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森と林業の本

2024/07/16

ローズウッドの箸

海のある奈良県(熊野市)の道の駅で見かけた土産物。

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ローズウッドの箸。なんと。ローズウッド(紫檀)は今や輸入禁止になっているが、それで箸をつくっているのか。

どうやら熊野の工芸作家がつくっているらしい。在庫を抱えているのだろう。ローズウッドは、木工芸品や家具、楽器、フローリングなどに用いるが、ワシントン条約で流通が禁止されている。箸としても最高級品扱いかもしれないが、先日ギターメーカー三木楽器がこっそり輸入して捕まったばかり。

中国では、象牙の箸もあった。韓国では金属の箸が主流だ。日本の塗り箸の場合は、ニューギニアの鉄木などが使われる。硬い素材では、先端を細くできるからつかみやすいというのだろうか。
しかし、硬いことは箸として価値があるのかね。使い心地で言えば、柔らかくてわずかにしなる方が食べる際に食材への当たり方がよいと思う。その点なら、プラスチックの方がマシのような気がする。まあ、スギの割り箸が最高だけどね。

ちなみにスギ1立米から高級割り箸をつくると、立米単価が25万~30万円ぐらいになる。超高付加価値商品だ。

 

 

2024/02/05

RF1の惣菜に国産割り箸

おお、波が来たのか。大波か小波か。

と思わせたのが、RF1(アール・エフ・ワン)の割り箸が国産に、それも吉野割り箸に切り替わったニュース。

間伐材・端材使用の国産割り箸に切り替え、森林保全や産業活性化に貢献

株式会社ロック・フィールド(代表取締役社長:古塚孝志、本社:神戸市)は、店頭で取り扱う割り箸について、一部店舗を除く全店で、2024年2月1日より国産の間伐材や端材を使用した割り箸へ切り替えるとともに、有料化【11円(税込み)/1膳】を開始いたします。当社の環境方針に基づく活動の一環として、カーボンニュートラルを見据えた国産割り箸の利活用と新たな環境配慮活動を実施し、持続可能な社会づくりへの貢献を進めてまいります。

*売上金の一部は日本の森林(環境)保全や4R推進など環境配慮活動に使用します。

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ロック・フィールドという会社は、「RF1」の店名で百貨店などの惣菜売り場を出している。ちょっと高級感のある惣菜で、お値段も若干お高めだが、評判はよい。

実はこの会社、大昔になるが、取材したことがある。取材したのは誰だったか、わりと幹部社員だったと思うが、当時も誇り高かった。自慢というのではないが、絶対の品質を誇っていた。

ところで、このニュースを追っていると、当社は2022年6月より「RF1(アール・エフ・ワン)」ブランドの一部店舗で国産割り箸の使用を開始しました。

とある。あれ? 2年前から国産にしてたの? 使用する店舗を拡大したということか。それと、やはり有料にしたことが大きいのだろう。

1膳で11円……やはり高いな(^^;)。吉野ヒノキや、北海道のトドマツの割り箸らしい。高級惣菜には、高級割り箸で、か。もっとも吉野杉ではない。スギの割り箸は、量産が無理なのかもしれない。

輸入品から国産品に切り替えることで、国内資源を有効活用するとともに、年間を通じた安定的な使用によって国産割り箸産業の活性化にも貢献します。また、海外からの輸送時に発生するCO2が削減できるほか、箸袋も紙製に切り替えることで、割り箸単体におけるプラスチック使用量もゼロにします。

割り箸にすること、紙製にすることを、環境に優しいと謳う時代が来たことは感慨深い。また割り箸の林業振興を謳っている。これも、かつてない視点だろう。
かつて、割り箸止めてプラスチック箸にしたら環境に優しいと言われて頭に血が上っていたのだ。

割り箸時代の到来である。(と、信じたい。)

2024/01/23

ファミマのフォークと割り箸

この記事、気になる。

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コンビニのファミリーマートが゛プラスチック製のフォークやスプーンを有料にするという記事なのだが、注目すべきは割り箸が無料である点だ。

どうも記事の内容も、プラのカトラリーが有料になることを強調しているし、それが値上げと捉えているが、そこじゃないだろう。プラ製品は有料にして需要を抑える、一方で割り箸のような木製品は無料であることの意味を考えてほしい。

ファミマの本部の意図がどうなのかはわからないが、世界の趨勢はプラ製品をできるだけ使わないでおこうということなのだ。そのうちプラ製の箸だって有料化するか減少させる方向に進むだろう。

これまで割り箸は木製品であるがゆえに「森林資源を棄損する」と排斥されてきたのに、ついに逆転したことに気付いてほしい。実は、ヨーロッパでは、すでにプラのスプーンやフォークは有料で、割り箸は無料になっている。日本がようやく追いついたと知るべきだ。この話は、すでにYahoo!ニュースに記している。

割り箸が熱い!今世界と国内で起きていること

割り箸は、持続可能な天然素材でつくられている。だから無料で提供する、という発想を持つべきだ。記者も、もう少し勉強しなさい(笑)。

ただし、おそらくだが、ファミマの割り箸は中国製だろう。そこを国産にするのなら、割り箸も有料でもいいと思うよ。

 

 

2023/05/20

割り箸グレードアップ

先日、十津川村に行った際に、お土産に買った割り箸。

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割り箸と言っても、これは何という名か。らんちゅうのように最初から別々で紙で留めてある形式の角箸だ。材質は赤柾に近いかな。さすがに木目は細かい。吉野割り箸は、箸の片割れ1本に10本くらい年輪が入っているが、これもそれに近い。ついでにいうと十津川産ではない(笑)。吉野産だろうけど。
価格も通常の割り箸とは違う。3膳で500円だったかな。いや400円?1膳単位で見れば、100円を超えている。通常の国産割り箸の高級品でも、1膳50円くらい。箸袋もついていないし、そんなに高くない。

なぜ、高いのか。それでも買ってしまったのか。

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やはり、この模様があるからだろう。鹿の角だと思う。吉野でも鹿は害獣扱いだが、奈良県としては鹿は神の使い(^_^) 。

この模様を刻印するだけで割り箸はグレードアップしたのだよ。一気にコレクターアイテムに変身した。

私も割り箸コレクションのつもりで買ったのだが、そのうち使ってみようと思う。使い捨てする機にはなれないから、洗えば何日くらい持つかな。

2023/03/13

Y!ニュース「割り箸が熱い!……」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「割り箸が熱い!今世界と国内で起きていること」を執筆しました。

このところ、また割り箸に触れる機会が増えた。また海外事情のニュースも目にした。

一部は毎日新聞奈良県版で記事にしたのだが、これだけでは「もったいない」、割り箸だってもったいない、ということで今回の記事を書くことにした。

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この記事を書きながら思ったのだが、割り箸を「箸」と決めつけなくてもよいのではないか。そもそも自分で割らない割り箸があるように、2本の木片でなくてもよいかもしれない。もっと定義を広げて、「素の木製のカトラリー」としてしまえば。すると木製スプーンやフォーク、ナイフも入れられる。長持ちさせるための塗料を使わない素の木肌のままのカトラリーとしたら、何年も使うものではなくなる。塗り箸とも差別化できる(^o^)。

そして海外市場も狙える。箸ではなく、飲食店向きの簡易カトラリーだ。

と、まあ、そこまで話を広げるのは、また別の機会に(笑)。


 

 

 

 

 

2022/12/20

割り箸使い捨て!

久しぶりに割り箸の取材で吉野へ。

現状と新たな状況を知ることができる。そして何かとお土産?をもらった。

20221220-151152 割り箸の花

ところで気になったのは、目についた吉野割り箸に「らんちゅう」が多かったこと。らんちゅうとは、卵中とも書くが、スギ製で両端が丸くすぼまった形状だが、もともと分離した箸で、割り箸の中では異端だ。が、実は割り箸の中で最高級なのである。

なんでも、今や天削や利久などでも大量生産型になっていて、材料もスギだけでなくヒノキ、エゾマツなどもある。すると安価なものも出回る。結局、最高級割り箸として高価格帯を守れるのはらんちゅうになるのである。しかも背板だけでなく、赤柾、つまり芯材を材料にすることも増えたそうである。吉野杉の赤柾のらんちゅう。もはや、最高級のさらに上級割り箸である。

もはや国産割り箸は、量では中国製、ベトナム製などにかなわない。高級化で対抗するしかない……という話を熱くする(^^;)。

高級割り箸で食べると、美味しくなる。軽くて持ちやすい、木肌の触り具合がいい、何より美しくて木工品として愛でられる。そうした点を打ち出してみやげ物、記念品の需要を喚起する。

それに高級とは言っても、価格は1膳10円程度だ。だいたい一度食べたら捨てることはなくて、何度も繰り返せるではないか。飲食店でも金を払っているのだから、その箸を持ち帰ってもいいではないか。私も、1膳を1週間ぐらいは使う。夕食だけでないから、1膳を10回ぐらいは使っていることになる。それなら1回使用で1円レベル。まとめ買いすれば、1膳5円になるから1回50銭だ。一度の使用ではもったいなくて捨てられない。それほどの工芸価値がある。5回10回ぐらい水洗いしても傷まないし、色つやもよい。

取材ではなく、歓談に行ったのか、アジテートするために行ったのか(笑)。

帰り際に、どっさりらんちゅうをいただいた。いや、その、多すぎる……。

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これはもらった一部。まだまだある。ちょっと多すぎ。これでは、何年経っても使い切れない。もう毎回食べるたびに使い捨てするしかないか。もったいないけど。え? そういや、割り箸とは使い捨てするものだった( ̄∇ ̄;) 。

 

2022/12/06

本当の割り箸の危機

東京滞在中に、ご招待されてうかがったホテルの中華料理店。

まあ、結構な高級店なのだが、そこでテーブルにつくと、目についたのが箸だ。

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割り箸の中でも最高級とされるらんちゅうである。もっとも、自身で割るのではなく先に分離しているから、割り箸の中では異端(^^;)。割り箸の定義にもかかわるのだが……ともあれ、中華料理でもこうした割り箸で食事すると、ワンランク上がった気がする。

ちなみに腐すわけではないが、らんちゅうの幅数ミリの中にある年輪の数を数えて、ちょっと目荒だな、と思った私は意地悪か。年輪幅が2ミリくらいあったのだ。吉野杉の最高級なら1ミリ以下だろう。(写真を拡大してほしい。)

このところ割り箸の話題から遠ざかっていたのだが、先月久しぶりに割り箸について某機関紙に小記事を書く依頼があった。実はあまり気が進まない理由があったのだが、割り箸のことだからと引き受けたのだが……。

先方のテーマは「割り箸の安全性」で、中国製は農薬がどうの、とか言い出す。私は、そんなガセネタは無意味だ、そもそも国産割り箸が消滅の危機にあることを知っているのか、文化に関わる問題なのだと伝えて、そうした視点からなら書くと応えた。一応、了承をえたのだが、本日その初校が届いた。なんか、微妙に手を入れられていて気分悪い。

結局、割り箸を記事に取り上げようという人の意識自体が古いというか実態を把握していないのではないか。

そういや東京で泊まったホテルに朝食が付いているのだが、バイキング方式でプラ箸と割り箸の両方が設置されていた。それ自体が有り難いが、私以外の泊まり客はみんなプラ箸を取っていくのである。もはや割り箸そのものを使う習慣が消えつつあるのかもしれない。

最高級らんちゅうで食事する機会を得たものの、いつまで続くか不安にあるのであった。

 

2022/07/30

自家製お箸は無駄?

先日、山を歩いた際に、コンビニで弁当を買って持って行ったのだが、いざ食べようとしたら箸がなかった(> <;)。

割箸もらったつもりだったんだけどなあ。ザックにはマイ割箸も入っていないし。

手づかみで食うか、とおにぎりを一つ食べたところで、なんだ、つくればいいやん、とナタを取り出す。

近くの木を伐って、枝を削って……意外と面倒(^^;)。ナタだと細かな細工ができん。手に入る木の材質も、箸向きかどうか。

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というわけで、こんな出来ばえで、残りを食ってしまった。正直、自分が食べるだけなのだから手づかみでも枝でもなんでもいいんだね。ほかにパンも持っていたし。

ある意味、自分で箸をつくるというのは、趣味の世界だと今頃感じた次第。出かけたか先で、箸をつくる時間や手間が無駄と思ってはできない。食べている最中に時間をとられたくないと思ったらていねいにつくらないわ。つくるなら、自宅で作業したほうがよいだろう。
今後は、既成の割箸を「マイ割箸」として持つことを忘れないようにしよう。

 

 

2022/07/14

雑誌の付録に「箸」

大阪に出た際にジュンク堂書店に寄ったのだが。

こんなものが山積み。

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なんだ、と思うだろうが、「ミーツリージョナル」という関西圏の老舗タウン情報誌である。「お笑いの街なんば。」特集。

ま、それはいいんだが、なぜかパッケージにお箸が付けてある。何か意味があるのか?

どこにも説明がないのでわからない。まあ、タウン情報と言っても、ほとんどが食べ物屋とお酒の店ばかりである。お箸は、そこで食べるためのものと思えばよいか。

しかし、よくよく見れば、この雑誌、4月発売の5月号ではないか。つまりバックナンバー。それが山積みしているのは、ここが難波店だからだろう。もしかしてお箸を付録に付けたのも版元ではなく書店側なのかもしれない。チラリと写っているのに、上方漫才大賞の文字があるから、その記念品? 受賞した「ミルクボーイ」が表紙を飾っているが、関係あるのかないのか。

お箸もパッケージの中なので確認はできなかったが、木の塗り箸ではあるようだ。プラ箸でないだけマシではあるが、どうせなら割箸にしてほしかった。お店で食べるのだもの。割箸はノベルティにもなることを売り込まないといけないなあ。

 

2022/05/31

下川町の制箸工場が……

北海道下川町の下川製箸株式会社が、先月火事に見舞われ工場、倉庫ともに焼け落ちたことで廃業する模様だ。

下川製箸の割り箸は、シラカバ材でつくる割り箸で、しかも製法がロータリーレースでシラカバ丸太をかつらむきし刻むつくり方。この製法は、大量生産式として、かつて日本の割り箸はこの方式が席巻していたのだが、下川製箸を残してすべて姿を消している。ほかの割り箸製造は、板にしてから削る方式だ。つまり今や日本で唯一の製法である。さらにFSC材で割り箸をつくることでも知られており、こちらもほぼ日本唯一だろう。

つまり、この廃業でどちらも消えることになりそうなのである。

不思議なもので、ちょうど今日は下川町の町有林の林業について書こうとしていたのだが、そこに飛び込んできたこのニュース、残念である。林業に関しては、また改めて。

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手元の湾曲した板が、ロータリーレースで剥き取ったシラカバの単板。これを刻む。

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私が訪れたのは、もう10年以上昔だが、惜しいなあ。焼けたロータリーレースの機械の換えが手に入らないことが理由らしい。

あえて考えてみると、もしかしたら中国にあるかもしれない。かつて日本の割り箸製造機がどんどん中国に輸出されて、向うで生産するようになり、それで日本製が壊滅したのだから。そのときに廃業した製箸メーカーが倉庫に残しているようなことがあれば、と思いもするが……。もし、心当たりがある方がいればご連絡ください。

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これも下川製箸で作られたもの。

しかし、もともと割り箸は儲かるビジネスではないので、無理して再建するのも厳しいのかもしれない。
いよいよ日本製割り箸が減っていく。

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