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森と林業の本

2024/12/04

日本環境法律家連盟とメガソーラー

先日、奈良県平群町で、日本環境法律家連盟(JELF)の会合、視察が開かれた。この地が、現在裁判が進行中の平群メガソーラー建設の舞台だからである。

この連盟は、日本の環境問題に取り組む弁護士の集まりで、全国各地で環境問題関係の裁判を取り扱っている。今回も東京もいうに及ばず北海道や沖縄の問題まで扱っている人たちが参加していた。ホームページより引用すると

JELFは環境保全の観点から訴訟などを通じて無駄な公共投資による環境破壊を食い止めようと活動しています。例えば、長崎県諫早湾の干拓事業、沖縄県辺野古基地、リニア新幹線開発など、大規模開発による自然破壊に対し法律家の立場から反対運動を進めています。

また、自然生態系の保全はJELFにとって重要な課題のひとつです。アマミノクロウサギを原告とする訴訟や、エゾナキウサギ、シマフクロウを守る裁判を行ってきました。

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私は、後ろでそっと見守る(^^;)。

平群問題は、私も常々記事にしてきたので、現在の状況を紹介しておこう。

今回起こしている裁判は、正確には二つに分かれるのだが、原告は業者だけでなく奈良県相手の行政裁判もある。むしろ現状では行政裁判が主になっており、県の出した許可の執行停止を求めている。

途中裁判官の交代もあったのだが、現在の裁判官は、建設現場の視察(現地進行協議と呼ぶのだそう)まで行った。そして来年1月14日に結審することまで決まった。ということは3~4月には判決が出るだろう。

ともかく、今も工事が進んでいるので、長引けば長引くほど建設は進んでしまう。現在は調整池の建設だから、災害防止につながる作業だが、盛土をしてソーラーパネルの設置が始まると止める意味がなくなる。

私からすれば、すでに森林伐採は終わり、調整池建設にかこつけて随分地肌を削っているのが見えるから、もはや環境的には破壊し尽くしているんだよな。

弁護士の方針や判決の行方はともかく、行政が一度許可認可を出したら、いかに引っ込めるのに抵抗するのかよくわかる。そして取り返しがつかなくなることも。罰則もあるのかないのか。業者がすっぽかせば終わってしまう。

おそらくこれは、盗伐問題でも一緒で、違反行為があっても、伐採してしまったらコッチのもんという業者側の発想がなぜ持てるのか理解できるようになった。

実は、平群から南に下った香芝市では、万葉集でも知られる景勝地・二上山に巨大な産廃施設が建設中で、こちらも問題になっている。

だが同じく地元自治体の認可を受けているし、今のところ違反行為も見つかっていないというから止める手立てがない。すでに巨大な土のピラミッドが造成されてしまった。

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法的に環境破壊を止めるのは、極めて難しいことを痛感する。

 

 

2024/11/29

見飽きた?ハニワから森を考える

先日、東京に行ったときに空き時間が2,3時間あった。どこか寄るとこはないかと調べたら、国立博物館で「ハニワ展」をしていた。

ただ行く気にならなかったのは、東京でハニワを見るのはねえ~と感じたから。だって、地元でハニワ見飽きるほど見ているもの。

実は昨日行ったのは明日香村だけではなく、天理の「なら歴史芸術文化村」。ここは文化財の修復現場を見学できるという希有な施設で,それ自体が面白いのだが、現在はそれとは別に「和邇地域の古墳と和邇氏」に関する展示も行っていた。和邇はワニと読む、奈良の北東部(現天理市辺り)地域で、そこに一時は大和王権と張り合っていた和邇氏の古墳発掘物、修復物を展示していたのだ。このワニ氏は、古代の林業・木材産業を一手に引き受けた一族らしく、その点でも面白いのだが……。

それが、まあ、ハニワだらけ(^^;)。

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ほとんど触れる状態で展示している。触っちゃいけないけど。見どころはいっぱいだが、家形埴輪も多く、その中には間取りを説明しているものも。ちゃんと玄関の形を描き、さらに中にはミニチュア土器が並んで生活を営んでいた様子を再現している。

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かなり興奮する代物であった。(もう一つ、木材関係の資料もいただいて、これがなかなか……興奮、コーフン、古墳(笑)

ちなみに、奈良県内には歴史系の資料館はたくさんある。明日香村も多いが、全域に古墳や土器、埴輪を展示しているところは10ぐらいあるのではないか。

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これは橿原考古学研究所部族博物館で、巨大円筒から動物、人物など、もうハニワのオンパレード。

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県内で出土したものばかりではなく、これら国宝級なのは、天理参考館にある。多分、東京にも貸し出しているのではないか。

奈良県内だけでなく、県境を超えた大阪にもあるし。

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これは大阪府近つ飛鳥博物館。

思えば、ハニワとは、ほぼ土をこねて焼いたもの。焼成するには莫大な燃料が必要で、樹木を伐って燃やせる森林資源が必要だった。都には宮殿など建造物だけでなく、人口が多いゆえの煮炊き・暖房の燃料も求められる。森林がないと維持できなかったのである。

ハニワが破壊した森林……なんてテーマの研究はないかなあ。

 

2024/11/18

スター・ウォーズに学ぶ甘美な暗黒感情

ロシアがウクライナ侵攻し、イスラエルのガザ虐殺が進み、アメリカ大統領選挙でトランプ元大統領が返り咲いた頃から、脳裏に浮かぶのは「スター・ウォーズ」だった。とくにエピソード3が。

それが昨夜の兵庫県知事選でまた強まった。

「スター・ウォーズ」のエピソード1、2では、銀河系の星々は、とりあえず銀河共和国を形成してジェダイの騎士が秩序を保っていたが、徐々に議会が機能しない状況に陥る中で、とうとうエピソード3でシス暗黒卿が全権を握り帝国化する。そうした状況を、なんとなく昨今の世界情勢をそれと重ねていたのだ。

「スター・ウォーズ」シリーズは、その後エピソード4(第1作)でジェダイがもどってきて共和国の復活が見られたが、エピソード5でまた帝国の逆襲になり、6で再び引っくり返す……と続く。新シリーズの7、8、9はどうでもよいが、その世界はやはり帝国が支配していて、それに抗う人々の姿を描いている。最終回、結局どうなったのか覚えていないのだが……(つまらなかった印象しかない)。

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ようするにスター・ウォーズの世界観は、暗黒帝国側が強いのだ。“自由と平和”を願うジェダイなどは、それに抗い局地戦では勝つが、完全に勝利しないのである。

思えば映画の中だけでなく、ダークサイドな感情の方が強い。穏やかで温かな感情よりも、攻撃的で刺激的な感情は甘美な魅力に満ちている。ポリポリコレ正義とか面倒な民主主義とか、細かな手続きを無視して力で解決するマッチョさは、人々の隠れた欲望を満たしてくれる。それが領土欲、支配欲、そして差別的であっても嫌なものは嫌、強いものが正義、既成を体制を力でぶっ飛ばすことの快感である。
意識高い系への嫌悪、反知性主義など、この感覚を示す言葉はいろいろあるが、「理屈抜き」に快楽を感じさせる手法に抗えない。

一度心の中で刺激的な快感に目覚めると、なかなか拭いがたい。それは薬物依存症とよく似ている。理屈ではイケナイとわかっていても止められない。薬物を接種した一瞬だけの快楽に囚われる。誰も必要としていなくても、伐採時の快楽を味わいたいという理由だけで伐採量が増えていくことだってあるだろう。

まあ、私もたまにそんな概念に囚われる……。

林業関係の補助金を即座になくせ! 
盗伐業者の家を焼討しろ!
生物多様性の破壊者は抹殺!
1年以内にカーボンニュートラルを実現しろ!
裏金もらった政治家は市民権を停止しろ!
フェイクニュースを流した奴に巨額の罰金を!

とまあ、次々に思いつく。暗い感情は平和な気持ちより根強い。

林業に当てはめると、人々が必要とする木材を生産する産業とはいえ、1本の木を伐るときに、その樹木の痛みを感じるだろうか。森への影響を感じているだろうか。それとも木を伐って倒した瞬間の地響きが好き、森を破壊することが楽しい……という発想で林業をやるのか。
前者ならよいが、えてして後者の人も少なくないように思える。破壊願望というダークサイドに囚われると恐ろしい。

 

 

 

2024/11/17

古墳の植生遷移

近頃、なぜか古墳巡りをしているのだが、そこで見かけた風景。

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山辺の道に面した天理の某古墳の頂上から。こんなに眺めがいいなんて。大和三山が見えるだけでぐて、奈良盆地が見渡せる。それが、あまり古代と変わらないような景観なのだ。古墳の上に登ることができるのも素敵なのだが。

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そこで気になったのだが、古墳に生えているのがチャノキであること。不思議に思って聞いてみると、草刈りが面倒なので除草剤を撒いているとのこと。すると、草は枯れるがチャノキはよく育つ。植えたわけではなく、自生している。ここから茶を収穫できるそうだ。

ほかにも果樹園になっている古墳もあったし、畑が耕されているところもあった。

ここで古墳の植生の遷移について考えてみる。

天皇陵などには石が敷きつめられていたはずだ。造成した時点では、エジプトのピラミッドばりに、巨大な石造建造物だったのだ。
ところが日本は湿潤温暖なために植物が生えて、さらに古墳の管理がされなくなった(つまり古墳時代が終わった)頃から生え放題に草木が繁ったらしい。今では古墳と聞けば、こんもり木々の繁った景色が当たり前になった。

ところが周辺の農民は、古墳イコール聖なる墓という知識が薄まると、古墳も農地に変えられていく。少しでも農地を増やしたいからだ。環濠のある古墳なら、ため池代わりに水も得られるし。
戦国時代は、古墳を砦に改造することも多かったという。その際に盛り上がりを削ったから、もしかしたら石室を破壊したかもしれない。

古墳は墓なのだ聖なる地なのだと再認識したのは、実は明治時代以降である。天皇制の強化のため、古墳を陵墓として指定して立入禁止にしたからだ。

結果、人が入ることを禁止したり、耕作など利用も禁止された。すると、そこにまた草木が繁りだす。ただ民有地になっていた古墳は、相変わらず人の手が入り続けた。

……このように変遷を考えると、古墳の植生とは何が原点なのかと決めるのは意外と新しい。

 

2024/11/10

高知の鰹はどこから来る?

高知県の四万十市に来ている。

案の定というか、前夜は飲み会(^-^;

そして出るのは鰹のタタキ。定番です。

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そこで言われたのが、「高知市の鰹は不味い」だった。実際に高知市の人が四万十市に来ると、魚は高知県の西と東は違うというそうだ。そして「鰹漁船は漁獲を東京で下ろし、それを高知市までトラックで運ぶ」そう。

高知県ではコマセ、餌が手に入らないからだ。

うーん、この流通は………。

ところで幡多やまもりフェスに野外舞台に登壇。半分二日酔いながら、よく話しました。

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2024/11/09

石仏の植物化

久々に地元の宝山寺に参拝。

奥の院に向かう途中の石仏群には、誰がつくったのか、毛糸の帽子を被せられている。

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その帽子と襟巻き?も、長い年月とともに植物化が進む。赤色の中に緑が浸透するかのように。なかなかオシャレだ。

それに合わせて石仏の表情も変わってきた気がする。

そのうち仏様も木造化するような気がした。

2024/11/08

「イオンの森」の変遷

悪名高き?イオンの森。

イオン系列のショッピングセンターには、宮脇某氏の指導で森づくり(というほど大きなものではなく、敷地の緑化、街路樹か花壇か、という代物)が行われているが、無理やり照葉樹の苗を植えるなどして、上手く育たないケースが続出していた。

その定点観測。

「イオンの森」の1年後

さて、それから8年。改めて現状を報告する。

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1年目(2016年

ブッシュになってしまっていて、植えた苗より飛んできた種子から伸びたような草や落葉広葉樹の方がよく育っていた。

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これが今年2024年。植えて9年経つとこうなる?。

どのような世話をしたのか、植え替えもあったのかわからないが、よく育った樹林帯を作っていた。

自然の摂理に沿わないことをしても、年月が解決してくれるのかもしれない。林床を見ると、照葉樹と落葉樹がうまく重なって生えていた。遠回りはしたが、ともあれ育っている。

自然は下手にいじらない方がいいという証拠かもしれない。

 

 

2024/11/07

COP16中断、EUDR延期、再生可能エネルギーも……

あまり報道されていないが、コロンビアで開かれていた国連の生物多様性条約締結国会議(COP16)が中断した。なんと、参加国の数が足りなくなったからだという。長引きすぎて、多くの国が会議から離脱しちゃったのだね。それで休会。

Cop16

さらにヨーロッパの野心的な森林破壊防止規則EUDRも、施行は今年だったのだが、1年延期となった。あまりにチェックが厳しすぎて参加国の準備が間に合わなくなった?からかもしれない。

ほかにも電気自動車EVの普及速度が鈍化して、「もう内燃機関車は〇〇年以降は製造しない!」と宣言していたメーカーが漸減撤回したり……。
再生可能エネルギーも、伸びが止まっている。メガソーラー建設規制も始まったし、バイオマス燃料となる木質チップ製造の反対運動も起きている。

地球環境問題の解決をめざす施策の数々が、なかなかの逆風を受けている。

まあ、一つ一つ見ていけば、それなりの理由がある。COP16は、ようは基金の分配で揉めて会期が伸びすぎたからで、改めて仕切り直すことになったのであって、評価方法はほぼ決まりかけているし、DNA情報の扱いなども合意した。
EUDRのように「その国にとっては合法でも森林破壊してつくった商品は買わない」という規則に合わしたチェックは、ものすごく複雑だし、急ぎすぎると貿易摩擦を起こす。
EVも、今の性能やインフラなどの状況では、私も買う気にならない。そもそも本当に脱炭素になっているのか?
メガソーラーもバイオマス発電も、森林破壊を進めて逆にCO2増やすようなあり方は止めなくてはダメだ。

現状は、時代の進み方に対するリバウンドだろう。(私はアメリカのトランプ現象や、世界中で権威主義的リーダーの増加も、その一種だと見ている。)

結果的に地球環境がどうなるかは、まだまだ不確定だ。脱炭素に失敗して不可逆的な気候変動に突入する可能性は高いし、生物多様性も多くの種が知られないうちに消えていく。パンデミックも起きるし、飢餓、戦争も尽きない。

人類は失敗しないと前に進めないのだ。問題は、失敗をどこまで許容するか。もう一線を超えたかもしれない。

 

2024/11/03

上村淳之画伯の死

日本画家で文化勲章受章者の上村淳之さんが一昨日、死去していたことが報道された91歳。

日本画家の上村淳之さん死去 91歳 文化勲章受章者、花鳥画を追究

 日本画家、上村松篁(しょうこう)の長男として、京都市で生まれた。祖母は女性で初めて文化勲章を受章した上村松園。京都市立美術大(現・京都市立芸術大)日本画科を卒業、同大専攻科を修了した。

 父の松篁同様、一貫して表現の深化に努めてきたのが花鳥画だった。3万3000平方メートル超の広大な敷地を誇る自宅、唳禽(れいきん)荘でさまざまな種類の鳥を飼育し、繁殖に取り組み、鳥をモチーフにした作品を発表した。徹底した写生に基づきながらも精神性を大切にした。

実は、ずいぶん前だが、取材したことがある。お住まいは、奈良市なのだ。ただし、話は絵画のことではなく、野鳥のこと。正確にいえば、自宅を動物園並の施設で多くの鳥を飼育していることについて話を伺いに行った。そしてアトリエにも入れてもらったのである。

当時は、そんなに大層に感じていなかったが、今となっては貴重な体験だ。何羽いるのか、どんな種類がいるのか忘れてしまったが、ある鳥の卵の孵化をなし遂げた自慢話を聞いた。動物園でも成功していなかったのだ。卵は温め続けてはダメで、冷却期間も必要だとか、なかなか生物学的な話題を繰り広げた記憶がある。

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そう言えば平城宮跡の大極殿にも四神十二支の壁画を描いておられる。

絵画に関しては、日本画にはたいして興味がなかったので、「これ1枚描くのに、何日ぐらいかかるんですかあ」というとぼけた質問をした記憶もある。今は、上村さんの画集も持っているし、彼の松柏美術館も幾度か訪れている。その際にお見かけしたこともあった。挨拶しようと思ったが、取り巻きもいたので遠慮したのだが……。

そう言えば、昨年の1月何日か、ふらりと美術館を訪れたときに携帯が鳴り、それが病院から父の容態が悪化したことを告げるものだった。そして翌朝亡くなったのだった。

今年は、取材した方のほか、何かと縁者が亡くなった。3月には森林風致計画研究所の清水祐子さん。5月には森林研究・整備機構監事で建築家の鈴木直子さん。そして8月には川上村の辻谷達雄さん。

辻谷さんのお別れ会は、今月16日に開かれると聞いている。縁者が亡くなっても不義理を繰り返しているので、こちらには出席したい。

 

2024/11/01

ホクトの火事と廃菌床発電

10月30日の記事。

長野 上田 きのこ生産大手ホクトの工場で火災 消火活動続く 

きのこ生産大手「ホクト」工場火災 出火から約43時間で鎮火

上田市塩川にあるきのこ生産大手「ホクト」の上田第一きのこセンターから火が出ました。
消防車両30台あまりが出動し消火活動にあたっていますが鉄骨2階建ての工場1棟が燃えていて、出火からおよそ19時間になる現在も火は消し止められていません。

上田第一きのこセンターは、延べ床面積が2万70平方メートルで、ブナシメジを生産していて1日の出荷量はおよそ10トンにのぼるということです。

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なんで、こんな火事の記事を取り上げるかというと、キノコ栽培場には何時間も燃えるものがあるのだな、と思ったから。そもそも培地は、おが屑を使っているはずだが、その量はとてつもないのだ。1日に10トンのブナシメジを出荷できるということは、どさだけの培地があるだろう。単純にキノコの10倍の重さがあるとしたら100トンだ。それが1日分なのだから、全体では数百トン以上になるのではないか。一つの培地で何回転させるのか知らないが、そう長く使えないから廃棄量と新たな培地生産量は莫大なはずだ。

ホクトの工場の規模は相当なものだ。

実は三重県松阪市にBPTグループ(バイオマスパワーテクノロジーズ)という会社があって、バイオマス発電をしているという。そのうちの3号機が、ホクトの廃菌床(培地)を引き取って燃料にしているらしい。しかも、発電した電力は全部ホクトに売って、FITに頼らない経営をしているというのだ。出力がいくらかは確認していないが、ざっと年間数万トンの木質燃料が必要なはず。

なお、この会社の北角社長には、以前某所でお会いしたことがあるのだが、私はバイオマス発電の危険性や脱炭素に寄与しないのではないか、という質問を投げかけた。だが、小規模分散型の発電施設を展開しているということだ。(1号機、2号機は、いわゆる未利用材など木材を燃やしているそうである。)

なんでも能登半島の地震で出た廃材も引き受けているという。そもそもバイオマス発電所は、能登周辺にもある。ところが、どこも引き受けないそうだ。おそらくだが、燃料を木質ペレットなどに特化した施設にして、廃材を燃やせる構造になっていないのだろう。

バイオマス発電の効用は、東日本大震災の時も廃材処理が謳われた(そして、震災後にFITもできて、バイオマス発電所が各地にできる契機となった)のだが、現状では絵に描いた餅以上にならない。

燃焼効率とか自動運転を追求すると、木質ペレットおよびPKS(ヤシ殻)になるのである。いずれも輸入である。

せっかくだから、木質ペレット供給国ベトナムの状況を記した記事をリンクしておこう。

〈日本の再エネ支えるベトナム林業〉森林回復と両立させる意外な経営手法と、背後に潜む問題点

 

 

 

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