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森林学・モノローグ

2017/09/21

ノルウェー人の幸福

「世界幸福度報告書2017」によると、今年の幸福度ランキングのトップはノルウェーだった。
 
これは国連と米コロンビア大学地球研究所が155カ国を対象に、1人当たりのGDPや健康寿命、困難時に信頼できる人がいるかどうか、政府や企業における汚職からの自由度……などを手掛かりに幸福度を調査するもの。
 
幸福度というのはかなり相関的なものだから図るのは簡単ではない。このランキングでは97位で最貧国の部類に入るブータンが「幸福の国」と謳っているのもそれなりの意味がある。とはいえ、経済的な豊かさだけが国民の幸福にはつながらないことを示している。ちなみに日本は51位だった。OECD先進国では最低位である。
 
 
今日の朝日新聞のオピニオンページに、駐日ノルウェー大使(アーリン・リーメスタ氏)が、寄稿している。
 
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ノルウェーは、日本とほぼ同じ面積で緯度も近い(気候は、かなり日本より寒いが)。そして連想するのがヴァイキングにサバだったりサーモンだったりするように、海の国だ。北海油田もあるけれど。
 
ただ人口は圧倒的に少ない。約526万人である。だから日本のような手厚いサービスはない。一方で、物価は高く不便さをよしとしている。それゆえか労働生産性は高い。そして利益を将来の世代に投資する方針が根付いている。
 
だが、私が注目したいのは、そこじゃない。この記事の最後を読んでほしい。
 
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ノルウェー人が幸せな秘密は、「誰でも私有地を自由に通行でき、自然を享受できるのです
 
これは、北欧にある万人権の考え方だ。自然のある私有地とは、主に森林地帯である。だから森の自由権とか森林立入権、自然享受権という訳語もある。ノルウェーでは海浜なども含むのだろう。自然と親しむ権利があり、その権利を存分に行使していることが幸福だというわけだ。それを国を代表する人が語る。
 
日本でも、その気になれば触れられる自然はある(法的な根拠はないにせよ)が、それに触れたいと思わない、触れても幸せを感じない人が多いのだろう。

2017/09/16

紅葉の兆し

台風が来ちゃいましたが、私の訪れた大台ヶ原はよく晴れていました。

せっかく歩いたのに、まったく触れないのもナンなので、こんな写真を紹介。
 
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西大台のナゴヤ谷にあったカエデ。ハウチワカエデだろうか……そのひと枝だけが紅葉しかけていた。
 
同じ木なのに、なぜここだけ? 何か冷たい風の通り道だったのだろうか。案外、虫にかじられて色が変わったのか(笑)。
 
ともあれ、標高1500メートル地帯の大台ヶ原は、一足早く秋の紅葉が始まっているようである。
 
 
そのカエデの真下なのだが……。
 
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これ、トリカブトだ\(^o^)/。思わず持ち帰りたくなる、猛毒草である。(持って帰ってどうするかって?)
 
葉も花も茎も根も、みんな毒があるトリカブトがわりとアチコチに生えているのであった。

2017/09/15

大台ヶ原を下りて見たもの

今日は、大台ヶ原の主に東大台を歩いた。こちらはポピュラーなルートと景観なので知っている人も多いだろう。

なので、割愛(~_~;)。
 
しかし、二日続けて西大台、東大台と歩いたので、さすがに疲れた。帰り道の大台ヶ原ドライブウェイを走っていると眠気が出る。こりゃイカンと選んだのが、上北山村の小処温泉へ下りる道。
 
チョー急坂を下りて、たどりついたのが小処温泉で、ここでしばし湯の中で寝る(^o^)。
火照って、目が覚めたので温泉を出たのだが、温泉の目の前の小屋にミツバチの巣が設えてあった。
 
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わりとミツバチがたくさん飛んでいるじゃないか。ちょっと季節外れぽい。ニホンミツバチのようだが……。
なんか様子がおかしい。そこでじっと目を凝らしてみると。
 
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おっ、スズメバチが来襲していた。それに対してミツバチが防御行動を取っていたのだ。
 
スズメバチがホバリングしながら突撃を繰り返し、その旅にミツバチが捨て身の戦いを挑む。決死の熱団子作戦を取るのか……。
 
私も初めてだ。スズメバチがミツバチの巣を襲う話や、襲った後は見たことがあったが、まさに進行中のシーンをとるのは。ちょっと興奮?感激しつつ観察する。
 
もちろん、私は安全な車の中で見ていたのである(^o^)。

2017/09/03

恐怖のスズメバチ?

昼間、仕事場に不意に虫の羽音がした。

 
視線を上げると、巨大ハチが家の中を飛んでいる!
 
ス、スズメバチ?
 
椅子から飛び降りて弾かれるように逃げる。どこから入ってきたんだ。
 
幸い、手の届くところに殺虫剤があった。手さぐりのようにスプレーを握って噴射。
 
逃げ回るが、今度はこちらから追いかけて噴射を続ける。攻守逆転。
 
だが、カーテンの向こう側に逃げ込まれた。となると、カーテン越しにも噴射。この際、手加減はしない。
 
そのうち見えなくなった。下に落ちたか?
 
恐る恐るカーテンをめくって探す。家具の向こう側に入りこんだかな。 遺体を見つけられないのはイマイチ心配だが、直接 殺虫剤の噴霧が当たってるから、まず大丈夫だろう。
 
 
その場は、それで安心して済ませた。
 
で、夜。何か気配を感じて、天井を見ると、また飛んでいる!!! どう見てもスズメバチだ。
思わず悲鳴が出たよ。 
 
反射的に殺虫剤のスプレーを握って、また噴射(笑)。
今度も直接当てた。さすがに落ちた。今度は部屋の真ん中だ。グルグル羽を震わせて回っている。そこにも容赦なく、噴射。動かなくなるまで念入りに殺虫際漬けにする。
 
いやはや、スズメバチの恐怖は、直接目の前にしてわかるもんだ。
 
死んでしまうと、丸まって小さくなってしまった?が、それでも2センチ弱はあるかな。種類はわからない。腹は太いが、黄色い部分がほとんと見えないからクロスズメバチ?とか思うが、自信はない。
 
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ちょうど読み始めた小説『ブラック・、アゲート』は、新種の人間に寄生するアゲート蜂によるパニック小説(と思う。まだ読み終えていない)だから、ハチには敏感になる(笑)。
新種でなくても、今後気象変動や外来移入で、意外な昆虫や動物が大発生したり人間に襲いかかる可能性はあるんだろうなあ。

2017/09/02

一晩で全部咲く……

伊勢から帰って来た。

 
なかなか収穫多い旅だった。もちろん伊勢神宮の内宮・外宮ともも参拝したし(正式参拝~御垣内参拝だよ!)、講演に関してもいろいろな人に会えて面白かった。
道中にお会いした人もいれば、一人ふらふらと見て回ったものもある。
 
それぞれ、機会があれば紹介したいと思うが、今夜は帰宅してもっともショックだったことを紹介したい。
 
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これ、家を出る際に玄関に置いてある月下美人。花のつぼみが10幾つも膨らんでいた。今年は豊作?だ。ベランダの月下美人も4つ5つとつぼみをつけていた。これは、もうすぐ咲くな。。。こんなにたくさん一斉に開花したら壮観だろうな。。。
そう思って家を出たのだ。
 
帰って来た。
 
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全部、しぼんでいた……。昨晩全部咲いたのか(泣)。。。。
私がたった一晩家を空けた日に咲くなんて。
 
こんなにたくさんのつぼみが同じ日に全部咲いたのだ。鉢が違うものまで。日本の月下美人は全部栄養生殖で増えているからDNAが一緒と言われているが、そのせいかね?
 
それにしても悔しい。。

2017/08/29

教えないよ

某大学のゼミ生から、林業をテーマに取り上げるので教えてください、という依頼がきた。

その後、多少のドタバタはあったのだが、昨日5人のゼミ生と面会。
 
彼らは、経済学部の環境関係のゼミの中で林業をテーマにしたのだという。最初は、日本林業を救うかもしれないCLTについて……という依頼だった。
私は学生に対しては優しい。中学生から大学生、院生まで請われればお会いすることを厭わない。ただ、対応も手加減をしません。
 
 
今回の私の対応といえば……。
 
なぜ林業を選んだの?
なぜ林業を振興しなくちゃいけないの?
なぜ林業を振興したら生物多様性が保たれるの?
なぜ木材が売れたら林業振興になるの?
なぜ木材を使わなくてはならないの?
なぜ、なぜ、なぜ……なのであった(笑)。
 
ようするに、私が質問をしたのであって、何も教えない、何も答えない(笑)。
 
もちろん「なぜ」だけではない。
 
「「何が問題?」「木材の何がいい?」「こうしたら……どうなる?」「どうしたらいい?」「どちらがいい?」「結局、どんな状態にしたいの?」なんてのもあった\(^o^)/。
 
学生がどの程度勉強してきたのかの確認の意味もあるが、「考えなさい」ということだ。
私が何らかの意見を言って、それをそのまま写して「わかりました」「レポートできました!」となっては困る。自分で考えて自分なりの意見を持たねば意味がない。
ゼミナールって、答探しではなく、答の探し方の勉強みたいなものだ。
 
それなりに事例や事実関係はお伝えしますよ。こんなこともあった。こんな考え方もある。それを実行した人はこうなった。こんな方法を取っている林業家もいる。。。。あくまで事例。全体に通じる方策ではない。
 
 
実は質問の根幹はシンプルで、求めている理想の状態は何か。現在はどんな状態と感じているか。現在を理想に近づけるには何が必要か。今から何をすべきか。という枠組で尋ねているだけである。
 
加えるとしたら、その舞台(シチュエーション)は林業だけなのか、ほかの産業も含めた経済なのか、地域経済なのか、日本経済なのか。いやいや経済だけでなく社会全体なのか。あるいは森林環境だけなのか、地域環境なのか、日本全体、もっと地球環境まで考えるのか……という広がりかな。
 
とりあえず考えて考えて考え抜いてもらおう(⌒ー⌒)。
 
教えないよ。
 
なぜって、私も正解を知らないから(^^ゞ。
教えられることなんぞないのだ。
 
 
それが回答かもしれない。ゼミ生だけでなく、林業界に対しても。画一的な行政の指導に唯々諾々と従うのか、補助金に合わせて仕事を選んでいいの?
 
自分を取り巻く条件をよく見極めて、どうしたいのか心の声をよく聞いて、よくよく考えてもっとも適切な方法を選ぶ。それしかないじゃないか。
 
 

2017/08/26

多肉植物の生命力

昔から多肉植物(カクタス)が好きだ。

 
なぜって、強くてなかなか枯れないから(笑)。実は世話を忘れがちなので、普通の鉢植え植物だと枯らしてしまいがちなのだ。その点、多肉植物は、少々放置してもたくましい。ま、たまにサボテンでも枯らしてしまうが……。オイ
 
現在、ベランダにゲッカビジンと、フチベンケイ(カゲツ)、そしてセイロンベンケイソウ(ハカラメ)がある。
 
どんどん生長するので、たまには剪定?する。伸びすぎた部分を切り取るのだ。
でも、切り取った部分を捨てるのは忍びがたくて、プランターにそのまま置いておく。すると、それが根付いたりする。
 
Photo セイロンベンケイソウ。
 
ハカラメ(葉から芽)というだけあって、ちぎった葉っぱを置いておけば、そこからまた芽が出て伸びだした。
 
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こちらもベンケイソウの仲間であるフチベンケイ。カゲツ、カネノナルキという和名?別名?愛称?もある。これも、切り取った葉っぱを土の上にいておくと根付いて新たな葉が広がりだした。
 
Photo_3 ゲッカビジン。
 
これはクジャクサボテンの仲間。月下美人の名のとおり、夜に花を咲かせる。
むしった葉を置いておくと、根付いてしまった。そして、なんとつぼみを付けているではないか。小さいが、花開くだろうか。
気になるのか、ウサギとクマが見守っているが……。
 
 
なぜ多肉植物は、強いのだろう。単に葉が分厚いので水分を溜められる……だけでは説明がつかないと思うのだが。葉や茎の細胞が活性化しやすく、すぐに分裂して根をつくれるのだろうか。根ができたら水分・養分を吸い上げて発芽もできるだろう。
生長も比較的早い。一体、その力はどこから湧いてくるのか。
 
 
そういや、樹木も萌芽の出せる種と出せない種がある。種別ではないのかもしれない。スギの中でもウラスギと呼ぶ品種は、切株から萌芽を出せる。オモテスギにはその能力はない。同種なのに、この差はどこでつくのだろう。どんな植物でも、人為的に萌芽を出せる能力を発現させることもできたら面白いのたが。
 
(多分、研究されているのだろうけど、調べる元気が湧かない(~_~;)。)
 
 
弱点と言えば、寒さに弱いこどぐらいだろうが、種類によっては野外で冬を越せるようなものもある。我が家にあるものはそうでないが。
でも、すべての多肉植物を冬になったら室内に入れるのは無理なのだよ。。。。
 

2017/08/22

虫の声から見た森林環境論

暑さがぶり返してきたが、ツクツクボウシの鳴き声を聞いた。季節はやはり進んでいたか。

 
そこで森の中を久しぶりに歩いてみた。当然、暑いし、緑がギシギシと取り囲むように伸びてきているように感じて、少々恐れを感じる。
  
そんな中で虫の声のシャワーを浴びた。
 
夏の終わりはとくに虫の声が激しい気がする。セミを始めとして、バッタも見かける。秋の虫も増えてきたのだろうか。
 
Photo_2  Photo
 
この虫の声、デシベル単位で表示したら、どれほどの音量だろう。結構な騒音レベルではないか。そもそも人が聞き取れるのは20~30キロヘルツ間だというが、そこから外れた低周波・高周波の鳴き声もあるだろう。
 
森の環境とは、こうした音も入っている。緑の色や草の匂い、など視覚、嗅覚はよく指摘されるが、聴覚も忘れてはならない。音には風の音、動物の鳴き声などもあるだろうが、虫の声はバカにならないはずだ。
 
そんな音響、虫の声から森を見たらどうなるか。
 
低周波の森、高周波の森、なんてのもあるかもしれない。季節によっても変わるし、気象や生息する虫の酒類でも変わるのではないか。熱帯雨林と日本の森の違いとか、針葉樹林と広葉樹林ではどう違うか、アマゾンとアフリカの森の違いは何かとか。
 
 
こんな点を誰か研究していないのだろうか。
 
熱帯雨林では、100キロヘルツ以上の高周波音がかなり強いという観測結果が出ているそうだ。間の耳には聞こえないが、熱帯雨林の中、もしくは周辺で暮らせば、常に浴びていることになる。
音源ははっきりしないが、虫の声ではないか、と推測されている。高周波を浴びることが「森の心地よさ」に結びつく可能性だってあるかもしれん。
 
 
が、虫の声を聞いても、あんまり嫌な気持ちにならない。むしろ時折車やバイクの排気音が聞こえると気持ちをかき乱される。また電車の音も聞こえるが、自動車ほどではないにしろ、何か違和感がある。
 
よく「虫の声を心地よく感じるのは日本人だけ」という俗説?があるが、怪しい。今どきの「日本スゴイ」の走りだろう。虫の声を好む外国人だっているはずだ。
 
森林環境の研究はいろいろな角度から行われているが、音響から、とくに虫の声から研究したら生命の世界がまた違って見えるかもしれない。

2017/08/17

NHK「超巨大杉伝説」

一昨日のNHKの大捜索ドキュメントと名打った「屋久島 超巨大杉伝説」を見ただろうか。

 
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屋久島で、縄文杉を超える大きさのスギを探す、という番組だ。
放映済みだからネタバレで記すと、結局、太さは12メートル43センチで縄文杉に次ぐ2番、高さは45メートルとナンバーワンのスギを発見した。場所は、これまで人が入れなかった人跡未踏の谷。あまりに急峻なので、誰も近づけなかった一角だ。それを天空谷と名付けたのだが、そこで発見したから巨大杉は「天空杉」と名付けられた。
 
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ほかにも、これまでに記録のない巨大杉を何本も発見したようだ。そして、その裏では、航測技術を駆使して、空からレーザー探査して巨大な木のあるところを割りだす、という掟破り? いや現代的な手法も用いている。
 
 
それなりに楽しく見た。実際、太さはもう一歩だったにしろ、幻の巨大杉を発見したのだから結構なことだ。ただ番組になる前に、この発見は世間に伝えられなかったのだろうか。太さが2番ということでベタ記事ぐらいになったのか。
 
 
ところで私は以前に、別の巨樹捜索をしている人から「すでに縄文杉を超える杉は見つかっている」と聞いていたのだった。
しかも、その杉は、意外や人里近くにあるらしい。某屋久島の写真集に、うっかり杉のある地域の森が載ってしまった……とまで聞かされた。
 
それでも、世間に発表すると大騒ぎになるし、縄文杉が弱っているから、今は隠しておこうということになったのだそうだ。
 
ま、こちらの話が幻だったと言えばそれまでだが、今回はそういう噂は一切触れていない。あくまで人跡未踏の土地なのだ。その方がドラマになるしv(^0^)。
 
巨樹、巨木、大木というのは、その存在の有る無しも含めて、人々の気持ちを引きつける。一方で、そんな大木を伐ってみたいという欲望も渦巻く。実は、そんなことをテーマの原稿を書いたばかりだ。大木というのは、存在してほしい、守りたい、そして伐りたいという3段論法で成り立っているのだ。

2017/08/15

かつて「砲台山」があった

終戦の日だからというわけではないが、最近思い出して気になっている所がある。

 
私が中学・高校時代を過ごした北九州市門司区のことだ。
 
私は生涯で初めての引っ越しをして、門司区のもっとも端に位置する町に住んだ。北九州市は100万人都市だったが、当時の第一印象は田舎町だった。家は小高い丘の上にあり、関門海峡を見下ろすことができた。まだ関門橋は完成していなかったが、海峡を行き来するたくさんの船を毎日見ていた。今思えば、「コクリコ坂」の世界と似ている。
 
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関門海峡。住んでいたのは地図の「手向山公園」の右隣の緑地辺り。
 
一方、国鉄も走っていて、蒸気機関車が何十台と集結していた。なんだ、消えるSLと騒がれたが、こんなにあるじゃないか、と思った記憶がある。毎日SLが見放題。近づくこともできた。もっとも鉄ちゃん趣味は私にはないので、さほど嬉しくもない。それは九州中のSLが最後に集まってきていたからであり、その後一斉に姿を消すのだけど。
 
さて、住んだ家は、すぐ横が森になっていて、そこから山になってきた。
住みだして何カ月経ってからか、意を決して森に分け入った。道はない中を登りだしたのだ。これこそ、現在の生駒の森歩きのスタイルの原点だ。ブッシュをかき分け、木と木の間をがむしゃらに登るのだ。
もちろん急坂もあれは窪地もある。手を地面につくこともあったが、ひたすら登る。すると、急に視界が開けた。光が射し込んで、森から道の一角に出たことに気づいた。
 
地道だったと思うが、わりと幅はあったように記憶する。そこからは起伏のある草原だった。その頂上部分に浄水施設が設けられていたから、そこへ行くための道だったのだろう。
 
森から出て草原を歩くのは異世界のような気分だったが、眺めはよかった。そのうちに妙な工作物があることに気づいた。上部は土に埋もれているのだが、レンガを積んだ地下式の建物が3つほど並んでいたのだ。中に入ると、湿った空気の匂いがしたが、ガランドウだった。それは倉庫……というより弾薬庫だったらしい。
 
その後徐々にわかってきたが、この山には陸軍の陣地があって、砲台が備えつけられていたのだ。なるほど、関門海峡に侵入する敵船を監視して、攻撃するのにはもってこいの場所なのだ。おそらく明治時代につくられたのだろう。
だから地元の人は「砲台山」と呼んでいた。
 
その後、砲台跡も発見した。大宝は撤去されているが、砲台を設置した丸い陣地があったのだ。その下に何かあると睨んだ私は、スコップを持って行って掘った。すると砲台跡の下にはちゃんと陣地があった。ここで大砲への砲弾込めをやっていたのだろう。
そんな空間は、中学生の私と友達の間では、まさに秘密基地だった。
 
当時、写真を撮っていたら貴重だったのだが、どうも撮影した記憶がない。ネットで調べてみたら、同じ門司区でも先端部の和布刈砲台跡の写真を見つけた。
 
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弾薬庫はこんな感じだ。もっとも私の見たのは石組みではなく壁か全部レンガだったと思う。しかも整備されず放置状態だから、もう少し荒れた雰囲気だった。
 
そのことを思い出したので、ネットで確認できないかと見てみた。
 
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……なんにも見えない。というより、草原だった部分もみんな森になってしまっている。逆に、私が道なき道を登った部分は宅地造成されて家が建っているよ。
わずかに浄水場の上が草原のままだが。もはや弾薬庫も砲台跡も撤去されてしまったのだろうか。。。戦争遺跡としても貴重だったと思うのだが。
 
なんと、思い出からの戦跡探しから、植生遷移を確認してしまったのだった。

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森と林業と田舎