笑)。
 
しかし、路上からスタートして、結構な出世だわ(笑)。
 

2017/05/02

紳士協定

昨日は「業界」の閉じた世界に苦言を呈したが、それをいかに規制するか、について考えてみた。

 
たとえば木材価格が安い ⇒ だから山主は利益が出ない ⇒ 森林整備ができなかったり、皆伐後の再造林が進まない、という。
そこで何らかの方法で、山主への還元額を高めるとする。これだけの利益があなたの手元に残るんだから、その分を山に投資してよい森をつくってください、と要求する。
 
さて、山主は素直に多く出た利益分を山に再投資するだろうか。
 
……必ずしも期待できない(~_~;)。
 
増えた利益をそのまま自らのポケットに入れる可能性が高い。再投資するのは、現在の利益ではなくて将来への期待がある場合である。投資したら次の世代でも儲かると思わないと、せっかくの利益を捨てるも同然だ。
 
 
では、どうしたらよいか? 細かく規定した契約を交わすという手もある。利潤の何%を森に投資すること、あるいは必ず再造林して、その後最低でも下刈りを3回、除伐を1回すること、とか。
 
無理だ。おそらく抜け道はいろいろあるだろうし、何年も先の施業内容を杓子定規に決めても本当の育林はできまい。それに、仮に契約を破った場合、罰則に効力はあるだろうか。その法的な裏付けを得られるか。
 
 
そんなときに聞いたのが、「紳士協定」である。それも外国の例だ。
 
細かな条件を書きつらねた契約はしない。ただ「いい森をつくってください」とか「お互いの利益を考えましょう」とか「常に話し合いましょう」「約束を守りましょう」といった協定を結ぶ。
「信頼するから守る」という契約である。
 
細かな規約がないからこそ、常に意見交換しつつ決めていく。その手間を惜しまない。
 
それを守らなかったらどうする?
 
協定を違えることは、信頼を破ることである。侮蔑され、名誉を失い、今後の取引もなくなる。長い目で見てどちらの損害が大きいか。
 
意外と効くのではないか、と思った。結局、人間と契約するのだから。契約書のどの条文を守るか、その裏を考えるのではなく、「信用していますよ」という相手を騙す方が心理的抵抗感が大きいような気がする。
 
 
もっとも、口先三寸、やり逃げ的な商売も平気という輩が多いかもしれない。と考えた私は、やっぱり業界を信用できないのだろうな(-.-)。

2017/04/28

造園における自然美の変遷

朝日新聞の土曜別刷(beフロントランナー)に、島根県安来市にあるの足立美術館の庭師(庭園部長)が紹介されていた。(小林伸彦さん)

 
この美術館の庭園は、2003年からアメリカの専門誌が選ぶ庭園ランキングで14年連続の日本一に選ばれており、世界的にも人気が高い。国内外から年間50万人以上が訪れるそうだ。
 
そんな庭園をつくる大変さを語っているのだが、ふと、そうかと思ったのは、後半のこんなセリフ。
 
幹が太くなってくると、すぐに元の大きさ、形のものと植え替えられる
 
そのために仮植場に様々な大きさのマツを育てているのだという。また変色した松葉や鳥にほじくり返されたコケも、すぐに取り除いたり補充したりするという。
 
そうかあ。ここでは庭の美は、止まった時間の中にあるのか。。。庭を一幅の絵画のように、一瞬の景観を切り取りとどめるものかもしれない。
 
一方で「5年先、10年先の庭木の姿と庭園全体の調和を想像しながら剪定します」ともあるように、わずかな生長は計算に入れているのだろうが、絵画そのものを変化させてはいけないのだ。
なんだか、造園と森林の美の違いのようなものを感じた。
 
 
私が最近関心を抱いているのは、エルフガーデンだ。これは自然風花壇と訳すようだが、ようは自然景観のように仕立てる庭である。つくられた景観ではなく、自然景観に似せて造る。
 
具体的な条件には、
多様な種類の植物の植栽。
不規則な配置。
風にそよぐ植物の配置。
イネ科・カヤツリグサ科などの観賞用の草類。
実生で生える植物の自然な配置
支柱の必要な植物(とくに花など)は配置しない。
一年草より多年草
 
デザイン的には、より複雑になる。たとえば……
花よりも葉の形や色、質感などを重視する
一度に多くの植物が視野に入るデザイン
鑑賞期間の違う植物を組み合わせて、季節の変化を感じられるようにする。
裸地部分を極力減らす
結果的に、管理が楽になって除草期間も集中せずに労働を分散化されるそうだ。
 
なんだかんだ言っても自然そのものではなく人が計算して景観を作り出すのは変わりないが、少なくても時間を止めるのではなく、変化することを景観に取り込んだ庭園だ。
見た目も「写実主義の絵画」ではなく「田園の里山風」にするのだろう。もっとも絵画にだってバビルゾン派のような里山景観を喜んで描くものもあるが……。
 
もっとも、私もまだエルフガーデンについてはよくわかっていない。ただ庭園美の新潮流ではないか、という気がしている。
 
戦前、林業芸術論という論争があって、林業は芸術になるか、造園とは違うか、なんてことが議論されたのだが、ふと造園の世界でも美の変遷があるのではないか、と思った次第。

2017/04/19

イブキかスギか

春日山にある水谷(みずや)神社は春日大社の摂社で、祭神は、スサノオノミコトやクシイナダヒメノミコト、オオクニヌシノミコトなどで、疫病や難病を祓い病魔退散の神様。

 
が、気になるのは小さなお堂の横の巨大な樹木だ。
 
6
 
これ、イブキ(ピャクシン)とある。 幹周が4,86メートル、樹高16メートルだそうだ。
だが、これを角度を変えてみると、
 
5  
 
イブキは空洞になって、その中に別の木が生えている。これはスギだ。こちらもかなりの太さ。もっとも先端は伐られている。どちらが生きているやら。あるいとどちらも枯れているのか。
 
ともあれスギの幹をイブキの幹が覆っているようになっている。このイブキとスギは古くから「水谷神社の宿生木(やどりぎ)」と呼ばれているそうだ。
 
以前紹介したが、春日大社の境内に近い、国立奈良美術館の裏手には、ムクロジの木からタケが生えているものがある。これも空洞からタケが伸びたのだろう。
 
1
 
なんだか、異種融合が目立つ奈良公園(^o^)。探さばもっとある予感がある。きっと春日大社の祭神は異種結合が好きなんだな。
春日大社のホームページによると、
 
祭神である武甕槌命様・経津主命様は、日本の国を秩序ある国にするためにあらゆる神々と交渉され、平和裡に治められた功績ある神様であります。また天児屋根命様は神事と政治を守り導かれる神様として、比売神様は天照大御神様だとも天児屋根命様の妃神とも伝えられています。
 
そう、いずれも愛と平和の神様なのだ。
 

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