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本の紹介

森林学・モノローグ

2017/04/19

イブキかスギか

春日山にある水谷(みずや)神社は春日大社の摂社で、祭神は、スサノオノミコトやクシイナダヒメノミコト、オオクニヌシノミコトなどで、疫病や難病を祓い病魔退散の神様。

 
が、気になるのは小さなお堂の横の巨大な樹木だ。
 
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これ、イブキ(ピャクシン)とある。 幹周が4,86メートル、樹高16メートルだそうだ。
だが、これを角度を変えてみると、
 
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イブキは空洞になって、その中に別の木が生えている。これはスギだ。こちらもかなりの太さ。もっとも先端は伐られている。どちらが生きているやら。あるいとどちらも枯れているのか。
 
ともあれスギの幹をイブキの幹が覆っているようになっている。このイブキとスギは古くから「水谷神社の宿生木(やどりぎ)」と呼ばれているそうだ。
 
以前紹介したが、春日大社の境内に近い、国立奈良美術館の裏手には、ムクロジの木からタケが生えているものがある。これも空洞からタケが伸びたのだろう。
 
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なんだか、異種融合が目立つ奈良公園(^o^)。探さばもっとある予感がある。きっと春日大社の祭神は異種結合が好きなんだな。
春日大社のホームページによると、
 
祭神である武甕槌命様・経津主命様は、日本の国を秩序ある国にするためにあらゆる神々と交渉され、平和裡に治められた功績ある神様であります。また天児屋根命様は神事と政治を守り導かれる神様として、比売神様は天照大御神様だとも天児屋根命様の妃神とも伝えられています。
 
そう、いずれも愛と平和の神様なのだ。
 

2017/04/13

樹木種数のもっとも多い地域

地球規模の樹木種データベースが公開されたそうだ。
 
ロンドンに本拠を置く植物園自然保護国際機構が発表したもので、それによると現在地球上で確認されている樹種は、計6万65種類だという。
 
 
 
地球上の樹木の種数なんて、意外と調べていなかったのか。6万種というのは、多いと見るか、意外と少ないと感じるか。
ただタイトルにあるとおり、この記事は、6万種のうち約6分の1が絶滅の心配があることにクローズアップしている。
 
だが、私が注目したのは、世界で最も多様な樹木種が見つかった国はブラジルで、8715種が確認されたという点。そして第2位がコロンビアで5776種。コロンビアは、アマゾン川の上流域に当たる。
ということは、アマゾン流域が樹木にとって世界でもっとも多様性の高い地域だということになるだろう。
 
これは、ちょっと意外だったのだ。
 
それほど正確な知識ではないが、アマゾン流域は、意外と生物多様性が高くないと記憶していたからだ。……そう記すと語弊があるな。十分に生物多様性は高いのだが、より多様性のあるのはボルネオなどを中心とする東南アジアの熱帯雨林気候帯だと聞いていたからだ。
なぜなら、非常に古い時代から安定した多雨環境で森林が発達したうえ、地形は複雑で海が入り組むなど種類が分化する条件を備えていたから。
 
アマゾン川が誕生したのは、地誌的には意外と最近だという。それまでは太平洋に開いた浅い海だった。そのため森林が発達したのはずっと遅かったのである……。
ところが、近年は海ではなく、湖と湿地帯の広がる環境だったのではないか、と言われている。それならば樹木の新種が誕生する余地はあるかもしれない。
 
 
ま、研究は日進月歩で次々と新説も出るから、また変わるかもしれない。いずれにしても、樹木数が多いというのも生命誌を読み解くアイテムだろう。そして樹木が多ければ、草本だって多いだろうし、そこにつく昆虫はもっと多くなる。
 
生物全体の種数も、以前派へ500万種くらい? だったのが、最近では700万種とか、いやいや3000万種とか、膨らんでいる。
 
その中で樹木がこの程度だということは、やっぱり少ないと感じるな。。。
 

2017/04/12

奈良の鹿のTPO

奈良・東大寺の南大門前で見かけた光景。

 
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参道に鎖で囲まれた円があり、ところどころ鎖の環の中に松が生えている。参道の松並木を囲んだのではないかと思うのだが、松のない環もある。もしかして松が枯れて伐採してしまったのか。それでも鎖の環だけ残したのか。ともかく内部は人が踏まないから草が生えているのである……。
 
で、不思議なのは、その鎖の円の中に鹿がくつろいでいること。鎖が結界?のようになり、この中にいたら人間に触られないので快適なのかもしれない。奈良の鹿は人に触られても平気、と思われているが、やはりストレスなんだろう(^o^)。
面白いのは、それぞれ一匹ずつ収まっていることだ。決して複数の鹿が入ることはないよう。それぞれ自らのテリトリーとしているか。群をつくる動物とはいえ、自分だけの空間もほしいのかも。
 
 
鹿も、人に平気で触らせるときと、触らせない(触ろうとすると逃げる)ときがある。
各鹿の性格の違いかと思ったが、同じ鹿でも場所によって対応が変わるのだそうだ。たとえば東大寺の前では人に触らせる鹿が、若草山に行くと、人が近づいただけでも逃げる。群の大きさにもよるらしい。気にしないように見えて、警戒心も強いのだ。
 
客の前では愛想をふりまく芸人が、私生活では人嫌いだったりするのと似た感じ?(……ちょっと違うか。。。)
鹿だって、TPO(時と場所と場合)をわきまえているのだ(笑)。
 
 
なぜ、そんなことがわかるかって?
 
答の一端は、この鹿の姿から推察してくれ。
 
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首に掛かっているのは……?
 
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発信機だ。これ、電波を受信すると、現在位置が把握できる。これで、各個体のホームレンジ(行動空間)を調査するために付けられたのである。(ちなみにホームレンジは、個体自身が自らの領域とするテリトリーとは別。)
 
鹿の移動と行動を調べたら、また新たな姿が見えてくる。

2017/04/09

奈良の鹿への餌やり禁止に?

ヨミウリオンラインに、こんなニュースが流れた。

 
 
冒頭を引用すると、
 
国の天然記念物に指定されている奈良公園(奈良市)のシカが観光客から菓子を与えられ、病気になるケースなどが相次いでいるとして、公園を管理する奈良県は、園内で販売されている「鹿せんべい」以外の餌付けを条例で禁止する方針を固めた。
公園のルールを定めた県立都市公園条例を改正し、違反者には5万円以下の過料(行政罰)を科すことを検討しており、2018年度からの施行を目指すとしている。
 
餌付け禁止という言葉はちょっと誤解があって、ようするに野放図な餌をやる行為を禁止するということだ。
これ、現場を知らないとピンと来ないかもしれないが、観光客がシカに餌を与えるケースは多い。しかし、シカが香辛料のきいたスナック菓子などを食べると、病気になって死ぬことがある。また菓子の臭いのついたビニール袋も食べてしまう危険がある。
 
ただ問題は観光客だけではないのだ。わざわざ遠くから軽トラで「餌」を運んでくる人がいるのだ。多くはパン屑とか野菜屑だが、ようはゴミである。大量に持ち込んでシカの群にばらまいている。
 
同じことは、ノラネコやハト、カラス、イノシシ相手にも起きているのだが、ようは動物に餌をやることで快感を感じる人たちがいるらしい。かわいいから、という理由を口にするが、彼らは、実は動物について深く考えていなくて、それで肝心の動物が病気になったり、増えすぎて糞をまき散らしたり、農作物や草木を食べるなど迷惑をかけることなど気にしない。単に自分が「餌を与える立場」に立ちたいだけだろう。
 
その結果、記事のように病気になるケースもあるが、むしろ妙な餌付けになってしまうことが問題だろう。ごみ箱あさりを教えるようなものだし、栄養も偏る。
 
加えて奈良公園では、シカの頭数が増えすぎて食べ物が足りなくなっている問題もある。だから樹木の若葉や樹皮、なかには飢えて枯れ葉まで食べている。そこに中途半端な餌やりをされたら、自然界の摂理としての頭数調整が進まない。
 
同時に「鹿せんべい」利権をおびやかす問題もある(⌒ー⌒)。
「鹿せんべい」の販売は、決まった業者メンバーに限られていて、新規参入は難しい。ちなみに、せんべいには奈良の鹿愛護会の証紙が巻かれていて、それが会の収入源にもなっている。一束150円だが、そのうち50円が愛護会の収入だ。この収入などで愛護会は奈良の鹿の保護活動を行なっている。
ところが、公園外では証紙を張っていない鹿せんべいを売る業者も現れた。かくして仁義なき戦いが始まるのであった……。(今回の餌やり禁止案が、そこまで考えているのかどうかはわからない。)
 
 
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さて、本当に餌やり禁止にするためには条例制定をしなくてはならないから、まだ決定とは言えない。記事は少々先走ったような気もするが、これが施行されたら鹿を取り巻く環境はどうなるだろうか。

2017/04/06

日本初の「登山愛好家」は誰?

今、ちょっとこだわっているのが、日本初の登山家は誰か、ということ。

 
ただし、登山と言っても日本では宗教的(修験道など)な開山が行なわれていて、役小角が葛城山や大峰山を開いたといわれる。また、大宝元年(西暦701年)に佐伯有若が立山を開山されたとされる。奈良時代より前、飛鳥時代である。
 
その後も山岳信仰が盛んになって、日本の各地の高山は、意外と早く初登頂が行なわれている。しかし、そんな修行的な意味合いではなく、山を登ることを楽しむ「近代登山」はいつから始まったか。
 
一般に言われるのは、幕末の鎖国を解いてから入国した外国人である。1860年には、イギリス公使オルコックが富士山に登った。その後も外国人による日本探検が行なわれて、各地の未踏?の山々を登っている。
 
そして1890年代にウェストンが日本の各地の山々に登って世界に紹介したことで、「日本アルプス」が知られるようになった。そして彼の著作によって日本人も目覚めて登り始め、1905年に「山岳会」を設立、これが日本の近代登山の幕開けとされ、ウェストンは日本の近代登山の父と呼ばれる。。。
 
ま、それはいいのだが、イマイチ面白くない。日本人だって独自に登山に目覚めた人がいるのではないか。宗教的、あるいは狩猟や林業、あるいは軍事目的のような、なんらかの職業的な登山でなく、山々の景色に憧れて登った人がいるのではないか? それも低山でなく、そこそこの高山で。
 
とまあ、イマドキの「日本スゴイ!」に迎合して外国人なんぞに関係なく山が好きだった記録のある人はいないか、と思ったのである。
 
 
で、ちょっとヘンな人を見つけた。
 
現在の大分県竹田市に江戸時代にあった豊後岡藩。ここの3代藩主中川久清である。京都に生まれて、徳川光圀とともに学んだとか、藩主になってからもなかなか名君と言われて、家老制度や奉行制度を制定したほか、水路開拓や検地もしている。
植林政策も熱心で、岡山藩から熊沢蕃山を招聘して植林のほか郷村制度の強化、ついでに?キリシタン摘発を行なったという。日本の森林学の祖とも言える熊沢蕃山の足跡と施策をたどる意味でも岡藩は重要なのだ。
 
そんな久清は久住連山が好きで、とくに大船山へと続く鳥居ヶ窪によく登ったのだ。久住連山は1700メートル級の山々が並ぶ火山群である。最初に登ったのは゛1662年8月23日という記録が残っている。
 
ただ、笑うのは自分の足で登ったのではなく、村人の背中に「人馬鞍」を付けてそこに座って担がれたのだという。ちゃんと藩主を乗せる家が決められていたというのだが……。
 
これでも登山というのか、と言われると困るのだが、少なくても信仰とか職業的な山登りではない。登って景色を楽しんだのなら、近代的?ではないか。
 
そして中川久清は、自らの墓を標高1400メートルのところに設けている。それが入山公廟と呼ばれる中川墓所だ。日本で一番標高の高い藩主の墓、というが……。子孫や家臣も、墓参りは大変だったはずだ(笑)。
 
 
ちなみに私は、高校生のときに、久住連山を縦走し大船山に登っている。当然、その頃はこんな話は知らなかったが……。
 
探してみたら、こんな写真があった。春山なんで、雪が残っていた。というか、雪の中のキャンプは寒かった思い出がある。だって、私が持ってきた寝袋を女子部員に取られたからだ。。。
 
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2017/04/03

まちづくりは不動産屋、森づくりは……

昨日の大学生との対話の中で、まちづくりの話題も出た。

 
まちづくりにも興味があるということなのだが、私もそれなりに持論を持つ。
それは。。。
 
まちづくりの主役は不動産屋、ということだ。
決して行政ではない。NPOのような市民運動でもない。
 
ま、この場合の「まち」がどこかに寄るのだが、ある程度の都会を舞台として見た場合、遊休地や空き家を有効活用して、できれはビジネスとして経済的に寄与することが、まちづくりと考えるからだ。
人が集まる店を入れる、住宅やオフィスなどにして賃貸・売買取引の物件に仕立てる……それにより地域を豊かにするのが「まちづくり」だ。
 
そんな仕事を担うのは何か。一般的な職業で言えば不動産屋ではないか。遊休物件を使いたい人や法人に斡旋する、いやその前に物件を手直しして魅力的に変える。もっと踏み込むと、街に必要な業界を呼び込み街の魅力を高める。
その結果、街の魅力が不動産の価格にも反映されれば、不動産屋だって儲かる。
 
この過程は、あくまでビジネスとして展開しなければならない。補助金を当てにして開発しようとしたら、その時点でゲームオーバーだろう。物件の基礎的なインフラ整備(たとえば道路整備とか地下にあった有毒物質の除去とかゴミの撤去……など)のために資金が必要なケースもあるが、そのための税金投入は「投資」として受け入れるべきだ。リフォーム、リノベーションなとに補助金は厳禁だろう。
 
 
では、同じことを山村・森づくりに適用すれば誰が主役になるだろう。
 
まずやるべきことは、利益を生まない森林として放置されている「物件」を魅力的に仕立て直すことだ。そして、その魅力に惹かれる法人・投資家などを斡旋して森林を流動化させる。その過程で経済的な恩恵を地域に落として山村活性化につなげる……そんなイメージだ。
 
ただし魅力的な森というのは、木材生産できる森というのとは違うだろう。林業で失敗した森なのだから、まったく別の魅力を付与して、林業界・木材業界とは違う業界に売るか貸し出さないと、活性化につながらない。
たとえば見映えのよい森に仕立てて、CSR的に森を欲しがる法人に貸し付けるビジネスというのもありなのではないか。あるいは天然水を汲み出せるようにするとか、教育に使うとか、キャンプ場などレジャー業も考えられる。その森で新規ビジネスを展開することで雇用などを生み出す。
 
そのためには土地の所有権と利用権(もしくは立木権)を分離して扱える仕掛けも必要かもしれない。吉野的には「借地林業」と同じ発想だ。
 
そんなイメージで森づくりを行なうなら、担い手は地方の金融機関ではないか。山村の荒れた森を街の小金を溜めた中小企業に斡旋するビジネスである。小金もない相手には融資すれば、金融機関としてもうま味がある(笑)。
行政がその役割を果たそうとしても企業情報を持っていないから上手くいかないし、おそらくお金が地域に落ちない。やるべきは地方銀行、信用金庫、信用組合……いろいろあるではないか。農林業、そして農山村を活性化させれば、自らのヒジネスにもつながる。
 
 
……ま、そんな妄想を拡げているのだが、実際の金融機関にそんな志を見せるところは見つからないね。

2017/04/02

日本はフィンランドに学べるか?

本日のお客さん。

 
大学生である。なんと、驚きの男子学生(笑)。
 
これまで幾多の学生が訪ねてきたが、中学生などを除いて、ほぼ全員が女子学生であったことを振り返ると、実に驚きなのであった。。(~_~;)。
 
彼は、某大学で建築を学んでいるが、木造建築に興味を持ち、そこから木そのもの、そして林業へと興味を拡げてきた。
そして、今年6月からフィンランドに1年間留学し、建築と林業を学んでくるという。そして、そのためにも日本の林業についても勉強しようと訪ねてきたのであった。
 
フィンランドの林業と日本の林業……。あんまり共通点はないように思える。
 
だって、私の手元にあるフィンランドの林業の写真と言えば……
 
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こんな化け物みたいな林業機械の紹介(~_~;)。あるいは筏による湖の木材輸送なんてものばかり。
 
だか、それゆえに面白いかもしれない。なんたって森林の6割が個人所有で、平均面積が30ヘクタール……日本と似ている。国有林は26%というのも似ているか。わりと木材生産組合が発達していると聞いたが。
 
もっとも、私は日本の林業の実際の姿を教える役割であるから「絶望の日本林業」について語った(⌒ー⌒)。問題点は山積みだが、それらをどのように改革すべきか方向性はある程度ある。が、改革をする気がない・勉強が足りない林業家に林政担当者。木材産業現場。。。
一方で建築業界も、木造建築の施主たちも、イマイチ木材や林業についてわかっていないことも多く。。。なんて話になるわな(;´д`)。
 
もちろん例外も語ったし、頑張っている人々も紹介したが、全体としては如何ともし難い自縄自縛状態。
 
 
さて、彼は今後鹿児島・宮崎・大分と訪ね歩き、そのほかの地域もいくつか回るつもりらしい。
そしてフィンランドで何を学ぶか、それをいかなる形で日本に持ち帰るか。
 
しかし、こうした学生が出てきたことが、もっとも救いというか、希望だね。
 

2017/03/29

「樹木が土壌を変える」論文

昨年末に、土壌ジャーナリスト最後のスクープ! として「樹木が土壌を変える 」という記事を書いた。

 
そこでも触れたが、それに関する論文が発表されて手に入れたので紹介しよう。
具体的には、「樹木医学研究」第21巻第1号に掲載された「生物検定を用いて明らかにした樹幹周辺土壌の樹種特性」(伊藤幹二・伊藤操子)である。
 
党の本人のいうには、「まず入口の現象を見える化したもの」だそうで、次は森林学会に本格的な論文を発表予定だそうである。
 
ここでは、樹種によって周辺土壌の特性が変わることを示すとともに、その理由として樹幹流に注目している。樹幹を流れる水は、内皮に触れて成分を変化させ(物質交換し)、土壌を自分の都合のよい状態に能動的に変えていくというものだ。
 
これまで植物は毛細根と葉(の気孔)でしか物質交換をしないと思われていたが、近年はもっと広く環境に関与していることがわかってきた。ある意味、全身で環境と能動的に向き合っているのだ。
なんか、「人間も皮膚呼吸しているでしょ」と言われたような気がする(~_~;)。
 
 まずは要旨。
 
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全部掲載するわけにもいかないので、「はじめに」を。
 
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そして考察の一部分。
 
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さて、学界では、どんな反応が出るのだろうか。

2017/03/14

平和記念博覧会の「ご神木」

大阪は、2025年の万博誘致に燃えている(大阪の行政関係者だけ)。だが、今のところテーマさえも迷走していて、あんまりパッとしない。

 

ところで、戦前は内国勧業博覧会が開かれていた。さまざまな産業界が出展して、文字通り勧業と普及をめざす。現在のお祭騒ぎ一辺倒の博覧会と違って、明確に産業振興が目的だ。当時欧米で開かれていた万国博覧会に刺激を受けて始まったのである。

 
私は土倉庄三郎が出展したことから明治23年の第3回内国博 (上野)について調べたことがあるが、明治36年の第5回内国勧業博覧会も注目したい。こちらは大阪で開かれた。
 
その場所となったのが、現在の通天閣のある新世界だ。実は、この5回目を最後に内国博は終わってしまうのだが、規模は最大であった。
この5回目には、林業館 が設けられた。これまで農業や園芸と一緒の展示館だったのが、ついに独立したのだ。しかも館外には林業別館も設けられたという。
 
 
これが発展する形で、大正11年に上野公園で平和記念東京博覧会 が開かれた。平和とは第1次世界大戦が終わったことを祝う意味もある。ここに林業館も設けられた。
 
出展数は全国から4866点にものぼった。ただ、内容は各地の林産物や製材標本、森林・林政調査、技術見本……などで面白みはなかったという。ただ狩猟関係の展示もあったらしい。
 
 
だが、一人気を吐いたのが、帝国森林会が出展したご神木」だった。
 
説明によると、高さ約8メートルのスギの大木(模造)に注連縄が張られ、表面には無数の千社札が貼られていたそうだ。直径は記されていないが、写真家らするとざっと2メートルはあった。そして枝が2本あった。
またご神木の頂部には、林業の格言を書いた巻物を手にした天狗がいた。この天狗、なんと電気仕掛けで手や頭を動いた。さらに、枝の部分には8羽のハトが留まっていた。
 
そして、その樹幹の内部には自動的に回転するガラス板に彩色された各種の林業写真があって、周囲の16か所の穴から覗くのだ。覗きカラクリである。
さらに博覧会内では、林業映画が上映されていた。
 
これは人気抜群だったようだ。不可思議で面白くて、最新林業事情の勉強にもなる。
 
 
今も全国に森林関係の展示館はたくさんあるが、あまり「見せる」要素は少ない。森林内の動植物を再現したジオラマだったり、映像だったり。真面目だが、それほと印象に残らないのではないか。
こんな洒落のめした展示を心がけてもらいたいものである。
 
さて大阪の万博構想はどうなるか。私は、どうせ落選すると思ってる(笑)。
 

2017/03/09

アマゾンは人工林だった

イギリスBBCで、次のような記事があったようだ。(3月3日)
 
 
南米アマゾンの密林で、欧州から人々が到着する前に、先住民たちが膨大な数の木を植えていた可能性があることが、このほど発表された研究で明らかになった。
 研究は、当時の植樹が現在の植生の構成に大きな影響を及ぼしている、と指摘している。研究者らによると、古代の居住地に近い地域では、食料や建物に使われた樹木の種類がほかの地域よりも大幅に多いことが分かった。 ……
 
 
アマゾンの1000カ所で植生を調べ、古代の居住地があった場所とそうでないところを比較したところ、ブラジル・ナッツやカシューナッツ、アサイー、ゴムを生産する85種の樹木が多数を占めるケースが、野生の樹木が多数を占める場合よりも5倍になっていることがわかった。
これは先住民が、自ら利用する樹種を植えるなり保護して、植生を改変したからではないか、というわけだ。
 
元ネタはアメリカの「サイエンス」に掲載された、オランダ・ライデンのナチュラリス生物多様性センターのハンス・テア・ステーゲ博士のチームによる研究らしい。2013年の発表とのことである。
 
最新研究結果ということになるが、私自身はこのような情報をもっと昔から目にしていたので、それをより科学的に証明したことだ、と理解している。
 
たとえばブラジルのゲルジ博物館の研究などは、今から30年くらい前だ。シングー川流域に住むカヤポ族がつくる人工林アペテの研究である。そこからアマゾンの森の3分の1から3分の2は先住民のつくった人工林だとしている。
 
この点は、1999年に発行した拙著『伐って燃やせば「森は守れる 」』にも記した。(2011年出版の『日本人が知っておきたい森林の新常識 』にも掲載した。)
 
 
今風の人工林という言葉に抵抗がある(プランテーションと区別したい)のなら、アマゾンは里山であった、と言ってもよいかもしれない。 
ペルーアマゾンには、古代に作られた巨大な農耕跡と人工的な湖が多数見つかっていて、アマゾン文明の存在を指摘する意見も在る。
 
人類が、地球の生態系に大きく関与しているのは、アマゾン以外でも間違いない。これは何も自然を破壊したのではなく、自然と寄り添うように進化したのだろう。
 
これこそ、自然と人類の共進化なんだろうなあ。
 

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森と林業と田舎