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森と林業と田舎の本

2022/01/25

石のカラト古墳の緑地

奈良では、新興住宅地でも散歩していると、すぐ古墳に出会うv(^0^)。

まあ、やたらめったらあるから。宅地造成する際も、さすがに壊せず緑地として残す。そこが公園となっている。

で、今回出会ったのは、奈良市の「石のカラト古墳」。

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上段が円墳、下段が方墳、つまり四角形の上に丸い盛り上がりというちょっと変わった形だ。だいたい古墳時代末期につくられた形式である。円墳の直径は9,2メートル、方墳の一辺は13,8メートルほど。8世紀始めの建造とされて、石室は凝灰岩15枚を使っているという。高松塚古墳と同じ形式だ。ここも、国の史跡指定を受けている。

内部は盗掘されていたが、漆塗りの柩があった模様。埋葬者は、おそらく奈良時代始めの貴族だろう。写真の上の吹き石は復元だが、土台は昔のまま。古墳とは元来こんな石づくりなんだよなあ。よく知られる前方後円墳のような木が繁っている状態はおかしいのだ。

ただ、私がふと気づいたのは、この緑地、公園と言ってもよいのだが、植えられている木にスギが多いのだ。

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これは不思議だ。花粉症もあるから住宅街の中にスギを植えるのは嫌われるだろうに。そもそも公園でスギの植林というのも珍しい。担当者の配慮不足なのか、あるいは深い意味があって? 単にスギ苗が安かったから……。

そういや近くに「いつか森になるカフェ」というのもあったな。。。森になるというより、森を切り拓いてつくられた新興住宅地なんだが。

ともあれ散歩しながら、歴史と公園の成り立ち、そして植生について考えることもできるのである。

 

2022/01/11

来年度予算案に脱炭素ファンドの設立

 来年度の予算案で、「脱炭素化事業支援機構(仮称)」なる株式会社が登場するらしい。つくるのは環境省。

ようするにファンドなのだが、「地球温暖化対策では、民間企業による脱炭素事業を後押しするため、新たなファンドを創設する。再生可能エネルギー導 入や森林保全、プラスチックのリサイクルなど温室効果ガスの削減につながる幅広いプロジェクトを出資により支援」とある。2050年までに温室効果ガス排出をゼロにする政府目標達成のため、環境相が認可する株式会社として設置するそうだ。

国が財政投融資の仕組みで200億円を出資し、さらに地域金融機関などからの出資や融資も集め、合計1000億円程度の事業規模にする。

これだけなら、ふ~ん、で済ますところなのだが、その中に「森林保全支援」項目も入っていたから、さてどんな事業を考えているのかと探ってみた。

すると……。

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「投資対象イメージ③」からちょっと抜き出すと、
■間伐や植林を実施し国内森林を保全。木材として、又は間伐材等をバイオマス燃料として販売。さらに、木材の廃材(建設廃材)も、バイオマスエネルギーとして供給。
■木材販売、間伐等、売電、さらに建設廃材の処理委託料や売電等により収益化。
■現状、投下資金の回収期間が長期で投資ハードルが高く、民間投資の実績が乏しい。
■自然資本としての森林保全に関心の高い建設業界・商社等からの出資が期待される。
■約7.5億円、温室効果ガス削減効果:年間約8,800 トン
■約210億円(林業成長産業化地域28地域に横展開)

まあ、ありきたりというか、とくに新しさのない事業イメージ。すでに数々の補助金があるのではないか。そもそも木材販売がまともに利益を生み出していない現実をどう変えるかのビジネスプランがない。あえて言えば「建設廃材の処理委託料」が新しい? でも、間伐が炭素固定に結びつくとか、バイオマス発電がカーボンニュートラルという嘘をそのまま採用されても困る。

ちなみに林野庁の予算案はどうなっているか。なかなか脱炭素項目が見つからなかった。

カーボンニュートラル実現に向けた国民運動展開対策」というのがあるのだが、中身は「エリートツリー等の成長の良い苗木の普及、森林空間利用の促進、建築物等での木材利用拡大の機運醸成、身近な木材利用やエシカル消費等を普及啓発する「木づかい運動」の促進等の取組を支援」と、どこが脱炭素なんだか。これまでの項目と一片たりとも変わらんではないか。
ただ補正の方に、ウッドショック対策が入っていた。木材供給の「ボトルネックといわれていた部分」である乾燥施設の能力向上などに関し、従来講じてきた加工施設の整備経費の支援を優先的に採択するとか……。ちなみにウッドショック自体は、すでに「木材自体は手に入るようになっている」としているのだから、なんのこっちゃ。価格が高止まりしているのは歓迎すべきではないか。

令和4年度予算案、それなりに目を向けておかないと、トンデモ予算が押し込められるかもよ。



2022/01/09

誤読の神様。またはバカの壁をやぶるアホの論理

私が書いた文章(しゃべったことも)が誤読・誤解されるのは、よくあることだ。これは私だけでなく、すべての文書、すべての発言は常に誤読と誤解にさらされている。それを私は覚悟している。

誤読をなくすのは不可能だと諦めている。だから、たいていの内容は無視するのだが、今回は驚いた。

太く育った木は生長を止めてCO2を吸収しなくなるので、伐って材木として使うのがよいと森林ジャーナリストの田中淳夫さんが『絶望の林業』で書いている……とTwitterで記されたからだ。偶然というか、『虚構の森』について誰かつぶやいていないかな、という気持ちでエゴサーチして発見した。

さすがに、これは誤読の枠を外れている。まったく正反対なのだ。『絶望の林業』ではバイオマス発電の項目などで、老木が生長しないという嘘や、木製品が炭素を溜めるから木を伐ってよいという発想のおかしさを指摘している。別の本と勘違いしたのかとも思うが、どこでどう解釈したのか。ちなみにこの点は、『虚構の森』ではたっぷり解説している。そもそも、この意見は林野庁の戯言である。まともな論理指向のできる理系人間ならすぐ見破れる嘘だが、何も疑問に思わぬ官僚の恐ろしさよ。

さすがにツイートは間違いを指摘して削除されたが、ちょっと心配になる。ここまで誤読することは珍しくないのでは……世の中には誤読の神様がいるらしい。人は自分の知りたい情報、思い込んでいる情報に合わせた内容を「読んだ」と理解するのか。

これは古くは養老孟司の「バカの壁」で指摘されたことで、最近では「正常性バイアス」とか「確証バイアス」などの心理学用語・脳科学用語で説明されることが増えた。いかに正しく伝えようと細かく説明しても(いや細かく説明すればするほど)、そんなややこしい部分は目に止めず、自分の知りたい内容に変換して理解したつもりでいてしまう。ネットでは特に多く、炎上も生み出す。

ある意味、論理性では解決しない。論理を振りかざせばかざすほど、無意識に拒否されかねない。人は根本的に論理に反感を持つのかもしれない。信じたくないものはフェイクとする。

むしろ感情的に伝えた方がよいのかな、とも思う。喜怒哀楽で、結果を誘導した方がマシ?

とはいえ、論理のない感情で意見が左右されるのも困る。

そこで相手の「バカの壁」に驚きという感情を励起する論理をぶつけて破壊することはできないか……そう考えたのが、「異論から考える環境問題」であり、書いたのが『虚構の森』(新泉社)である。でも、読まれないことには、どんな壁は揺さぶれないのである(> <;)。

やっぱりタイトルは、『バカの壁を破るアホの論理』とかにしておいた方がよかったか。面白そうという感情で、手にとる人もいるかもしれないから。

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写真は、平城京の貴族が履いていた靴。これで歩くと痛そうだ。本文とは関係ないけど、驚きを与えようかと思って……(笑)。

2022/01/04

2022年気になる記事

2022年始動しますか。

年末年始、新聞や雑誌、ネットにテレビでいろいろな情報に触れたが、その中で気になった記事。朝日新聞の元旦別刷から。

ケアと狩りから考える「わからなさ」ゆえの信頼 伊藤亜紗×角幡唯介

ネットでは有料になってしまって、ほとんど読む気が失せてしまうが、終盤にこんな部分がある。

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グリーランドのイヌイットによると、人間がカリブーを保護するため狩猟を禁止にしたところ、オオカミがカナダからグリーンランドに渡ってカリブーを食べ尽くしたというのだ。

カリブーが絶滅危機なのは以前より言われていたが、人間の狩猟のせいとされていた。が、どうも一筋縄には行かないようである。

ほかにも北極圏ではシロクマが増えているという研究報告があって、それをネタに地球温暖化を否定するというおバカな記事もあったが、温暖化が進めば沿岸部のアザラシにとっては餌が増え、シロクマの生息数も増えているのだ。考えてみれば、クマは陸地の動物なので、何も好んで氷の世界に住まなくてもいい。むしろシロクマが襲って海鳥類の減少が心配されている。

こちらも一筋縄ではいかないのである。

ほかにも世界中の都会では、野生動物の出没が増えてきたという記事もあった。(「朝日新聞 動物がいる日常に潜む陰」)
獣害列島ならぬ獣害の世界が大陸でも広がっている。

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ま、こんな記事を見つけては楽しんでいた大晦日と正月であった。

さて、今年はどんな年になりますやら。一筋縄では行かない世界を見つめていこう。

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こちらは私のインタビューが載った「世界日報」。まさか1面からの獣害特集なのである。

 

2021/12/24

イカペディアの正体は?

「イカゲーム」というのが流行っているそうだ。

Netflix (ネットフリックス の中のドラマらしいのだが、私は全然知らん。興味もない。ただ、韓国発らしく、この「イカ」とは何? と思った。で、ちょっと調べると、文字通りイカのことらしい。韓国でもイカはイカ。

そこで思い出したのが、イカペディア。イカゲームを知っている人でも、こちらは知っているかあ? 私は知っている(笑)。

あっさり言えば、水産庁のHP内にある1コーナー「イカペディア」である。

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なんでも「日本いか連合」と水産庁のコラボ企画だそうで、イカを解説してくれるページらしいのだが、内容は「イカ図鑑」と「イカと言葉」の2つしかなくて、薄い。これじゃあ、二度と閲覧にこないよ。

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では、日本いか連合とは何かと思えば、こちらの方が中身が濃い(^^;)。活動は、イカパーティーの開催と、イカ同人誌の発行、各種SNSにて情報発信(TwitterからFacebook、Instagram、YouTube)そしてブログである。こちらの方が盛ん。

とくにメンバーが濃い。研究者からライター、写真家、アーティスト……と幅広く、ようはイカ・オタクの集まりか(笑)。さかなクンのイカ・バージョンかも。意外やメンバー(幹部、いか伝道師)は女性の方が多いみたい。

まあ、外野からこうして応援してくれる人たちがいるのは心強いだろう。肝心の水産行政はボロボロだけど。ちょうど「魚が食べられなくなる日」(勝川俊雄著・小学館新書)を読んだばかりだからなあ。


 

2021/12/23

どっちが寄生?ヤドリギに観る経済学

これは、平城宮跡で見かけたヤドリギ。

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なかなか見事である(^_^) 。これ、落葉樹に着いたので、冬になると葉があるのは母樹ではなく、ヤドリギ側になるのだろう。(常緑樹に着くヤドリギはあるのだろうか?)
このヤドリギの葉は、冬でも光合成をしているのだろうか。していたら、そこで生成した有機物はどこへ行くのか。

ヤドリギは、一般には母樹から養分をいただく寄生木とされるが、実はヤドリギ側から母樹へと有機物を送ることもするそうだ。となると、どちらが寄生しているのか? 母樹はヤドリギから養分もらって生きているという可能性はないのか。天敵ならぬ点滴を受けるみたいに。
もし母樹の葉を全部むしって、ヤドリギばかりいっぱい枝につけたら、母樹は枯れるだろうか。それともヤドリギが母樹を助けるだろうか。ああ、実験したい(^^;)。

寄生・共生の違いは紙一重なのである。

先日、某大山主の大企業の関係者と対話したとき、「林業は赤字ばかりなので、現在経営をストップさせている」うんぬんの話が出た。とはいえ森林管理はしているので年間数億円の赤字が出る。幸い、母体の企業がデカいので、その程度の赤字はたいしたことない。これって、林業部門が本業に寄生していることになるのか?

 でも、本業が苦しくなったときに、林業部門が儲かる時代が来るかもしれない。その時は林業で得た利益を本体に回すことになるかも。まあ、どちらも赤字で倒れる可能性だってあるんだけどね……。。。

 

2021/12/14

雑誌のweb化と書店消滅

「グリーンパワー」が12月号を持って発行を停止し、来年度からはwebで公開していくという。これは有料なのかな。。。

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「グリーンパワー」は公益財団法人森林文化協会(朝日新聞社の外郭団体)の発行する機関誌という位置づけだが、書店売りもしていて文字通り森林文化を扱っている。具体的に言えば、林業も含む森林、環境、文化と人間社会との交わり部分を重視した雑誌だ。森林科学・環境化学からベタな林業経営や農山村の地域おこしまで。
実は、私の扱うテーマとかなりシンクロする。森林ジャーナリストは森林文化を扱うのである。林業はその一分野にすぎない……と繰り返してきたが、その路線を重ねているかのような雑誌であった。

以前は私も連載を持っていたし、終了後も単発で時々執筆していた。ただ徐々に厳しくなる。経費が出なくなったので取材ものは書けなくなり、論説中心になってきたし、編集者の交代も繰り返されて遠ざかっていたが……。今回も「情報をいち早くお届けするために」などとweb化を説明するが、まあ、経営難なんでしょう(笑)。財団と言っても昨今の金回りは厳しくなっているはず。

折しも、こんな雑誌特集も。

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創の特集「街の書店が消えていく」。ああ、実感するなあ。身近な書店がないもの。全国の書店数はざっと8000になったと言われ、1996年の2万7000からすると3分の1以下だ。出版の総売上も、ピークの3分の1。ただし書籍は4割減ほど。ようするに雑誌の落ち込みが激しい。これが街の書店を直撃したわけだ。

一方で電子本は伸びていると言われるが、その9割はコミックである。雑誌の電子化も進んでいるが、サブスクが多いから利益が出ているのかどうか。web広告頼りになりがちだ。また電子書籍はあまり売れていないよう。実際、私が出した電子書籍も全然部数は伸びていない。まあ、紙版の焼き直しだから静観しているが、書き下ろしだったら、たまらん。

紙でなくても電子版で読まれたら……と思いがちだが、書店がなくなって紙の本を買わなくなった人が、電子版を購入するようにはならないらしい。そのまま本を買わなくなるのだろう。読むのはネットの細切れ記事ばかり。
出版社と取り次ぎは対策としてネット化を進めるが、すると書店はいよいよ追い詰められる。そこで書店は本以外のグッズを置いたりカフェを併設してその収入を当てにするが、今度は本よりグッズの方が儲かるものだから、徐々に本を置かなくなる(泣)。

……とまあ、書き手として業界の先行きには関心を持ち続けているのだが、ふと目に止まったのが、「出版界の総売上は約1兆4000億円」という数字。そして出版組合の健康保険の加入者は約8万人とか。これが従事者数に近いとされる。

これって、林業界より大きい(笑)。林業の売上はどこまで含めるかによるが(市場以降の流れ、製材~プレカット~建築業界は外すべきかと)、木材とキノコを中心とする林産物と森林利用では1兆円に達していないんじゃないか。林業従事者数も4万人あまりだし。

林業界は出版業界の半分ぐらいの規模? 古くさい流通問題を抱えている点も、下流と上流の情報がイマイチつながっていない点も、ものづくり生産者への還元が少ない点も似ている。

林業界は、出版業界の状況も参考にできるかも。生き残りの模索事例になるかもよ。電子本ならぬ電子木材を売り出すとか(笑)。ヴァーチャルウッドと呼ぶべきか。

私は、生き残るために林業界ライターにはならないけど、出版業界ライターになろうかな。。。

2021/12/08

「回復不可能な炭素」に入れるべき“林業”

ネイチャー系論文誌「Nature Sustainability 」に、

地球の生態系における回復不可能な炭素のマッピング

という記事が載った。難しいので機械翻訳に頼ったけど(^^;)。それでも難しい。

失われた場合、最悪の気候への影響を回避するために正味ゼロの排出量に到達する必要があるときまでに回復できなかった生態系炭素

なんて言葉が並ぶ。日本語になってないけど、なんとなくわかる。それに悪戦苦闘していたら、朝日新聞に要約記事が載った。

生態系破壊で回復が不可能な炭素1391億トン 熱帯林や泥炭湿地

こちらの方がわかるわ(笑)。ようするに2050年までに回復するかしないかを基準に調べた結果だ。

森林破壊や火災、乾燥化に伴って、森や土壌からも放出される。特に、原生林や泥炭湿地、マングローブは炭素が集中。ここを壊すと回収まで数世紀かかるという。
こうした「回復不可能な炭素」を推定。南米アマゾン(約315億トン)、東南アジア(約131億トン)のほか、アフリカのコンゴ盆地や、北米の北西部、西シベリアなどに多かった。CO2に換算すると、18年の世界の排出量の15倍以上にもなった。

まあ、詳しくは論文か朝日の記事を読んでほしいが、私はこれに加えてほしいのがある。

それは林業における間伐だ。

森林吸収分を削減目標に含めるため、「管理された森林」=「間伐した森林」と日本政府は定義つけたが、木を伐るのだから゛伐られた木が行う光合成はなくなり、吸収量は減る。さらに間伐した木はどうなる? 今は搬出されるものもあるが、バイオマス発電などで燃やすのだからCO2排出する。搬出せずに林地に眠らせたら腐ってCO2を排出する。
間伐したら、残された木々の成長がよくなって、たくさん吸収するようになる、と主張するのだが、なに最大限に回復しても、伐った分を回復するのが精一杯で、伐る前より増えることは有り得ない。林地の面積で吸収できる量は上限があるのだ。しかも回復するには数年、数十年かかる。こんなの森林生態学の常識だ。

加えてカーボンニュートラル理論も、ニュートラルになるまで数十年かかる。しかも植林もせずにほったらかしの伐採跡地では、回復はもっと遅れるだろう。

つまり2050年までに回復しない可能性が高い。これでは大気中のCO2を増やしこそすれ、減らすなんて有り得ない。

……詳しくは『虚構の森』には書いているのでよろしく(^o^)。

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2021/12/02

ウッドショックが止めたバイオマス発電

昨日のメガソーラー問題の続きということで、バイオマス発電の話。

実は少なからぬバイオマス発電所が止まっている、あるいは止まりつつあることを知っているだろうか。

その理由は、ウッドショックだ。ウッドショックは建材不足から来る価格高騰だが、それに引きずられてバイオマス燃料価格が上がっている。輸入される木質ペレットはもちろん、パームオイルもだ。もともとパームオイルを燃やすというのは邪道なのだが、コロナ禍でマレーシアのアブラヤシ農園の稼働が悪くなり(インドネシア人労働者がいなくなったからだと)、生産量が減ったことから価格も2倍以上に跳ね上がったのだ。

結果、これらの輸入燃料を使うと採算が合わなくなり、稼働停止にするところが続出している。(現在、8カ所。)

たとえば旅行会社H.I.S.グループのパーム油発電所(宮城県角田市・出力41,100kW)は、今年1月に営業運転を開始したばかりなのに、あっさり止まった。の稼動を、運転開始後まもなく停止した。ほか茨城県2カ所も止まっている。
さらにヤシ殻PKSも不足気味で価格も上がっているから、こちらの燃料を宛にしていたところも行き詰まるだろう。

7_20211202212401アブラヤシの実

もともと木質バイオマス燃料は不足気味だった(から、A材でも燃やしてしまうのだけど)が、価格高騰したら、もうFITがあっても採算が合わないわけだ。

しかし、逆にこれらの発電所、電力供給の公共性についてどう考えているんだろうね。赤字ならすぐに止めてよい、というのは社会的な役割を放棄しているのではなかろうか。2020年3月時点で500万kWが稼働していたというが、これらがなくなると電力供給計画が狂うだろう。国も、CO2削減にバイオマス発電を増強するつもりなのだから。

電力は公共財なのだから赤字でも供給しなさい、と尻を引っぱたきたくなる。……まあ、そんな意識はかけらもない業者ばかりなのだろうが。

私はソーラーや風力はまだ場所や規模を選べばよいと思っているが、バイオマス発電は原理的にもCO2削減に役立たない、それどころか増やすと確信している。それがウッドショックで止まるというのは喝采ものだ。

業者も懲りて参入が減るかもなあ。

 

2021/11/15

天然記念物の都道府県ランキング

このところ、奈良県にある天然記念物について調べる機会があったのだが、そこで行き着いたのが、都道府県・天然記念物の数多いもんランキング。

天然記念物が多い都道府県ランキング!

ねとらぼ調査隊というサイトでやっていた。国の指定のものだ。

文化財だとか国宝の数とかのランキングはよく見かけるが、天然記念物は初めてだ。考えてみたら、自然物の価値を示す指標として「天然記念物指定」は使える。で、奈良県は……18件の21位だった。真ん中当たりだな。この

まあ、ここで全部書いてしまっては面白くないので、自分で気になる都道府県の順位を確認してもらいたいが、1位の県は、意外と言えば意外。この県にそんなにある?なんか、認定する際に恣意的に選んでいないかという疑惑(笑)。
まあ、天然記念物の指定を受けるためには、いろいろ書類を揃えて申請しないといけないから、担当者の意欲次第というところもある。山口県(書いてしまった)がそんなに多いのは指定し始めた明治時代の藩閥政治の影響だったりして。

なお、ざっと見ただけだが、指定されているのは植物(単体の樹木など)と森林全体、そして地質的なものが多い。動物も多少ある。たいてい巨大だとか稀少だとかが選定基準らしい。それぞれ何を持って指定したのか調べていくと、面白いというか、意外といい加減というか、本当?と疑うものもあったりして、それなりに楽しめる。さらに都道府県に、市町村の天然記念物指定がある。

たとえば奈良公園は大変だよ。そもそも奈良の鹿が特別天然記念物であり、春日山原始林も特別天然記念物。さらに春日大社内にあるナギ樹林も天然記念物。ナラノヤエザクラも天然記念物(枯れた)。さらにイチイガシなどの巨樹群が天然記念物、ナギの単体もある。五色椿やクスも指定を受けた巨樹がある。園内の池に生息するワタカ(淡水魚)も天然記念物だ。

5_20211115164201春日大社のナギ樹林(純林として)

4_20211115164201素盞鳴神社のイチョウ(県下最大)

004この怠け鹿も天然記念物……。

 

 

 

 

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